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JP6381140B2 - 組成物、硬化性組成物、その製造方法および硬化物 - Google Patents

組成物、硬化性組成物、その製造方法および硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、重合性化合物と反応促進剤とを含む組成物、これを用いて得られる硬化性組成物およびその製造方法、ならびに前記硬化性組成物を硬化してなる硬化物に関する。
本出願は、2013年7月25日に日本に出願された特願2013−154947号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を含む重合性化合物は、反応性の異なる二種の反応点を有することから、二段階で反応を行うという利用が可能である。例えば該重合性化合物のイソシアナト基を他の化合物と反応(水酸基を有する化合物とのウレタン化反応等)させたのち、反応生成物の(メタ)アクリロイル基を他の化合物と反応(同じ重合性化合物や他の重合性化合物とのラジカル重合等)させたり、逆に前記重合性化合物の(メタ)アクリロイル基を反応させた後、反応生成物のイソシアナト基を他の化合物と反応させるといった利用が可能である。そのため、前記のような重合性化合物は、塗料やインキ、接着剤、被覆剤、成型用樹脂などの幅広い用途で原料として使用されている。
上記のような重合性化合物を他の化合物と反応させる際には、その反応を促進するための触媒を使用することが行われる。例えば前記重合性化合物と水酸基を有する化合物とを反応させてウレタン化合物を得る場合の触媒としては、アミン系触媒や、ジブチルスズジラウレート等の金属触媒が一般的に用いられる(非特許文献1)。
しかしこれらの触媒は、基質によっては反応促進効果が充分ではないという問題がある。また反応生成物中に触媒が残存することで、反応生成物の物性やその硬化物の物性等に悪影響を及ぼすことがあった。
そのため、これらの触媒を使用する以外に、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を含む重合性化合物の反応を促進し得る技術が求められる。
日本ゴム協会誌、1972年、第45巻第5号、p452−461
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を含む重合性化合物の反応性が向上した組成物、該組成物を用いて得られる硬化性組成物、その製造方法、および硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子内に(メタ)アクリロイル基およびハロゲン化カルバモイル基を有する化合物が、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有する重合性化合物の反応性(イソシアナト基の反応性、(メタ)アクリロイル基の反応性)を向上させる作用を有することを見出した。
例えば該化合物を反応促進剤として反応系内に存在させると、重合性化合物と活性水素を有する他の化合物との反応(ウレタン化反応等)において、前記重合性化合物が良好な反応性を示す。また、ラジカル重合反応においても、前記重合性化合物、あるいは該重合性化合物と活性水素を有する他の化合物との反応生成物が、良好な反応性を示し、これを含有する硬化性組成物の硬化性が向上する。
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下の態様を有する。
[1]分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有する重合性化合物(A)と、分子内に(メタ)アクリロイル基およびハロゲン化カルバモイル基を有する化合物からなる反応促進剤(B)と、を含む組成物。
[2]前記反応促進剤(B)の含有量が、前記重合性化合物(A)の含有量に対して5〜20000質量ppmである、[1]に記載の組成物。
[3]前記反応促進剤(B)の含有量が、前記重合性化合物(A)の含有量に対して5〜8000質量ppmである、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記重合性化合物(A)が、下記一般式(1)または(1’)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組成物。
Figure 0006381140
[式中、RおよびRは各々独立に、水素原子またはメチル基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基である。前記一般式(1’)中の2つのRは同じでも異なってもよく、2つのRは同じでも異なってもよい。]
[5]前記反応促進剤(B)が、下記一般式(2)または(2’)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の組成物。
Figure 0006381140
[式中、RおよびRは各々独立に、水素原子またはメチル基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基であり、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。前記一般式(2’)中の2つのRは同じでも異なってもよく、2つのRは同じでも異なってもよい。]
[6]前記重合性化合物(A)が、前記一般式(1)または(1’)で表される化合物を含み、
前記反応促進剤(B)が、前記一般式(2)または(2’)で表され、かつ該一般式(2)または(2’)中のR、R、Rがそれぞれ前記重合性化合物(A)が有するR、R、Rと同じである化合物を含む、[5]に記載の組成物。
[7]活性水素含有基を有する化合物をさらに含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]前記活性水素含有基が、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種である、[7]に記載の組成物。
[9][8]に記載の組成物中にて前記重合性化合物(A)と前記活性水素含有基を有する化合物とを反応させてなる、分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合およびウレア結合からなる群から選択される少なくとも一種と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含む硬化性組成物。
[10][8]に記載の組成物中にて前記重合性化合物(A)と前記活性水素含有基を有する化合物とを反応させて、分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合およびウレア結合からなる群から選択される少なくとも一種と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含む硬化性組成物を得る工程を含む、硬化性組成物の製造方法。
[11][9]に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を含む重合性化合物の反応性が向上した組成物、該組成物を用いて得られる硬化性組成物、その製造方法、および硬化物を提供できる。
MOIのウレタン化反応を行った実施例1〜3および比較例1の結果(MOIのイソシアナト基のウレタンへの転化率の経時変化(ウレタン化速度))を示すグラフである。 AOIのウレタン化反応を行った実施例4および比較例2の結果(AOIのイソシアナト基のウレタンへの転化率の経時変化(ウレタン化速度))を示すグラフである。 MOIのアミド化反応を行った実施例5および比較例3の結果(MOIのイソシアナト基のアミドへの転化率の経時変化(アミド化速度))を示すグラフである。 MOIのウレタン化反応を行った実施例1および比較例4の結果(MOIのイソシアナト基のウレタンへの転化率の経時変化(ウレタン化速度))を示すグラフである。 重合性化合物(A)としてMOI、反応促進剤(B)としてMOCを含む組成物のNMRチャートである。 図5に示すNMRチャートのδ(ppm)=5.85〜6.35付近の部分拡大図である。
<組成物>
本発明の第一の態様の組成物(以下、組成物(I)ともいう。)は、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有する重合性化合物(A)と、分子内に(メタ)アクリロイル基およびハロゲン化カルバモイル基を有する化合物からなる反応促進剤(B)と、を含む。
本発明において、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基(CH=CH−CO−)またはメタクリロイル基(CH=C(CH)−CO−)を示す。
「ハロゲン化カルバモイル基」は、>N−CO−Z(Zはハロゲン原子である。)で表される構造の基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
組成物(I)において、反応促進剤(B)は、重合性化合物(A)の反応性を向上させる役割を果たす。重合性化合物(A)は、反応性官能基として(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有しており、反応促進剤(B)は、(メタ)アクリロイル基の反応性、イソシアナト基の反応性の両方を向上させ得る。例えば(メタ)アクリロイル基については、組成物(I)中で重合性化合物(A)のラジカル重合を行ったときの反応速度が速くなる。また、イソシアナト基については、例えば組成物(I)が水酸基等の活性水素含有基を有する化合物を含む場合に、イソシアナト基と活性水素含有基との反応速度が速くなる。
反応促進剤(B)は、特に、重合性化合物(A)のイソシアナト基の反応性の向上(イソシアナト基と活性水素含有基との反応速度の向上)に優れた効果を発揮する。
<重合性化合物(A)>
重合性化合物(A)は、分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有する化合物である。
重合性化合物(A)としては、原料入手の容易さおよび反応性の点で、下記一般式(1)または(1’)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006381140
[式中、RおよびRは各々独立に、水素原子またはメチル基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基である。前記一般式(1’)中の2つのRは同じでも異なってもよく、2つのRは同じでも異なってもよい。]
本発明においてアルキレン基とは、脂肪族飽和炭化水素中の炭素原子に結合する任意の2個の水素原子を除いて生ずる基を意味する。
一般式(1)または(1’)中、Rにおける炭素数1〜10のアルキレン基としては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がさらに好ましい。
におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましい。
前記アルキレン基は、当該アルキレン基中の炭素原子間の単結合がエーテル結合(−O−)、エステル結合(−CO−O−)およびフェニレン結合(−C−)からなる群より選ばれる結合で置換されていてもよい。該結合で置換される単結合は1つでも2つ以上でもよく、1つであることが好ましい。2以上の単結合が置換される場合、各単結合を置換する結合は同じでも異なってもよい。
前記アルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基として好ましい具体例は、例えば、−CH−、−C−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH−O−C−、−C−COO−CH−、−C−Ph−CH−等が挙げられる。
において、前記アルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基は、置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、−OR’、−COR’、−COOR’(R’はアルキル基である。)等が挙げられる。
がフェニレン結合を有する場合、前記置換基は、アルキレン基中の水素原子を置換してもよく、フェニレン結合中の水素原子を置換してもよい。
前記置換基における炭化水素基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1〜10の炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基が挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
前記R’におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
としては、上記の中でも、炭素数1〜8のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合の少なくとも1つをエーテル結合で置換してなる基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合の少なくとも1つをエーテル結合で置換してなる基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合の少なくとも1つをエーテル結合で置換してなる基がさらに好ましく、−CH−、−C−、−(CH−、−CH−O−C−、または−C−O−C−が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシペンチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシヘプチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシオクチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシノニルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシデシルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、原料入手性および反応性の点から、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネートが好ましい。
一般式(1’)で表される化合物の具体例としては、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が好ましい。
<反応促進剤(B)>
反応促進剤(B)は、分子内に(メタ)アクリロイル基およびハロゲン化カルバモイル基を有する化合物からなる。
反応促進剤(B)としては、原料入手の容易さおよび反応性の点で、下記一般式(2)または(2’)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006381140
[式中、RおよびRは各々独立に、水素原子またはメチル基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基であり、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。前記一般式(2’)中の2つのRは同じでも異なってもよく、2つのRは同じでも異なってもよい。]
一般式(2)または(2’)中のR、R、Rの示す構造および好ましい範囲はそれぞれ、前記一般式(1)または(1’)中のR、R、Rの示す構造および好ましい範囲と同様である。
Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよく、塩素原子が好ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、前記一般式(1)で表される化合物の具体例として挙げた化合物中のイソシアナト基(−NCO)を−NH−CO−Xで置換した化合物が挙げられ、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルバモイルクロリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルカルバモイルクロリド等が好ましい。
一般式(2’)で表される化合物の具体例としては、前記一般式(2’)で表される化合物の具体例として挙げた化合物中のイソシアナト基(−NCO)を−NH−CO−Xで置換した化合物が挙げられ、N−1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルカルバモイルクロリド等が好ましい。
<重合性化合物(A)と反応促進剤(B)との量比>
組成物(I)中の反応促進剤(B)の含有量は、重合性化合物(A)の含有量(100質量%)に対して5〜20000質量ppmであることが好ましく、5〜8000質量ppmであることがより好ましく、5〜3000質量ppmであることがさらに好ましい。
重合性化合物(A)の含有量に対する反応促進剤(B)の含有量の割合が5質量ppm未満である場合、充分な反応促進効果が得られないおそれがある。
重合性化合物(A)の含有量に対する反応促進剤(B)の含有量の割合が20000質量ppm超である場合、重合性化合物(A)におけるイソシアナト基および(メタ)アクリロイル基の両方の反応が促進されてしまい、不都合が生じるおそれがある。重合性化合物(A)のように、種類の異なる2種の反応性官能基を有する化合物の使用方法としては、まずはどちらか一方(例えばイソシアナト基)を他の化合物と反応させたのち、もう一方(例えば(メタ)アクリロイル基)を反応させるという二段階で反応を行うという方法が多い。しかし、ここに反応促進剤(B)が多量に存在すると、例えば一段階目の反応を行う際中、あるいはそれよりも前の保存時において、二段階目の反応が起こってしまい、望まない反応生成物を生じる場合がある。よって重合性化合物(A)の使用方法によっては、反応促進剤(B)の添加量は、重合性化合物(A)の含有量に対して20000質量ppm以下、特に8000質量ppm以下程度に抑えることが好ましい。
<組成物(I)中の反応促進剤(B)の含有量の測定方法>
組成物(I)中に含有される反応促進剤(B)の含有量を求める方法は、例えば下記2種の測定方法1、2が挙げられる。なお、下記測定条件(用いるサンプル量、試薬の種類、NMR機器、NMRの積算回数など)は一例であり、条件は必要に応じて適宜変更して良い(特に含有される反応促進剤(B)が少量である場合、測定方法2の条件は、より精度の高いものに変更する必要が生じる場合もある。)。
[測定方法1:硝酸銀滴定法(参考:JIS K1603−3)]
200mL容量ビーカーへ100mLメタノール水溶液(水/メタノール=3/7)と、測定対象となる試料10gを添加し、攪拌・溶解する。該溶液を硝酸銀水溶液(0.02mol/L、力価1.006、関東化学社製)によって滴定し、当量点を測定、下記式にて試料中の反応促進剤(B)の含有量を求める。
反応促進剤(B)含有量(%)=(硝酸銀水溶液の滴定量(L)× 力価1.006×塩素の分子量35.46(g/mol)× 硝酸銀水溶液モル濃度0.02(mol/L)×100 )/試料量(g)
[測定方法2:NMR測定]
(条件)
5mmΦのNMR試料管中で、測定対象となる試料100mgを0.3mLの脱水されたベンゼン−d6に均一に溶解させて測定用試料を調製し、その測定用試料のH−NMRスペクトルを下記の条件下で測定する。
装置:Bruker Biospin社製 Avance−400
測定温度:室温
パルス幅:30°
パルス繰り返し時間:5秒
積算回数:128回
(定量方法)
以下、測定対象となる試料が、重合性化合物(A)がメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下MOI)であって、反応促進剤(B)がメタクリロイルオキシエチルカルバモイルクロライド(以下MOC)である組成物の場合における、反応促進剤(B)の含有量をNMRから求める方法について例示する。
図5〜図6に該混合物のNMRチャートを提示する(なお本チャートは、MOIと、MOIに対して3330質量ppmの割合のMOCとを含有する組成物のスペクトルである)。図5は、テトラメチルシラン(TMS)を内部基準物質としてNMR測定を行って得られるδ(ppm)=0.5〜9.5付近のNMRチャート(横軸:δ(ケミカルシフト)、縦軸:シグナル強度)であり、図6は、図5に示すNMRチャートのδ(ppm)=5.85〜6.35付近を拡大したものである。
本チャートにおいて、δ(ppm)=2.2〜4.3付近に検出されるピークが、MOIとMOCの両方が有する、エチレン基の4プロトン分に相当するピークである。一方、δ(ppm)=6.02〜6.05付近のピークの積分値が、MOCのメタクリル基の末端の2プロトン分に相当する。
重合性化合物(A)に反応促進剤(B)を、100〜3330質量ppmの範囲で種々の量添加した試料を作製し、その試料100mgを0.3mLの脱水されたベンゼン−d6に均一に溶解させて試料を調製し、それぞれのH−NMRスペクトルを上記の条件下で測定する。これらの値を基に、MOC添加量に対する上記2ピークの強度比の検量線を作成する。
測定対象とする組成物のNMRを同様の条件にて測定し、上記検量線にプロットすることで、組成物に含まれるMOC含量が求められる。
<重合性化合物(A)と反応促進剤(B)との組み合わせ>
組成物(I)中に含まれる重合性化合物(A)、反応促進剤(B)はそれぞれ1種単独でも2種以上でもよい。
本発明においては、組成物(I)中に含まれる重合性化合物(A)の少なくとも1種からイソシアナト基を除いた構造と、反応促進剤(B)の少なくとも1種からハロゲン化カルバモイル基を除いた構造とが同じであることが好ましい。
たとえば、重合性化合物(A)が、前記一般式(1)で表される化合物を含む場合、前記反応促進剤(B)が、前記一般式(2)で表され、かつ該一般式(2)中のR、R、Rがそれぞれ前記重合性化合物(A)が有するR、R、Rと同じである化合物を含むことが好ましい。重合性化合物(A)が、前記一般式(1’)で表される化合物を含む場合、反応促進剤(B)が、前記一般式(2’)で表され、かつ該一般式(2’)中のR、R、Rがそれぞれ前記重合性化合物(A)が有するR、R、Rと同じである化合物を含むことが好ましい。
上記のように、重合性化合物(A)からイソシアナト基を除いた構造と、前記反応促進剤(B)からハロゲン化カルバモイル基を除いた構造とが同じであると、たとえば重合性化合物(A)と、後述する活性水素含有基を有する化合物との反応において、目的とする反応生成物の収率が向上する。
<任意成分>
組成物(I)は、重合性化合物(A)と反応促進剤(B)とからなる組成物でもよく、重合性化合物(A)および反応促進剤(B)以外の他の成分(任意成分)をさらに含む組成物でもよい。
任意成分としては、例えば、重合性化合物(A)および反応促進剤(B)以外の化合物であって重合性化合物(A)と反応可能な化合物(他の反応性化合物)が挙げられる。
重合性化合物(A)の(メタ)アクリロイル基を反応させる場合、前記他の反応性化合物としては、エチレン性不飽和基等の重合性官能基を有する重合性化合物(他の重合性化合物)が好ましく用いられる。該他の重合性化合物としては、特に限定されず、ラジカル重合可能な各種モノマー類等のなかから用途に応じて適宜選択できる。
重合性化合物(A)のイソシアナト基を反応させる場合、前記他の反応性化合物としては、活性水素含有基を有する化合物(以下、活性水素含有化合物ともいう。)が好ましく用いられる。
本発明においては特に、組成物(I)が活性水素含有化合物を含むことが好ましい。これは反応促進剤(B)が特に、重合性化合物(A)のイソシアナト基と活性水素含有基(特に水酸基)が反応する際において、優れた反応促進効果を有するためである。
[活性水素含有化合物]
活性水素含有化合物は、活性水素含有基を有する。
活性水素は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等に結合した水素原子であり、炭素原子に結合した水素原子に比べて反応性が高い。
活性水素含有基としては、構造中に活性水素を含むものであれば特に限定されないが、反応性の点で、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、水酸基であることが特に好ましい。
活性水素含有基として水酸基を有する化合物としては、例えば、ROH(Rは炭素数1〜10のアルキル基である。)等のモノアルコール類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物;上記多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物やエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを開環重合した水酸基含有化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1 ,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカーボネートジオール等のポリマーポリオール類;等が挙げられる。
活性水素含有基としてメルカプト基を有する化合物としては、例えば、1−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、n−オクタンデカンチオール、α−トルエンチオール、2−ベンズイミダゾールチオール、2−チアゾリン−2−チオール、2−メチル−2−プロパンチオール、O−アミノチオフェノール等のモノチオール;ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、テトラエチレングリコールビス3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス3−メルカプトプロピオネート、トリス(3−メルカプトプロピニルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等の多価チオール;等が挙げられる。
活性水素含有基としてカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;こはく酸、アジピン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の脂肪族・芳香族ポリカルボン酸;ポリアミック酸、アクリル酸の(共)重合物等の高分子ポリカルボン酸等が挙げられる。
活性水素含有基としてアミノ基を有する化合物としては、例えば、ブチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン等のモノアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−または1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族ポリアミン;m−またはp−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,4−または2,6−トリレンジアミン等の芳香族ポリアミン;キトサン等のグリコサミン類;ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン等のシリコーン化合物;等が挙げられる。
組成物(I)中、活性水素含有化合物の含有量は、重合性化合物(A)が有するイソシアナト基と、活性水素含有化合物が有する活性水素含有基とのモル比が、イソシアナト基/活性水素含有基=1/3〜3/1の範囲内となる量であることが好ましく、イソシアナト基/活性水素含有基=1.2/1〜1/1.2の範囲内となる量であることがより好ましい。
他の反応性化合物以外の任意成分としては、例えば、重合防止剤が挙げられる。重合防止剤としては、重合防止に一般に用いられるフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物等を使用することができ、その具体例としては、例えばハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、クレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2、4、6−トリ−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
任意成分として、希釈の目的や取扱いの容易さのために、不活性溶媒を含んでもよい。不活性溶媒は、活性水素を含まない溶媒であり、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、酢酸n−ブチル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
その他、必要に応じて、硬化触媒(熱硬化触媒、光硬化触媒等)、光ラジカル開始剤、硬化剤、硬化促進剤、添加剤(充填剤、消泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、低応力化剤、可とう性付与剤、ワックス類、樹脂、架橋剤、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤など)等を含んでもよい。
前記硬化触媒としては、例えば熱酸発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。熱酸発生剤、光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。硬化触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
硬化触媒の添加量は、組成物全量100質量部に対して、例えば0.05〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
光ラジカル開始剤としては、例えばベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾ−ル等を単独、もしくは混合して使用することができ、必要に応じて光増感剤を加えることができる。
硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、酸無水物などが挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール又はクレゾールをホルムアルデヒドを用いて重合させた樹脂を使用できる。この樹脂は、ジシクロペンタジエン、ナフタレン、ビフェニルなどの脂環式化合物又は芳香族化合物を共重合させたものであってもよい。フェノール樹脂の配合量は、組成物全量100質量部に対して、通常0〜200質量部程度、例えば5〜200質量部の範囲で適宜選択できる。
酸無水物としては、多塩基酸無水物が挙げられ、具体的には、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、4−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−4−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−4−テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水マレイン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。酸無水物の配合量は、組成物全量100質量部に対して、通常0〜160質量部程度、例えば20〜160質量部の範囲で適宜選択できる。
硬化促進剤としては、一般に使用されるものであれば特に制限されないが、ジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤(ジアザビシクロアルケン類)、リン酸エステル、ホスフィン類などのリン系硬化促進剤や、3級アミンもしくは4級アンモニウム塩などのアミン系硬化促進剤が挙げられる。ジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)及びその塩(オクチル酸塩、スルホン酸塩、オルソフタル酸塩、石炭酸塩等の有機酸塩)を挙げることができる。
上記の他の硬化促進剤としては、具体的には、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラ−n−ブチルホスホニウム−O,O−ジエチルホスホロジチオエートなどの芳香族を含まないリン化合物(ホスホニウム塩等)、3級アミン塩、4級アンモニウム塩、また、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等の有機スズ化合物、オクチル酸ビスマス、デカン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物等の金属塩等の公知の化合物を挙げることができる。さらに、上記ジアザビシクロアルケン類の有機酸塩とともに、金属有機酸塩を併用することができる。金属有機酸塩としては、例えば、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。
組成物(I)における硬化促進剤の配合量は、組成物全量100質量部に対して、例えば0.00001〜5質量部の範囲で適宜選択できる。
組成物(I)には、ガラス微粒子、金属酸化物微粒子、ゴム微粒子、セラミック微粒子等の微粒子を配合してもよい。また、ガラス繊維、ケプラ繊維等の繊維を配合してもよい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
<組成物(I)の製造方法>
組成物(I)を製造する方法としては、例えば、重合性化合物(A)に対し、反応促進剤(B)を添加する方法(i)、重合性化合物(A)を製造する際に、反応促進剤(B)を副生成物として発生させ、反応生成物中に共存させる方法(ii)等が挙げられる。このような方法によれば、重合性化合物(A)と反応促進剤(B)との混合物を製造することができる。
組成物(I)が任意成分を含む場合、上記のようにして得られた混合物に対して任意成分を添加することで、組成物(I)を得ることができる。
必要に応じて固形分濃度を調整したり、溶媒交換したり、濾過処理、沈殿又は再沈殿等による精製、溶媒への溶解などの操作を行ってもよい。
方法(i)において、重合性化合物(A)、反応促進剤(B)はそれぞれ、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
重合性化合物(A)の市販のものとしては、カレンズMOI(登録商標、昭和電工社製、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)、カレンズAOI(登録商標、昭和電工社製、アクリロイルオキシエチルイソシアネート)、カレンズMOI−EG(登録商標、昭和電工社製、メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート)、カレンズBEI(登録商標、昭和電工社製、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート)等が挙げられる。
重合性化合物(A)の製造方法としては、例えば、US2821544号公報に記載の方法等が挙げられる。
方法(ii)の場合、例えば、重合性化合物(A)の製造工程において反応系内にハロゲン化合物を添加し、重合性化合物(A)のイソシアナト基をハロゲン化カルバモイル基に変化させることで、反応促進剤(B)を生成させることができる。なお、この方法の場合、重合性化合物(A)のイソシアナト基部分以外の構造と、反応促進剤(B)のハロゲン化カルバモイル基部分以外の構造とは同じになる。
方法(ii)において、重合性化合物(A)の製造方法としては、上述のような公知の製造方法を採用できる。
イソシアナト基をハロゲン化カルバモイル基に変化させるために使用されるハロゲン化合物としては、例えばホスゲン、塩化水素等が挙げられる。
方法(i)または(ii)において、反応促進剤(B)を製造する工程を経て重合性化合物(A)と反応促進剤(B)との混合物を製造する方法としては、例えば下記1)の方法、2)の方法などが挙げられる。
1)(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有する化合物に塩化水素ガスを吹き込み、析出した固体(反応促進剤(B))を取り出す等によって反応促進剤(B)をまず製造したのち、これを重合性化合物(A)と混合する方法。
2)重合性化合物(A)を合成する過程においてホスゲンや塩化水素等を用いることで、副生生物として反応促進剤(B)を発生させ、重合性化合物(A)と反応促進剤(B)との混合物を得る方法。
<組成物(I)の使用方法>
組成物(I)の使用方法は特に限定されないが、例えば、重合性化合物(A)が有する(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基のどちらか一方の基を反応させたのち、反応生成物中に未反応のまま含まれるもう一方の基を反応させる二段階の反応を利用する用途に好ましく用いられる。
例えば、重合性化合物(A)のイソシアナト基を反応(活性水素含有化合物が有する活性水素含有基との反応等)させた後、反応生成物が有する(メタ)アクリロイル基を反応(同じ反応生成物の他の分子や他の重合性化合物とのラジカル重合等)させることができる。逆に、重合性化合物(A)の(メタ)アクリロイル基を反応(同じ重合性化合物(A)の他の分子や他の重合性化合物とのラジカル重合等)させた後、反応生成物が有するイソシアナト基を反応(活性水素含有化合物が有する活性水素含有基との反応等)させることができる。
二段階目で(メタ)アクリロイル基を他の重合性化合物の重合性官能基と反応(重合)させる場合、他の重合性化合物は、一段階目の開始前の組成物(I)に予め含まれてもよく、一段階目の反応後に反応系に添加されてもよい。
二段階目でイソシアナト基を活性水素含有基と反応させる場合、活性水素含有化合物は、一段階目の開始前の組成物(I)に予め含まれてもよく、一段階目の反応後に反応系に添加されてもよく、一段階目の反応後に反応系に添加されることが好ましい。
本発明においては、組成物(I)が活性水素含有化合物を含むものであり、該組成物(I)が、重合性化合物(A)と活性水素含有化合物とを反応させたのち、反応生成物をラジカル重合させる二段階の反応を利用する用途に用いられるものであることが好ましい。
重合性化合物(A)と活性水素含有化合物とを反応させると、詳しくは後で説明するが、硬化性組成物が得られる。かかる硬化性組成物は、光照射、紫外線(UV)照射等によりラジカル重合を進行させ、硬化させることが可能で、多様な用途に用いることができる。本発明においては、重合性化合物(A)と活性水素含有化合物との反応を、反応促進剤(B)の存在下で行うことで、反応促進剤(B)が存在しない場合に比べて、重合性化合物(A)と活性水素含有化合物との反応速度が速くなり、短時間で反応を完了させることができる等、硬化性組成物の生産性が向上する。
<硬化性組成物、硬化物>
組成物(I)が活性水素含有化合物を含むものである場合、該組成物(I)中にて重合性化合物(A)と活性水素含有化合物とを反応させることにより、硬化性を有する硬化性組成物が得られる。
前記反応により生成する反応生成物は、重合性化合物(A)と活性水素含有化合物とが、イソシアナト基と活性水素含有基との反応により形成された結合を介して連結された構造を有するものであり、重合性化合物(A)に由来する(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である。
イソシアナト基と活性水素含有基との反応において、前記活性水素含有基が水酸基である場合はウレタン結合(−NH−CO−O−)が形成され、前記活性水素含有基がメルカプト基である場合はチオウレタン結合(−NH−CO−S−)が形成され、前記活性水素含有基がカルボキシル基である場合はアミド結合(−NH−CO−)が形成され、前記活性水素含有基がアミノ基である場合はウレア結合(−NH−CO−NH−)が形成される。
したがって、活性水素含有化合物が、活性水素含有基として水酸基、メルカプト基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種を有する場合、上記反応により得られる硬化性組成物は、分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合およびウレア結合からなる群から選択される少なくとも一種と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含むものとなる。
重合性化合物(A)と活性水素含有化合物とを反応させる工程は、例えば、重合性化合物(A)および反応促進剤(B)を含む組成物に対し、所定の反応温度条件下で活性水素含有化合物を添加する方法、活性水素含有化合物および反応促進剤(B)を含む組成物に対し、所定の反応温度条件下で重合性化合物(A)を添加する方法、等により行うことができる。
反応温度は、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。80℃以上であると、重合性化合物(A)中の二重結合の反応性が大きくなり重合反応が進行する可能性があるため好ましくない。一方、40℃以下であると、反応速度が小さいため好ましくない。
反応時間は特に限定されず、反応の進行状況に応じて適宜設定できる。
反応後、必要に応じて、硬化性組成物に対し、添加剤を配合してもよい。
上記のようにして得られた硬化性組成物に対し、さらに光照射、紫外線(UV)照射などの処理を行うと、該硬化性組成物中で、(メタ)アクリロイル基等の重合性官能基を有する重合性化合物のラジカル重合が進み、硬化物を得ることができる。
このような硬化性組成物は、塗料、インキ、接着剤、被覆剤、電子材料(液状レジスト、フィルムレジスト、カラーフィルターレジスト、半導体用テープ、粘着剤、接着剤)、印刷(刷版、カラー校正)、医療(ソフトコンタクトレンズ、歯科材料)、繊維・紙・木材(表面処理剤)、自動車(トップコート、補修用塗料、部品塗料)、家電(基板、絶縁材料)、建築用材料(セメントプライマー、塗料、接着剤)等として用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
以下の各例において、特に規定のない限り、「%」は質量%(wt%)、「ppm」は質量ppm(wtppm)を示す。
液体クロマトグラフィ分析(以下「LC分析」という。)の条件は、下記のとおりである。
カラム:昭和電工(株)製、商品名「Shodex(登録商標)KF−801」4本、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.8mL/min
オーブン温度:40℃
検出器:示差屈折率(RI)・UV(波長210nm)
(反応促進剤(B)の調製方法)
<合成例1>
100mLの三口フラスコに、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI(登録商標)、昭和電工社製。以下「MOI」という。)10.0gを仕込み、内温を15℃に冷却しながら、ドライ塩化水素を2.58g内挿管を通してメタクリロイルオキシエチルイソシアネートへバブリングし、メタクリロイルオキシエチルカルバモイルクロライド(以下「MOC」という。)を12.6g得た。純度は100%であった。
<合成例2>
トルエン200gにアミノエチルメタクリレート塩酸塩(以下「AEMHCl」という。)110gを仕込み、内温85℃でAEMHClを溶融させた状態で、ホスゲンを110g供給し、MOIを合成した。反応液へ窒素をバブリングすることで溶存しているホスゲンを除去し、さらに溶媒であるトルエンを減圧条件で留去することで粗MOIを110g得た。
粗MOI中のMOC含量を硝酸銀滴定にて確認した結果、10.8%であった。
(反応促進剤(B)添加によるウレタン化反応促進効果)
<実施例1>
100mLの三口フラスコに、MOI6.21g、合成例1で製造したメタクリロイルオキシエチルカルバモイルクロライド(以下「MOC」という。)0.0186g(MOIに対し3000ppm相当)、トルエン50mL、BHT0.1gを加え、攪拌混合した。得られた混合物を60℃に昇温し、さらにn−ブタノール8.89gを系内に加えて、MOIとn−ブタノールとの反応(ウレタン化反応)を行った。反応中、反応液の温度は60℃に保持した。
上記の反応において、n−ブタノールを添加した時点を0時間とし、0時間からの経過時間(反応時間)が0分、10分、30分、60分、120分の時点でそれぞれ反応液をサンプリングし、LC分析を行って、使用したMOIのうち、イソシアナト基がウレタンに転化したMOIの割合(転化率)を下記式に基づいて求めた。反応液中のMOI含量(%)は、LC分析により測定した。結果を表1および図1に示す。
転化率(%)=(仕込み液中[反応前]のMOI含量(%)−反応液中[サンプリング時]のMOI含量(%))/(仕込み液中[反応前]のMOI含量(%))×100
<実施例2>
MOCの添加量を0.0932g(MOIに対し15000ppm相当)に変えたほかは実施例1と同様にして、ウレタン化反応および転化率の測定を行った。結果を表1および図1に示す。
<実施例3>
MOCの添加量を0.03mg(MOIに対し5wtppm相当)に変えたほかは実施例1と同様にして、ウレタン化反応および転化率の測定を行った。結果を表1および図1に示す。
<比較例1>
MOCを加えなかったほかは実施例1と同様にして、ウレタン化反応および転化率の測定を行った。結果を表1および図1に示す。
<実施例4>
MOIをアクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI(登録商標)、昭和電工社製。以下「AOI」という。)5.64gに変え、MOCの添加量を0.0846g(AOIに対し15000ppm相当)に変えたほかは実施例1と同様にして、ウレタン化反応および転化率(使用したAOIのうち、イソシアナト基がウレタンに転化したAOIの割合)の測定を行った。結果を表1および図2に示す。
<比較例2>
MOCを加えなかったほかは実施例4と同様にしてウレタン化反応および転化率の測定を行った。結果を表1および図2に示す。
Figure 0006381140
以上の結果から、MOCが、イソシアネートとアルコールとの反応(ウレタン化反応)において、反応促進剤として機能することが確認された。
(反応促進剤(B)添加によるアミド化反応促進効果)
<実施例5>
100mLの三口フラスコに、合成例1で製造したMOC0.0932g(この後添加するMOIに対し15000ppm相当)、デカン酸6.89g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)64.52g、BHT0.1gを加え、攪拌混合した。得られた混合物を60℃に昇温し、さらにMOI(カレンズMOI(登録商標)、昭和電工社製)6.21gを系内に加えて、MOIとデカン酸との反応(アミド化反応)を行った。反応中、反応液の温度は60℃に保持した。
上記の反応において、MOIを添加した時点を0時間とし、0時間からの経過時間(反応時間)が0分、10分、30分、60分、120分、240分の時点でそれぞれ反応液をサンプリングし、LC分析を行って転化率(使用したMOIのうち、イソシアナト基がアミドに転化されたMOIの割合)を測定した。転化率は実施例1で用いたのと同様の式にて求めた。結果を表2および図3に示す。
<比較例3>
MOCを加えなかったほかは実施例5と同様にして、アミド化反応および転化率の測定を行った。結果を表2および図3に示す。
Figure 0006381140
以上の結果から、MOCが、イソシアネートとカルボン酸との反応(アミド化反応)においても、反応促進剤として機能することが確認された。
(添加する反応促進剤の種類によるウレタン化反応促進効果の対比)
<比較例4>
MOCの代わりに、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン(以下「DBU」という。東京化製株式会社製)を0.02g(MOIに対して3000ppmとなる量)を添加した他は、実施例1と同様にしてウレタン化反応および転化率の測定を行った。結果を、実施例1の結果とともに表3および図4に示す。
Figure 0006381140
以上の結果より、アミン系触媒に比較して本願発明の反応促進剤(B)は、ウレタン化反応において良好な反応促進効果を有することが分かった。
(MOI+MOC系とAOI+MOC系との収率の差)
<実施例6>
途中で反応液のサンプリングを行わず反応を1時間継続して行ったほかは実施例2と同様にウレタン化反応を行った。
反応後、反応液をLC分析したところ、反応により生成したウレタン化合物のうち、メタクリロイルオキシエチル基を有するウレタン化合物の占める割合は100質量%(アクリロイルオキシエチル基を有するウレタンの占める割合は0%)であった。
<実施例7>
途中で反応液のサンプリングを行わず反応を1時間継続して行ったほかは実施例4と同様にウレタン化反応を行った。
反応後、反応液をLC分析したところ、反応により生成したウレタン化合物のうち、アクリロイルオキシエチル基を有するウレタン化合物の占める割合は98.8質量%であり、このほかに、メタクリロイルオキシエチル基を有するウレタン化合物を1.2質量%含んでいた。これは、反応促進剤(B)として用いたMOCが反応液中でMOIに変わり、n−ブタノールと反応したためと考えられる。
(反応促進剤(B)によるエチレン性不飽和基のラジカル重合反応促進効果)
<参考例I>
MOI(カレンズMOI(登録商標)、昭和電工社製)5.00gを再蒸留し、含有されている重合防止剤(BHT)を除去した。蒸留したMOIに、MOC0.500g(MOIに対して10000ppm相当)を添加し、混合して得られた組成物を窒素置換し、100℃で加熱した。温度を観察したところ、MOC添加の時点から20分が経過した時点において温度上昇があり、メタクリロイル基の反応(ラジカル重合反応)の開始が認められた。
<参考例II>
MOCを加えない他は、参考例Iと同様の操作を行い、温度観察をしたところ、264分経過時点において温度上昇があり、メタクリロイル基の反応(ラジカル重合反応)の開始が認められた。
参考例IおよびIIの結果から、MOCが、重合性化合物(A)におけるイソシアナト基の反応を促進する効果だけでなく、(メタ)アクリロイル基のラジカル反応を促進する効果も発揮することが確認された。
しかしながら参考例Iでは、ラジカル重合開始剤を加えずに加熱しただけの条件(すなわち、光重合開始剤を添加しUV照射をするという適性な光硬化反応の条件ではない条件)にも拘わらず、参考例IIより大幅に短い20分でラジカル反応の開始が認められた。これは目的とする用途や実験操作によっては、保存安定性および下記の観点からあまり好ましくない条件であるとも捉えられる。
また本発明において、重合性化合物(A)はイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基の2つの官能点を有するため、先にイソシアナト基を熱により反応させ(1段階目)、そののちに(メタ)アクリロイル基を光により反応させる(2段階目)の2段階によって硬化物を製造することが好ましい。しかしこの際、重合促進剤(B)の含有量が多いと、1段階目の反応中に予期せず2段階の反応が進行してしまう恐れがある。
以上のような背景から、重合性化合物(A)のような2官能性モノマーの反応において用いる重合促進剤(B)の量は、該2官能性モノマーに対して5〜8000質量ppm、特に5〜2000質量ppmとすることがより好ましい形態である。

Claims (11)

  1. 分子内に(メタ)アクリロイル基およびイソシアナト基を有する重合性化合物(A)と、分子内に(メタ)アクリロイル基およびハロゲン化カルバモイル基を有する化合物からなる反応促進剤(B)と、を含む組成物。
  2. 前記反応促進剤(B)の含有量が、前記重合性化合物(A)の含有量に対して5〜20000質量ppmである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記反応促進剤(B)の含有量が、前記重合性化合物(A)の含有量に対して5〜8000質量ppmである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記重合性化合物(A)が、下記一般式(1)または(1’)で表される化合物である、請求項1に記載の組成物。
    Figure 0006381140
    [式中、RおよびRは各々独立に、水素原子またはメチル基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基である。前記一般式(1’)中の2つのRは同じでも異なってもよく、2つのRは同じでも異なってもよい。]
  5. 前記反応促進剤(B)が、下記一般式(2)または(2’)で表される化合物である、請求項1に記載の組成物。
    Figure 0006381140
    [式中、RおよびRは各々独立に、水素原子またはメチル基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基であり、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。前記一般式(2’)中の2つのRは同じでも異なってもよく、2つのRは同じでも異なってもよい。]
  6. 前記重合性化合物(A)が、下記一般式(1)または(1’)で表される化合物を含み、
    前記反応促進剤(B)が、前記一般式(2)または(2’)で表され、かつ該一般式(2)または(2’)中のR、R、Rがそれぞれ前記重合性化合物(A)が有するR、R、Rと同じである化合物を含む、請求項5に記載の組成物。
    Figure 0006381140
    [式中、R およびR は各々独立に、水素原子またはメチル基であり、R は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素原子間の単結合をエーテル結合、エステル結合およびフェニレン結合からなる群より選ばれる結合で置換してなる基である。前記一般式(1’)中の2つのR は同じでも異なってもよく、2つのR は同じでも異なってもよい。]
  7. 活性水素含有基を有する化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記活性水素含有基が、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項7に記載の組成物。
  9. 請求項8に記載の組成物中にて前記重合性化合物(A)と前記活性水素含有基を有する化合物とを反応させてなる、分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合およびウレア結合からなる群から選択される少なくとも一種と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含む硬化性組成物。
  10. 請求項8に記載の組成物中にて前記重合性化合物(A)と前記活性水素含有基を有する化合物とを反応させて、分子内にウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合およびウレア結合からなる群から選択される少なくとも一種と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含む硬化性組成物を得る工程を含む、硬化性組成物の製造方法。
  11. 請求項9に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
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