本発明に係る分電盤用内器(本実施形態では電流計測器5)及び分電盤1の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。但し、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
なお、本実施形態では、分電盤1を戸建住宅に用いた場合を例に説明するが、この例に限らず、集合住宅の各住戸や事務所、店舗などに分電盤1を用いてもよい。また、以下では、図2に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、さらに図2中の紙面に垂直な方向を前後方向と規定して説明を行うが、分電盤1を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
分電盤1は、図2に示すように、分電盤用キャビネット10(以下、キャビネット10と省略する。)と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43(図4参照)と、電流計測器5(図4参照)と、計測ユニット6とを備える。また、分電盤1は、第1通信アダプタ7と、第2通信アダプタ8と、第3通信アダプタ9とを備える。
なお、分電盤1は、その最小限の構成としてキャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、電流計測器5と、計測ユニット6を備えていればよい。したがって、分電盤1が、第1通信アダプタ7や第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を備えるか否かは任意である。
キャビネット10は、図2に示すように左右方向に長く且つ前面が開口した箱状に形成されている。キャビネット10の前面には、キャビネット10に対して開閉可能な蓋(図示せず)が取り付けられる。このキャビネット10は、例えば住宅の壁等に取り付けて用いられる。なお、蓋は、キャビネット10に含まれていてもよいし、キャビネット10に含まれていなくてもよい。
また、キャビネット10は、前後方向に貫通する窓孔12を有しており、窓孔12を通して壁裏から内部に配線を引き込むことが可能である。
このボックス110は、ブレーカ等の種々の内器を取り付けるためのスペースを有している。ボックス110内における中央には、主幹ブレーカ2が上側、計測ユニット6が下側となるように、主幹ブレーカ2及び計測ユニット6が取り付けられる。また、ボックス110内における主幹ブレーカ2の右側には、複数の分岐ブレーカ3が、上下2列で且つ左右方向に各11個ずつ並べて取り付けられる。
さらに、ボックス110内における主幹ブレーカ2の左側には、第2通信アダプタ8が上側、第1通信アダプタ7が中央、第3通信アダプタ9が下側となるように、第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8及び第3通信アダプタ9が取り付けられる。
主幹ブレーカ2は、一次側端子21と、二次側端子(図示せず)とを有する。一次側端子21には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線(図示せず)が電気的に接続される。二次側端子には、左右方向に長い板状で且つ導電部材からなる導電バー41,42,43が電気的に接続される。
なお、本実施形態では、配電方式として単相三線式を想定しており、導電バー41が第1の電圧極(L1相)、導電バー42が第2の電圧極(L2相)、導電バー43が中性極(N相)となる。これらの導電バー41,42,43は、主幹ブレーカ2の右側に配置され、キャビネット10に固定される。
複数の分岐ブレーカ3は、中性極の導電バー43の上側と下側に分かれて、それぞれ複数個(上下各11個)ずつ左右方向に並ぶように配置されている。
各分岐ブレーカ3は、一次側端子(図示せず)と二次側端子(図示せず)とを有する。一次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続される。二次側端子には、複数の電路(図示せず)の各々が電気的に接続される。なお、各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続される電路には、例えば照明器具や給湯設備等の機器、差込接続装置のコンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。
第1の電圧極の導電バー41は、複数の分岐ブレーカ3の各々に対応する位置において、上向き及び下向きに突出する複数の接続端子413(図3参照)を有する。また、第2の電圧極の導電バー42は、複数の分岐ブレーカ3の各々に対応する位置において、上向き及び下向きに突出する複数の接続端子423(図3参照)を有する。
一方、各分岐ブレーカ3は、導電バー41,42,43が差し込まれる差込口31(図4参照)を導電バー41,42,43との対向面に有する。差込口31は、3本の導電バー41,42,43の各々に対応するように、各分岐ブレーカ3に3個ずつ設けられており、一次側端子は、3個の差込口31のうち2個の差込口31内に露出するように設けられている。
これにより、各分岐ブレーカ3は、キャビネット10に取り付けられた状態で、差込口31に導電バー41,42,43が差し込まれ、一次側端子が導電バー41,42,43と電気的に接続される。なお、第1の電圧極の導電バー41に対応する差込口31には接続端子413が差し込まれ、第2の電圧極である導電バー42に対応する差込口31には接続端子423が差し込まれる。
導電バー41,42,43は、図4に示すように、合成樹脂製のベース44に保持される。このベース44は、左右方向に長い板状に形成された底板441と、底板441の左右方向における両端部においてそれぞれ前方に突出する角柱状の支持台442(図4では片方のみ図示)とを有する。
中性極の導電バー43は、導電性を有する金属板により左右方向に長い板状に形成され、一対の支持台442の間に架け渡されるように、左右方向における両端部が支持台442に固定される。
第1の電圧極の導電バー41は、導電性を有する金属板により形成され、底板441のうち支持台442よりも上側の領域に取り付けられる。導電バー41は、底板441に沿って配置される平板状の平板411と、平板411の下端縁から前方に突出する立片(図示せず)とを有する。立片は、複数の分岐ブレーカ3の各々に対応する位置にそれぞれ設けられている。
立片の先端部は二股に分かれており、一方が上向きに突出する接続端子413となり、他方が下向きに突出する接続端子413となる。また、下向きに突出する接続端子413は、上向きに突出する接続端子413に比べて前方に位置している。
第2の電圧極の導電バー42は、導電性を有する金属板により形成され、底板441のうち支持台442よりも下側の領域に取り付けられる。導電バー42は、底板441に沿って配置される平板状の平板421と、平板421の上端縁から前方に突出する立片422とを有する。立片422は、複数の分岐ブレーカ3の各々に対応する位置にそれぞれ設けられている。
立片422の先端部は二股に分かれており、一方が下向きに突出する接続端子423となり、他方が上向きに突出する接続端子423となる。また、上向きに突出する接続端子423は、下向きに突出する接続端子423に比べて前方に位置している。
上記の構成により、本実施形態では、中性極の導電バー43の下側においては、前後方向における前側から中性極、第1の電圧極、第2の電圧極の順に並ぶように、導電バー41,42,43が配置される。また、中性極の導電バー43の上側においては、前後方向における前側から中性極、第2の電圧極、第1の電圧極の順に並ぶように、導電バー41,42,43が配置される。
そのため、分岐ブレーカ3は、前後方向における両端の各差込口31内にそれぞれ一次側端子を有する場合、導電バー43の上側に取り付けられると中性極及び第1の電圧極に接続され、下側に取り付けられると中性極及び第2の電圧極に接続される。また、分岐ブレーカ3は、前後方向における後側の2つの各差込口31内にそれぞれ一次側端子を有する場合、導電バー43の上側及び下側の何れに取り付けられても、第1の電圧極及び第2の電圧極に電気的に接続される。
電流計測器5は、複数の分岐ブレーカ3の各々に接続された負荷(電路)の消費電力を検出するためのセンサ(電流センサ)である。この電流計測器5は、図3及び図4に示すように、複数の接続端子413,423が貫通するように導電バー41,42,43に取り付けられ、複数の接続端子413,423の各々に流れる電流の値を計測する。なお、図3は導電バー41,42,43に電流計測器5が取り付けられた状態を表し、図4は導電バー41,42,43に電流計測器5が取り付けられる前の状態を表している。
電流計測器5は、図1に示すように、基板51と、ケース54と、接続ケーブル55とを備える。なお以下では、導電バー43に対して下側に配置された電流計測器5について説明する。また、上側に配置された電流計測器5は、導電バー43に対して下側に配置された電流計測器5と対称であるから、ここでは説明を省略する。
基板51は、左右方向に長い多層構造のプリント基板である。基板51には、厚み方向に貫通する矩形の孔511が左右方向に沿って複数設けられている。また、基板51には、厚み方向に貫通する円形の孔512が左右方向に沿って複数設けられている。各孔512は、各孔511と前後方向に並ぶように、各孔511の後側に設けられている。これらの孔511,512は、それぞれ接続端子413,423が貫通できる大きさに形成されている。
基板51において各孔512の周囲には、コイル513がそれぞれ形成されている。このコイル513は、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、孔512内を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。そして、コイル513は、接続端子413,423に流れる電流の大きさに応じた物理量として、コイル513の両端間に誘起される電圧を出力する。
ここに、本実施形態では、孔512により第2孔が構成され、コイル513により計測部が構成されている。但し、第2孔は、上述の孔512のように円形の孔に限らず、矩形の孔やその他の形状の孔でもよいし、さらに基板の長辺又は短辺に向けて開放されたU字状の孔でもよい。
各コイル513から出力されるアナログ信号は、基板51に設けられた信号取得部(図示せず)により取得される。信号取得部は、各コイル513より取得したアナログ信号をA/D変換して電流信号を生成し、基板51に設けられた演算部514に電流信号を伝送する。なお、本実施形態では、隣接する2つのコイル513を1組とし、各組に対して1つずつ信号取得部が設けられている。そして、各信号取得部は、各組の2つのコイル513から出力されるアナログ信号を時分割で交互に取得する。
演算部514は、A/D変換回路(図示せず)と、信号処理回路(図示せず)とを有する。A/D変換回路は、計測ユニット6から出力される後述の電圧信号をディジタルの電圧信号に変換する。信号処理回路は、A/D変換回路から出力されるディジタルの電圧信号と、各信号取得部から出力される電流信号とに基づいて、複数の電路の各々の瞬時電力を演算し、瞬時電力のデータを生成する。また、信号処理回路は、瞬時電力のデータを計測データとして第1通信アダプタ7へ出力する。
また、基板51は、接続ケーブル55の一端に設けられた第2コネクタ552が接続される第1コネクタ515(図5参照)を有している。
ケース54は、例えば合成樹脂成型品であって、図1に示すように第1ケース52と第2ケース53とで構成される。
第1ケース52は、左右方向に長く、且つ前面及び下面が開口する扁平な箱状に形成されている。第1ケース52において基板51の孔511と対向する位置には、下向き(基板51側)に突出する角筒状の第1筒状部521が設けられている。また、第1ケース52において基板51の孔512と対向する位置には、下向きに突出する円筒状の第2筒状部522が設けられている。
なお、第1筒状部521は、孔511に通すことができる大きさに形成され、第2筒状部522は、孔512に通すことができる大きさに形成されている。
さらに、第1ケース52の後面には、左右方向(長手方向)に沿って複数(図1では4個)の引掛爪523が設けられており、第1ケース52の前側且つ左側の位置には、一対の引掛爪524が設けられている。
第2ケース53は、左右方向に長い矩形板状に形成されている。第2ケース53において孔511と対向する位置には、孔511と同形状の孔531が設けられ、第2ケース53において孔512と対向する位置には、孔512と同形状の孔532が設けられている。
また、第2ケース53において基板51の第1コネクタ515と対向する位置には、前後方向に長い矩形状に開口する孔533が設けられている。さらに、第2ケース53のうち孔533の周縁部で且つ前後方向における孔533の両側には、一対の規制部534が設けられている。これらの規制部534は、前後方向から見た形状がU字状であって、且つ下向きに凸となる凸形状に形成されている。
接続ケーブル55は、複数(図1では9本)の電線551を有するケーブルであって、一方の端部には第2コネクタ552が接続され、他方の端部には第3コネクタ553(図7参照)が接続されている。この接続ケーブル55は、基板51の第1コネクタ515(図5参照)に第2コネクタ552を接続し、且つ計測ユニット6に第3コネクタ553を接続することで、電流計測器5と計測ユニット6との間を電気的に接続する。ここに、本実施形態では、計測ユニット6により他の内器が構成されている。
なお、第2コネクタ552は、前後方向(長手方向)に沿って複数の接続子5521を有しているが、本実施形態では、前後方向における両端の接続子5521には電線551が接続されていない(図6参照)。
計測ユニット6は、接続ケーブル55を介して電流計測器5に電気的に接続される。計測ユニット6は、複数の電路の各々の線間電圧を計測し、線間電圧のデータを電圧信号として電流計測器5へ出力する。
さらに、計測ユニット6は、主幹ブレーカ2に流れる電流を図示しないCT(カレントトランス)を用いて計測している。そして、計測ユニット6は、計測した線間電圧及び電流に基づいて主幹ブレーカ2の瞬時電力を演算し、瞬時電力のデータを生成する。
なお、本実施形態の電流計測器5は、複数の電路の各々の瞬時電力を演算する機能を有しているが、瞬時電力を演算する機能を有する必要はなく、少なくとも複数の電路の各々を流れる電流を計測する機能を有していればよい。そして、電流計測器5が電流を計測する機能のみを有している場合は、計測ユニット6が複数の電路の各々の瞬時電力を演算する機能を有していればよい。
ここに、本実施形態では、計測ユニット6は、いずれかの分岐ブレーカ3の二次側端子に電気的に接続されており、分岐ブレーカ3を介して電源用の電力が供給される。また、計測ユニット6は、第1通信アダプタ7とも電気的に接続されており、生成した瞬時電力のデータを計測データとして第1通信アダプタ7に出力し、且つ電源用の電力を第1通信アダプタ7へ供給する。
なお、計測ユニット6は、導電バー41,42,43から直接、電源用の電力供給を受けるように構成されていてもよい。
第1通信アダプタ7は、コントローラ(図示せず)との間で通信する機能を有する。コントローラは、HEMS(Home Energy Management System)用のコントローラであり、HEMSに対応する機器(図示せず)の制御を行う。機器は、消費電力の管理対象であれば足り、例えば、スマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、テレビ受像機などを含む。勿論、これらの機器以外であってもよい。
第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)や、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の電波を媒体とした無線通信であってもよい。その他、第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)などの有線通信であってもよい。また、第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えばEthernet(登録商標)、ECHONET(登録商標) Liteなどを用いてよい。
本実施形態では、第1通信アダプタ7は、複数の電路の各々について、電流計測器5より受け取った瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量を演算する。また、第1通信アダプタ7は、主幹ブレーカ2について、計測ユニット6より受け取った瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量を演算する。
そして、第1通信アダプタ7と通信するコントローラは、第1通信アダプタ7の演算結果を用いて機器を制御するように構成されている。このため、コントローラは、複数の電路の各々での瞬時電力や電力量に基づいて機器を制御することができる。
第2通信アダプタ8は、通信機能を備えた電力メータ(図示せず)との間で通信する機能を有する。また、第2通信アダプタ8は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態では、第1通信アダプタ7と第2通信アダプタ8とが、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続により接続される。
電力メータは、所謂スマートメータであって、需要家(facility)での使用電力量を計測し、配電線に接続されているコンセントレータ(図示せず)との間で通信を行うことにより、遠隔検針を可能にする。また、電力メータは、第2通信アダプタ8との間で通信することにより、計量値(使用電力量)や要請情報などを第2通信アダプタ8に送信することができる。ここに、要請情報とは、電力供給事業者などが運営するサーバから需要家に向けて送信される電力の消費を抑制するための要請である。
第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)等の電波を媒体とした無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。有線通信の場合、電力線を伝送媒体に用いて通信を行う電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)などが適用可能である。
ここで、第2通信アダプタ8は、電力メータから受信した計量値を第1通信アダプタ7へ送信するように構成されているのが望ましい。この場合、第1通信アダプタ7との間で通信するコントローラは、計量値を用いて機器を制御するように構成されていてもよい。この構成によれば、コントローラは、電力メータから送信される計量値に基づいて機器を制御することができる。
第3通信アダプタ9は、太陽光発電装置(図示せず)、蓄電装置(図示せず)、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置(図示せず)の少なくとも1つとの間で通信する機能を有する。なお、電力変換装置は、分電盤1側から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
第3通信アダプタ9は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態では、第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とが、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続により接続される。
ここで、第3通信アダプタ9の通信相手となる太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置は、いずれも住宅に固定的に設置される機器であり、分電盤1との間で配線を引き回すことが可能な機器である。そのため、第3通信アダプタ9と太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置との間の通信方式は、例えばRS−485などの有線通信が好ましい。なお、第3通信アダプタ9の通信相手は、太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置に限らず、例えば貯湯型の給湯装置(エコキュート(登録商標))などであってもよい。
また、第3通信アダプタ9は、ガスメータ(図示せず)と水道メータ(図示せず)との少なくとも一方との通信機能をさらに有していてもよい。ガスメータや水道メータは使用量に応じたパルス信号を出力する。第3通信アダプタ9は、ガスメータや水道メータからパルス信号を受信し、予め決められている1パルス当たりの使用量の換算値(換算レート)を用いて、使用量に換算する。
ここで、第3通信アダプタ9の通信相手となるガスメータ、水道メータは、いずれも住宅に固定的に設置される機器であり、分電盤1との間で配線を引き回すことが可能な機器である。そのため、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間で有線通信を行うのが好ましい。
なお、本実施形態では、上述した2つの通信機能を第3通信アダプタ9が有しているが、各々の通信機能を個別に有する2つのアダプタで第3通信アダプタ9が構成されていてもよい。
ところで、本実施形態では、図2に示すように、複数の分岐ブレーカ3の他に、二次連系ブレーカ100が設けられている。この二次連系ブレーカ100は、導電バー41,42,43に電気的に接続され、且つ電力系統への逆潮流が許容されていない第1分散型電源(図示せず)に電気的に接続される。第1分散型電源としては、例えば燃料電池(図示せず)、ガス発電装置(図示せず)、蓄電池(図示せず)などがある。
二次連系ブレーカ100は、主幹ブレーカ2の二次側と第1分散型電源との間に電気的に接続されることになる。そして、二次連系ブレーカ100は、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第1分散型電源に異常が生じたときなどに、第1分散型電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
二次連系ブレーカ100は、分岐ブレーカ3と同様に、一次側端子(図示せず)と二次側端子101とを有しており、一次側端子には導電バー41,42,43が電気的に接続され、二次側端子101には第1分散型電源が電気的に接続される。二次連系ブレーカ100は、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。
また、本実施形態では、キャビネット10において主幹ブレーカ2の左側で且つ第1〜第3通信アダプタ7〜9の右側に、一次連系ブレーカ(図示せず)を取り付けるためのスペースが設けられている。このスペースには、上下方向に長い矩形板状に形成された合成樹脂製の支持台13が取り付けられており、第1連系ブレーカは、この支持台13に取り付けられる。
一次連系ブレーカは、主幹ブレーカ2の一次側端子に電気的に接続され、且つ電源系統への逆潮流が許容されている第2分散型電源(図示せず)に電気的に接続される。第2分散型電源としては、例えば太陽光発電装置などがある。
一次連系ブレーカは、主幹ブレーカ2の一次側と第2分型散電源との間に電気的に接続されることになる。そして、一次連系ブレーカは、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第2分散型電源に異常が生じたときなどに、第2分散型電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
一次連系ブレーカは、一次側端子(図示せず)と二次側端子(図示せず)とを有しており、一次側端子には主幹ブレーカ2の一次側端子21が電気的に接続され、二次側端子には第2分散型電源が電気的に接続される。一次連系ブレーカは、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。
次に、電流計測器5の組立手順について、図1を参照しながら具体的に説明する。
まず最初に、作業者は、基板51の各孔511と第1ケース52の各第1筒状部521の位置を合わせ、且つ基板51の各孔512と第1ケース52の各第2筒状部522の位置を合わせた状態で、基板51を第1ケース52に組み付ける。このとき、第1筒状部521は孔511に通され、第2筒状部522は孔512に通される。その後、作業者は、基板51の第1コネクタ515に接続ケーブル55の第2コネクタ552を接続する。
そして最後に、作業者は、第1ケース52の各引掛爪523と基板51の間に第2ケース53の後端縁を差し込んだ後、第1ケース52の引掛爪524と基板51の間に第2ケース53の前端縁を差し込む。これにより、第2ケース53が第1ケース52に取り付けられ、電流計測器5の組み立てが完了する(図4参照)。
なお、電流計測器5を組み立てた状態では、第2ケース53の孔533を通して接続ケーブル55が外部に引き出される。また、第1ケース52と第2ケース53とを組み付けただけでは、ケース54の前面が開口したままであるが、本実施形態では、後面が開口するU字状に形成されたカバー56によりケース54の前面を塞いでいる。
図5は本実施形態の電流計測器5の要部を示す断面図である。前後方向(図5中の上下方向)における孔533の開口寸法D1は、前後方向における第2コネクタ552の長さ寸法L1よりも小さくなっている(D1<L1)。したがって、第2コネクタ552が第1コネクタ515から外れる方向(図5中の右方向)に引っ張られたとしても、第2コネクタ552が一対の規制部534の内側面に接触し、第1コネクタ515から外れる方向への第2コネクタ552の移動が規制される。
これにより、第1コネクタ515と第2コネクタ552の接続状態を保持することができ、その結果、接続ケーブル55を介して電流計測器5と計測ユニット6との間で伝送される信号(電圧信号や電力信号)を正常に伝送することができる。
ここに、本実施形態では、第2ケース53の孔533により第1孔が構成され、一対の規制部534により保持構造が構成されている。また、本実施形態では、図5中の上下方向が第1方向(第1コネクタ515への第2コネクタ552の接続方向と直交する方向)である。
図6は本実施形態の電流計測器5の要部を示す正面図である。電流計測器5を組み立てた状態では、第2コネクタ552の前後方向(図6中の上下方向)における両端の接続子5521が上下方向(図6中の紙面に垂直な方向)において各規制部534と重なっている。そのため、これらの接続子5521に電線551を接続した場合には、規制部534によって電線551が内向きに折り曲げられ、電線551に負担がかかってしまう。
そこで、本実施形態では、上下方向において規制部534と重なる(対向する)接続子5521には電線551を接続しておらず、これにより接続ケーブル55の電線551に負担がかかるのを抑えることができる。また、第2コネクタ552における規制部534との接触面積を大きくすることができ、これにより第2コネクタ552が第1コネクタ515から外れる方向へ移動するのを確実に規制することができる。
図7は分電盤1の要部を示す斜視図である。上述の主幹ブレーカ2は、例えば板金により矩形板状に形成された取付板11を介してキャビネット10に取り付けられる。この取付板11には、取付板11の下端縁から後方に延長された側板111が一体に形成されており、側板111には、左右方向に長い矩形状に開口する2個の孔1111が左右方向に並ぶように設けられている。
計測ユニット6をキャビネット10に取り付けるまでは、接続ケーブル55の第3コネクタ553は接続先がなく、未接続のまま放置されることが多い。そして、第3コネクタ553を未接続のまま放置した場合、その後の組付作業の際に接続ケーブル55がキャビネット10の後側(壁側)に落ち込んでしまい、計測ユニット6を取り付ける際に接続ケーブル55を探すことになる。
そこで、本実施形態では、取付板11の側板111に設けた孔1111に第3コネクタ553を差し込んだ状態で、側板111に第3コネクタ553を保持させている。これにより、計測ユニット6を取り付けた後に接続ケーブル55を探さなくてもよく、作業性の低下を抑えることができる。また、第3コネクタ553を側板111に保持させることで、第3コネクタ553が金属で覆われることになり、シールド効果により電位的に安定するという利点もある。
さらに、本実施形態のように、計測ユニット6が取り付けられる位置(主幹ブレーカ2と計測ユニット6との間)に側板111を設けた場合には、計測ユニット6を取り付ける際に第3コネクタ553を必ず取り外すことになる。そのため、接続ケーブル55を計測ユニット6に確実に接続することができる。ここに、本実施形態では、側板111により保持部が構成され、孔1111により第3孔が構成されている。
さらに、本実施形態のキャビネット10は、左右方向において主幹ブレーカ2と分岐ブレーカ3との間に配置されるブリッジ14を備えている。このブリッジ14は、例えば合成樹脂成型品であって、側面視の形状がU字状に形成されている。また、ブリッジ14は、上下方向に沿って形成されたU字状の溝141を有しており、溝141の開口端縁には、溝141内に突出する複数の突起142が設けられている。
このブリッジ14は、導電バー41,42,43の前側を通し、導電バー41,42,43の上側と下側との間に架け渡されるようにキャビネット10に取り付けられる(図7参照)。そして、中性極の導電バー43の上側に配置された電流計測器5からの接続ケーブル55をブリッジ14の溝141に沿って配線することで、接続ケーブル55を導電バー41,42,43から離した状態に保持することができる。
これにより、導電バー41,42,43から放射されるノイズが接続ケーブル55に与える影響を抑えることができる。なお、接続ケーブル55は、溝141の底面と各突起142との間に差し込まれることで、ブリッジ14に保持される。
なお、本実施形態の規制部534は一例であって、電流計測器5を組み立てた状態で第2コネクタ552が第1コネクタ515から外れる方向へ移動するのを規制できれば他の構成でもよい。また、本実施形態では、主幹ブレーカ2が取り付けられる取付板11と一体に保持部(取付板11の側板111)を設けたが、保持部はキャビネット10の一部であればよく、成形品でも基板でもよい。
さらに、本実施形態では、側板111に設けた孔1111に第3コネクタ553を引っ掛けることで第3コネクタ553を側板111に保持させたが、例えばフックなどで第3コネクタ553を保持させてもよい。また、本実施形態では、計測部で計測する物理量としてコイル513の両端間に誘起される電圧を用いたが、分岐ブレーカ3に流れる電流の大きさを検出できれば他の物理量であってもよい。
さらに、本実施形態では、ロゴスキコイルからなるコイル513により計測部を構成したが、例えばホール素子やGMR(Giant Magneto Resistive effect)センサにより計測部を構成してもよい。また、本実施形態では、電流計測器5を分電盤用内器としたが、例えば計測ユニット6や第1〜第3通信アダプタ7〜9を分電盤用内器としてもよく、本実施形態に限定されない。さらに、他の内器は計測ユニット6に限らず、第1〜第3通信アダプタ7〜9であってもよい。
以上説明したように、本実施形態の電流計測器5(分電盤用内器)は、基板51と、接続ケーブル55と、ケース54とを備える。基板51は、分電盤用キャビネット10に取り付けられる計測ユニット6(他の内器)に電気的に接続される。接続ケーブル55は、基板51に設けられた第1コネクタ515に接続される第2コネクタ552を一端に有し、計測ユニット6と基板51との間を電気的に接続する。ケース54は、基板51を収納し、基板51を収納した状態において第2コネクタ552が第1コネクタ515から外れる方向へ移動するのを規制する規制部534を有している。
また、本実施形態の電流計測器5のように、ケース54は、内部に収納された基板51の第1コネクタ515と対向する位置に接続ケーブル55が通る孔533(第1孔)を有するのが好ましい。この場合、第1コネクタ515への第2コネクタ552の接続方向と直交する第1方向における孔533の開口寸法D1は第1方向における第2コネクタ552の長さ寸法L1よりも小さくなっている。規制部534は、ケース54のうち孔533の周縁部で且つ第1方向における孔533の両側部分により構成されている。
また、本実施形態の電流計測器5のように、第2コネクタ552は、第1方向に沿って設けられた複数の接続子5521を有するのが好ましい。この場合、複数の接続子5521のうち規制部534と対向する接続子5521には接続ケーブル55の電線551を接続せず、且つ複数の接続子5521のうちの残りの接続子5521には電線551を接続している。
また、本実施形態の電流計測器5のように、主幹ブレーカ2に電気的に接続される導電バー41,42の一部で且つ複数の分岐ブレーカ3に各々に電気的に接続される複数の接続端子413,423に流れる電流を、個別に計測するのが好ましい。この場合、基板51は、複数の接続端子413,423の各々が通る複数の孔512(第2孔)と、複数の接続端子413,423の各々に流れる電流の大きさに応じた物理量を計測する複数のコイル513(計測部)とを有している。
本実施形態の分電盤1は、電流計測器5と、分電盤用キャビネット10とを備える。分電盤用キャビネット10は、接続ケーブル55における第2コネクタ552と反対側の端部に設けられた第3コネクタ553を保持する保持部(側板111)を有している。
また、本実施形態の分電盤1のように、前記保持部は、分電盤用キャビネット10の一部で且つ孔1111(第3孔)が形成された側板111により構成されているのが好ましい。この場合、前記保持部は、孔1111に第3コネクタ553が差し込まれた状態で第3コネクタ553を保持する。