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JP6413368B2 - タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法に関する。
さらに詳しくは、タイヤ内腔に所望する物体を機械的係合により取り付けるための面ファスナーが設けられている空気入りタイヤを製造する方法であって、特に該面ファスナーによる基本的な係合力を向上させることと、加えて、該空気入りタイヤの転動に伴って生ずる面ファスナーの係合状態を解除させようとする力に対して対抗ができて、その結果、面ファスナーによる機械的係合をより強固にかつより長期間にわたって実現できる、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを製造する方法に関する。
タイヤ内に所望する機能性物体等を取り付けるための面ファスナーをタイヤ内腔内に設けた空気入りタイヤが提案されている。
こうした面ファスナー部材をタイヤ内面に設けて、該面ファスナーを利用して機能性物体を内腔に取り付けるようにした空気入りタイヤを製造するにあたり、最も注意すべきことは、面ファスナー部材をタイヤ内面に接合する際に、面ファスナーの係合素子を潰さないようにして製造することである。
面ファスナーの係合素子は、先端が微細なフック状であったり、あるいは微細なループ状であったりしていて、かつ、その微細な係合素子どうしの間には、それらの素子どうしが交差したり適度に撓んだりできるように空間部が形成されているものであり、そうした係合素子の先端から中間部分などが潰されてしまえば、該係合素子による本来の物理的係合力を十分に発揮することが不可能となるからである。
一般には、タイヤ内面への面ファスナー部材の接合は、その空気入りタイヤの加硫成形と同時に行うようにされているのが通常である。
したがって、該タイヤの加硫成形時において、面ファスナーの係合素子が加硫ブラダーの圧力、熱を受けることにより潰されてしまうことを防止することが、特に注意されるべきことであり、そのための提案も各種されている(特許文献1−4)。
具体的には、面ファスナーの係合素子をゴム層中に埋没させるあるいはゴムで被覆して加硫成形工程に供することが提案されている(特許文献1−2)。しかし、そうした提案のものでは、該係合素子がそれらゴムごと潰されてしまえば、期待した効果は得られず、あるいは係合素子とゴムを除去することが必要になるが、その除去工程でも係合素子の形態、物性を損なう可能性があり、十分とは言えないものであった。
また、係合素子を設ける領域に沿って突起部を設けるということが提案されているが(特許文献3−4)、直接的に面ファスナーの係合素子の潰れを防止するという点では、十分と言えないものであった。
特開2008−272954号公報 特開2009−154320号公報 特開2012−11986号公報 特開2013−10324号公報
上述したような点に鑑み、本発明の第一の目的は、タイヤ内腔に所望する物体を機械的係合により取り付けるための面ファスナーが設けられている空気入りタイヤを製造する方法であって、特に面ファスナーの係合素子の潰れの発生を良好に防止できて、該面ファスナーが有する基本的な係合力を十二分に得ることができる、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第二の目的は、上述した第一の目的を達成するとともに、該空気入りタイヤの転動に伴って生ずる面ファスナーの係合状態を解除させようと作用する力に対して、十分に対抗でき、上述した第一の目的を達成した大きな機械的係合力を有した面ファスナーのその係合状態を長期間にわたり維持、発揮することのできる、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
上述した第一の目的を達成する本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法は、下記(1)の構成を有する。
(1)ファスナー部材を予め接着ゴム層に設置し、さらに、該面ファスナー部材が設置された接着ゴム層をインナーライナー層の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形し、しかる後、該グリーンタイヤを、前記面ファスナー部材のタイヤ内腔側に該面ファスナー部材の係合素子の保護部材を配置させた状態で加硫成形工程に供し、該加硫成形をした後、前記面ファスナーの係合素子の保護部材を除去し、タイヤ内腔面に面ファスナー部材を設置した空気入りタイヤを得ることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを製造する方法であって、前記タイヤ内腔に設置される前記面ファスナー部材がフック・アンド・ループ式の面ファスナーの一方をなし、かつ、前記面ファスナーの係合素子の保護部材がフック・アンド・ループ式の面ファスナーの他方をなしているものであることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
また、かかる本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法において、好ましくは、以下の(2)であるものが好ましい。
(2)前記タイヤ内腔に設置される前記面ファスナー部材がフック・アンド・ループ式のフック材をなしているものであり、前記面ファスナーの係合素子の保護部材がフック・アンド・ループ式の面ファスナーのループ材をなしているものであることを特徴とする上記(1)記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
また、上述した第二の目的を達成する本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法は、下記(3)又は(4)の構成を有する。
(3)面ファスナー部材を予め接着ゴム層に設置し、さらに、該面ファスナー部材が設置された接着ゴム層をインナーライナー層の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形し、しかる後、該グリーンタイヤを、前記面ファスナー部材のタイヤ内腔側に該面ファスナー部材の係合素子の保護部材を配置させた状態で加硫成形工程に供し、該加硫成形をした後、前記面ファスナーの係合素子の保護部材を除去し、タイヤ内腔面に面ファスナー部材を設置した空気入りタイヤを得ることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを製造する方法であって、前記空気入りタイヤの内腔中に設置される面ファスナー部材が複数個であり、該複数個の面ファスナー部材が、タイヤ周方向上に断続的な不連続状態で設置されてなり、前記面ファスナーの係合素子の保護部材がタイヤ周方向上に連続な部材であり、該面ファスナーの係合素子の保護部材には、タイヤ周方向上に断続的に設置された前記複数個の面ファスナー部材どうしの間隔部に相当する位置に、離型用凸状部材が断続的に設けられているものであることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
(4)前記離型用凸状部材が、フック・アンド・ループ式の面ファスナーのフック材をなしているものであることを特徴とする上記(3)に記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
また、上述した(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法において、特に生産効率が良いタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法として、以下の(5)に記載の製造方法が好ましいものである。
(5)前記面ファスナー部材が設置された接着ゴム層をインナーライナー層の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形するに際して、予め、広幅の接着ゴム層に広幅の面ファスナー部材を設置した後、タイヤ周方向に延びる切断線の方向の下に該広幅の面ファスナー部材および広幅の接着ゴム層を切断して細幅化したものを用いることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
請求項1にかかる本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法によれば、特に面ファスナーの係合素子の潰れの発生を良好に防止できて、該面ファスナーが有する基本的な係合力を十二分に得ることができる、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法が実現できる。
特に、請求項2かかる本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法によれば、請求項1にかかる本発明の方法で得られる効果をより明確に大きく発揮できる、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法が実現できる。
また、請求項3又は請求項の構成にかかる本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法によれば、上述した請求項1にかかる本発明の空気入りタイヤの製造方法が有する効果を有するとともに、空気入りタイヤの転動に伴って生ずる面ファスナーの係合状態を解除させようとする力に対して、十分に対抗でき、請求項1にかかる本発明で達成された大きな機械的係合力を有した面ファスナーのその係合状態と係合力を、長期間にわたり維持して発揮することができる、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法が実現できる。
さらに、請求項の構成にかかる本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法によれば、加工プロセスの簡略化、効率化に効果的な本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法が実現できる。
上記した効果がそれぞれ発揮されることにより、本発明によれば、空気入りタイヤの内腔に所望する特定の機能性物体を機械的係合により取り付けるための面ファスナーを有する空気入りタイヤに関して、該特定の機能性物体の該タイヤ内腔への係合、取付けを行った際、その係合状態を、より大きな係合力のもとで、かつより長くその係合力を発揮でき、長期間にわたりその特定の機能性物体を取り付けた効果を享受することができる空気入りタイヤの製造方法が提供されるものである。
(a)、(b)、(c)は、いずれも本発明にかかるタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法の実施態様例を説明するものであり、タイヤトレッド部の内面に面ファスナー部材を取り付ける全周分の状態を展開してモデル的に示した展開図である。 (a)、(b)、(c)は、いずれも本発明にかかるタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法の実施態様例を説明するものであり、(a)、(b)、(c)と対応したものであり、タイヤトレッド部の内面の全周分を展開して、それを側面方向から見た状態をモデル的に示した側面展開図である。 本発明にかかるタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法の実施態様例を説明するものであり、特に、図1(b)、図2(b)に示した方法によって空気入りタイヤの製造方法を実施するときの好ましい態様例を示したものであり、図2と同様に、タイヤトレッド部の内面の全周分を展開して、それを側面から見た状態をモデル的に示した側面展開図である。 本発明にかかる空気入りタイヤの製造方法により得られる空気入りタイヤの実施態様例を説明するものであり、タイヤ内面に設けられる面ファスナー部材の状態を示したものである。 本発明にかかる空気入りタイヤの製造方法を実施する際に採用できる具体的方法を説明するものであり、面ファスナー部材が設置された接着ゴム層を得る1例方法を説明するものである。
以下、図面などを参照しながら、更に詳しく本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法について、説明する。
本発明のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを製造する方法であって、図1(a)、図1(b)あるいは図1(c)に示したように、面ファスナー部材2を予め接着ゴム層3に設置し、さらに、該面ファスナー部材2が設置された接着ゴム層3をインナーライナー層(タイヤ内腔面)1の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形し、しかる後、図2(a)、図2(b)あるいは図2(c)に示したように、該グリーンタイヤ(図示していない)を、面ファスナー部材2のタイヤ内腔側に、該面ファスナー部材2の係合素子の保護部材4を配置させた状態で加硫成形工程に供し、そして、該加硫成形をした後、面ファスナーの係合素子の保護部材4を除去することにより、インナーライナー層(タイヤ内腔面)1に面ファスナー部材を設置した空気入りタイヤを得ることを特徴とする。
本発明の方法において、タイヤトレッド部の内面に面ファスナー部材を取り付ける態様を2つの場合について説明すると、図1(a)に示したように、面ファスナー部材2をタイヤ周方向にある程度連続的に設けることができる。この場合には、面ファスナー部材2は、成形リフトに応じて伸びる接着ゴム層3に追従することができるように、接着ゴム層3に部分的に接合し、かつ伸びしろ分を確保するためにたるませて用いること、さらに、ある程度伸びることができる面ファスナー部材2を用いることが好ましい。
あるいは、図1(b)、図1(c)に示したように、面ファスナー部材2を複数個使用して、タイヤ全周にわたりタイヤ周方向に断続的に面ファスナー部材を配置して設けることでできる。この場合には、周方向に不連続にして面ファスナー部材を設けることにより、該面ファスナー部材と取り付けられる物体のループ材とフック材間の係合が解除されることを抑制できる。周方向に面ファスナーが連続して存在していないことにより、タイヤの転動に伴い繰り返し生ずるタイヤトレッドの周方向たわみを受けたとしても、該周方向たわみに起因して発生するループ材/フック材間に作用する剪断力を分断させて、緩和させることができるからである。なお、図1(b)に示したものは、面ファスナー2の長手方向をタイヤ幅方向に配した例であり、図1(c)に示したものは、面ファスナー2の長手方向をタイヤ周方向に配した例である。
この図1(b)、図1(c)に示した構造は、特に、上記剪断力が他のものと比較して大きなものとなる、タイヤ転動時のトレッド部たわみが大きいタイヤサイズのタイヤ(代表的には、偏平率が50%以上のタイヤ、さらには偏平率が60%以上のタイヤなど)において有効である。そのたわみによって生ずる大きな剪断力を、分断して個々の面ファスナーが受けることになるからである。
面ファスナーの列は、連続した態様(図1(a))、不連続の態様(図1(b)、図1(c))の場合のいずれでも、平行した複数のをなすようにして設けてもよく、さらに、不連続の態様にして設ける場合、面ファスナーの存在位置の位相を、特にずらして平行にして設けた複数の列としてもよい。
本発明において、接着ゴム層3とは、タイヤの加硫成形時に、インナーライナー層(タイヤ内腔面をなす)1と加硫接合されるゴム層をいう。面ファスナー部材2の係合素子の保護部材4は、少なくとも加硫成形工程に供されるに際して、面ファスナー部材2に配置する。具体的には、面ファスナー部材2の係合素子と、立体的に交差できる立体形状を有した保護部材であることが好ましく、それ自身が面ファスナーの他方の係合素子を有するものであることが好ましい。すなわち、本発明において、好ましい態様は、タイヤ内腔に設置される面ファスナー部材2がフック・アンド・ループ式の面ファスナーの一方をなし、かつ、面ファスナーの係合素子の保護部材4が、フック・アンド・ループ式の面ファスナーの他方をなしているものである。
それらの面ファスナーの係合素子どうしを係合させた状態で空気入りタイヤの加硫成形工程に供して、該加硫成形をした後、面ファスナーの係合素子の保護部材4を除去することにより、加硫成形時にブラダーから加わる圧力や高温に耐えて、係合素子の潰れなどの発生がない面ファスナー部材2が設置された空気入りタイヤを得ることができるものである。
本発明者らの知見によれ、特に、係合素子の潰れなどの発生がない空気入りタイヤを得る上で、タイヤ内腔に設置される面ファスナー部材2がフック・アンド・ループ式のフック材をなしているものであって、面ファスナーの係合素子の保護部材4がフック・アンド・ループ式の面ファスナーのループ材をなしているものであることが好ましい。本発明においては、タイヤ内腔に面ファスナー部材2を設置することが目的であり、そのタイヤ内腔側にフック材を設置するように構成した方が、ループ材とした場合よりも加硫成形時の潰れが一般に少ない結果が得られるからである。ただし、その場合にのみ限定されるものではなく、逆の場合でもよく、潰れさえ発生させることなく製造できるのであれば、タイヤ内腔に設置される面ファスナー部材2がフック・アンド・ループ式のループ材であってもよい。
空気入りタイヤの内腔中に設置される面ファスナー部材が、図1(b)、図2(b)に示したように、複数個であってその複数個の面ファスナー部材2が、タイヤ周方向上に断続的な不連続状態で設置されてなるものの場合には、図3に示したように、面ファスナーの係合素子の保護部材4がタイヤ周方向上に連続な部材であって、該面ファスナーの係合素子の保護部材4に、タイヤ周方向上に断続的に設置された複数個の面ファスナー部材2どうしの間隔部に相当する位置に、離型用凸状部材44が断続的に設けられていることが好ましい。このように構成することにより、加硫成形後に行われる面ファスナーの係合素子の保護部材4の除去が容易となる。
離型用凸状部材44は、フック・アンド・ループ式の面ファスナーを成しているものであってもよく、上述した好ましい態様の如く、タイヤ内腔に設置される面ファスナー部材2がフック・アンド・ループ式のフック材をなしていて、面ファスナーの係合素子の保護部材4がフック・アンド・ループ式の面ファスナーのループ材をなしているものである場合は、フック・アンド・ループ式の面ファスナーのフック材をなしているものであると好ましい。その場合、該離型用凸状部材44もまた、面ファスナーの作用、機能により保護部材4に取り付けられことができるものとなり、各種のタイヤサイズやタイヤ内腔側の面ファスナー部材の設置個数、間隔などの状況に適宜に適合させて、該離型用凸状部材44が付設された面ファスナーの係合素子の保護部材4として、一体的に使用することができ、部材の管理を容易にすること、コストの低減化等に効果を有する。
本発明において、面ファスナー部材2を複数箇所に分断させて設ける場合、その設置個数は、全周分に対して8箇所以上あることが好ましく、8箇所以上42箇所以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、係合力と加工時間・コストのことなども考慮して、12箇所以上、26箇所以下である。該面ファスナー部材は、いわゆるループ材とフック材と認められるフック・アンド・ループ方式と呼ばれる方式のものを採用するのが最もよいが、完全なフック状とループ状を形成するのではない方式のものを採用してもよい。確実な係合力を得る上で、フックまたはループの個数は、タイヤ全体で4000個以上はあることが好ましい。より好ましくは、タイヤ全体で、5000個〜40000個である。
また、本発明において、前述したように、面ファスナー部材2は、フック・アンド・ループ式の面ファスナー部材であることが好ましく、さらにその場合、フック側の部材がタイヤ側に設置され、かつ、該タイヤ側の面ファスナー部材(フック側の部材)は樹脂からなり、タイヤ内腔側に係合素子、タイヤ外周面側にアンカー素子を備え、該アンカー素子がタイヤ内面のゴム層に食い込んで設置されてなることが好ましい。この構造の例を図4に示した。図4において、5は係合素子、6はアンカー素子、3は接着ゴム層、7はインナーライナー層である。
また、接着ゴム層3に面ファスナー部材2を設置するに際しては、図5にモデルを示したように、広幅の接着ゴム層3に、そのほぼ全幅等の広い幅にわたる幅を有した面ファスナー部材を設け、しかる後、図5に示したタイヤ周方向に延びる切断線8に沿って所望の幅に切断して細幅化をすることにより、図1(a)〜(c)に示したような短冊状の接着ゴム層、面ファスナー部材の複合体を得ることができる。この方法は、加工プロセスの簡略化、効率化に効果的である。
本発明において、面ファスナー部材2を介してタイヤ内腔に取り付けられる物体は、特に限定されないが、例えば、吸音材、制振材、電子部品、あるいはランフラット中子などである。
タイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを本発明方法(実施例1、同2)、本発明以外の方法(比較例1〜比較例4)によって、合計6種類の空気入りタイヤを作製した。
実施例1、実施例2、
各試験タイヤは、タイヤサイズ215/60R16 95Hであり、実施例1は、図1(a)、図2(a)に示した面ファスナーが連続タイプのもの、実施例2は、図1(b)、図2(b)に示した面ファスナーが不連続の断続連続タイプのものである。実施例1、2において、タイヤ内腔に設置される面ファスナー部材2をフック・アンド・ループ式のフック材とし、該面ファスナーの係合素子の保護部材4として、フック・アンド・ループ式の面ファスナーのループ材をなしているものを用いた。用いた面ファスナーの係合素子の保護部材4は、連続タイプのものは、図2に示した態様のものであり、断続タイプのものは図3に示した面ファスナーで保護部材4に接合させた離型用凸状部材44付きのものである。
比較例1〜比較例4
比較例1と比較例2は、それぞれ実施例1、実施例2に対応するが、面ファスナーの係合素子の保護部材をいずれも用いないものである。
比較例3と比較例4は、それぞれ実施例1、実施例2に対応するが、面ファスナーの係合素子の保護部材をいずれも用いないが、特開2008−272954号公報に記載されている方法によるものであり、面ファスナーの係合素子をゴムに埋没させたものである。
各実施例、比較例において、接着ゴムはフェノール系樹脂を配合したゴム組成物を用い、通常の空気入りタイヤ加硫成形工程で面ファスナーを内腔に設けた空気入りタイヤを得た。
それぞれで得られた各試験タイヤの内腔部に、面ファスナーを利用して、ウレタンフォームで形成した吸音材(フック・アンド・ループ式の面ファスナーのループ部材が貼り付け固定されている)を装着して走行試験を行った。各試験タイヤの試験は、走行速度80km/時間で、80時間の連続走行とした(タイヤ空気圧150Pa、負荷荷重5kN)。
各試験走行を終了した後、各試験タイヤ内の面ファスナー部の係合状態を確認したところ、係合剥がれ(フック材とループ材の剥がれ)、試験物体の脱落の発生が比較例品では認められたが、本発明の実施例1、同2品では何も認められなかった。
1:インナーライナー層(タイヤ内腔面)
2:面ファスナー部材
3:接着ゴム層
4:面ファスナーの係合部材の保護部材
44:離型用凸状部材
5:係合素子
6:アンカー素子
7:インナーライナー層
8:切断線

Claims (5)

  1. ファスナー部材を予め接着ゴム層に設置し、さらに、該面ファスナー部材が設置された接着ゴム層をインナーライナー層の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形し、しかる後、該グリーンタイヤを、前記面ファスナー部材のタイヤ内腔側に該面ファスナー部材の係合素子の保護部材を配置させた状態で加硫成形工程に供し、該加硫成形をした後、前記面ファスナーの係合素子の保護部材を除去し、タイヤ内腔面に面ファスナー部材を設置した空気入りタイヤを得ることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを製造する方法であって、
    前記タイヤ内腔に設置される前記面ファスナー部材がフック・アンド・ループ式の面ファスナーの一方をなし、かつ、前記面ファスナーの係合素子の保護部材がフック・アンド・ループ式の面ファスナーの他方をなしているものであることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
  2. 前記タイヤ内腔に設置される前記面ファスナー部材がフック・アンド・ループ式のフック材をなしているものであり、前記面ファスナーの係合素子の保護部材がフック・アンド・ループ式の面ファスナーのループ材をなしているものであることを特徴とする請求項1記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
  3. 面ファスナー部材を予め接着ゴム層に設置し、さらに、該面ファスナー部材が設置された接着ゴム層をインナーライナー層の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形し、しかる後、該グリーンタイヤを、前記面ファスナー部材のタイヤ内腔側に該面ファスナー部材の係合素子の保護部材を配置させた状態で加硫成形工程に供し、該加硫成形をした後、前記面ファスナーの係合素子の保護部材を除去し、タイヤ内腔面に面ファスナー部材を設置した空気入りタイヤを得ることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤを製造する方法であって、
    前記空気入りタイヤの内腔中に設置される面ファスナー部材が複数個であり、該複数個の面ファスナー部材が、タイヤ周方向上に断続的な不連続状態で設置されてなり、前記面ファスナーの係合素子の保護部材がタイヤ周方向上に連続な部材であり、該面ファスナーの係合素子の保護部材には、タイヤ周方向上に断続的に設置された前記複数個の面ファスナー部材どうしの間隔部に相当する位置に、離型用凸状部材が断続的に設けられているものであることを特徴とするタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
  4. 前記離型用凸状部材が、フック・アンド・ループ式の面ファスナーのフック材をなしているものであることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
  5. 前記面ファスナー部材が設置された接着ゴム層をインナーライナー層の内面に貼り付けた構造のグリーンタイヤを成形するに際して、予め、広幅の接着ゴム層に広幅の面ファスナー部材を設置した後、タイヤ周方向に延びる切断線の方向の下に該広幅の面ファスナー部材および広幅の接着ゴム層を切断して細幅化したものを用いることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ内腔に面ファスナーを有する空気入りタイヤの製造方法。
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