JP6470699B2 - 杭の接続構造 - Google Patents
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Description
しかし、削孔機により形成した削孔が崩壊してしまう問題があった。そこで、特許文献1記載の地山補強工法が提案されている。
しかし、上記何れの従来工法を採用するにしても工数が多くなり、コストが増大するという欠点があった。また、足場の悪い斜面では、重機の使用が制限され、作業の能率が低下するという問題があった。
また、上記貫通孔は、機械加工孔であって、上記ボルトの上記頭部より僅かに大きく形成され、上記貫通孔の直径が、上記ボルトの上記頭部の直径の101%〜105%に設定されているものである。
図1に示すように、本発明の杭の接続構造は、鋼管から成る杭1,1の杭端部2,2を、短筒状の継手3にて相互に接続する際の接続構造である。
一般的に、鋼管の杭端部を機械的に接続する方法としてネジ継手によるものがあるが、図3と図5,図6に示すように、杭1は、定尺の鋼管(ディンプル鋼管)から成り、外周面1Aに、多数の窪み部9が凹設されている為、断面形状が真円とならないのでネジ加工が難しく、ネジ継手を用いて杭端部2,2を接続するのは至難である。窪み部9は、軸心方向に沿って所定のピッチで形成されて、複数列の列状ディンプル群13を形成している。杭1の内周面1Bには、外周面1Aの窪み部9に対応して、長円形状の低突隆部12が複数形成されている。
図3に示すように、杭端部2には、杭軸心C1に直交する一軸心方向の(一対の)貫孔4,4が形成されている。貫孔4は、杭端部2の最端縁部20から長手方向へ所定の長さ寸法L1の位置であって、かつ、杭軸心C1を中心として180°回転対称位置に配設されている。
図4に示すように、継手3は、軸心方向中間部に内鍔部10を備え、内鍔部10によって杭端部2が差込まれる一対の差込筒部6,6が区画形成されている。差込筒部6の各々に、継手軸心C3に直交する一軸心方向の貫通孔5とねじ孔7が、継手軸心C3を中心として180°回転対称位置に貫設されている。
図1に示すように、杭端部2が差込筒部6に差込まれて、内鍔部10に杭端部2の最端縁部20が当接した状態で、貫通孔5とねじ孔7が、貫孔4,4と同一軸心上に対応するように配設されている。即ち、内鍔部10の上下端面10A,10Bから貫通孔5・ねじ孔7までの長さ寸法L0は、杭端部2の最端縁部20から貫孔4,4までの長さ寸法L1と、ほぼ同一に設定されている。なお、図4(a)に示すように、一対の差込筒部6,6に於て、貫通孔5,5が、同じ方向に開口状として形成され、その180°反対側に、ねじ孔7,7が同じ方向に開口状に形成されている。
杭1は、内周面1Bに複数の低突隆部12を有し、内径寸法が安定しない為、継手3との接続には、杭1の外周面1Aを利用して、杭端部2が差込筒部6の内に差込まれる。
貫通孔5は、ドリル等の機械的穿孔手段によって形成された機械加工孔であって、ボルト8の頭部8Bより僅かに大きく形成され、図7に示すように、貫通孔5の直径D0が、ボルト8の頭部8Bの直径D1の101%〜105%に設定されているのが望ましい。
ボルト8の頭部8Bを貫通孔5に埋没させることで、引張力や曲げ力が掛かった際、ボルト8の曲げ変形や杭の曲げ変形を抑制でき、ボルト8の破損を防止できる。また、ボルト8の頭部8Bを貫通孔5に埋没させ、かつ、ナットを使用せずにボルト8の雄ねじ部8Aがねじ孔7に螺着されることで、ボルト8の頭部8Bやナットが差込筒部6の外周面6Aから突出することがなく、挿入時の引っ掛かりを防止できる利点がある。ボルト8の頭部8Bは、中央に六角形状の穴部16が形成されている。なお、ボルト8の頭部8Bは、外周面が凹凸波形加工やローレット加工されていても良いが、外周面を機械加工にて平滑面状として、上記貫通孔5の直径D0と頭部8Bの直径D1の寸法差を小さく設定するのが曲げ力や引張力が作用した際に、ガタつかず、強度も向上して好ましい。
杭1を差込筒部6のねじ孔7側に偏在させることで、杭1の外周面1Aと差込筒部6の内周面6Bの間には、横断面三日月状の間隙11が形成されている。
円形平面状座面14,14は、差込筒部6の外周面6Aに突設された丸座部18の外面と、差込筒部6の内周面6Bの座ぐり部19の底面に、相互に平行面状に形成されている。差込筒部6のねじ孔7と貫通孔5の軸心と直角度を保つ為、差込筒部6の外周面6Aに丸座部18を設けて、位置割り出しを容易とするよう形成されている。なお、ボルト8の装着時にねじ孔7の位置を探し易くし、また、初期食付きし易くする為に、ボルト8の先端に雄ねじの無いガイド部を設ける。あるいは、ボルト8の先端を円錐状に尖らせた先端テーパー状とするも好ましい。
図9(a)に示すように、補強対象の地山Zを掘削して削孔40を開けて、次に、杭1,1を継手3で順次接続して削孔40に挿入する。この際、削孔40を先掘りしてから接続した杭1,1を挿入する為、回転力(トルク)が杭1,1及び継手3に作用することは少ないが、作業をし易くするために回転させたり、挿入の途中で回転させて継手3が引っ掛かるのを回避することがあり、十分な回転耐力を備えている。つまり、杭1,1の接続部(継手3及びボルト8)は、構造物等を支持する為の軸心方向の圧縮力に耐え得る耐圧縮荷重強度と、施工時の吊り下げによる自重(最大で100kg程度)の耐引張荷重強度とが、要求され、さらに、回転トルクに耐える回転耐力も備えている。なお、回転が掛かる用途の場合は、必要に応じてボルト8の径を太くして対処する。
杭1は、外周面1Aに多数の窪み部9を有し、周面摩擦力が増大して、杭1の外周面1AとモルタルMとの付着力を確実に確保することができる。
図10に示すように、杭1の外周面1Aと差込筒部6の内周面6Bの間の横断面三日月状の間隙11に、注入されたモルタルMが浸入して充填・固化される。三日月状の間隙11がモルタルMによって埋まることで、杭1,1及び継手3が曲げ力に耐える強度(曲げ耐力)が向上する利点がある。
また、機械加工によって形成される貫通孔5が、ボルト8の頭部8Bの孔内移動を規制して、ボルト8の曲げ変形を防止する。
差込筒部6の貫通孔5からボルト8を挿入して雄ねじ部8Aをねじ孔7に螺着させる際に、一対の差込筒部6,6に設けられた貫通孔5,5に、同一方向からボルト8を挿入して、能率良く作業を行うことができる。
1A 外周面
2 杭端部
3 継手
4 貫孔
5 貫通孔
6 差込筒部
6A 外周面
6B 内周面
7 ねじ孔
8 ボルト
8A 雄ねじ部
8B 頭部
9 窪み部
10 内鍔部
11 間隙
13 列状ディンプル群
14 円形平面状座面
P0 押圧力
M モルタル
D0 貫通孔の直径
D1 ボルトの頭部の直径
Claims (4)
- モルタル注入を伴う土木工事に用いられ、鋼管から成る杭(1)(1)の杭端部(2)(2)を、短筒状の継手(3)にて、接続する杭の接続構造であって、
上記杭端部(2)に軸心直交状の貫孔(4)(4)を有し、
上記継手(3)は、軸心方向中間部の内鍔部(10)をもって区画された一対の差込筒部(6)(6)を有し、上記杭端部(2)が上記差込筒部(6)に差込まれた状態で上記貫孔(4)(4)と同一軸心上に貫通孔(5)とねじ孔(7)が、上記差込筒部(6)に貫設され、
上記継手(3)と上記杭(1)の接続完了状態に於て、上記貫通孔(5)と上記貫孔(4)(4)と上記ねじ孔(7)に、ボルト(8)が挿入されて、該ボルト(8)の雄ねじ部(8A)が上記ねじ孔(7)に螺着され、さらに、上記ボルト(8)の頭部(8B)が上記杭(1)の外周面(1A)に押圧力(P0)を付与し、かつ、上記頭部(8B)が上記貫通孔(5)に埋没状に装入され、上記ボルト(8)の上記頭部(8B)からの上記押圧力(P 0 )によって、上記杭(1)が上記差込筒部(6)の上記ねじ孔(7)側に偏在して、上記杭(1)の外周面(1A)と上記差込筒部(6)の内周面(6B)の間に横断面三日月状の間隙(11)が形成され、
上記土木工事完了状態で、注入されたモルタル(M)が、上記三日月状の上記間隙(11)に充填されていることを特徴とする杭の接続構造。 - 鋼管から成る杭(1)(1)の杭端部(2)(2)を、短筒状の継手(3)にて、接続する杭の接続構造であって、
上記杭端部(2)に軸心直交状の貫孔(4)(4)を有し、
上記継手(3)は、軸心方向中間部の内鍔部(10)をもって区画された一対の差込筒部(6)(6)を有し、上記杭端部(2)が上記差込筒部(6)に差込まれた状態で上記貫孔(4)(4)と同一軸心上に貫通孔(5)とねじ孔(7)が、上記差込筒部(6)に貫設され、さらに、上記差込筒部(6)の外周面(6A)・内周面(6B)に於て、上記ねじ孔(7)を中心とする円形平面状座面(14)(14)を有し、
上記継手(3)と上記杭(1)の接続完了状態に於て、上記貫通孔(5)と上記貫孔(4)(4)と上記ねじ孔(7)に、ボルト(8)が挿入されて、該ボルト(8)の雄ねじ部(8A)が上記ねじ孔(7)に螺着され、さらに、上記ボルト(8)の頭部(8B)が上記杭(1)の外周面(1A)に押圧力(P 0 )を付与し、かつ、上記頭部(8B)が上記貫通孔(5)に埋没状に装入されていることを特徴とする杭の接続構造。 - 上記杭(1)の外周面(1A)には、多数の窪み部(9)が凹設されている請求項1又は2記載の杭の接続構造。
- 上記貫通孔(5)は、機械加工孔であって、上記ボルト(8)の上記頭部(8B)より僅かに大きく形成され、
上記貫通孔(5)の直径(D 0 )が、上記ボルト(8)の上記頭部(8B)の直径(D 1 )の101%〜105%に設定されている請求項1,2又は3記載の杭の接続構造。
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