(実施形態1)
図1に、本実施形態に係るエネルギーマネジメントシステム1の構成を示す。エネルギーマネジメントシステム1は、宅内(需要家内)に設置される様々な機器の消費電力や状態等を監視し、また、様々な機器の動作を制御する。
宅内ネットワーク10は、コントローラ100、自立切替盤101、発電システム102、蓄電システム103、空調システム104、IH(Induction Heating)クッキングヒータ106、その他の家電機器107、及び、監視装置108等から構成される。
宅外ネットワーク20は、宅外から宅内の空調システム104等を操作するためにユーザが用いる端末装置40(図1では40A,40B,40Cの3つ)、サーバ30、通信ネットワーク50から構成される。通信ネットワーク50は、典型的にはインターネットである。端末装置40は1つだけでもよいし、図1のように複数でもよい。
自立切替盤101、発電システム102、蓄電システム103、空調システム104、IHクッキングヒータ106、家電機器107、監視装置108、コントローラ100は、宅内電灯線(図示せず)に接続される。宅内電灯線は、自立切替盤101を介して、電力会社による商用電源とも接続される。これらの各機器もしくはシステムは、商用電源と発電システム102と蓄電システム103とのうち少なくともいずれか1つから電力の供給を受ける。
また、これらの各機器もしくはシステムは、それぞれ、図示しない無線通信装置を備えており、無線によりコントローラ100と通信が可能である。ただし、宅内における通信の一部又は全部は、有線により行われてもよい。
宅内電灯線の複数箇所には電力計測装置(図示せず)が設置されており、例えば発電システム102、蓄電システム103、空調システム104、IHクッキングヒータ106、家電機器107により消費される各電力量等を逐次検出することができる。計測結果はコントローラ100に送信される。
エネルギーマネジメントシステム1の動作モードには、大きく分けて2種類の運転モードがある。一つは、自立切替盤101によって宅内電灯線が商用電源と繋げられ、商用電源から電力の供給を受ける連携モードである。連携モードでは、発電システム102によって発電された電力を商用電源へ供給する(電力会社等に売電する)ことも可能である。
もう一つは、自立切替盤101によって宅内電灯線が商用電源から切り離され、商用電源から電力の供給を受けずに、発電システム102によって生成された電力、及び/又は、蓄電システム103に蓄えられた電力を宅内に供給する自立運転モードである。
運転モードの切り替えは、自立切替盤101によって検知される、商用電源からの電力の供給状態を示す検知結果に基づいて、自立切替盤101によって行われる。典型的には、商用電源が停電していないときには連携モードに設定され、商用電源の停電が検知されると自立運転モードに切り替えられる。
発電システム102はソーラーパネルを用いて太陽光発電を行い、蓄電システム103に蓄電する。発電システム102によって発電された電力は、宅内ネットワーク10内の機器等に供給されたり、電力会社等に売電されたりする。
蓄電システム103は、発電システム102によって生成された電力や、商用電源からの電力を蓄える。
IHクッキングヒータ106は、鍋などの調理容器を誘導加熱により過鉄する電磁調理器である。
家電機器107は、空調システム104、IHクッキングヒータ106以外の他の家電機器であり、例えば、炊飯器、電子レンジ、テレビジョン受像機、照明機器などである。
監視装置108は、宅内の温度、湿度、明るさ、人の在/不在、等を測定するセンサを備える。また、監視装置108として、宅内及び/又は宅外を撮影するカメラを備えてもよい。センサにより測定された温度、湿度、明るさ、人の在/不在等や、カメラにより撮影された画像は、宅内の状態を表す環境パラメータの一つとなる。
また、環境パラメータとして、コントローラ100による制御の対象となる機器の動作状態や、宅内ネットワーク10の通信状態、宅外ネットワーク20の通信状態などを用いることもできる。
本実施形態では、ユーザは、宅内に設置された空調システム104等を宅内で制御できるほか、宅内にいなくても、外出先から通信ネットワーク50を経由して遠隔から制御することもできる。
より詳細には、ユーザは、端末装置40を操作し、端末装置40を通信ネットワーク50に繋ぐ。端末装置40は、通信ネットワーク50上に設置されたサーバ30に接続する。端末装置40は、空調システム104等へのコマンドをサーバ30へ送信する。サーバ30は、受信したコマンドを、通信ネットワーク50を介してコントローラ100に送信する。そして、コントローラ100は、受信したコマンドに従って、制御対象の空調システム104等に制御信号を送信する。この結果、機器の遠隔操作が実現される。
端末装置40は、本実施形態では、タブレット型情報端末である。ただし、携帯電話機、多機能型携帯電話機(いわゆるスマートフォン)、パーソナルコンピュータ、などを端末装置40として採用することもできる。ユーザは、宅内ネットワーク10内の空調システム104等を制御したり状態を監視したりするソフトウェアアプリケーション(以下、「アプリケーション」という。)を端末装置40に予めインストールしておき、アプリケーションによる表示画面上の所定のソフトウェアボタンをタッチするなどして、遠隔から空調システム104等を制御することができる。
例えば、ユーザは、端末装置40のアプリケーションを起動し、停止していた空調システム104を起動して冷房運転を開始する指示を入力することができる。この指示は、通信ネットワーク50を介してサーバ30に送られ、更にサーバ30からコントローラ100に送られる。そして、コントローラ100は、冷房運転を開始するように制御する。このように、ユーザは、端末装置40を用いて、空調システム104等を任意のタイミングで遠隔から制御することができる。
また、ユーザは、端末装置40のアプリケーションを用いて、空調システム104の運転状態、運転モード、設定温度、動作履歴等を閲覧することもできる。
例えば、ユーザは、端末装置40のアプリケーションを起動し、空調システム104の運転状態を取得する指示を入力することができる。この指示は、通信ネットワーク50を介してサーバ30に送られ、更にサーバ30からコントローラ100に送られる。コントローラ100は、空調システム104の運転状態を取得し、サーバ30に送信する。サーバ30は、取得した運転状態を端末装置40に送信する。そして、端末装置40は、取得した運転状態をディスプレイに表示する。ユーザは、空調システム104の運転状態を任意のタイミングで遠隔から閲覧することができる。
なお、本実施形態では、端末装置40はコントローラ100に直接アクセスするのではなく、サーバ30を介して間接的にアクセスするようにしているが、サーバ30を用いず、端末装置40が直接コントローラ100にアクセスできるように構成することも可能である。
次に、コントローラ100のハードウェア構成について説明する。コントローラ100は、宅内ネットワーク10の全体を監視し、制御する。また、コントローラ100は、宅外ネットワーク20から制御の指示を受信し、指示に基づいて宅内ネットワーク10内の機器等を制御する。
図2に示すように、コントローラ100は、入力部201、表示部202、記憶部203、通信部204、制御部205を備える。
入力部201は、ボタン、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを備える。入力部201は、ユーザからの指示入力を受け付ける。
表示部202は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを備える。
記憶部203は、不揮発性メモリを備える。記憶部203は、制御部205により実行されるオペレーティングシステム(OS)、プログラム、様々なデータを記憶する。
通信部204は、NIC(Network Interface Card)を備え、宅内ネットワーク10内の各装置と通信する。また、通信部204は、宅外ネットワーク20にあるサーバ30等と通信する。
本実施形態では、通信部204は、サーバ30を介して、端末装置40との間でデータを送受信する。ただし、通信部204はサーバ30を介さず、端末装置40との間で直接データを送受信できるように構成することも可能である。
制御部205は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、ワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)等を備える。制御部205は、記憶部203に記憶されているプログラムを実行し、コントローラ100の全体を制御する。
コントローラ100として、一般的なコンピュータサーバ、メインフレーム、パーソナルコンピュータ等を採用することができる。
なお、本実施形態のサーバ30のハードウェア構成は、コントローラ100のハードウェア構成と同じである。
次に、端末装置40のハードウェア構成について説明する。本実施形態における端末装置40は、ユーザが簡単に持ち歩き可能なタブレット型情報端末である。図3に示すように、端末装置40は、無線通信部301、音声処理部302、出力部303、外部インタフェース(I/F)304、入力受付部305、記憶部306、制御部307を備える。
無線通信部301は、アンテナ321を用いて、無線通信により、通信ネットワーク50上にあるサーバ30やその他の様々なコンピュータ等とデータを送受信する。
音声処理部302は、ユーザの発声音等をマイクロフォン323によって集音し、音声処理部302が備えるA/Dコンバータにより音声信号に変換して制御部307に入力する。また、音声処理部302は、記憶部306に記憶されている音声データをデコードして再生し、音声をスピーカ322に出力する。
出力部303は、制御部307又は出力部303が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって画像データを加工処理した後、フレームバッファに記録する。フレームバッファに記録された画像情報は、垂直同期などの所定の同期タイミングで画像信号に変換され、LCD(Liquid Crystal Display)324に出力される。LCD324の表面には、ユーザによる接触の有無や位置を検知する複数のタッチセンサを備えたタッチパネル325が重畳して配置されている。なお、LCD324とタッチパネル325を合わせて「タッチスクリーン」とも言う。
外部I/F304は、フラッシュメモリカード等の外部メモリ等と接続可能であり、データの入出力を行うことができる。また、外部I/F304は、USB(Universal Serial Bus)接続により端末装置40と外部機器とを接続して、外部機器との間でデータの入出力を行うことができるインタフェースを備える。なお、外部I/F304は、その他の外部機器との接続を可能にするインタフェースを更に備えていてもよい。
入力受付部305は、タッチパネル325からの操作信号を受け付けて、操作信号に対応するキーコード信号を制御部307に入力する。制御部307は、入力されたキーコード信号に基づいて操作内容を決定する。ユーザは、タッチパネル325を用いて任意の文字データを入力したり所定の操作コマンドを入力したりすることができる。操作コマンドには、例えば、アプリケーションの起動や終了を指示するコマンド、空調システム104の動作モードを変更するコマンド、空調システム104の設定温度を指定するコマンド等がある。制御対象は空調システム104に限られず、通信機能を有しコントローラ100によって制御可能な任意の機器でもよい。
記憶部306は、ROM、RAMを備える。ROMには、端末装置40の全体の制御に必要なOSやプログラム等が予め記憶される。RAMには、制御部307が行う処理に必要なデータやプログラム等が一時的に記憶される。また、RAMの一部領域は不揮発性メモリ領域になっており、端末装置40の設定データ、アドレス帳などの個人データ、ダウンロードしたデータ等を記憶する。
制御部307は、記憶部306に記憶されているOSやプログラムを実行し、端末装置40の全体を制御する。制御部307は、各部に制御信号およびデータを送信、または、各部から応答信号およびデータを受信する。なお、制御部307が実行する様々な処理の詳細は後述する。
次に、本実施形態のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理の詳細について説明する。図4に、エネルギーマネジメントシステム1によって行われる処理の流れを示す。
まず、ユーザがアプリケーションを起動して所望の指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS401)。
すなわち、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドをサーバ30に送信する。サーバ30は、コマンドを受信し、そのコマンドが所定の権限を有する端末装置40から送信されたものであることを確認する。サーバ30は、コマンドの送信元が所定の権限を有している場合、コマンドをコントローラ100に送信する。
図4には、サーバ30による処理が省略されているが、より正確には、端末装置40とコントローラ100との間のデータの送受信はサーバ30によって中継される。以下、本発明をより簡単に理解できるように、端末装置40とコントローラ100との間の通信の説明において、サーバ30によって中継される処理を省略することとする。
コントローラ100の制御部205は、コマンドを受信した後、受信したコマンド通りに実行するか否かを問い合わせる許可要求と環境パラメータを、送信元である端末装置40に送信するか否かを判別する。そして、制御部205は、許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信すると判別した場合、許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信する(ステップS402)。環境パラメータは、ユーザがコントローラ100に処理の実行を許可するか否かを判断するための材料となり得る。
制御部205は、コマンドを受信するたびに毎回許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信してもよいし、所定の条件の下、許可要求と環境パラメータを送信するか否かを判別してもよい。
例えば、制御部205は、コマンドを受信してから後述する許可通知を受信するまでの間、一定の時間間隔おきに、許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信してもよい。すなわち、制御部205は、端末装置40から所定時間以内に許可通知が来なければ、許可要求と環境パラメータを再送信(リトライ)する。リトライ回数は任意である。この場合、制御部205は、許可する旨の返答があるまで、所定回数リトライし、許可されれば処理を実行する。一方、制御部205は、所定回数リトライしても許可する旨の返答がなければ、処理を実行しない。
また、コントローラ100の記憶部203には、ユーザによって予め入力されたエネルギーマネジメントシステム1の運転計画(スケジュール)が記憶されており、制御部205は、このスケジュールが設定された期間と重複する日時にコマンドを受信した場合に、本当に実行するか否かを確認するために、許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信してもよい。コマンドを受信した日時が、スケジュールが設定された期間に重複しない場合、制御部205は、許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信せずにコマンドを実行してもよい(制御対象の機器をコマンドに従って制御してもよい)。この場合、制御部205は、予めスケジュールが登録されていると、指示の内容がスケジュールと重複したり矛盾したりする可能性があるため、実行に移す前に許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信し、許可されれば処理を実行し、許可されなければ処理を実行しない。一方、制御部205は、スケジュールが登録されていないと、直ちに指示に従って制御対象の機器に処理を実行させる。
また、制御部205は、ある端末装置40からの指示がその日最初の端末装置40からの指示である場合には許可要求をその端末装置40に送信し、その日の2回目以降の指示の際には許可要求を送信しないようにしてもよい。この場合、ある端末装置40から同じ日に複数回指示を受信したとすると、最初の1回目のみ許可要求を端末装置40に送信し、許可されれば処理を実行し、許可されなければ処理を実行しない。2回目以降、制御部205は、指示を受信すると、直ちに指示に従って制御対象の機器に処理を実行させる。
1回目の指示の内容と2回目の指示の内容は異なっていてもよい。あるいは、制御部205は、1回目の指示の内容と2回目の指示の内容が同じである場合にのみ、2回目の指示時における許可要求の送信を省略してもよい。
また、制御部205は、端末装置40からの指示を受信した日時が、前回その同一の端末装置40から受信した日時から所定時間以上経過していれば、許可要求を端末装置40に送信し、所定時間が経過していなければ、許可要求を端末装置40に送信しないようにしてもよい。この場合、例えばこの所定時間を1時間に設定したとき、制御部205は、1回目の指示を受信してから1時間以上経過した後に2回目の指示を受信すると、許可要求を端末装置40に送信し、許可されれば処理を実行し、許可されなければ処理を実行しない。一方、1回目の指示を受信してから1時間以上経過する前に2回目の指示を受信すると、制御部205は、直ちに指示に従って制御対象の機器に処理を実行させる。
また、制御部205は、受信した指示の内容が予め定められた条件を満たさないのであれば、許可要求を端末装置40に送信し、受信した指示の内容が予め定められた条件を満たすのであれば、許可要求を端末装置40に送信しないようにしてもよい。例えば、予め定められる条件は、「操作対象の機器が室内機であること」「設定温度の変化量が5度以内であること」「指示を受信した日時が○時○分から○時○分までの期間内であること」「宅内に誰もいないこと」などのように決められる。この条件は任意である。これにより、危険度が比較的高い操作や機器については許可要求を必須とする、といったような運用が可能になる。
図4の説明に戻り、端末装置40の制御部307は、上述の許可要求をコントローラ100から受信し、処理の実行を許可するか不許可にするかを指定する入力をユーザから受け付ける画面をLCD324に表示する。制御部307は、許可要求に対する許可又は不許可の指示入力をユーザから受け付ける(ステップS403)。
このとき、端末装置40の制御部307は、許可する旨の指示に対応するボタンと許可しない旨の指示に対応するボタンを表示すると共に、ユーザが許可にすべきか不許可にすべきかを判断するための材料となる環境パラメータなどを表す情報を表示する。
例えば、コントローラ100の制御部205は、宅内に空調システム104が2つある場合、それぞれの空調システム104の運転状態を逐次取得する。そして、制御部205は、一方の空調システム104が冷房で運転されているときに、他方の空調システム104を暖房に設定する指示が端末装置40から送信されてきた場合、「他のエアコンが冷房になっていますが、暖房でよいですか?」等のメッセージを含むメッセージデータを、許可要求と共に端末装置40に送信する。端末装置40の制御部307は、メッセージデータを受信すると、このメッセージデータに含まれるメッセージをLCD324に表示する。
あるいは、コントローラ100の制御部205は、監視装置108から監視データを逐次取得する。そして、制御部205は、空調システム104の運転を開始する旨の指示が端末装置40から送信されてきたときに、宅内の電動窓が開いていた場合、「窓が開いています。窓を閉めて下さい。」等のメッセージを含むメッセージデータを、許可要求と共に端末装置40に送信する。端末装置40の制御部307は、メッセージデータを受信すると、このメッセージデータに含まれるメッセージをLCD324に表示する。
例えば、コントローラ100の制御部205は、空調システム104の運転を開始する旨の指示を端末装置40から受信すると、指示を受信した時点における環境パラメータを端末装置40に送信する。端末装置40は、環境パラメータが示す情報をLCD324に表示する。ユーザは、表示された情報を見て、許可するか否かを判断し、指示を入力すればよい。
また、例えば、コントローラ100の制御部205は、空調システム104の運転を開始する旨の指示を端末装置40から受信すると、指示を受信した時点において撮影した空調システム104周辺の静止画像もしくは動画像を端末装置40に送信する。端末装置40は、受信した静止画像もしくは動画像をディスプレイに表示する。ユーザは、表示された静止画像もしくは動画像を見て、許可するか否かを判断し、指示を入力すればよい。
ステップS403において、許可しない旨の指示に対応するボタンがユーザによって押された場合、端末装置40の制御部307は、機器制御処理を終了する。この場合、ステップS401で送信された指示はキャンセルされる。端末装置40の制御部307が許可しない旨をコントローラ100に応答し、この応答を受け取ったコントローラ100が機器制御処理を終了するように構成してもよい。あるいは、端末装置40の制御部307が許可要求に対する応答をせずに、コントローラ100の制御部205が許可要求に対する応答のタイムアウトを検出して機器制御処理を終了するように構成してもよい。
一方、許可する旨の指示に対応するボタンがユーザによって押された場合、端末装置40の制御部307は、ステップS401で送信した指示を許可する旨をコントローラ100に通知する(ステップS404)。
コントローラ100の制御部205は、許可する旨の通知を受信すると、ステップS401で受信した指示に従って処理を実行するように、操作対象の機器に命令する(ステップS405)。操作対象の機器は、コントローラ100からの命令に従って処理を実行する(ステップS406)。例えば、空調システム104は、指示に従って、指示された設定温度で冷房運転を開始する。
操作対象の機器は、指示に従って処理を実行した旨の応答をコントローラ100へ送信する(ステップS407)。
コントローラ100の制御部205は、操作対象の機器から応答を受信する。さらに、制御部205は、操作対象の機器が処理を実行した旨の応答を、ステップS401における指示の送信元である端末装置40に送信する(ステップS408)。
端末装置40の制御部307は、指示に対する結果を示す、操作対象の機器が処理を実行した旨の応答を、コントローラ100から受信し、ディスプレイに表示する(ステップS409)。
以上のように、本実施形態によれば、コントローラ100は、端末装置40から遠隔操作の指示を受けても、直ちに実行するのではなく、本当に意図して指示を出したのかどうかをユーザに確認させ、ユーザが意図して指示を出したことが確認された後に、処理を実行する。また、処理の実行前に、ユーザは、現在の宅内の環境や、空調システム104等の動作時の影響等を把握でき、安全性に問題があると判断した場合に指示をキャンセルすることができる従って、エネルギーマネジメントシステム1の安全性を高めることができる。
従来、この種の端末装置においては、例えば、端末装置をポケットにしまっておくと、ポケットの中で意図せずボタンが押されてしまい、アプリケーション上からユーザの意に反してコマンドが送信される、といったような、ユーザが意図しない操作によって誤って指示が出されてしまう可能性があった。しかしながら、本実施形態のエネルギーマネジメントシステム1によれば、真に意図して指示を出したのかどうかを、ユーザに大きな負担とならない程度に確認させることによって、安全性がより高まる。
(実施形態2)
次に、実施形態2のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図5を用いて説明する。本実施形態では、エネルギーマネジメントシステム1は、端末装置40による遠隔操作がなされると、その旨がユーザや周囲に報知される。
まず、ユーザがアプリケーションを起動して所望の指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS501)。
コントローラ100の制御部205は、ステップS401で受信した指示に従って処理を実行するように、操作対象の機器に命令する(ステップS502)。
操作対象の機器は、遠隔操作により処理を実行する旨のお知らせを出力する(ステップS503)。
具体的には、操作対象の機器は、遠隔操作ではなく操作パネルの直接のタッチ操作等によって指示されたときに出力する所定の第1の音とは異なる所定の第2の音を、スピーカから出力する。もし在宅者がいれば、音を聞き分けることで、在宅者は機器が遠隔操作されたことを容易に知ることができる。操作対象の機器は、音声だけでなく、画像やメッセージを用いて、遠隔操作されたことを報知してもよい。
操作対象の機器は、コントローラ100からの命令に従って処理を実行する(ステップS504)。例えば、空調システム104は、指示に従って、指示された設定温度で冷房運転を開始する。
操作対象の機器は、指示に従って処理を実行した旨の応答をコントローラ100へ送信する(ステップS505)。
コントローラ100の制御部205は、操作対象の機器から応答を受信する。また、制御部205は、遠隔操作により処理を実行した旨のお知らせを出力する(ステップS506)。
具体的には、コントローラ100の制御部205は、遠隔操作によって処理が実行されたことを示す所定の音をスピーカ(図示せず)から出力する。もし在宅者がいれば、コントローラ100からの音を聞くことで、在宅者は機器が遠隔操作されたことを容易に知ることができる。制御部205は、音声だけでなく、画像やメッセージを用いて、機器が遠隔操作されたことを報知してもよい。
さらに、コントローラ100の制御部205は、操作対象の機器が処理を実行した旨の応答を、ステップS501における指示の送信元である端末装置40に送信する(ステップS507)。
端末装置40の制御部307は、指示に対する結果を示す、操作対象の機器が処理を実行した旨の応答を、コントローラ100から受信し、ディスプレイに表示する(ステップS508)。
なお、端末装置40の制御部307は、ステップS508における表示と共に、機器に対する遠隔操作が実行されたことを報知する所定の音をスピーカ322から出力してもよい。また、制御部307は、音を出力するだけでなく、機器に対する遠隔操作が実行されたことを報知する画像やメッセージをLCD324に表示してもよい。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は、機器への直接的な操作か遠隔操作か、あるいは、遠隔操作が実行されたか否かをユーザがすぐ把握できるように、機器の周囲やコントローラ100の周囲等に報知するので、誤操作に気付きやすくなり、且つ、エネルギーマネジメントシステム1の安全性を高めることができる。
なお、操作対象の機器は、機器制御処理の実行ログをメモリに記録し、ユーザがいつでも閲覧できるようにしてもよい。ステップS503における遠隔操作時のお知らせの中に、この実行ログの表示を含めてもよい。
同様に、コントローラ100の制御部205は、機器制御処理の実行ログを記憶部203に記録し、ユーザがいつでも閲覧できるようにしてもよい。ステップS506における遠隔操作時のお知らせの中に、この実行ログの表示を含めてもよい。
同様に、端末装置40の制御部307は、機器制御処理の実行ログを記憶部306に記録し、ユーザがいつでも閲覧できるようにしてもよい。ステップS508における結果の表示の中に、この実行ログの表示を含めてもよい。
(実施形態3)
次に、実施形態3のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図6を用いて説明する。本実施形態では、制御対象の機器に所定の事象が発生すると、その旨がコントローラ100あるいは端末装置40に報知される。制御対象の機器に所定の事象が発生すると、端末装置40には、所定の事象が発生したことを示す環境パラメータが送信される。
まず、制御対象の機器は、所定の事象が発生したか否かを判別する(ステップS601)。
所定の事象とは、例えば「機器のメンテナンスによる一部又は全部の機能の停止や、故障等により、処理を実行できなくなること」である。操作対象の機器が空調システム104の場合、管理者がフィルタを掃除していたり、内部クリーン運転中だったりすると、その期間中、ユーザは空調を使用できない。このとき、空調システム104は、所定の事象が発生したと判別する。
あるいは、所定の事象は「内蔵する電池の残量が規定値以下になったこと」である。操作対象の機器が内蔵電池を用いて機能の一部又は全部を実現している場合、電池の残量が規定値以下になり、以降の処理の実行に支障を来す恐れがあると、操作対象の機器は、所定の事象が発生したと判別する。
また、所定の事象は「継続して所定時間以上続けて運転されたこと」である。長期間続けて使用すると、加熱によって処理の実行に支障を来す恐れがある。そこで、操作対象の機器は、継続して所定時間以上続けて運転されると、所定時間が経過した時点で、所定の事象が発生したと判別する。
なお、所定の事象の定義は以上に記載したものに限られず、操作対象の機器、コントローラ100、あるいはユーザが任意に設定することができる。所定の事象を定義するために使用可能な情報としては、ほかに、日付、時刻、宅内や機器内部の温度、湿度、天気や緊急地震速報など外部からの情報、人の在/不在、機器の電源オン/オフ、などがある。
次に、制御対象の機器は、所定の事象が発生した場合、所定の事象が発生した旨のお知らせを出力し(ステップS602)、周囲に報知する。このお知らせは、音声によって行われてもよいし、画像等の表示によって行われてもよい。
制御対象の機器は、所定の事象が発生した場合、その旨をコントローラ100に通知する(ステップS603)。
コントローラ100の制御部205は、所定の事象が発生した旨の通知を機器から受信すると、その旨のお知らせを出力する(ステップS604)。このお知らせは、音声によって行われてもよいし、画像等の表示によって行われてもよい。
さらに、コントローラ100の制御部205は、環境パラメータのひとつとして、機器に所定の事象が発生した旨の通知を、端末装置40に送信する(ステップS605)。
端末装置40の制御部307は、機器に所定の事象が発生した旨の通知を受信すると、その旨のお知らせを出力する(ステップS606)。このお知らせは、音声によって行われてもよいし、画像等の表示によって行われてもよい。
そして、端末装置40の制御部307は、受信した通知の内容に基づいて、機器が有する機能のうち端末装置40から制御できる機能を制限する(ステップS607)。
例えば、空調システム104に所定の事象が発生したことが通知されると、制御部307は、アプリケーションの画面中、空調の制御に関するソフトウェアボタンをユーザが押せなくする。これにより、使用不可であるにもかかわらず、誤ってユーザが指示を出してしまうようなことを避けることができる。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は、機器における事象の発生に応じて遠隔操作を受け付けないように制御することができ、安全性を高めることができる。
なお、所定の事象を、例えば「機器のメンテナンスが終了したこと」とし、ステップS607における“機能の制限”を“機能の制限の解除”にすれば、エネルギーマネジメントシステム1は、機器における事象の発生に応じて遠隔操作を「受け付ける」ように制御し、より利便性を向上させることもできる。
(実施形態4)
次に、実施形態4のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図7,図8,図9を用いて説明する。本実施形態では、コントローラ100は、端末装置40からの遠隔操作が、指示の頻度が比較的高い日常的な操作か、あるいは、指示の頻度が比較的低い非日常的な操作かに応じて、本当に実行に移すのかをユーザに確認することを促す。
まず、ユーザがアプリケーションを起動して所望の指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS701)。
コントローラ100の制御部205は、コマンドを受信すると、そのコマンドがユーザの日常操作か非日常操作かを判別する(ステップS702)。
日常操作とは、端末装置40から受信するすべての指示のうち、過去にその端末装置40から比較的高い頻度で受信したことがある指示に対応するユーザ操作のことある。非日常操作とは、端末装置40から受信するすべての指示のうち、過去にその端末装置40から比較的低い頻度で受信したことがある指示に対応するユーザ操作のことある。コントローラ100の制御部205は、端末装置40から受信した指示を、日常操作に属する指示と非日常操作に属する指示とに分類する。
より詳細には、制御部205は、コマンド内容が日常操作か非日常操作かを、図8に例示する操作履歴テーブル800と図9に例示する頻度テーブル900とに基づいて判別する。図8と図9では、操作対象の機器を空調システム104としている。操作対象の機器が複数ある場合には、制御部205は、機器ごとに、操作履歴テーブル800と頻度テーブル900を生成して記憶部203に記憶する。
操作履歴テーブル800には、コマンドの送信者と、受信したコマンドと、受信した日時とが対応付けて記憶される。制御部205は、ステップS701において端末装置40からコマンドを受信すると、操作履歴テーブル800を更新する。
制御部205は、直近の所定回数分の履歴を操作履歴テーブル800に記録してもよいし、直近の所定期間内における履歴を操作履歴テーブル800に記録してもよい。また、制御部205は、ユーザからの指示に基づいて操作履歴テーブル800をトランケートしてもよい。
制御部205は、後述するステップS709において、操作履歴テーブル800を用いて、コマンドの頻度を集計した頻度テーブル900を更新する。例えば、制御部205は、コマンドの送信元とコマンドの種別ごとに、受信した回数を計算する。制御部205は、受信した回数が所定のしきい値以上のコマンドを日常操作に属するコマンドであると判別し、受信した回数が所定のしきい値未満のコマンドを非日常操作に属するコマンドであると判別する。そして、制御部205は、日常操作か非日常操作かの判別結果を頻度テーブル900に格納する。しきい値は任意である。
例えば、図9において、しきい値を“30回”に設定すると、同じ「電源オン」のコマンドであっても、送信元が“ABC”のときには非日常操作に分類されるが、送信元が“XYZ”のときには日常操作に分類される。日常操作か非日常操作かの判別結果は、送信元によって異なる可能性がある。
制御部205は、直近の所定回数分の履歴に基づいて頻度テーブル900に生成してもよいし、直近の所定期間内における履歴に基づいて頻度テーブル900に生成してもよい。また、制御部205は、ユーザからの指示に基づいて頻度テーブル900をトランケートしてもよい。
次に、コントローラ100の制御部205は、ステップS701で受信したコマンドが非日常操作に属すると判別すると、受信したコマンド通りに実行するか否かの許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信する(ステップS703)。
なお、コントローラ100の制御部205は、ステップS701で受信したコマンドが日常操作に属すると判別した場合には、許可要求と環境パラメータを送信せずに、後述するステップS705の実行命令の処理に進む。
端末装置40の制御部307は、許可要求と環境パラメータをコントローラ100から受信すると、処理の実行を許可するか不許可にするかを指定する入力をユーザから受け付ける画面をディスプレイに表示する。制御部307は、許可要求に対する許可又は不許可の指示入力をユーザから受け付ける(ステップS704)。
許可しない旨の指示に対応するボタンがユーザによって押された場合、端末装置40の制御部307は、機器制御処理を終了する。この場合、ステップS701で送信された指示はキャンセルされる。
一方、許可する旨の指示に対応するボタンがユーザによって押された場合、端末装置40の制御部307は、ステップS701で送信した指示を許可する旨をコントローラ100に通知する(ステップS705)。
コントローラ100の制御部205は、許可する旨の通知を受信すると、ステップS701で受信した指示に従って処理を実行するように、操作対象の機器に命令する(ステップS706)。操作対象の機器は、コントローラ100からの命令に従って処理を実行する(ステップS707)。
操作対象の機器は、指示に従って処理を実行した旨の応答をコントローラ100へ送信する(ステップS708)。
コントローラ100の制御部205は、操作対象の機器から応答を受信する。そして、制御部205は、頻度テーブル900を更新する(ステップS709)。頻度テーブルには、端末装置40から受信したコマンドであって、実際に実行されたコマンドの頻度が格納される。そして、更新された頻度テーブルは、次回の機器制御処理におけるステップS702で、日常操作か非日常操作かの判別に利用される。この頻度テーブルを更新することにより、コントローラ100は、次回以降、日常操作と判別すべきか非日常操作と判別すべきかを“学習”するわけである。
本実施形態では、制御部205は、ステップS706における処理の実行後に頻度テーブル900を更新しているが、これはステップS705で実行を命令したものの、何らかの原因で実行できなかった場合を頻度の更新対象から除くためである。ただし、制御部205は、機器が実際に処理を実行できたか否かにかかわらず頻度テーブル900を更新してもよい。
さらに、制御部205は、操作対象の機器が処理を実行した旨の応答を、ステップS701における指示の送信元である端末装置40に送信する(ステップS710)。
端末装置40の制御部307は、指示に対する結果を示す、操作対象の機器が処理を実行した旨の応答を、コントローラ100から受信し、ディスプレイに表示する(ステップS711)。ユーザは、この結果の表示を閲覧することにより、自分の指示が実際に実行されたことを確認できる。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は、端末装置40からの指示の傾向を学習することにより、安全性を高めることができる。エネルギーマネジメントシステム1は、指示が過去にあまり受け付けたことがない指示の場合には、真に意図した指示なのかどうかをユーザに確認させることで、誤操作を防ぐことができる。
(実施形態5)
次に、実施形態5のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図10を用いて説明する。本実施形態では、ユーザから指示を受け付けるインタフェースを工夫することにより、ユーザが意図しない指示が送信されることを防いでいる。
上述した実施形態におけるステップS401又はステップS701において指示を受け付けるユーザインタフェースの構成例を、図10(a),(b)に示す。これらのユーザインタフェースは、アプリケーションの実行時にLCD324に表示される。
図10(a)は、操作対象の機器を選択する入力を受け付けるユーザインタフェースである。ディスプレイには、ユーザが選択可能な機器に対応付けられるソフトウェアボタンが表示される。ユーザは、いずれかのソフトウェアボタンを押すことにより、所望の機器を選択することができる。
図10(b)は、選択した機器に対して行う指示を選ぶ入力を受け付けるユーザインタフェースである。ディスプレイには、ユーザが選択可能な指示に対応付けられるソフトウェアボタンが表示される。ユーザは、いずれかのソフトウェアボタンを押すことにより、所望の指示を選択することができる。
次に、上述した実施形態におけるステップS403又はステップS704において許可要求に対する指示を受け付けるユーザインタフェースの構成例を、図10(c),(d),(e)に示す。これらのユーザインタフェースは、アプリケーションの実行時にLCD324に表示される。
図10(c)では、端末装置40の制御部307は、許可要求に対して処理の実行を指示する(許可する)ボタン1001をLCD324に表示する。このボタン1001がユーザによって押されれば、端末装置40の制御部307は、ステップS404又はステップS704において許可する旨をコントローラ100に通知する。
一方、ボタン1001がユーザによって押されなければ、制御部307は、許可する旨をコントローラ100に通知しない。すなわち、ステップS401又はステップS701で送信された指示はキャンセルされ、実行されない。
なお、端末装置40の制御部307は、許可要求に対して処理の実行を指示する(許可する)ボタン1001と共に、許可要求に対して処理の実行を取り消す(許可しない)ボタンをLCD324に表示し、取り消すボタンが押されれば、機器制御処理を終了するようにしてもよい。
図10(d)では、端末装置40の制御部307は、複数のソフトウェアキーをLCD324に表示する。本図では、1から9までの9つの数字キーが表示される。制御部307は、ソフトウェアキーが所定の順番で選択されれば、端末装置40の制御部307は、ステップS404又はステップS704において許可する旨をコントローラ100に通知する。
あるいは、ユーザはタッチスクリーン上を指でなぞっていき、例えば1→2→3→6→5→8の順といった予め決められた順に数字がタッチされれば、端末装置40の制御部307は、ステップS404又はステップS704において許可する旨をコントローラ100に通知する。
一方、ユーザによって所定の順に数字がタッチされなければ、制御部307は、許可する旨をコントローラ100に通知しない。すなわち、ステップS401又はステップS701で送信された指示はキャンセルされ、実行されない。
図10(e)では、端末装置40の制御部307は、許可要求に対して処理の実行を指示する(許可する)複数のボタン1002,1003をLCD324に表示する。これらのボタン1002,1003がユーザによって同時に押されれば、端末装置40の制御部307は、ステップS404又はステップS704において許可する旨をコントローラ100に通知する。
一方、ボタン1002,1003がユーザによって同時に押されなければ、制御部307は、許可する旨をコントローラ100に通知しない。すなわち、ステップS401又はステップS701で送信された指示はキャンセルされ、実行されない。
このようにユーザインタフェースの構成を工夫することにより、エネルギーマネジメントシステム1は、ユーザによる誤操作を防ぎ、安全性を高めることができる。
(実施形態6)
次に、実施形態6のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図11を用いて説明する。本実施形態では、制御対象の機器に遠隔操作ではなく直接操作パネルによる指示入力があると、一定期間、遠隔操作を受け付けないようにする。
まず、制御対象の機器は、遠隔操作ではない直接操作による指示を受け付けると(ステップS1101)、受け付けた指示に従って処理を実行する(ステップS1102)。
直接操作による指示に従って処理を実行すると、機器は、処理を実行してから一定期間、遠隔操作を禁止する(ステップS1103)。
この一定期間の長さは任意であり、機器ごとに、あるいは機能ごとに、異なる長さが設定されてもよい。また、コントローラ100が一定期間の長さを設定し、機器に予め通知してもよい。
一定期間の起点(開始日時)は、本実施形態ではステップS1102における処理の実行後としているが、ステップS1101で直接操作を受け付けた時点でもよいし、ステップS1102における処理の実行と同時でもよい。なお、一定期間の終点(終了日時)は、開始日時から一定期間が経過した時点である。
遠隔操作が禁止される期間中であっても、後述するステップS1107で拒否応答が返ってくるまでは、端末装置40がユーザからの指示(つまり遠隔操作)が受け付けられる可能性がある。遠隔操作が禁止される期間中に、ユーザが指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS1104)。
コントローラ100の制御部205は、ステップS1104で受信した指示に従って処理を実行するように、操作対象の機器に命令する(ステップS1105)。
ステップS1105における命令が、遠隔操作が禁止される期間中に受信された場合、機器は遠隔操作を拒否し、その旨をコントローラ100に応答する(ステップS1106)。
コントローラ100の制御部205は、遠隔操作を拒否する旨の応答を機器から受信すると、機器が直接操作されたことにより遠隔操作が拒否されたことを表す環境パラメータを含む応答を、端末装置40に返す(ステップS1107)。
端末装置40の制御部307は、遠隔操作が拒否されたる旨の応答を受信すると、指示に対する結果、すなわち指示に対応する処理が行われなかったことをLCD324に表示する(ステップS1108)。ユーザは、直接操作が行われたことにより遠隔操作が拒否されたことを認識できる。
遠隔操作をする人にとって、宅内がどのような状況になっているのかが把握しづらく、直接操作が行われた後、すぐに遠隔操作を指示してしまう可能性がある。本実施形態によれば、直接操作の直後に遠隔操作がなされることによる、機器への負担を軽減することができる。例えば、直接操作により暖房運転が指示された直後、遠隔操作により冷房運転が指示されると、機器は動作モードを頻繁に切り替えねばならず、過度な負担になりかねない。しかし、直接操作を優先し、遠隔操作に対して一定の禁止期間を設けることで、機器が安全に運転されるように制御することができる。
なお、制御対象の機器が、ステップS1103で遠隔操作の禁止期間を設定した後にこの禁止期間をコントローラ100に通知し、コントローラ100が、仮に禁止期間中に指示を受け付けても、ステップS1105で実行命令を出すことなく遠隔操作の拒否応答を通知する、ように構成してもよい。
また、制御対象の機器が、ステップS1103で遠隔操作の禁止期間を設定した後にこの禁止期間をコントローラ100に通知し、コントローラ100が、禁止期間が設定されたことを表す環境パラメータを端末装置40に送信し、端末装置40が、禁止期間中の指示の入力をユーザから受け付けない、ように構成してもよい。端末装置40の制御部307は、例えば、機器の選択を受け付けるソフトウェアボタンや機能の選択を受け付けるソフトウェアボタンを非表示にしたり無効にしたりしてもよい。
(実施形態7)
次に、実施形態7のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図12を用いて説明する。本実施形態では、ユーザが遠隔操作の禁止を設定することができる。
ユーザは、機器を直接操作して、機器が端末装置40からの遠隔操作を受け付けないように設定することができる。制御対象の機器は、遠隔操作を禁止する指示を受け付けると(ステップS1201)、一定期間、遠隔操作を禁止する(ステップS1202)。
この一定期間の長さは任意であり、機器ごとに、あるいは機能ごとに、異なる長さが設定されてもよい。また、コントローラ100が一定期間の長さを設定し、機器に予め通知してもよい。
一定期間の起点(開始日時)は、ステップS1201で指示を受け付けた時点であり、一定期間の終点(終了日時)は、開始日時から一定期間が経過した時点である。
遠隔操作が禁止される期間中であっても、後述するステップS1206で拒否応答が返ってくるまでは、端末装置40がユーザからの指示(つまり遠隔操作)が受け付けられる可能性がある。遠隔操作が禁止される期間中に、ユーザが指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS1203)。
コントローラ100の制御部205は、ステップS1203で受信した指示に従って処理を実行するように、操作対象の機器に命令する(ステップS1204)。
ステップS1204における命令が、遠隔操作が禁止される期間中に受信された場合、機器は遠隔操作を拒否し、その旨をコントローラ100に応答する(ステップS1205)。
コントローラ100の制御部205は、遠隔操作を拒否する旨の応答を機器から受信すると、遠隔操作を禁止する指示によって遠隔操作が拒否されたことを表す環境パラメータを含む応答を、端末装置40に返す(ステップS1206)。
端末装置40の制御部307は、遠隔操作が拒否されたる旨の応答を受信すると、指示に対する結果、すなわち指示に対応する処理が行われなかったことをLCD324に表示する(ステップS1207)。ユーザは、遠隔操作が禁止されていることを認識できる。
本実施形態によれば、遠隔操作に対する一定の禁止期間を設けることで、機器が安全に運転されるように制御することができる。
なお、制御対象の機器が、ステップS1202で遠隔操作の禁止期間を設定した後にこの禁止期間をコントローラ100に通知し、コントローラ100が、仮に禁止期間中に指示を受け付けても、ステップS1204で実行命令を出すことなく遠隔操作の拒否応答を通知する、ように構成してもよい。
また、制御対象の機器が、ステップS1202で遠隔操作の禁止期間を設定した後にこの禁止期間をコントローラ100に通知し、コントローラ100が、禁止期間が設定されたことを端末装置40に通知し、端末装置40が、禁止期間中の指示の入力をユーザから受け付けない、ように構成してもよい。端末装置40の制御部307は、例えば、機器の選択を受け付けるソフトウェアボタンや機能の選択を受け付けるソフトウェアボタンを非表示にしたり無効にしたりしてもよい。
(実施形態8)
次に、実施形態8のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図13を用いて説明する。本実施形態では、操作対象の機器は、遠隔操作による指示に応じて処理を実行する際には、最初から処理能力を最大にするのではなく、徐々に処理能力を上げていく。
まず、ユーザがアプリケーションを起動して所望の指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS1301)。
コントローラ100の制御部205は、ステップS1301で受信した指示に従って処理を実行するように、操作対象の機器に命令する(ステップS1302)。
指示を受けた機器は、指示に対応する処理を段階的に実行する(ステップS1303)。
段階的な処理の実行とは、開始時には処理能力を抑え、徐々に処理能力を上げていくことを指す。制御対象の機器が空調システム104であり、室温が摂氏10度の状態で「設定温度を摂氏20度にして暖房運転を行う」という指示が端末装置40からコントローラ100へ送信された場合を例にとると、空調システム104は、ステップS1302で指示を受信すると、最初から設定温度を摂氏20度にして暖房運転を開始するのではなく、最初はやや低めの温度(例えば摂氏15度)に設定して暖房運転を開始し、その後、1度ずつ設定温度を上げ、最終的に設定温度を20度にする。このように、徐々に温度を上げていることにより、室温の急激な変化や、機器に対する急激な負担の上昇を避け、エネルギーマネジメントシステム1の安全性を高める。もちろん、暖房運転だけでなく、冷房運転における温度の設定も同様である。
なお、コントローラ100の制御部205が、制御対象の機器に、最初は端末装置40からの指示が示す設定温度より所定量だけ異なる値に温度を設定させ、その後、指示された設定温度に徐々に近づくように温度を設定させることもできる。すなわち、コントローラ100の制御部205が機器に設定温度を段階的に逐次指示することとし、機器はコントローラ100からの指示に従って徐々に設定温度を変えていくようにしてもよい。これにより、暖房であれば、徐々に設定温度が上がっていき、最終的には遠隔操作により指示された設定温度になるようにゆっくりと制御される。冷房であれば、徐々に設定温度が下がっていき、最終的には遠隔操作により指示された設定温度になるようにゆっくりと制御される。
宅内に人がいるのであれば、最初からフル稼働した結果、仮に問題が発生したとしても、機器を停止する等、宅内にいる人がその場ですぐに対処することが可能である。しかし、宅内に人がいない状況における遠隔操作の場合、仮に問題が発生しても、遠隔操作したユーザは問題に気が付くのが遅れたり気が付かなかったりする恐れがある。そこで、徐々に能力を上げていくことにより、問題が発生しづらくし、また、ユーザが問題に気が付く機会をなるべく担保できるようにしている。
次に、操作対象の機器は、指示に従って段階的な処理を実行した旨の応答をコントローラ100へ送信する(ステップS1304)。
コントローラ100の制御部205は、操作対象の機器から応答を受信する。さらに、制御部205は、操作対象の機器が段階的な処理を実行した旨の応答を、ステップS1301における指示の送信元である端末装置40に送信する(ステップS1305)。
端末装置40の制御部307は、指示に対する結果を示す、操作対象の機器が段階的な処理を実行した旨の応答を、コントローラ100から受信し、ディスプレイに表示する(ステップS1306)。ユーザは、機器が段階的な処理を実行したことを知ることができる。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は安全性を高めることができる。コントローラ100の制御部205は、段階的に処理を実行させるか、それとも最初から制限無しに指示通りに処理を実行させるかを、機器ごとに区別してもよい。
本実施形態では、コントローラ100の制御部205は、ステップS1301で指示を受信した後、ステップS1302で直ちに機器に実行命令を出しているが、上記実施形態と組み合わせ、ステップS1301の後に許可要求と環境パラメータを端末装置40に送信し、許可する旨が端末装置40から通知された場合に、機器に実行命令を出すように構成することも可能である。
(実施形態9)
次に、実施形態9のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図14を用いて説明する。本実施形態では、機器に異常が発生すると、遠隔操作が禁止される。
まず、制御対象の機器は、機器の異常を検知すると(ステップS1401)、現在実行中の処理を停止し(ステップS1402)、遠隔操作を禁止する(ステップS1403)。
制御対象の機器は、自身の異常を検知した場合だけでなく、急激な温度上昇や温度低下、天候の変化や地震の発生、宅内ネットワーク10における通信トラフィックの増大など、処理の続行に支障を来す恐れがある程度に宅内又は周囲の環境が変化した場合に、現在実行中の処理を停止し、遠隔操作を禁止してもよい。
制御対象の機器は、遠隔操作を禁止した旨をコントローラ100に通知する(ステップS1404)。制御対象の機器は、遠隔操作を禁止した旨の通知と共に、遠隔操作を禁止した原因に関する情報をコントローラ100に通知してもよい。
コントローラ100の制御部205は、遠隔操作を禁止した旨の通知を機器から受信すると、端末装置40からの遠隔操作による指示の受け付けを禁止する(ステップS1405)。制御部205は、ステップS1405以降、端末装置40から機器への指示を受信しても、指示に対応する処理を実行しない。
遠隔操作が禁止された後であっても、後述するステップS1407で拒否応答が返ってくるまでは、端末装置40がユーザからの指示(つまり遠隔操作)が受け付けられる可能性がある。ユーザが指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS1406)。
コントローラ100の制御部205は、機器の異常や通信トラフィックの増大などにより遠隔操作が禁止された旨を表す環境パラメータを含む応答を、端末装置40に返す(ステップS1407)。
端末装置40の制御部307は、遠隔操作が禁止された旨の応答を受信すると、指示に対する結果、すなわち指示に対応する処理が行われなかったことをLCD324に表示する(ステップS1408)。端末装置40の制御部307は、遠隔操作が禁止された原因に関する情報を、受信した環境パラメータに基づいて、LCD324に表示する。ユーザは、遠隔操作が禁止されていることを認識できる。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は安全性を高めることができる。
本実施形態では、制御対象の機器が異常を検知しているが、コントローラ100が監視装置108から受信したデータに基づいて異常を検知してもよい。この場合、ステップS1401〜S1404を省略し、コントローラ100が何らかの異常を検知した後、すぐにステップS1405で遠隔操作を禁止すればよい。
(実施形態10)
次に、実施形態10のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図15を用いて説明する。本実施形態では、宅内ネットワーク10に通信接続不能などの異常が発生した場合に遠隔操作が禁止される。
まず、制御対象の機器は、宅内ネットワーク10に接続できずコントローラ100との間の通信が切断される等の通信エラーを検知すると(ステップS1501)、現在実行中の処理を停止し(ステップS1502)、端末装置40による遠隔操作を禁止する(ステップS1503)。
同様に、コントローラ100の制御部205は、宅内ネットワーク10に接続できず機器との間の通信が切断される等の通信エラーを検知すると(ステップS1504)、遠隔操作を禁止する(ステップS1505)。
なお、制御対象の機器とコントローラ100は、宅内ネットワーク10に一切接続できない場合だけでなく、所定の通信スピードを確保できずレスポンスが極端に遅い場合にも、遠隔操作を禁止してもよい。
遠隔操作が禁止された後であっても、後述するステップS1507で拒否応答が返ってくるまでは、端末装置40がユーザからの指示(つまり遠隔操作)が受け付けられる可能性がある。ユーザが指示を入力すると、端末装置40の制御部307は、入力された指示に対応するコマンドを、サーバ30を介してコントローラ100に送信する(ステップS1506)。
コントローラ100の制御部205は、宅内ネットワーク10での通信エラーの発生や宅内ネットワーク10での通信トラフィックの増大により遠隔操作が禁止されたことを表す環境パラメータを含む応答を、端末装置40に返す(ステップS1507)。
端末装置40の制御部307は、遠隔操作が禁止された旨の応答を受信すると、指示に対する結果、すなわち指示に対応する処理が行われなかったことをLCD324に表示する(ステップS1508)。端末装置40の制御部307は、宅内ネットワーク10内の通信エラーにより遠隔操作が禁止された旨をLCD324に表示する。ユーザは、遠隔操作が禁止されていることを認識できる。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は安全性を高めることができる。本実施形態では、機器は通信エラーの検出後に処理を停止しているが、機器が処理を続行したまま遠隔操作を禁止するように構成することも可能である。
(実施形態11)
次に、実施形態11のエネルギーマネジメントシステム1によって行われる機器制御処理を、図16を用いて説明する。本実施形態では、宅外ネットワーク20に通信接続不能などの異常が発生した場合に、警告がなされる。
まず、コントローラ100の制御部205は、宅外ネットワーク20に接続できない等の通信エラーを検知すると(ステップS1601)、所定の警告音を出力したり所定の警告画面を表示したりすることにより警告を発し(ステップS1602)、端末装置40による遠隔操作を禁止する(ステップS1603)。
コントローラ100の制御部205は、端末装置40による遠隔操作を禁止する旨を、制御対象の機器に通知する(ステップS1604)。
制御対象の機器は、端末装置40による遠隔操作を禁止する旨の通知を受信すると、遠隔操作を禁止する(ステップS1605)。これ以降、機器は、自身が備える操作パネルへの直接の指示入力のみ受け付ける。
なお、制御対象の機器は、所定の警告音を出力したり所定の警告画面を表示したりすることにより、遠隔操作を受け付けないことを周囲に知らせてもよい。
同様に、端末装置40の制御部307は、宅外ネットワーク20に接続できない等の通信エラーを検知すると(ステップS1606)、所定の警告音を出力したり所定の警告画面を表示したりすることにより警告を発する(ステップS1607)。これ以降、ユーザは、端末装置40を用いて宅内の機器を遠隔操作することができない。
本実施形態によれば、エネルギーマネジメントシステム1は安全性を高めることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
上記のエネルギーマネジメントシステム1の全部又は一部としてコンピュータを動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
以上のように、上記各実施形態によれば、宅内の機器への遠隔制御の安全性をより高めることができる。