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JP6488499B1 - 電気刺激治療器 - Google Patents

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Abstract

従来に比べて刺激電圧を効率よく出力できる電気刺激治療器を提供する。
一対の体表面電極パッド37と、一対の体表面電極パッド37のうち相対的に大きい面積を有する体表面電極パッド37の面積よりも広い面積を有し、一対の体表面電極パッド37の近傍に配置される不関電極パッド39と、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39に電気信号を供給する制御部48とを含む排尿障害治療器において、制御部48は、(1)一対の体表面電極パッド37の一方および不関電極パッド39の平均電位を基準電位として、一対の体表面電極パッド37の他方から刺激信号を出力するか、(2)不関電極パッド39を基準電位として、一対の体表面電極パッド37の両方の電極から刺激信号を出力するか、(3)不関電極パッド39を基準電位として、一対の体表面電極パッド37の一方から刺激信号を出力するか、のいずれかの処理を行う。

Description

本発明は、電気刺激療法に使用される機器に関する。
従来、電気刺激療法に使用される機器の一例として、排尿障害を治療するための機器が、提案されている。
例えば、特許文献1は、CPU(中央処理装置)と、CPUに接続される緊急刺激スイッチと、CPUに接続される手動式刺激最大値設定ダイアルと、刺激周波数切替スイッチと、D/A変換器とを有する出力部、電気刺激、および電気刺激が印加される電極であって、不関電極および関電極(刺激電極)を含む電極とを備える、骨盤内臓機能不全・疼痛治療装置を開示している。この装置では、人体の第2〜第4仙骨神経である骨盤内臓神経や陰部神経に対して、第2〜第4後仙骨孔直上皮膚より電気刺激を与えることによって、これらの神経を興奮させ、排尿障害の治療を行っている。
特許第4839457号公報
例えば、特許文献1では、不関電極を前下腹部に配置することによって、電流を後仙骨孔から前仙骨孔へと確実に流すことを目的としているが、関電極(刺激電極)から効率よく刺激電圧を出力する手法等については全く開示されていない。
また、上記のような機器では、刺激電極を適切な位置に取り付けないと治療効果が低減するため、刺激電極の取り付けやすさが求められる。
本発明の一の目的は、従来に比べて刺激電圧を効率よく出力することができる電気刺激治療器を提供することである。
本発明の他の目的は、刺激部位に対して、印加電極を従来に比べて容易に取り付けることができる電気刺激治療器を提供することである。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器は、被治療者の皮膚の電気刺激を与えるべき部位に配置されて、前記皮膚へ電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極と、前記一対の印加電極のうち相対的に大きい面積を有する印加電極の面積よりも広い面積を有し、前記電気刺激を与えるべき部位の近傍に配置される不関電極と、前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する制御部とを含み、前記制御部は、(1)前記一対の印加電極の一方の電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記一対の印加電極の他方の電極から前記刺激信号を出力するか、(2)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の両方の電極から前記刺激信号を出力するか、(3)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の一方の電極から前記刺激信号を出力するか、のいずれかの処理を行う。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器では、前記一対の印加電極は、互いに同じ面積を有しており、前記不関電極の面積は、各前記印加電極に対して0.25倍〜10倍の面積を有していてもよい。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器では、前記制御部は、前記(1)、(2)および(3)の刺激信号出力処理を、所定のパルスパターンが発生する電気信号の供給によって行い、前記制御部は、さらに、各パルスの間に、前記基準電位に対して負側の電圧パルスが発生する電気信号を前記不関電極に供給してもよい。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器では、前記一対の印加電極は、第1刺激電極および第2刺激電極を含み、前記制御部は、前記第2刺激電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記第1刺激電極が負側となり、前記第2刺激電極および前記不関電極が正側となるように電圧パルスを発生させる第1パターンと、前記第1刺激電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記第2刺激電極が負側となり、前記第1刺激電極および前記不関電極が正側となるように電圧パルスを発生させる第2パターンとを交互に発生させる交番パルスのパターンで出力制御を行い、さらに、前記制御部は、前記第2パターンと、次の周期の前記第1パターンとの間に、前記第1パターンにおける前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に関する各パルス、ならびに前記第2パターンにおける前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に関する各パルスの、それぞれの極性を反転させた修正パルスが発生するように、前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に電圧を印加してもよい。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器では、前記制御部は、前記(1)、(2)および(3)の刺激信号出力処理を、所定のパルスパターンが発生する電気信号の供給によって行い、前記制御部は、さらに、前記刺激信号処理の後、前記パルスパターンとは電圧の正負が反対のパルスパターンが発生するように前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給してもよい。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器は、前記制御部の(1)、(2)および(3)の刺激信号出力処理のうち、いずれの処理を行うか使用者が選択するための操作部を含んでいてもよい。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器では、前記一対の印加電極は、被治療者の仙骨の背面に並べて配置されて、前記仙骨の背面から電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極を含み、前記不関電極は、前記仙骨の背面において前記一対の印加電極の近傍に配置される不関電極を含んでいてもよい。
本発明の他の局面に係る電気刺激治療器は、治療器本体と、前記治療器本体に接続された配線部と、前記配線部に取り付けられ、被治療者の皮膚の電気刺激を与えるべき部位に配置されて、前記皮膚へ電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極と、前記配線部と前記一対の印加電極とを磁気的に接続する磁気接続部とを含む。
本発明の他の局面に係る電気刺激治療器では、前記一対の印加電極は、被治療者の仙骨の背面に並べて配置されて、前記仙骨の背面から電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極を含んでいてもよい。
本発明の一の局面に係る電気刺激治療器によれば、例えば、処理(1)では、一対の印加電極の一方の電極および不関電極を基準電極とし、一対の印加電極の他方の電極を刺激電極とし、当該基準電極と刺激電極との間に、基準電極が正側(プラス側)となるように、刺激電極が負側(マイナス側)となるように電圧が印加される。これにより、基準電極(陽極)の直下では、電圧を印加している時間内で、電圧が印加される前に比べてプラスの電位を持ち、その直下に存在する神経細胞の細胞壁内側にマイナスイオンが蓄積されることによって、神経興奮が抑制される。一方、刺激電極(陰極)の直下では、電圧を印加する前に比べてマイナスの電位を持ち、その直下に存在する神経細胞の細胞壁内側にプラスイオンが蓄積されることによって、神経興奮が引き起こされる。こうして、基準電極(陽極)およびこれに接する皮膚領域を対向電極とする第1キャパシタと、刺激電極(陰極)およびこれに接する皮膚領域を対向電極とする第2キャパシタとが直列に接続された構成となる。したがって、第1キャパシタおよび第2キャパシタには、印加電圧が、各キャパシタの静電容量に反比例して分配される。具体的には、印加電圧をV、第1キャパシタおよび第2キャパシタの静電容量を、それぞれ、静電容量C1および静電容量C2とすると、第1キャパシタには、正側に、V×(C2/(C1+C2))の電圧がかかり、第2キャパシタには、負側に、V×(C1/(C1+C2))の電圧がかかる。静電容量C1およびC2は、電極の面積に比例して大きくなるので、本願発明のように、基準電位となる基準電極の面積を、刺激電極よりも大きくすることによって、刺激電極にかかる負側の電圧を、基準電極にかかる正側の電圧に対して、相対的に大きくすることができる。その結果、神経を興奮させるために有効な負側の電位が大きくなり、不要な正側の電位が小さくなるので、従来に比べて刺激電圧を効率よく出力することができる。
本発明の他の局面に係る電気刺激治療器によれば、印加電極と機器の配線部とが磁気接続部を介して接続されているので、印加電極と配線部との間を容易に切り離すことができる。これにより、印加電極を、治療器本体や配線部から独立して刺激部位に取り付けることができるので、印加電極を従来に比べて容易に取り付けることができる。しかも、印加電極を刺激部位に取り付けた後、印加電極側の磁気接続部へ配線部側の磁気接続部を近づけるだけで、磁気によってお互いを引き合わせて接続できるので、接続作業も容易である。
図1は、排尿の神経支配を説明するための人体の側断面図である。 図2は、排尿の神経支配を説明するための人体の背面図である。 図3Aは、排尿のメカニズムを説明するための図である。 図3Bは、排尿のメカニズムを説明するための図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る排尿障害治療器の概略図である。 図5は、前記排尿障害治療器の電極パッドの取り付け位置および前記排尿障害治療器の電気的構成を示す図である。 図6は、前記排尿障害治療器の刺激信号の流れ(第1パターン)を示す図である。 図7は、前記排尿障害治療器の刺激信号の流れ(第2パターン)を示す図である。 図8は、前記排尿障害治療器の刺激信号の流れ(第3パターン)を示す図である。 図9は、前記排尿障害治療器の刺激信号の流れ(第4パターン)を示す図である。 図10Aは、電気刺激を与えたときの電荷の分布を示す図(本発明の実施形態)である。 図10Bは、電気刺激を与えたときの電荷の分布を示す図(参考例)である。 図11Aは、参考例に係る排尿障害治療器のパルス波形を示す図である。 図11Bは、本発明の一実施形態に係る排尿障害治療器のパルス波形を示す図である。 図12Aは、前記排尿障害治療器の各電極に電圧を印加したときの電気的構成の一例を示す図である。 図12Bは、前記排尿障害治療器の各電極に電圧を印加したときの電気的構成の一例を示す図である。 図13Aは、第1刺激電極パッドのパルスパターンを示す図である。 図13Bは、第2刺激電極パッドのパルスパターンを示す図である。 図13Cは、不関電極パッドのパルスパターンを示す図である。 図13Dは、第1刺激電極パッドへの相殺出力を示す図である。 図13Eは、第2刺激電極パッドへの相殺出力を示す図である。 図14Aは、第1刺激電極パッドのパルスパターンを示す図である。 図14Bは、第2刺激電極パッドのパルスパターンを示す図である。 図14Cは、不関電極パッドのパルスパターンを示す図である。 図15Aは、電極パッドの形状のバリエーションを説明するための図である。 図15Bは、電極パッドの形状のバリエーションを説明するための図である。 図16は、電極パッドの形状のバリエーションを説明するための図である。 図17は、排尿障害治療器の形態のバリエーションを説明するための図である。 図18は、本発明の一実施形態に係る排尿障害治療器の概略図である。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、排尿の神経支配を説明するための人体1の側断面図である。図2は、排尿の神経支配を説明するための人体1の背面図である。図3Aおよび図3Bは、排尿のメカニズムを説明するための図である。図1〜図3A,Bでは、人体1の各部位のうち、本発明の一実施形態に係る排尿障害治療器31による治療の説明に必要な部位のみを示し、その他の部位については説明を省略する。
人体1は、腰椎2、仙骨3等を含む脊椎4を備えている。仙骨3は、略逆三角形の形状を有しており、通常、左右対称に4つずつ、上から順に第1仙骨孔5、第2仙骨孔6、第3仙骨孔7および第4仙骨孔8を有している。
また、人体1は、蓄排尿に関わる部位(器官、筋肉)として、膀胱9と、内尿道括約筋10と、外尿道括約筋11とを備えている。人体1の蓄排尿は、これらの部位9〜11が神経に制御されることによって行われる。
蓄排尿に寄与する主な神経として、人体1には、下腹神経(交感神経)12、骨盤神経(副交感神経)13および陰部神経(体性神経)14が存在している。
下腹神経12は、排尿の抑制(蓄尿)に寄与するもので、膀胱9および内尿道括約筋10につながっている。骨盤神経13は、排尿の開始に寄与するもので、膀胱9および内尿道括約筋10につながっている。陰部神経14は、外尿道括約筋11につながっている。
図3Aに示すように、人体1では、まず、下腹神経12からの信号によって、膀胱9(排尿筋)が弛緩して膀胱9に尿が溜まりやすくなるとともに、内尿道括約筋10が収縮する。これにより、尿の排泄が止められ、膀胱9内に蓄尿される。一方、図3Bに示すように、骨盤神経13からの信号によって、膀胱9(排尿筋)が収縮するとともに、内尿道括約筋10が弛緩する。これにより、尿が膀胱9外に排泄される。そして、人体1の脳からの指令(自らの意志)により、体性神経である陰部神経14を介して、随意筋としての外尿道括約筋11を弛緩させ、腹圧をかけることによって排尿が行われる。
上記のように、下腹神経12および骨盤神経13のいずれもが正常に活動することによって、膀胱9および内尿道括約筋10が適切に収縮・弛緩していれば、蓄排尿が適切に行われる。しかしながら、例えば、下腹神経12が低活動になったり、骨盤神経13が過活動になったりすると、膀胱9が収縮しやすく、内尿道括約筋10が弛緩しやすくなる。その結果、膀胱9に尿を溜め難くなり、蓄尿障害(過活動膀胱)といった排尿障害を引き起こす場合がある。
そこで、この実施形態では、図3Aに示すように、仙骨3の背面側から仙骨3上の皮膚に電気的な刺激信号を与えることによって、仙骨神経叢が刺激される。より具体的には、図2に示すように、第1仙骨孔5を通る第1仙骨神経S1、第2仙骨孔6を通る第2仙骨神経S2、第3仙骨孔7を通る第3仙骨神経S3および第4仙骨孔8を通る第4仙骨神経S4が刺激される。これにより、例えば図3Aに示すように、第3仙骨神経S3が刺激され、骨盤神経13による膀胱9を収縮させるという神経支配が抑制される。また、この電気的な刺激は下腹神経12にも伝達され、これにより、下腹神経12による膀胱9を緩和させるという神経支配が促通される。その結果、骨盤神経13の抑制および下腹神経12の促通がバランスよく保たれ、膀胱9が適度に弛緩することになり、過活動膀胱が改善する。
そして、上記の電気的な刺激は、仙骨神経叢が存在する臀部およびその周辺部以外に存在する神経にも伝達される。例えば、図2に示すように、第3仙骨神経S3の一部は、坐骨神経15として大腿部を下行し、最終的に、腓骨神経16および脛骨神経17に分かれる。腓骨神経16および脛骨神経17は、坐骨神経15の末端部として、人体1の足趾(第1指18(拇指)、第2指19、第3指20、第4指21および第5指22(小指))まで延びている。すなわち、足趾18〜22の腓骨神経16および脛骨神経17は、坐骨神経15を介して、下腹神経12、骨盤神経13および陰部神経14につながっている。
次に、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療器の一例としての排尿障害治療器31の構成およびその動作について説明する。
<第1実施形態>
図4は、本発明の第1実施形態に係る排尿障害治療器31の概略図である。
排尿障害治療器31は、物理的な構成として、本発明の治療器本体の一例としての筐体32と、筐体32の前面に設けられたモニタ33と、モニタ33の下方に設けられたスタート/ストップボタン34および複数の操作ボタン35,35と、筐体32に本発明の配線部の一例としての絶縁ケーブル36を介して接続された本発明の印加電極の一例としての一対の体表面電極パッド37と、筐体32に絶縁ケーブル38を介して接続された本発明の不関電極の一例としての不関電極パッド39とを備えている。
筐体32は、例えば、プラスチック製のケースであってもよい。また、図示しないが、筐体32の背面には、排尿障害治療器31の電源用の電池を収容するための取り外し可能な裏蓋が設けられていてもよい。なお、排尿障害治療器31の電源は、電池である必要はなく、例えば、ACアダプタを介してコンセントから得てもよいし、電池およびコンセントの併用であってもよい。
モニタ33は、例えば、モノクロもしくはカラーの液晶モニタであってよい。モニタ33には、例えば、体表面電極パッド37による電気的な刺激信号のパルス波形や周波数、被治療者の心電波形および心拍数、エラーメッセージ等を表示することができる。これにより、被治療者は、排尿障害治療器31の動作状態を簡単に知ることができる。
操作ボタン35は、排尿障害治療器31の機種によって、様々な機能を有していてもよい。例えば、排尿障害治療器31のメモリ機能として、複数の被治療者それぞれに適した刺激信号のパルス波の幅(パルス幅)、周波数等を含む治療メニューを排尿障害治療器31に記憶させておき、それを読み出す際に操作するボタン等であってもよい。また、図6〜図9で示す電圧印加パターンのうち、いずれの電圧印加パターンを選択するかを決定するためのボタンであってもよい。
絶縁ケーブル36および絶縁ケーブル38は、例えば、保護用の絶縁被膜で覆われた導線で構成されており、それぞれ、体表面電極パッド37および不関電極パッド39側の端部に、本発明の磁気接続部の一例としてのマグネットアダプタ40およびマグネットアダプタ41を有している。マグネットアダプタ40およびマグネットアダプタ41は、それぞれ、絶縁ケーブル36および絶縁ケーブル38内部の導線に電気的に接続された端子(雄端子)42,43を有している。
体表面電極パッド37および不関電極パッド39としては、例えば、公知の粘着性のジェルパッド等を使用できる。また、不関電極パッド39は、一対の体表面電極パッド37のうち相対的に大きい面積を有する体表面電極パッド37の面積よりも広い面積を有している。体表面電極パッド37および不関電極パッド39の各面積は、例えば、体表面電極パッド37および不関電極パッド39における人体1の皮膚との接触面の面積として定義できる。この実施形態では、一対の体表面電極パッド37が互いに同じ形状で形成されることによって同じ面積を有しており、不関電極パッド39は、各体表面電極パッド37に対して0.25倍〜10倍の面積を有している。むろん、一対の体表面電極パッド37は、一方が他方よりも相対的に広い面積を有していてもよい。
一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39の周縁部には、それぞれ、本発明の磁気接続部の一例としてのマグネットポート44およびマグネットポート45が設けられている。マグネットポート44およびマグネットポート45は、それぞれ、体表面電極パッド37および不関電極パッド39内部の導線に電気的に接続された端子(雌端子)46,47を有している。
雌端子46および雌端子47は、それぞれ、雄端子42および雄端子43を嵌合可能な形状に形成されている。これにより、使用者は、雄端子42および雄端子43を、それぞれ、雌端子46および雌端子47に近づけることで、磁気によってお互いを引き合わせて接続することができる。なお、図4では、一対の体表面電極パッド37について、紙面左側に、マグネットアダプタ40とマグネットポート44とが接続された状態を示し、紙面右側に、マグネットアダプタ40とマグネットポート44とが引き離された状態を示している。
図5は、排尿障害治療器31の電極パッド37,39の取り付け位置および排尿障害治療器31の電気的構成を示す図である。図6〜図9は、排尿障害治療器31の刺激信号の流れ(第1〜第4パターン)を示す図である。図10Aおよび図10Bは、電気刺激を与えたときの電荷の分布を示す図である。図11Aは、参考例に係る排尿障害治療器のパルス波形を示す図である。図11Bは、排尿障害治療器31のパルス波形を示す図である。
排尿障害治療器31は、電気的構成として、筐体32の内部に、制御部48と、制御部48に電気的に接続された回路部49とを有している。
制御部48は、例えば、CPU、ROMやRAM等のメモリ、タイマ等を含むマイコンと刺激電圧を生成する昇圧回路から構成されていてもよい。
回路部49は、例えば、半導体集積回路(IC:Integrated Circuit)チップからなり、チップ内の配線として、制御部48のプラス側端子50に接続されたプラス側配線51と、制御部48のマイナス側端子52に接続されたマイナス側配線53とを含む。
また、回路部49は、プラス側の電圧を制御する複数のスイッチ部54〜57を有している。スイッチ部54〜57は、例えば、ゲート電圧の印加によってオンする半導体スイッチ(MOSFET等)や、半導体リレーからなっていてもよい。スイッチ部54は、一対の体表面電極パッド37の一方(第1刺激電極パッド58)とプラス側配線51とを電気的に接続する回路の途中に設けられている。スイッチ部55は、一対の体表面電極パッド37の他方(第2刺激電極パッド59)とプラス側配線51とを電気的に接続する回路の途中に設けられている。スイッチ部56は、不関電極パッド39とプラス側配線51とを電気的に接続する回路の途中に設けられている。スイッチ部57は、第2刺激電極パッド59の回路と不関電極パッド39の回路との間に設けられている。
さらに、回路部49は、マイナス側の電圧を制御する複数のスイッチ部60〜62を有している。スイッチ部60〜62は、例えば、ゲート電圧の印加によってオンする半導体スイッチ(MOSFET等)や、半導体リレーからなっていてもよい。スイッチ部60は、第1刺激電極パッド58とマイナス側配線53とを電気的に接続する回路の途中に設けられている。スイッチ部61は、第2刺激電極パッド59とマイナス側配線53とを電気的に接続する回路の途中に設けられている。スイッチ部62は、不関電極パッド39とマイナス側配線53とを電気的に接続する回路の途中に設けられている。
そして、この排尿障害治療器31を使用するには、例えば、被治療者は、まず、マグネットアダプタ40およびマグネットアダプタ41と、マグネットポート44およびマグネットポート45とを引き離した状態で、自分の仙骨3の背面直上の皮膚に一対の体表面電極パッド37(第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59)を取り付け、その近傍に、不関電極パッド39を取り付ける。具体的には、一対の体表面電極パッド37を、仙骨3の背面に間隔を空けて並べて配置し、その一対の体表面電極パッド37の上部近傍に、不関電極パッド39を配置してもよい。この際、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39が、絶縁ケーブル36,38から切り離されているので、自分の背面ではあるが、排尿障害治療器31の本体を一緒に動かさなくてよい。そのため、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39を簡単に取り付けることができる。
一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39の取り付け後、被治療者は、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39のマグネットポート44,45に、絶縁ケーブル36,38のマグネットアダプタ40,41を近づけ、磁気によってお互いを引き合わせて接続する。このように、磁気によって絶縁ケーブル36,38のマグネットアダプタ40,41をガイドできるので、接続作業が非常に容易である。
そして、操作ボタン35を操作して、自分に適した治療メニューを選択し、スタート/ストップボタン34を押す。これにより、体表面電極パッド37から電気的な刺激信号が出力されて第3仙骨神経S3が刺激され、排尿障害治療器31による治療を開始することができる。刺激信号(出力パルス)の条件は、例えば、パルス幅が1μs(秒)〜500μs(秒)であり、パルスの周波数が1Hz〜50Hzであってもよい。
この刺激信号は、基準電位に対する交番パルス電圧の印加によって発生するため、基準電位の設定の仕方によっては、刺激信号(刺激電圧)を効率よく出力できない場合がある。そこで、この実施形態では、不関電極パッド39が一対の体表面電極パッド37の合計面積よりも広い面積を有する特徴と共に、例えば、図6〜図9に示す第1〜第4の電圧印加パターンに基づく制御処理を行っている。
まず、図6で示す第1パターンは、第1刺激電極パッド58へ(−)電位を大きく与える場合である。この場合、破線で表されるようにスイッチ部54,56,61,62がオフされ、スイッチ部55,57,60がオンされた状態で、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39の平均電位を基準電位として、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39が正側(プラス側)となるように、第1刺激電極パッド58が負側(マイナス側)となるように電圧が印加される。なお、図6において実線矢印は、刺激信号の電流の流れを示している。
これにより、図10Aに示すように、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39(陽極)の直下では、皮下組織63中で、電圧を印加している時間内で、電圧が印加される前に比べてプラスの電位を持ち、その直下に存在する神経細胞67の細胞壁68の内側にマイナスイオンが蓄積されることによって、神経興奮が抑制される。一方、第1刺激電極パッド58(陰極)の直下では、皮下組織63中で、電圧が印加される前に比べてマイナスの電位を持ち、その直下に存在する神経細胞67の細胞壁68の内側にプラスイオンが蓄積されることによって、神経興奮が引き起こされる。こうして、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39(陽極)およびこれに接する皮膚領域を対向電極とする第1キャパシタ64,65と、第1刺激電極パッド58(陰極)およびこれに接する皮膚領域を対向電極とする第2キャパシタ66とが直列に接続された構成となる。したがって、第1キャパシタ64,65および第2キャパシタ66には、印加電圧が、各キャパシタ64,65,66の静電容量に反比例して分配される。具体的には、印加電圧をV、第1キャパシタ64,65および第2キャパシタ66の静電容量を、それぞれ、静電容量C1(互いに並列接続された第1キャパシタ64,65の合成容量)および静電容量C2とすると、第1キャパシタ64,65には、正側に、V×(C2/(C1+C2))の電圧がかかり、第2キャパシタ66には、負側に、V×(C1/(C1+C2))の電圧がかかる。静電容量C1およびC2は、電極の面積に比例して大きくなるので、この実施形態のように、基準電位となる第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39の面積を、第1刺激電極パッド58よりも大きくすることによって、第1刺激電極パッド58にかかる負側の電圧を、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39にかかる正側の電圧に対して、相対的に大きくすることができる。
より具体的には、互いに同じ大きさの第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59の一方を基準電位として電圧を印加した場合、図11Aに示すように、どちらのパッド58,59にも均等に印加電圧が分配される。そのため、電気刺激に必要な負側の電圧を効率よく出力されているとはいえない。
これに対し、この実施形態の制御処理の結果によれば、図11Bに示すように、第1刺激電極パッド58にかかる負側の電圧を、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39にかかる正側の電圧に対して、相対的に大きくすることができる。その結果、神経を興奮させるために有効な負側の電位が大きくなり、不要な正側の電位が小さくなるので、従来に比べて刺激電圧を効率よく出力することができる。
また、上記特許文献1に記載の発明のように、不関電極を刺激電極の近傍に付けないで、前下腹部等に付けて行った場合、図10Bに示すように、刺激電極パッド59と不関電極パッド39の間に生体インピーダンスとして数キロオームの抵抗69が形成され、不関電極パッド39へは刺激電流がほとんど流れない。その結果、刺激電極パッド59および58の間で刺激電圧が印加されることとなり、図11Bの場合と異なり、刺激電極パッド59へ負側(マイナス側)となる電圧を大きく印加することができない。
次に、図7で示す第2パターンは、第2刺激電極パッド59へ(−)電位を大きく与える場合である。この場合、破線で表されるようにスイッチ部55,56,57,60がオフされ、スイッチ部54,61,62がオンされた状態で、第1刺激電極パッド58および不関電極パッド39の平均電位を基準電位として、第1刺激電極パッド58および不関電極パッド39が正側(プラス側)となるように、第2刺激電極パッド59が負側(マイナス側)となるように電圧が印加される。なお、図7において実線矢印は、刺激信号の電流の流れを示している。
この制御処理においても、基準電位となる第1刺激電極パッド58および不関電極パッド39の面積が、第2刺激電極パッド59よりも大きいので、第2刺激電極パッド59にかかる負側の電圧を、第1刺激電極パッド58および不関電極パッド39にかかる正側の電圧に対して、相対的に大きくすることができる。
次に、図8で示す第3パターンは、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59へ同時に(−)電位を大きく与える場合である。この場合、破線で表されるようにスイッチ部54,55,57,62がオフされ、スイッチ部56,60,61がオンされた状態で、不関電極パッド39の平均電位を基準電位として、不関電極パッド39が正側(プラス側)となるように、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59が負側(マイナス側)となるように電圧が印加される。なお、図8において実線矢印は、刺激信号の電流の流れを示している。
この制御処理においても、基準電位となる不関電極パッド39の面積が、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59の合計面積よりも大きいので、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59にかかる負側の電圧を、不関電極パッド39にかかる正側の電圧に対して、相対的に大きくすることができる。
次に、図9で示す第4パターンは、第1刺激電極パッド58へ(−)電位を大きく与える場合(不関電極基準)である。この場合、破線で表されるようにスイッチ部54,55,57,61,62がオフされ、スイッチ部56,60がオンされた状態で、不関電極パッド39の平均電位を基準電位として、不関電極パッド39が正側(プラス側)となるように、第1刺激電極パッド58が負側(マイナス側)となるように電圧が印加される。なお、図9において実線矢印は、刺激信号の電流の流れを示している。
この制御処理においても、基準電位となる不関電極パッド39の面積が、第1刺激電極パッド58よりも大きいので、第1刺激電極パッド58にかかる負側の電圧を、不関電極パッド39にかかる正側の電圧に対して、相対的に大きくすることができる。
<第2実施形態>
前述のように、排尿障害治療器31では、例えば、図12Aを参照して第1刺激電極パッド58が負側となる電圧パルス(第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39は正側となる電圧パルス)と、図12Bを参照して第2刺激電極パッド59が負側となる電圧パルス(第1刺激電極パッド58および不関電極パッド39は正側)とが交互に発生する交番パルスのパターンで制御される。つまり、この例では、図6および図7に示す制御が交互に行われ、そのパルスパターンを示したものが図13A〜図13Cである。
図13Aは、第1刺激電極パッド58のパルスパターンを示す図であり、図13Bは、第2刺激電極パッド59のパルスパターンを示す図であり、図13Cは、不関電極パッド39のパルスパターンを示す図である。図13A〜図13Cにおいて、「A」、「B」および「C」は、それぞれ、第1刺激電極パッド58、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39の面積を示しており、「V」は印加電圧を示す。
図13A〜図13Cを参照して、このパルスパターンの制御では、不関電極パッド39に常に正側の電圧が印加される。そのため、不関電極パッド39が電気分解によって劣化しやすく、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59に比べて、不関電極パッド39の寿命が短くなるおそれがある。
そこで、図13Dおよび図13Eに示す実施形態では、不関電極パッド39に関するパルス74とパルス75と、次の周期で発生するパルス74とパルス75との間Tの期間に、パルス70とパルス72とパルス74、およびパルス71とパルス73とパルス75それぞれの極性を基準電位に対して反転させた修正パルス76と修正パルス77と修正パルス78と修正パルス79が発生するように、第1刺激電極パッド58、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39に電圧を印加する。これにより、正側の電圧が印加され続けられることによる不関電極パッド39への影響を相殺することができると共に第1刺激電極パッド58、第2刺激電極パッド59の負側に多く刺激出力される影響を完全に相殺でき、全ての電極パッドの劣化を抑制することができる。
例えば、第1刺激電極パッド58、第2刺激電極パッド59、不関電極パッド39への正負両側電圧の印加分を完全に相殺するには、パルス74の電圧の大きさを時間積分し、得られた値と同じ積分値となるように、修正パルス76〜79の電圧の大きさV1および印加時間T1,T2を定めればよい。例えば、刺激の繰り返し間隔時間をTとすると、修正パルスを出力できる時間は、刺激出力の正負を切り替えるための時間ΔTを除く時間T1とT2となる。次に、修正パルス76〜79の電圧は、修正すべき対象の印加電圧Vに印加時間t1を掛けたV×t1を、修正パルスの印加時間T1およびT2で割った電圧の反対極性であるV1として、−(V×t1)/T1および−(V×t2)/T2とし、修正パルス76〜79へ出力すればよい。
修正パルスの印加時間T1およびT2は、t1、t2に比べ長い時間であり、印加電圧V1を治療用刺激の印加電圧Vよりも小さくすることができ、被治療者に適した治療メニューに影響を与えることを防止することができる。また、印加電圧Vを出力した際の出力回路に対し、特別な回路を付加することなく、印加電圧Vに代わってV1を印加すること、印加時間をT1およびT2とすることのみで実現することができる。
なお、図13Dおよび図13Eでは図示を省略しているが、不関電極パッド39に印加されている電圧は、図13Dおよび図13Eのプラス側の電圧と同じ電圧である。すなわち、A+C、B+C(Cが不関電極パッド39)の組み合わせの電極に、図13Dおよび図13Eのプラス側の電圧がかかっているためである。したがって、A+C、B+Cの組み合わせに、図13Dおよび図13Eのプラス側の電圧の極性を反転させた電圧、つまりマイナス電圧をかければ、不関電極パッド39が相殺される。
<第3実施形態>
不関電極パッド39の劣化を抑制する方法は、前述の第2実施形態に示した制御処理の他、次に示す第3実施形態の制御処理であってもよい。より具体的には、図14A〜図14Cを参照して、パルス70〜75で示されるパルスパターンによる刺激制御処理を複数回繰り返した後、パルス70〜75で示されるパルスパターンとは電圧の正負が反対のパルスパターンが発生するように、第1刺激電極パッド58、第2刺激電極パッド59および不関電極パッド39に電圧を印加する期間を設ける。すなわち、第1刺激電極パッド58に、パルス70およびパルス71とは電圧の正負が反対の修正パルス80および修正パルス81を印加し、第2刺激電極パッド59に、パルス72およびパルス73とは電圧の正負が反対の修正パルス82および修正パルス83を印加し、不関電極パッド39に、パルス74およびパルス75とは電圧の正負が反対の修正パルス84および修正パルス85を印加する。
これにより、正側の電圧が印加され続けられることによる不関電極パッド39への影響の一部を相殺することができるので、不関電極パッド39の劣化を抑制することができる。また、この制御処理でも、修正パルス84および修正パルス85の印加時に、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59から不関電極パッド39を電気的に切り離さなくて済むため、電気回路の複雑化を防止することができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
<第4実施形態>
例えば、前述の第1実施形態では、携帯型の排尿障害治療器31の構成について説明したが、排尿障害治療器の電気的構成およびその制御は、モニタと治療器本体とが分離された設置型の排尿障害治療器31に適用されてもよい。
<第5実施形態>
また、前述の第1実施形態では、本発明の表示部の一例として、使用者にメッセージや画像を表示するモニタ33を示したが、排尿障害治療器31の動作状態を使用者に示す手段は、モニタ33でなくてもよい。例えば、被治療者への伝達事項(例えば、エラーメッセージ、電極の取り付け位置間違い等)を予め筐体32の前面パネルに印字して置き、その文字をLED等で点灯させたり、その文字近傍のランプを点灯させたりすることで被治療者に知らせてもよい。
<第6実施形態>
また、前述の第1実施形態では、電気刺激治療器の一例として排尿障害治療器31のみを取り上げたが、本発明は、排尿障害治療器に限らず、排尿障害以外の他の疾患を対象とした電気刺激療法に使用される機器全般に適用することができる。
<第7実施形態>
また、前述の第1実施形態では、回路部49は、半導体集積回路チップで構成されていたが、たとえば、個別の部品である、ゲート電圧の印加によってオンする半導体スイッチ(MOSFET等)や、半導体リレーで構成されていてもよい。
<第8実施形態>
また、前述の第1実施形態では、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39側が雌端子、絶縁ケーブル36および絶縁ケーブル38側が雄端子として、これらが接続されていたが、この接続に使用する端子は、雌雄のペアであればよい。したがって、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39側の端子は、雌端子である必要はなく、雄端子であってもよい。その場合、絶縁ケーブル36および絶縁ケーブル38側の端子が雌端子であればよい。
<第9実施形態>
また、前述の第1実施形態では、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39と、絶縁ケーブル36,38との間は、マグネット端子(磁気接続部)を利用して接続されていたが、これらの間は電気的に接続されればよく、たとえば、マグネットではない雌雄端子(電気接続部)によって電気的に接続されていてもよい。また、取り外し自在に接続されている必要はなく、たとえば、一対の体表面電極パッド37と絶縁ケーブル36との間、および不関電極パッド39と絶縁ケーブル38との間が、それぞれ、一体的に接続されていてもよい。
<第10実施形態>
例えば、前述の第1実施形態では、図15Aに示すように、不関電極パッド39は、大部分が曲線で区画された形状であり、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59の一部(図15Aでは上部)を包囲するように配置されていたが、例えば、図15Bに示すように、直線で区画された形状であり、第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59に重ならないように配置されていてもよい。
<第11実施形態>
また、図16を参照して、体表面電極パッド37および不関電極パッド39は、電極部23およびパッド部24の組み合わせによって構成されていてもよい。
電極部23は、一対の刺激電極25と、不関電極26とを一体的に含む。この実施形態では、一対の刺激電極25および不関電極26は、それぞれ、表面に凸部27,28を有する形状に形成され、隣り合う電極同士が一体となるように三角配置されている。各電極25,26は、凸部27,28を有する金属板がゴム等で覆われた構成であってもよい。
パッド部24は、ベース部29と、ベース部29上に設けられたジェル30とを含む。ジェル30は、一対の刺激電極25および不関電極26のそれぞれに対して一つずつ設けられており、三角配置されている。
この体表面電極パッド37および不関電極パッド39を使用するには、例えば、まず、各刺激電極25および不関電極26と各ジェル30とが重なるように、電極部23に各ジェル30を貼り付ける。そして、各ジェル30が貼り付けられた電極部23からベース部29を剥がし、被治療者の皮膚に貼り付ければよい。また、使用後はベース部29を各ジェル30が貼り付けられた電極部23に再度貼り付けることによって、再使用するまで各ジェル30を保護することができる。
<第12実施形態>
また、図17を参照して、排尿障害治療器31は、略楕円形の筐体32を有していてもよい。モニタ33は、筐体32の長手方向に沿って長い長方形状に形成され、筐体32の長手方向の一端部寄りに配置されていてもよい。スタート/ストップボタン34および複数の操作ボタン35,35は、モニタ33に対して、筐体32の長手方向他端部側に配置されていてもよい。
<第13実施形態>
また、図18を参照して、一対の体表面電極パッド37(第1刺激電極パッド58および第2刺激電極パッド59)および不関電極パッド39の取付手段として、腰に巻くベルト方式が適用されてもよい。例えば、ベルト86の裏側(人体に接する側)に、一対の体表面電極パッド37および不関電極パッド39が配置されていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
本出願は、2017年9月21日に日本国特許庁に提出された特願2017−181345号および2018年5月7日に日本国特許庁に提出された特願2018−089397号に対応しており、これらの出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。
1 人体
2 脊椎
3 仙骨
4 腰椎
5 第1仙骨孔
6 第2仙骨孔
7 第3仙骨孔
8 第4仙骨孔
9 膀胱
10 内尿道括約筋
11 外尿道括約筋
12 下腹神経
13 骨盤神経
14 陰部神経
15 坐骨神経
16 腓骨神経
17 脛骨神経
18 第1指(拇指)
19 第2指
20 第3指
21 第4指
22 第5指(小指)
23 電極部
24 パッド部
25 刺激電極
26 不関電極
27 凸部
28 凸部
29 ベース部
30 ジェル
31 排尿障害治療器
32 筐体
33 モニタ
34 スタート/ストップボタン
35 操作ボタン
36 絶縁ケーブル
37 体表面電極パッド
38 絶縁ケーブル
39 不関電極パッド
40 マグネットアダプタ
41 マグネットアダプタ
42 雄端子
43 雄端子
44 マグネットポート
45 マグネットポート
46 雌端子
47 雌端子
48 制御部
49 回路部
50 プラス側端子
51 プラス側配線
52 マイナス側端子
53 マイナス側配線
54 スイッチ部
55 スイッチ部
56 スイッチ部
57 スイッチ部
58 第1刺激電極パッド
59 第2刺激電極パッド
60 スイッチ部
61 スイッチ部
62 スイッチ部
63 皮下組織
64 第1キャパシタ
65 第1キャパシタ
66 第2キャパシタ
67 神経細胞
68 細胞壁
69 抵抗
70 パルス
71 パルス
72 パルス
73 パルス
74 パルス
75 パルス
76 修正パルス
77 修正パルス
78 修正パルス
79 修正パルス
80 修正パルス
81 修正パルス
82 修正パルス
83 修正パルス
84 修正パルス
85 修正パルス
86 ベルト

Claims (12)

  1. 被治療者の皮膚の電気刺激を与えるべき部位に配置されて、前記皮膚へ電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極と、
    前記一対の印加電極のうち相対的に大きい面積を有する印加電極の面積よりも広い面積を有し、前記電気刺激を与えるべき部位の同じ皮膚面上において、前記電気刺激を与えるべき部位の近傍に配置される不関電極と、
    前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する制御部とを含み、
    前記制御部は、(1)前記一対の印加電極の一方の電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記一対の印加電極の他方の電極から前記刺激信号を出力する処理を行う、電気刺激治療器。
  2. 前記一対の印加電極は、互いに同じ面積を有しており、
    前記不関電極の面積は、各前記印加電極に対して0.25倍〜10倍の面積を有している、請求項1に記載の電気刺激治療器。
  3. 前記制御部は、前記(1)の刺激信号出力処理を、所定のパルスパターンが発生する電気信号の供給によって行い、
    前記制御部は、さらに、各パルスの間に、前記基準電位に対して負側の電圧パルスが発生する電気信号を前記不関電極に供給する、請求項1または2に記載の電気刺激治療器。
  4. 前記一対の印加電極は、第1刺激電極および第2刺激電極を含み、
    前記制御部は、
    前記第2刺激電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記第1刺激電極が負側となり、前記第2刺激電極および前記不関電極が正側となるように電圧パルスを発生させる第1パターンと、
    前記第1刺激電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記第2刺激電極が負側となり、前記第1刺激電極および前記不関電極が正側となるように電圧パルスを発生させる第2パターンとを交互に発生させる交番パルスのパターンで出力制御を行い、
    さらに、前記制御部は、前記第2パターンと、次の周期の前記第1パターンとの間に、前記第1パターンにおける前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に関する各パルス、ならびに前記第2パターンにおける前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に関する各パルスの、それぞれの極性を反転させた修正パルスが発生するように、前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に電圧を印加する、請求項1または2に記載の電気刺激治療器。
  5. 前記制御部は、前記(1)の刺激信号出力処理を、所定のパルスパターンが発生する電気信号の供給によって行い、
    前記制御部は、さらに、前記刺激信号処理の後、前記パルスパターンとは電圧の正負が反対のパルスパターンが発生するように前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する、請求項1または2に記載の電気刺激治療器。
  6. 被治療者の皮膚の電気刺激を与えるべき部位に配置されて、前記皮膚へ電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極と、
    前記一対の印加電極のうち相対的に大きい面積を有する印加電極の面積よりも広い面積を有し、前記電気刺激を与えるべき部位の近傍に配置される不関電極と、
    前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する制御部とを含み、
    前記制御部は、
    (1)前記一対の印加電極の一方の電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記一対の印加電極の他方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    (2)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の両方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    (3)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の一方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    のいずれかの処理を、所定のパルスパターンが発生する電気信号の供給によって行い、
    前記制御部は、さらに、各パルスの間に、前記基準電位に対して負側の電圧パルスが発生する電気信号を前記不関電極に供給する、電気刺激治療器。
  7. 被治療者の皮膚の電気刺激を与えるべき部位に配置されて、前記皮膚へ電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極と、
    前記一対の印加電極のうち相対的に大きい面積を有する印加電極の面積よりも広い面積を有し、前記電気刺激を与えるべき部位の近傍に配置される不関電極と、
    前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する制御部とを含み、
    前記制御部は、
    (1)前記一対の印加電極の一方の電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記一対の印加電極の他方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    (2)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の両方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    (3)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の一方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    のいずれかの処理を行い、
    前記一対の印加電極は、第1刺激電極および第2刺激電極を含み、
    前記制御部は、
    前記第2刺激電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記第1刺激電極が負側となり、前記第2刺激電極および前記不関電極が正側となるように電圧パルスを発生させる第1パターンと、
    前記第1刺激電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記第2刺激電極が負側となり、前記第1刺激電極および前記不関電極が正側となるように電圧パルスを発生させる第2パターンとを交互に発生させる交番パルスのパターンで出力制御を行い、
    さらに、前記制御部は、前記第2パターンと、次の周期の前記第1パターンとの間に、前記第1パターンにおける前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に関する各パルス、ならびに前記第2パターンにおける前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に関する各パルスの、それぞれの極性を反転させた修正パルスが発生するように、前記第1刺激電極、前記第2刺激電極および前記不関電極に電圧を印加する、電気刺激治療器。
  8. 被治療者の皮膚の電気刺激を与えるべき部位に配置されて、前記皮膚へ電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極と、
    前記一対の印加電極のうち相対的に大きい面積を有する印加電極の面積よりも広い面積を有し、前記電気刺激を与えるべき部位の近傍に配置される不関電極と、
    前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する制御部とを含み、
    前記制御部は、
    (1)前記一対の印加電極の一方の電極および前記不関電極の平均電位を基準電位として、前記一対の印加電極の他方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    (2)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の両方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    (3)前記不関電極を基準電位として、前記一対の印加電極の一方の電極から前記刺激信号を出力するか、
    のいずれかの処理を、所定のパルスパターンが発生する電気信号の供給によって行い、
    前記制御部は、さらに、前記刺激信号処理の後、前記パルスパターンとは電圧の正負が反対のパルスパターンが発生するように前記一対の印加電極および前記不関電極に電気信号を供給する、電気刺激治療器。
  9. 前記一対の印加電極は、互いに同じ面積を有しており、
    前記不関電極の面積は、各前記印加電極に対して0.25倍〜10倍の面積を有している、請求項6〜8のいずれか一項に記載の電気刺激治療器。
  10. 前記制御部の(1)、(2)および(3)の刺激信号出力処理のうち、いずれの処理を行うか使用者が選択するための操作部を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の電気刺激治療器。
  11. 前記一対の印加電極は、被治療者の仙骨の背面に並べて配置されて、前記仙骨の背面から電気的な刺激信号を供給する一対の印加電極を含み、
    前記不関電極は、前記仙骨の背面において前記一対の印加電極の近傍に配置される不関電極を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電気刺激治療器。
  12. 治療器本体と、
    前記治療器本体と前記一対の印加電極とを接続する配線部と
    記配線部と前記一対の印加電極とを磁気的に接続する磁気接続部とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気刺激治療器。
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