JP6387647B2 - 感度補正係数算出システム及びx線分析装置 - Google Patents
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Description
また、検出部120は、ゴニオメータ30の2θ軸に搭載されるとともに、粉末試料Sは、ゴニオメータ30のθ軸に搭載されるようになっており、θ−2θ連動の駆動方法でゴニオメータ30の中心軸を中心として回転されることにより、回折角度ごとに実測X線強度Iが出力されていくことで、X線回折パターンが得られるようになっている。
ところで、ラインセンサが出力する実測X線強度データは、検出素子ごとの感度特性のバラツキ等によって、真の(正確な)X線強度分布ではなく、図9に示すように強度ムラを含んでいる。
なお、Iave=(I1+I2+・・・+In+・・・+I(N−1)+IN)/N
この先行出願に記載された発明によれば、X線強度を検出する検出素子が一次元又は二次元に配列された検出面を有するX線検出器の感度補正係数算出システムであって、近似関数で前記検出面に照射されるX線強度分布のフィッティングが可能なX線源を用いて、各検出素子について検出された実測X線強度から関数フィッティングを行い、そのフィッティングされた近似関数から算出される算出X線強度と実測X線強度との比によって、各検出素子の感度補正係数を求めることを特徴としている。
感度補正係数αn=算出X線強度in/実測X線強度In ・・・(3)
I=an3+bn2+cn+d ・・・(4)
図6に示すように、回折ピーク近傍の測定領域では、実測値がフィッティングの近似曲線(ここでは三次関数)から大きく上側に逸脱している。そして、このとき得られた(回折ピークが含まれる)実測値を用いて式(3)で感度補正係数を算出し、算出された感度補正係数をその後の実測定での感度補正係数として使用したとする。その場合、回折ピーク近傍の領域では、感度補正係数が局所的に大きく外れた値となり、感度補正後のX線強度データ(補正X線強度データ)についても、回折ピーク近傍で下側(ピークと反対側)に大きく窪んだ不適切なデータが取得されることになる。
図7に示すように、光路が遮られた測定領域での実測値において急峻な段差が現れることになる。そして、このとき得られた(段差が含まれる)実測値を用いて式(3)で感度補正係数を算出し、算出された感度補正係数をその後の実測定での感度補正係数として使用したとする。その場合、感度補正係数は、段差と同じ位置で急激に変化した係数値となり、感度補正後のX線強度データ(補正X線強度データ)についても、当該段差位置近傍で逆向きの段差が生じた不適切なデータが取得されることになる。
これにより、算出X線強度のデータと実測X線強度のデータとの差異が大きいと判定された場合には、感度補正係数として良好な値が得られていない旨の判定(「否」判定)が行われ、ユーザ等は装置からの警告等によりデータの再取得が必要であることを認識することができる。
これによれば、図6のような回折ピークが存在する場合の良否判定を効果的に行うことができる。
具体的には、例えば次式を比較式として用いることができる。
(In−I’n)>α×√(1/NΣ(In−I’n)2) ・・・(5)
但し、In、I’nは、それぞれn番目の検出素子の実測強度、算出X線強度であり、αは良否判定の閾値を定める設定値(倍数)であって、例えば初期値として3が設定されている。
これによっても、図6のような回折ピークが存在する場合の良否判定を効果的に行うことができる。
具体的には、例えば次式を比較式として用いることができる。
(In−I’n)>α×√I’n ・・・(6)
但し、In、I’n、αは、式(5)と同様である。
これによれば、図7のような段差が存在する場合の良否判定を効果的に行うことができる。
具体的には、例えば次式を比較式として用いることができる。
連続するm個の検出素子について(In−I’n)>0
又は、
連続するm個の検出素子について(In−I’n)<0 ・・・(7)
但し、mは良否判定の閾値を定める設定値(整数)であり、例えば初期値として20個が設定されている。
これによれば、一つの比較式では異常データと判定されない場合でも、異なるタイプの比較式によって異常データと判定することができるようになる。特に、「算出X線強度と実測X線強度との差の標準偏差を用いた比較式」、「算出X線強度の(推定される統計変動の大きさを現す)平方根を用いた比較式」の少なくともいずれかと、「算出X線強度と実測X線強度との差が正又は負側に連続して偏っている検出素子数を用いた比較式」とを組み合わせて行われるようにすれば、回折ピークが存在する場合と段差が存在する場合との異なるタイプの異常データのいずれであっても効果的に判定できるようになり、ユーザ等が誤りやすい上記した二つのケースのセッティングミスをほぼ全て解消することができる。
これによれば、X線分析装置において、算出X線強度と実測X線強度との比較による関数フィッティングの良否判定を行うことにより、算出X線強度のデータと実測X線強度のデータとの差異が大きい場合には、感度補正係数として良好な値が得られていない旨の判定が行われ、ユーザ等は装置からの警告等により感度補正用の測定データの再取得が必要であることを認識することができる。
X線回折装置1は、X線源部10と、検出部20と、ゴニオメータ30と、X線回折装置1全体の制御を行うコンピュータ(制御部)40とを備える。
また、検出部20は、ゴニオメータ30の2θ軸に搭載されるとともに、測定対象試料Sは、ゴニオメータ30のθ軸に搭載されるようになっており、θ−2θ連動の駆動方法でゴニオメータ30の中心軸を中心として回転されるようになっている。
なお、ユーザ等は「試料分析モード」を「ON」に設定したときには、測定対象試料Sをθ軸上のゴニオメータ30の中心に載置することになるが、この測定対象試料Sとしては、例えば試料ホルダ等を用いて20mm角程度の大きさの平板状に成形された粉末試料等が挙げられる。
I=an3+bn2+cn+d ・・・(4)
I=−1E−0.6n3−0.0024n2+0.384n+31744 ・・・(4’)
なお、ユーザ等が「補正係数算出モード」を設定したときには、急峻な強度差がない領域を有するX線を放射する標準試料(既知試料)S’をθ軸上のゴニオメータ30の中心に載置することになるが、この標準試料S’としては、例えば20mm角程度の大きさの平板状に成形された銅板等が挙げられる。また、回折ピークの存在しない領域(バックグラウンド領域)を有するX線を放射する銅板である標準試料S’から実測X線強度Inを取得部41bが取得する際には、動作制御部41eによってゴニオメータ30が自動的に回転駆動されて、回折ピークの存在しない領域の回折X線がラインセンサ21の検出面に照射されるようにしてもよい。
具体的には、比較式として既述の式(5)〜(7)のいずれか一つあるいは二つ以上の演算式を用いて良否判定の演算を行う。そして判定結果が「良」であるときは、その感度補正係数をそのまま補正係数記憶部44aに記憶させる。一方、判定結果が「否」であるときは、補正係数記憶部44aに記憶させた感度補正係数を削除して表示装置43の画面に警告を表示するとともに、表示装置に付設されたスピーカ(図示略)から警告音を発して判定結果を報知する制御を行う。
「試料分析モード」が「OFF」に設定された、つまり「補正係数算出モード」に設定されたと判定したときには、ステップS102の処理に進む。
次に、ステップS103の処理において、X線管11から出射された特性X線が、発散スリット12を介して標準試料S’表面に照射され、標準試料S’から放射される回折X線が2θ軸に搭載されたラインセンサ21によって検出される。図3は、ラインセンサ21によって検出された標準試料S’からの実測X線強度分布の一例を示すグラフである。なお、このときは回折ピークや段差が含まれていない正常な実測X線強度分布が得られている。
さらにステップS105の処理において、近似三次関数式(4’)を用いて各検出素子について算出X線強度inを算出する。図4は、各検出素子についての実測X線強度Inと算出X線強度inとをグラフ上に重ねて示したものである。図3のような回折ピークや段差が含まれていない正常な実測X線強度分布のときには、測定領域全体にわたって良好なフィッティングがなされている。
フィッティングが図4の状態であって式(5)で「良」の判定がなされたときは、「補正係数算出モード」が終了し、S101に戻る。つまり「補正係数算出モード」が設定されると、ステップS102〜S106の処理が実行され、補正係数記憶部44aに記憶されているN個の感度補正係数αnがN個の新しい値に更新されることになる。図5は「補正係数算出モード」によって得られた各検出素子についての感度補正係数αnの一例を示すグラフである。
以後、同様の手順が繰り返され、最終的にS107で「良」の判定が出ると「補正係数算出モード」は終了する。
次に、ステップS109の処理において、X線管11から出射された特性X線が、発散スリット12を介して測定対象試料S表面に照射され、測定対象試料Sから放射される回折X線が2θ軸に搭載されたラインセンサ21によって検出される。図9は、ラインセンサ21によって検出された測定対象試料Sからの実測X線強度分布を示すグラフである。
次に、ステップS111の処理において、X線強度分布画像作成部41cは、補正X線強度In’と検出素子番号nとの関係を示す補正X線強度分布画像を作成して表示装置43に表示する。図10は、補正X線強度分布画像を示すグラフである。
(1)上述したX線回折装置1では、N個の検出素子が一次元に配列された検出面を有するラインセンサ21を備え、一次元の近似関数(曲線)を用いる構成を示したが、(N×M)個の検出素子が二次元に配列された検出面を有するX線検出器を備え、二次元の近似関数(曲面)を用いるような構成としてもよい。
そして、X線回折装置1の状態で感度補正係数αnを算出したが、ラインセンサ生産工場等でラインセンサの状態で汎用X線源を用いて感度補正係数αnを算出してもよい。
10 X線源部
20 検出部
21 ラインセンサ(X線検出器)
30 ゴニオメータ
40 コンピュータ(制御部)
41d 補正係数算出部
41f 良否判定部
44a 補正係数記憶部
Claims (6)
- X線強度を検出する検出素子が一次元又は二次元に配列された検出面を有するX線検出器の感度補正係数算出システムであって、
近似関数で前記検出面に照射されるX線強度分布のフィッティングが可能なX線源を用いて感度補正用の測定を行い、各検出素子について検出された実測X線強度から関数フィッティングを行い、そのフィッティングされた近似関数から算出される算出X線強度と実測X線強度との比によって、各検出素子の感度補正係数を求めるとともに、
前記算出X線強度と前記実測X線強度とを比較式によって比較することにより、感度補正用の測定データの良否判定を行うことを特徴とする感度補正係数算出システム。 - 前記良否判定は、前記算出X線強度と前記実測X線強度との差の標準偏差を用いた比較式により行われる請求項1に記載の感度補正係数算出システム。
- 前記良否判定は、前記算出X線強度の平方根を用いた比較式により行われる請求項1に記載の感度補正係数算出システム。
- 前記良否判定は、前記算出X線強度と前記実測X線強度との差が正又は負側に連続して偏っている検出素子数を用いた比較式により行われる請求項1に記載の感度補正係数算出システム。
- 前記良否判定は、前記算出X線強度と前記実測X線強度との差の標準偏差を用いた比較式、前記算出X線強度の平方根を用いた比較式、前記算出X線強度と前記実測X線強度との差が正又は負側に連続して偏っている検出素子数を用いた比較式のうちの複数の比較式を用いて行われる請求項1に記載の感度補正係数算出システム。
- 試料に特性X線を出射するX線源と、
前記試料から放射されるX線強度を検出する検出素子が一次元又は二次元に配列された検出面を有するX線検出器と、
各検出素子に対してそれぞれ感度補正係数を記憶するための補正係数記憶部と、
前記感度補正係数を用いて前記検出素子で検出された実測X線強度を補正演算して、補正X線強度分布画像を作成するX線強度分布画像作成部とを備えるX線分析装置であって、
既知試料を測定して得られる感度補正用の実測X線強度分布を関数フィッティングし、そのフィッティング関数により算出される算出X線強度と実測X線強度との比を各検出素子に対する感度補正係数として補正係数記憶部に記憶させるとともに、前記算出X線強度と前記実測X線強度とを比較式によって比較することにより、感度補正用の測定データの良否判定を行う制御部を備えることを特徴とするX線分析装置。
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