JP6491812B2 - メンブレン、研磨ヘッド、ワークの研磨装置及び研磨方法、並びに、シリコンウェーハ - Google Patents
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Description
本発明の研磨ヘッド用のメンブレンは、円盤状のワークの研磨に用いる研磨ヘッドの下面に取り付けられ、該ワークの裏面を接触保持して研磨パッドに押圧する可撓性材料からなるメンブレンであって、
前記メンブレンの、前記ワークへの接触領域のうち、該接触領域の外縁から前記メンブレンの径方向内側に20mmまでの領域を前記メンブレンの外周部とし、前記メンブレンの中心から径方向外側に20mmまでの領域を前記メンブレンの内周部とするとき、
前記メンブレンの外周部における最大厚みは、前記メンブレンの内周部における最小厚みより薄いことを特徴とする。
ここで、「メンブレンのワークへの接触領域」とは、円盤状のメンブレンの中心を円の中心として、研磨に供するワークの半径と同一の大きさの半径を有する円で囲まれる領域をいうものとする。
hr={(Trmax−Trmin)/Trave}×100
で定義するとき、hrは、2.8%以上であることが好ましい。
なお、メンブレンの径方向における最大厚みをTrmax、最小厚みをTrmin、平均厚みをTraveとは、メンブレンの直径での最大厚み、最小厚み、平均厚みをいうものとする。
hc={(Tcmax−Tcmin)/Tcave}×100
で定義するとき、hcは、10.2%以下であることが好ましい。
研磨ヘッドの下面に取り付けられた可撓性材料からなるメンブレンに圧力を供給して、該メンブレンにより前記ワークの裏面を接触保持して研磨パッドに押圧する工程と、
前記研磨ヘッドを回転させて前記ワークを研磨する工程と、を含み、
前記メンブレンの、前記ワークへの接触領域のうち、該接触領域の外縁から前記メンブレンの径方向内側に20mmまでの領域を前記メンブレンの外周部とし、前記メンブレンの中心から径方向外側に20mmまでの領域を前記メンブレンの内周部とするとき、
前記メンブレンの外周部における最大厚みは、前記メンブレンの内周部における最小厚みより薄いことを特徴とする。
ここで、GBIR(Grobal BacksideIdeal focal planeRange)は、具体的には、シリコンウェーハの裏面を完全に吸着したと仮定した場合におけるシリコンウェーハの裏面を基準として、シリコンウェーハ全体の最大変位と最小変位との差を算出することにより求められる。
また、SFQR(Site Front Least Squares Range)とは、設定されたサイト内でデータを最小二乗法にて算出したサイト内平面を基準平面とし、この平面からの+側(すなわち、ウェーハの主表面を上に向け水平に置いた場合の上側)、−側(同下側)の各々の最大変位量の絶対値の和で表したサイト毎に評価された値のことであり、SFQRの最大値とは、ウェーハ上の全サイトのSFQRの中の最大値のことである。本発明で規定する、平坦度SFQRmaxは、平坦度測定器(KLA−Tencor社製:WaferSight)を用い、26×8mm2のサイトサイズ内を測定したときの値である。
図1は、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置1を示す概略断面図である。図1に示すように、この両面研磨装置1は、研磨ヘッド2と、定盤3とを有している。研磨ヘッド2は、定盤3の上方に設けられており、定盤3の上面には、研磨パッド4が貼布されている。また、定盤3は、該定盤3を回転させる(図示しない)モータ等に接続されている。
このようにして、シリコンウェーハWに圧力を加えつつ、研磨パッド4上に研磨スラリーを供給しながら研磨ヘッド2及び定盤3をそれぞれ回転させることにより、研磨パッド4とシリコンウェーハWの表側の面を摺動させて、シリコンウェーハWの片面を研磨することができる。
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
図2(a)は、メンブレン11の厚みが外周部と内周部とでほぼ同等の場合を示している。図2(a)に示すように、メンブレン11の外縁部は、保持プレート10により保持され、固定されているため、可撓性部材であるメンブレン11のうち、保持プレート10の下方に延在する部分は、エアの供給により一定の圧力を受けた際に断面形状で円弧をなすように変形する。さらに、内部ヘッド12の下方への動きは、ストッパ18により一定の範囲に制限されている。このため、メンブレン11は、シリコンウェーハWの内周部への圧力は相対的に大きくなる一方で、シリコンウェーハWの外周部への圧力は相対的に小さくなる。よって、シリコンウェーハWの片面研磨を行った際、シリコンウェーハWの外周部の研磨取代が小さくなる傾向となる。
図2(b)は、メンブレン11の外周部の厚みを内周部に比して減少させた場合を示し、図2(c)は、図2(b)より、メンブレン11の外周部の厚みを内周部に比してさらに減少させた場合を示している。ここで、メンブレン11は、厚みが薄い部分の方が、伸縮性が高く、従って同じ圧力を受けた場合に、厚みが薄い部分の方が良く伸びることとなる。よって、図2(b)に示すように、メンブレン11の外周部の厚みが薄いことにより、メンブレン11の厚みが厚い内周部に比して、圧力を受けた際の外周部の伸びが内周部の伸びより相対的に大きく、メンブレン11が内周部と外周部とに、より均等に接するようになる。従って、メンブレン11をシリコンウェーハWに押圧した際にかかる、外周部での圧力と内周部での圧力の差が小さくなる。さらに、図2(c)に示すように、メンブレン11の外周部の厚みを内周部の厚みに比してさらに相対的に薄くすると、メンブレン11の外周部の伸びがさらに相対的に大きくなるため、メンブレン11が内周部と外周部とに、さらに均等に接するようになる。従って、シリコンウェーハWの外周部への圧力をシリコンウェーハWの中央部への圧力とほぼ同等にすることができる。
一方で、メンブレンの径方向における厚みの均一性が低く(hrの数値が大きく)なりすぎると、メンブレンの外周部での伸びが大きくなりすぎるために、ワークの外周部での研磨量が大きくなって、却ってワークの形状が不均一となってしまうおそれがあることから、hr(%)は、37%以下であることが好ましい。
なお、周方向の均一性は高いほど(hcの数値が小さいほど)好ましいため、hcの下限は特に限定されない。
1.3%以上とすることにより、メンブレン11がワークWに及ぼす外周部での圧力を内周部での圧力に、より一層近づけることができ、一方で、66%以下とすることにより、メンブレンゴムの構造上、伸びにくい特性をもつ外周部において、厚みを薄くすることにより、面内に対してよく伸びるようにし、外周部まで均一に加圧することができるからである。
なお、メンブレン11の厚みを薄くするにあたっては、ワークWを圧接する側の厚みを減じても良いし、第2圧力供給部16から圧力を受ける側の厚みを減じても良いし、それら両方を減じてもよい。
これにより、デバイス製造工程等における歩留まりを向上させることができる。
本実施形態のワークの研磨方法では、図1に示す装置を用いて研磨を行う。図1に示す装置構成については、既に説明したため、再度の説明を省略する。
また、第2エア供給装置により、第2のエア供給ライン17を介して第2圧力供給部16にエアを供給し、第2圧力供給部16の体積を膨張させ、メンブレン11に圧力を供給してメンブレン11を下方に付勢する。
このように、メンブレン11を取り付けた内部ヘッド12を下方のシリコンウェーハWの方向へと押圧しつつ、メンブレン11に圧力を供給することにより、該メンブレン11にシリコンウェーハWを押圧させることができる。
そして、研磨パッド4上に研磨スラリーを供給し、メンブレン11がシリコンウェーハWの裏面から該シリコンウェーハに圧接した状態で、モータ等の駆動手段により研磨ヘッド2及び定盤3を回転させることにより、研磨パッド4とシリコンウェーハWの研磨面を摺動させて、シリコンウェーハWの片面を研磨することができる。
これにより、メンブレン11をシリコンウェーハW全面にわたって十分に均一に圧接させることができ、この状態で研磨を行うことにより、一層平坦度の高いシリコンウェーハを得ることができる。さらに、メンブレン11の交換時には、一度メンブレン11の作成に供した金型を用いればよく、他の部材と一体成型等する必要もないため、低コストでの交換が可能である。本実施形態の研磨方法によれば、工程の追加等の必要はなく、その厚みが径方向において所定の不均一性を有するメンブレン11を用いるという簡易な手法により、上記の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。
メンブレンの周方向の均一性と研磨取代との関係を評価するため、周方向の均一性の異なるメンブレンを複数作製して、それぞれの研磨取代を計測する試験を行った。ここで、メンブレンとしては、EPDMゴムを用いた。また、円盤状のワークとして、直径450mm、厚さ925μm、結晶方位(100)のp型のシリコンウェーハを用いた。さらに、研磨は、図1に示した装置を用いて行った。この試験においては、研磨スラリーとして砥粒(微粒コロイダルシリカ)を含む水酸化カリウム(KOH)を主剤とするアルカリ水溶液を用い、押圧力を10kPaとし、研磨ヘッドの回転数を30rpm、定盤の回転数を30rpmとし、研磨時間を240secとした。
ここで、メンブレンの周方向の均一性は、上記式(2)で定義したものであり、数値が小さい方が、均一性が高いことを示す。また、取代の均一性U(%)は、シリコンウェーハの外縁から径方向内側に2mmまでの円環状の領域を除外し、残余の領域全面について、最大取代をdmax、最小取代をdmin、平均取代をdaveとし、
U={(dmax−dmin)/(2×dave)}×100
で定義したものであり、数値が小さいほうが、均一性が高いことを示す。
なお、メンブレンの厚みは、接触式の厚み測器を用いることにより計測した。また、上記各取代は、黒田社製ナノメトロを用いて計測したものであり、黒田社製ナノメトロを用いて3次元分布も計測した。
次に、メンブレンの径方向の均一性と研磨取代との関係を評価する試験を行った。研磨条件は、先の試験と同様である。ここで、メンブレンの径方向の均一性は、上記式(1)で定義されるものとし、数値が小さい方が、均一性が高いことを示す。
図5(a)〜(e)は、メンブレンの径方向の均一性が、37%、34%、22%。2.8%、2%それぞれの場合における、メンブレンの表面の断面形状(下図)及びシリコンウェーハの研磨取代の断面形状(上図)を示す図である。
次に、本発明により得られるシリコンウェーハと、従来例にかかるシリコンウェーハの平坦度及び表面粗さ(RMS)を比較する試験を行った。本発明のシリコンウェーハとして、上記の試験により得られた研磨後のシリコンウェーハを用いた。このシリコンウェーハは、直径が450mmであり、メンブレンの径方向の均一性が20%、周方向の均一性が7%であるものを用い、上記の研磨条件にて研磨を行った際に得られたものである。
また、従来例にかかるシリコンウェーハとしては、剛性リングと一体成型したメンブレンを有する研磨装置を用いて研磨したものを用意した。従来例にかかる研磨に用いたメンブレンは、径方向における厚みがほぼ均一のものであった。
ここで、シリコンウェーハの平坦度は、GBIR及びSFQRの最大値を計測することにより行った。まず、GBIRは、(KLA−Tencor社製:WaferSight)を用いて計測した。また、SFQRの最大値は、黒田精工社製Nanometoro450TTを用いて、シリコンウェーハの外縁から径方向内側に2mmの円環状の領域を除外した領域について、26mm×8mmの矩形状のサンプルを複数取得して計測した。
さらに、シリコンウェーハの表面粗さ(RMS)については、ChapmanInstruments社製ChapmanMPSを用いてシリコンウェーハの表裏面の粗さを計測した。
以下、評価結果について説明する。
また、図7は、GBIRの評価結果について示す図である。図7に示すように、本発明により得られたシリコンウェーハは、従来例のシリコンウェーハよりGBIRが小さく、平坦度が高いことがわかる。
従って、本発明により得られたシリコンウェーハは、直径が450mm以上の大口径のシリコンウェーハでありながらも、GBIRが0.2μm以下、且つ、SFQRの最大値が0.04μm以下であるという高い平坦度を達成することができていることがわかる。
さらに、シリコンウェーハの表面粗さ(RMS)は、研磨面である表側の表面粗さが2nm以下であり、且つ、裏面の表面粗さBに対する表面の表面粗さAの比A/Bが0.4未満であった。
2 研磨ヘッド
3 定盤
4 研磨パッド
5a ハウジング頂部
5b ハウジング側部
6 軸
7 リテーナリング
8 円盤状部材
9 リング状部材
10 保持プレート
11 メンブレン
12 内部ヘッド
13 可撓性部材
14 第1圧力供給部
15 第1エア供給ライン
16 第2圧力供給部
17 第2エア供給ライン
18 ストッパ
Claims (5)
- 円盤状のワークの研磨に用いる研磨ヘッドの下面に取り付けられ、該ワークの裏面を接触保持して研磨パッドに押圧する可撓性材料からなるメンブレンであって、
前記メンブレンの、前記ワークへの接触領域のうち、該接触領域の外縁から前記メンブレンの径方向内側に20mmまでの領域を前記メンブレンの外周部とし、前記メンブレンの中心から径方向外側に20mmまでの領域を前記メンブレンの内周部とするとき、
前記メンブレンの外周部における最大厚みは、前記メンブレンの内周部における最小厚みより薄く、
前記接触領域内において、前記メンブレンの径方向における最大厚みをTrmax、最小厚みをTrmin、平均厚みをTraveとし、前記メンブレンの径方向における厚みの均一性hr(%)を、関係式(1)、
hr={(Trmax−Trmin)/Trave}×100
で定義するとき、hrは、2.8%以上37%以下であり、かつ、
前記メンブレンの前記接触領域の外縁から径方向内側に5mmの円周上において、前記メンブレンの周方向における最大厚みをTcmax、最小厚みをTcmin、平均厚みをTcaveとし、前記メンブレンの周方向における厚みの均一性hc(%)を、関係式(2)、
hc={(Tcmax−Tcmin)/Tcave}×100
で定義するとき、hcは、12%以上15%以下であり、
前記可撓性材料は、JIS−A硬度が30〜90°であることを特徴とする研磨ヘッド用のメンブレン。 - 前記メンブレンの厚みは、該メンブレンの中心から前記接触領域の外縁まで、径方向外側に向かうにつれて漸減する、請求項1に記載の研磨ヘッド用のメンブレン。
- 円盤状のワークの研磨に用いる研磨ヘッドであって、
請求項1又は2に記載のメンブレンと、
前記メンブレンの外縁部を保持する保持プレートと、
前記メンブレンに圧力を供給する圧力供給部と、を備えたことを特徴とする、研磨ヘッド。 - 円盤状のワークの研磨装置であって、
上面に前記研磨パッドが貼布されている定盤と、
前記定盤の上方に設けられた、請求項3に記載の研磨ヘッドと、を備えたことを特徴とする、ワークの研磨装置。 - 円盤状のワークの研磨方法であって、
研磨ヘッドの下面に取り付けられた可撓性材料からなるメンブレンに圧力を供給して、該メンブレンにより前記ワークの裏面を接触保持して研磨パッドに押圧する工程と、
前記研磨ヘッドを回転させて前記ワークを研磨する工程と、を含み、
前記メンブレンの、前記ワークへの接触領域のうち、該接触領域の外縁から前記メンブレンの径方向内側に20mmまでの領域を前記メンブレンの外周部とし、前記メンブレンの中心から径方向外側に20mmまでの領域を前記メンブレンの内周部とするとき、
前記メンブレンの外周部における最大厚みは、前記メンブレンの内周部における最小厚みより薄く、
前記接触領域内において、前記メンブレンの径方向における最大厚みをTrmax、最小厚みをTrmin、平均厚みをTraveとし、前記メンブレンの径方向における厚みの均一性hr(%)を、関係式(1)、
hr={(Trmax−Trmin)/Trave}×100
で定義するとき、hrは、2.8%以上37%以下であり、かつ、
前記メンブレンの前記接触領域の外縁から径方向内側に5mmの円周上において、前記メンブレンの周方向における最大厚みをTcmax、最小厚みをTcmin、平均厚みをTcaveとし、前記メンブレンの周方向における厚みの均一性hc(%)を、関係式(2)、
hc={(Tcmax−Tcmin)/Tcave}×100
で定義するとき、hcは、12%以上15%以下であり、
前記可撓性材料は、JIS−A硬度が30〜90°であることを特徴とする、ワークの研磨方法。
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