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JP6461954B2 - アルミニウムピストンの製造方法 - Google Patents

アルミニウムピストンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃エンジンの鋳造軽量金属ピストンのための、浸潤可能なインサート部品に関する。本発明は、さらにこのようなインサート部品を用いた軽量金属ピストンを製造する方法に関する。
軽量金属ピストンは、その軽量さと慣性力の低減のため、長い間、内燃エンジンに用いられてきた。特に、このような軽量金属ピストン、例えばアルミニウムピストンにおける第1リング溝を、膨張による圧縮負荷から保護するために、「リングキャリア」の形状に補強することがなされている。このようなリングキャリアを形成し得る材料は、例えば、ピストン材料の膨張係数とできる限り同等の膨張係数を持つ鉄合金を特に含む。しかしながら、例えば、鉄合金とアルミニウム合金とは熱伝導性が大きく異なるため、逆熱負荷が境界面に強いストレスを生じさせ、一方がピストンに、他方がリングキャリアに用いられる2つの材料の熱膨張係数の差を増大させる。リングキャリアとピストンとの間に生じるひび割れは、典型的にはエンジンを壊す。このため、リングキャリアとピストンとの間に生じるひび割れは、ぜひとも防がなければならない。リングキャリアとピストンとの継ぎ目は、通常、公知のアルフィン法により金属材料によって形成される。該アルフィン法では、アルミニウムの拡散層が形成されるまで、リングキャリアが溶融アルミニウムに浸漬される。その後、この「アルフィン化された」リングキャリアは、ピストンが鋳造される際に、ピストン合金の溶融物で取り囲まれ、次の固化工程中にアルフィン結合が生じる。
現代のディーゼルエンジンにおいては、克服すべき高い燃焼圧力のために、特に、このためのピストンであるが故に、該ピストンは、通常、オーステナイトからなる鋳鉄リングキャリアを有する第1リング溝で補強されている。ガソリンエンジンにおいても、燃焼圧力の上昇を伴う燃料直接噴射に向かう趨勢により、第1リング溝において標準的なピストン合金が提供し得るよりも、より効果的な耐摩耗性が要求される。同時に、ピストンの軽量金属とその内部のリングキャリア鋳造品との結合は、特に重要である。
ピストン合金と結合するため、高圧ダイキャスト法において少なくとも392barの鋳造圧力の下で浸潤し、容量比がピストンの3%から50%のニッケル、銅、鉄又はこれらの合金の発泡金属からなるリングキャリアを含む内燃エンジン用のアルミニウムピストンを製造する複合ダイキャスト法が、独国特許発明第3418405号明細書に記載されている。冶金学的な結合は、例えば、溶融アニール又はエージング等の、その後に続く多段ステージの熱処理法によって生成され得る。
独国特許出願公開第19635326号明細書には、最初に、多孔性複合形成材料が鋳型の凹部に保持された軽量合金複合材の製造方法が記載されている。その後、鋳型の凹部内で、多孔性複合品の小孔を、鋳造した軽量合金に充満させる気体圧力を掛けることによって、鋳造軽合金が鋳造される。その結果、軽量合金で且つ複合形成材料からなる複合材料部が形成される。
独国特許発明第2639294号明細書には、2500barと1000barとの間の固化圧力の下での浸潤によるクロム−ニッケル系で且つCu、Ni、Fe、Ni−Fe発泡材料を含む、高度に多孔性の種々の焼結材料が、リングキャリアとして使用した場合の開放多孔率が25%から38%であると記載されている。
本発明は、インサート部品を改良した実施形態、特に、該インサート部品に対してより効率的に浸潤を行えるように提案するという課題を検討する。
上記の課題は、独立請求項の目的による本発明によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の個々の目的に表す。
本発明は、浸潤が可能なインサート部品のための焼結材料のために、新しい選抜線(screening line)のように、完全に新規な粒子状の粉末を選択するという普遍的なアイデアに基づく。これにより、開放多孔率、従って、当該焼結材料から生成されるインサート部品の浸潤容量もかなり改善される。例えば、これは、選抜線をより接近して定義することによって、すなわち、個々の焼結粒子のサイズ分布、従って、焼結材料が通常よりも均一に生成された焼結粉末を作製することによっても実現される。本発明に用いられる粉末は、少なくとも鉄又はその合金を含み、また、好ましくは、ニッケル、銅又はこれらの合金を含む。同時に、当該粉末は、異なる粒子径の粒子を有し、粉末の容量の4%以下が、75μmよりも小さい径を持つ粒子からなる。これに関連して、少なくとも容量の28%、好ましくは少なくとも容量の50%、及び特に好ましい実施形態においては、少なくとも粉末の容量の88%が、150μmよりも大きい径を持つ焼結粒子を含む。次に、粉末状の焼結粒子は通常よりも粗く、焼結粒子の90%は、典型的には150μmよりも小さい径を有する。加えて、容量の4%を超えないレベルで75μmよりも径が小さいという粒子の制限は、個々の粒子のサイズの分布がかなり狭く定義されている。しきい値以下の粒子のサイズの制限は、以前に生じたように、孔が塞がれる程度に、特に制限している。それ故に、当該孔は浸潤には利用できない。このような粒子のサイズの下限の厳密な制限は、従来の焼結材料には設けられていない。これは、より大きい焼結粒子間と同様に孔が残っており、充填が極めて高い程度で実現されるということを意味する。
本発明によると、インサート部品の焼結材料に用いられる粉末は、径が0μmから75μmの粒子の容量比が0%から4%である。一実施形態においては、径が75μmから106μmの粒子が粉末の容量の10%以下、好ましくは粉末の容量の2%以下であることを説明する。加えて、特に好ましい実施形態においては、粉末の容量の6%以下が、径が106μmから150μmの範囲に含まれる。従って、この好ましい実施形態においては、少なくとも粉末の容量の88%が150μmよりも大きい粒子径を持つ。粉末の最も微細な構成要素におけるこの狭い制限でさえも、焼結材料内の個々の粒子間に残ると共に、軽量金属ピストンが鋳造された際に、次の軽量金属によって浸潤され得る孔が完全に充填されないことを確実にすることは既に可能である。このため、これらの孔は、軽量金属によって浸潤に利用できる。これにより、例えば、ピストンにおける、リングキャリア、凹部の縁部又はボルトアイの形状を有するインサート部品同士の結合を大きく改善することができる。
この目的のため、一実施形態において、粉末の容量の少なくとも50%は、粒子径が106μmから212μmである。比較的に狭い粒子サイズ幅の中での高い粉末比は、高い多孔率の形成を促進すると共に、浸潤が容易に可能となる焼結材料の形成をも促進する。他の実施形態において、径が212μmよりも大きい粒子は、粉末の容量の少なくとも50%であることを説明する。より大きい粒子のパーセンテージが高いことは、より粗い孔を持つ構造が形成され、また、浸潤をも容易にする。
実用的な目的のために、本発明に係る焼結材料を生成する適当な粉末は、径が106μmから150μmの粒子の容量の0.5%から6.0%の比を持つ。特に、当該下限値を明らかにする。すなわち、このような選抜線、すなわち粒子サイズの分布の場合には、浸潤が要求される孔を完全に充填するための微粒子は、全く存在しないか、存在しても不十分である。このように、例えば、インサート部品が、50%から80%の孔、すなわち50%から80%の多孔率を有する本発明に係る焼結材料から生成、すなわち焼結されていることを保証し得る。この多孔率の場合、多数の孔は、軽量金属によって少なくとも部分的に且つ選択的に充填され得る。粉末が粒子サイズから見て相対的に均一であるならば、このことが、生成される焼結材料の多孔率を上げるだけでなく、個々の孔が実質的により大きくなり、大きくなった孔が溶融した軽量金属を流通させる容量をさらに大きくする。
本発明に係る解のさらに有利な実施形態は、焼結材料の少なくとも個々の焼結粒子が、例えば、未焼結時の安定性を増すと共に焼結中に燃えてしまう結合剤及び樹脂剤によって被膜される。しかしながら、未焼結体を圧縮した後、樹脂剤は互いに固く圧縮された焼結粒子を維持し、圧縮された未焼結体の強度を向上する。従って、このような樹脂剤は、初期に未焼結のインサート部品の形状の迫真性が向上し、また、未焼結のインサート部品の取り扱い時の損傷を容易になくすことができる。これにより、結合剤又は樹脂剤は、インサート部品の多孔率が減少する。従って、浸潤が弱まり、また、続く軽量金属ピストンの鋳造中における該ピストンの軽量金属とインサート部品との結合も弱まる。しかしながら、インサート部品が焼結される際に、結合剤が樹脂剤を燃やすので、樹脂剤の多孔質への占有を再度なくすることができ、浸潤法を使用することができる。これに代えて、結合剤は、焼結時において酸化反応以外の化学反応中に分解が生じないように設定してもよい。このため、他の適当な気体、例えばエンドガス(endogas)を、焼結中に空気に代えて導入する。
本発明に係る解の有利な改善は、インサート部品の密度が約2.5g/cmから4.7g/cmの範囲である。例えばアルミニウムの密度は、約2.7g/cmのオーダであり、このため、インサート部品が軽量金属に浸潤される際に、例えば、アルミニウムは5g/cmよりも小さい密度を実現することは常に可能である。従って、インサート部品における高い多孔率及び比較的に低い密度は、鉄合金から製造される固体鋳造部品よりもかなり小さいことにより、逆に、軽量金属ピストンの重さが増す。
本発明は、さらに、軽量金属ピストンの製造方法に関し、上述したようなインサート部品を用いて、液体軽量金属が約0.5barから15barの鋳造圧力の下で鋳型内に導入され且つインサート部品が該鋳型内に配置された、例えばマグネシウムピストン又はアルミニウムピストンを浸潤する。好ましい実施形態において、シリコン及び/又は銅を含むアルミニウムの亜共晶合金が用いられる。これは、特に、亜共晶Al合金に生じ得るSi相又はCu相の形成を妨げる。Si相又はCu相は、焼結材料が、浸潤中に多数の孔がこれらの相を流通させるフィルタのように機能し、その結果、フィルタ表面にこれらの相を集めるため好ましくない。このため、形成された層は、鋳造ピストン本体からインサート部品を分離すると共に、受け入れられない部分に起こる弱点、又はピストンに続いて起こる破損を生じさせる。軽量金属ピストンの鋳造には、逆圧が用いられたり、用いられなかったりし、鋳造圧力は該逆圧よりも少なくとも0.1barだけ高くする。
本発明に係る解のさらに有利な実施形態は、軽量金属ピストン、例えばアルミニウムピストンは、バッファガス、特に窒素又はアルゴンの使用の下で鋳造される。このように、鋳造中の軽量金属の酸化を防ぐことは可能である。軽量金属のこのような好ましくない酸化は、酸化により焼結材料の孔の目詰まりを起こし、これにより、インサート部品の良好な浸潤の実現と、上述したようにピストン本体との機械的な結合の実現とをより困難にする。バッファガスの使用は酸化を妨げ、次にはインサート部品の浸潤を良好にする。
鋳造ピストンが、アニールされた及び/又はオーバエイジされた溶融であるならば、適切である。特に、アルミニウム合金により、溶融アニールは、析出硬化と呼ばれる現象を起こす。析出硬化は、軽量金属ピストンの強度を向上するのに役立ち得る。これに関連して、硬化は、理論上、3つのステージ、すなわち、実際の溶融アニール、焼き入れ、及び続くエイジング(熱間、冷間)で行われる。溶融アニールは、ほぼ480℃及びそれから50℃を超える程度の温度で行う。温度は、硬化の効果が焼き入れ及びエイジングの後に生じるように、合金元素の十分な量が混晶内で溶融してしまうことによって選択される。また、このようなアルミニウム合金のオーバエイジングは、同様に行われる。
通常、鋳型には、アルミニウムピストンが鋳造される間、該鋳型に完全に充填されることがないように、孔が開けられている。これにより、インサート部品の最適化された浸潤を実現することができる。

Claims (10)

  1. ルミニウムピストンの製造方法であって、
    前記アルミニウムピストンを構成するインサート部品は、少なくとも鉄又はその鉄合金を含む粉末からなり、且つ焼結によって形成され、前記粉末は、異なる粒子サイズを有し、粉末の容量の多くて4%が75μmよりも小さい径を持つ粒子からなる粉末を含み、
    液体アルミニウムを、約0.5barから15barの鋳造圧力の下で鋳型内に導入し、
    前記鋳型内で前記インサート部品を浸潤する、アルミニウムピストンの製造方法。
  2. 請求項に記載の方法であって、
    前記アルミニウムピストンの鋳造は、バッファガス、特に、窒素又はアルゴンの下で行われ、
    前記鋳造は、逆圧の下で行われ、該逆圧は、鋳造圧力よりも0.1barだけ低いことを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法。
  3. 請求項に記載の方法であって、
    前記アルミニウムピストンは、アニールされた又はオーバエイジされた溶融液から形成することを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって
    前記粉末における径が75μmから106μmの粒子の容量比は、10%を超えないことを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法であって
    前記粉末における径が150μmよりも大きい粒子の容量比は、少なくとも28%であることを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
  6. 請求項に記載の方法であって
    前記粉末における径が150μmよりも大きい粒子の容量比は、少なくとも50%であることを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
  7. 請求項に記載の方法であって
    前記粉末における径が150μmよりも大きい粒子の容量比は、少なくとも88%であることを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法であって
    前記粉末における径が106μmから212μmの粒子の容量比は、少なくとも50%であることを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法であって
    前記粉末における径が212μmよりも大きい粒子の容量比は、少なくとも50%であることを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法であって
    前記粉末は、ニッケル、銅又はこれらの合金をさらに含むことを特徴とするアルミニウムピストンの製造方法
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