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JP6477746B2 - インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置 Download PDF

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JP6477746B2
JP6477746B2 JP2017039059A JP2017039059A JP6477746B2 JP 6477746 B2 JP6477746 B2 JP 6477746B2 JP 2017039059 A JP2017039059 A JP 2017039059A JP 2017039059 A JP2017039059 A JP 2017039059A JP 6477746 B2 JP6477746 B2 JP 6477746B2
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Description

本発明は、インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、及びインクジェット記録装
置に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として
、種々の方式が利用されている。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要
とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを
効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さ
いため、記録方法として優れている。
近年、紫外線を照射することによりモノマーが光重合(硬化)する紫外線硬化型インク
を用いたインクジェット記録方法は、耐水性及び耐擦性に優れた画像を、被記録媒体の被
記録面に形成することができるため、カラーフィルターの製造、プリント基板、プラスチ
ックカード、ビニールシート、大型看板、及びプラスチック部品への印刷、並びにバーコ
ードや日付の印刷などに利用されている。
インクジェット記録に用いられるインクとして、溶媒系の水性インクや無溶媒系の紫外
線硬化型インク(UVインク)等が挙げられる。このうち無溶媒系の紫外線硬化型インク
は、溶媒系の水性インクよりも粘度が顕著に高いため、吐出時の温度変動による粘度変動
が大きく、この粘度変動が液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響
を与え、ひいては画質劣化を引き起こしてしまう。そこで、紫外線硬化型インクを吐出す
る際に、インクを加熱し粘度を下げてから吐出する技術が開示されている。
例えば、特許文献1は、UVインクは常温時において一般的なインクと比べて粘度が高
いため、記録ヘッド内で加熱して目標設定温度(インクが吐出可能な粘度となるために必
要な設定温度)を維持し、低粘度化した状態で吐出する必要があるとした上で、インク粘
度が5℃条件で7000〜500mPa・sであると共に、インク粘度が80℃条件で2
0〜3mPa・sになるように加熱温調により変化することを特徴とするUVインクを開
示している(特許文献1の段落0034,0041,及び0042)。
特開2003−200559号公報
しかしながら、特許文献1が開示するUVインクは、加熱によりヘッドの部材を劣化さ
せてしまうという問題が生じる。また、当該UVインクは粘度が非常に高いため、加熱せ
ずに吐出しようとすると、吐出安定性や吐出量安定性に劣るという問題が生じる。
そこで、本発明は、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出
量安定性に優れた、インクジェット記録方法を提供することを目的の一つとする。
上記課題を解決するため、本願発明者らが鋭意検討を行ったところ、以下の知見を得た
。まず、粘度が非常に低い紫外線硬化型インク(以下、紫外線硬化型インクを単に「イン
ク」ともいう。)を調製し、当該インクを加温せずに吐出する方法を検討した。だが、当
該方法によれば、インクの温度が環境温度の変化によって変動しやすく、インクの吐出安
定性及び吐出量安定性を改善できないことを知見した。さらに、粘度が非常に低い紫外線
硬化型インクの組成に起因して、ヘッドの部材が劣化してヘッドの耐久性が悪化し、かつ
、硬化シワも発生しやすくなることを知見した。そこで、本願発明者らは、比較的粘度の
低い、所定範囲の粘度を有する紫外線硬化型インクを、比較的低温下である所定範囲の温
度で加温することを試みた。その結果、ヘッドの部材の劣化が防止することができること
を知見した。これに加えて、吐出時の温度変動を小さくすることができるため、粘度変動
を抑えることができ、紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出量安定性も良好になるこ
とを知見した。
上記の知見に基づき、本願発明者らがさらに鋭意検討を行った結果、28℃における粘
度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを加温して、吐出される紫外線硬化型イ
ンクの温度を28〜40℃とし、かつ、当該温度における粘度が15mPa・s以下であ
る紫外線硬化型インクを吐出し硬化させるインクジェット記録方法により、上記課題を解
決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記
録媒体に向けて吐出する吐出工程と、
前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
前記紫外線硬化型インクを加温して、吐出される紫外線硬化型インクの温度を28〜4
0℃とし、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下である
、インクジェット記録方法。
[2]
前記ヘッドとして、被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備
える、ライン方式のインクジェット記録装置を用いて記録を行う、[1]に記載のインク
ジェット記録方法。
[3]
インク容器から前記ヘッドに前記紫外線硬化型インクを供給するインク経路の少なくと
も一部が、前記紫外線硬化型インクを循環させるインク循環路である、インクジェット記
録装置を用いて記録を行う、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
前記インク循環路からヘッドに供給される前記紫外線硬化型インクのインク流入量が、
前記ヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する最大インク吐出量の2倍以上である、
[3]に記載のインクジェット記録方法。
[5]
前記インク循環路のうち少なくとも前記ヘッドに接続する位置以外の位置に、前記紫外
線硬化型インクを加温する加温機構を備える、[3]又は[4]に記載のインクジェット
記録方法。
[6]
前記インク循環路から前記紫外線硬化型インクが供給されるヘッドが複数個あり、該複
数個のヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する、[3]〜[5]のいずれかに記載
のインクジェット記録方法。
[7]
前記紫外線硬化型インクは、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ
)アクリル酸エステル類を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット
記録方法。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であ
り、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
[8]
前記紫外線硬化型インクは、単官能(メタ)アクリレート(但し、前記一般式(I)で
表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)をさらに含有す
る、[7]に記載のインクジェット記録方法。
[9]
前記硬化工程に用いられる光源は発光ダイオードである、[1]〜[8]のいずれかに
記載のインクジェット記録方法。
[10]
前記発光ダイオードは、800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射す
るものである、[9]に記載のインクジェット記録方法。
[11]
前記ヘッドにおいてエポキシ樹脂が用いられる、[1]〜[10]のいずれかに記載の
インクジェット記録方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェ
ット記録装置。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法又は[12]に記載のイ
ンクジェット記録装置に用いられる、紫外線硬化型インク。
本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図である。 本発明のインクジェット記録装置の一例であるラインプリンターにおけるヘッドユニット、搬送ユニット、及び照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図である。 本発明のインクジェット記録装置が備えるインク供給装置の一例を示す概略正面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本明細書において、「記録物」とは、被記録媒体上にインクが記録されて硬化物が形成
されたものをいう。なお、本明細書における硬化物は、硬化膜や塗膜を含む、硬化された
物質を意味する。
また、本明細書において、「硬化」とは、重合性化合物を含むインクに光を照射すると
、重合性化合物が重合してインクが固化することをいう。「硬化性」とは、光を感応して
硬化する性質をいい、光重合性とも称される。「硬化シワ」は、硬化を行う対象となる塗
膜の内部に存在する未硬化のインクが、硬化する前に不規則に流動するなどにより、重合
体積収縮率が高くなる結果、硬化後の塗膜表面に発生するシワを意味する。
また、本明細書において、「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定した
インクの液滴をノズルから吐出させる性質をいう。「吐出量安定性」とは、ノズルから所
定時間インクを吐出させた場合に、当該時間に亘りインクの吐出量のばらつきが少ない性
質をいう。より詳細に言えば、当該吐出量安定性は、短期的に見ると主に加温温度の変動
に影響を受け得る一方、長期的に見ると主に環境温度の変動に影響を受け得ることを、本
願発明者らが見出した。そこで、本明細書においては、前者の吐出量安定性を「短期の吐
出量安定性」又は「吐出量安定性(短期)」と、後者の吐出量安定性を「長期の吐出量安
定性」又は「吐出量安定性(長期)」と、それぞれ称することもある。
また、本明細書において、「ヘッドの耐久性」とは、記録装置を構成するヘッドの部材
(具体的にはヘッド部材のうち接着剤)がインクと接触したときに、膨潤などの変質を含
む劣化を生じにくい性質をいう。
また、本明細書において、「保存安定性」とは、インクを保存したときに、保存前後に
おける粘度が変化しにくい性質をいう。「耐擦性」とは、硬化物を擦った時に、硬化物が
剥離しにくく傷がつきにくい性質をいう。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応
するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリ
ル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリ
ロイル」はアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを
意味する。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法
は、28℃で所定範囲の粘度を有する紫外線硬化型インクを、加温して所定範囲の粘度と
して、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、被記録媒体に付着した紫外線
硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を少なくとも含むものである。このようにして、
被記録媒体上で硬化したインクにより、インクの硬化物が形成される。
〔紫外線硬化型インクの28℃での粘度〕
上記記録方法に用いる紫外線硬化型インクは、28℃で8mPa・s以上の粘度を有す
る。このような粘度を有する紫外線硬化型インクを用いることにより、得られる硬化物に
おける硬化シワの発生を効果的に防止することができる。硬化シワが発生する原理は次の
ように推測されるが、本発明の範囲は以下の推測によって何ら限定されることはない。硬
化シワは、インクの塗膜において、塗膜表面が先に硬化した後、塗膜内部が塗膜表面より
も遅れて硬化する際に、先に硬化した塗膜表面が変形したり、後から硬化するまでの間に
塗膜内部のインクが不規則に流動したりすることなどにより、発生すると推測される。ま
た、粘度が低い紫外線硬化型インクは硬化に伴う重合収縮率(所定の質量を有する硬化前
のインクの体積に対する、当該インクの体積と硬化後の当該インク(硬化物)の体積との
差)が大きい傾向が見られ、このため硬化シワの発生が顕著であると推測される。また、
後述する単官能(メタ)アクリレート、中でも一般式(I)で表されるビニルエーテル基
含有(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型インクは、硬化シワが発生しやすい傾
向が見られ、特に、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート
を含有する低粘度の紫外線硬化型インクは、硬化シワの発生が顕著であると推測される。
本実施形態のインクジェット記録方法に用いられる紫外線硬化型インクは、これらの成分
を含有する場合であっても粘度を上記の範囲とすることにより、硬化シワの発生を効果的
に防止することができる。なお、本明細書における粘度は、後述の実施例で行った方法に
より測定された値を採用するが、これは粘度の測定方法を制限するという意味でなく従来
公知の測定方法が利用可能である。
そのうち、本実施形態においてインクの粘度は、特に、E型粘度計を用いて測定するこ
とができる。E型粘度計の使用に際しては、粘度計の取扱説明書に従い測定するものであ
ることは一般常識の範疇であり、よって、ローターの種類や回転速度は、取扱説明書に従
い、測定対象とするインクの粘度が正常に測定可能なものに設定して測定するものである
ことは特段言うまでもないことであり、本実施形態においてもインクの粘度を、取扱説明
書に従い、測定対象とするインクの粘度が正常に測定可能なものに設定して測定すること
は自明である。
〔被記録媒体〕
上記の被記録媒体として、例えば、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体が挙げら
れる。当該被記録媒体のうち、インク非吸収性の被記録媒体としては、例えば、インクジ
ェット記録用に表面処理していない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラス
チックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの、及びプラ
スチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとして
は、以下に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(P
U)、ポリエチレン(PE)、及びポリプロピレン(PP)が挙げられる。インク低吸収
性の被記録媒体の例としては、以下に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、及
びマット紙等の印刷本紙が挙げられる。
〔吐出工程〕
本実施形態における吐出工程は、紫外線硬化型インクをヘッドから被記録媒体に向けて
吐出するものである。そして、吐出される紫外線硬化型インクの温度は28〜40℃であ
り、かつ、当該温度における紫外線硬化型インクの粘度は15mPa・s以下である。
上記の28〜40℃という温度は、加温により昇温させた温度としては比較的低温であ
る。このように、吐出されるインクの温度(以下、「吐出温度」ともいう。)が比較的低
温であると、ヘッドの部材の劣化を防止できることからヘッドの耐久性が優れたものとな
り、かつ、温度のばらつきが殆どないことからインクの吐出安定性及び吐出量安定性が良
好なものとなるという、有利な効果が得られる。
ここで、本明細書における「吐出される紫外線硬化型インクの温度」は、ヘッドから6
0分間連続してインクを吐出し、その間5分ごとにノズルの温度を測定し、この測定され
た各温度の平均値で表すものとする。
以下、上記の吐出温度についてより具体的に説明する。当該温度が28℃以上であると
、長期で見たときの吐出量の変動を小さくすることができる。換言すれば、(後述のイン
ク経路における)環境温度の変動の抑制に起因して長期の吐出量安定性が優れたものとな
る。これに加えて、28℃未満で吐出可能な紫外線硬化型インクは粘度が非常に低いが、
この低粘度に起因する問題、即ちヘッドの部材が劣化してヘッドの耐久性が悪化し、かつ
、硬化シワも発生しやすくなるという問題が生じる。これに対し、本実施形態におけるイ
ンクは当該問題を解消することができる。
一方、上記温度が40℃以下であると、短期で見たときの吐出量の変動を小さくするこ
とができる。換言すれば、加温温度の変動の抑制に起因して短期の吐出量安定性が優れた
ものとなる。これに加えて、加温温度が40℃を超えるときのインク粘度が15mPa・
s以下である紫外線硬化型インクは、硬化シワの発生を防止できる反面、加温温度が高す
ぎることに起因して、ヘッドの耐久性が悪化し、かつ、吐出量安定性も劣るという問題が
生じる。これに対し、本実施形態におけるインクは当該問題を解消することができる。
また、上記の吐出温度におけるインクの粘度が15mPa・s以下であると、インクの
吐出安定性及び吐出量安定性が優れたものとなるという有利な効果が得られる。吐出安定
性はインクの粘度が高い場合に悪化するという問題が生じ得るが、15mPa・s以下で
あればそのような問題は生じず、吐出安定性は優れたものとなる。一方、吐出量安定性は
粘度が低い方が吐出量の変動幅が小さく、15mPa・s以下であれば吐出量の変動幅は
十分小さいことから吐出量安定性が優れたものとなる。
また、上記の効果を一層大きなものとし、かつ、上記の問題をより確実に解消するため
、上記の吐出温度は34〜40℃が好ましい。所定の吐出温度におけるインクの粘度の上
限は12mPa・s以下が好ましい。当該粘度の下限は5mPa・s以上が好ましく、7
mPa・s以上がより好ましく、8mPa・s以上がさらに好ましい。所定の吐出温度に
おけるインクの粘度の下限が上記の値であると、インクの組成に起因したヘッドの耐久性
がより良好なものとなり、インクの組成に起因した硬化シワの発生を効果的に防止でき、
かつ、低粘度に起因する吐出の不安定さを防止することができる。低粘度に起因する吐出
の不安定さを防止できるということは、吐出安定性及び吐出量安定性に一層優れることを
意味する。
また、紫外線硬化型インクは、上述したように、通常のインクジェット用インクで使用
される水性インクよりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。こ
のようなインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな
影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。そのため、吐出されるインクの温度(
吐出温度)はできるだけ一定に保つことが好ましい。本実施形態におけるインクは、吐出
温度が比較的低温であるとともに、加温による温度調節により、吐出温度をほぼ一定に保
つことができる。したがって、本実施形態におけるインクは、画質にも優れている。
ここで、インクの粘度を所望の範囲とするための、インクの設計方法の一例を説明する
インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度は、使用する各重合性化合物の粘度と、
当該各重合性化合物のインク組成物に対する質量比と、から推算することができる。
インクが、重合性化合物A,B…(途中省略)…,NというN種類の重合性化合物を含
むと仮定する。重合性化合物Aの粘度をVAとし、インク中の重合性化合物全量に対する
重合性化合物Aの質量比をMAとする。重合性化合物Bの粘度をVBとし、インク中の重
合性化合物全量に対する重合性化合物Bの質量比をMBとする。同様にN番目の重合性化
合物Nの粘度をVNとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Nの質量比
をMNとする。確認的に示すと、「MA+MB+…(途中省略)…+MN=1」という数
式が成り立つ。また、インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度をVXとする。そう
すると、下記の数式(1)を満たすと仮定する。
MA×LogVA+MB×LogVB+…(途中省略)…+MN×LogVN=Lo
gVX ・・・(1)
なお、例えば重合性化合物がインクに2種含まれる場合には、MBよりも後の重合性化
合物の質量比をゼロとする。重合性化合物の種類数は1種以上の任意の数とすることがで
きる。
次に、インク粘度を所望の範囲とするための手順(ステップ1〜7)の一例を説明する
まず、使用する各重合性化合物の所定温度における粘度の情報を入手する(ステップ1
)。入手方法としては、メーカーカタログなどから入手したり、各重合性化合物の所定温
度における粘度を測定したりすることなどが挙げられる。重合性化合物単体の粘度は、同
じ重合性化合物であってもメーカーにより異なることがあるので、使用する重合性化合物
の製造業者による粘度情報を採用するとよい。
続いて、VXに目標粘度を設定し、上記の数式(1)に基づきVXが目標粘度となるよ
う各重合性化合物の組成比(質量比)を決める(ステップ2)。目標粘度は、最終的に得
たいインク組成物の粘度であり、8〜15mPa・sの範囲のうちのある粘度とする。所
定温度は28〜40℃の範囲のうちのある温度とする。
続いて、実際に重合性化合物を混合して重合性化合物の組成物(以下、「重合性組成物
」という。)を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ3)。
続いて、重合性組成物の粘度が上記の目標粘度に凡そ近い場合(本ステップ4では、「
目標粘度±5mPa・s」になっていればよい。)、当該重合性組成物と、光重合開始剤
や顔料など重合性化合物以外の成分(以下、「重合性化合物以外の成分」という。)と、
を含むインク組成物を調製し、当該インク組成物の粘度を測定する(ステップ4)。当該
ステップ4において、重合性化合物以外の成分であって、例えば顔料のように顔料分散液
の形態でインク組成物に混合する成分がある場合、顔料分散液に予め含まれている重合性
化合物もインク組成物に持ち込まれてしまうため、ステップ2で決めた各重合性化合物の
組成比から、顔料分散液としてインク組成物に持ち込まれてしまう重合性化合物の質量比
を差し引いた質量比で、インク組成物を調整する必要がある。
続いて、上記インク組成物の測定粘度と上記重合性組成物の測定粘度との差を算出し、
これをVYとする(ステップ5)。ここで、通常「VY>0」となる。VYは、重合性化
合物以外の成分の種類や含有量などの含有条件によるが、後記の実施例においては、VY
=3〜5mPa・sであった。
続いて、VXに「ステップ2の目標粘度−VY」を定め、上記の数式(1)から、VX
が前記で定めた「ステップ2の目標粘度−VY」となるよう各重合性化合物の組成比を再
度決める(ステップ6)。
続いて、ステップ6で決めた組成比の各重合性化合物と重合性化合物以外の成分とを混
合してインク組成物を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ7)。測定し
た粘度が目標粘度になっていれば、ステップ7で調整したインク組成物が、目標粘度を有
するインク組成物として得られたことになる。
一方、ステップ3において、調製した重合性化合物の組成物の測定粘度が「目標粘度±
5mPa・s」の範囲に入っていない場合、以下の微調整を行った上で、ステップ3から
再度行う。まず、上記測定粘度が高すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも高い
重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化
合物の含有量を増やすといった微調整を行う。一方、上記測定粘度が低すぎる場合、単体
としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての
粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。また、
ステップ7で、調製したインク組成物の測定粘度が目標粘度になっていない場合、上記の
微調整と同様の調整を行った上で、ステップ7から再度行う。
〔インク供給工程〕
本実施形態の記録方法は、インク容器からヘッドにインクを供給するインク経路の少な
くとも一部が、インクを循環させるインク循環路である、インクジェット記録装置を用い
て記録を行うものであってもよい。換言すれば、当該記録方法は、インクジェット記録装
置のヘッドにインクを供給するインク経路の少なくとも一部にインクを循環させるインク
循環路を備え、当該インク循環路においてインクの循環を行うインク供給工程をさらに含
んでもよい。ヘッドから流出したインクがインク経路の少なくとも一部で循環することに
より、インク循環路中のインクの温度が安定しやすくなり、ひいては吐出量安定性が一層
優れたものとなる。
上記インク供給工程において、インク循環路からヘッドに供給される紫外線硬化型イン
クの流入量(インク流入量)を調節し、当該インク流入量のインクをヘッドへ供給しても
よい。当該インク供給工程は上記の吐出工程を行う間行われるとよい。当該インク供給工
程において、上記インク流入量は、記録中(印刷中)にヘッドからインクを吐出する吐出
量よりも多いことが、インクの流出が生じてインクが循環するため、好ましい。また、当
該インク流入量は、ヘッドからインクを吐出する吐出量の最大値(後述する最大インク吐
出量)よりも多いことがより好ましく、当該最大インク吐出量の2倍以上であることがさ
らに好ましく、当該最大インク吐出量の2.5倍以上であることがさらにより好ましい。
当該インク流入量が上記範囲内であると、吐出量安定性が一層優れたものとなる。一方、
上記インク流入量の上限は、特に限られるものではないが、当該最大インク吐出量の4倍
以下であるとよい。なお、上記のヘッドから吐出されるインクの量、即ちインク流入量及
び最大インク吐出量は、いずれも体積基準の量である。
上記インク供給工程は、例えば、後述するインクジェット記録装置に、インク供給量を
調節する装置(以下、単に「インク供給装置」ともいう。)を設けることで行うことがで
きる。当該インク供給装置については後述する。
〔硬化工程〕
本実施形態の記録方法に含まれる硬化工程は、被記録媒体に付着した紫外線硬化型イン
クを、光源から紫外線(光)が照射されることによって硬化させるものである。本工程に
おいて、インクに含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、
及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によっ
て促進される。あるいは本工程において、紫外線の照射により光重合性化合物の重合反応
が開始する。このとき、インクにおいて光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中
の増感色素が紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光
重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
光源(紫外線源)としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており
、紫外線硬化型インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドラ
ンプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望ま
れており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有
用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード
(UV−LD)等のLED(発光ダイオード)は小型、高寿命、高効率、及び低コストで
あり、紫外線硬化型インク用光源として期待されている。
このように、本実施形態における紫外線硬化型インクは、光源がLED及びメタルハラ
イドランプのいずれであっても好適に使用可能であるが、中でもLEDが好ましい。
上記の光源(紫外線源)の発光ピーク波長は、360〜420nmの範囲が好ましく、
380〜410nmの範囲がより好ましい。発光ピーク波長が上記範囲内であると、UV
−LEDの入手が容易であるとともに安価であることから好適である。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源(好ましくはLED)から照射される紫
外線のピーク強度(照射ピーク強度)は、好ましくは800mW/cm2以上であり、よ
り好ましくは1,000mW/cm2以上である。照射ピーク強度の上限は特に制限され
るものではないが、3,000mW/cm2以下であるとよい。照射ピーク強度が上記範
囲内であると、硬化性に一層優れ、かつ、硬化シワの発生をより効果的に抑制することが
できる。硬化シワが発生する原理は前述のとおりに推測されるが、照射ピーク強度が上記
範囲内であると、塗膜表面の硬化と同時に内部まで硬化させることができ、紫外線が硬化
シワの発生を効果的に抑制することができると推測される。本実施形態における紫外線硬
化型インクの28℃における粘度が8mPa・s以上であると、硬化シワの発生をより効
果的に防止することができる。特に、紫外線硬化型インクが後述する一般式(1)で表さ
れるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有し、照射ピーク強度が上
記範囲内であると、硬化性に一層優れ、かつ、硬化シワの発生をさらに効果的に抑制でき
る。
なお、本明細書における照射ピーク強度は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−4
00(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING,INC.)製)を用
いて測定された値を採用する。ただし、これは照射ピーク強度の測定方法を制限するとい
う意味でなく、従来公知の測定方法が利用可能である。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源から、好ましくは600mJ/cm2
下、より好ましくは200〜500mJ/cm2の照射エネルギーで硬化可能な紫外線硬
化型インクを、本実施形態の記録方法に用いるとよい。この場合、LEDの出力を上げや
すくなるとともに、低コスト印刷かつ大きな印刷速度が実現できる。ここで、上記の照射
エネルギーは、照射が複数回行われる場合には、各照射エネルギーを合計した総照射エネ
ルギーである。
なお、本明細書における照射エネルギーは、照射開始から照射終了までの時間に照射ピ
ーク強度を乗じて算出される。また、照射が複数回に亘って行われる場合、上記の照射エ
ネルギーは、複数回の照射を合計した照射エネルギー量で表される。発光ピーク波長は、
上記の好ましい波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっ
ても上記範囲の発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギー量を上記の照射エ
ネルギーとする。
このようなインクは、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上
記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物のうち、少なくともいずれか
を含むことにより得られる。
また、被記録媒体への、吐出時における単位面積当たりのインクの吐出量(付着量、打
ち込み量)は、インクの無駄な使用を防止するため、5〜16mg/インチ2が好ましい
また、単位面積当たりのインクの吐出量は、記録解像度と、記録解像度で規定される記
録単位領域(画素)当たりに打ち込むインク量と、によって変わるが、記録解像度(印刷
解像度)を「副走査方向の解像度×副走査方向と交差する方向(主走査方向)の解像度」
で表すと、300dpi×300dpi〜1500dpi×1500dpiが好ましい。
そして、この記録解像度に応じて、ヘッドのノズル密度及び吐出量を調整することが好ま
しい。
なお、画素当たりのインクの吐出量は、2〜200ng/画素が好ましく、3〜160
ng/画素がより好ましい。また、ノズル密度(ノズル列におけるノズル間距離)は、1
80〜720dpiが好ましく、300〜720dpiがより好ましい。
このように、本実施形態によれば、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出
安定性及び吐出量安定性(短期及び長期)に優れ、さらに紫外線硬化型インクに含まれる
光重合開始剤の溶解性、紫外線硬化型インクの硬化性、及び硬化シワ抑制にも優れた、イ
ンクジェット記録方法を提供することができる。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置、即ちインクジェットプリンターに係
る。当該記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を利用するものである。当
該記録方法を実施するための記録装置(プリンター)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
コンピューター130にはプリンタードライバーがインストールされており、プリンター
1に画像を記録させるため当該画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。プリ
ンター1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、インク供給ユ
ニット(図示なし)、検出器群110、メモリー123、インターフェイス(I/F)1
21、及びコントローラー120を有する。外部装置であるコンピューター130から印
刷データを受信したプリンター1は、コントローラー120によって各ユニットを制御し
て、印刷データに従い、被記録媒体上に画像を記録する。プリンター1内の状況は検出器
群110によって監視されており、検出器群110は、検出結果をコントローラー120
に出力する。コントローラー120は、検出器群110から出力された検出結果に基づい
て、各ユニットを制御する。コントローラー120は、インターフェイス121を介して
入力した印刷データをメモリー123に記憶し、CPU122とユニット制御回路124
とを有する。メモリー123には、各ユニットを制御するための制御情報も記憶されてい
る。
本実施形態のプリンターは、様々な色のインクを被記録媒体に記録する(画像を形成す
る)ことができ、例えば、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色の
インクを用いて画像を形成したり、白色のインクを用いて被記録媒体に優れた隠蔽性を付
与する下地の画像を形成したりすることが挙げられる。
本実施形態のプリンターの種類として、ラインプリンター及びシリアルプリンターが挙
げられ、いずれを用いることもできる。これらはプリンターの方式が異なる。
ライン方式のインクジェット記録装置であるラインプリンターは、ヘッドとして被記録
媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備える。当該ラインヘッドと被
記録媒体とが当該幅方向と交差する走査方向に相対的に位置を移動しながら被記録媒体に
、即ちラインヘッドと相対的に走査される被記録媒体に、ラインヘッドからインクが吐出
されるものである。そして、ラインプリンターでは、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定さ
れて、1パス(シングルパス)で記録が行われる。ラインプリンターは記録速度が速い点
でシリアルプリンターより有利である。
ここで、上記の「被記録媒体の幅に相当する長さのラインヘッド」は、被記録媒体の幅
とラインヘッドの長さ(幅)とが完全に一致している場合に限らず、互いに異なっていて
もよい。当該互いに異なっていてもよい場合として、例えば、ラインヘッドの長さ(幅)
が、インクが吐出されるべき(画像が記録されるべき)被記録媒体の幅(被記録幅)に相
当する長さである場合が挙げられる。
一方、シリアル方式のインクジェット記録装置であるシリアルプリンターは、ヘッドが
被記録媒体の副走査方向と交差した主走査方向に移動しながらインクの吐出を行う主走査
(パス)を行い、通常2パス以上(マルチパス)で記録が行われるものである。
[インクジェットヘッド]
インクジェット記録装置(プリンター1)が有するヘッドユニット30は、紫外線硬化
型インクを被記録媒体に向けて吐出して記録を行うヘッド(インクジェットヘッド)を備
える。当該ヘッドは、収容したインクをノズルから吐出させるキャビティーと、当該キャ
ビティー毎に設けられた、インクに吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、当該キャビテ
ィー毎に設けられた、ヘッドの外へインクを吐出するノズルと、を少なくとも有する。キ
ャビティー、並びにキャビティー毎に設けられる吐出駆動部及びノズルは、それぞれ互い
に独立して、一のヘッドに複数個設けられていてもよい。吐出駆動部は、機械的な変形に
よりキャビティーの容積を変化させる圧電素子などの電気機械変換素子や、熱を発するこ
とによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子などを用いて形成することが
できる。インクジェット記録装置は、1色のインクにつきヘッドを1個設けていても複数
個設けていてもよい。中でも複数個設けている場合には、複数個のヘッドを被記録媒体の
幅方向に並べることによりラインヘッドを構成してもよく、これにより上述の被記録幅を
より長くすることができる。複数色のインクを用いて記録を行う場合、インクジェット記
録装置はインク毎にヘッドを備える。ここで、本実施形態のプリンターであるシリアルプ
リンター又はラインプリンターが備えるヘッドは、ヘッドの内部や表面などのインクと接
触する部分の少なくとも一部にエポキシ樹脂を用いたヘッドであることが好ましい。当該
エポキシ樹脂は、例えば、ヘッドを製造する際に、ヘッドの部材同士を接着させる接着剤
として用いることができる。このようなエポキシ樹脂の接着剤を用いたヘッドとすること
で、特にヘッドに温度変化があった場合でもヘッドの部材同士の強固な接着力が維持でき
る。上記の「インクと接触する」とは、インクと直接接触すること、又はインクの構成成
分が浸透することにより間接的に接触することを含む。このとき、本実施形態における紫
外線硬化型インクは、エポキシ樹脂の接着剤の膨潤を防止可能なことから変質を含む劣化
が生じにくいため、ヘッドの耐久性が優れたものとなる。このように、エポキシ樹脂の接
着剤を用いた上記ヘッドから、紫外線硬化型インクを好適に吐出することができる。
エポキシ樹脂の接着剤としては、以下に限定されないが、例えば、エポキシ基を有する
化合物を含む主剤を硬化剤により硬化させる、従来公知の接着剤が挙げられる。上記の主
剤に含まれるエポキシ基を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ビス
フェノールA型及びビスフェノールF型などのビスフェノール型エポキシ、フェノールノ
ボラック型及びクレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ、エポキシポリオー
ル型エポキシ、ウレタン変性エポキシ、キレート変性エポキシ、並びにゴム変性エポキシ
が挙げられる。上記の硬化剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン及びポリ
アミン等のアミン類、酸無水物、アミド及びポリアミド等のアミド類、イミダゾール類、
並びにポリメルカプタンが挙げられる。上記の中でも、接着力に優れるため、主剤として
ビスフェノール型エポキシ及び硬化剤としてアミン類の組み合わせが好ましい。主剤と硬
化剤との混合比(主剤:硬化剤)は、接着剤の硬化性に優れるため、質量換算で10:1
〜1:10が好ましい。ヘッドは、例えば、特開2009−279830号の図3等のよ
うにして構成することができる。
以下、図面を参照して本実施形態のプリンターについてより詳しく説明する。なお、本
発明の範囲は以下の図面に何ら限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図
面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している
〔ラインプリンター〕
図2は、本実施形態のプリンターの一例である前述のラインプリンターにおけるヘッド
ユニット、搬送ユニット、及び照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図である。
搬送モーター(図示せず)により、上流側ローラー25A及び下流側ローラー25Bか
らなる搬送ローラーが回転し、搬送ドラム26が従動する。被記録媒体Sは、搬送ローラ
ー、搬送ドラム26の周面に沿い、搬送ローラーの回転に伴い搬送される。搬送ドラム2
6の周囲にはヘッドK、ヘッドC、ヘッドM、及びヘッドYからなる各ヘッドが搬送ドラ
ム26に対向して配置され、各ヘッドと対向する被記録媒体Sに向けてインクを吐出し付
着させる吐出工程により記録を行う。各ヘッドの搬送方向下流側には仮硬化用照射部42
a、42b、42c、及び42dが配置され、被記録媒体Sに向けて紫外線を照射する。
搬送方向の更に下流側には本硬化用照射部44が配置されている。このような記録装置は
、例えば特開2010−269471号の図11の様にして構成することができる。
本明細書において、「仮硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、より詳し
くはドット間の滲みの防止やドット径の制御のために、本硬化の前に硬化させることを意
味する。一般に、仮硬化における重合性化合物の重合度は、仮硬化の後で行う本硬化によ
る重合性化合物の重合度よりも低い。また、「本硬化」とは、被記録媒体上に形成された
ドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。ここで、本
明細書において単に「硬化」というときは、特に言及のない限り、本硬化を意味する。
なお、本硬化用照射部44より紫外線が照射されて、インクが本硬化されればよいため
、仮硬化用照射部42a、42b、42c、及び42dの一部又は全部から紫外線を照射
せず、本硬化用照射部44より紫外線を照射して硬化工程を終了してもよい。このように
、硬化工程は、仮硬化を行わずに本硬化のみを行うものであってもよい。
〔インク供給装置〕
本実施形態のインクジェット記録装置のインク供給ユニットは、上述したように、イン
ク供給量を調節する装置(インク供給装置)を備えてもよい。上述したインク供給量の調
節工程は、例えば、後述するインクジェット記録装置にインク供給装置を設けることで行
うことができる。当該インク供給装置は、例えば、インクタンクやインクカートリッジ等
のインク容器とヘッドとの間に備えられる。そして、当該インク供給装置は、インク容器
からヘッドにインクを供給するためのインク経路の少なくとも一部にインク循環路を有す
ることで、ヘッドに対するインク流入量を調節することができる。より具体的に言えば、
インク供給装置は、第一にインク循環路からヘッドに供給されるインク流入量を調節する
。インク供給装置は、第二に当該流量の少なくとも一部をヘッドからインクを吐出させ(
この吐出させた量が吐出量)、当該流量の残分(インク流出量)をヘッドからインク循環
路に戻るようにすることができる。したがって、例えば、ヘッドに供給されるインク流入
量がヘッドからインクを吐出する量(インク吐出量)以上であれば、インクがヘッドから
流出してインク循環路へ戻り、インクが循環する。なお、インク流入量がインク吐出量の
2倍以上であれば、インク流出量はインク吐出量の1倍以上となる。
以下、上記のインク供給装置について図面を用いて説明する。図3は、本実施形態のイ
ンクジェット記録装置が備えるインク供給装置10の一例を示す概略正面図である。
(1.装置構成)
インク供給装置10は、インクジェット記録装置のうち、インクカートリッジ50とヘ
ッド60との間に位置するものである。インク供給装置10は、インクカートリッジ50
と、インク循環路80を含むインク経路51と、サブタンク70と、加温機構90と、脱
気機構100と、ヘッド60と、を備える。ヘッド60は前述のヘッドユニット30に属
するものでもある。
インクカートリッジ50は、紫外線硬化型インクを収容するためのものである。ホルダ
ー52はインクカートリッジ50を装着するものである。インク経路51は、インク循環
路80を含む、インクがインクカートリッジ50からヘッド60までに通過する流路であ
る。換言すると、インク容器であるインクカートリッジ50からヘッド60にインクを供
給するインク経路51の少なくとも一部が、インクを循環させるインク循環路80である
。インク経路51のうち、インクカートリッジ50とサブタンク70との間の配管には、
ホルダー52と、バルブ53と、供給ポンプ54と、フィルター55と、が設けられてい
る。
バルブ53は、インクを収容したインクカートリッジ50がホルダー52に装着される
と、開くようになっている。供給ポンプ54は、バルブ53が開くと、インクカートリッ
ジ50からインク経路51へインクを押し出すものである。インク経路51は、供給ポン
プ54によりインクカートリッジ50から押し出されたインクを、インク中の異物をろ過
するフィルター55を介して、サブタンク70に供給するものである。加圧ポンプ56は
、サブタンク70を加圧し、サブタンク70からインク循環路80にインクを供給するも
のである。
サブタンク70は、液量センサー71がサブタンク70内のインクの液量を検知して、
液量が所定の第1の液量以上になればインク循環路80にインクを供給し、液量が所定の
第2の液量以下になればインクカートリッジ50からインクを受け取るものである。
インク循環路80は、サブタンク70及びヘッド60に通じており、サブタンク70か
らインクが供給されて、当該インクをヘッド60に供給するものである。インク循環路8
0は、フィルター81と、循環ポンプ82と、ヘッドフィルター83と、を有する配管で
ある。サブタンク70から供給されたインクは、循環ポンプ82によりインク循環路80
を循環する。フィルター81はインク循環路80の循環ポンプ82の下流に設けられ、イ
ンク中の異物をろ過するものである。インク循環路80の一部はヘッド60内に設けられ
、インク中の異物をろ過するヘッドフィルター83を介して、循環するインクの少なくと
も一部がヘッド60より吐出されるようになっている。
加温機構90及び脱気機構100は、インク循環路80の途中、即ちサブタンク70及
びヘッド60の間にそれぞれ位置する。
加温機構90は、インク循環路80のうち少なくともヘッド60に接続する位置以外の
位置に設けられている。ここで、上記の「インク循環路80のうちヘッド60に接続する
位置」は、図3で言うと、ヘッド60の外部にあるインク循環路80の結合部に相当する
。加温機構90は、温水タンク91の温水を温水循環ポンプ92により温調モジュール9
4と温水タンク91との間を循環させつつ、温調モジュール94によりインク循環路80
のインクを加温するものである。温水タンク91のヒーター93は、循環するインクの温
度を目標温度に調整するものである。
脱気機構100は、インク循環路80の温調モジュール94より下流側であってヘッド
60より上流側に設けられている。脱気モジュール102は、インクが流入する脱気室(
図示せず)と、インクなどの液体を通さない分離膜を介して当該脱気室に接する減圧室(
図示せず)と、を備える。負圧ポンプ101は上記減圧室を減圧するものである。上記減
圧室が減圧されると、インク循環路80内のインクの溶存空気量が減少して気泡が除去さ
れる。このようにして、脱気機構100はインク循環路80内のインクを脱気するもので
ある。
ヘッド60は、被記録媒体に向けてインクを吐出するためのものである。ヘッド60は
、インクを吐出するノズル(図示せず)と、ノズルが形成されたノズル面を有するノズル
プレートと、ノズルに連通しインクを収容するキャビティー(図示せず)と、インクの逆
流を防止するリザーバー(図示せず)と、キャビティーに収容したインクに吐出の駆動力
を付与して吐出に適したインクの液滴を形成し、当該液滴をノズルから吐出させる吐出駆
動部(図示せず)を備える。図3において例えば、キャビティーは圧力発生室であり、吐
出駆動部は圧電素子である。キャップ61は、記録装置を使用しない場合にノズル近傍に
付着しているインクの乾燥を防止するため、ヘッド60のノズルを保護するものである。
図3では、インク循環路80において、ヘッド60が4個並列に設けられている。この
ように、インク循環路80からインクが供給されるヘッド60が複数個あり、当該複数個
のヘッド60からインクを吐出することが好ましい。この場合、後述するように、複数個
のヘッド60に対しインク循環路80は1つであるため、インク循環路80や温調モジュ
ール94を共通化させて、4個のヘッド60に供給するインクの温度を均一化でき、かつ
、記録装置を低コスト化することもできる。
なお、後記の実施例で実証しているように、本実施形態の記録装置によれば、複数個の
ヘッドを備えて記録可能な幅を長くした場合でも、インク流入量を所定値に設定すること
で、吐出量安定性に優れる。
(2.装置の動作)
まず、インクの初期充填が行われる。インクを収容するインクカートリッジ50がホル
ダー52に装着されると、バルブ53が「開」にされ、供給ポンプ54によりインクが、
インクの異物をろ過するフィルター55を介して、サブタンク70に供給される。サブタ
ンク70のインク液量が所定の第1の液量以上になったことが液量センサー71によって
検出されたら、供給ポンプ54を停止し、バルブ53を「閉」にする。加圧ポンプ56に
よりサブタンク70を加圧し、サブタンク70からインク循環路80にインクを供給する
。ここで、インク循環路80に完全にインクを充填する前に、サブタンク70の液量が所
定の第2の液量(即ち、所定の第1の液量より少ない量)を下回ったら、一旦、加圧ポン
プ56を停止してサブタンク70を常圧に戻す。それから上記と同様にして、再度インク
カートリッジ50からサブタンク70にインクを供給し、再度サブタンク70からインク
循環路80にインクを供給する。このような動作を繰り返すことにより、インク循環路8
0にインクが完全に充填されたら、加圧ポンプ56を停止しサブタンク70を大気圧に戻
して、サブタンク70の液量が所定の第1の液量以上となるように、再度インクカートリ
ッジ50からサブタンク70にインクを供給する。このようにして、インクの初期充填を
完了させる。
インクの初期充填が完了した場合、続いて循環ポンプ82によりインクがインク循環路
80を循環する。予めヒーター93がオン状態にされている加温機構90は、温水循環ポ
ンプ92によって、温調モジュール94と温水タンク91との間で温水タンク91の温水
を循環させる。そして、温調モジュール94が、インク循環路80を循環するインクを加
温する。インク循環路80の循環ポンプ82の下流に設けられたフィルター81がインク
の異物をろ過する。脱気機構100における脱気モジュール102は、インクが流入する
脱気室(図示せず)と、空気などの気体を通してインクなどの液体を通さない分離膜を介
して当該脱気室に接する減圧室(図示せず)と、を備える。負圧ポンプ101により減圧
室が減圧されると、脱気室内のインクに含まれる気泡や溶存空気は分離膜を通って減圧室
に逃げるため、インク循環路80のインクは溶存空気量が低下し気泡が除去される。脱気
モジュール102は4個が並列して設けられているため、脱気効率が高くなり、インク循
環を行いながらインクを脱気することができる。脱気機構100を温調モジュール94よ
り下流側に設けることで、インク循環路80の中でも最もインク温度の高い位置で脱気す
ることができる。そのため、インクの脱気効率が非常に高く、かつ、循環ポンプ82より
下流側に脱気モジュール102があることによってインクの圧力が高い位置で脱気するこ
とができ、脱気効率を顕著に高くすることができる。
なお、インク循環路80において、ヘッド60が4個並列に設けられている。ヘッド6
0内のインク循環路80には、インクの異物をろ過するヘッドフィルター83より下流側
にリザーバー(図示せず)が設けられている。ヘッドへ流入し当該リザーバーを通過した
インクは再びヘッド60の外へ流出し、各ヘッド60から外へ出たインクはインク循環路
80の結合部で合流してサブタンク70に還流する。リザーバーは1ヘッド当たり600
個設けられた圧力発生室(図示せず)へ接続されており、各圧力発生室は、室ごとに設け
られた圧電素子(図示せず)が個別に駆動されることにより、圧力発生室の容積を変える
ことができる。また、圧力発生室ごとにノズル(図示せず)が設けられており、インクを
ノズルから外へ吐出することができる。ヘッド4個に対しインク供給装置は共通であるた
め、インク循環路80や温調モジュール94を共通化させることにより、4つのヘッド6
0に供給するインクの温度を均一化でき、かつ、記録装置を低コスト化することもできる
。サブタンク70に還流したインクは再びインク循環路80へ循環される。リザーバーを
構成する部材を接着してヘッド60を組み立てる際、前述のエポキシ樹脂の接着剤が用い
られている。なお、図3では、インク循環路80はヘッド60内を通過しているが、イン
ク循環路がヘッド内を通過せずにヘッドの外を通過して、当該ヘッドの外を通過するイン
ク循環路からヘッド内のリザーバーへインクを供給してもよい。この場合にインクが循環
するのは、ヘッドの外を通過するインク循環路までである。だがこの場合も、当該インク
循環路へ流入するインクをヘッドへ流入するインクとし、当該インク循環路から流出する
インクをヘッドから流出するインクとする。
続いて、印刷開始前の準備を行う。インクの循環が15分間行われて、インク循環路8
0内のインク温度を安定化させる。インク温度は、ノズル付近に設けられた温度センサー
(図示せず)によりノズルの温度として検出され、温水タンク91のヒーター93を制御
することにより、印刷前及び印刷中に亘って目標温度に調整されている。印刷準備が完了
したら、圧電素子を個別に駆動することによりノズルからインクを吐出して印刷が開始さ
れる。
インク循環路80のインク流入量は、前述のように、印刷中、ヘッドからインクを吐出
する吐出量よりも多いことが好ましい。インク流入量及び吐出量をこのような関係とする
ためには、インク流入量が上述の最大インク吐出量よりも多くなるようにするとよい。ま
た、上述したように、インク流入量は、最大インク吐出量より多いことがより好ましく、
最大インク吐出量の2倍以上であることがさらに好ましい。インク循環路80からヘッド
60に流入するインク流入量をA(mL/分)、全てのヘッド60の全ノズルが、印刷時
の最大駆動周波数で駆動して、印刷中に吐出され得る1駆動当たりの最大のインクの量で
インクを吐出するとした場合の吐出量である最大インク吐出量B(mL/分)、ヘッド6
0が最大インク吐出量で吐出している場合のヘッド60からインク循環路80に流出する
インク流出量をC(mL/分)とする。このとき、下記数式(イ)を満たすように設定さ
れる。
A≧2B=2(A−C) ・・・(イ)
インク流入量が上記数式(イ)を満たすように設定されインクが循環することで、イン
ク温度及び脱気度をより安定化させることができる。また、このような印刷準備を行うこ
とにより、印刷開始前から既に、インク温度及び脱気度を安定化させておくことができる
。なお、ヘッドの吐出量は、最大で、上記の最大インク吐出量になり得るものである。だ
が、実際の印刷中の吐出量は記録すべき画像に応じたノズルごとの駆動の有無など、吐出
の状態によって変化しうるものであり、この変化に応じて実際のインク流出量も変化しう
る。上記のインク流入量に関する設定情報は、予めインクジェット記録装置の最大インク
吐出量などに基づき決定され、前述のメモリー123等に記憶されており、コントローラ
ー120によって当該情報に基づきインク流入量の制御が行われる。なお、最大インク吐
出量は上述の条件で吐出を行い把握すればよい。また、ヘッド60の1個当たりの最大イ
ンク吐出量をD(mL/分)とした場合、「B=4D」である。印刷中、インクの吐出に
伴いサブタンク70の液量は徐々に消費される。そこで、サブタンク70の液量が常に所
定の第1の液量以上となるよう、印刷中、供給ポンプ54によって常時、インクがサブタ
ンク70に供給される。また、図3に示すインク供給装置10は備えていないが、印刷中
のインク温度を安定化させるために、供給ポンプ54及びサブタンク70の間のインク経
路51のうち任意の位置に、温調モジュールをさらに備えてもよい。
このように、本実施形態によれば、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出
安定性及び吐出量安定性(短期及び長期)に優れ、さらに紫外線硬化型インクに含まれる
光重合開始剤の溶解性、紫外線硬化型インクの硬化性、及び硬化シワ抑制にも優れたイン
クジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置を提供することができる。
[紫外線硬化型インク]
また、本発明の一実施形態は、上記実施形態のインクジェット記録方法及びインクジェ
ット記録装置に用いることのできる紫外線硬化型インクに係る。上述のように、当該紫外
線硬化型インクは、28℃での粘度、並びに吐出温度及び当該温度における粘度がそれぞ
れ所定の範囲であることを特徴とする。当該粘度を所定の範囲とするためのインクは、上
述したようなインク設計方法により設計することができる。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」とも言う。)に含まれ
るか、又は所望により含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
本実施形態のインクに含まれる重合性化合物は、単独で、又は後述する光重合開始剤の
作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。その
他の重合性化合物としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能とい
った種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽
和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニ
トリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド
、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖ア
クリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アク
リレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳
香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる
上記の中でも、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい
。当該(メタ)アクリレートの中でも、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(
メタ)アクリル酸エステル類及びその他の単官能(メタ)アクリレートのうち少なくとも
いずれかが好ましく、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がより好
ましく、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びその他の単官能(
メタ)アクリレートがさらに好ましい。
以下、これらの(メタ)アクリレートを中心として、重合性化合物を詳細に説明する。
(1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類)
本実施形態のインクは、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)ア
クリル酸エステル類を含むことが好ましい。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であ
り、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
インクが当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することによ
り、インクを低粘度化することができ、インクの硬化性を優れたものとすることができ、
かつ、硬化シワの発生を効果的に防止することができる。さらに言えば、ビニルエーテル
基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニ
ルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、イ
ンクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基として
は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構
造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよ
い炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族
基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、
及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロ
ピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合
による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基として
は、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素
数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又
はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6
〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含
む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基であ
る場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、
以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素
原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に限定されな
いが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニ
ロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アク
リル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)ア
クリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチ
ルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリ
ル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチ
ル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−
ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシル
メチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アク
リル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシ
メチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メ
タ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロ
キシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、
(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビ
ニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ
)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(
ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソ
プロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソ
プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル
、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)ア
クリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−
(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニ
ロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ
イソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエ
トキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポ
キシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)
エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチ
ル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸
2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロ
ペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキ
シエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコ
ールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニル
エーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に
優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸
2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル
のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルが
より好ましい。特にアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−
(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、イン
クを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)
エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ
)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニ
ロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及
びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2
−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチ
ルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、1種単独で用いてもよく、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸2
−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して
、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が
さらに好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、インクを低粘度化でき、かつ
、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方、当該含有量が上記の上限
値以下であると、インクの保存安定性を良好な状態に維持することができ、硬化シワの発
生を一層効果的に防止することができる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の製造方法としては、以下に
限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方
法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステ
ル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエ
ステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテル
とをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテ
ルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハ
ロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アク
リル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メ
タ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)
が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが
好ましい。
(2.単官能(メタ)アクリレート)
本実施形態のインクは、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。ここで、
本実施形態のインクが上述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(但し
、単官能(メタ)アクリレートであるものに限る。)を含む場合、当該ビニルエーテル基
含有(メタ)アクリル酸エステル類も上記単官能(メタ)アクリレートに含まれるものと
するが、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類についての説明は省略
する。以下では、上述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官
能(メタ)アクリレートについて説明する。インクが当該単官能(メタ)アクリレートを
含有することにより、インクを低粘度化することができ、かつ、光重合開始剤その他の添
加剤の溶解性及びインクの硬化性が共に優れたものとなる。さらに言えば、光重合開始剤
その他の添加剤の溶解性が優れたものとなることに起因してインクの吐出安定性が優れた
ものとなり、また塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増す。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリ
レート、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、
イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリ
レート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アク
リレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ
)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン
変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、
ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)ア
クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリ
レート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO
変性(メタ)アクリレート、が挙げられる。
上記の中でも、硬化性、保存安定性、及び光重合開始剤の溶解性に一層優れるため、分
子中に芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。芳香環骨格を有する
単官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、フェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレー
トが好ましく挙げられる。これらの中でも、インクを低粘度化することができ、かつ、硬
化性、耐擦性、密着性、及び光重合開始剤の溶解性のいずれも優れたものとすることがで
きるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートの
うち少なくともいずれかが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ま
しい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリ
レートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリ
レートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、10〜75質量%が好まし
く、10〜55質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。当該含有量
が上記の下限値以上であると、硬化性に加えて光重合開始剤の溶解性も一層優れたものと
なる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、硬化性に加えて密着性も一層優れ
たものとなる。
また、上記インクが上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(但し、
単官能(メタ)アクリレートであるものに限る。)を含む場合、これを含む単官能(メタ
)アクリレートの含有量の合計は、インクの総質量(100質量%)に対し、35〜90
質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。当該含有量が上記範囲内であると
、インク粘度、具体的に言えば28℃でのインク粘度及び吐出温度でのインク粘度の双方
を、上述した所望の範囲としやすくなる。
(3.上記以外の重合性化合物)
本実施形態のインクは、上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」と
いう。)をさらに含有してもよい。その他の重合性化合物としては上述のモノマー及びオ
リゴマーが挙げられるが、中でも2官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナン
ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
メチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチ
レンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレン
オキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレー
トが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ
)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロー
ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレー
ト、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の重合性化合物がインクに含まれる場合、その含有量は、インクの総質量(10
0質量%)に対し、5〜50質量%が好ましい。特に、インクが2官能の(メタ)アクリ
レートを含む場合、2官能の(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100
質量%)に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。当該含
有量が上記範囲内であると、インクの硬化性や硬化物の耐擦性が優れたものとなり、イン
クの粘度を所望の粘度に設計しやすい。また、重合性化合物の単体の粘度が比較的低い単
官能(メタ)アクリレート、中でも特に粘度が低い上記ビニルエーテル基含有(メタ)ア
クリル酸エステル類と、比較的粘度が高いその他の重合性化合物と、を組み合わせること
が好ましい。これにより、インクの粘度を所望の粘度に設計しやすくなる。
なお、重合性化合物として光重合性の化合物を用いることにより、光重合開始剤の添加
を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整す
ることができ、好適である。
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインクは、光重合開始剤を含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の
照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成
するために用いられる。光の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、
且つ光源ランプのコストを抑えることができる。紫外線のエネルギーによって、ラジカル
やカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、
制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中
でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィン
オキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサント
ン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケ
トオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活
性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げ
られる。
これらの中でも、特にインクの硬化性を一層良好にすることができるため、アシルフォ
スフィンオキサイド化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケ
タール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェ
ニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アン
トラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロ
ロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフ
ェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ
ン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−
クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホ
リノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォ
スフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオ
キサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2
−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1
−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2
959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{
4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2
−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−
メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 3
69(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノ
ン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフ
ェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DA
ROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオ
キサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−
フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−
シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−
1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オク
タンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、I
RGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾ
イル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRG
ACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシ
エトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチ
ルエステルの混合物)(以上、BASF社製商品名)、KAYACURE DETX−S(2
,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)
、Speedcure TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォ
スフィンオキサイド)、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサンテ
ン−9−オン)(以上、Lambson社製商品名)、Lucirin TPO、LR8893
、LR8970(以上、BASF社製商品名)、及びユベクリルP36(UCB社製商品名)な
どが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化速度を向上させて硬化性を優れたものとすること
ができ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けるため、イ
ンクの総質量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましい。
特に、光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド化合物を含む場合、その含有量は
、インクの総質量(100質量%)に対して、5〜15質量%であることがより好ましく
、7〜13質量%であることがさらに好ましい。含有量が上記の下限値以上であると、硬
化性に一層優れる。より具体的に言えば、特にLED(好ましい発光ピーク波長:360
nm〜420nm)による硬化の際に十分な硬化速度が得られるため硬化性に一層優れる
。一方、含有量が上記の上限値以下であると、光重合開始剤の溶解性に一層優れる。
〔蛍光増白剤〕
本実施形態のインクは、蛍光増白剤(増感剤)を含んでもよい。蛍光増白剤は、紫外〜
短波可視である300〜450nm付近の波長を有する光を吸収可能であり、且つ400
〜500nm付近の波長を有する蛍光を発光可能な無色ないし弱く着色した化合物である
。蛍光増白剤は、蛍光性白化剤(Fluorescent Whitening Agen
t)としても知られている。蛍光増白剤の物理的原理及び化学性の記述は、Ullman
n’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,S
ixth Edition,Electronic Release,Wiley-VCH
1998に示されている。
本実施形態のインクが蛍光増白剤を含むことにより、硬化性を一層優れたものとできる
蛍光増白剤として、以下に限定されないが、例えば、1,4−ビス−(2−ベンゾオキ
サゾイル)ナフタレン等のナフタレンベンゾオキサゾイル誘導体、2,5−チオフェンジ
イルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール)等のチオフェンベンゾオ
キサゾイル誘導体、スチルベンベンゾオキサゾイル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビ
フェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゼン及びビフェニルのスチ
リル誘導体、ビス(ベンザゾールー2−イル)誘導体、カルボスチリル、ナフタルイミド
、ジベンゾチオフェン−5,5’−ジオキシドの誘導体、ピレン誘導体、及びピリドトリ
アゾールが挙げられる。
蛍光増白剤の市販品として、例えば、ホスタルックス KCB(クラリアント(Claria
nt)社製商品名、1,4−ビス−(2−ベンゾオキサゾイル)ナフタレン)、TINOP
AL OB(BASF社製商品名、2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチ
ル−1,3−ベンゾキサゾール))等が挙げられる。
蛍光増白剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また
、蛍光増白剤は、インクの総質量(100質量%)に対し、0.1〜0.5質量%が好ま
しい。当該含有量が上記範囲内であると、蛍光増白剤自身が及ぼし得る、硬化膜の色相へ
の影響を軽減できる。
〔色材〕
本実施形態のインクは、色材を含んでもよい。色材としては、顔料及び染料のうち少な
くとも一方を用いることができる。
(1.顔料)
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料
は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャ
ネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化
チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等
のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キ
ナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタ
ロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キ
レート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニト
ロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、
21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3
、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、3
7、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98
、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、
129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、
180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、2
1、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、4
8(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144
、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177
、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245
、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43
、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、1
5、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、
60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメ
ント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I
.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,
38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜20
0nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インクにおける吐出安定性
や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することがで
きる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(2.染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性
染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例え
ば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシ
ッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9
,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラ
ック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58
,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,8
0,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,8
7,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,
71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,5
5,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インクの総質量(100
質量%)に対して、1〜20質量%が好ましい。
〔分散剤〕
本実施形態のインクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散
剤を含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔
料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオ
キシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル
系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ア
ミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹
脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の
素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、アビシア社(Avecia Co.)か
ら入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 32000,36000等〔
以上、商品名〕)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠
本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、分
散剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔重合禁止剤〕
本実施形態のインクは、重合禁止剤を含んでもよい。インクが重合禁止剤を含有するこ
とにより、硬化前における上記重合性化合物の重合反応を防止できる。
重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えばフェノール系重合禁止剤が挙げられ
る。当該フェノール系重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシ
フェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒド
ロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シトルエン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル
−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)が挙げられる。
フェノール系重合禁止剤の市販品としては、例えば、p−メトキシフェノール(東京化
成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、p−メトキシフェノール)
、ノンフレックスMBP(精工化学社(Seiko Chemical Co.,Ltd.)製商品名、2,2’
−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール))、BHTスワノックス(
精工化学社製商品名、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお
、重合禁止剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔界面活性剤〕
本実施形態のインクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定さ
れないが、例えば、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。当該シリコーン系界面活性剤
として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンが好ましく挙げられ
、これらの中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン及びポリエステル変性ポリ
ジメチルシロキサンのうち少なくともいずれかがより好ましい。スリップ剤の市販品とし
ては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、
3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお
、界面活性剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔その他の添加剤〕
本実施形態のインクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。こ
のような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進
剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤と
して、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレー
ト剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出
安定性及び吐出量安定性(短期及び長期)に優れ、さらに硬化シワ抑制にも優れた、イン
クジェット記録方法に用いられる、硬化性及び光重合開始剤の溶解性に優れた紫外線硬化
型インクを提供することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこ
れらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔重合性化合物〕
・2−MTA(2−メトキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC
CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート)
・4−HBA(4−ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、単官
能(メタ)アクリレート)
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon S
hokubai Co., Ltd.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「VEEA」と記載
した。)
・ニューフロンティアPHE(フェノキシエチルアクリレート、第一工業製薬社(Dai-ic
hi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「PEA」
と記載した。)
・V#160(ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、単官能(メタ)ア
クリレート、以下「BZA」と記載した。)
・A−DPH(トリプロピレングリコールジアクリレート、2官能(メタ)アクリレート
、新中村化学社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO.、LTD.)製商品名、以下「TPGDA」
と記載した。)
・SR295(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、4官能(メタ)アクリレート
、サートマー社(Sartomer Company Inc.)製商品名)
〔光重合開始剤〕
・Lucirin TPO(BASF社製商品名、以下「TPO」と記載した。)
〔蛍光増白剤〕
・ホスタルックス KCB(1,4−ビス−(2−ベンゾオキサゾイル)ナフタレン、ク
ラリアント(Clariant)社製商品名)
〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製
商品名、p−メトキシフェノール、以下「MEHQ」と記載した。)
〔界面活性剤〕
・BYK−UV3500(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製、以下
「BYK3500」と記載した。)
〔色材〕
・Cyanine Blue KRO(C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシア
ニン顔料)、山陽色素社(SANYO COLOR WORKS, Ltd.)製商品名、顔料粒径80nm、以
下「ブルー15:3」と記載した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 32000(アビシア(Avecia)社製商品名、以下「SOL32
000」と記載した。)
[紫外線硬化型インクA〜Lの調製]
下記表1に記載の各材料を、表1に記載の含有量(単位:質量%)となるように添加し
、これを高速水冷式撹拌機で撹拌することにより、紫外線硬化型インクA〜Lを得た。
[測定・評価項目]
〔1.28℃でのインクの粘度ランク〕
DVM−E型回転粘度計(東京計器社製)を用いて、上記で調製した各インクの、28
℃での粘度を測定した。
ローターは、コーン角度1°34’、コーン半径2.4cmのDVM−E型用コーンを
使用した。回転速度は10rpmとした。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:8mPa・s未満であった。
B:8mPa・s以上10mPa・s以下であった。
C:10mPa・sを超えて12mPa・s以下であった。
D:12mPa・sを超えて15mPa・s以下であった。
E:15mPa・sを上回った。
〔2.光重合開始剤の溶解性評価〕
上記で調製した各インクを室温で30分間撹拌した。撹拌後、光重合開始剤の溶け残り
の有無を目視で観察した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。なお、表1において本評
価欄を「開始剤溶解性」と略記した。
A:光重合開始剤の溶け残りが見られなかった。
B:光重合開始剤の溶け残りが見られた。
〔3.インクの硬化性評価〕
ルミラー#125−E20(東レ社製商品名、PETフィルム)に、テスター産業社(
TESTER SANGYO CO., LTD.)製のバーコーターで、上記の各インクを塗布した。塗布した
膜厚は硬化後で10μmであった。次に、波長395nmにピークを有するLED(Fi
refly〔商品名〕、Phoseon社製)から、照射ピーク強度1,000mW/c
2の紫外線を、塗布したインクに所定の時間、照射し、硬化したインク塗膜を得た。照
射後、荷重100gの条件下で上記インク塗膜の表面をジョンソン&ジョンソン社製の綿
棒で20往復擦り、上記所定の時間を変えて、擦過痕がつかなくなるまでに要した照射エ
ネルギーを測定した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:300mJ/cm2以下であった。
B:300mJ/cm2を超えて400mJ/cm2以下であった。
C:400mJ/cm2を上回った。
Figure 0006477746
なお、紫外線硬化型インクA,B,C,D,E,F,G,K,及びLは実施例として使
用できるインクに相当し、紫外線硬化型インクH,I,及びJは比較例に用いられるイン
クに相当する。
以下、各実施例及び各比較例における記録方法について説明する。
[実施例1〜13,比較例2,4,5,9]
図3のインク供給装置を備え、図2に示す、被記録媒体の画像が記録されるべき幅(被
記録幅)にほぼ相当する長さを有し4個のヘッド60を幅方向に並べて構成されるライン
ヘッドを備えるラインプリンターを使用した。ヘッドのノズル密度は600dpiとした
インク循環装置に備えたヒーターは、ヘッドのノズルプレートに設けた熱電対にてノズ
ルプレートの温度を測定して、吐出されるインクの温度(吐出温度)が下記の表2〜表4
に記載した温度になるよう、実施例及び比較例ごとにヒーターの加熱温度を調整し、ヘッ
ドから連続吐出60分中の5分ごとに温度測定して平均温度が当該実施例及び比較例の各
温度になっていることを確認し、当該平均温度をインクの吐出温度とした。
インク供給装置は、サブタンクへインクを供給するインク供給管の直径、並びにサブタ
ンク及びヘッドを結ぶインク循環路のインク管の直径を、共に6mmとし、インク循環路
を全長1mとし、サブタンクの容量を100mLとした。ヘッド1個当たりの最大インク
吐出量Dは10mL/分であり、かつ、ヘッドを4個備えるため、インク供給装置の最大
インク吐出量Bは40mL/分であった。インク流入量Aを80mL/分に設定し当該イ
ンク流入量でインクを循環させた。インク供給装置が最大インク吐出量でインクを吐出し
ているときのインク流出量Cは40mL/分となる。
図2に示す記録装置のヘッドYに各インクを充填した。なお、図2に示すその他のヘッ
ドは使用しなかった。
[比較例1,3,6〜8]
ヒーターをオフにして温度調整をしなかった点以外は、上記実施例1等と同様にして記
録を行った。このとき、ノズル温度は25℃であった(インク温度25℃)。
[実施例14〜16,比較例11]
インク流入量Aを変更し、「インク流入量A/最大インク吐出量B」を下記表3及び表
4に記載した数値とした点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。
[比較例10]
ヒーターをオフにして温度調整をせず、かつ、インク流入量Aを変更し、「インク流入
量A/最大インク吐出量B」を下記表4に記載した数値とした点以外は、上記実施例1等
と同様にして記録を行った。このとき、ノズル温度は25℃であった(インク温度25℃
)。
[実施例17]
循環路中の加温装置をオフにして、代わりに、ヘッドにヒーターを搭載しヘッドを加温
することでインク温度が33℃となるようにした点以外は、上記実施例1等と同様にして
記録を行った。
なお、ヘッドのヒーターは、特開2003−200559号の図2に示されたようにヒ
ーターをヘッドに取り付け、リザーバーを含むヘッドを加温するものである。
[実施例18]
ヘッドを4個から1個に変更した点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った
。具体的に言えば、ヘッド1個のみ吐出させ、ヘッド3個は吐出させずインクの流入も遮
断した。インク流入量Aはヘッド1個の吐出量(10mL/分)の2倍とした。よって、
実施例18におけるインク流入量Aは20mL/分であった。
[実施例19〜21]
硬化シワ評価における照射ピーク強度を1,000mW/cm2から500mW/cm2
に変更した点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。
[測定・評価項目]
〔1.吐出時のインクの粘度ランク〕
測定温度を下記表2〜表4の吐出温度とした点以外は、前述の28℃でのインクの粘度
ランクと同様にして、各インクの吐出時における粘度を測定した。
評価基準は前述の28℃でのインクの粘度ランクと同様である。評価結果を下記の表2
〜表4に示す。
〔2.吐出安定性評価〕
1ヘッドの全ノズルを5分間吐出させた場合の、不吐出ノズルの本数で評価を行った。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:不吐出ノズルが2個以下であった。
B:不吐出ノズルが3〜5個であった。
×:不吐出ノズルが6個以上であった。
〔3.短期の吐出量安定性の評価〕
全ノズル使用して最大インク吐出量で60分間吐出した。ヘッドの下部にインク受けを
設置し、吐出中の5分ごとに、インク受けの質量から吐出されたインクの質量を測定し、
インク受けに吐出したインク滴数から1インク滴あたりの吐出質量を求め、60分間の吐
出質量の最小と最大の差を60分間の平均吐出質量に対する質量%で算出した。
なお、ヘッドは4個備えており、4個のヘッドはそれぞれノズルを600個備えており
全ヘッドの全ノズルを使用して吐出を行った。ただし、実施例18はヘッド1個を評価対
象とした。また、吐出不良による不吐出ノズルは吐出ノズルとして扱わず、吐出したノズ
ルを吐出質量の測定対象とした。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2
〜表4に示す。
A:3質量%以下であった。
B:3質量%を超えて5質量%以下であった。
C:5質量%を上回った。
〔4.長期の吐出量安定性の評価〕
上記短期評価を1日1回として10日間、即ち10回行った。そして、当該10回の吐
出質量の平均に対する、当該10回の評価(試験)中の吐出質量の最小と最大の差を、質
量%で算出した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:3質量%以下であった。
B:3質量%を超えて5質量%以下であった。
C:5質量%を上回った。
〔5.ヘッドの耐久性評価〕
ヘッドの耐久性は、接着剤の膨潤率を測定・算出することにより評価した。
エポキシ樹脂の接着剤(シェル(shell)社製のエポキシ樹脂であるEPIKOTE
828及びコグニス(COGNIS)社製の硬化剤であるVERSAMID 125を等量混合
したもの)を約0.2g硬化させ接着剤片を作成し重量を測定した。その後、スクリュー
管に入れた各インク中に、上記接着剤片を浸漬して蓋をし、6か月間放置した。放置中の
温度は、下記の表2〜表4に記載した、各インクの吐出温度とした。放置後、接着剤片を
取り出しインクをよく洗い流した後、重量を測定した。そして、膨潤率は下記の数式より
算出した。
重量変化率(%)={(投入後重量−投入前重量)/投入前重量}×100
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:50%未満であった。
B:50%以上であった。
〔6.硬化シワ評価〕
図2のヘッド及び各仮硬化用光源42a〜42dは使用せず、本硬化用光源に395n
mにピーク波長を有する照射ピーク強度1000mW/cm2のLEDを配置して、前述
のインクの硬化性評価と同様にフィルムにインクをバーコーターで塗布し、フィルムを本
硬化用光源に搬送してインクに向けて照射を行った。照射時間を調整して、硬化性試験と
同じ試験方法で硬化するまで照射するような照射エネルギーとした。ただし、インクの硬
化後の膜厚は12μmとした。
そして、目視で硬化膜の表面を観察した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を
下記の表2〜表4に示す。
A:シワが全く発生していなかった。
B:シワが硬化膜の一部の領域で発生していた。
C:シワが硬化膜の表面の全体に発生していた。
Figure 0006477746
Figure 0006477746
Figure 0006477746
以上の結果より、28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを
吐出する吐出工程と、当該インクを硬化させる硬化工程と、を含み、吐出工程は、該吐出
される紫外線硬化型インクの温度が28〜40℃であり、かつ、該温度における紫外線硬
化型インクの粘度が15mPa・s以下であるインクジェット記録方法(各実施例)は、
そうでない記録方法(各比較例)に比して、吐出安定性、吐出量安定性、及びヘッドの耐
久性に優れ、さらにインクに含まれる光重合開始剤の溶解性、インクの硬化性、及び硬化
シワ抑制にも優れることが分かった。ここで、硬化性及び硬化シワは、加温温度による差
が無かった。また、吐出量安定性は、インク供給装置における「インク流入量/最大イン
ク吐出量」の値が大きいほど優れ、特に当該値を2倍以上とすることにより、吐出量の変
動を効果的に抑えられることが分かった。以下、上記の結果に基づき考察を行うが、当該
考察は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
まず、吐出時のインクの粘度が8〜12mPa・sである場合、即ち当該粘度の評価結
果が「B」又は「C」である場合、当該インクを用いた記録方法は、吐出安定性が一層優
れたものになると推測される。ただし、紫外線硬化型インクKは上記表1に示すように、
光重合開始剤の溶解に時間がかかる傾向が見られ、光重合開始剤の溶解性が若干劣ってい
た。そのため、紫外線硬化型インクKを用いた記録方法は、光重合開始剤が析出すること
により、吐出安定性が若干劣る結果となったものと推測される。
また、実施例9及び比較例9の対比から、28℃で粘度が8mPa・s以上の場合、ヘ
ッドの耐久性に優れることが推測される。また、実施例2及び実施例14の対比、実施例
8及び実施例15の対比、並びに実施例11及び実施例16の対比から、用いたインク及
び吐出温度が同じであるが「インク流入量/最大インク吐出量」の値がより大きい例の方
が吐出量安定性に優れることが推測される。一方、比較例3及び比較例10は、用いたイ
ンク及び吐出温度が同じである一方、「インク流入量/最大インク吐出量」が異なるが、
評価結果は同じであった。このことから、インクを加温しない場合、「インク流入量/最
大インク吐出量」が異なっても評価結果に影響はないことが推測される。
また、比較例5及び比較例11は、用いたインク及び吐出温度が同じであるが「インク
流入量/最大インク吐出量」の値が異なり、評価結果は同等であった。これは、吐出温度
が40℃を超えるほど高い場合には、循環路のインク温度変動が大きく、「インク流入量
/最大インク吐出量」を2.5倍としても評価結果をより良好なものとするには不十分で
あると推測される。したがって、吐出温度が40℃以下の場合、「インク流入量/最大イ
ンク吐出量」が多いほど吐出量安定性(短期、長期)が優れたものとなることが推測され
る。
また、実施例2及び実施例17は、インクの加温位置をそれぞれ循環路及びヘッドに搭
載したヒーターとしたものである。インクの加温位置は循環路とした方が吐出量変動がよ
り良好であることが分かった。
また、実施例1及び実施例18は、ヘッドの個数をそれぞれ4個及び1個としたもので
ある。ヘッドを1個とした方が吐出量安定性(短期、長期)に一層優れることが分かった
が記録可能な幅は狭くなった。つまり、本発明の記録方法は、複数個のヘッドを備えて記
録可能な幅を長くした場合でも、インク流入量を所定値に設定することで、吐出量安定性
に優れることが分かった。
また、実施例2及び実施例19は、照射ピーク強度が異なる点において互いに異なるも
のであるが、照射ピーク強度が大きいほど硬化シワの発生を効果的に防止できることが垂
足される。さらに、実施例11及び実施例20も、照射ピーク強度が異なる点において互
いに異なるものであるが、上記の実施例2及び実施例19の場合と異なり、高粘度のイン
クを用いているため、照射ピーク強度の大小に拘わらず、硬化シワの発生を防止できるも
のと推測される。さらに、実施例7及び実施例21も、照射ピーク強度が異なる点におい
て互いに異なるものであるが、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)ア
クリル酸エステル類を含むインクは照射ピーク強度が大きい場合には硬化シワの発生を防
止できるものと推測される。
また、28℃におけるインク粘度ランクがAであるインクH、I、Jの何れかを用いた
比較例6〜9は、硬化シワ評価が劣っていた。
また、実施例19〜21から、光源の観点より考察すると、照射ピーク強度を1,00
0mW/cm2から500mW/cm2に変更したLEDを用いたところ、硬化シワ評価が
劣るものがあった。
なお、実施例として示していないが、光源としてLEDに替えて照射ピーク強度1,0
00mW/cm2のメタルハライドランプを用いて硬化を行った。その結果、実施例及び
比較例のうち、硬化シワの評価結果がB又はCであった例において、硬化シワ評価が1ラ
ンク優れたものに向上し、硬化性の結果も一層良好となることが分かった。だが、メタル
ハライドランプの発熱によりフィルムに変形が見られたり、LEDと比べて大型の光源で
あるため設置スペースが必要となったりした。つまり、LEDを用いることは、低発熱及
び省スペースな記録装置とできる点で好ましく、LEDの照射ピーク強度を高くすること
が硬化シワの点でより好ましいことが分かった。
さらに、実施例として示していないが、ラインプリンターに替えて、光源としてピーク
強度500mW/cm2のLEDをキャリッジの横に搭載したシリアルプリンターを用い
た点以外は、実施例1と同様にして記録を行った。用いたシリアルプリンターは、特開2
010−167677号の図2に記載のインクジェットプリンターである。ヘッドのノズ
ル密度は300dpiとし、記録解像度を600dpi×600dpiとし、ただし1パ
ス当たりの記録解像度は300dpi×300dpiとして、被記録媒体の同一被記録領
域へのドットの形成を4パス(主走査方向2パス×副走査方向2パス)行った。その結果
、硬化シワ評価結果はAであったが、シリアルプリンターであるため、記録速度が小さい
ものであることが分かった。つまり、本発明の記録方法によれば、ラインプリンターによ
り高速印刷を行う場合であっても、LEDを用い、かつ、その照射ピーク強度を高くする
ことにより、硬化シワの発生を効果的に防止可能な記録を行うことができることが分かっ
た。
1…プリンター、10…インク供給装置、20…搬送ユニット、25A…上流側ローラ
ー、25B…下流側ローラー、26…搬送ドラム、30…ヘッドユニット、40…照射ユ
ニット、42a,42b,42c,42d…仮硬化用照射部、44…本硬化用照射部、5
0…インクカートリッジ、51…インク経路、52…ホルダー、53…バルブ、54…供
給ポンプ、55…フィルター、56…加圧ポンプ、60…ヘッド、61…キャップ、70
…サブタンク、71…液量センサー、80…インク循環路、81…フィルター、82…循
環ポンプ、83…ヘッドフィルター、90…加温機構、91…温水タンク、92…温水循
環ポンプ、93…ヒーター、94…温調モジュール、100…脱気機構、101…負圧ポ
ンプ、102…脱気モジュール、110…検出器群、120…コントローラー、121…
インターフェイス、122…CPU、123…メモリー、124…ユニット制御回路、1
30…コンピューター、K,C,M,Y…ヘッド、S…被記録媒体。

Claims (21)

  1. 28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、
    前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
    前記紫外線硬化型インクを加温して、吐出される紫外線硬化型インクの温度を28〜40℃とし、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下であり、
    前記紫外線硬化型インクは、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対し10質量%以上75質量%以下と、2官能以上6官能以下の(メタ)アクリレートをインクの総質量に対し5質量%以上50質量%以下と、光重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド化合物と、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、を含有し、
    前記硬化工程を光源として発光ダイオードにより行う、インクジェット記録方法。
    CH 2 =CR 1 −COOR 2 −O−CH=CH−R 3 ・・・(I)
    (式中、R 1 は水素原子又はメチル基であり、R 2 は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R 3 は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
  2. 前記ヘッドとして、被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備える、ライン方式のインクジェット記録装置を用いて記録を行う、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. インク容器から前記ヘッドに前記紫外線硬化型インクを供給するインク経路の少なくとも一部が、前記紫外線硬化型インクを循環させるインク循環路である、インクジェット記録装置を用いて記録を行う、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記インク循環路からヘッドに供給される前記紫外線硬化型インクのインク流入量が、前記ヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する最大インク吐出量の2倍以上である、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記インク循環路のうち少なくとも前記ヘッドに接続する位置以外の位置に、前記紫外線硬化型インクを加温する加温機構を備える、請求項3又は4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インク循環路から前記紫外線硬化型インクが供給されるヘッドが複数個あり、該複数個のヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する、請求項3〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記紫外線硬化型インクは、前記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を、インクの総質量に対し、10〜70質量%含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記紫外線硬化型インクは、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリレートを含有する、
    請求項1〜7の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記発光ダイオードが発光ピーク波長が360〜420nmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記発光ダイオードは、800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射するものである、請求項1〜9の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記ヘッドにおいてエポキシ樹脂が用いられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記紫外線硬化型インクは、2官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対し5質量%以上50質量%以下含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記紫外線硬化型インクは、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対し10質量%以上40質量%以下含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記紫外線硬化型インクは、光重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド化合物をインクの総質量に対し5質量%以上含有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記紫外線硬化型インクは、2官能以上6官能以下(メタ)アクリレートをインクの総質量に対し5質量%以上30.3質量%以下含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記紫外線硬化型インクは、前記アシルフォスフィンオキサイド化合物として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドの何れかを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記吐出される紫外線硬化型インクの温度における紫外線硬化型インクの粘度が10mPa・s超15mPa・s以下である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  18. 前記紫外線硬化型インクの28℃における粘度が8mPa・s以上15mPa・s以下である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  19. 吐出される紫外線硬化型インクの温度を33〜40℃とし、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法で記録を行うインクジェット記録装置。
  21. 請求項1〜19のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いる紫外線硬化型インク。
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