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JP6448081B2 - コンデンサマイクロホンユニット及びその製造方法 - Google Patents

コンデンサマイクロホンユニット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンデンサマイクロホンユニット及びその製造方法に関し、例えば音響管を用いる狭指向性マイクロホンに用いることのできるコンデンサマイクロホンユニット及びその製造方法に関する。
図7に一般的な単一指向性のコンデンサマイクロホンユニットの断面図を示す。図7のコンデンサマイクロホンユニットは、前端面に複数の前方音響端子孔10aを有するユニットケース10と、その中に収容される音響電気変換器20と、ユニットケース10の後端開口に配置される回路基板30とを備える。
前記音響電気変換器20は、支持リング21に所定の張力をもって張設された振動板22と、絶縁座25の一端側に支持された円盤状の固定極24と、それらの間に配置される電気絶縁性のスペーサリング23とを含む。
図示するように、振動板22と固定極24とは、スペーサリング23を介して対向配置され、これにより静電型の音響電気変換器20が構成される。
また、回路基板30には、インピーダンス変換器としてのFET(電界効果トランジスタ)40が実装されている。
また、回路基板30は、後部音響端子32を備え、絶縁座25と固定極24には、それぞれ音孔(音波導入孔)25a、24aが穿設されている。
これにより、後部音響端子32からの音波が、音孔25a、24aを介して振動板22の背面に作用するようになっている。
尚、固定極24と音孔25aとの間の空気室50には、所定の音響抵抗材26が配置されている。
ところで、前記マイクロホンユニットの前端側に音響管(図示せず)を連結すると、狭指向性のマイクロホンとして用いることができる。
しかしながら、このような音響管を用いる狭指向性コンデンサマイクロホンにあっては、音響管の長さと音波の波長の関係から、低い周波数では音響管による狭指向性は得られないといった問題がある。このため、単一指向性ユニットの前部音響端子に音響管を接続し、音響管が動作しない低い周波数では単一指向性マイクロホンとして動作させている。尚、音響管を用いた狭指向性のマイクロホンについては、特許文献1に開示されている。
また、このような狭指向性マイクロホンでは、低い周波数帯域の実効的な音響端子間距離が長くなるため、音響管の音響質量が単一指向性コンデンサマイクロホンユニットの振動板22前側に接続される。このため、ユニットの指向性は、自由空間で測定すると無指向性に極めて近い指向周波数応答を持つように調整する必要がある。
また、固定極24後部の空気室50は、振動板22への無指向成分の駆動力となり、振動板22の等価機械質量と空気室50のスチフネスの共振周波数を決定する。この共振周波数は、収音帯域の上限に設計する必要があるので、空気室50のスチフネスを高くするために空気室50の容積は小さく設計する必要がある。
また、無指向性に極めて近い指向周波数応答を実現するために、後部音響端子32の音響抵抗を高くし、後部音響端子32から振動板22後部に加わる双指向性成分の駆動力を小さくする必要がある。空気室50のスチフネスが高いため、後部音響端子32の音響抵抗は極めて高く設計される。
特開2000−050386号公報
しかしながら、振動板22後部と後部音響端子32の音響抵抗の間に漏洩がある場合には、音響抵抗が実効的に減少したように動作し、本来の指向性が実現できないという課題があった。
より具体的に説明すると、図8に示すように、絶縁座25と固定極24との接触部分(周縁部分の接触部分)の漏洩が問題となっていた。
固定極24は、一般にエレクトレット材(FEPフィルム)を熱融着した金属板をプレス加工で抜くため、その切り口の端面には破断面61とバリ62が発生し、平坦ではない。
一方、絶縁座25は、一般にPC(ポリカーボネイト)を射出成形することで作製される。しかしながら、材料が冷却される際、収縮が発生するために、固定極24と接する面が平坦ではなくなり、これら部品の製造に起因する問題から、部品間に漏洩路63ができるという問題があった。
また、漏洩路63の寸法は均一でないため、マイクロホンの低域の指向周波数応答に個体差が生じるという課題があった。特に、音響管の長い狭指向性コンデンサマイクロホンでは、漏洩の問題が大きく影響し深刻な課題となっていた。
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、振動板に対向配置される固定極の周縁部が絶縁座により支持されるコンデンサマイクロホンユニットにおいて、絶縁座と固定極との接触部分の漏洩を無くすことのできるコンデンサマイクロホン及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係るコンデンサマイクロホンユニットは、音波により振動する振動板と、前記振動板に対向配置される固定極と、前記固定極の周縁部に接触して支持する絶縁座とを具備するコンデンサマイクロホンユニットであって、前記絶縁座の周縁部には、その外周面が径方向内側に向かって前記固定極側に突起するようにテーパ状に形成されたテーパ面と、前記テーパ面から続いて形成され、固定極の周縁部に沿ったリング状の先端面を有するリング状突起が形成され、前記リング状突起の先端面により前記固定極の周縁部が支持され、前記絶縁座と前記固定極との間において、前記リング状突起のテーパ面に、硬化することにより収縮する接着剤が設けられていることに特徴を有する。
尚、前記接着剤が硬化することにより、前記絶縁座と前記固定極との接触部分が密着していることが望ましい。
また、前記絶縁座において、前記リング状突起のテーパ面には、前記固定極の外周面に当接し、該絶縁座上における前記固定極の位置合わせを行うための複数の係止突起が設けられていることが望ましい。
このような構成によれば、前記接着剤の硬化により、絶縁座と固定極とを隙間無く密着させることができる。
これにより、絶縁座と固定極との間の漏洩路が無くなるため、音響管の長い狭指向性コンデンサマイクロホンにおいても、個体差の無い製品を作ることができる。
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るコンデンサマイクロホンユニットの製造方法は、音波により振動する振動板と、前記振動板に対向配置される固定極と、前記固定極の周縁部に接触して支持する絶縁座とを具備するコンデンサマイクロホンユニットの製造方法であって、前記絶縁座の周縁部に、その外周面が径方向内側に向かって前記固定極側に突起するようにテーパ状に形成されたテーパ面と、前記テーパ面から続いて形成され、固定極の周縁部に沿ったリング状の先端面を有するリング状突起を形成するステップと、前記リング状突起の先端面により前記固定極の周縁部を支持するステップと、前記絶縁座と前記固定極との間において、前記リング状突起のテーパ面に、硬化することにより収縮する接着剤を設けるステップと、前記接着剤を硬化させるステップとを含むことに特徴を有する。
尚、前記リング状突起の先端面により前記固定極の周縁部を支持するステップにおいて、前記固定極と前記絶縁座とを接触させる際、前記リング状突起のテーパ面に設けられた複数の係止突起によって、前記絶縁座上における前記固定極の位置合わせを行うことが望ましい。
また、前記絶縁座と前記固定極との間において、前記リング状突起のテーパ面に、硬化することにより収縮する接着剤を設けるステップにおいて、前記係止突起の内側に前記接着剤を設けることが望ましい。
このような方法により製造されたコンデンサマイクロホンユニットによれば、前記接着剤の硬化により、絶縁座と固定極とを隙間無く密着させることができる。
これにより、絶縁座と固定極との間の漏洩路が無くなるため、音響管の長い狭指向性コンデンサマイクロホンにおいても、個体差の無い製品を作ることができる。
振動板に対向配置される固定極の周縁部が絶縁座により支持されるコンデンサマイクロホンユニットにおいて、絶縁座と固定極との接触部分の漏洩を無くすことのできるコンデンサマイクロホン及びその製造方法を得ることができる。
図1は、本発明に係るコンデンサマイクロホンユニットの断面図である。 図2は、図1のコンデンサマイクロホンユニットが備える絶縁座の平面図である。 図3は、絶縁座の周縁部の状態を示す一部断面図である。 図4は、絶縁座の周縁部の状態を示す一部断面図である。 図5は、絶縁座の周縁部の状態を示す一部断面図である。 図6は、絶縁座の周縁部の状態を示す一部断面図である。 図7は、従来のコンデンサマイクロホンユニットの断面図である。 図8は、従来のコンデンサマイクロホンユニットにおいて、絶縁座と固定極との接触部の漏洩を説明するための断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係るコンデンサマイクロホンユニットの断面図である。尚、図1に示すコンデンサマイクロホンユニット1において、既に図7を用いて説明したコンデンサマイクロホンユニットの構成部材と同等のものについては同じ符号で示す。
図示するコンデンサマイクロホンユニット1は、前端面に複数の前方音響端子孔10aを有するユニットケース10と、その中に収容される音響電気変換器20と、ユニットケース10の後端開口に配置される回路基板30とを備える。
前記音響電気変換器20は、支持リング21に所定の張力をもって張設された振動板22と、前記振動板22に対しその後方に対向配置された円盤状の固定極24と、前記固定極24の周縁部を支持する絶縁座2とを具備する。前記固定極24と前記振動板22との間には、それらの周縁部において電気絶縁性のスペーサリング23が設けられ、所定の間隙が設けられている。これにより静電型の音響電気変換器20が構成される。
また、回路基板30には、インピーダンス変換器としてのFET(電界効果トランジスタ)40が実装されている。FET40が備える3つの電極のうち、ゲート電極は、所定の電気的接続手段を介して固定極24と接続されている。
また、コンデンサマイクロホンユニット1は単一指向性であるため、回路基板30は、後部音響端子32を備え、絶縁座2と固定極24には、それぞれ音孔(音波導入孔)2a、24aが穿設されている。
これにより、後部音響端子32からの音波が、音孔2a、24aを介して振動板22の背面に作用するようになっている。尚、固定極24と音孔2aとの間の空気室50には、所定の音響抵抗材26が配置されている。
本発明に係るコンデンサマイクロホンユニット1にあっては、固定極24を支持する絶縁座2の構成に特徴を有する。図2は、絶縁座2の平面図である。
図1、図2に示すように絶縁座2には、その中央部に形成された小径のリング状突起3と、周縁部に形成され固定極24の周縁部を支持するための大径のリング状突起4とが設けられている。
前記小径のリング状突起3は、内周と外周の径が一定の筒状に突起し、外周面において、大径のリング状突起4の内周面とともに空気室50を形成し、図1に示すように空気室50には音響抵抗材26が設けられている。
前記大径のリング状突起4は、内周面の径は一定だが、外周面は径方向内側に向かって固定極24側に突起するようにテーパ状に形成されたテーパ面4bとなっている。さらに前記リング状突起4のテーパ面4bから続く先端面4aは平坦に形成され、この先端面4aにおいて固定極24の周縁部下面を支持している。
また、前記大径のリング状突起4のテーパ面4b上には、周方向に沿って複数箇所(図2では4箇所)に、固定極24の外周面を支持するための板状の係止突起5が立設されている。この係止突起5の周方向の幅の長さ寸法は、特に限定されるものではない。
また、係止突起5の高さ寸法は、固定極24がリング状突起4の先端面4a上に載置された状態で、固定極24の外周面の高さ半分程度が係止突起5の内周面5aに当接するように形成されている。尚、係止突起5の上端面前部にはテーパ面5bが形成され、固定極24を絶縁座2上の所定位置に容易に載置できるようになされている。
また、前記係止突起5の内側と固定極24の周縁下面との間の空間であって、前記リング状突起4のテーパ面4bには、硬化することにより収縮する接着剤8(例えばゴム系ボンド)が設けられ、この接着剤8が硬化することにより、絶縁座2に対し固定極24が隙間なく支持されている。
続いて、絶縁座2上に固定極24を配置する工程について図3乃至図6を用いて説明する。尚、図3乃至図6は、絶縁座2の周縁部の状態を示す一部断面図である。
先ず、図3に示す絶縁座2のリング状突起4のテーパ面4bにおいて、図4に示すように係止突起5の内側に、硬化前の接着剤8を設ける。
そして、前記リング状突起4の先端面4a上に固定極24の周縁部を載置する。このとき、前記リング状突起4の先端面4aと固定極24側の接触面は互いに平坦部分であるため、図4に示すように固定極24の端面に破断面61やバリ62があっても構わない。
これにより、図5に示すように、係止突起5の配置位置において、その内側と固定極2の周縁部の下面側とテーパ面4bとに囲まれた空間は、接着剤8が充填された状態となる。
接着剤8の溶剤が揮発すると、接着剤8の体積が収縮する。これにより、図6に示すように絶縁座2に対し固定極24が引っ張られる方向に応力Fが生じ、絶縁座2のリング状突起4の先端面4aと固定極24の周縁部下面とが密着する。ここで、絶縁座2と固定極24とが接触する部分は、前記のように絶縁座2のひけによる凹みがなく、固定極24のプレスによるバリなどが無い平坦面であるため、接触部には隙間が無く、空気の漏洩を防止することができる。
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、絶縁座2と固定極24との間の漏洩を無くすために、絶縁座2と固定極24との接触部が互いに平坦となる位置で接触させるとともに、接触部に、収縮して硬化する接着剤8を用い、接着剤8の硬化により、絶縁座2と固定極24とを隙間無く密着させることができる。
これにより、漏洩路が無くなるため、音響管の長い狭指向性コンデンサマイクロホンにおいても、個体差の無い製品を作ることができる。
尚、前記実施の形態においては、絶縁座2の周縁部に4つの係止突起5を設けた例を示したが、係止突起5の数は限定されるものではない。但し、固定極24の位置合わせを容易に行うためには少なくとも3つの係止突起5を周方向に均等に設けることが望ましい。
また、前記実施の形態においては、絶縁座2と固定極24とを接触させる前に接着剤8を設けるようにしたが、それに限らず、絶縁座2と固定極24とを接触させた後に接着剤8を設けるようにしてもよい。
1 コンデンサマイクロホンユニット
2 絶縁座
4 リング状突起
4a 先端面
4b テーパ面
5 係止突起
8 接着剤
10 ユニットケース
20 音響電気変換器
22 振動板
24 固定極

Claims (6)

  1. 音波により振動する振動板と、前記振動板に対向配置される固定極と、前記固定極の周縁部に接触して支持する絶縁座とを具備するコンデンサマイクロホンユニットであって、
    前記絶縁座の周縁部には、その外周面が径方向内側に向かって前記固定極側に突起するようにテーパ状に形成されたテーパ面と、前記テーパ面から続いて形成され、固定極の周縁部に沿ったリング状の先端面を有するリング状突起が形成され、
    前記リング状突起の先端面により前記固定極の周縁部が支持され、
    前記絶縁座と前記固定極との間において、前記リング状突起のテーパ面に、硬化することにより収縮する接着剤が設けられていることを特徴とするコンデンサマイクロホンユニット。
  2. 前記接着剤が硬化することにより、前記絶縁座と前記固定極との接触部分が密着していることを特徴とする請求項1に記載されたコンデンサマイクロホンユニット。
  3. 前記絶縁座において、前記リング状突起のテーパ面には、前記固定極の外周面に当接し、該絶縁座上における前記固定極の位置合わせを行うための複数の係止突起が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたコンデンサマイクロホンユニット。
  4. 音波により振動する振動板と、前記振動板に対向配置される固定極と、前記固定極の周縁部に接触して支持する絶縁座とを具備するコンデンサマイクロホンユニットの製造方法であって、
    前記絶縁座の周縁部に、その外周面が径方向内側に向かって前記固定極側に突起するようにテーパ状に形成されたテーパ面と、前記テーパ面から続いて形成され、固定極の周縁部に沿ったリング状の先端面を有するリング状突起を形成するステップと、
    前記リング状突起の先端面により前記固定極の周縁部を支持するステップと、
    前記絶縁座と前記固定極との間において、前記リング状突起のテーパ面に、硬化することにより収縮する接着剤を設けるステップと、
    前記接着剤を硬化させるステップとを含むことを特徴とするコンデンサマイクロホンの製造方法。
  5. 前記リング状突起の先端面により前記固定極の周縁部を支持するステップにおいて、
    前記固定極と前記絶縁座とを接触させる際、前記リング状突起のテーパ面に設けられた複数の係止突起によって、前記絶縁座上における前記固定極の位置合わせを行うことを特徴とする請求項4に記載されたコンデンサマイクロホンの製造方法。
  6. 前記絶縁座と前記固定極との間において、前記リング状突起のテーパ面に、硬化することにより収縮する接着剤を設けるステップにおいて、
    前記係止突起の内側に前記接着剤を設けることを特徴とする請求項5に記載されたコンデンサマイクロホンの製造方法。
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