しかしながら、ワイパーは可撓性を有するため、ワイパーをワイパークリーナーのスリットに挿入する際、ワイパーの先端部がスリットの入口に引っ掛かってワイパーが撓み変形してしまい、ワイパーをスムーズにスリットに通せない場合がある。それにより、ワイパーまたはワイパークリーナーが破損してしまう恐れがあった。
本発明の目的は、ワイパークリーナーの隙間にワイパーを挿入しやすい液体吐出装置を提供することである。
第1の発明の液体吐出装置は、液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに対して第1方向に相対移動可能であって、第1面と第2面とを有し、少なくとも前記第1面によって前記吐出面を払拭する板状のワイパーと、前記ワイパーの少なくとも前記第1面に付着した液体を清掃するワイパークリーナーと、前記ワイパーと前記ワイパークリーナーを、前記第1方向および前記吐出面と直交する第2方向と交差する第3方向に相対移動させる移動機構と、を備える液体吐出装置であって、前記ワイパークリーナーは、液体を吸収する吸収体からなり、前記ワイパーの前記第1面と接触する第1接触部と、前記第1接触部と対向して配置され、前記ワイパーの前記第2面と接触する第2接触部と、を有し、前記ワイパーと一体的に前記ワイパークリーナーに対して相対移動可能で、前記ワイパーに対して前記第3方向の少なくとも一方側に配置される隙間拡大部であって、前記ワイパーよりも剛性が高く、前記ワイパーと前記ワイパークリーナーが前記第3方向に相対移動するとき、前記ワイパーより先に前記第1接触部と前記第2接触部との隙間に挿入されて前記隙間を拡げる隙間拡大部を備えることを特徴とする。
この構成によると、ワイパーとワイパークリーナーを第3方向に相対移動させて、ワイパーより先に隙間拡大部を第1接触部と第2接触部の隙間に挿入することにより、隙間拡大部によって拡げられた状態の隙間にワイパーを挿入できる。そのため、拡がっていない状態の隙間にワイパーを挿入させる場合に比べて、ワイパーがワイパークリーナーに引っ掛かるのを防止でき、ワイパーをスムーズに隙間に挿入できる。
第2の発明の液体吐出装置は、第1の発明において、前記第1接触部と前記第2接触部の前記第1方向の離間距離が、前記ワイパーの前記第1方向の長さ以下であることを特徴とする。
この構成によると、ワイパークリーナーの隙間を、隙間拡大部によって、ワイパーの第1方向長さよりも拡げることができる。
第3の発明の液体吐出装置は、第2の発明において、前記隙間拡大部の前記第1方向の長さが、前記ワイパーの第1方向の長さよりも長いことを特徴とする。
この構成によると、2つの隙間拡大部の第1方向の長さがワイパーの厚み(第1方向長さ)よりも長いため、隙間拡大部が第1接触部と第2接触部との隙間を通過する際、隙間拡大部によって第1接触部が圧縮変形される。これにより、第1接触部に既に吸収されていた液体を排出させることができ、第1接触部の吸収性能を回復できる。
第4の発明の液体吐出装置は、第2または第3の発明において、前記隙間拡大部が、前記ワイパーの前記第3方向の端部と前記第3方向に対向して配置されることを特徴とする。
この構成によると、隙間拡大部とワイパーが第3方向に並んでワイパークリーナーの隙間に挿入されるので、ワイパークリーナーの隙間の最も拡げられた箇所に、ワイパーを挿入できるため、ワイパーがワイパークリーナーに引っ掛かるのをより確実に防止できる。
第5の発明の液体吐出装置は、第4の発明において、前記ワイパーの前記第2方向において前記吐出面と反対側の端部を保持するワイパーホルダーを備え、前記ワイパーが前記吐出面と接触していないとき、前記隙間拡大部の前記第2方向の長さが、前記ワイパーの前記端部から先端までの前記第2方向の長さよりも短く、前記ワイパーが前記吐出面と接触するとき、前記隙間拡大部が、前記吐出面に対して前記第2方向に離間していることを特徴とする。
この構成によると、隙間拡大部が吐出面から第2方向に離れているため、ワイパーと液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させるときに、隙間拡大部が液体吐出ヘッドの吐出面やその他の箇所に接触して相対移動できなくなるのを防止できる。なお、本発明の「ワイパーの前記端部から先端までの第2方向の長さ」は、ワイパーの端部の第2方向の長さ(つまり、ワイパーのワイパーホルダーに保持されている部分の第2方向の長さ)を含まない。
第6の発明の液体吐出装置は、第4の発明において、前記ワイパーの前記第2方向において前記吐出面と反対側の端部を保持するワイパーホルダーを備え、前記ワイパーが前記吐出面と接触していないとき、前記隙間拡大部の前記第2方向の長さが、前記ワイパーの前記端部から先端までの前記第2方向の長さ以上であり、前記ワイパーの前記第3方向の長さが、前記吐出面の前記第3方向の長さよりも長いことを特徴とする。
この構成によると、ワイパーの先端付近がワイパークリーナーに引っ掛かるのをより確実に防止できる。また、ワイパーの第3方向の長さが吐出面の第3方向の長さよりも長いので、ワイパーと液体吐出ヘッドを第1方向に相対移動させるときに、隙間拡大部が液体吐出ヘッドの吐出面やその他の箇所に接触するのを防止できる。
第7の発明の液体吐出装置は、第2〜第6の発明のいずれかにおいて、前記隙間拡大部は、前記第3方向に関して前記ワイパーと反対側の端部が、前記第3方向に関して前記ワイパーから離れる方向に先細りとなる形状であることを特徴とする。
この構成によると、隙間拡大部を、第1接触部と第2接触部との隙間に挿入しやすい。
第8の発明の液体吐出装置は、第2の発明において、前記ワイパーの前記第3方向の両側に配置される2つの前記隙間拡大部を備えていることを特徴とする。
この構成によると、ワイパーをワイパークリーナーに対して第3方向のいずれの方向に相対移動させるときも、隙間拡大部によって第1接触部と第2接触部の隙間を拡げてからワイパーを挿入することができ、ワイパーがワイパークリーナーに引っ掛かるのを防止できる。
第9の発明の液体吐出装置は、第8の発明において、前記2つの隙間拡大部は、前記ワイパーが前記吐出面を払拭した後、前記ワイパーより先に前記第1接触部と前記第2接触部との隙間に挿入されるように配置された第1隙間拡大部と、前記ワイパーの前記第3方向に関して前記第1隙間拡大部と反対側に配置された第2隙間拡大部からなり、前記第2隙間拡大部の前記第3方向の長さが、前記第1接触部の前記第3方向の長さ、および、前記第1隙間拡大部の前記第3方向の長さよりも短いことを特徴とする。
この構成によると、ワイパーが吐出面を払拭した後、ワイパーより先にワイパークリーナーの隙間に挿入される第1隙間拡大部は、第2隙間拡大部よりも第3方向の長さが長い。したがって、第1隙間拡大部は、第1接触部をより広い範囲で圧縮変形させることができ、吸収性能をより回復できる。そのため、2つの隙間拡大部の第3方向の長さが同じ場合に比べて、2つの隙間拡大部の第3方向の長さの合計を長くすることなく、吐出面の液体を払拭した後のワイパーのクリーニング精度を向上できる。
第10の発明の液体吐出装置は、液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに対して第1方向に相対移動可能であって、第1面と第2面とを有し、少なくとも前記第1面によって前記吐出面を払拭する板状のワイパーと、前記ワイパーの少なくとも前記第1面に付着した液体を清掃するワイパークリーナーと、前記ワイパーと前記ワイパークリーナーを、前記第1方向および前記吐出面と直交する第2方向と交差する第3方向に相対移動させる移動機構と、を備える液体吐出装置であって、前記ワイパークリーナーは、液体を吸収する吸収体からなり、前記ワイパーの前記第1面と接触する第1接触部と、前記第1接触部と対向して配置され、前記ワイパーの前記第2面と接触する第2接触部と、を有し、前記ワイパーは、前記第3方向の少なくとも一方側の端部が他の部分よりも剛性が高く、前記ワイパーと前記ワイパークリーナーが前記第3方向に相対移動するとき、前記一方側の端部が、前記他の部分より先に前記第1接触部と前記第2接触部との隙間に挿入されて前記隙間を拡げることを特徴とする。
この構成によると、ワイパーとワイパークリーナーを第3方向に相対移動させて、ワイパーの前記他の部分より先に剛性の高い前記一方側の端部を、第1接触部と第2接触部の隙間に挿入することにより、前記一方側の端部によって拡げられた状態の隙間に前記他の部分を挿入できる。そのため、ワイパーの剛性の低い前記他の部分がワイパークリーナーに引っ掛かるのを防止でき、ワイパーをスムーズに隙間に挿入できる。
第11の発明の液体吐出装置は、第2〜第10の発明のいずれかにおいて、前記第2接触部が、液体を吸収する吸収体からなることを特徴とする。
この構成によると、ワイパーの第1面だけでなく第2面に付着した液体をワイパークリーナーによって除去できる
第12の発明の液体吐出装置は、第11の発明において、前記ワイパークリーナーの前記1方向における両端部を固定するクリーナーホルダーを備え、前記隙間拡大部が前記ワイパークリーナーの前記隙間に挿入されたときに、前記ワイパークリーナーが前記第1方向における両端部を支点として前記第3方向に曲がるように変形することを特徴とする。
この構成によると、隙間拡大部がワイパークリーナーの隙間に挿入されたときに、ワイパークリーナーが第1方向における両端部を支点として第3方向に曲がるように変形するため、隙間が広がりやすい。そのため、隙間拡大部を隙間内でスムーズに移動させることができる。
第13の発明の液体吐出装置は、第12の発明において、前記クリーナーホルダーは、前記ワイパーが前記吐出面を払拭するときに前記ワイパー側となる第1壁と、この第1壁と前記第3方向の反対側の第2壁とを有し、前記第1壁には、前記ワイパークリーナーの前記隙間を露出させる第1切欠きが形成され、前記第2壁には、前記ワイパークリーナーの前記隙間を露出させる第2切欠きが形成され、前記第2切欠きの前記第1方向の長さが、前記第1切欠きの前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする。
第2壁の第2切欠きは、第1壁の第1切欠きよりも第1方向の長さが短いため、第2壁は第1壁よりもワイパークリーナーと接触する面積が大きい。そのため、ワイパーがワイパークリーナーに対して第1壁から第2壁に向かう方向に相対移動してワイパークリーナーの隙間を通過するときには、ワイパーが逆方向に相対移動する場合に比べて、ワイパークリーナーが変形しにくくなるため、ワイパーにワイパークリーナーを強く当接させることができ、クリーニング精度を向上できる。
本発明では、ワイパークリーナーの第1接触部と第2接触部の隙間を拡げた状態で、ワイパーを当該隙間に挿入できるため、ワイパーが隙間に引っ掛かるのを防止でき、ワイパーをワイパークリーナーの隙間にスムーズに挿入できる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示す平面図である。なお、図1における前後左右の方向を前後左右と定義するとともに、図1の紙面垂直方向を上下方向と定義し、以下の説明にて適宜使用する。
図1に示すように、インクジェットプリンタ1(本発明の液体吐出装置)は、記録用紙Pが載置されるプラテン2と、このプラテン2と平行な走査方向(左右方向)に往復移動可能なキャリッジ3と、キャリッジ3に搭載されたインクジェットヘッド4(本発明の液体吐出ヘッド)と、記録用紙Pを走査方向と直交する紙送り方向(前方)に搬送する搬送機構5と、インクジェットヘッド4の液体吐出性能の維持・回復に関する各種メンテナンス作業を行うメンテナンスユニット6と、インクジェットプリンタ1の全体制御を司る制御装置7(図2参照)等を備えている。
プラテン2の上面には図示しない給紙機構から供給された記録用紙Pが載置される。また、プラテン2の上方には、走査方向(左右方向)に平行に延びる2本のガイドレール10,11が設けられ、キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール10,11に沿って走査方向に往復移動可能に構成されている。また、2本のガイドレール10,11は、プラテン2から走査方向(左右方向)に沿って右方に離れた位置(メンテナンス位置)まで延在しており、キャリッジ3は、プラテン2上の記録用紙Pと対向する領域(記録領域)から、非記録領域である上記メンテナンス位置まで移動可能に構成されている。また、キャリッジ3には、2つのプーリ12,13間に巻き掛けられた無端ベルト14が連結されており、キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が走行駆動されたときに、キャリッジ3は、無端ベルト14の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ3の下部に取り付けられており、プラテン2の上面と平行な、インクジェットヘッド4の下面(吐出面4a)には、複数の吐出口16が形成されている。吐出面4aは撥水膜(図示省略)で被覆されている。そして、この吐出面4aの複数の吐出口16から、プラテン2に載置された記録用紙Pに向かってインクが吐出される。搬送機構5は、紙送り方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ17,18を有し、これら2つの搬送ローラ17,18によって、プラテン2に載置された記録用紙Pを紙送り方向(前方)に搬送する。そして、インクジェットプリンタ1は、プラテン2上に載置された記録用紙Pに対して、キャリッジ3とともに走査方向(左右方向)に往復移動するインクジェットヘッド4からインクを吐出させるとともに、2つの搬送ローラ17,18によって記録用紙Pを紙送り方向(前方)に搬送することにより、記録用紙Pに所望の画像や文字等を印刷する。
メンテナンスユニット6は、インクジェットヘッド4の記録領域よりも、走査方向(左右方向)における右側の上記メンテナンス位置に対応する位置に配置されている。メンテナンスユニット6は、インクジェットヘッド4がキャリッジ3と共にメンテナンス位置に移動したときに、インクジェットヘッド4内に混入した異物や気泡等を取り除くために、吐出口16からインクを吸引排出させる吸引パージや、吐出面4aに付着したインクの拭き取りを行い、インクジェットヘッド4のインク吐出性能の維持及び回復を図るものである。メンテナンスユニット6は、ワイパー41、ワイパークリーナー46、吸引キャップ31、および吸引ポンプ32等を備えている。
吸引キャップ31は、インクジェットヘッド4がメンテナンス位置にあるときにインクジェットヘッド4の吐出面4aと対向する位置に配置されている。図5(a)および図5(b)に示すように、吸引キャップ31は、キャップ昇降機構33によって上下方向に駆動され、キャップ昇降機構33は、キャップ昇降モータ24(図2参照)によって駆動される。また、吸引キャップ31は、吸引ポンプ32に接続されている。なお、図5(a)〜図5(d)は、図1のV−V線断面図である。
インクジェットヘッド4がメンテナンス位置にあるときに、キャップ昇降機構33によって吸引キャップ31が上方に駆動されると、吸引キャップ31はインクジェットヘッド4の吐出面4aに密着し、複数の吐出口16を覆う。この状態で、吸引キャップ31に接続された吸引ポンプ32が駆動されると、吸引キャップ31内の圧力が低下するため、インクジェットヘッド4内のインクが吐出口16から吸引キャップ31内へ吸引排出される(吸引パージ)。
ワイパー41は、ゴムや合成樹脂等の可撓性材料からなる平板状の部材である。図3および図4(b)に示すように、ワイパー41は、その下端部41b(本発明の端部)がワイパーホルダー42に保持されて、走査方向(左右方向)と直交するように配置されている。ワイパー41は、矩形状に形成されており、ワイパー41の先端(上端)41aは、吐出面4aと平行に前後方向に延びている。
ワイパー41は、ワイパー移動機構43によって、吐出面4aと平行で且つ走査方向に直交する方向(以下、ワイパー移動方向という)に直線状に往復駆動される。ワイパー41は、キャリッジ3の走査方向の移動軌跡上のワイプ位置(図1および図3中二点鎖線で表示)と、ワイプ位置より前方の待機位置(図1および図3中実線で表示)との間を駆動される。ワイパー移動機構43は、ワイパーホルダー42に取り付けられたラック44と、このラック44と噛み合うピニオン45と、ピニオン45を回転駆動するワイパー駆動モータ25とを有する。なお、ワイパー移動機構43の具体的な構成は、上記以外であってもよい。
ワイパー41の先端41aは、吐出面4aよりも上方に位置している。図5(c)および図5(d)に示すように、ワイパー41がワイプ位置にあるとき、インクジェットヘッド4がメンテナンス位置において走査方向(具体的には左方)に移動することで、インクジェットヘッド4の吐出面4aに付着したインクがワイパー41の右面(本発明の第1面)41s1で拭き取られる。拭き取り後、インクは主にワイパー41の右面41s1に付着し、左面41s2(本発明の第2面)にはあまり付着しない。ワイパー41の幅(前後方向長さ)は、吐出面4aの前後方向長さとほぼ同じかそれよりも長くなっており、ワイパー41は吐出面4aの全面を1回で拭き取ることが可能になっている。
ワイパー41は、全体的に厚みが例えば1mm程度と薄く、ワイパー41の上端部は先細り状に形成されている。これにより、ワイパー41が吐出面4aに接触したときに容易に湾曲して、吐出面4aのインクを確実に拭き取ることができる。また、ワイパー41が湾曲した状態から復元しようとする復元力が大きいと吐出面4aを覆う撥水膜がワイパー41から受ける力も大きくなるが、1mm程度の厚みの場合には復元力が比較的小さくなるため、撥水膜がワイパー41から受ける力を抑えて撥水膜の剥離を防止できる。
ワイパーホルダー42には、ワイパー41の前方と後方にそれぞれ配置された2つの隙間拡大部50,51が取り付けられている。隙間拡大部50は、ワイパー41の前端と接触しない程度に近づいて配置されており、隙間拡大部51は、ワイパー41の後端と接触しない程度に近づいて配置されている。2つの隙間拡大部50,51は、例えば合成樹脂などで形成されており、ワイパー41よりも剛性が高い。隙間拡大部50,51の走査方向(左右方向)の長さは、ワイパー41の厚みよりも長い。隙間拡大部50,51の上下方向長さは、ワイパー41のワイパーホルダー42から先端41aまでの長さ(下端部41bから先端までの長さ)よりも短く、ワイパー41が吐出面4aと接触していないとき、隙間拡大部50,51の上端はワイパー41の先端(上端)41aよりも下方に位置している。また、隙間拡大部50,51の上端は、吐出面4aよりも下方に位置しており、ワイパー41が吐出面4aに接触するとき、隙間拡大部50,51は吐出面4aから上下方向に離れている。そのため、ワイパー41の幅が吐出面4aの前後方向長さと同じであっても、隙間拡大部50,51が吐出面4aと接触することがなく邪魔になりにくい。
ワイパークリーナー46は、クリーナーホルダー47に保持されて、ワイパー41の待機位置とワイプ位置の間に配置される。なお、図1および図3では、クリーナーホルダー47の表示を省略している。ワイパークリーナー46は、スポンジなどの弾性を有する吸収体からなり、直方体状に形成されている。ワイパークリーナー46の左右方向略中央部には、下端から上端近傍までワイパー移動方向と平行に延びるスリット46aが形成されている。スリット46aは、吸収体に切り込みを入れることで形成されており、スリット46aの大きさは、ワイパー41の厚みよりも小さく、ほぼゼロである。ワイパークリーナー46のスリット46aより右側の部分が本発明の第1接触部に相当し、スリット46aより左側の部分が本発明の第2接触部に相当する。
図4(a)および図4(b)に示すように、クリーナーホルダー47は、ワイパークリーナー46の左端部46bと右端部46cを固定している。具体的には、ワイパークリーナー46の左右両端部46b,46cに形成された円形孔を貫通する2つの固定棒48,48によってワイパークリーナー46は固定されている。なお、ワイパークリーナー46の左右両端部46b,46cを固定する構造は、上記以外であってもよい。クリーナーホルダー47は、ワイパークリーナー46の前後両面のそれぞれの一部分と左右両面と上面を覆っており、図示しない支持部材によって片持ち式に支持されている。クリーナーホルダー47の前壁47a(本発明の第2壁)と後壁47b(本発明の第1壁)には、それぞれスリット46aとその周囲を露出させる切欠き47c,47dが形成されている。
ワイパークリーナー46は、ワイパー41が待機位置とワイプ位置との間を移動する途中に、ワイパー41のワイパーホルダー42よりも上側の部分が、ワイパークリーナー46のスリット46aを通り抜けることができる位置に設置されている。
図6(a)および図6(b)に示すように、ワイパー41が待機位置からワイプ位置に向かって後方に移動すると、まず、ワイパー41より後方(進行方向前方)の隙間拡大部51が、ワイパー41より先にスリット46aに挿入される。隙間拡大部51は剛性が高いため、ワイパー41より幅が厚くてもスムーズにスリット46aに挿入できる。その後、図6(c)に示すように、隙間拡大部51によって拡げられた状態のスリット46aにワイパー41が挿入される。そのため、ワイパー41がスリット46aに引っ掛かるのを防止でき、ワイパー41をスムーズにスリット46aに挿入できる。図6(d)に示すように、隙間拡大部50がスリット46aを通り抜けると、スリット46aが狭くなってワイパー41の両面にワイパークリーナー46が接触する。
図7(a)〜図7(f)に示すように、ワイパー41がワイプ位置から待機位置まで移動する場合には、ワイパー41より前方(進行方向前方でもある)に配置された隙間拡大部50によって、逆方向に移動する場合と同様に、ワイパー41をスムーズにスリット46aに挿入できる。また、この場合には、吐出面4aを拭き取った際にワイパー41に付着したインクをワイパークリーナー46によって除去できる。
上述したように、ワイパー41の左面(本発明の第2面)41s2には、インクはあまり付着しないため、ワイパークリーナーの左面41s2と接触する部分(本発明の第2接触部)は、ワイパー41の清掃にほとんど関与しない場合がある。左面41s2にインクが付着する場合と付着しない場合のいずれにおいても、ワイパークリーナーの左面41s2と接触する部分(本発明の第2接触部)は、ワイパー41の右面(本発明の第1面)41s1とワイパークリーナー41との接触面圧を確保する機能を果たしている。
隙間拡大部50,51のワイパー41と反対側の端部は、ワイパー移動方向に関してワイパー41から離れる方向に先細り状に形成されている。そのため、隙間拡大部50,51をスリット46aに挿入しやすい。
隙間拡大部50,51がスリット46aに挿入されることにより、ワイパークリーナー46は左右方向に圧縮変形される。これにより、ワイパークリーナー46に既に吸収されていたインクを排出することができ、ワイパークリーナー46の吸収性能を回復できる。
ワイパー41より前方に配置される隙間拡大部50は、ワイパー41より後方に配置される隙間拡大部51よりもワイパー移動方向(前後方向)の長さが長くなっている。そのため、隙間拡大部50は、ワイパー移動方向に関して、より広い範囲でワイパークリーナー46を圧縮変形させることができ、吸収性能をより回復できる。したがって、隙間拡大部50,51の長さが同じ場合に比べて、隙間拡大部50,51の長さの合計を長くすることなく、ワイプ位置から待機位置に移動するときのワイパー41のクリーニング精度を向上できる。なお、隙間拡大部50と隙間拡大部51のワイパー移動方向の長さは同じであってもよい。
ワイパークリーナー46は、その両端部46b,46cが固定棒48,48によって固定されているため、隙間拡大部(50または51)がスリット46aに挿入されたとき、ワイパークリーナー46は両端部46b,46cを支点としてワイパー41の進行方向に曲がるように変形する。そのため、例えばワイパークリーナー46の上面全体がクリーナーホルダー47に固定されている場合に比べて、スリット46aが広がりやすいため、ワイパー41より先にスリット46aに挿入される隙間拡大部(50または51)をスリット46a内でスムーズに移動させることができる。
図6(a)〜図6(f)に示すようにワイパー41がスリット46aを後方に通過するとき、ワイパークリーナー46の後面が、クリーナーホルダー47の後壁47bに押し付けられてワイパークリーナー46の後方への変形が規制される。また、図7(a)〜図7(f)に示すようにワイパー41がスリット46aを前方に通過するとき、ワイパークリーナー46の前面が、クリーナーホルダー47の前壁47aに押し付けられて、ワイパークリーナー46の前方への変形が規制される。クリーナーホルダー47の前壁の切欠き47cは、後壁の切欠き47dよりも走査方向(左右方向)の長さが短くなっている。そのため、クリーナーホルダー47の前壁47aは、クリーナーホルダー47の後壁47bよりもワイパークリーナー46との接触面積が大きい。そのため、ワイパー41がワイプ位置から前方に移動してスリット46aを通過するときには、逆方向にスリット46aを通過するときよりも、ワイパークリーナー46が変形しにくくなり、ワイパー41にワイパークリーナー46をより強く当接させることができ、クリーニング精度を向上できる。また、ワイパー41が待機位置からワイピング位置に移動するときにはワイパー41およびワイパークリーナー46にかかる負荷を抑えるため、長寿命化できる。
図2は、インクジェットプリンタ1の制御系を示すブロック図である。図2に示す制御装置7は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。制御装置7は、ROMに格納されたプログラムに従い、ASICにより、記録用紙Pへの印刷等の各種処理を実行する。制御装置7は、PC等の外部装置から入力された印刷指令に基づいて、インクジェットヘッド4、キャリッジ3を駆動するキャリッジ駆動モータ15、及び、搬送機構5の搬送ローラ17,18を駆動する搬送モータ23を制御して、記録用紙Pへの印刷を行わせる。また、制御装置7は、キャリッジ駆動モータ15を駆動してメンテナンス時(吸引パージ、あるいは、インク拭き取り)時のインクジェットヘッド4の位置を制御するとともに、吸引キャップ31を昇降させるキャップ昇降モータ24、吸引ポンプ32、及び、ワイパー41を駆動するワイパー駆動モータ25を制御して、吸引パージやインク拭き取りを行わせる。
メンテナンスユニット6の一連の動作について、具体的に説明する。電源投入直後、あるいは、ユーザーによるパージ指令が入力された場合など、インクジェットヘッド4の吸引パージを行う必要が生じた場合に、制御装置7はメンテナンスユニット6を動作させる。
まず、図5(a)に示すように、インクジェットヘッド4を、吸引キャップ31と対向するメンテナンス位置に位置させる。次に、キャップ昇降モータ24を駆動して、吸引キャップ31を図5(a)の待機位置から上昇させ、図5(b)のように、吸引キャップ31をインクジェットヘッド4の吐出面4aに密着させる。この状態で、吸引ポンプ32を駆動して吸引キャップ31内の圧力を低下させる。これにより、吸引キャップ31に覆われた複数の吐出口16から、インクジェットヘッド4内に混入した異物や気泡をインクとともに吸引排出させる(吸引パージ)。
一定時間の吸引パージが終了したら、吸引キャップ31を下降させて再び待機位置に戻す。このとき、吐出口16から排出されたインクの一部が吐出面4aに付着した状態となっている。そこで、続けてワイパー41に吐出面4aのインク拭き取りを行わせる。まず、図5(c)および図6(a)〜図6(f)に示すように、ワイパー駆動モータ25を駆動して、ワイパー41を待機位置からワイプ位置まで移動させる。このとき、ワイパー41および隙間拡大部50,51は、ワイパークリーナー46のスリット46aを通り抜ける。
続いて、図5(d)に示すように、キャリッジ3をプラテン2に近づく方向に移動させて、インクジェットヘッド4の吐出面4aにワイパー41の先端部を接触させて、吐出面4aに付着したインクをワイパー41で拭き取る。その後、図7(a)〜図7(f)に示すように、ワイパー41をワイプ位置から待機位置まで移動させる。このとき、ワイパー41および隙間拡大部50,51は、ワイパークリーナー46のスリット46aを通り抜けるため、吐出面4aを拭き取った際にワイパー41に付着したインクが、ワイパークリーナー46によって除去される。
なお、本実施形態では、走査方向(左右方向)が、本発明の第1方向に相当し、吐出面4aに直交する上下方向が、本発明の第2方向に相当し、ワイパー移動方向(前後方向)が第3方向に相当する。また、隙間拡大部50が、本発明の第1隙間拡大部に相当し、隙間拡大部51が、本発明の第2隙間拡大部に相当する。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。また、後述する変更例は適宜組み合わせて実施することができる。
前記実施形態では、2つの隙間拡大部50,51は、それぞれワイパー41の前端および後端と接触しない程度に近づいて配置されているが、2つの隙間拡大部50,51の一方または両方は、ワイパー41の前後方向の端部と接触していてもよい。
例えば図8に示す隙間拡大部150,151のように、隙間拡大部150,151の上下方向長さは、ワイパー41のワイパーホルダー42から先端41aまでの長さ(下端部41bから先端41aまでの長さ)以上であってもよい。但し、この場合、隙間拡大部150,151がインクジェットヘッド4またはキャリッジ3に接触しないように、ワイパー41の幅を吐出面4aの前後方向長さよりも長くする必要がある。この変更形態によると、ワイパー41をスリット46aに挿入する際に、ワイパー41の上端がワイパークリーナー46のスリット46aに引っ掛かるのをより確実に防止できる。
前記実施形態では、隙間拡大部50,51は、ワイパー41のワイパーホルダー42よりも上側の部分とワイパー移動方向に並んでいるが、例えば図9に示すように、隙間拡大部250,251は、ワイパー41のワイパーホルダー42に保持された部分とワイパー移動方向に並んでいてもよい。この場合、隙間拡大部250,251がワイパークリーナー246とワイパー移動方向に並ぶように、ワイパークリーナー246の上下方向長さを前記実施形態よりも長くする必要がある。また、ワイパー41とワイパークリーナー246との接触面積および接触面圧を高めるために、ワイパーホルダー242のスリット246aを通過する部分の厚み(走査方向長さ)Dは、隙間拡大部250,251の厚みよりも小さいことが好ましい。この変更形態によると、ワイパー41で吐出面4aを拭き取る際に、隙間拡大部250,251が邪魔になりにくく、キャリッジ3およびインクジェットヘッド4は形状の自由度が高くなる。
例えば図10に示すように、隙間拡大部350は、ワイパー41側の端部が、ワイパー41に近づく方向に先細りになっていてもよい。この変更形態によると、隙間拡大部350がワイパー41の後にスリット46aに挿入されるときに、隙間拡大部350がスリット46aに引っ掛かるのを防止できる。
前記実施形態では、隙間拡大部50,51の走査方向(左右方向)の長さは、ワイパー41の厚みよりも大きいが、ワイパー41の厚みと同じであってもよい。
例えば図11に示すように、隙間拡大部50,51を設ける代わりに、ワイパー(441)の幅方向の少なくとも一端部(図11では両端部441a,441a)の剛性を、ワイパーの他の部分(図11では中間部441b)の剛性よりも高くしてもよい。剛性を一部分だけ高くする具体的な方法は特に限定されないが、例えば、端部441aの厚みを中間部441bより厚くしたり、端部441aの表面にのみコーティングを施したり、端部441aと中間部441bを異なる材料(配合比のみが異なる場合を含む)で成形したりすることが挙げられる。この変更形態によると、端部441aによって拡げられた状態のスリットに中間部441bが挿入されるため、中間部441bがワイパークリーナー46に引っ掛かるのを防止できる。中間部441bの幅は、吐出面4aの前後方向長さと同じかそれよりも長くすることが好ましい。また、吐出面4aをワイパー441で払拭するときに吐出面4aにかかる力を抑えるために、端部441aと中間部441bとの境界には、スリット441cを形成することが好ましい。
前記実施形態のワイパークリーナー46は、下面全体が水平であるが、例えば図12に示すように、ワイパークリーナー546の下面のうち少なくともスリット46aの真下の部分(546b)が、左右で高さが異なるように水平面に対して傾斜していてもよい。これにより、ワイパークリーナー546に吸収されたインクを傾斜面246bに沿って下方に移動させて集めることができる。図12では、傾斜面546bの最下端より下方に突出するインク排出部546cがワイパークリーナー546に形成されており、このインク排出部546cからインクが排出される。
前記実施形態では、ワイパークリーナー46は、吸収体だけで構成されているが、例えば図13に示すように、ワイパークリーナー646が、吸収体からなるインク吸収部649a(本発明の第1接触部)と、例えば合成樹脂等で形成され、吸収体よりも剛性の高いワイパー接触部649b(本発明の第2接触部)で構成されていてもよい。インク吸収部649aは、ワイパー41の右面41s1(本発明の第1面)と接触し、ワイパー接触部649bは、ワイパー41の左面41s2(本発明の第2面)と接触する。隙間拡大部650,651は、ワイパー41の厚み方向に関して、ワイパー41の面41s2より突出しないように形成される。インクは主に面41s1に付着し、面41s2にはあまり付着しないため、このワイパークリーナー646でもワイパー41を清掃できるが、クリーニング品質を高めるには、前記実施形態のワイパークリーナー46の方が好ましい。ワイパー接触部649bは、ワイパー41の面41s1とインク吸収部649aとの接触面圧を確保する役割を果たす。
前記実施形態では、隙間拡大部50,51とワイパー41が一体的に移動するが、隙間拡大部50,51はワイパー41とは別に移動可能であってもよい。例えば、隙間拡大部50,51が、ワイパーホルダー42に対して上下方向に移動可能に取り付けられており、吐出面4aをワイパー41で拭き取るときは、ワイパー41をワイパークリーナー46のスリット46aに挿入するときよりも下方に位置させてもよい。
前記実施形態では、ワイパー41の待機位置は、ワイプ位置より前方(紙送り方向)にあるが、ワイプ位置より後方であってもよい。
前記実施形態では、ワイパー41が移動することで、ワイパー41とワイパークリーナー46が相対移動しているが、例えば図14(d)〜(g)および図15(d)〜(g)に示すように、ワイパークリーナー46が前後方向に移動することで、ワイパー41とワイパークリーナー46が相対移動してもよい。図14(a)〜(g)および図15(a)〜(g)に示す変更形態について詳しく説明すると、ワイパー41は、モータ等で作動する昇降機構743によって昇降可能であって、ワイパークリーナー46は、モータ等で作動する図示しない移動機構(本発明の移動機構に相当)によって、吐出面4aと平行で且つ走査方向に直交する方向(前後方向)に往復移動可能となっている。そして、吐出面4aのインクを払拭する際には、まず、ワイパー41を図14(a)および図15(a)に示す位置から図14(b)および図15(b)に示す位置まで上昇させる。この状態で、図14(c)および図15(c)に示すように、インクジェットヘッド4を走査方向に移動させて、吐出面4aに付着したインクをワイパー41によって拭き取る。その後、図14(d)および図15(d)に示すように、ワイパー41を下降させてから、図14(e)〜(g)および図15(e)〜(g)に示すように、ワイパークリーナー46を前後方向に往復移動させて、ワイパー41に付着したインクをワイパークリーナー46で除去する。
前記実施形態では、ワイパー41がワイパークリーナー46に対して前後方向のどちらの方向に移動するときも、ワイパー41はスリット46aを通り抜けているが、例えば図15(f)に示すように、ワイパー41がワイパークリーナー46に対して前後方向のいずれか一方に相対移動するとき、ワイパー41がスリット46aを通り抜けなくてもよい。この場合、ワイパー41の幅方向の一方にのみ隙間拡大部(図15(f)では隙間拡大部50)を配置し、ワイパー41の幅方向の他方には隙間拡大部を配置しなくてよい。
前記実施形態では、ワイパー41は、その幅方向が、吐出面4aと平行で且つ走査方向と直交する方向となるように配置され、ワイパー移動機構43は、ワイパー41をワイパー幅方向に駆動するが、ワイパー41の配置方向およびワイパー41の駆動方向は上記に限定されない。ワイパー幅方向は、吐出面4aと直交する方向(上下方向)に交差し、且つ、走査方向と交差する方向であればよい。また、ワイパー移動機構43によるワイパー41の移動方向は、ワイパー41に沿った方向であれば、ワイパー幅方向と完全に平行でなくてもよい。また、前記実施形態では、ワイパー41は、上下方向に延びているが、上下方向に対して傾斜していてもよい。
前記実施形態では、ワイパー41とワイパークリーナー46が、ワイパー41の幅方向に直線状に相対移動しているが、例えば図16(a)〜(e)に示すように、ワイパー41とワイパークリーナー46が、ワイパー41に直交する方向の軸線C1を中心とした円周方向に相対移動してもよい。この場合、ワイパー41とワイパークリーナーは、吐出面4aと直交する方向(上下方向)に交差し、且つ、走査方向と交差する方向に相対移動することになる。図16(a)〜(e)では、ワイパークリーナー46は固定されており、ワイパー41は、モータ等で作動するワイパー移動機構843によって回転移動可能となっているが、ワイパー41が固定され、ワイパークリーナー46が回転してもよい。
前記実施形態では、インクジェットヘッド4を左方に移動させて吐出面4aをワイパー41の右面41s1で拭き取っているが、インクジェットヘッド4を右方に移動させて、吐出面4aをワイパー41の左面41s2で拭き取ってもよい。また、ワイパー41をワイピング位置に配置したまま、インクジェットヘッド4を左右に往復移動させて、ワイパー41の左右両面41s1、41s2で、吐出面4aを拭き取ってもよい。
前記実施形態では、インクジェットヘッド4をキャリッジ3とともに走査方向に移動させることにより、ワイパー41による吐出面4aの拭き取りが行われるが、ワイパー41を、モータ等の適宜の手段によってインクジェットヘッド4に対して移動させることにより、吐出面4aの拭き取りを行うように構成されてもよい。
また、ワイパー41の拭き取り方向(吐出面4aに対する移動方向)は、プラテン2から遠ざかる方向に限定されるものではない。例えば、プラテン2に近づく方向にワイパー41を移動させてもよいし、ワイパー41を紙送り方向と交差する方向に配置してワイパー41を紙送り方向に移動させてもよい。
ワイパー41による吐出面4aのインク拭き取りを行うタイミングは、前記実施形態で挙げた、吸引パージ後に限られるものではない。例えば、記録用紙Pに対してインクを噴射して印刷を行った後にインク拭き取りを行ってもよい。
以上、説明した前記実施形態及びその変更形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出して画像等を印刷するインクジェットプリンタのインク吐出装置に適用したものであるが、画像等の印刷以外の様々な用途で使用される液体吐出装置においても本発明は適用されうる。例えば、基板に導電性の液体を噴射して、基板表面に導電パターンを形成する液体吐出装置にも、本発明を適用することは可能である。