以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。これにより本発明が限定されるものではない。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複した説明を省略する。
図1は、実施例1に係る運行管理システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施例の運行管理システムは、車両に搭載されるドライブレコーダ10と、ドライブレコーダ10においてイベント発生時に運行情報を記憶するメモリカード25と、このメモリカード25に記憶された運行情報の表示や管理などを行うための運行管理装置30とから構成される。
ドライブレコーダ10は、第1制御部11、加速度センサ(Gセンサ)12、ジャイロセンサ13、気圧センサ14、GPSアンテナ15、このGPSアンテナ15で受信したGPS信号から車両のGPS位置情報を測位するGPS(Global Positioning System)レシーバ16、スイッチ、ボタン等を含んで構成される第1操作部17、画像を一次記憶するための第1メモリ18、メモリカード25を挿入するスロットを有し且つメモリカード25への情報の書き込み等を行うための第1IF(インターフェイス)19、車両の前方を所定のレートで連続的に撮像するように車両に設置されたCCDカメラ20、車両信号取得部21、及びドライブレコーダ10の各要素に電力を供給するための電源部22等を有している。
また、ドライブレコーダ10は、ナビゲーション装置(図示せず)と連携して、ナビゲーション装置のディスプレイにおいて画像を再生できるように構成しても良い。更に、GPSレシーバ16は、必ずしも必須の構成ではないが、外付けの機器、例えばAVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムや、ナビゲーション装置が受信した位置情報を取得する構成としても良い。
第1制御部11は、CPU、ROM及びRAM等の記憶デバイスを含んだマイコン等で構成され、ドライブレコーダ10の動作全体の制御を司る。さらに、第1制御部11は、GPS信号から得た位置情報、上記の各種センサや車両信号から得た走行データ、CCDカメラから得た画像情報を含む運行情報を用いて所定のイベントの発生時点を判定する第1の判定手段である第1判定部26を有している。この第1判定部26は、前記のマイコン等の一部として構成されている。
画像情報を除く上記の運行情報は、第1制御部11内の記憶デバイスに一旦記憶され、第1判定部26に使用されるデータが順次読み出されて、イベントの発生時点の判定に使用される。また、第1制御部11は、CCDカメラ20が、100ミリ秒おきに1枚の画像を撮像し、撮像された画像を時刻データと共に第1メモリ18に順次循環的に記憶(後述するメモリカード25への記憶のために一次記憶)するように制御する。例えば、常にCCDカメラ20が撮像した画像24秒分(画像240枚分)の画像データが、第1メモリ18に記憶されるように構成される。なお、CCDカメラ20が撮像する画像は、100ミリ秒毎に1枚でなく、例えば50ミリ秒毎に1枚でも良い。また、CCDカメラ20が撮影した動画を記憶するように構成しても良い。
Gサンサ12は、互いに直交する2軸方向(X軸及びY軸)の加速度を検出し、検出した加速度(Gデータとも記す)を時刻データと共に第1制御部11へ送信する。第1制御部11は、例えば10ミリ秒間隔でGセンサ12から出力されたGデータ(Gx、Gy)を取得して、Gデータから加速度の値(大きさ)を判別することができる。
なお、GxはX軸方向(車両の前後方向)、GyはY軸方向(車両の左右方向)の加速度を示すものとする。また、Gセンサ12は、Z軸方向(車両の上下方向)も加えた3軸のものを利用しても良いし、3軸のものにおいて、Z軸方向の加速度Gzのデータを利用しなくても良い。
ジャイロセンサ13は、車両の角加速度(回転)を検出し、主に、車両の進行方向の変化(すなわち、鉛直方向軸であるヨー(Z軸)の回転)を検出し、検出した角加速度データを時刻データと共に第1制御部11へ送信する。第1制御部11は、例えば10ミリ秒間隔でジャイロセンサ13から出力された角加速度データを取得して、角加速度データから角加速度の値(大きさ)を判別することができる。
気圧センサ14は、車両外部の大気の圧力を検出し、検出した気圧値に基づいて高度を計算し、気圧値及び高度値(気圧・高度データ)を時刻データと共に第1制御部11へ送信する。第1制御部11は、例えば10ミリ秒間隔で気圧センサ14から出力された気圧・高度データを取得して、気圧・高度データから気圧・高度の値(大きさ)を判別することができる。
車両信号取得部21は、車両の故障診断コネクタと接続して、車両の各種信号や情報(車両データ)を、例えば100ミリ秒間隔で取得して、取得した車両データを時刻データと共に第1制御部11へ送信する。車両データとしては、例えば、[1]車両運転時のブレーキ操作を検出した信号、[2]同じくウインカ操作を検出した信号、[3]同じくアクセル操作を検出した信号、[4]同じくハンドル回転を検出した信号、[5]同じくシフトレバー位置を検出した信号、[6]同じくサイドブレーキ操作を検出した信号や、[7]車両内の車両故障診断システム(OBD)から得られる車両故障診断情報(車速、エンジン回転数、冷却水温度など)、[8]車載LAN(CAN)を介して得られる各種車両情報(自車両のECU(Electronic Control Unit)からの各機能制御データ、車外のネットワークや他の車両からの通信データなど)などである。
一例として、車両信号取得部21は、ブレーキ操作を検出した信号を取得した場合、車両のブレーキが操作されたか否かを示すブレーキ操作データ、ブレーキ操作が開始された時刻を示すブレーキ操作開始時刻データ及びブレーキ操作が終了された時刻を示すブレーキ操作終了時刻データを第1制御部11へ送信する。即ち、車両信号取得部21からのブレーキ操作データ、ブレーキ操作開始時刻データ及びブレーキ操作終了時刻データによって、第1制御部11は、ブレーキ操作がなされたか否か、ブレーキ操作が開始された時刻、及びブレーキ操作が終了された時刻を判別することができる。
他の例として、車両信号取得部21は、ハンドル回転を検出した信号を取得した場合、車両のハンドルが回転された否かを示すハンドル回転データ、ハンドル回転が開始された時刻を示すハンドル回転開始時刻データ及びハンドル回転が終了された時刻を示すハンドル回転終了時刻データを第1制御部11へ送信する。即ち、車両信号取得部21からのハンドル回転データ、ハンドル回転開始時刻データ及びハンドル回転終了時刻データによって、第1制御部11は、ハンドル回転がなされたか否か、ハンドル回転が開始された時刻、及びハンドル回転が終了された時刻を判別することができる。
なお、GPSアンテナ15、GPSレシーバ16、第1IF19、CCDカメラ20、車両信号取得部21等の一部又は全部は、ドライブレコーダ10と別体に構成されても良い。例えば、GPS機能を有する既存のナビゲーション装置と連携させた場合、ドライブレコーダ10にGPSレシーバ16等の機能は不要であるので、その分だけドライブレコーダ10のコストを低く抑えることができる。
ドライブレコーダ10の第1制御部11内の第1判定部26は、予め定める所定の条件が成立したとき(すなわち、ドライブレコーダ10による記録を行うべきイベントが発生したとき)、具体的には、(a)急ブレーキ、急ハンドル、衝突など、あるいは、その他の事故の発生に相当するイベント(事象)などの発生により車両に衝撃が加わって、内部に備えるGセンサ12から出力されたGデータの値(大きさ)が所定の閾値を超えたときや、その他(b)第1操作部17の緊急スイッチが押された時などをイベント発生時点と判定する。この判定は、前記のマイコン等を構成するCPUが実行する処理により実現する。そのイベント発生時点の検出をトリガにして前後数秒〜十数秒分(例えば、前15秒、後5秒など)の各種データを、イベント発生時刻データとともに取得して、1つの運行情報としてメモリカード25に記録する。
メモリカード25に記録される運行情報は、Gセンサ12から出力されたGデータ、ジャイロセンサ13から出力された角加速度データ、気圧センサ14から出力された気圧・高度データ、GPSレシーバ16が測位したGPS位置情報、CCDカメラ20が撮影したカメラ画像データ、車両信号取得部21が取得した車両の各種信号や情報(ブレーキ操作やハンドル回転などの検出データ、車速データなど)、を含む。
ドライブレコーダ10は、記録を行うべきイベントが発生してトリガが検出された時から前後数秒〜十数秒分(例えば、前15秒、後5秒など)の複数のカメラ画像1枚1枚に対応付けて、運行情報の各種データをメモリカード25に記録する。
メモリカード25は、2Gバイトの記憶容量を有する書き換え可能な不揮発性の半導体メモリカードである。このメモリカード25は、第1IF19を構成するスロットに挿入されて、イベントの発生時点の前後の所定期間に、第1メモリ18に常に循環的に一次記憶している所定の画像(例えば、イベントの発生時点の前15秒分の画像と、後5秒分の画像)が記憶される。その後、メモリカード25は、第1IF19を構成するスロットから排出されて運行管理装置30の第2IF36を構成するスロットに再挿入されて、記憶されているイベント発生時点の画像を含む運行情報を運行管理装置30へ出力する。
なお、メモリカード25として半導体メモリカードを用いたが、それに限定されることなく、カードタイプ以外の半導体メモリ、持ち運び可能なハードディスク(HD)、その他の記憶媒体等を利用することができる。また、メモリカード等の記憶容量は任意であって、用途に応じて自由に決定することが可能である。
運行管理装置30は、イベント発生時点の運行情報を表示するイベント表示手段の実現およびその他の情報の出力などを行うため、第2制御部31、ディスプレイ等によって構成される表示部32、表示画面を紙面に印刷するプリンタ等から構成される出力部33、キーボード、マウス等の入力デバイスを含んで構成される第2操作部34、画像を一次記憶するための第2メモリ35、メモリカード25を挿入するためのスロットを含み且つメモリカード25から画像の読み出し等を行うための第2IF(インターフェイス)36、及び入力画像に所定の画像処理を施すための画像処理部37等を有している。イベント発生時点の運行情報は表示部32に表示される。
第2制御部31は、CPU、ROM及びRAM等を含んで構成され、運行管理ソフトがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)であり、運行管理ソフトに含まれるプログラムを解釈実行して運行管理装置30の各構成要素を動作させ、各種機能を実現する。
また、運行管理装置30は、操作者が特定の地点を登録でき、さらに、前記イベントの発生時点の運行情報がその特定の地点の走行において発生した運行情報である場合、その運行情報をイベント表示の対象から除外すること、すなわちキャンセル機能が実現できるように構成されている。具体的には、第2操作部34により、キーボード、マウスなどを用いて、表示された地図上での指定や、緯度、経度データの入力などにより特定の地点を登録する。
登録された特定の地点は道路を含む範囲として設定され、そのイベントの発生位置が上記特定の地点の範囲内にある場合、イベント表示画面においてキャンセル機能を使用してそのイベントを表示対象から除外することができる。操作者がこのキャンセル機能を使用するか否かの判断を行い、第2操作部34のキーボードやマウスなどを用いてその操作を行う。
なお、特定の地点のデータを第2IF36、メモリカード25、第1IF19を介してドライブレコーダ10の第1制御部11へ送り、第1制御部11において、特定の地点で第1判定部26によりイベント発生として判定されたイベントをイベント対象から除外することも可能である。すなわち、この場合、そのイベントに関する運行情報はメモリカード25への記録対象の運行情報としないように制御される。
また、この場合、図1に示すように、運行情報により異常状態の発生を判断する第2の判定手段である第2判定部27を第1制御部11に設け、この第2判定部27により異常状態が発生したと判定された場合、第1判定部26の判定結果および特定の地点であるか否かによらず、異常状態の発生時点における運行情報をイベントとしてメモリカード25へ記録することも可能である。この場合、第2判定部27も前記のマイコン等の一部として構成し、その判定はCPUが実行する処理により実現する。事故などの重要なイベントが実際に生じた場合にはイベント発生の判定が必要であり、イベント表示が必要となる。この第2判定部における判定は、運行情報が異常状態の発生を示す予め定めた一定のパターンに類似しているか否かにより判定することができる。
例えば、上記の加速度データGx、Gy、Gzの振幅および周波数成分の組み合わせ、または、それらのデータと速度データとを、予め設定したデータのパターンと比較することにより行うことができる。
上記のように、第2判定部27を有する第1制御部11において、特定の地点におけるイベントの判断を行う場合の手順のフローチャートの一例を図2に示す。最初に、イベント発生時点の判断に必要な運行情報の読み出しを行う。次に、第1判定部26においてその運行情報に基づいて前記のイベント発生の条件が成立するか否かを判定する。イベント発生の条件が成立しないときは最初に戻り、次の時点の運行情報を読み出す。イベント発生の条件が成立したときは、そのイベント発生地点が登録されている特定の地点の範囲内にあるか否かの判断を行う。イベント発生地点が特定の地点の範囲内にない場合はその運行情報の時点をイベント発生時点と決定し、メモリカード25への運行情報の記録を行う。イベント発生地点が特定の地点の範囲内にある場合は、第2判定部27において、運行情報が予め定めた一定のパターンに類似しているか否かなどの判断により前記の異常状態の発生に該当するか否かを判定する。異常状態に該当しない場合はイベント発生がキャンセルされて最初に戻り、次の時点の運行情報を読み出す。異常状態に該当する場合はその運行情報の時点をイベント発生時点と決定し、メモリカード25への運行情報の記録を行う。このように、特定の地点におけるキャンセル機能の使用と、この第2判定部27による判定を車両の走行中に行うことにより、その都度適切なイベント発生の判定を行うことができ、メモリカード25へ記録すべき情報の容量を減らすことができる。
次に、図3を参照して、メモリカード25に記録される内容のデータ構造について説明する。図3は、メモリカード25に記録される内容のデータ構造を概念的に示す図である。
図3に示すように、メモリカード25には、各イベントの発生毎に、対応する運行情報が、運行情報1、運行情報2、運行情報3というように区分されて記録される。運行情報1は、イベント発生時の前後20秒分(前15秒、後5秒)に相当する240枚のカメラ画像1〜240と、カメラ画像以外のその他の運行情報を含む画像関連情報とから構成される。画像関連情報は、イベント発生時のGデータとその時刻データを含む主項目データと、240枚のカメラ画像1〜240それぞれに対応する関連データ1〜240とを含む。運行情報2、3についても同様である。
主項目データは、Gデータ、角加速度データ、気圧・高度データ、それぞれの時刻データを含み、画像関連データは、カメラ画像の撮影日や撮影時刻、カメラ画像の撮影時の車両の各種信号や情報(ブレーキ操作やハンドル回転などの検出データ、車速データなど)、車両のGPS位置情報を含む。
次に、図4を参照して、車両に衝撃が加わるなどのイベントの発生時において、ドライブレコーダ10のGセンサ12(図1参照)で検出される加速度(Gデータ)の変化の様子と、ドライブレコーダ10における画像等の記憶方法について説明する。
図4(a)はGセンサ12から出力されたGデータ(Gx、Gyの合成値)の時系列的変化を示しており、図4(b)はメモリカード25に記憶する画像期間の例を示している。
車両に衝撃が加わった時点より、Gセンサ12から出力されたGデータの値(大きさ)が、ほぼゼロから急増する。そして、図4(a)に示すように、時刻tpにおいて、Gセンサ12のGデータの値(大きさ)が、閾値加速度Gs(例えば、0.3G)になった時(時刻tp)、第1制御部101の第1判定部26は、それをトリガと認識し、イベントが発生したと判断する。これにより、第1制御部101は、CCDカメラ20が撮像し、常に第1メモリ18に循環的に一次記憶している画像をメモリカード25に記憶し、また、時刻tpをイベント発生判断時刻データとしてメモリカード25に記憶するように動作する。
具体的には、図4(b)に示すように、時刻tpの前のTA秒間の画像PAと、時刻tpの後のTB秒間の画像PBをメモリカード25に記憶するように制御する。例えば、TAは15秒、TBは5秒とすることができる。なお、TA及びTBの期間は自由に設定できるものとする。例えば、ドライブレコーダ10の設定画面(図示せず)に設定時間(秒)を表示させながら、ドライブレコーダ10の第1操作部17の時間設定ボタンを操作して時間を設定し、設定された情報を保存しておくことにより、任意の時間に設定できる。
上記のように車両に衝撃が加わるなどのイベントが発生し、Gセンサ12の検出Gデータの値(大きさ)が所定の閾値を超えた時、1回のイベント毎に、第1制御部11は、イベント発生時刻データ(tp)、Gセンサ12の検出Gデータ(Gx、Gy)及びその時刻データ、ジャイロセンサ13の検出角加速度データ及びその時刻データ、気圧センサ14の気圧・高度データ及びその時刻データ、車両信号取得部21で取得された時刻tpの前のTA秒間及び時刻tpの後のTB秒間の車両データ及びその時刻データ(例えば、ブレーキ操作データとその時刻データ、ハンドル回転データとその時刻データ、車速データとその時刻データなど)を、画像データと共にメモリカード25に記憶する。なお、上述したデータの一部のみをメモリカード25に記憶するように構成しても良い。
メモリカード25に記憶されるイベント数は、メモリカード25の記憶容量に応じて、可変することができるが、例えば、500イベント以上分のデータが記憶できるようにすることが好ましい。また、第1制御部11は、イベント毎にメモリカード25にフォルダを作成して、画像データ、イベント発生時刻データ(tp)、Gセンサ12のGデータ(Gx、Gy)及びその時刻データ、角加速度データ及びその時刻データ、気圧・高度データ及びその時刻データ、車両データ及びその時刻データを記憶するようにすることが好ましい。
なお、上述したイベントの発生時において、閾値加速度Gsを超えることをイベント発生のトリガとしたが、例えば、単位時間あたりの加速度の変化量がある値を超えた場合(0.1秒間に、Gデータの値(大きさ)が0.1G以上変化した場合)にイベントが発生したと認識するようにしても良い。また、上記の例では、Gx、Gyの合成値が所定の値を超えたときをイベント発生のトリガとしたが、加速度の各成分Gx、Gy、Gzのそれぞれの大きさを用いて判定してもよい。例えば、Gxが所定の閾値を超えた後、Gyが所定の閾値を所定時間内に超えた場合など、各成分の値の時間的変化のパターンが所定のパターンを採った場合にトリガあり(イベント発生)と判定するようにしてもよい。また、Z方向(上下方向)の加速度Gzも加味して判定するようにしてもよい。
閾値加速度Gsを超える加速度変化は、例えば、急ブレーキをかけた場合や急ハンドルによる場合などがある。図5は急ハンドルの場合の加速度変化を示す図であり、Gセンサ12から出力されたGデータ(Gx、Gyの合成値)の時系列的変化を示している。
図5に示すように、時刻t3において、急ハンドルが回され始められた場合、Gセンサ12では、主に車両の左右方向の加速度(Gy)が検出され、加速度が変化する。Gセンサ12からの加速度(Gデータ)は、時刻t3から徐々に増え(すなわち、車両の曲がる向きと逆向きの加速度が大きくなり)、それが閾値加速度Gs(例えば、0.3G)になった時(時刻tp)、第1制御部11は、それをトリガと認識し、イベントが発生したと判断し、CCDカメラ20が撮像し、常に第1メモリ108に循環的に記憶している画像をメモリカード25に記憶し、また、時刻tpをイベント発生判断時刻データとしてメモリカード25に記憶するように動作する。
時刻tpの以降も加速度は増え続け、極大値(最大値)になった後、減少に変わって徐々に減り(すなわち、車両の曲がる向きと逆向きの加速度が小さくなり)、そして、急減して、ゼロ点を経て、更に減り(すなわち、車両の曲がる向きの加速度が大きくなり)、極小値(最小値)になり、増加に変わって急増し(すなわち、車両の曲がる向きの加速度が小さくなり)、車両が曲がり終わり、ハンドルが回され終えた(すなわち、ハンドルが元に戻された)とき(時刻t4)、ゼロになる。
図5において、時刻t3から時刻tpまでの期間Tfは「危険運転のはじめからトリガ発生直前の期間」であり、時刻tpから時刻t4までの期間Tgは「危険運転の挙動」の期間である。
図6は車両衝突の場合の加速度変化を示す図であり、Gセンサ12から出力されたGデータ(Gx、Gyの合成値)の時系列的変化を示している。
図6に示すように、時刻t5において、車両が何かと衝突した場合、Gセンサ12では、車両の前後方向の加速度(Gx)及び左右方向の加速度(Gy)がそれぞれ検出され、変化する。Gセンサ12からの加速度(Gデータ)は、時刻t5の直後から急増し、更に急減するという急増減を繰り返した後、それが急増し、それが閾値加速度Gs(例えば、0.3G)になった時(時刻tp)、第1制御部11は、それをトリガと認識し、イベントが発生したと判断し、CCDカメラ20が撮像し、常に第1メモリ18に循環的に記憶している画像をメモリカード25に記憶し、また、時刻tpをイベント発生判断時刻データとしてメモリカード25に記憶するように動作する。
具体的には、図4と同様に、時刻tpの前のTA秒間の画像PAと、時刻tpの後のTB秒間の画像PBをメモリカード25に記憶するように制御する。
時刻tpの以降も加速度は増え、極大値(最大値)になってから急減し、ゼロ点を経て、極小値(最小値)になってから急増し、再び、ゼロ点を経て、再び、極大値(最大値)になってから急減し、再び、ゼロ点を経て、急増減を繰り返した後、車両が停止し、加速度が収束した時点(t6)で、ゼロになる。
図6において、時刻t5から時刻tpまでの期間Thは「大きな衝撃前の衝撃の期間」であり、この期間Thには、車両のバンパーやガードレールなどの効果による衝撃軽減による衝撃波形が現れる。また、時刻tpから時刻t6までの期間Tiは「衝撃の挙動」の期間である。
図7、図8、図9は、運行管理装置30の表示部に表示されるイベント表示画面の表示事例を示す図であり、図7は特定の地点でのイベントを表示対象から除外する前の画面、図8は特定の地点のイベントを表示対象から除外する操作画面、図9は特定の地点のイベントを表示対象から除外した後の画面である。この表示事例は、ドライブレコーダ10内に装着され、カメラ画像や画像関連情報を含む運行情報が記録されたメモリカード25を取り出して、運行管理装置30の表示部32に表示させ、特定の地点でのイベントを表示対象から除外する操作を運行管理装置30で行う場合の例を示すものである。
図7において、右下に表示されている地図画面50において、その範囲内において予め定めた一定の期間内に発生した<1>〜<4>の4つのイベントの発生地点を地図画面50上に表示し、それぞれのイベント発生時点の4つの画像52を表示画面の左上部に左から順に配置して表示する。上記の一定の期間としては、例えば1年以内、数ヶ月以内、数週間以内などとすることができる。また、各イベントの発生日時とイベントの種類を右上の画像51に表示する。さらに、画像51において選択された2番目のイベント<2>の運行情報、すなわち、イベント発生時点の速度および加速度、位置の数値データを左下の画像53に表示し、イベント発生前後の加速度の時間的な変化を下辺の画像54に表示する。さらに地図画面50には、その範囲内において登録されている特定の地点A、Bを表示する。
なお、図7においては、各イベントのイベント発生時点の1つの画像のみ表示しているが、メモリカード25に記録されている各イベントのイベント発生時点の前後の一定の期間、例えば数秒〜数十秒間における複数の画像を、図7においてスペースとなっている画像55の部分に時系列的に表示させることも可能である。
表示対象から特定の地点のイベントを除外する場合、図8の操作画面を表示させる。この表示操作は、例えば、地図上に表示されている四角で囲んだ特定の地点、または画面上の画像56の部分にポインタを移動してクリック操作を行うこと、または、キーボードによる入力などにより行う。この表示画面において、地図画面50の上方に地図画面50内に含まれる特定の地点A、Bを示す画像56を表示する。特定の地点は上記のように道路を含む範囲として設定し、図8においてはイベント<4>の発生位置が特定の地点Bの範囲内にあるので、イベント<4>を選択する。次に、イベント<4>のレベルや過去の運転経験などの操作者の判断に基づいてイベント<4>を表示対象から除外する場合、画像56と地図画面50の間の画像57に表示しているキャンセルボタンを押す。これによりイベント<4>は表示対象から除外される。図9は、上記操作の後、イベント<4>が表示対象から除外された状態を示す画像である。
図10は、実施例2に係る運行管理システムの概略構成を示す図である。図10に示すように、本実施例の運行管理システムは、車両に搭載されるドライブレコーダ60と、ドライブレコーダ60において運行情報を記憶するメモリカード65と、このメモリカード65に記憶された運行情報を用いてイベント発生時点を判定し、イベントの表示や管理などを行うための運行管理装置70とから構成される。
本実施例においては、運行情報は車両の運行中に予め定めた一定の時間間隔で連続して取得し、それらの運行情報はすべて時刻データと共にメモリカード65に記録される。例えば、記録される運行単位としてはエンジンオンからオフまでとする。また、一定の時間間隔としては、例えば、数ミリ秒から数十ミリ秒程度を選択できる。本実施例においては、イベントの発生時点を判定する第1の判定手段としての第1判定部76、および異常状態の発生を判断する第2の判定手段としての第2判定部77は運行管理装置70の第2制御部71に設けている。CCDカメラ20が、50〜100ミリ秒おきに1枚の画像を撮像し、撮像された画像を時刻データと共に第1メモリ18に順次記憶する。この記憶された画像データをそのままメモリカード65に記録してもよく、または、画像の変化率を検出し、その変化率に応じてメモリカード65に画像を記録する時間間隔を調整してもよい。また、CCDカメラ20が撮影した動画をメモリカード65に記憶するように構成しても良い。上記以外の部分については、ドライブレコーダ60および運行管理装置70の構成は図1の構成と同様である。
第1判定部76および第2判定部77において運行情報に基づいてイベントの発生時点を判定する手法は上記の実施例1と同様であるが、本実施例においては、運行後に、運行管理装置70において、第1判定部76における判定条件の設定または変更が可能である。また、特定の地点においてキャンセル機能を使用するか否かの選択も運行後に可能である。
運行管理装置70における表示画像も図7〜9の表示事例と同様な表示画像とすることができるが、他の表示方法も可能である。図11は表示画面の一例を示す地図画面である。図11の地図画面においては、地図上のイベント発生地点に表示されたイベントに関連する情報を表の形態で表示している。その表81中において、イベントのレベルをHまたはLで表示し、所定の期間において同一の地点における同一のイベントの発生回数も表示している。
図12は、他の表示画面の一例を示す地図画面である。図12においては、イベント<2>の地点において所定の期間において発生した3つのイベントを表82中に表示している。このイベントは、車両の進行方向が地図画面の上方より下方に向かう場合に発生したものであり、表82ではその進行方向を矢印で表示している。
他の表示方法としては、一定の期間において表示された地図の範囲内に発生したすべてのイベントを、各地点ごとおよびイベントの種類ごとに発生回数をまとめて表示することも可能である。上記のように、地図画面中にイベント情報を表の形態で表示する場合、特定の地点においてキャンセル機能を用いてその地点のイベントを表示対象から除く操作は、例えば、以下のように行うことができる。1つの方法は、図7の地図画面と同様に地図画面上にイベント発生地点と同時に特定の地点を表示し、特定の地点内にあるイベントにポインタを移動しクリックすることで表示から除くように設定する方法、他の方法としては、表中のイベントまたは地図上のイベントにポインタを移動しクリックすることでそのイベント発生地点が特定の地点内にあるか否かを表示させ、特定の地点内にある場合はキャンセルボタンを表示し、キャンセル可能とする方法などである。また、キーボードによりイベント番号などを入力してキャンセル機能を実現することも可能である。
<変形例>
本発明は、上述した本発明の実施形態の記載内容に限定されず、種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば、次のように実施しても良い。
(1)上述した実施形態では、Gセンサ12から出力されたGデータの値(大きさ)が閾値加速度Gsになった時(時刻tp)をトリガと認識し、イベントが発生したと判断しているが、これに限らず、例えば、ジャイロセンサ13から出力された角加速度データや気圧センサ14から出力された気圧・高度データの値(大きさ)が所定値になった時をトリガと認識し、イベントが発生したと判断してもよい。また、記録された映像を解析した結果からイベントが発生したと判断してもよい。
その他、第1操作部17の緊急スイッチが押された時、外部ポートからの信号入力があった時、及びAVM−ECU(Automatic Vehicle Monitoring − Engine Control Unit)などの外部機器からの通信(例えば、RS−232C)によりコマンドを受信した時などをイベント発生時としてもよい。
(2)イベントに関する画像の表示方法としては、1回のイベント毎ごとに記憶された所定期間の画像の中から、急ブレーキ、急ハンドル、車両衝突といったイベントごとに、イベント前後の4つの時点に撮影された画像を表示すること、4つの時点以外の複数の異なる時点に撮影された複数の画像を選択して表示することなどが可能である。また、複数の異なる時点については、イベントの種類によって、種々の組み合わせとするとよいが、イベントの特徴が現れる時点の組み合わせ(所定期間の中の特定期間)とすることが好ましい。
イベントの特徴が現れる時点の組み合わせは、画像データと共にメモリカード25に記憶された「車両の挙動を検出したデータ」や「車両の機能状態に関するデータ」といった各種データを、単独あるいは組み合わせて使用して、それらのデータに基づいて、的確なタイミングに撮影された複数の画像が選択され、選択された画像が表示されるようにするとよい。
「車両の挙動を検出したデータ」としては、例えば、加速度データ、角加速度データ、気圧・高度データ、映像解析データなどとするとよい。また、「車両の機能状態に関するデータ」としては、例えば、車両運転時のブレーキ、ウインカ−、アクセル、ハンドル回転、シフトレバー位置、サイドブレーキのいずれかの操作に関するデータや、車両故障診断システムであるOBD(On Board Diagnosis)、車載LANであるCAN(Controller Area Network)から得られるデータとするとよい。
(3)上述した実施形態に限らず、イベントが発生したと判断するのに用いた情報(例えば、急ハンドルによる車両の左右方向のGデータ(Gy))と異なる情報(例えば、急ブレーキによる車両の前後方向のGデータ(Gx))が所定値(例えば、極大値など)になった時点に撮像された画像を選択し、表示してもよい。これにより、イベントが発生したと判断するのに用いた情報(例えば、急ハンドルによるGデータ(Gy))と異なる情報(例えば、急ブレーキによるGデータ(Gx))が所定値になった時点の事象に関連する画像を簡単に見つけることができる。
(4)上述した実施形態に限らず、Gデータの値(大きさ)が閾値加速度Gsになってイベントが発生したと判断した時(時刻tp)からさかのぼって、例えば、Gデータが極大値・極小値となる時点、Gデータの時系列変化の変曲点となる時点、Gデータが短時間に急増減を繰り返すなどの特徴的な変化をする時点といったイベントの発生の原因となったサブイベントの発生時点を推定する時点に撮像された画像を選択し、表示してもよい。これにより、例えば、Gデータの急増減などの特徴的な変化をする時点など、イベントの発生の原因となったサブイベントの発生時点を推定する時点の事象に関連する画像を簡単に見つけることができる。
(5)上述した実施形態では、本発明の運行管理システムを図1または図10の構成例のようにドライブレコーダと運行管理装置を組み合わせた構成で説明したが、運行管理装置は各種の電子機器の機能として実施することができる。例えば、ナビゲーション装置、ドライブレコーダ、レーダ探知機及びカーオーディオの機能として組み込んでもよい。
(6)上述した実施形態に限らず、運行管理装置30または70の第2制御部31または71のROMに予め記憶されている制御プログラムを、汎用のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機などの携帯端末にダウンロードし、携帯端末に搭載されたコンピュータに、第2制御部31または71の制御処理を実行させ、メモリカード25または65に記憶された画像や各種データを読み込ませ、読み込ませた画像や各種データから作成された画像を表示させてもよい。
(7)上記の実施形態の各機能は、その機能をコンピュータ読み取り可能なプログラム言語で記述してそのプログラムを、第2制御部31または71のコンピュータに実行させることで実現しているが、これに限らず、例えば、プログラムを複数のコンピュータに分散配置し、分散処理するようにしてもよい。