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JP6443649B1 - 銅厚膜用エッチング液 - Google Patents

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JP6443649B1
JP6443649B1 JP2018540495A JP2018540495A JP6443649B1 JP 6443649 B1 JP6443649 B1 JP 6443649B1 JP 2018540495 A JP2018540495 A JP 2018540495A JP 2018540495 A JP2018540495 A JP 2018540495A JP 6443649 B1 JP6443649 B1 JP 6443649B1
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Abstract

銅の膜厚が厚くなっても従来通りの製造速度を維持できるように、エッチングレートが高く、高銅イオン濃度下においても、エッチングができる銅厚膜用エッチング液を提供する。
過酸化水素と、強酸性物質と、アミン化合物と、過酸化水素分解抑制剤と、アゾール類と、水を含み、pHが2未満である銅厚膜用エッチング液は、銅イオン濃度が20,000ppmの高銅イオン濃度下においても、380nm/min以上のエッチングレートで、銅膜をエッチングすることができ、さらにテーパー角も30°〜80°に調整することができる。

Description

本発明は、液晶、有機EL等のフラットパネルディスプレイの配線用に用いられる銅をエッチングする際に用いる、銅厚膜用エッチング液に関する。
液晶や有機EL(Electro−Luminescence)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)のTFT(Thin Film Transistor)は、配線材料としてアルミニウムが使用されてきた。近年、大画面で高精細度のFPDが普及し、使用される配線材料には、アルミニウムよりも低抵抗のものが求められた。そこで、近年アルミニウムより低抵抗である銅が配線材料として用いられるようになった。
FPDの配線は、スパッタリング法で形成された銅膜をウエットエッチングすることによって形成される。大面積を一気に形成できるので、工程の短縮化が可能だからである。ここで、配線のウエットエッチングには、以下の点が重要とされている。
(1)加工精度が高く一様であること。
(2)加工後の配線断面が所定の角度の順テーパーであること。
(3)銅イオンが含まれることでエッチングレートが変化しないこと(バスライフが長いこと)。
このような要求を満たすエッチング液として、特許文献1が開示されている。
ここでは、
過酸化水素と、
酸性有機酸と、
アミン化合物と、
過酸化水素分解抑制剤と、
アゾール類と、
アルミニウム塩を含む析出防止剤を含むことを特徴とするモリブデンと銅を含む多層膜用エッチング液が開示されている。
このエッチング液は、銅(Cu)およびモリブデン(Mo)のエッチングレート、エッチングされた境界領域のテーパー角、モリブデン(Mo)のアンダーカット、モリブデン(Mo)の残渣、オーバーエッチングに対する耐性、析出物、過水分解速度といった評価において、現時点での製造に使用される水準を満たす性能を有している。
また、同様の目的で特許文献2には、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない無機酸、(C)コハク酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも一種である有機酸、(D)炭素数2〜10であり、かつアミノ基と水酸基とをその合計基数が二以上となるように有するアミン化合物、(E)5−アミノ−1H−テトラゾール、及び(F)過酸化水素安定剤を含み、pHが2.5〜5である銅層及びモリブデン層を含む多層薄膜用エッチング液が開示されている。
特開2015−209568号公報 特許5051323号公報
現在、4Kや8Kといった高解像度の規格が提唱されている。これらの規格は、小さな画面ではその能力が発揮されない。したがって、画面が従来よりさらに大きなディスプレイ(大画面FPD)が開発されてきている。大画面FPDでは、画素を駆動させるための配線の距離が長くなるため、より低抵抗な配線が要求される。銅配線において抵抗を少なくするには、配線の断面積を増やすことが考えられる。しかし、配線の幅を広げ1つの画素の面積を大きくすると高精細度という要求を満たせない。
一方、配線材料の抵抗を下げるためには、銀や金といった銅より抵抗率の低い材料を使うことも考えれるが、コストが高くなりすぎ、普及という観点からは望ましくない。結果、銅配線の厚み方向を増やすことで断面積を大きくし、抵抗値を減らすことが必要となる。
銅の厚みを厚くした配線を形成するには、次のような技術的課題を解決する必要がある。
(1)従来同様の製造レートを維持するために、エッチング速度を早くする。
(2)エッチング液中には、エッチングされた銅イオン量が増えるので、高銅イオン濃度であっても、エッチングできる。
本発明は上記の課題を解決するために想到されたものであり、エッチング速度が速く、高銅イオン濃度下であってもエッチングが可能な銅厚膜用エッチング液を提供するものである。
より具体的に、本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、
過酸化水素と、
強酸性物質と、
アミン化合物と、
過酸化水素分解抑制剤と、
アゾール類と、
水を含み、
pHが2未満であって、フッ化化合物およびエチレングリコールフェニルエーテルを含まず、
前記アミン化合物は、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、ジアザビシクロウンデセンなどのポリアミン;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、N−メチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、N−エチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、1−アミノプロパン−3−オール、N−メチル−1−アミノプロパン−3−オール、N−エチル−1−アミノプロパン−3−オール、1−アミノブタン−2−オール、N−メチル−1−アミノブタン−2−オール、N−エチル−1−アミノブタン−2−オール、2−アミノブタン−1−オール、N−メチル−2−アミノブタン−1−オール、N−エチル−2−アミノブタン−1−オール、3−アミノブタン−1−オール、N−メチル−3−アミノブタン−1−オール、N−エチル−3−アミノブタン−1−オール、1−アミノブタン−4−オール、N−メチル−1−アミノブタン−4−オール、N−エチル−1−アミノブタン−4−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノペンタン−4−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、2−アミノヘキサン−1−オール、3−アミノヘプタン−4−オール、1−アミノオクタン−2−オール、5−アミノオクタン−4−オール、1−アミノプロパン−2,3−ジオール、2−アミノプロパン−1,3−ジオール、トリス(オキシメチル)アミノメタン、1,2−ジアミノプロパン−3−オール、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジグリコールアミンのうちの少なくとも1つを含み、
前記アゾール類は、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1H−イミダゾール、1H−ベンゾイミダゾール、1,3−チアゾール、4−メチルチアゾールの少なくとも1つを含み、
前記過酸化水素分解抑制剤は、尿素、フェニル尿素、アリル尿素、1,3−ジメチル尿素、チオ尿素、フェニル酢酸アミド、フェニルエチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、エッチングレートとして、380nm/min以上のエッチングレートを有する。また、銅イオン濃度が20,000ppmであっても、エッチングを継続することが可能である。
したがって、本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、厚膜状態の銅をエッチングする際にも、従来程度の工程時間で処理することができ、また、エッチング液中に高濃度の銅イオンが残留しても、エッチングを継続することができるという効果を有する。
エッチングされた配線の断面を表す概念図である。
以下本発明に係る銅厚膜用エッチング液について説明する。なお、以下の説明は本発明に係るエッチング液の一実施形態を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態および実施例は改変されてもよい。なお、以下の説明において、数値範囲を「A〜B」若しくは「AからB」で示した場合、「A以上、B以下」の意味である。すなわち、数値Aを含んで大きく、且つ数値Bを含んで小さい範囲を意味する。また、「Aより大きい」は数値Aを含まず大きく、「A未満」は数値Aを含まず小さいという意味である。
本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、過酸化水素と、強酸性物質と、アミン化合物と、過酸化水素分解抑制剤と、アゾール類と、水を含み、pHは2未満である。以下それぞれの成分について詳説する。
<過酸化水素>
銅のエッチングは、銅が酸化され、酸化銅(CuO)となり、酸により溶解される。すなわち、過酸化水素は、銅を酸化する酸化剤として用いられる。なお、過酸化水素と過水は同義語である。過酸化水素は、エッチング液全量の4.0質量%〜5.8質量%が好ましい。
<強酸性物質>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、エッチングレートを高くするために、pHを2未満にする。したがって、酸性の強い物質を用いる必要がある。強酸性物質は無機強酸であっても有機強酸であってもよい。また、弱酸性であっても、エッチング液全体のpHを2未満にできるものであればよい。
一般に酸の強度は、酸解離定数Kaによって表される。また、酸解離定数Kaのマイナス対数をとった値をpKaという。本発明に利用できる強酸性物質はpKaがゼロ以下である強酸と呼ばれる物質に加えて、pKaが3以下のものが利用できる。エッチング液は、複数種の物質が混入されるが、pKaが3以下の物質であれば、エッチング液全体のpHを2未満に調整することも可能だからである。したがって、本発明において強酸性物質とは、pKaが3以下の物質である。
具体的には強酸性物質の無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸(臭化水素の水溶液)、ヨウ化水素酸(ヨウ化水素の水溶液)、スルファミン酸等が挙げられる。
また、強酸性物質の有機酸としては、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、グルタミン酸、バリン、グルタミン、グルタミン酸、ロイシン、アルギニン、イソロイシン、リシン、セリン、ヒスチジン、トレオニン、フェニルアラニン、システイン、チロシン、メチオニン、トリプトファン、プロリンといったアミノ酸や、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、酒石酸、trans−アコニット酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ピクリン酸、トリクロロ酢酸、アセトアミド、サリチル酸、4−ニトロアニリンといった化合物が好適に利用できる。
なお、有機酸で強酸性を示すものとして、ハロゲンを骨格中に有するものが挙げられる。特にトリフルオロ酢酸といった強酸性物質はある。しかし、フッ素を骨格中に含むものは、フッ酸に変化する可能性があり、基板に損傷を与えるおそれがあるので、本発明に係る強酸性物質からは除くのが望ましい。
強酸性物質は、エッチング液全量に対して5質量%〜15質量%含有させることができる。エッチング対象箇所やエッチング後のテーパー角の調整のために、後述する薬剤を調製し、全体のpHが2未満になるように調製してよい。
<有機酸>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、テーパー角の調整や、過酸化水素の分解抑制といった役割から強酸性物質以外に弱酸性の有機酸が含まれていてもよい。なお、ここで弱酸性とは酸解離定数pKaが3より大きい物質を言う。
具体的には有機酸としては、炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸、炭素数6〜10の芳香族カルボン酸のほか、炭素数1〜10のアミノ酸などが好ましく挙げられる。
炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、ジグリコール酸、酪酸、ヒドロキシ酪酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、吉草酸、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、カプロン酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸、エナント酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが好ましく挙げられる。
炭素数6〜10の芳香族カルボン酸としては、安息香酸、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが好ましく挙げられる。
また、炭素数1〜10のアミノ酸としては、カルバミン酸、サルコシン、4−アミノ酪酸、イミノジ酪酸、ニトリロ三酢酸などが好ましく挙げられる。弱酸性の有機酸はエッチング液全量に対して1〜20質量%含有させることができる。
<アミン化合物>
アミン化合物は銅膜のテーパー角の調整および、エッチング液のpH調整を担う。アミン化合物としては、炭素数2〜10のものが好適に利用できる。より具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、ジアザビシクロウンデセンなどのポリアミン;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、N−メチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、N−エチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、1−アミノプロパン−3−オール、N−メチル−1−アミノプロパン−3−オール、N−エチル−1−アミノプロパン−3−オール、1−アミノブタン−2−オール、N−メチル−1−アミノブタン−2−オール、N−エチル−1−アミノブタン−2オール、2−アミノブタン−1−オール、N−メチル−2−アミノブタン−1−オール、N−エチル−2−アミノブタン−1−オール、3−アミノブタン−1−オール、N−メチル−3−アミノブタン−1−オール、N−エチル−3−アミノブタン−1−オール、1−アミノブタン−4−オール、N−メチル1−アミノブタン−4−オール、N−エチル−1−アミノブタン−4−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノペンタン−4−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、2−アミノヘキサン−1−オール、3−アミノヘプタン−4−オール、1−アミノオクタン−2−オール、5−アミノオクタン−4−オール、1−アミノプロパン−2,3−ジオール、2−アミノプロパン−1,3−ジオール、トリス(オキシメチル)アミノメタン、1,2−ジアミノプロパン−3−オール、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジグリコールアミンなどのアルカノールアミンが好ましく挙げられ、これらを単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、1−アミノ−2−プロパノール(CAS番号78−96−6:以下「1A2P」とも呼ぶ。)、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン(CAS番号104−78−9:以下「NNDPA」とも呼ぶ。)、トリイソプロパノールアミン(CAS番号122−20−3:以下「TIPA」とも呼ぶ。)およびジイソプロパノールアミン(CAS番号110−97−4:以下「DIPA」とも呼ぶ。)が特に好ましい。また、アミン化合物はエッチング液全量に対して、0.05質量%〜5.5質量%含有させるのが好ましい。
<過酸化水素分解抑制剤>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液では、酸化剤として過酸化水素を利用している。過酸化水素は、自己分解するため、その分解を抑制する分解抑制剤を添加する。過酸化水素分解抑制剤は、過酸化水素安定剤(若しくは「過水安定剤」)とも呼ぶ。
過酸化水素分解抑制剤としては、尿素、フェニル尿素、アリル尿素、1,3−ジメチル尿素、チオ尿素などの尿素系過酸化水素分解抑制剤のほか、フェニル酢酸アミド、フェニルエチレングリコールや、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコールや、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが用いることができる。これらの中でも、尿素(CAS番号57−13−6)、フェニル尿素(CAS番号64−10−8:以下「FN」とも呼ぶ。)、1−プロパノール(CAS番号71−23−8:以下「1P」とも呼ぶ。)、エチレングリコールモノブチルエーテル(CAS番号111−76−2:以下「BG」とも呼ぶ。)が特に好ましい。過酸化水素分解抑制剤は、エッチング液全量に対して、0.1質量%〜2.0質量%含有させるのが好ましい。
<アゾール類>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液では、Cuのエッチングレートを抑制するために、アゾール類を含有する。本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、エッチングレートを高くするために、pHを2未満に設定する。このpHの領域では、わずかなpHの違いによって、エッチングレートが急峻に変化する。すると、強酸性物質の組成比だけではエッチングレートを調整できない場合も生じる。そこで、エッチングレートの抑制剤を利用する。
アゾール類としては、トリアゾール類、テトラゾール類、イミダゾール類、チアゾール類等が好適に利用することができる。より具体的には、以下のものが列挙できる。トリアゾール類としては、1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−1H−トリアゾール等が好適に利用できる。
テトラゾール類としては、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール等が好適に利用できる。また、イミダゾール類としては、1H−イミダゾール、1H−ベンゾイミダゾール等が好適に利用できる。また、チアゾール類としては、1,3−チアゾール、4−メチルチアゾール等が好適に利用できる。
なお、これらのうち、テトラゾール類はエッチングレート抑制に効果が高く、とりわけ5−アミノ−1H−テトラゾール(CAS番号4418−61−5:以後「5A1HT」とも呼ぶ。)、5−メチル−1H−テトラゾール(CAS番号4076−36−2:以後「5M1HT」とも呼ぶ。)、5−フェニル−1H−テトラゾール(CAS番号18039−42−4:以後「5フェニル1HT」とも呼ぶ。)が好ましく、トリアゾール類では、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(CAS番号136−85−6:以後「5M1HBTA」とも呼ぶ。)、1H−ベンゾトリアゾール(CAS番号95−14−7:以後「BTA」とも呼ぶ。)が好ましい。
これらのアゾール類は、エッチング液全量に対して、0.01質量%〜0.10質量%含有させるのが好ましい。
<銅イオン>
銅のエッチング液は、通常Cuイオン濃度が2,000ppmから4,000ppm程度になるように、希釈用のエッチング液が追添される。銅イオン濃度が高くなると、過水の分解速度が速くなるため、エッチング液中の過水濃度が低下してしまうからである。しかし、本発明に係るエッチング液は、酸性が強い環境で過酸化水素分解抑制剤を使用するため、過水の分解速度を抑制する。したがって、より高いCuイオン濃度になっても、Cuイオンの希釈のためのエッチング液の追添は不要である。より具体的には、エッチング液のCu濃度が20,000ppmまでは、希釈のためのエッチング液を追添する必要はない。
<その他>
本発明の銅厚膜用エッチング液には、これらの成分の他、水と、エッチング性能を阻害しない範囲で通常用いられる各種添加剤が添加されてもよい。水は、精密加工を目的とするため、異物が存在しない物が望ましい。純水若しくは超純水であれば好ましい。水は上記各成分に対する残りの成分として決めることができる。
また、上記に説明した各成分の含有比率の範囲は、エッチング液総量で100質量%になるように適宜それぞれ調整されるのは言うまでもない。また、銅イオンは最初から含まれていてもよいが、他の組成物に対して量が少ないので、エッチング液総量としての組成比は無視する。
<pH、温度>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、pH2未満の範囲に調整される。また、エッチング液は、20℃から40℃の間で使用することができる。より好ましくは25℃から35℃であり、最も好ましくは30℃から35℃がよい。
<保存>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液には、過酸化水素が用いられる。過酸化水素は自己分解する。そのためエッチング液には、過酸化水素分解抑制剤が含まれている。しかし、保存の際には、過酸化水素(若しくは過酸化水素水)とその他の液体を分けて保存しても良い。なお、過酸化水素水は、過酸化水素の水溶液である。また、過酸化水素(若しくは過酸化水素水)、水および銅イオンを除いた原料(「エッチング液原料」と呼ぶ。)だけをまとめて保存してもよい。なお、エッチング液原料には、液体のものと粉体のものが存在してもよい。すなわち、本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、エッチング液原料と、水と、過酸化水素(若しくは過酸化水素水)を合わせて完成させてもよい。
また、エッチング液原料と水を混ぜ合わせ、エッチング液原料の溶液を作成しておいてよい。エッチング液原料と水で作製したエッチング液原料の溶液を「エッチング濃縮液」と呼ぶ。エッチング濃縮液は、エッチング液と比べると過酸化水素が無い分だけ体積が少ないので、保存や移送の際には便利である。したがって、本発明の銅厚膜用エッチング液は、エッチング濃縮液と水と過酸化水素を合わせて完成させてもよい。
ここで、エッチング濃縮液の水は、エッチング液原料が溶解するだけの量があればよい。言い換えると、エッチング濃縮液中の水は、エッチング液中の水より少なくてもよい。したがって、過酸化水素が水溶液である過酸化水素水として供給されると考えると、本発明の銅厚膜用エッチング液は、エッチング濃縮液と水と過酸化水素水の3つを合わせて完成させることができる。
また、水はエッチング濃縮液若しくは過酸化水素水に含めてしまえば、エッチング濃縮液と過酸化水素水の2つを合わせて完成させることもできる。また、本明細書において、エッチング濃縮液の各成分比率は、エッチング液が完成したときの全量に対する比率で表す。したがって、エッチング濃縮液の各成分の合計は、100質量%にはならない。
<エッチング方法>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液を用いる対象は、基板上に形成された厚さ600nm以上の厚みで形成された銅膜である。基板と銅膜の間に他の元素からなるアイソレート層が形成されていてもよい。本発明に係るエッチング方法は、600nm以上の厚みに銅膜が形成された基板を、銅厚膜用エッチング液に接触させることで行われる。
本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、保存の際に、過酸化水素とエッチング液原料(若しくはエッチング濃縮液)および水を分けて保存しておくことで長期保存が可能になる。そこで、実際に使用する際には、これらを調合してエッチング液を完成させる。調合の方法は、最終的に過酸化水素の濃度が所定の濃度になれば、限定されるものではない。
一例を示すと、一定量の水にエッチング液原料を混ぜたエッチング濃縮液を調製しておく。過酸化水素は通常本発明に係る銅厚膜用エッチング液の過酸化水素濃度より高い濃度の過酸化水素水として供給される。そこで、過酸化水素水とエッチング濃縮液を所定量ずつ調合する。この工程は、銅厚膜用エッチング液を調合する工程と呼んでもよい。調合された銅厚膜用エッチング液は、各成分が所定の割合に調合され、pHが2未満になっている。
エッチングを行う際は、上記の通り、pH2未満で、20℃から40℃の条件でエッチング液を使用する。したがって、エッチングの被対象物も、この温度に余熱されるのが望ましい。被処理基板をエッチング液に接触させる方法は、特に限定されない。シャワー式のように上方からエッチング液を被処理基板に対して散布してもよいし、エッチング液のプールに被処理基板をディップさせる方法でもよい。これを、銅厚膜用エッチング液を被処理基板に接触させる工程と呼んでも良い。
なお、被処理基板とは、ガラス等の基材の上に少なくとも銅膜が形成され、この銅膜上にパターン形成のためのレジストパターンが形成されている状態の基板である。
<各種評価方法の説明>
本発明に係る銅厚膜用エッチング液に対しては、銅のエッチングレート(nm/min)、エッチングされた配線の断面のテーパー角(°)およびエッチング後の形状の項目で評価を行った。
エッチングレートは、以下のようにして測定した。まず、熱酸化膜100nmが形成されたシリコンウエハー上にスパッタ法により、銅膜を600nmの厚みで形成した。この銅膜を30℃(比較例によっては35℃の場合もある。)のエッチング液に20秒から60秒間接触させた。
エッチング前後の膜の抵抗値を、定電流印加方式の4端子4探針法抵抗率計(三菱化学アナリテック製:MCP−T610型)を用いて測定した。この抵抗値の変化より膜厚変化を算出し、エッチングレートを算出した。
なお、銅のエッチングレートは380nm/min以上であれば、丸(○)と判断した。それ以外は規定範囲外としてバツ(×)と判断した。
なお、「丸」は規格範囲内、成功若しくは合格を意味し、「バツ」は規格範囲外、失敗若しくは不合格を意味する。以下の評価でも同じである。
テーパー角は以下のようにして測定した。まず、ガラス基板上にスパッタ法で銅膜を600nmの厚みで成膜し、銅厚膜サンプルを作製した。この銅膜の上に配線形状にパターンニングしたレジストを形成し、テーパー角評価用の基材とした。つまり、基材は、基板と銅膜と、銅膜上のパターンニングされたレジスト層からなる。この基材をジャストエッチングする時間の間エッチング液に浸漬させ、エッチングを行った。エッチング後のサンプルを洗浄し、乾燥させた後、配線部分を切断し、切断面を観察した。
切断面の観測は、SEM(日立製:SU8020型)を用い、加速電圧1kV、30,000〜50,000倍の条件で行った。このSEM観測の際にエッチングされた部分の形状観察も行った。なお、ジャストエッチングは、エッチング開始から膜が光を透過するまでの時間である。膜が光を透過した時点は目視で確認した。
切断面形状の模式図を図1に示す。図1に示すように、基板1とエッチングされた傾斜面5のなす角度3をテーパー角(°)とする。テーパー角3は30°〜80°であれば丸(○)と判断した。この角度の範囲外であれば、バツ(×)と判断した。なお、図1では、Cu層は符号2、レジストは符号4で表した。
(実施例1)
強酸性物質として、
硝酸を8.33質量%
アミン化合物として、
NNDPA(N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン)を5.24質量%
過水安定剤として、
FN(フェニル尿素)を0.12質量%
アゾール類として、
5M1HT(5−メチル−1H−テトラゾール)を0.01質量%
からなるエッチング液原料を水72.41質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。なお、エッチング濃縮液での各成分比率は、後述する過酸化水素水と混合しエッチング液が完成したときの総量に対する比率で表す。以下の実施例および比較例についても同様である。
35%過酸化水素水13.89質量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が4.86質量%と水分が9.03質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が4.86質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で81.44質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度が20,000ppmになるように調整した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例2)
強酸性物質として、
マロン酸を9.88質量%、
アミン化合物として、
1A2P(1−アミノ−2−プロパノール)を1.35質量%、
過水安定剤として、
1P(1−プロパノール)を0.68質量%、
アゾール類として、
5A1HT(5−アミノ−1H−テトラゾール)を0.05質量%
からなるエッチング液原料を水75.70質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水12.34重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が4.32質量%と水分が8.02質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が4.32質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で83.72質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度が20,000ppmになるように調整した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例3)
強酸性物質として、
硫酸を6.93質量%
グリシンを1.84質量%
アミン化合物として、
TIPA(トリイソプロパノールアミン)を2.49質量%
過水安定剤として、
尿素を0.64質量%
アゾール類として、
5M1HBTA(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール)を0.03質量%
からなるエッチング液原料を水73.36質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水14.71重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.15質量%と水分が9.56質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.15質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で82.92質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度が20,000ppmになるように調整した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例4)
強酸性物質として、
マロン酸を7.20質量%、
有機酸として
グルタル酸を6.77質量%
アミン化合物として、
DIPA(ジイソプロパノールアミン)を0.06質量%
過水安定剤として、
BG(エチレングリコールモノブチルエーテル)を0.96質量%、
アゾール類として、
5フェニル1HT(5−フェニル−1H−テトラゾール)を0.03質量%
からなるエッチング液原料を水70.32質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水14.66重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.13質量%と水分が9.53質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.13質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で79.85質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度が20,000ppmになるように調整した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例5)
強酸性物質として、
エタンスルホン酸を7.04質量%
有機酸として
リンゴ酸を4.4質量%
アミン化合物として、
TIPA(トリイソプロパノールアミン)を1.04質量%
過水安定剤として、
BG(エチレングリコールモノブチルエーテル)を0.85質量%、
アゾール類として、
BTA(ベンゾトリアゾール)を0.02質量%
からなるエッチング液原料を水71.56質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水15.09重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.28質量%と水分が9.81質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.28質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で81.37質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度が20,000ppmになるように調整した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例6)
強酸性物質として、
エタンスルホン酸を7.04質量%
アミン化合物として、
TIPA(トリイソプロパノールアミン)を1.04質量%
過水安定剤として、
BG(エチレングリコールモノブチルエーテル)を0.85質量%、
アゾール類として、
BTA(ベンゾトリアゾール)を0.02質量%
からなるエッチング液原料を水75.96質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水15.09重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.28質量%と水分が9.81質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.28質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で85.77質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度が20,000ppmになるように調整した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(比較例1)
強酸性物質として、
硝酸を10.00質量%
アミン化合物として、
NNDPA(N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン)を12.50質量%
過水安定剤として、
FN(フェニル尿素)を0.10質量%
アゾール類として、
5M1HT(5−メチル−1H−テトラゾール)を0.10質量%
からなるエッチング液原料を水65.87質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水11.43重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が4.00質量%と水分が7.43質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が4.00質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で73.30質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度を20,000ppmになるように溶解しようとしたが、溶解しきれなかった。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例2)
強酸性物質として、
エタンスルホン酸を6.00質量%
アミン化合物として、
TIPA(トリイソプロパノールアミン)を9.70質量%
過水安定剤として、
BG(エチレングリコールモノブチルエーテル)を0.70質量%
アゾール類として、
BTA(ベンゾトリアゾール)を0.02質量%
からなるエッチング液原料を水68.49質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水15.09重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.28質量%と水分が9.81質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.28質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で78.30質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度を20,000ppmになるように溶解しようとしたが、溶解しきれなかった。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例3)
強酸性物質として、
マロン酸を15.80質量%
アミン化合物として、
1A2P(1−アミノ−2−プロパノール)を8.40質量%
過水安定剤として、
1P(1−プロパノール)を0.60質量%
アゾール類として、
5A1HT(5−アミノ−1H−テトラゾール)を0.05質量%
からなるエッチング液原料を水62.86質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水12.29重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が4.30質量%と水分が7.99質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が4.30質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で70.85質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度を1,000ppmになるように溶解した。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例4)
強酸性物質として、
硝酸を6.90質量%
アミン化合物として、
NNDPA(N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン)を8.34質量%
過水安定剤として、
FN(フェニル尿素)を0.10質量%
アゾール類として、
5M1HT(5−メチル−1H−テトラゾール)を0.10質量%
からなるエッチング液原料を水71.99質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水12.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が4.40質量%と水分が8.17質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が4.40質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で80.16質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度を1,000ppmになるように溶解しようとしたが、溶解しきれなかった。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例5)
強酸性物質として、
エタンスルホン酸を6.00質量%
アミン化合物として、
TIPA(トリイソプロパノールアミン)を5.96質量%
過水安定剤として、
BG(エチレングリコールモノブチルエーテル)を0.82質量%
アゾール類として、
BTA(ベンゾトリアゾール)を0.04質量%
からなるエッチング液原料を水72.09質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水15.09重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.28質量%と水分が9.81質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.28質量%のエッチング液を調合した。なお、水は全量で81.90質量%となる。さらに、銅粉末を加えて銅イオン濃度を1,000ppmになるように溶解しようとしたが、溶解しきれなかった。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
Figure 0006443649
Figure 0006443649
表1を参照して、無機酸および有機酸を用いた場合でも、強酸性物質であれば、エッチング液全体のpHを2未満に調整することができる。また、そのようにして作成された銅厚膜用エッチング液は、380nm/min以上のエッチングレートを、20,000ppmという銅イオン環境の下で実現することができる。また、テーパー角度は、30°から80°まで調整することができる。また、その形状も特に問題はなかった。
一方、表2を参照する。使用した材料は表1で示した実施例と同じであるが、エッチング液全体のpHが2未満に設定しなければ、そもそも20,000ppmといった高イオン濃度にすらならなかった。銅イオンを溶解できないので、エッチングもできなかった。
また、強酸性物質を有機酸だけで構成した場合は、アミン化合物は、0.05質量%以上、2.0質量%未満にすることが好適であった(実施例2、4、5、6参照)。有機酸の強酸性物質は、無機酸の場合よりpKaが高めになるため、アミン化合物を入れすぎると、エッチング液全体のpHを2未満にできないからと考えられる。
以上のように本発明に係る銅厚膜用エッチング液は、高いエッチングレートを高銅イオン濃度下でも実現することができ、大面積基板上の厚膜銅を実際の量産機の処理速度でエッチングすることができる。
本発明に係るエッチング液は、600nm以上の厚い銅膜をエッチングする際に好適に利用することができる。
1 基板
2 Cu層
3 テーパー角
4 レジスト
5 傾斜面

Claims (5)

  1. 過酸化水素と、
    強酸性物質と、
    アミン化合物と、
    過酸化水素分解抑制剤と、
    アゾール類と、
    水を含み、
    pHが2未満であって、フッ化化合物およびエチレングリコールフェニルエーテルを含まず、
    前記アミン化合物は、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、ジアザビシクロウンデセンなどのポリアミン;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、N−メチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、N−エチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、1−アミノプロパン−3−オール、N−メチル−1−アミノプロパン−3−オール、N−エチル−1−アミノプロパン−3−オール、1−アミノブタン−2−オール、N−メチル−1−アミノブタン−2−オール、N−エチル−1−アミノブタン−2−オール、2−アミノブタン−1−オール、N−メチル−2−アミノブタン−1−オール、N−エチル−2−アミノブタン−1−オール、3−アミノブタン−1−オール、N−メチル−3−アミノブタン−1−オール、N−エチル−3−アミノブタン−1−オール、1−アミノブタン−4−オール、N−メチル−1−アミノブタン−4−オール、N−エチル−1−アミノブタン−4−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノペンタン−4−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、2−アミノヘキサン−1−オール、3−アミノヘプタン−4−オール、1−アミノオクタン−2−オール、5−アミノオクタン−4−オール、1−アミノプロパン−2,3−ジオール、2−アミノプロパン−1,3−ジオール、トリス(オキシメチル)アミノメタン、1,2−ジアミノプロパン−3−オール、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジグリコールアミンのうちの少なくとも1つを含み、
    前記アゾール類は、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1H−イミダゾール、1H−ベンゾイミダゾール、1,3−チアゾール、4−メチルチアゾールの少なくとも1つを含み、
    前記過酸化水素分解抑制剤は、尿素、フェニル尿素、アリル尿素、1,3−ジメチル尿素、チオ尿素、フェニル酢酸アミド、フェニルエチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルの少なくとも1つを含む銅厚膜用エッチング液。
  2. さらに弱酸性の有機酸を含有する請求項1に記載された銅厚膜用エッチング液。
  3. 強酸性物質と、
    アミン化合物と、
    過酸化水素分解抑制剤と、
    アゾール類と、
    水を含み、過酸化水素と、フッ化化合物およびエチレングリコールフェニルエーテルを含まない銅厚膜用エッチング濃縮液であって、
    全体の4.0質量%から5.8質量%になるように過酸化水素を加えることで
    pHが2未満となり、
    前記アミン化合物は、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、ジアザビシクロウンデセンなどのポリアミン;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、N−メチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、N−エチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、1−アミノプロパン−3−オール、N−メチル−1−アミノプロパン−3−オール、N−エチル−1−アミノプロパン−3−オール、1−アミノブタン−2−オール、N−メチル−1−アミノブタン−2−オール、N−エチル−1−アミノブタン−2−オール、2−アミノブタン−1−オール、N−メチル−2−アミノブタン−1−オール、N−エチル−2−アミノブタン−1−オール、3−アミノブタン−1−オール、N−メチル−3−アミノブタン−1−オール、N−エチル−3−アミノブタン−1−オール、1−アミノブタン−4−オール、N−メチル−1−アミノブタン−4−オール、N−エチル−1−アミノブタン−4−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノペンタン−4−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、2−アミノヘキサン−1−オール、3−アミノヘプタン−4−オール、1−アミノオクタン−2−オール、5−アミノオクタン−4−オール、1−アミノプロパン−2,3−ジオール、2−アミノプロパン−1,3−ジオール、トリス(オキシメチル)アミノメタン、1,2−ジアミノプロパン−3−オール、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジグリコールアミンのうちの少なくとも1つを含み、
    前記アゾール類は、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1H−イミダゾール、1H−ベンゾイミダゾール、1,3−チアゾール、4−メチルチアゾールの少なくとも1つを含み、
    前記過酸化水素分解抑制剤は、尿素、フェニル尿素、アリル尿素、1,3−ジメチル尿素、チオ尿素、フェニル酢酸アミド、フェニルエチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルの少なくとも1つを含む銅厚膜用エッチング濃縮液。
  4. さらに弱酸性の有機酸を含有する請求項に記載された銅厚膜用エッチング濃縮液。
  5. 強酸性物質と、
    アミン化合物と、
    過酸化水素分解抑制剤と、
    アゾール類と、
    水を含み、フッ化化合物およびエチレングリコールフェニルエーテルは含まず、
    全体の4.0質量%から5.8質量%になるように過酸化水素を加えることで
    pHが2未満となる銅厚膜用エッチング濃縮液に過酸化化水素を全体の4.0質量%から5.8質量%になるように加えて銅厚膜用エッチング液を調合する工程と、
    銅膜が600nm以上の厚みで形成された基板を前記銅厚膜用エッチング液に接触させる工程を含み、
    前記アミン化合物は、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、ジアザビシクロウンデセンなどのポリアミン;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、N−メチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、N−エチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、1−アミノプロパン−3−オール、N−メチル−1−アミノプロパン−3−オール、N−エチル−1−アミノプロパン−3−オール、1−アミノブタン−2−オール、N−メチル−1−アミノブタン−2−オール、N−エチル−1−アミノブタン−2−オール、2−アミノブタン−1−オール、N−メチル−2−アミノブタン−1−オール、N−エチル−2−アミノブタン−1−オール、3−アミノブタン−1−オール、N−メチル−3−アミノブタン−1−オール、N−エチル−3−アミノブタン−1−オール、1−アミノブタン−4−オール、N−メチル−1−アミノブタン−4−オール、N−エチル−1−アミノブタン−4−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノペンタン−4−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、2−アミノヘキサン−1−オール、3−アミノヘプタン−4−オール、1−アミノオクタン−2−オール、5−アミノオクタン−4−オール、1−アミノプロパン−2,3−ジオール、2−アミノプロパン−1,3−ジオール、トリス(オキシメチル)アミノメタン、1,2−ジアミノプロパン−3−オール、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジグリコールアミンのうちの少なくとも1つを含み、
    前記アゾール類は、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1H−イミダゾール、1H−ベンゾイミダゾール、1,3−チアゾール、4−メチルチアゾールの少なくとも1つを含み、
    前記過酸化水素分解抑制剤は、尿素、フェニル尿素、アリル尿素、1,3−ジメチル尿素、チオ尿素、フェニル酢酸アミド、フェニルエチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルの少なくとも1つを含む銅厚膜用エッチング方法。
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