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JP6458842B2 - プリフォームの加熱装置及び加熱方法 - Google Patents

プリフォームの加熱装置及び加熱方法 Download PDF

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Description

本発明は、プリフォームを殺菌し、殺菌したプリフォームを無菌雰囲気で加熱するためのプリフォームの加熱装置及び加熱方法に関する。
従来、プリフォームを連続走行させながら、プリフォームに殺菌剤を塗布し、そのままプリフォームを加熱炉内に導入し、加熱炉内でプリフォームを容器に成形するための温度まで加熱し、この加熱によってプリフォームに塗布した殺菌剤の乾燥、活性化を同時に行なう殺菌方法が提案されている(特許文献1)。この場合、プリフォームは、加熱炉内で殺菌剤が活性化され加熱炉内で殺菌される。しかし、殺菌剤の活性化が完了した後に、加熱炉内に存在する菌等がプリフォームに付着する可能性への対策については記載されていない。
また、プリフォームに過酸化水素水のミスト又はガスを吹き付け、さらにプリフォームを成形温度まで加熱し、成形温度に達したプリフォームを同じく連続走行するブロー成形型内でボトルに成形し、ブロー成形型からボトルを取り出し、その後、ボトルに飲料を充填して蓋で密封する飲料充填方法が提案されている(特許文献2)。この特許文献には加熱部及び成形部を遮蔽し、加熱部及び成形部の稼働前に、遮蔽したチャンバー内を殺菌し、稼働時には無菌エアをチャンバー内に供給するという記載はあるが、プリフォームを加熱する加熱部における無菌性の確保や維持についての記載は不十分である。
一方、プリフォームを加熱する加熱部において、紫外線照射することで、加熱部でのプリフォームの汚染を防ぐ方法も提案されている。(特許文献3)。
特開2008−183899号公報 特開2015−116814号公報 特表2010−507503号公報
従来、ボトルの無菌充填機は、プリフォームをボトルに成形し、成形後のボトルを殺菌していたが、殺菌剤が多量に必要であり、装置も過大となることから、プリフォームの段階で殺菌する無菌充填機が広まりつつある。しかし、プリフォームの段階で殺菌された後、プリフォームをボトルに成形し、成形したボトルに内容物を充填する充填部まで、ボトルは無菌性を維持して搬送されなければならない。特に、殺菌されたプリフォームをボトルに成形するために加熱する加熱工程での無菌性を確保することが重要である。
プリフォームの内外面に付着していた菌等を殺菌しても、プリフォームをボトルに成形するためには、成形可能な温度までプリフォームを加熱しなければならない。従来、この工程でプリフォームの内部に異物が混入しないようにするために、プリフォームの口部を下向きにして加熱し、その後のボトルへのブロー成形も口部を下向きにして行ってきた。しかし、ボトルに成形した後に内容物を充填するために、口部を上向きにするためにボトルを反転しなければならない。これを避けるために、プリフォームの口部を上向きにして加熱及び成形が行われている。プリフォームの口部が下向きでも上向きでも、プリフォームの加熱部には異物だけでなく目視できない菌等も存在する可能性が高く、殺菌後のプリフォームの内外面に加熱部で菌等が付着するおそれがある。内部に付着した場合は、内容物の無菌性が損なわれ、外部に付着した場合は、付着した菌等が成形部や充填部で脱落すると、成形部や充填部に菌等が侵入することとなる。その結果、成形部や充填部の無菌性が損なわれ、プリフォームやボトルの内部に菌等が侵入し、製品の無菌性が損なわれることとなる。
特許文献2には、殺菌したプリフォームを加熱する加熱部、及び加熱後にプリフォームをボトルに成形する成形部を一体として、成形部の稼働前の殺菌、及び稼働時の無菌性維持に関する記載はあるものの、加熱部の稼働前の殺菌及び稼働時の無菌性の維持については不十分であった。また、特許文献3には、稼働時に加熱部内の循環する空気をろ過することと、循環する空気に紫外線照射することで、雰囲気も殺菌するとの記載があるが、稼働前の加熱部の殺菌については記載がなく、加熱部でのプリフォームの菌等による汚染を防止するのではなく、プリフォームを汚染する菌等を稼働しながら、加熱部で殺菌するという提案である。これでは稼働前に加熱部に存在した菌等を完全に殺菌することはできない。
上述のように、殺菌されたプリフォームの無菌性を維持して、プリフォームをボトルに成形できる温度まで加熱するプリフォームの加熱装置及び加熱方法が要望されている。
本発明は、殺菌されたプリフォームを無菌雰囲気で加熱し、プリフォームの無菌性を維持して、プリフォームをボトルに成形する成形部にプリフォームを搬送することができる、プリフォームの加熱装置及び加熱方法を提供することを目的とする。
本発明に係るプリフォームの加熱装置は、少なくとも、プリフォームをボトルにブロー成形するための温度に加熱する加熱部と当該加熱部を駆動する駆動部を有するプリフォームの加熱装置であって、前記加熱部が少なくともヒーター、リフレクター、スピンドル、無端チェーン及び無端チェーンを回転させるためのプーリを備えており、前記加熱部が加熱部チャンバーにより遮蔽され、当該加熱部チャンバーの内部及び内面を殺菌するために、前記加熱部チャンバー内に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付ける殺菌剤ノズルを含む殺菌装置及び前記加熱部チャンバー内に下部から無菌エアを供給する無菌エア供給装置が前記加熱部チャンバーに設けられていることを特徴とする。また、本発明の他の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置は、少なくとも、プリフォームをボトルにブロー成形するための温度に加熱する加熱部と当該加熱部を駆動する駆動部を有するプリフォームの加熱装置であって、前記加熱部が少なくともヒーター、リフレクター、スピンドル、無端チェーン及び無端チェーンを回転させるためのプーリを備えており、前記加熱部が加熱部チャンバーにより遮蔽され、当該加熱部チャンバーの内部及び内面を殺菌する殺菌装置が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の他の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置は、前記加熱部チャンバーが、前記加熱部を保持し、前記加熱部を外気から遮蔽すると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置は、前記加熱部チャンバー内に無菌エアを供給する無菌エア供給装置が設けられていると好適である。
また、本発明に係るプリフォームの加熱装置は、前記無菌エア供給装置に無菌エア加熱装置が設けられていると好適である。
また、本発明のプリフォームの加熱装置は、前記殺菌装置に、殺菌剤のガスを生成する、殺菌剤ガス生成器が設けられていると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係るプリフォームの加熱方法は、少なくとも、プリフォームをボトルにブロー成形するための温度に加熱する加熱部と当該加熱部を駆動する駆動部を有するプリフォームの加熱装置を用いた、プリフォームの加熱方法であって、前記加熱部が少なくともヒーター、リフレクター、スピンドル、無端チェーン及び無端チェーンを回転させるためのプーリを備えており、前記加熱部が加熱部チャンバーにより遮蔽され、当該加熱部チャンバーの内部を無菌雰囲気として、殺菌されたプリフォームを加熱することを特徴とする。
また、本発明の他の実施の形態に係るプリフォームの加熱方法は、前記加熱部チャンバーが、前記加熱部チャンバー内に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が吹き付けられることにより殺菌されると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係るプリフォームの加熱方法は、前記加熱部チャンバー内に無菌エアを供給し、前記加熱部チャンバー内を無菌雰囲気に保持すると好適である。
本発明のプリフォームの加熱装置及び加熱方法によれば、殺菌されたプリフォームの無菌性を維持したまま、プリフォームを加熱し、プリフォームを無菌のボトルに成形することができる。したがって、プリフォームを殺菌する殺菌部を有する無菌充填機は、本発明のプリフォームの加熱装置を備えることで、高い無菌性を確保できる。
本発明の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置を組み込んだプリフォームをボトルに成形するブロー成形機の一例の概略を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係るプリフォームを加熱する工程を示し、(A)はプリフォームの加熱工程を、(B)は加熱されたプリフォームのボトルへのブロー成形工程を示す。 本発明の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置の一例の概略を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る殺菌装置に設けられた殺菌剤ガス生成器を示す。 本発明の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置を組み込んだ無菌充填機の各チャンバー内の無菌エアの流れと圧力を示す。
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
プリフォーム供給装置から供給されたプリフォームは、殺菌部において殺菌され、殺菌されたプリフォームは本発明に係るプリフォームの加熱装置により、ボトルに成形可能な温度に加熱される。加熱されたプリフォームはボトルに成形されるが、本発明に係るプリフォームの加熱装置及びプリフォームの加熱方法の概要を図1により説明し、さらにプリフォームの加熱装置の詳細を図2、図3及び図4により説明する。この実施の形態によれば、殺菌されたプリフォームの無菌性を維持して、ボトルに成形する温度にプリフォームを加熱することができる。
(プリフォームの加熱装置の概要)
本発明のプリフォームの加熱装置14は、図2(A)に示すプリフォーム1を、図2(B)に示すボトル2に成形する温度に加熱する装置である。図1に示すように、プリフォーム1は、プリフォーム供給装置3により供給され、供給されたプリフォーム1は、殺菌部6にて殺菌される。殺菌されたプリフォーム1は本発明のプリフォームの加熱装置14により成形可能な温度に加熱され、ブロー成形機20に受け渡される。本発明の実施の形態に係るプリフォームの加熱装置14は、加熱部19と駆動部28を有しており、加熱部19は少なくともヒーター15、リフレクター16、スピンドル27、無端チェーン12及び無端チェーン12を回転させるためのプーリ13を備えている。殺菌されたプリフォーム1は無端チェーン12に一定間隔で備えられたスピンドル27により保持され、回転しながらヒーター15により、成形可能な温度に加熱され、無菌性を維持したまま次工程に搬送される。
プリフォームの加熱装置14の加熱部19は加熱部チャンバー18により遮蔽されており、プリフォームの加熱装置14を稼働する前に、加熱部チャンバー18内は殺菌され、その後無菌エアが加熱部チャンバー18内に供給され、加熱部チャンバー18内が陽圧に保たれることより、殺菌されたプリフォーム1の無菌性を維持した状態で、プリフォーム1はボトル2に成形可能な温度に加熱される。
加熱部チャンバー18には、加熱部チャンバー18内を殺菌するために殺菌装置が設けられる。また、加熱部チャンバー18を適正な陽圧に保持するために、無菌エア供給装置31及び排気装置37が設けられる。
プリフォームの加熱装置14により加熱されたプリフォーム1はブロー成形部21でボトル2に成形され、成形されたボトル2は、ボトル2を検査する検査部、検査されたボトル2に殺菌された内容物を充填する充填部、さらに内容物が充填されたボトル2を殺菌されたキャップにより密封する密封部に順次搬送され、内容物が充填された無菌製品となる。
ブロー成形部21を遮蔽する成形部チャンバー22、検査部を遮蔽する検査部チャンバー、および充填部及び密封部を遮蔽する充填チャンバー内も稼働前に殺菌され、無菌エアでチャンバー内が陽圧に保たれることにより、チャンバー内の無菌性が維持される。陽圧に保持される圧力は、充填部チャンバー及び成形部チャンバー22内を最高圧として、検査部チャンバー内や加熱部チャンバー18内はこれよりも低く設定される。
例えば図5に示すように、充填部チャンバー内の圧力は30Pa〜150Paであり、検査部チャンバー内の圧力は排気するために0Pa〜30Paに設定される。また、成形部チャンバー内の圧力は30Pa〜150Pa、加熱部チャンバー18内の圧力は0Pa〜30Paに設定される。さらに、密封部の下流である製品が排出される、無菌製品をコンベヤに載置して無菌充填機外に排出する出口チャンバーは非無菌ゾーンであり、排気して−30Pa〜30Paに設定される。
各チャンバーを陽圧に保持するために、チャンバーには無菌エア供給装置が設けられるが、成形部チャンバー22、検査部チャンバー及び充填部チャンバーの全てに無菌エア供給装置を設ける必要はない。例えば、充填部チャンバーに設けた無菌エア供給装置により供給される無菌エアが、充填部チャンバーから成形部チャンバー22に流入することがあり、流入する無菌エアにより成形部チャンバー22内を陽圧に保持しても構わない。チャンバー内を適正な圧力に保持するために、排気装置が設けられるが、これも成形部チャンバー22、検査部チャンバー及び充填部チャンバーのすべてに設けなくても構わない。
プリフォーム1を殺菌する殺菌部6を遮蔽する殺菌部チャンバー5は、殺菌部チャンバー5内のエア中の殺菌剤を分解するフィルタ25と、ブロワ26からなる排気手段が連結される。殺菌部6の稼働中に殺菌部チャンバー5内のエアが排気されることにより、隣接する加熱部19への殺菌剤の流入を防止することができる。図5に示すように、殺菌部チャンバー5は排気されるため、殺菌部チャンバー5内の圧力は−30Pa〜0Paに設定される。
(プリフォームの加熱装置及びプリフォームの加熱方法の詳細)
まず、図2(A)に示すプリフォーム1が、図1に示すプリフォーム供給装置3により、所望の速度でプリフォーム供給コンベヤ4により連続的にプリフォーム1の殺菌部6に搬送される。
本実施形態におけるプリフォーム1は試験管状の有底筒状体であり、図2(B)に示したボトル2と同様な口部1aがその成形当初に付与される。この口部1aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。また、プリフォーム1には口部1aの下部に搬送のためのサポートリング1bが形成される。プリフォーム1又はボトル2は、このサポートリング1bを介して、図示しないグリッパにより把持されつつ、殺菌部6内を走行する。プリフォーム1は射出成形、圧縮成形等によって成形される。プリフォーム1の材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、これらの熱可塑性樹脂単体又は混合物であっても構わないし、リサイクルされた熱可塑性樹脂を含んでも構わない。また、バリア性を付与するために、エチレンービニルアルコール共重合体、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンをモノマーとするポリアミド等の熱可塑性樹脂を層として、又は混合物として含んでも構わない。
プリフォーム1は、プリフォーム供給コンベヤ4からプリフォーム殺菌ホイール7に一定間隔で設けられたグリッパに把持されることにより、プリフォーム殺菌ホイール7に受け渡される。受け渡されたプリフォーム1の内外面に、プリフォーム1を殺菌するために殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が吹き付けられる。プリフォーム1に吹き付けられる殺菌剤により、プリフォーム1の表面に付着した菌等が殺菌される。
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、後述する図4に示すような殺菌剤ガス生成器39によって生成した殺菌剤のガスが、一部ミスト化したものである。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がプリフォーム1に吹き付けられる手段は、ノズルによりプリフォーム1の内面に吹き付けられ、溢れ出た殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が、ノズル先端に設けられた傘状部材に衝突してプリフォーム1の外面に接触することによる。また、別にノズルを設けて直接プリフォーム1の外面に、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付けても構わない。プリフォーム1の内外面に、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が接触することができれば、どのような手段でも構わない。
なお、プリフォーム1への殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の吹き付けの直前に、プリフォーム1に熱風を吹き付ける等してプリフォーム1を予備加熱してもよい。この予備加熱によりプリフォーム1の殺菌効果をさらに高めることができる。
プリフォーム1に吹き付けられる殺菌剤は、少なくとも過酸化水素を含んでいることが好ましい。その含有量は0.5質量%〜65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%〜40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易であり、低濃度となるために殺菌後の過酸化水素の残留量を低減できる。
プリフォーム1に吹き付けられる殺菌剤が過酸化水素を含む場合、プリフォーム1の内外面に付着させる殺菌剤の量は、過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水として、0.001μL/cm2〜0.5μL/cm2の範囲が好ましい。付着量が0.001μL/cm2よりも少ない場合は、十分な殺菌効果を得ることができない。また、この付着量が0
.5μL/cm2を超えると、プリフォーム1をボトル2にブロー成形した場合に、ボト
ル2に白化、斑点、皺、変形の成形不良が発生しやすくなる。より好ましくは、プリフォーム1の過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水の付着量は、0.002μL/cm2
〜0.4μL/cm2である。
また、殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル等の1種又は2種以上を含んでも構わない。
さらに、殺菌剤は過酢酸、酢酸等の有機酸、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カルウム等のアルカリ性化合物、硝酸、オゾン、酸性水等の殺菌効果を有する化合物、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。
殺菌剤の吹き付けの前又は後に、波長100nm〜380nmの紫外線を含む光や電子線等をプリフォーム1に照射し、殺菌効果の向上を図っても良い。また、殺菌剤を使用せずに、波長100nm〜380nmの紫外線を含む光や電子線等をプリフォーム1に照射することにより、プリフォーム1を殺菌しても構わない。
殺菌部チャンバー5内は稼働前に、過酸化水素水等の殺菌剤を殺菌部チャンバー5内に噴霧する等の手段により殺菌される。そのために、殺菌部チャンバー5内の壁面には、プリフォーム1に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付けるための殺菌剤ガス吹き付けノズル8とは別に殺菌剤吹き付けノズルが設けられる。また、殺菌部チャンバー5に接するフィルタ25の殺菌部チャンバー5側の面を殺菌するために同様の殺菌剤吹き付けノズルも設けられる。
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が吹き付けられたプリフォーム1は、図1に示すようにエア吹き付けホイール9に受け渡される。ホイール9に受け渡されたプリフォーム1は、グリッパにより搬送されつつエア吹き付けノズル10により無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは、ブロワによるエアを除菌フィルタを通すことにより得られる。ブロワを使用しないで、コンプレッサーにより発生させる圧縮エアを用いても構わない。
無菌エアの吹き付けにより、プリフォーム1の表面に付着していた殺菌剤が活性化されることにより、プリフォーム1への殺菌剤の吹き付けにより殺菌されなかった菌等が殺菌される。また、エアの吹き付けによって、プリフォーム1に付着した殺菌剤は、プリフォーム1の表面から速やかに除去される。プリフォーム1に付着した殺菌剤は、加熱部19内に入る以前に、無菌エアの吹き付けによりプリフォーム1から除去されるため、殺菌剤による加熱部19のシール部材等の各種機器が損傷を受けることはない。また、プリフォーム1の殺菌剤の付着に起因するボトルの白化、歪、成形ムラ等成形不良の発生が防止される。
プリフォーム1に吹き付けられる無菌エアは、常温でも加熱されても構わない。しかし、加熱されることが好ましく、加熱された無菌ホットエアとすることにより、殺菌剤の分解が促進され、殺菌効果が高まり、殺菌剤の残留も低減する。プリフォーム1に吹き付けられる無菌ホットエアの温度は40℃から140℃にすることが望ましい。40℃未満では加熱による効果が少なく、プリフォーム1の温度が70℃を超えるとプリフォーム1の口部1aの変形などの不都合を生じるため、ホットエアの温度は140℃を越えないことが望ましい。
プリフォーム1への無菌エアの吹き付けは必須ではなく、行わなくても構わない。行わない場合、プリフォーム1は殺菌剤のガスを吹き付けられた後に、そのまま加熱される。殺菌剤のガスが吹き付けられたプリフォーム1の内外面には殺菌剤が付着しており、プリフォーム1が成形温度まで加熱されると、付着した殺菌剤は活性化され、プリフォーム1の表面は殺菌される。また、余剰の殺菌剤は加熱により揮散する。
無菌エアの吹き付け後、プリフォーム1は、図1に示すホイール11に受け渡される。ここで、グリッパから解放され、図2(A)に示すようにプリフォーム1の口部1aにスピンドル27が挿入され、無端チェーン12により、加熱部19内へと搬送される。
プリフォームの加熱装置14は図3に示すように、加熱部19及び駆動部28からなる。加熱部19は少なくとも、プリフォーム1を加熱するためのヒーター15、ヒーター15の熱を反射して効率的にプリフォーム1を加熱するためのリフレクター16、プリフォーム1を保持して回転させるためのスピンドル27、スピンドル27が一定間隔で設けられ、スピンドル27を移動させるための無端チェーン12及び無端チェーン12を回転させるためのプーリ13a及び13bを備えている。また、ヒーター15の熱がプリフォームの加熱装置14の外部に伝導するのを防止するために、ヒーター15の外側に断熱材29を設けても構わない。
駆動部28には、モーター、動作伝達手段等が備えられる。駆動部28の装備は潤滑剤を必要として、汚れが蓄積されるため無菌性を維持することは困難である。
ヒーター15は赤外線を放射するハロゲンランプが好ましい。ハロゲンランプはヒーター15として、プリフォーム1の軸方向に対して垂直に複数本が並列に設けられる。ヒーター15のハロゲンランプから放射される近赤外線、赤外線、遠赤外線によりプリフォーム1は加熱される。複数本設けられるハロゲンランプは加熱温度が制御され、プリフォーム1の軸方向の加熱温度について、温度差が設けられても構わない。また、プリフォーム1の移動方向に対して図1のようにハロゲンランプのユニットが複数設けられる。図1では片列に6ユニットずつ計12ユニット設けられているが、ユニット数は任意に定められる。これらのハロゲンランプユニットの温度は制御され、加熱序盤は高温に、加熱終盤は低温に設定されても構わない。
加熱部19に搬送されたプリフォーム1は、図2(A)に示すように、ヒーター15により、赤外線加熱又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃であると好適である。なお、プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
プリフォーム1の口部1aの過熱を防ぐために、図3に示すように、プリフォーム1のサポートリング1bの下部に、プリフォーム1の軸方向に対して垂直な面として形成される口部保護材35が設けられる。口部保護材35は、ヒーター15から放射される赤外線等が必要以上にプリフォーム1の口部1aに達しないようにする。また、ヒーター15の熱により発生する上昇気流による口部1aの温度上昇を防ぐために、プリフォーム1の軸方向に対して90°以下の角度を付けた面状の遮熱板36を設けても構わない。
しかし、口部1aの温度が40℃未満の場合、口部1aの殺菌効果が低下する場合がある。これを回避するために、口部1aの温度を積極的に上昇させるフォーカスランプを加熱部19に設け、当該フォーカスランプにより口部1aを加熱し、口部1aの温度を40〜70℃にしても構わない。これにより、口部1aの殺菌効果向上と口部1aの表面に付着した殺菌剤を揮散させて除去することができる。
ヒーター15から放射された赤外線等によりプリフォーム1は加熱されるが、プリフォーム1に吸収されずに、プリフォーム1の後方に到達する赤外線等は加熱に寄与しない。そこで図3に示すように、プリフォーム1の後方にリフレクター16を設けることにより、プリフォーム1の後方に到達する赤外線等を反射させて、プリフォーム1の加熱を効率的に行うことができる。リフレクター16は、金属に金、銀又はアルミニウムなどを蒸着又はメッキしたものが用いられる。赤外線等を反射できればどのようなものでも構わない。リフレクター16は平面でも曲面でも、平面と曲面を組み合わせても構わない。リフレクター16はプリフォーム1の後方だけでなく、ヒーター15の後方にも設けて、ヒーター15の後方に放射される赤外線等を反射させても構わない。
プリフォーム1は、図2(A)に示すように、スピンドル27が口部1aに挿入され、回転しながら、加熱部19内を搬送される。プリフォーム1は、口部1a内にスピンドル27の下部が挿入される際に、ゴム又はバネのような弾性体の弾性変形によりスピンドル27に支持される。スピンドル27は無端チェーン12に保持される。無端チェーン12はプーリ13a及び13bにより回転する。スピンドル27に代えてマンドレルをプリフォーム1に挿入することによって、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
加熱部チャンバー18内は、プリフォームの加熱装置14が稼働する前に殺菌される。そのために、加熱部チャンバー18には殺菌装置が設けられる。殺菌装置とは加熱部チャンバー内に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付ける殺菌剤ノズル30及び殺菌剤のガスを生成する殺菌剤ガス生成器39である。
図3に示すように、加熱部チャンバー18の壁面に殺菌剤ノズル30が設けられ、殺菌剤ノズル30から、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が加熱部チャンバー18内に吹き付けられる。殺菌剤ノズル30からは、図4に示す殺菌剤ガス生成器39により生成された殺菌剤のガスが、加熱部チャンバー18内の加熱部19及び加熱部チャンバー18の壁面に吹き付けられる。
図4に示すように、殺菌剤ガス生成器39は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部40と、この殺菌剤供給部40から供給された殺菌剤を分解温度以下に加熱して気化させる気化部41とを備える。殺菌剤供給部40は、殺菌剤供給路40a及び圧縮空気供給路40bからそれぞれ殺菌剤と圧縮空気を取り込んで、殺菌剤を気化部41内に噴霧するようになっている。気化部41は内外壁間にヒーター41aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱し気化させる。気化部41の下端から気化した殺菌剤のガスが気化部41外に噴出する。ヒーター41aに換えて誘電加熱により気化部41を加熱しても構わない。
殺菌剤供給部40の運転条件としては、例えば圧縮空気の圧力は0.05MPa〜0.6MPaの範囲で調整される。また、殺菌剤は重力落下であっても圧力を加えても構わないし、供給量は自由に設定することができる。例えば1g/min.〜100g/min.の範囲で供給する。また、気化部41の内表面は140℃から450℃に加熱されることで噴霧された殺菌剤が気化する。
図4に示すように、噴出する殺菌剤のガスは導管42に吹き込まれる無菌加熱エアと混合され、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物となって、殺菌剤ノズル30から加熱部チャンバー18内に吹き付けられる。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の吹き付け量は任意であるが、吹き付け量は、殺菌剤ガス生成器39に供給される殺菌剤の量と吹き付け時間により決まる。殺菌剤ガス生成器39は複数備えても構わない。殺菌剤を過酸化水素水とした場合、過酸化水素の濃度として1mg/L〜20mg/Lの範囲が適当である。1mg/L未満では殺菌が不十分となり、20mg/Lを超えると加熱部チャンバー18内の部材を劣化させるおそれがある。また、殺菌剤ノズル30から、殺菌剤を二流体スプレーによりミスト化して、加熱部チャンバー18内に吹き付けても構わない。この場合、ヒーター15に向けて殺菌剤のミストを吹き付け、ヒーター15の熱により殺菌剤を気化させても構わない。
また、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を加熱部チャンバー18内に吹き付けている状態で加熱部19を運転させることにより、加熱部19の装置への殺菌剤付着量のバラツキを抑えながら加熱部チャンバー18内を殺菌することも可能である。具体的には、加熱部チャンバー18内にあるスピンドル27、グリッパ及びカムローラー等を駆動させることで、これらの装置の表面全域に均一に殺菌剤を付着させることができる。
加熱部チャンバー18内を殺菌する殺菌剤は、プリフォーム1を殺菌するために使用される殺菌剤と同様のものが使用でき、過酢酸や過酸化水素を含む殺菌剤を使用することが好ましい。殺菌剤の噴霧は、異なる殺菌剤を複数回噴霧しても構わない。
殺菌剤ノズル30から加熱部チャンバー18内に、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付けた後に、加熱部チャンバー18内に無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは、加熱部チャンバー18内に残存する殺菌剤を気化させて除去させる。また、この際、気化する殺菌剤が殺菌効果を発揮する場合もある。
無菌エアを加熱部チャンバー18内に下部から吹き付けるため、図3に示すように、加熱部チャンバー18の下部に無菌エア供給装置31が設けられる。無菌エア供給装置31はブロワ32及び除菌フィルタ34を備える。また、無菌エアを加熱する場合もあり、ブロワ32と除菌フィルタ34の間に無菌エア加熱装置33を設けると好ましい。
ブロワ32によるエアが無菌エア加熱装置33により加熱され、除菌フィルタ34により除菌された後に、無菌ホットエアとなって加熱部チャンバー18内に下部から吹き付けられる。無菌エアは加熱されなくても構わないが、加熱されることで、殺菌剤の除去が速やかに行われ、殺菌剤の殺菌効果も高まる。プリフォームの加熱装置14の稼働時に加熱部チャンバー18内の無菌性を維持するために、加熱部チャンバー18に無菌エアを供給する場合、無菌エアを加熱しなくても構わない。
プリフォームの加熱装置14を稼働する前の加熱部チャンバー18内の殺菌において、殺菌剤ノズル30により、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が吹き付けられることにより、HEPAフィルタ等からなる除菌フィルタ34の内面側も殺菌される。
加熱部チャンバー18内はヒーター15によって加熱されるために、上昇気流が発生する。この上昇気流と同一の方向に無菌エアを流す方が、上方から下方に無菌エアを流すよりも、加熱部チャンバー18内で乱流を生じることなくスムーズに無菌エアを流すことができる。したがって、無菌エアは加熱部チャンバー18の下部から上部に吹き込む。下部から吹き込まれた無菌エアは図3に示すように、ヒーター15及びリフレクター16の外側及び内側を上部に向かって流れていく。
プリフォーム1の加熱を効率良く行うために、ヒーター15とリフレクター16の間に流す無菌エアの流量を、プリフォーム1の下部に設ける板の開口面積を調整することにより制御しても構わない。また、無菌エアを加熱することで、ヒーター15とリフレクター16の間の無菌エアの流れによる冷却効果を抑制しても構わない。
図3に示すように、加熱部チャンバー18の上部に排気装置37を設け、無菌エアをプリフォームの加熱装置14の機外に排気することにより、加熱部チャンバー18内の圧力を適正に保持する。図3に示すように、圧力センサー38が加熱部チャンバー18の上部に設けられることにより、加熱部チャンバー18内の圧力は常に測定される。測定されるエア圧力値によりブロワ32及び排気装置37を制御して、加熱部チャンバー18内の圧力を適正に保持する。
加熱されたプリフォーム1は、図1に示すように、スピンドル27から解放され、ホイール17のグリッパに受け渡され、さらにブロー成形機20に搬送される。プリフォーム1は無菌性を維持しつつ、ブロー成形機20のブロー成形部21に備えられた金型23に供給される。
成形部チャンバー22内はブロー成形機20の稼働前に過酸化水素水等の殺菌剤により殺菌され、稼働しているときは無菌エアが供給され、成形部チャンバー22内の無菌性は維持される。成形部チャンバー22内を殺菌剤により殺菌するために、成形部チャンバー22の壁面には加熱部チャンバー18と同様に殺菌剤を噴霧するための殺菌剤ノズルが設けられる。成形部チャンバー22の無菌性が維持されることにより、成形されるボトル2も無菌性を有する。
ホイール17から、金型23の割型23aと23b及び底型23cが閉じることでプリフォーム1はブロー成形機20に受け渡される。その後、ブローノズル43がプリフォーム1の口部1aに接合され、延伸ロッド44がブローノズル43に設けられた孔に誘導されてプリフォーム1内に挿入され、同時に図示しないバルブブロックの電磁弁の動作により中圧エア及び高圧エアが順次プリフォーム1に送り込まれ、プリフォーム1はボトル2に成形される。
ブロー成形機20により成形されたボトル2はホイール24を経て、検査部チャンバーに搬送される。検査部チャンバーで検査され、欠陥がないと判断されたボトル2は充填部チャンバーに搬送され、殺菌された内容物が充填され、殺菌されたキャップにより密封され、無菌製品として非無菌雰囲気に搬出される。検査は行わなくても構わないが、ボトル2の胴部、口部1aの天面、サポートリング1b、底部等の異物、変色、キズ等について検査し、限度を超えると判断された場合は、欠陥を有するボトル2として排出される。
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨内において種々変更可能である。例えばロータリー式の成形機ではなく直線式の成形機でも適用可能である。また、プリフォーム1をボトル2に成形した後に、プリフォーム1の殺菌とは別にボトル2を殺菌する殺菌部を設けても構わない。
1…プリフォーム
2…ボトル
5…殺菌部チャンバー
12…無端チェーン
13a、13b…プーリ
14…プリフォームの加熱装置
15…ヒーター
16…リフレクター
18…加熱部チャンバー
19…加熱部
27…スピンドル
28…駆動部
30…殺菌剤ノズル
31…無菌エア供給装置
33…無菌エア加熱装置
39…殺菌剤ガス生成器

Claims (3)

  1. 少なくとも、プリフォームをボトルにブロー成形するための温度に加熱する加熱部と当該加熱部を駆動する駆動部を有するプリフォームの加熱装置であって、
    前記加熱部が少なくともヒーター、リフレクター、スピンドル、無端チェーン及び無端チェーンを回転させるためのプーリを備えており、前記加熱部が加熱部チャンバーにより遮蔽され、当該加熱部チャンバーの内部及び内面を殺菌するために、前記加熱部チャンバー内に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付ける殺菌剤ノズルを含む殺菌装置及び前記加熱部チャンバー内に下部から無菌エアを供給する無菌エア供給装置が設けられていることを特徴とするプリフォームの加熱装置。
  2. 請求項1に記載のプリフォームの加熱装置において、
    前記無菌エア供給装置に無菌エア加熱装置が設けられていることを特徴とするプリフォームの加熱装置。
  3. 請求項1又は請求項のいずれか1項に記載のプリフォームの加熱装置において、前記殺菌装置に、殺菌剤のガスを生成する殺菌剤ガス生成器が設けられていることを特徴とするプリフォームの加熱装置。
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