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JP6397356B2 - サスペンション装置 - Google Patents

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JP6397356B2
JP6397356B2 JP2015037730A JP2015037730A JP6397356B2 JP 6397356 B2 JP6397356 B2 JP 6397356B2 JP 2015037730 A JP2015037730 A JP 2015037730A JP 2015037730 A JP2015037730 A JP 2015037730A JP 6397356 B2 JP6397356 B2 JP 6397356B2
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Description

本発明は、自動車等の車両の前輪用のサスペンション装置に関し、特にスモールオーバーラップオフセット衝突時における車体損傷を抑制したものに関する。
自動車等の車両において、車両の車幅方向端部近傍の比較的狭い領域で障害物と前面衝突する衝突形態を、スモールオーバーラップオフセット衝突と称する。
近年、このようなスモールオーバーラップオフセット衝突に対する安全性を向上することが要望されている。
スモールオーバーラップオフセット衝突においては、衝突時に前輪が車室に対して後退し、車室前端部のAピラーやサイドシルに衝突して損傷を与えることが懸念される。
衝突時に前輪によるAピラー等への加害性を抑制するためには、衝突時の車体変形などを利用して、前輪をトーイン側にステアし、前輪の後端部をAピラーに対して車幅方向外側に変位させることが効果的である。
例えば特許文献1には、スモールオーバーラップオフセット衝突を考慮した技術ではないが、車両の前面衝突時に、スタビライザバーが車室に対して後退することによってサスペンションアームを押圧し、前輪をトーイン側にステアさせて強固なサイドシル部分で受け止めるようにした車体構造が記載されている。
また、衝突時の衝突エネルギ吸収、衝突吸収ストロークの確保を目的とした従来技術として、例えば特許文献2には、衝突時にステアリングギアボックス等のステアリングユニットをパワーユニットから脱落可能とすることが記載されている。
特開平 6− 8854号公報 特開2006−281927号公報
特許文献1に記載された技術においては、例えばフルラップ衝突時においては前輪をトーイン側にステアすることが可能であるが、左右サスペンションを連結するスタビライザバーを用いてこのような挙動を得ていることから、車両の片側のみに入力を受けるスモールオーバーラップオフセット衝突において、フルラップ衝突と同様に確実にトーイン方向へのステアを行なわせることは困難である。
また、特許文献1のように、スタビライザバーを前輪の前後位置決めを行うトレーリングリンクと兼用して用いるサスペンション形式は、実際には適用可能な対象が軽自動車等の小型車両に限定されることから、いわゆるCセグメント以上の車両への適用は困難であり、汎用性に乏しい。
さらに、上述した効果を得るためには、サスペンションアームを押圧して変位させるため、スタビライザバー自体を線径拡大するなど相当に強固に形成する必要があるが、この場合、スタビライザ装置の効きも強くなることから、ロール剛性が必然的に高くなり、操縦安定性の設定自由度も低下することが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、スモールオーバーラップオフセット衝突時における車体損傷を抑制したサスペンション装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、前輪を回転可能に支持するハブベアリングを保持するハウジングと、車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともにハウジング側端部が車体側端部に対して車両後方側に配置されたフロントリンクと、前記車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともに車体側端部及びハウジング側端部がそれぞれ前記フロントリンクに対して車両後方側に配置されたリアリンクと、車幅方向内側の端部がステアリングギアボックスに接続されるとともに車幅方向外側の端部が前記ハウジングに揺動可能に連結されたタイロッドとを備えるサスペンション装置であって、前記リアリンクは、ハウジング側端部が前記フロントリンクの車体側端部とハウジング側端部とを通る直線に対して車幅方向外側に配置され、前記タイロッドは、前記フロントリンクの車体側端部の車両後方側への相対変位に応じて、前記ステアリングギアボックスと前記ハウジングとの拘束を解除する拘束解除部を有することを特徴とするサスペンション装置である。
これによれば、衝突時にフロントリンクからハウジングに入力される荷重によって、ハウジング及び前輪をリアリンクのハウジング側端部回りにトーイン方向へ回動させるモーメントが発生する。
このとき、タイロッドが例えばジョイント部の分離、破断、変形等によりハウジングとステアリングギアボックスの拘束を解除することによって、ハウジング及び前輪はトーイン側へ回動する。
このため、車体変形がさらに進行し前輪が車室側へ後退した際に、前輪の後端部が車体のAピラー等を直撃することなく車幅方向外側へ逃げることによって、車体の損傷を抑制することができる。
請求項2に係る発明は、前輪を回転可能に支持するハブベアリングを保持するハウジングと、車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともにハウジング側端部が車体側端部に対して車両後方側に配置されたフロントリンクと、前記車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともに車体側端部及びハウジング側端部がそれぞれ前記フロントリンクに対して車両後方側に配置されたリアリンクと、車幅方向内側の端部がステアリングギアボックスに接続されるとともに車幅方向外側の端部が前記ハウジングに揺動可能に連結されたタイロッドとを備えるサスペンション装置であって、前記タイロッドは、ハウジング側端部が前記フロントリンクの車体側端部とハウジング側端部とを通る直線に対して車幅方向外側に配置され、前記リアリンクは、前記フロントリンクの車体側端部の車両後方側への相対変位に応じて、前記車体と前記ハウジングとの拘束を解除する拘束解除部を有することを特徴とするサスペンション装置である。
これによれば、衝突時にフロントリンクからハウジングに入力される荷重によって、ハウジング及び前輪をタイロッドのハウジング側端部回りにトーイン方向へ回動させるモーメントが発生する。
このとき、リアリンクが例えばジョイント部の分離、破断、変形等によりハウジングと車体との拘束を解除することによって、ハウジング及び前輪はトーイン側へ回動する。
このため、車体変形がさらに進行し前輪が車室側へ後退した際に、前輪の後端部が車体のAピラー等を直撃することなく車幅方向外側へ逃げることによって、車体の損傷を抑制することができる。
請求項3に係る発明は、前記フロントリンクの車体側端部は、車体前部において車両前後方向に延在するフロントサイドフレームに連結され、前記フロントサイドフレームは、前記フロントリンクの車体側端部に対して車両前方側において車幅方向外側に張り出して形成され、衝突時に入力される荷重を前記フロントサイドフレームに入力して前記フロントリンクの車体側端部を後退させる荷重伝達部材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサスペンション装置である。
これによれば、車両がフロントサイドフレームよりも車幅方向外側の領域で衝突を受けた場合であっても、フロントリンクの車体側端部を後退させて上述した効果を確実に得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、スモールオーバーラップオフセット衝突時における車体損傷を抑制したサスペンション装置を提供することができる。
本発明を適用したサスペンション装置の実施例1の構成を示す模式図である。 実施例1のサスペンション装置におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時の状態を示す模式図である。 本発明を適用したサスペンション装置の実施例2におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時の状態を示す模式図である。
本発明は、スモールオーバーラップオフセット衝突時における車体損傷を抑制したサスペンション装置を提供する課題を、フロントリンクの車室に対する相対後退によってハウジング及び前輪がトーイン方向へ回動するモーメントを発生するよう各リンク類のジオメトリを設定するとともに、タイロッド又はリアリンクのいずれか一方のジョイントに脆弱部を形成し、衝突時の荷重によって破断させること等によって解決した。
以下、本発明を適用したサスペンション装置の実施例1について説明する。
実施例1のサスペンション装置は、例えば、フロントエンジンの乗用車等の自動車の前輪に設けられるものである。
図1は、実施例1のサスペンション装置の構成を示す模式図である。
図1は、サスペンション装置を車両上方側から見た状態を示している。
以下、左側のフロントサスペンションについて説明するが、右側のフロントサスペンションも実質的に同様に構成されている。
サスペンション装置が取り付けられる車体は、トーボード10、フロアパネル20、フロントサイドフレーム30、サイドシル40、Aピラー50等を有して構成されている。
これらは、例えば鋼板をプレス加工して形成された複数のパネルを集成し、スポット溶接等によって結合して構成されたホワイトボディ(未艤装車体)を構成するものである。
トーボード10は、乗員等を収容する車室(キャビン)の前端部に設けられる隔壁状の部分である。
フロアパネル20は、車室の床面を構成する部材であって、トーボード10の下端部から車両後方側へ延在して形成されている。
トーボード10、フロアパネル20は、例えば鋼板をプレス成型したパネル状に形成されている。
フロントサイドフレーム30は、車両の前半部において車両前後方向に沿って延びた構造部材である。
フロントサイドフレーム30は、実質的に矩形の閉断面を有する梁状に形成されている。
フロントサイドフレーム30は、車幅方向に離間して一対設けられている。
トーボード10よりも車両前方側における左右のフロントサイドフレーム30の間隔には、エンジン等のパワートレーンが収容される。
フロントサイドフレーム30の後半部は、フロアパネル20の下面に沿って配置され、フロアパネル20に固定されている。
フロントサイドフレーム30には、例えば図示しないエンジンを支持するエンジンマウント等が設けられる。
フロントサイドフレーム30の前端部近傍における車幅方向外側の面部には、ブラケット31が設けられている。
ブラケット31は、サスペンション装置100のフロントリンク120の車体側端部121が連結される部分である。
ブラケット31は、例えば板金パネルによって形成され、フロントサイドフレーム30の側面部から突出して形成されている。
また、フロントサイドフレーム30のブラケット31よりも車両後方側の領域には、車両の前面衝突時に入力される軸方向力(前後方向力)によって圧壊する図示しない脆弱部が形成されている。
フロントサイドフレーム30は、さらに以下説明する荷重伝達部材32を有する。
荷重伝達部材32は、ブラケット31よりも車両前方側において、フロントサイドフレーム30から車幅方向外側に突出して形成されている。
荷重伝達部材32は、例えば板金製のブラケット状に形成され、フロントサイドフレーム30に溶接等によって固定されている。
荷重伝達部材32の前端部はフロントサイドフレーム30の前端部とほぼ同じ位置に配置されるとともに、車両前方側に面した入力面部が形成されている。
荷重伝達部材32は、スモールオーバーラップオフセット衝突において、フロントサイドフレーム30よりも車幅方向外側の領域に荷重が入力された場合に、この荷重をフロントサイドフレーム30に伝達し、フロントサイドフレーム30の圧壊を促進する機能を有する。
サイドシル40は、フロアパネル20の側端部に沿って車両前後方向に沿って延びた構造部材である。
サイドシル40は、実質的に矩形の閉断面を有する梁状に形成されている。
サイドシル40は、フロントサイドフレーム30に対して車幅方向外側に間隔を隔てて配置されている。
Aピラー50は、サイドシル40の前端部から上方へ突き出して形成された柱状の部材である。
Aピラー50は、閉断面を有する柱状に形成されている。
Aピラー50は、図示しないフロントドアが設けられるドア開口の前縁部を構成する。
Aピラー50の下半部はトーボード10の側端部に沿って配置され、上半部は図示しないフロントウインドウガラスの側端部に沿って配置されている。
前輪FW用のサスペンション装置100は、ハウジング110、フロントリンク120、リアリンク130、タイロッド140、及び、図示しないストラットやスタビライザ装置等を有するストラット式サスペンションとして構成されている。
サスペンション装置100は、ハウジング110下部を位置決めするロワアーム(トランスバースリンク)を、フロントリンク120、リアリンク130の二本に分割したダブルピボット式サスペンションとなっている。
ハウジング110は、前輪FWのリムディスク部が締結される図示しないハブを回転可能に支持するハブベアリングを収容するものである。
ハウジング110は、例えば、鋼系材料を鋳造後、所定の機械加工を施すことによって一体に形成されている。
ハウジング110の上部は、図示しないストラットの下端部に締結されている。
ストラットは、ショックアブソーバ及びコイルスプリングをユニット化したものであって、主に前輪FWのキャンバ位置決めを行うものである。
ストラットの上端部は、車体に形成された図示しないストラットタワーの上部に、防振ゴムを有するストラットアッパマウントを介して締結されている。
ストラットは、前輪FWの転舵に応じて、ストラットアッパマウントに内蔵された軸受回りに、車体に対して回動可能となっている。
フロントリンク120、リアリンク130は、フロントサイドフレーム30と、ハウジング110とを連結するサスペンションアームである。
フロントリンク120、リアリンク130は、例えば、鋼板のプレス品、鋼製の棒材、鋼やアルミニウム系合金等の鋳造あるいは鍛造等によって、アーム状に形成した本体部の両端部に、車体及びハウジングとのジョイント部である車体側端部121,131、及び、ハウジング側端部122,132を形成して構成されている。
フロントリンク120、リアリンク130は、フロントサイドフレーム30及びハウジング110に対して、それぞれ所定の角度範囲内で揺動可能となっている。
フロントリンク120の車体側端部121は、フロントサイドフレーム30のブラケット31に、図示しないゴムブッシュ等を介して揺動可能に連結されている。
フロントリンク120のハウジング側端部122は、ハウジング110に図示しないボールジョイント(スフェリカルベアリング)を介して揺動可能に連結されている。
フロントリンク120は、ハウジング側端部122が車体側端部121に対して車両後方側かつ車幅方向外側となるように、車両前後方向及び車幅方向に対して傾斜して配置されている。
リアリンク130の車体側端部131、ハウジング側端部132は、フロントリンク120の車体側端部121、ハウジング側端部122に対して、それぞれ車両後方側に配置されている。
リアリンク130の車体側端部131は、フロントサイドフレーム30の下部に設けられた図示しないクロスメンバ、サブフレーム等に、図示しないゴムブッシュ等を介して揺動可能に連結されている。
リアリンク130のハウジング側端部132は、ハウジング110に図示しないボールジョイントを介して揺動可能に連結されている。
ハウジング側端部132は、車体側端部131に対して、車幅方向外側でありかつ車両前後方向における位置がほぼ一致するように配置されている。
リアリンク130は、上方から見たときに、車幅方向にほぼ沿って配置されている。
リアリンク130のハウジング側端部132は、車両の上方から見たときに、フロントリンク120の車体側端部121とハウジング側端部122とを結んだ直線に対して、車幅方向外側となるように配置されている。
タイロッド140は、図示しないステアリングギアボックスとハウジング110とを連結し、ドライバによるステアリング装置等に連動してハウジング110を図示しない仮想キングピン軸回りに回動させるものである。
タイロッド140の車体側端部141は、図示しないステアリングギアボックスのステアリングラックに連結されている。
ステアリングラックは、ドライバのステアリング操作に応じて、車体に対して車幅方向に往復する部材である。
タイロッド140のハウジング側端部142は、ハウジング110の前方側に突出して形成されたナックルアーム111の先端部に、図示しないボールジョイントを介して揺動可能に連結されている。
タイロッド140の車体側端部141及びハウジング側端部142は、車両前後方向における位置が、フロントリンク120の車体側端部121の後方側でありかつハウジング側端部122の前方側となるように、実質的に一致した位置に配置されている。
このため、タイロッド140は、上方から見たときにフロントリンク120と交差するようになっている。
タイロッド140のハウジング側端部142は、車両の上方から見たときに、フロントリンク120の車体側端部121とハウジング側端部122とを結んだ直線に対して、車幅方向外側となるように配置されている。
実施例1においては、タイロッド140のハウジング側端部142は、タイロッド140を圧縮する方向に、通常の走行時には発生し得ないが車両の前面衝突時に発生する程度の大荷重(以下、「衝突時荷重」と称する。)が負荷された際に、ハウジング110のナックルアーム111から脱落するように構成されている。
ハウジング側端部142は、例えば、衝突時荷重が負荷された際にボールジョイントのボール部がソケット部から抜けるように抜け荷重を設定される。
また、このような構成に代えて、例えばボールジョイントの首部、ボール受け口等、あるいはタイロッド140本体等に脆弱部を設けて、この脆弱部が破断するようにしてもよい。
図2は、実施例1のサスペンション装置におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時の状態を示す模式図である。
衝突によってフロントサイドフレーム30の前端部に、車両後方側への荷重F1が直接あるいは荷重伝達部材32を介して入力されると、フロントサイドフレーム30は、ブラケット31の後方側でありかつリアリンク130の車体側端部131よりも前方側の領域において圧壊し、車両前後方向の寸法が圧縮されるように変形する。
これによって、ブラケット31は、車室等に対して相対的に後退する。
なお、ステアリングギアボックス及びリアリンク130の車体側端部131は、車室等に対して実質的に後退しないか、後退したとしてもその後退量がブラケット31よりも小さくなるように車体の各部強度、構造を設定する。
フロントサイドフレーム30の変形により、フロントリンク120の車体側端部121も車体の他部(車室等)に対して相対的に後退する。
これによって、フロントリンク120には軸方向の圧縮荷重である荷重F2が作用し、ハウジング側端部122は、ハウジング110の取付箇所を車両後方側かつ斜め外側へ押圧する。
ハウジング110には、フロントリンク120から入力される荷重F2によって、リアリンク130のハウジング側端部132回りに、トーイン側へ回動するモーメントM1が発生する。
このとき、タイロッド140には、軸方向の圧縮荷重が作用するが、この圧縮荷重が予め設定された所定値以上となると、タイロッド140のハウジング側端部142がハウジング110のナックルアーム111から分離し、脱落するようになっている。
このように所定値以上の荷重で分離させる構成は、例えば、ボールジョイントのボール部がソケット部から引き抜かれる抜き荷重を、通常走行時には影響がない程度に小さくすることによって実現することが可能である。
この場合、例えばフロントリンク120のタイロッド140と交差する個所に、フロントリンク120の後退時にタイロッド140と当接し、これを上方又は下方(ボールジョイントの引き抜き方向)に変位させる斜面部等を設けてもよい。
また、これに限らず、タイロッド140、ナックルアーム111のいずれか一方に脆弱部を設けて、この脆弱部が変形又は破壊することによって、タイロッド140をハウジング110から分離させる構成としてもよい。
例えばタイロッド140自体が屈曲又は折損したり、ナックルアーム111の基部が折損してハウジング110の本体部から脱落するようにしてもよい。
タイロッド140がハウジング110から脱落すると、ハウジング110は前輪FWとともにトーイン側に回動する。
これによって、さらなる車体変形が生じて前輪FWが後退したとしても、前輪FWの後部がAピラー50等に対して車幅方向外側に振り出され逃げることから、前輪FWが車室に衝突した際に生じる車体損傷を抑制することができる。
以上説明したように、実施例1によれば、衝突時にフロントリンク120からハウジング110に入力される荷重F1によって、ハウジング110及び前輪FWをリアリンク130のハウジング側端部132回りにトーイン方向へ回動させるモーメントM1が発生する。
このとき、タイロッド140のハウジング側端部142がボールジョイントの破断等によりハウジング110とステアリングギアボックスの拘束を解除することによって、ハウジング110及び前輪FWはトーイン側へ回動する。
このため、車体変形がさらに進行し前輪FWが車室側へ後退した際に前輪FWの後端部が車体のAピラー50等を直撃することなく車幅方向外側へ逃げることによって、車体の損傷を抑制することができる。
次に、本発明を適用したサスペンション装置の実施例2について説明する。
実施例2の説明において、上述した実施例1と実質的に共通する箇所については説明を省略し、主に相違点について説明する。
実施例2のサスペンション装置は、実施例1におけるタイロッド140に代えて、リアリンク130のハウジング側端部132が、衝突時に入力される荷重によってハウジング110から脱落可能としたものである。
図3は、実施例2のサスペンション装置におけるスモールオーバーラップオフセット衝突時の状態を示す模式図である。
実施例2においては、衝突時にフロントリンク120からハウジング110への入力荷重F1によって、タイロッド140のハウジング側端部142回りにハウジング110及び前輪FWがトーイン方向へ回動するモーメントM2が発生する。
これによって、リアリンク130には引張荷重が負荷される。
そして、リアリンク130の引張荷重が予め設定された所定値以上となった際に、リアリンク130のハウジング側端部132がハウジング110から分離、脱落するようになっている。
例えば、リアリンク130のハウジング110側端部がボールジョイントを有する場合には、リアリンク130の引張荷重によってリアリンク130又はハウジング110に形成されたボールジョイントの座面が変形し、ボールジョイントが引き抜かれるようにしてもよい。
その後、ハウジング110及び前輪FWは、トーイン方向に回動する。
以上説明した実施例2においても、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)サスペンション装置の構成は、上述した各実施例の構成に限らず、適宜変更することが可能である。
例えば、各実施例のサスペンション装置は、ストラットによって前輪のキャンバ位置決めを行うストラット式サスペンションであるが、これに代えて、例えばハウジングの上部と車体とにそれぞれ揺動可能に連結されたアッパアームによってキャンバ位置決めを行うダブルウィッシュボーン式あるいはマルチリンク式のサスペンションとしてもよい。
(2)実施例1においては、タイロッド140のハウジング側端部142が衝突時にハウジング110から脱落する構成としているが、これに代えて、タイロッド140の車体側端部141がステアリングギアボックスから分離、脱落するようにしてもよい。
また、タイロッド140の中間部が脆弱部を起点として破断したり、あるいは、タイロッド140が屈曲変形することによって、ハウジング110とステアリングギアボックスとの間の拘束を実質的に解除する(ハウジングの回動を妨げないようにする)構成としてもよい。
なお、実施例1のようにタイロッドの拘束を解除する構成とする場合、タイロッドを仮想キングピン軸に対して前置きする構成に限らず、後置きする構成としてもよい。この場合、タイロッド140が引張荷重によってハウジング110から分離するようにすればよい。
(3)実施例2においては、リアリンク130のハウジング側端部132が衝突時にハウジング110から脱落する構成としているが、これに代えて、リアリンク130の車体側端部131が車体から分離、脱落するようにしてもよい。
10 トーボード
20 フロアパネル 30 フロントサイドフレーム
31 ブラケット 32 荷重伝達部材
40 サイドシル
50 Aピラー FW 前輪
100 サスペンション装置 110 ハウジング
111 ナックルアーム 120 フロントリンク
121 車体側端部 122 ハウジング側端部
130 リアリンク 131 車体側端部
132 ハウジング側端部 140 タイロッド
141 車体側端部 142 ハウジング側端部

Claims (3)

  1. 前輪を回転可能に支持するハブベアリングを保持するハウジングと、
    車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともにハウジング側端部が車体側端部に対して車両後方側に配置されたフロントリンクと、
    前記車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともに車体側端部及びハウジング側端部がそれぞれ前記フロントリンクに対して車両後方側に配置されたリアリンクと、
    車幅方向内側の端部がステアリングギアボックスに接続されるとともに車幅方向外側の端部が前記ハウジングに揺動可能に連結されたタイロッドと
    を備えるサスペンション装置であって、
    前記リアリンクは、ハウジング側端部が前記フロントリンクの車体側端部とハウジング側端部とを通る直線に対して車幅方向外側に配置され、
    前記タイロッドは、前記フロントリンクの車体側端部の車両後方側への相対変位に応じて、前記ステアリングギアボックスと前記ハウジングとの拘束を解除する拘束解除部を有すること
    を特徴とするサスペンション装置。
  2. 前輪を回転可能に支持するハブベアリングを保持するハウジングと、
    車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともにハウジング側端部が車体側端部に対して車両後方側に配置されたフロントリンクと、
    前記車体及び前記ハウジングに対してそれぞれ揺動可能に連結されるとともに車体側端部及びハウジング側端部がそれぞれ前記フロントリンクに対して車両後方側に配置されたリアリンクと、
    車幅方向内側の端部がステアリングギアボックスに接続されるとともに車幅方向外側の端部が前記ハウジングに揺動可能に連結されたタイロッドと
    を備えるサスペンション装置であって、
    前記タイロッドは、ハウジング側端部が前記フロントリンクの車体側端部とハウジング側端部とを通る直線に対して車幅方向外側に配置され、
    前記リアリンクは、前記フロントリンクの車体側端部の車両後方側への相対変位に応じて、前記車体と前記ハウジングとの拘束を解除する拘束解除部を有すること
    を特徴とするサスペンション装置。
  3. 前記フロントリンクの車体側端部は、車体前部において車両前後方向に延在するフロントサイドフレームに連結され、
    前記フロントサイドフレームは、前記フロントリンクの車体側端部に対して車両前方側において車幅方向外側に張り出して形成され、衝突時に入力される荷重を前記フロントサイドフレームに入力して前記フロントリンクの車体側端部を後退させる荷重伝達部材を備えること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサスペンション装置。
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