以下、本発明に係るシート後処理装置および画像形成システムの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成システムの全体構成を示す正面図である。同図に示すように、画像形成システム10は、画像形成装置1と、画像形成装置1に装着されるシート後処理装置2を含んでなる。
(1).画像形成装置1の構成
画像形成装置1は、スキャナー部3と、プリンター部4と、操作部5と、制御部6を備え、スキャナー部3の下方に、装置正面側に開口1bを有する空間1aを隔ててプリンター部4を配置してなる胴内排紙型のものであり、原稿の画像を読み取るスキャンジョブと、読み取って得られた画像データに基づいて原稿画像をシートにプリントするコピージョブと、ネットワークを介して接続されている外部端末(図示省略)からのジョブの要求を受け付けて、受け付けたジョブに係る画像をシートにプリントするプリントジョブ等の各種ジョブを実行する機能を有する。
スキャナー部(画像読取部)3は、セットされている原稿を搬送して、その原稿の画像を読み取って画像データを得る。プリンター部(画像形成部)4は、電子写真方式により、スキャナー部3によって得られた画像データまたは外部端末からのプリントジョブのデータに基づいてシート上に画像を形成(プリント)する。
プリンター部4は、画像形成時には、最下位置に配されたカセット4aからシートを1枚ずつ給送して、給送された1枚のシートごとに画像を形成し、画像が形成されたシートを1枚ずつ排出ローラー7(図3)により排出する。排出されたシートは、空間1aに配置されたシート後処理装置2に搬入される。なお、プリンター部4は、電子写真方式によるものに限られず、例えばインクジェット方式によるものであっても良い。
操作部5は、ユーザーが画像形成装置1の前に立ったときに操作し易い位置に配置されており、ユーザーによる入力操作、例えばコピー枚数の入力、コピーなどのジョブ開始の指示、ジョブ停止の指示、シート後処理装置2における後処理、ここではステープル綴じの実行指示や部数の指定などを受け付けて、受け付けた内容を制御部6に伝える。制御部6は、操作部5からのユーザーによる入力情報を受け付けると共に、ユーザーの指示によるジョブをスキャナー部3とプリンター部4を制御して円滑に実行させる。また、後処理の実行が指示された場合には、その旨をシート後処理装置2に伝え、指示された後処理を実行させる。
以下、画像形成装置1において操作部5が配置されている側を装置正面側、装置正面側から画像形成装置1を見たときに、装置後側(奥側)を装置背面側、右側を装置右側、左側を装置左側といい、装置正面側と装置背面側を結ぶ方向を装置前後方向、これに直交する左右方向を装置横方向という。
(2).シート後処理装置2の構成
シート後処理装置2は、画像形成装置1に設けられた、装置正面側に開口1bを有する空間1aに配置され、プリンター部4から排出された複数枚のシートからなるシート束に対してステープル綴じするステープル綴じ機能を有し、図2に示すようにステープル綴じ後のシート束Sbを装置正面側に設けられた正面トレイ51に収容するものである。以下、シート後処理装置2の具体的構成を図3〜図11を用いて説明する。
図3は、シート後処理装置2を装置正面側かつ上方から見たときの概略全体斜視図であり、プリンター部4の排出ローラー7も示している。同図に示すように、シート後処理装置2は、第1収容部101と、第2収容部102と、ステープラー103と、制御部104などを備える。
第1収容部101は、プリンター部4の排出ローラー7から排出されたシートを一時的に収容するものであり、後処理トレイ11と、CD基準板12と、CD整合板13と、FD整合部材14と、FD搬送部材15と、ガイド爪16,17を備える。
後処理トレイ11(第1トレイ)は、固定トレイ21と揺動トレイ22を含み、プリンター部4の排出ローラー7により排出されるシートの搬送方向(矢印Xで示す方向)に沿って、固定トレイ21、揺動トレイ22がこの順に並べられてなる。以下、後処理トレイ11上において矢印Xで示す方向をシート搬送方向という。固定トレイ21は、シート後処理装置2の装置筐体100に固定支持されている。
揺動トレイ22は、シート搬送方向下流側の端部に設けられた支軸22bを中心にシート搬送方向上流側の端部22cが上下に揺動可能に装置筐体100に支持されている。図3は、揺動トレイ22の端部22cが最下位置に位置する傾斜姿勢になっている状態を示しているが、後述のように揺動トレイ22上のシートを装置正面側へ移送する際には、揺動トレイ22の端部22cが上昇して揺動トレイ22が水平になる水平姿勢(図9)に遷移するようになっている。揺動トレイ22の揺動は、トレイ移動手段として例えば揺動トレイ22よりも下に配されたカム機構(図示省略)をリフトモーターM5(図12)の駆動力で駆動させることにより行われる。なお、上下方向に移動を行える機構であれば、カム機構以外の機構であっても良い。
固定トレイ21も揺動トレイ22もその上面がシート載置面21a,22aになる。シート載置面21aのシート搬送方向上流側の端部21bには、2つの板状のストッパー18a,18bが装置前後方向に沿って間隔を開けた状態で立設されている。ストッパー18a,18bは、後処理トレイ11上のシートをシート搬送方向に整合するときの規制部材として用いられるものである。シートをシート搬送方向に整合することをFD整合という。
ストッパー18a,18bの直上には、ストッパー18a,18bと所定の間隔を開けた位置に、押さえガイド19a,19bが配置されている。押さえガイド19a,19bは、プリンター部4の排出ローラー7から排出されたシートの向きを下向きに代えて、固定トレイ21に導くものである。押さえガイド19a,19bを通過して固定トレイ21上に導かれた1枚のシートは、固定トレイ21のシート載置面21aに載置されるが、シート搬送方向長さが固定トレイ21よりも長いシートの場合には、固定トレイ21と揺動トレイ22の両方に跨った状態でシート載置面21a,22aに載置される。第1収容部101の押さえガイド19a,19bが、プリンター部4から排出されるシートの入口部になり、排出ローラー7がプリンター部4の排出部になる。
CD基準板12は、後処理トレイ11上のシートを装置前後方向に整合するときの基準位置を決める位置決め部材として用いられ、揺動トレイ22のシート載置面22aに対して垂直かつシート搬送方向に平行な姿勢で、シート載置面22aにシート搬送方向に間隔をあけて設けられた装置前後方向に長い2本の溝22d,22eに沿って装置前後方向に移動可能に支持されている。シートを装置前後方向に整合することをCD整合という。
図3は、CD基準板12が最も装置背面側であるホーム位置に位置している様子を示しており、CD整合のときには、ホーム位置から所定距離(例えば、10mm)だけ装置正面側に移動して停止する。この停止位置がCD整合の基準位置となる。この基準位置は、ステープラー103による装置前後方向のステープル綴じ位置の基準にもなっている。また、CD基準板12は、後述のように最も装置正面側の位置まで移動することにより、後処理トレイ11上のシートを第2収容部102の正面トレイ51に移送する移送手段を兼用するものでもある。CD基準板12の移動は、移送モーターM4(図12)の駆動力により行われ、例えば2個以上のプーリーに張架された回転ワイヤー(図示省略)を介してCD基準板12と移送モーターM4の回転軸を接続して、移送モーターM4の駆動力で回転ワイヤーを回転させてその駆動力をCD基準板12に伝達することにより、CD基準板12を移動させる構成をとることができる。
なお、ワイヤー駆動に限られず、例えばねじ送り機構によりCD基準板12を直動させる構成などとすることもできる。次に説明するCD整合板13、FD整合部材14、FD搬送部材15についても、CD基準板12と同様の移動機構を採用することができる。
図15(a)(b)(c)に示すように、実施形態のCD基準板12は、シート載置面22aの溝22d,22eに沿って装置前後方向に移動可能に取り付けられた基部121と、当該基部121のうち装置正面側に位置し且つシート搬送方向Xに長い当接板部122とを備えている。CD基準板12の当接板部122が、後処理トレイ11上のシートSのうち装置背面側の側縁Sdに当接することになる。
当接板部122の上端側は二連の山型に形成されている(当接板部122の上端側には二箇所の上向き突出部122aが形成されている)。各上向き突出部122aには、下向きに凹んだ切り欠き溝122bが形成されている。各切り欠き溝122bには、シート押さえ爪123を臨ませて配置している。各シート押さえ爪123は、対応する切り欠き溝122b内に収まった没入姿勢(図3〜図10及び図15)と、当接板部122から装置正面側に突出する突出姿勢(図示省略)とに姿勢変更可能に構成されている。両シート押さえ爪123を突出姿勢にすることによって、後処理トレイ11上のシートSの側縁Sd寄りの部分が上から押さえられ、浮き上がり等がない状態で後処理トレイ11上のシートSを保持することが可能になっている。
移送手段を構成するCD基準板12には、CD基準板12のホーム位置への戻り動(詳細は後述する)時に、後処理トレイ11に搬送される画像形成後のシートSの下方にCD基準板12が潜り込むように、後処理トレイ11に搬送中のシートSをすくい上げる傾斜部124,125が形成されている。図15(a)(b)(c)に示すように、実施形態の傾斜部124,125は、各上向き突出部122aのうち切り欠き溝122bを挟んでシート搬送方向X上流側の箇所(計二箇所)に設けられている。
二箇所の傾斜部124,125のうち装置右側(もう一つのCD基準板29(詳細は後述する)側)に位置する第1傾斜部124は、シート搬送方向X上流側から下流側に向けて斜め上向きに傾斜した傾斜面形状になっている。傾斜面形状の第1傾斜部124の上端側のうち装置背面側のコーナー部124aは、装置正面側から装置背面側に近付くに連れて斜め下向きに傾斜するように面取りされている。
二箇所の傾斜部124,125のうち装置左側(ステープラー103側)に位置する第2傾斜部125は、平面視で上向き突出部122aの上端部から、装置右側と装置背面側とこれらの間との三方に延びるリブ形状125aになっている。第2傾斜部125の各リブ形状部分125aは、上向き突出部122aの上端部に近づくに連れて斜め上向きに傾斜している。
例えば後処理トレイ11に搬送中のシートSのうち装置正面側の側縁Scや搬送方向先端Sfが各傾斜部124,125に当たった場合、各傾斜部124,125の傾斜形状に案内されて、シートS下方にCD基準板12を潜り込ませるようにシートSがすくい上げられる。このように構成すると、CD基準板12がホーム位置に戻り動する途次に、後続する画像形成後のシートSを後処理トレイ11上に搬送したとしても、CD基準板12に形成した傾斜部124,125によって、後処理トレイ11に搬送されるシートSをすくい上げ、当該シートSの下方にCD基準板12を潜り込ませられる。従って、CD基準板12のホーム位置への戻り動と、後続シートSの後処理トレイ11への搬送とを同時並行的に実行でき(両立でき)、画像形成装置1及びシート後処理装置2を含む画像形成システムのプリント生産性を向上できる。
また、いずれの傾斜部124,125も、後処理トレイ11に搬送されるシートSに対してシート押さえ爪123を隠すように、シート押さえ爪123よりもシート搬送方向X上流側に配置されている。各シート押さえ爪123は、移送手段であるCD基準板12に設けた別部材に相当するものである。このように構成すると、CD基準板12のホーム位置への戻り動と、後続シートSの後処理トレイ11への搬送とを同時並行的に実行するにあたって、例えば後処理トレイ11に搬送中のシートSのうち装置正面側の側縁Scや搬送方向先端Sfが各シート押さえ爪123(別部材)に引っかかることがなく、各シート押さえ爪123(別部材)の存在が邪魔にならない。CD基準板12のホーム位置への戻り動と、後続シートSの後処理トレイ11への搬送とを両立するに際して、各シート押さえ爪123(別部材)が後続シートSの搬送姿勢を乱すのを抑制できる。
なお、装置右側の上向き突出部122aのうち切り欠き溝122bを挟んで第1傾斜部124と反対側の箇所は、平面視で上向き突出部122aの上端部から、装置左側と装置背面側との三方に延びるリブ形状126aになっている。当該各リブ形状部分126aは、上向き突出部122aの上端部に近づくに連れて斜め上向きに傾斜している。装置左側の上向き突出部122aのうち切り欠き溝122bを挟んで第2傾斜部125と反対側の箇所は、シート搬送方向X上流側から下流側に向けて斜め下向きに傾斜した傾斜縁形状127aになっている。
図15(a)(c)に示すように、CD基準板12の基部121上面には、上向きに突出した複数の案内リブ128が形成されている。当該各案内リブ128は、後処理トレイ11に搬送中のシートSのシート搬送方向Xに対して平面視で傾斜している(角度を持って形成されている)。このため、CD基準板12のホーム位置への戻り動と、後続シートSの後処理トレイ11への搬送とを同時並行的に実行するにあたって、例えば後処理トレイ11に搬送中のシートSのうち装置正面側の側縁Scや搬送方向先端SfがCD基準板12の基部121上面に当たったときに、各案内リブ128の存在によって装置正面側の側縁Scや搬送方向先端Sfがすくい上がり易くなっている。
また、CD基準板12の基部121上面において、各案内リブ128の上端部の高さ位置は最も高く設定されている(図15(c))。各案内リブ128の上端部の高さ位置は、例えば取り付け用ねじの頭部等の突起物129よりも高く設定されている。このため、例えば後処理トレイ11に搬送中のシートSのうち装置正面側の側縁Scや搬送方向先端Sfが取り付け用ねじの頭部等の突起物129に引っかかることがなく、各突起物129の存在が邪魔にならない。
CD整合板13は、後処理トレイ11上のシートをCD整合するための部材であり、固定トレイ21のシート載置面21aに対して垂直かつシート搬送方向に平行な姿勢で、シート載置面21aに設けられた装置前後方向に長い溝21cに沿って装置前後方向に移動可能に固定トレイ21に支持されている。図3は、CD整合板13が最も装置正面側であるホーム位置に位置している様子を示している。CD整合板13の移動は、CD整合モーターM2(図12)の駆動力により行われる。
固定トレイ21の装置背面側の端部であり、CD整合板13に対向する位置かつCD基準板12よりもシート搬送方向上流側の位置には、CD基準板29が配置されている。CD基準板29は、CD基準板12と同じCD整合の機能を有するものであり、固定トレイ21のシート載置面21aに対して垂直かつシート搬送方向に平行な姿勢で、シート載置面21aに設けられた装置前後方向に長い溝21dに沿って装置前後方向に移動可能に支持されている。
なお、CD基準板29は、引張ばね28を介して装置筐体の一部100aと連結されており、引張ばね28による装置背面側に向かう方向の付勢力の作用により、CD基準板29の装置背面側の面29aがCD基準板12のシート搬送方向上流側の端部に設けられた突起12aに常時、当接した状態になっている。CD基準板12が装置正面側に移動すると、装置正面側への力が突起12aを介してCD基準板29に伝わり、CD基準板29が引張ばね28の付勢力に抗してCD基準板12と一体で装置正面側に移動する。
一方、CD基準板12が装置背面側に移動すると、CD基準板29が引張ばね28の付勢力によりCD基準板12の突起12aとの当接状態を維持したまま、CD基準板12と一体で装置背面側に移動する構成になっている。このことからCD基準板12が駆動側、CD基準板29が従動側ということができる。なお、CD基準板29は、ホーム位置よりも装置背面側へは移動しないように規制がかけられており、後述する揺動トレイ22の水平姿勢への遷移の際に、CD基準板12との係合が解除されると、引張ばね28の付勢力によりホーム位置に戻るようになっている。
FD整合部材14は、後処理トレイ11上のシートをFD整合するために用いられ、揺動トレイ22のシート載置面22aに設けられたシート搬送方向に長い溝22fに沿って移動可能に支持されている。FD整合部材14は、図3に示すホーム位置では、揺動トレイ22の溝22f内に没入している没入姿勢になるが、ホーム位置からシート搬送方向とは逆方向(矢印Yで示す方向)に移動してホーム位置よりもシート搬送方向上流側に位置しているときには、上端が溝22fから起き上がって突出した突出姿勢(図4)になる。FD整合部材14の移動は、FD整合モーターM3(図12)の駆動力により行われる。
FD搬送部材15は、後処理トレイ11上に載置されているシートをシート搬送方向に沿って搬送させるための部材であり、固定トレイ21のシート載置面21aに設けられたシート搬送方向に長い溝21eに沿って、上端部が溝21eから突出した姿勢で移動可能に支持されている。図3は、FD搬送部材15が最もシート搬送方向上流側であるホーム位置に位置している様子を示している。FD搬送部材15の移動は、搬送モーターM1(図12)の駆動力により行われる。
ガイド爪16,17は、揺動トレイ22のシート載置面22aであり、シート搬送方向上流側の端部22cの近傍に装置前後方向に間隔をあけて設けられた穴16a,17aの内部に配置され、図3に示すように穴16a,17aの内部に没入している没入姿勢と、上端部が穴16a,17aから突出した突出姿勢(図8)とを切り替え可能に揺動トレイ22に支持されている。ガイド爪16,17の姿勢の切り替えは、例えばソレノイドからなるガイド爪駆動アクチュエーター36(図12)の駆動力により行われる。
ここでは、ガイド爪駆動アクチュエーター36が駆動されるとガイド爪16,17が突出姿勢になり、その駆動が停止されると、引張ばね(図示省略)の付勢力により没入姿勢に戻る構成になっている。
第2収容部102は、正面トレイ51と4個の押さえ爪52を備える。正面トレイ51(第2トレイ)は、第1収容部101の後処理トレイ11よりも装置正面側に配置され、後処理トレイ11から装置正面側に移送されて来たシートを収容するものである。正面トレイ51は、装置正面側から装置背面側に向かって下方に傾斜しているシート載置面51aと、シート載置面51aの装置背面側の端部から上方に垂直に立ち上げられてなる立壁部51bを有する。
正面トレイ51は、シート後処理装置2が画像形成装置1に装着された状態で、装置正面側から見たときに操作部5と装置横方向に沿って並ぶ位置関係(図1)、かつ正面トレイ51の装置正面側の端部51dがスキャナー部3の装置正面側の端部3a(図1)よりも装置前後方向に装置正面側に位置する位置関係を有している。また、図3に示すように正面トレイ51の装置横方向長さが、第1収容部101の揺動トレイ22の装置横方向長さとほとんど同じ長さになっている。
押さえ爪52は、立壁部51bに装置横方向に沿って間隔をあけて設けられた4個の切り欠き部51cのそれぞれの内部に配され、同図に示す没入位置と、後述のように立壁部51bから突出する突出位置(図11)とに切り替え可能に支持されており、突出位置に切り替わることにより、正面トレイ51に収容されたシートを上から押さえて、浮き上がりなどがないように保持する。
ステープラー103は、揺動トレイ22の装置背面側かつシート搬送方向下流側の端部に配置されており、針打込部111と針受部112とが上下方向に間隔をおいて設けられている。ステープル綴じは、針打込部111と針受部112の間に、揺動トレイ22上に載置されたシート束の装置背面側かつシート搬送方向先端側の端部(角部)が介在した状態で、針打込部111が針受部112に近づく方向に下降して、シート束の角部を針受部112との間で挟み、針打込部111の底部がシート束の最上位のシートを圧接した状態でステープル針を打ち込むことにより行われる。
(3).ステープル綴じする場合の動作説明
次に、画像形成装置1から排出されたN(複数)枚のシートSにステープル綴じする場合の動作を具体的に説明する。このN枚が1部のシート束を構成するシートSの枚数(綴じ枚数)になる。画像形成装置1から排出ローラー7を介して1枚目のシートがシート後処理装置2に搬入されて来ると、1枚目のシートは、押さえガイド19a,19bを介して後処理トレイ11に導かれ、そのシートの搬送方向後端が排出ローラー7を通過するまでの間、排出ローラー7の駆動力により後処理トレイ11上をシート搬送方向に搬送される。
1枚目のシートの搬送方向後端が排出ローラー7を通過すると、後処理トレイ11上での搬送が停止され、そのシートが後処理トレイ11に載置される。図4は、1枚目のシートSが後処理トレイ11上に載置されている様子を示す概略斜視図である。同図は、シート搬送方向長さが固定トレイ21よりも長い大サイズのシートSが固定トレイ21と揺動トレイ22に跨った状態で載置されている場合の例を示している。
シートSが後処理トレイ11上に載置される前に、CD基準板12,29がホーム位置から同図に示す基準位置まで移動しており、シートSが後処理トレイ11上に載置されると、FD整合を行うべく、FD整合部材14がホーム位置からシートSのシートサイズに応じたFD整合位置まで矢印Yで示す方向に移動する。FD整合位置とは、ストッパー18a,18bからシート搬送方向にシートSの搬送方向長さ(シート長)Lだけ離れた位置に相当し、FD整合位置の特定は、シートSのサイズ(A4など)と搬送姿勢(縦または横)を示すシート情報を画像形成装置1から取得することにより行われる。
ここで、シートSの縦の搬送姿勢とは、シートSの長辺と短辺のうち、長辺がシート搬送方向に沿った姿勢でシートSが搬送される場合の姿勢であり、横の搬送姿勢とは、シートSの短辺がシート搬送方向に沿った姿勢でシートSが搬送される場合の姿勢をいう。FD整合部材14がFD整合位置まで移動することにより、後処理トレイ11上のシートSがFD整合部材14により矢印Yで示す方向に押されて、シートSの搬送方向先端SfがFD整合部材14に当接しつつ、シートSの搬送方向後端Seがストッパー18a,18bに当接した状態になる。これにより、後処理トレイ11上でシートSがストッパー18a,18bの位置を基準にシート搬送方向に整合されることになる(FD整合)。
FD整合が終了すると、次にCD整合を行うべく、CD整合板13がホーム位置からシートSのシートサイズに応じたCD整合位置まで矢印Aで示す方向(装置背面側に向かう方向)に移動する。CD整合位置とは、CD基準板12から装置前後方向にシートSの幅方向長さ(シート幅)Wだけ離れた位置に相当し、このCD整合位置の特定は、シート情報を画像形成装置1から取得することにより行われる。
CD整合板13がCD整合位置まで移動することにより、後処理トレイ11上のシートSがCD整合板13により矢印Aで示す方向に押されて、シートSの幅方向一方の側縁ScがCD整合板13に当接しつつ、その他方の側縁SdがCD基準板12,29に当接した状態になる。これにより、後処理トレイ11上においてシートSがCD基準板12,29の位置を基準に装置前後方向に整合されることになる(CD整合)。
FD整合部材14は、1枚目のシートSに対するFD整合が終了すると、FD整合位置から所定距離(例えば、10mm)だけ離れた位置まで戻って待機し、CD整合板13もCD整合が終了すると、CD整合位置から所定距離(例えば、10mm)だけ離れた位置まで戻って待機して、次の2枚目のシートSが画像形成装置1から後処理トレイ11上に搬入されて来るのを待つ。
2枚目のシートSが後処理トレイ11上に搬入されると、2枚目のシートSが、整合済の1枚目のシートSの上に積載された状態で上記のFD整合とCD整合が再度、実行される。N枚全てのシートSの搬入が終了するまで、1枚のシートSの搬入ごとにFD整合とCD整合が繰り返し実行される。これにより、後処理トレイ11上に複数枚のシートSが整合された状態で積載されていく。
図5は、N枚のシートSが積載してなるシート束Sbが後処理トレイ11上で整合された状態を示す概略斜視図である。N枚全てのシートSに対する整合が終了すると、FD整合部材14が矢印Xで示す方向(シート搬送方向)に移動してホーム位置に戻る。そして、FD搬送部材15をホーム位置から矢印Xで示す方向に移動させて、CD基準板12,29とCD整合板13とに挟まれているシート束Sbを矢印Xで示す方向に沿ってステープラー103のステープル綴じ位置まで搬送させて、FD搬送部材15を停止させる。なお、シート束Sbをステープル綴じ位置まで搬送させるためのFD搬送部材15の移動距離は、予めシートサイズと移動距離とを対応付けたステープル位置情報を参照することにより決められる。
図6は、シート束SbがFD搬送部材15によりステープル綴じ位置まで搬送されて停止している様子を示す概略斜視図である。シート束Sbが停止状態にあるときにステープラー103によりステープル針Sz(図7)によるステープル綴じが実行される。ステープル綴じ後、図7に示すようにFD搬送部材15をさらに矢印Xで示す方向に移動させて、CD基準板12,29とCD整合板13とに挟まれているシート束Sbをその搬送方向後端Seが揺動トレイ22のシート搬送方向上流側の端部22cよりも所定距離だけ下流側の位置(移送位置)まで搬送させて、FD搬送部材15を停止させる。
シート束Sbを移送位置まで搬送させるためのFD搬送部材15の移動距離は、整合後のシート束Sbをステープル綴じ位置まで搬送するのに要する距離をL1、ストッパー18a,18bから移送位置に位置するシート束Sbの後端Seまでの距離をL2としたとき、L1とL2の差分である距離(L2−L1)の大きさに基づき求められるが、L1は、シートSのサイズに応じて予め決められ、L2は予め決められているので、シートSのサイズが判れば、FD搬送部材15の移動距離も特定できることになる。
このシート束Sbの移送位置への搬送により、シート束Sbが固定トレイ21上には載置されず、揺動トレイ22上に載置される状態になる。シート束Sbの移送位置への搬送が終了すると、図8に示すように揺動トレイ22のシート搬送方向上流側の端部22cに配されたガイド爪16,17が没入姿勢から突出姿勢に切り替わった後、FD搬送部材15が矢印Y方向に移動してホーム位置に戻る。
突出姿勢のガイド爪16,17と移送位置に位置するシート束Sbの後端Seと揺動トレイ22の端部22cとの位置関係は、そのシート束Sbの後端Seと揺動トレイ22の端部22cとの間に突出姿勢のガイド爪16,17が位置する関係になる。FD搬送部材15が矢印Y方向に移動すると、傾斜姿勢の揺動トレイ22上に載置されたシート束Sbは、揺動トレイ22の傾斜に沿って固定トレイ21側に滑落しようとするが、突出姿勢のガイド爪16,17によりその滑落が規制されることにより、揺動トレイ22上に載置されたままの状態が維持される。
そして、CD整合板13を装置正面側に移動してホーム位置に戻す動作を行うと、図9に示すように揺動トレイ22のシート搬送方向下流側の端部にある支軸22bを支点にシート搬送方向上流側の端部22cを持ち上げて、傾斜姿勢の揺動トレイ22を水平姿勢に遷移させる。揺動トレイ22が水平姿勢になると、揺動トレイ22のシート載置面22aにおける装置正面側の側縁22gの全部が第2収容部102の立壁部51bの上端53よりも上に位置するように上下方向の位置関係が予め決められている。
CD基準板12とステープラー103とガイド爪16,17は、揺動トレイ22と一体で揺動するが、CD整合板13とCD基準板29は、固定トレイ21に支持されているので揺動トレイ22と一体で揺動しない。揺動トレイ22が水平姿勢にあるときには、CD整合板13の上端131が揺動トレイ22よりも下に位置するように揺動トレイ22の上下方向の揺動範囲とCD整合板13の上下方向高さの大小関係も予め決められている。
なお、揺動トレイ22が傾斜姿勢にあるときには、シート載置面22aにおける装置正面側の側縁22gのうち、シート搬送方向下流側の端部である一方端側の縁部22m(第1側縁部)が第2収容部102の立壁部51bの上端53よりも上に位置し、シート搬送方向上流側の端部である他方端側の縁部22n(第2側縁部)が立壁部51bの上端53よりも下に位置するようになっている。
揺動トレイ22が水平姿勢になると、CD基準板12とCD基準板29の係合が解除されて、CD基準板29だけが引張ばね28の付勢力によりホーム位置に戻る。揺動トレイ22の水平姿勢への遷移が終了すると、図10に示すようにCD基準板12が装置背面側から矢印Bで示す方向に装置正面側に移動する。これにより、水平姿勢にある揺動トレイ22上に載置されているシート束Sbが立壁部51bの上端53よりも上を通過して装置正面側の正面トレイ51に向かって移送される。なお、揺動トレイ22が水平姿勢にあるときには、揺動トレイ22の方がCD整合板13よりも上に位置するので、シート束Sbの装置正面側への移送がCD整合板13により妨げられることはない。
CD基準板12が装置正面側一杯まで移動すると、水平姿勢にある揺動トレイ22上のシート束Sbは、図11に示すように正面トレイ51に移り、正面トレイ51のシート載置面51a上に載置される。正面トレイ51のシート載置面51a上に載置されたシート束Sbは、シート載置面51aの傾斜に沿って装置背面側に滑落するが、シート束Sbの装置背面側の側縁Sd(滑落方向における先端)が装置背面側に立設された立壁部51bに当接して、シート束Sbの滑落が立壁部51bにより規制される。
これにより、シート載置面51a上のシート束Sbは、その装置背面側の側縁Sdが立壁部51bに当接した状態で静止する。この意味で、立壁部51bは、シート載置面51a上のシート束Sbを規制する規制部として機能する。なお、水平姿勢にある揺動トレイ22上のシート束Sbを立壁部51bに遮られることなく正面トレイ51のシート載置面51aまで移送できれば良いことからすれば、水平姿勢にある揺動トレイ22のシート載置面22aと立壁部51bの上端53との上下方向の位置関係を、上記に代えて、例えばシート載置面22aの側縁22gと立壁部51bの上端53とが同じ位置になるような位置関係とすることもできる。
また、シート束Sbの移送が可能な姿勢(移送姿勢)であれば、水平姿勢に限られず、例えば揺動トレイ22がその装置正面側の側縁22gよりも装置背面側の方が上になるような前傾姿勢をとる構成とすることもできる。揺動トレイ22の上下方向の揺動機構に加えて装置前後方向への前傾を行える機構を組み込むことにより実現できる。ステープル綴じが複数部数、ユーザーにより指定された場合には、シート束Sbの整合、ステープル綴じ、揺動トレイ22の水平姿勢への遷移、揺動トレイ22から正面トレイ51への移送までの一連の処理が部単位で順次、実行される。
この場合には、同図に示すように1部目のシート束Sbが正面トレイ51に収容されると、立壁部51bの切り欠き部51cからその切り欠き部51c内に配された押さえ爪52が突出して、正面トレイ51に収容されている1部目のシート束Sbが押さえ爪52により上方から押さえつけられた保持状態になる。押さえ爪52は、2部目のシート束Sbが正面トレイ51に移送されて来る直前に元の没入位置(図3)に戻される。この押さえ爪52の出没動作は、例えばソレノイドからなる押さえ爪駆動アクチュエーター37(図12)の駆動力により行われる。ここでは、押さえ爪駆動アクチュエーター37が駆動されると押さえ爪52の先端が立壁部51bから突出してシート束Sbを押さえ付け、その駆動が停止されると、引張ばね(図示省略)の付勢力により没入位置に戻る構成になっている。
2部目のシート束Sbが正面トレイ51に移送され、正面トレイ51に収容済みの1部目のシート束Sbの上に2部目のシート束Sbが積載されると、再度、4個の押さえ爪52により、積載された2つのシート束Sbが押さえつけられた保持状態にされる。以降、部数単位のステープル綴じが継続される場合には、上記の動作を部数ごとに繰り返し、ジョブ終了であれば、押さえ爪52が没入位置に戻され、その押さえつけられた保持状態が解除される。なお、ステープル綴じが1部だけであれば、押さえ爪52によるシート束Sbの押さえつけを1回だけ実行した後、押さえ爪52が没入位置に戻される。これにより、装置正面側に配された正面トレイ51に、ステープル綴じされた後の1以上のシート束Sbが収容されることになり、ユーザーは、正面トレイ51に収容されたシート束Sbを容易に装置正面側から取り出すことができる。
その後、シート束Sbの揺動トレイ22から正面トレイ51への移送が終了すると、揺動トレイ22が下降して傾斜姿勢に戻る。揺動トレイ22が傾斜姿勢に戻ると、CD基準板12が装置正面側から装置背面側に向かってホーム位置まで戻ると共に、後続する(次工程の)画像形成後の1枚目のシートSが、排出ローラー7の駆動力によりシート搬送方向Xに沿って後処理トレイ11上に搬送される。
CD基準板12がホーム位置に戻ると、CD基準板12の突起12a(図3)がホーム位置に位置するCD基準板29の背面側に位置する関係になり、再度、CD基準板12が装置正面側に移動する際に、突起12aがCD基準板29の装置背面側の面29aに当接することにより、CD基準板12とCD基準板29の係合状態が再開される。上記では、シート束Sbにステープル綴じを行うジョブを実行する場合の例を説明したが、例えば複数枚のシートSにプリントするジョブであり、ステープル綴じを実行しない場合には、ステープル綴じを除いて、上記と同様のシート束Sbの整合、揺動トレイ22への搬送、揺動トレイ22の水平姿勢への遷移、揺動トレイ22から正面トレイ51への移送が実行される。
また、例えば1枚のシートSだけにプリントするジョブの場合には、上記の整合とステープル綴じを除いて同じ処理、すなわち揺動トレイ22への搬送、揺動トレイ22の水平姿勢への遷移、揺動トレイ22から正面トレイ51への移送が実行される。
(4).画像形成装置1とシート後処理装置2の制御系の構成
図12は、画像形成装置1とシート後処理装置2のそれぞれの制御系の構成を説明するためのブロック図である。
同図に示すように、画像形成装置1の制御部6は、スキャナー部3とプリンター部4を制御してスキャンジョブとコピージョブを実行させる。また、制御部6は、外部インターフェース(I/F)部8を介してネットワークに接続されている外部端末からプリントジョブのデータを受信すると、受信したデータに基づくプリントジョブをプリンター部4に実行させる。
また、ユーザーから操作部5を介してステープル綴じの実行指示を受け付けた場合には、ステープル綴じすべきシートSの枚数(綴じ枚数)、指定された部数の情報などをシート後処理装置2の制御部104に送る。さらに、プリンター部4のカセット4aに配されたシートサイズ検出センサー9aからの検出信号を受信して、カセット4aに収容されているシートSのサイズと搬送姿勢(縦または横)を検出する。シートサイズ検出センサー9aにより検出されたサイズと搬送姿勢がシート後処理装置2の制御部104に送られるシート情報になる。
また、排出ローラー7の近傍に際されたシート排出センサー9b(図3)から、排出ローラー7により排出されるシートSのシート搬送方向後端(シート後端)の検出信号を受信すると、プリント後のシートSが排出ローラー7から排出されたことを検出する。プリント後の1枚のシートSごとに、そのシートSの排出が検出されると、その旨を示すシート排出信号をシート後処理装置2の制御部104に送る。
シート後処理装置2の制御部104は、ステープラー103、搬送モーターM1〜リフトモーターM5、ガイド爪駆動アクチュエーター36、押さえ爪駆動アクチュエーター37などを制御して、上記のシート束Sbの整合、ステープル綴じ、揺動トレイ22の姿勢変更、シート束Sbの揺動トレイ22から正面トレイ51への移送などを実行させる。また、制御部104は、CD基準板12がホーム位置に位置していることを検出するためのホーム位置検出センサー31(図10)からの検出信号を受信して、CD基準板12がホーム位置に位置しているか否かを検出する。
ホーム位置検出センサー31は、例えば間隔をあけて配された発光部と受光部を有する光学センサーが用いられる。この光学センサーが用いられる場合、次のような検出方法をとることができる。すなわち、CD基準板12がホーム位置に位置したときには、発光部と受光部の間に、CD基準板12と一体で移動する遮蔽部材(図示省略)が介在することにより、発光部からの光が遮蔽されて受光部で受光されず、ホーム位置検出センサー31がOFF信号を出力し、CD基準板12がホーム位置から離れたときには、その遮蔽部材が発光部と受光部の間から離れることにより、発光部からの光が受光部で受光されることにより、ホーム位置検出センサー31がON信号を出力するように構成される。
制御部104は、ホーム位置検出センサー31からON信号とOFF信号のいずれが出力されているかを検出することにより、CD基準板12がホーム位置に位置しているかホーム位置に位置していないかを検出することができる。ホーム位置の検出方法は、他の検出方法であっても良い。以下に説明する他のホーム位置検出センサー32〜35についても、同様のホーム位置の検出方法をとることができる。
さらに、制御部104は、CD整合板13がホーム位置に位置していることを検出するためのホーム位置検出センサー32からの検出信号を受信して、CD整合板13がホーム位置に位置しているか否かを検出する。また、制御部104は、FD整合部材14がホーム位置に位置していることを検出するためのホーム位置検出センサー33からの検出信号を受信して、FD整合部材14がホーム位置に位置しているか否かを検出する。
さらに、制御部104は、FD搬送部材15がホーム位置に位置していることを検出するためのホーム位置検出センサー34からの検出信号を受信して、FD搬送部材15がホーム位置に位置しているか否かを検出する。また、制御部104は、揺動トレイ22が傾斜姿勢(ホーム位置)になっていることを検出するためのホーム位置検出センサー35からの検出信号を受信して、揺動トレイ22がホーム位置に位置しているか否かを検出する。
さらに、制御部104は、画像形成装置1の制御部6とデータや情報をやりとりすることができ、ユーザーによるステープル綴じの実行指示や部数の指定、画像形成装置1で検出されたシート情報などの各種情報を制御部6から取得する。
(5).シート後処理装置2で実行されるステープル綴じ制御の内容
図13と図14は、シート後処理装置2で実行されるステープル綴じ制御の内容を示すフローチャートであり、制御部104が画像形成装置1の制御部6からステープル綴じの指示を受け付けた場合に実行される。
図13に示すように、画像形成装置1から排出されるシートSに対するシート情報を取得する(ステップS1)。そして、CD基準板12をホーム位置から基準位置に移動させる(ステップS2)。CD基準板12の移動は、ホーム位置から基準位置までの所定距離に相当する移送モーターM4の回転数または回転角として予め決められた回転数または回転角だけ、移送モーターM4を正転駆動することにより行われる。CD基準板12の基準位置への移動により、CD基準板29も一緒に基準位置まで移動する。
続いて、画像形成装置1から1枚目のシートSに対するシート排出信号を取得すると(ステップS3)、後処理トレイ11上に1枚目のシートSが搬入されてきたとして、FD整合部材14によるFD整合を行い(ステップS4)、CD整合板13によるCD整合を行う(ステップS5)(図4)。FD整合部材14によるFD整合は、FD整合部材14をホーム位置からシート情報に基づくシート長Lに相当するFD整合位置まで移動する動作により行われる。
FD整合部材14のホーム位置からFD整合位置までの移動距離は、シート長Lごとに予め決められている。FD整合部材14の移動は、ホーム位置からシート長Lに対応するFD整合位置までの移動距離に相当するFD整合モーターM3の回転数または回転角だけ、FD整合モーターM3を正転駆動することにより行われる。CD整合板13によるCD整合は、CD整合板13をホーム位置からシート情報に基づくシート幅Wに相当するCD整合位置まで移動する動作により行われる。
CD整合板13のホーム位置からCD整合位置までの移動距離は、シート幅Wごとに予め決められている。CD整合板13の移動は、ホーム位置からシート幅Wに対応するCD整合位置までの移動距離に相当するCD整合モーターM2の回転数または回転角だけ、CD整合モーターM2を正転駆動することにより行われる。画像形成装置1から排出されたシートSの枚数(シート枚数)がステープル綴じすべきシートSの枚数(綴じ枚数)Nに等しいか否かを判断する(ステップS6)。
シート枚数が綴じ枚数Nに等しくないことを判断すると(ステップS6で「NO」)、FD整合部材14とCD整合板13の両方をその整合位置からホーム位置側に所定距離(上記例では、10mm)だけ戻す動作を行って(ステップS7)、次の2枚目のシートSが搬入されて来るのを待つ。FD整合部材14とCD整合板13をホーム位置側に所定距離だけ戻す動作は、所定距離に相当するFD整合モーターM3とCD整合モーターM2の回転数または回転角だけ、FD整合モーターM3とCD整合モーターM2を逆転駆動することにより行われる。
画像形成装置1から2枚目のシートSに対するシート排出信号を取得すると(ステップS3)、ステップS4、S5の処理により、1枚目のシートSとこの上に積載された2枚目のシートSとに対する整合を実行して、ステップS6に移る。シート枚数が綴じ枚数Nに等しくないことを判断すると(ステップS6で「NO」)、再度、ステップS7、S3〜S6の処理を実行する。シート枚数が綴じ枚数Nに等しいと判断するまで、ステップS3〜S7の処理を繰り返し実行する。
シート枚数が綴じ枚数Nに等しくなったことを判断すると(ステップS6で「YES」)、FD整合部材14をホーム位置に戻す動作を実行する(ステップS8)(図5)。FD整合部材14をホーム位置に戻す動作は、FD整合モーターM3を逆転駆動して、ホーム位置検出センサー33によりFD整合部材14が検出されると、FD整合モーターM3を停止させることにより行われる。
続いて、FD搬送部材15を移動して後処理トレイ11上のシート束Sbをステープル綴じ位置へ搬送させる(ステップS9)(図6)。このステープル綴じ位置へのシート束Sbの搬送は、上記のステープル位置情報に基づいて決まる搬送距離に相当する搬送モーターM1の回転数または回転角だけ、搬送モーターM1を正転駆動してFD搬送部材15を移動させることにより行われる。
シート束Sbをステープル綴じ位置まで搬送すると、ステープラー103によるシート束Sbへのステープル綴じを実行する(ステップS10)。シート束Sbへのステープル綴じを実行すると、FD搬送部材15をさらに移動して、ステープル綴じ後のシート束Sbを装置正面側への移送位置へ搬送する(ステップS11)(図7)。
シート束Sbの移送位置への搬送は、シート束Sbの移送位置までの搬送距離に相当する搬送モーターM1の回転数または回転角だけ、搬送モーターM1を正転駆動してFD搬送部材15を移動させることにより行われる。シート束Sbの移送位置までの搬送距離は、上記の距離(L2−L1)の大きさに基づき特定される。そして、ガイド爪16,17を没入姿勢から突出姿勢に切り替える(ステップS12)(図8)。この切り替えは、ガイド爪駆動アクチュエーター36を駆動することにより行われる。
ガイド爪16,17の没入姿勢から突出姿勢への切り替えを終了すると、FD搬送部材15をホーム位置に戻す動作を実行する(ステップS13)。FD搬送部材15をホーム位置に戻す動作は、搬送モーターM1を逆転駆動して、ホーム位置検出センサー34によりFD搬送部材15が検出されると、搬送モーターM1を停止させることにより行われる。
続いて、CD整合板13をホーム位置に戻す動作を実行する(ステップS14)。CD整合板13をホーム位置に戻す動作は、CD整合モーターM2を逆転駆動して、ホーム位置検出センサー32によりCD整合板13が検出されると、CD整合モーターM2を停止させることにより行われる。そして、図14に示すステップS15において、揺動トレイ22を上昇させて、傾斜姿勢から水平姿勢に遷移させる(図9)。
揺動トレイ22の傾斜姿勢から水平姿勢への遷移は、揺動トレイ22を傾斜姿勢から水平姿勢まで姿勢変更するのに要するリフトモーターM5の所定の回転数または回転角だけリフトモーターM5を正転駆動することにより行われる。立壁部51bに設けられた4個の押さえ爪52によるシート束Sbの保持が作動中であるか否かを判断する(ステップS16)。押さえ爪52によるシート束Sbの保持は、後述のステップS20により行われる。
ここでは、作動中ではないと判断して(ステップS16で「NO」)、CD基準板12を装置背面側から装置正面側に移動して、揺動トレイ22に載置されているシート束Sbの装置正面側への移送を実行する(ステップS18)(図10)。シート束Sbの移送は、移送モーターM4を正転駆動することにより行われる。CD基準板12の装置背面側から装置正面側への移動は、CD基準板12が装置背面側の基準位置から装置正面側一杯の所定位置までの所定距離に相当する移送モーターM4の回転数または回転角だけ、移送モーターM4を正転駆動することにより行われる。
CD基準板12を装置正面側に移動させ、シート束Sbの装置正面側への移送を終了すると(ステップS19で「YES」)、シート束Sbが正面トレイ51に収容されたとして、4個の押さえ爪52によりシート束Sbの保持動作を実行させる(ステップS20)(図11)。押さえ爪52によるシート束Sbの保持動作は、押さえ爪駆動アクチュエーター37を駆動させることにより実行される。
それから、揺動トレイ22を下降させて、水平姿勢から傾斜姿勢に遷移させる(ステップS21)。揺動トレイ22の水平姿勢から傾斜姿勢への遷移は、リフトモーターM5を逆転駆動して、ホーム位置検出センサー35により揺動トレイ22が水平姿勢に戻ったことが検出されると、リフトモーターM5を停止させることにより行われる。揺動トレイ22が傾斜姿勢に戻ると、ガイド爪16,17を没入姿勢に戻す(ステップS22)。この没入姿勢への遷移は、ガイド爪駆動アクチュエーター36の駆動を停止させることにより実行される。
続いて、ジョブが終了か否かを判断する(ステップS23)。ジョブが終了ではないことを判断すると(ステップS23で「NO」)、2部目のシート束Sbに対するステープル綴じを実行すべく、図13に示すステップS2に戻って、ステップS2以降の処理を実行する。ステップS2に戻る前には、CD基準板12を装置正面側から装置背面側に移動して、ホーム位置に戻す動作を実行する(ステップS24)。CD基準板12をホーム位置まで戻す動作は、移送モーターM4を逆転駆動して、ホーム位置検出センサー31によりCD基準板12が検出されると、移送モーターM4を停止させることにより行われる。本実施形態では、CD基準板12がホーム位置に戻り動する途次に、後続シートSの後処理トレイ11への搬送が実行される。この場合、CD基準板12に形成した傾斜部124,125によって、後処理トレイ11に搬送されるシートSをすくい上げ、当該シートSの下方にCD基準板12を潜り込ませられる。従って、CD基準板12のホーム位置への戻り動と、後続シートSの後処理トレイ11への搬送とを同時並行的に実行でき(両立でき)、画像形成装置1及びシート後処理装置2を含む画像形成システムのプリント生産性を向上できる。
2部目のシート束Sbに対してステープル綴じが終了した後(ステップS10)、揺動トレイ22を水平姿勢に遷移させると(ステップS15)、4個の押さえ爪52によるシート束Sbの保持が作動中であるか否かを判断する(ステップS16)。ここでは、1部目のシート束Sbに対する保持動作(上記ステップS20)が継続中であるので、作動中と判断して(ステップS16で「YES」)、押さえ爪52によるシート束Sbの保持を解除する(ステップS17)。この解除は、押さえ爪駆動アクチュエーター37の駆動を停止させることにより実行され、これにより押さえ爪52が没入位置に戻る。
押さえ爪52によるシート束Sbの保持を解除すると、揺動トレイ22上に載置されている2部目のシート束Sbを装置正面側に移送させて、正面トレイ51に収容させる(ステップS18)。これにより、2部目のシート束Sbが、既に正面トレイ51に収容されている1部目のシート束Sbの上に積載された状態で正面トレイ51上に収容されることになる。1部目のシート束Sbの上に2部目のシート束Sbが積載された状態で、押さえ爪52によるシート束Sbの保持が再度実行される(ステップS20)。
ステップS23において、ジョブ終了ではなく、3部目のシート束Sbに対するステープル綴じがあることを判断すると(ステップS23で「NO」)、再度、ステップS24経由でステップS2に戻り、ステップS2〜S23までの処理を実行する。ジョブ終了と判断されるまで、部数ごとにステップS2〜S23の処理を繰り返し実行し、全部数に対するステープル綴じ後のシート束Sbの装置正面側への移送が終了すると、ジョブ終了と判断して(ステップS23で「YES」)、押さえ爪52によるシート束Sbの保持を解除し(ステップS25)、CD基準板12を装置正面側から装置背面側に移動して、ホーム位置に戻す動作を実行した後(ステップS26)、当該制御を終了する。
上記では、シート束Sbにステープル綴じを施す場合の例を説明したが、例えばステープル綴じを施さない場合には、ステップS9とS10の処理が実行されない。また、シート束Sbではなく、1枚のシートSだけにプリントするジョブの場合には、ステップS3、S11、S12、S13、S15、S18、S19、S21、S26の各処理だけがこの順に実行された後、当該制御が終了される。
なお、揺動トレイ22の傾斜姿勢への遷移タイミングと、後続シートSの後処理トレイ11への搬送タイミングとは一部重複するようにしてもよい。すなわち、例えば揺動トレイ22を傾斜姿勢に遷移している途次に、後続シートSを後処理トレイ11に搬送したり、後続シートSを後処理トレイ11に搬送している途次に、揺動トレイ22を傾斜姿勢に遷移させたりしてもよい。ただし、揺動トレイ22の下面側に後続シートSの搬送方向先端Sfが入り込まないタイミングに設定する必要がある。従って、揺動トレイ22の傾斜姿勢への遷移タイミングと、CD基準板12のホーム位置への戻り動タイミングとを一部重複させることも可能である。
以上、説明したように本実施の形態では、画像形成装置1のスキャナー部3とプリンター部4との間の空間1aに配置されたシート後処理装置2において、画像形成装置1から排出された1枚のシートSまたは複数枚のシートSが積載してなるシート束Sbを装置背面側の後処理トレイ11に一時的に収容した後、後処理トレイ11上の1枚のシートSまたはシート束Sbを後処理トレイ11よりも装置正面側に配された正面トレイ51に装置背面側から装置正面側に向かって移送して、正面トレイ51に収容する構成としている。
これにより、装置左右(横)方向に装置寸法を小型化できるとともに、ユーザーは正面トレイ51に収容されたシートSまたはシート束Sbを装置正面側から容易に取り出すことができ、操作性が向上する。また、プリンター部4の排出ローラー7から排出されるシートSを一時的に収容する後処理トレイ11に、上下に揺動可能な揺動トレイ22を採用し、揺動トレイ22を最下位に相当する傾斜姿勢にして、排出ローラー7から排出されるシートSを受け入れる構成をとることにより、画像形成装置1の空間1aの上下方向高さを低減することもできる。
仮に揺動トレイ22に代えて、水平姿勢の固定トレイだけを配置する構成をとるとすれば、その固定トレイから正面トレイ51にシート束Sbを移送するためには、その固定トレイを正面トレイ51の立壁部51bよりも上に配置するとともに、立壁部51bよりも上の固定トレイにシートSを搬入するために、その固定トレイよりもさらに上に、プリンター部4の排出ローラー7が位置する必要が生じ、上下方向に空間1aを大きくとらなければ、シート後処理装置2を装着できなくなるからである。
本実施の形態では、揺動トレイ22の上下方向の揺動範囲が正面トレイ51の立壁部51bの上下方向高さと略同じになっており、揺動トレイ22を最下位に相当する傾斜姿勢のときに、プリンター部4の排出ローラー7により排出されるシートSを受け入れる構成にしている。これにより、プリンター部4の排出ローラー7(シート排出部)の上下方向の位置がシート後処理装置2の正面トレイ51に設けられた立壁部51bの上下方向高さの範囲内に収まり、画像形成装置1のスキャナー部3とプリンター部4との間の限られた空間1aに、画像形成装置1のシート排出口の上下方向の高さ位置に合わせてシート後処理装置2を装着することができるようになる。
さらに、画像形成装置1の操作部5を装置正面側に配するとともに、シート後処理装置2が画像形成装置1に装着されたときに、画像形成装置1の操作部5とシート後処理装置2の正面トレイ51とが装置左右方向に隣り合う位置関係になるように構成している。これにより、装置正面側からユーザーは、操作部5の操作によりジョブ実行を指示しつつ、ジョブ実行により正面トレイ51に収容された、プリント後のシートSまたはシート束Sbを取り出すことができ、より操作性が向上する。
本発明は、シート後処理装置に限られず、画像形成装置1とこれに装着されるシート後処理装置2とを含む画像形成システムであるとしても良い。また、シート後処理装置が実行するシート後処理方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピューターが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピューター読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
(6).変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
上記実施の形態では、後処理トレイ11を構成する固定トレイ21が揺動トレイ22よりもシート搬送方向上流側に位置し揺動トレイ22と並ぶように配置される構成例を説明したが、並び順がこれに限られず、例えば逆順、すなわち固定トレイ21が揺動トレイ22よりもシート搬送方向下流側に位置する構成とすることできる。
この構成では、ストッパー18a,18b、揺動トレイ22の支軸22b、FD整合部材14、FD搬送部材15、ステープラー103などの配置位置が実施の形態に対して左右逆転した構成になる。例えば、揺動トレイ22の支軸22bが右側(装置横方向に排出ローラー7に近い側)に位置し、この支軸22bを支点に揺動トレイ22の左側(排出ローラー7から遠い側)が上下に揺動する構成になる。排出ローラー7から排出されたシートSは、傾斜姿勢の揺動トレイ22、固定トレイ21の順に搬送される。
シート束Sbの整合後、そのシート束SbがFD搬送部材15の右方向(排出ローラー7によるシート排出方向とは逆方向)への移動によりステープル綴じ位置まで搬送されるとステープル綴じが施される。そして、さらなるFD搬送部材15の右方向への移動により、ステープル綴じ後のシート束Sbが右方向に移送位置まで搬送され、揺動トレイ22上に載置されると、揺動トレイ22が水平姿勢に遷移された後、そのソート束Sbの装置正面側への移送が実行される。
上記実施の形態では、上下に揺動する揺動トレイ22を設ける構成としたが、これに限られない。例えば、揺動トレイ22に代えて、水平姿勢のまま上下方向に移動可能な水平トレイを設ける構成としても良い。この構成をとる場合、水平トレイは、排出ローラー7からシートSが搬入される際には水平トレイのシート載置面が立壁部51bの上端53よりも下に位置し、水平トレイ上のシート束を装置正面側に移送する際には立壁部51bの上端53よりも上の位置または上下方向に同じ位置になるように、上下方向の移動制御が実行される。
また、後処理トレイ11が固定トレイ21と揺動トレイ22を含む構成としたが、これに限られず、例えば固定トレイ21と揺動トレイ22とを一体とした一体トレイを揺動する構成をとることもできる。この構成をとる場合、一体トレイ上のシート束Sbを、FD整合部材14の移動によりFD整合し、またFD搬送部材15の移動によりステープル綴じ位置と装置正面側への移送位置まで順次、搬送すれば良い。
さらに、上記では後処理トレイ11が上下方向に移動可能、かつ正面トレイ51が上下方向に移動しない(固定)としたが、これに限られず、後処理トレイ11と正面トレイ51の少なくとも一方が相対的に上下方向に移動(昇降)可能な構成をとることができる。装置背面側に位置する第1収容部101に設けられた後処理トレイ11上に一時的収容されたシートS(またはシート束Sb)を、装置正面側に位置する第2収容部102に設けられた正面トレイ51に装置正面側に向かって移送できれば良い。
例えば、後処理トレイ11を固定、正面トレイ51を上下に移動可能に構成し、正面トレイ51を、シートS(またはシート束Sb)の装置正面側への移送時以外には上下方向に後処理トレイ11と同じ高さのホーム位置に位置させ、移送時にはホーム位置よりも下方の移送位置に降下させる構成をとることもできる。また、後処理トレイ11と正面トレイ51の両方を上下方向に移動可能としても良い。移動対象のトレイを上下方向に移動可能に支持する機構(カム機構など)とそのトレイに上下方向への駆動力を付与するモーターなどの駆動手段を設けることにより実現できる。
なお、画像形成装置1の空間1aの上下方向高さに余裕がある場合には、例えば後処理トレイ11と正面トレイ51の両方を上下移動不可(固定)の構成をとることもできる。
上記実施の形態では、装置前後方向に移動可能なCD基準板12が揺動トレイ22上のシート束Sbを正面トレイ51に移送する移送手段を兼用することにより、その構成をできるだけ簡素化するとしたが、これに限られない。例えば、CD基準板12とは異なる部材を移送手段として配置する構成とすることができる。
また、ステープラー103が揺動トレイ22と一体で揺動する構成例を説明したが、これに限られず、装置構成によってはステープラー103と揺動トレイ22を別体として、ステープラー103を上下に移動しない構成をとることもできる。
上記実施の形態では、CD基準板12,29とCD整合板13とをCD整合を行うための一対のCD整合部材として用い、停止しているCD基準板12,29に対してCD整合板13を装置前後方向に移動することにより、CD整合を行う構成例を説明したが、これに限られない。
例えば、シートSを挟んで装置前後方向に対向する一対のCD整合部材の両方を相互に近づく方向に移動させることにより、CD整合を行う構成をとることもできる。
上記実施の形態では、スキャナー部3と正面トレイ51とが、装置前後方向にスキャナー部3の装置正面側の端部3aよりも正面トレイ51の装置正面側の端部51dの方が装置正面側に位置する関係にある場合の構成例を説明したが、これに限られない。
例えば、装置前後方向に、スキャナー部3の装置正面側の端部3aと正面トレイ51の装置正面側の端部51dとが同じ位置になるようにしたり、スキャナー部3の装置正面側の端部3aよりも正面トレイ51の装置正面側の端部51dの方が装置背面側に位置するようにしたりすることもできる。
上記実施の形態では、正面トレイ51のシート載置面51aが装置正面側から装置背面側に向かって下方に傾斜する姿勢になっている構成例を説明したが、傾斜方向はこれに限られない。
例えば、装置正面側から見て正面トレイ51の左側が下方に右側が上方になるように左右方向に傾斜する姿勢とすることもできる。この傾斜姿勢をとる場合、左側の端部にシートSの滑落を規制するストッパー(上記の立壁部51bに相当)が立設される。正面トレイ51の右側が下方に左側が上方になるような傾斜姿勢とすることもできる。
上記実施の形態では、画像形成装置1を多機能複合機とした場合の例を説明したが、スキャナー部3(画像読取部)とこれよりも下方に位置するプリンター部4(画像形成部)との間に、装置正面側に開口1bを有する空間1aが設けられてなる画像形成装置であれば、例えば複写機、ファクシミリ装置などであっても良い。
また、画像形成装置1に設けられた空間1aに配置されるシート後処理装置2として、上記実施の形態では、ステープル綴じ機能を実行可能な構成例を説明したが、後処理がステープル綴じに限られず、例えば後処理トレイ11上のシート束にパンチ穴を開けるパンチ処理を後処理とするシート後処理装置にも適用可能である。さらに、上記のCD基準板12、FD整合部材14などの各部材について、形状や個数などが上記に限られることはなく、装置構成に適した形状や個数などが決められる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容を可能な限り、それぞれ組み合わせるとしても良い。