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JP6225372B2 - セラミックフィルタの製造方法 - Google Patents

セラミックフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックフィルタの製造方法に関する。
セラミックフィルタ1の構造として、図4に示すように、セラミック多孔体からなる隔壁2により流体の流路3が形成されたものを基材4とし、その隔壁2の表面にろ過膜5を形成し、基材4の端部にガラスシール6を施した構造が開示されている(特許文献1)。
このセラミックフィルタ1は、O−リング7を介して、ハウジング8内に収納して使用され、このO−リング7によって、セラミックフィルタ1の外周面と端部とが気密的に隔離される構造となっている。ここで、上記のように、基材4の端部は、ガラスシール6で被覆されているため、被処理流体は、図4に実線(F)で示すように、必ず、流路3と、流路3の表面に形成されたろ過膜5を透過して、基材の外周面から流出することになる。当該構造によれば、図4に破線(F´)で示すように、基材の端部から基材の内部に浸入した被処理流体が、ろ過膜5での濾過を経ず、基材の外周面から流出してしまう現象を回避し、目的とする濾過を確実に行うことができる。
なお、セラミックフィルタは、繰り返し使用に伴い、濾別された物質がろ過膜5の表面に堆積して、フィルタとしての処理能力が低下していくため、定期的に苛性ソーダ等の薬液による洗浄処理(以下、薬洗という)が施される。
しかし、特許文献1のように、基材4の端部をガラスシール6で被覆したセラミックフィルタでは、薬洗の繰り返しにより、ガラスシールと基材の境界面が浸食される傾向があり、その耐食性が十分ではない問題があった。
なお、セラミックフィルタの基材の端部に、基材もしくはろ過膜と同じ組成のセラミックを含浸後、乾燥および焼成の各工程を経て、平均細孔径1μ以下の含浸ゾーンを形成し、基材端部をシールする技術も開示されている(特許文献2)。
しかし、上記の含浸ゾーンは多孔質材料(細孔が非常に沢山ある材料)で構成されるため、強度に劣り、シール表面が欠けやすい問題があった。
また、特許文献1の技術では、基材の端部にガラスフリットのスラリーを塗布し、乾燥した後、高温で焼成するという方法でシールを行っており、特許文献2の技術では、基材の端部に、基材もしくは分離膜と同組成のセラミックを含浸させ、乾燥した後、高温で焼成するという方法でシールを行っており、何れも、焼成に手間がかかり、コストも嵩むという問題があった。
特開2006−263498号公報 特開昭61−8106号公報
本発明の目的は前記の問題を解決し、セラミックフィルの基材端部に、簡易なプロセスで、かつ低コストにシールを形成することができ、更に、施されるシール箇所の耐食性および強度の向上を図ることができる技術を提供することである。
本発明では上記課題を解決するために、セラミック多孔体からなる隔壁により流体の流路が形成された基材と、前記隔壁の表面に形成されたろ過膜と、前記基材の端部に形成されたシール層からなるセラミックフィルタを製造するセラミックフィルタの製造方法において、前記シール層を、エアロゾルデポジション法により、セラミック粒子を噴射して形成する構成を採用している。噴射するセラミック粒子は、体積平均粒子径が、レーザー回折・散乱法による体積基準分布において、0.1〜3μmであることが好ましく、更に、噴射するセラミック粒子は、この体積平均粒子径の2倍以上の粒径の体積割合が10%以下となるような、シャープな粒度分布を持つものとすることが好ましい。
なお、エアロゾルデポジション法は、基材表面に脆性材料の緻密な構造物を加熱工程なしに形成する方法として公知の手法であり、脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に向けて噴射し、該基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起さしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させる手法である。エアロゾルデポジション法によれば、常温で構造物が形成可能であり、焼成体と同等の機械的強度を保有する緻密な構造物を得ることができる。
上記のように、本発明では、セラミック多孔体からなる隔壁により流体の流路が形成された基材と、前記隔壁の表面に形成されたろ過膜と、前記基材の端部に形成されたシール層からなるセラミックフィルタを製造するセラミックフィルタの製造方法において、前記シール層を、エアロゾルデポジション法により、セラミック粒子を噴射して形成する構成を採用しているため、シール層形成に際し、「焼成」が不要となり、コストを抑えつつ簡易なプロセスで、シール層の形成を行うことができる。
また、本発明の「エアロゾルデポジション法により、セラミック粒子を噴射して形成」する構成によれば、緻密質セラミックスからなるシール層が形成されるため、ガラスシールで基材の端部をシールした従来技術(特許文献1に記載の従来技術)と比べて、シール箇所の耐食性向上を図ることができる。また、基材もしくはろ過膜と同じ組成のセラミック多孔体で基材の端部をシールした従来技術(特許文献2に記載の従来技術)と比べて、シール箇所の強度向上を図ることができる。
本実施形態のセラミックフィルタをハウジングに充填して使用した状態を示す概念図であり、セラミックフィルタを中心軸に沿って切断した切断面を側方から見た概略断面図である。 シール層の形成に用いるエアロゾルデポジション装置の概略図である。 実施例1〜12、比較例1〜2のセラミックフィルタを中心軸に沿って切断した切断面を側方から見た概略断面図である。 従来技術の説明図である。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
セラミックフィルタは、図1に示すように、セラミック多孔体からなる隔壁により流体の流路が形成された基材9と、前記隔壁の表面に形成されたろ過膜10と、前記基材の端部に形成されたシール層11からなり、前記シール層11を、気孔率が10%以下かつ、前記シール層の結晶質量が80%以上の緻密質セラミックスで構成したものである。本明細書において、「基材の端部」とは、少なくとも基材の端面32を含み、必要に応じて、その近傍の基材の側面33を含めた箇所を意味する。
基材9は、1〜30μmの平均細孔径を有する多孔体であり、その好ましい形状は、単一の流通路を有するチューブ状、並行する多数の流通路を有するハニカム状又はモノリス状である。なお、本明細書における「基材の平均細孔径」とは、水銀圧入法により測定された平均細孔径を意味する。基材9は、少なくとも骨材と焼結助剤(I)が焼結されることにより形成され、例えば骨材と焼結助剤(I)に有機バインダーなどの成形助剤と必要により界面活性剤等が添加され混練されてなる坏土がハ二カム形状等に押し出し成形され乾燥された後焼成されて形成される。焼成温度は、好ましくは1200〜1550℃であり、最高温度での焼成時間は好ましくは1〜2時間である。骨材は基材の主成分を構成するセラミック製の粒子であり、例えばアルミナ、ムライト、コージェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、陶磁器屑等の粒子が好ましく、濾過の目的に適合するように適宜選択される。骨材の平均粒子径は好ましくは5〜200μm程度である。骨材は、骨材と焼結助剤(I)の合計を基準として好ましくは65〜90質量%含まれ、焼結助剤(I)は好ましくは10〜35質量%含まれる。
ろ過膜10はセラミックフィルタの濾過機能を確保するための部材であって、基材9上に形成されるセラミックの多孔体であり、基材9の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する。なお、本明細書における「ろ過膜の平均細孔径」とは、ASTM F316に記載のエアフロー法により測定された平均細孔径を意味する。
ろ過膜10は、セラミック粒子と好ましくは焼結助剤(II)を含む原料が基材9上に施与されて焼成されることによって形成され、例えばセラミック粒子と焼結助剤(II)が水等の分散媒中に分散され、必要に応じて有機バインダー、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤等が添加されてなる製膜用スラリーが基材9上、好ましくは被処理流体の流通路内面に施与され乾燥された後焼成され形成される。焼成は、基材より低い温度で行われる。ろ過膜10を形成するために用いられるセラミック粒子には、上述の骨材と同様の材料を使用することができ、粒子径は濾過の目的に応じて適切な細孔径となるよう適宜選択される。セラミック粒子は、セラミック粒子と焼結助剤の合計を基準として好ましくは85〜95質量%含まれ、焼結助剤は好ましくは5〜15質量%含まれる。
シール層11は、基材9の端部から被処理流体が基材9内部に侵入することを防止するための部材であり、基材9の両端部を被覆するように形成される。シール層11は、基材9の両端部近傍のろ過膜10の一部を被覆するように形成することもできる。
シール層11は、アルミナ、チタニア、ジルコニア等、ガラスよりも耐食性に優れた材質で形成することが好ましく、基材9もしくはろ過膜10と同一組成のセラミックスで形成して、熱膨張差が小さくなるようにすることがより好ましい。
本発明では、図2に示すエアロゾルデポジション装置を用いて、シール層11の形成を行っている。エアロゾルデポジション装置は、大略、成膜材料の微粒子をエアロゾル化(固相−気相状態化)するエアロゾル発生部12と、エアロゾルを基板に向けて噴射して成膜を行う成膜部13と、成膜部13を減圧雰囲気に保持する排気系14から構成される。
エアロゾル発生部12は、エアロゾル発生器15、エアロゾル発生器15に圧縮されたキャリアガスを供給するガスボンベ16、マスフロー制御器17、および配管18、19、20等から構成される。
エアロゾル発生器15は、容器21内にセラミック粒子22が充填され、容器21内にキャリアガスを送り込む配管17と、舞い上がったセラミック粒子がキャリアガスと共に形成されるエアロゾルを送出する配管18とが接続されている。セラミック粒子22は、粒径0.08〜2 μm程度に整えた上で、十分に除湿後、容器21に充填されることが好ましい。本実施形態では、体積平均粒子径が、レーザー回折・散乱法による体積基準分布において、0.1〜3μmであり、かつ、上記体積平均粒子径の2倍以上の粒径の体積割合が10%以下であるものを使用している。
エアロゾル発生器15では、配管17がセラミック粒子22中に挿入されているので、配管17から供給されるキャリアガスにより容器21内の空間にセラミック粒子22が舞い上がりエアロゾルが形成される。エアロゾルは配管18を介して、解砕器23および分級器24を経て、配管20を介して成膜部13に送出される。
ガスボンベ16には、キャリアガスが充填され、キャリアガスとしては、アルゴンガスの他、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン、窒素などの不活性ガスを用いることができる。
マスフロー制御器17はキャリアガスの流量を制御し、エアロゾル発生器15で形成されるエアロゾルの流量を制御する。
成膜部13は、成膜室25内に、配管20を介して接続された噴射ノズル26と、噴射ノズル26と対向して、基材27を回転自在に保持する基材保持台28が設けられ、さらに、基材27の位置を制御するXYZθステージ29が基材保持台28に連結されている。噴射ノズル26から、基材27の端部に向けて噴射されたエアロゾルは、基材27の端部に衝突する。この衝突時に、エアロゾル粒子の持つ運動エネルギーが、成膜エネルギーに変えられて、基材と強固に結合した膜が形成される。 噴射速度は、50m/s〜1000m/sに設定することが好ましい。
噴射ノズル26は、3次元方向で移動自在な構成として、基材に向けて、あらゆる方向からエアロゾルを噴射できるようにすることが好ましい。噴射ノズル26を先細りの形状として、エアロゾルの流速を増す設計とすることもできる。
XYZθステージ29は、基材保持台28をエアロゾルの入射方向に対して垂直方向に定速・繰り返し駆動動作を行うものであってもよい。
排気系14は、成膜室25に接続され、成膜室25内の圧力を減圧雰囲気とするためのメカニカルブースタ30及び真空ポンプ31から構成され、成膜室25を減圧雰囲気としてエアロゾルの噴射速度を高める機能を有している。真空ポンプ30は、例えば、ロータリーポンプやダイアフラム型真空ポンプ等を用いることができる。
上記のように、シール層を、エアロゾルデポジション装置を用いたエアロゾルデポジション法で形成することにより、焼成が不要となるため、コストを抑えつつ簡易なプロセスで、シール層の形成を行うことができる。
適宜必要に応じて、シール層の形成に先立って、シール形成する基材表面部を滑らかにする目的で溶射法によって前記基材の端部に溶射被膜を形成し、この溶射被膜に前記シール層を積層することが好ましい、また、シール層の形成に先立って、前記基材の流路出入口のエッジ部および該基材の外周エッジ部に、面取り処理を施すこともできる。シール層11の形成は、ろ過膜10の形成後に行ってもよいし、ろ過膜10の形成前に行ってもよい。その他、第一のろ過膜を形成後、シール層を形成し、その後、更に、第二のろ過膜を形成することもできる。
本発明では、シール層11を、気孔率が10%以下、かつ、前記シール層の結晶質量が80%以上の緻密質セラミックスで構成することにより、シール箇所の、耐食性および強度の向上を実現している。気孔率が10%を超過すると、従来の多孔質セラミックによってシールした場合と同様に、強度が低下するため好ましくなく、結晶質量が80%未満の場合、非晶質成分が増加し、従来のガラスシールの場合と同様に、シール箇所の耐食性が低下するため好ましくない。
なお、セラミックフィルタに要求される分離性能に応じて、前記セラミックフィルタを、O−リングを介してハウジング内に収納して使用される際にO−リングと接触する箇所に、研削加工を施すこともできる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。実施例1〜12、比較例1〜2では、図3に示すように、セラミック多孔体からなる隔壁により流体の流路が形成された基材9と、前記隔壁の表面に形成された中間膜34と、中間膜34の上に重ねて形成されたろ過膜10と、基材9の端部およびその近傍のろ過膜10の一部を被覆するように形成されたシール層11からなるセラミックフィルタを作成した。
実施例及び比較例において、以下の材料を使用した。下記の各「平均粒子径」は、レーザ回折式粒度測定装置を用いて測定した。
骨材:平均粒子径80μmのアルミナ質研磨剤
セラミック粒子1:平均粒子径3.0μmの微粒アルミナ(中間膜用)
セラミック粒子2:平均粒子径0.5μmの微粒チタニア(ろ過膜用)
材料1:カリ長石とカオリンを微粉砕し混合した材料 平均粒子径0.8μm
材料2:表1記載のガラス原料を1600℃で溶融して均一化し、冷却後1.0μmに粉砕して得られたフリット
(実施例1〜12のセラミックフィルタの製造)
骨材と焼結助剤の合計質量を基準として、85質量%の骨材と、焼結助剤として15質量%の材料1と、これらの合計100質量部に対して4.5質量部のメチルセメロースと1.0質量部の界面活性剤を混合し、押出成形により、複数の流通路を有するハニカム形状の成形体を得た。この成形体を乾燥後、1500℃で2時間焼成して平均細孔径10μmの基材9を得た。
次に、セラミック粒子1、100質量部に対し、材料2のフリット14重量部を添加し、更に水、分散剤及び増粘剤を加えて混合することによりスラリーを調整し、そのスラリーを用い、特公昭63−66565公報に記載の濾過成膜法により、基材の内周面に膜厚200μm成膜し、その後、大気雰囲気下、950℃で1時間焼成し、中間膜34を形成した。さらにその後、セラミック粒子2に、水、分散剤及び増粘剤を加えて混合することによりスラリーを調整し、濾過成膜法により、中間膜34の上に膜厚20μmとなるよう成膜し、大気雰囲気下、950℃で1時間焼成することで、ろ過膜10を形成した。
最後に、この基材9の端部および該端部近傍のろ過膜10部分を覆うようにして、下記表3に示す各条件でシール層が形成された。
具体的には、実施例1〜12のシール層形成には、AD法(キャリアガスはアルゴン、エアロゾル粒子の噴射速100〜500m/sで制御)を使用した。実施例9、10では、シール層の形成に先立って、溶射法によって前記基材の端部にアルミナ粒子を溶射して、溶射被膜を形成した。このとき、基材9の端面32を被覆する箇所は、基材端面に対し、溶射角度90°で溶射を行い、基材9の側面33を被覆する箇所は、基材端面に対し、溶射角度0°で溶射を行った。実施例10では、シール層の形成に先立って、基材の流路出入口のエッジ部および該基材の外周エッジ部に、面取り処理を施した。
(比較例1〜2のセラミックフィルタの製造)
上記「実施例1〜12」と同様にして、基材9と中間膜34およびろ過膜10を形成し、この基材9の端部およびその近傍のろ過膜10の一部を覆うようにして、ガラスシール用のスラリーが塗布され、950℃で1時間焼成されて比較例1〜2のセラミックフィルタが得られた。
ガラスシールの形成は、具体的には、以下のようにして行った。まず、フリットとして、表2に記載のガラス原料を1600℃で溶融して均一化し、これを冷却した後に平均粒径15μmとなるように粉砕したものを用意した。そのフリットに対し、水、及び有機バインダを加えて混合することによりスラリーを調製した。そのスラリーをセラミックフィルタの両端部に塗布し、乾燥した後、950℃で1時間焼成することにより、ガラスシールを備えたセラミックフィルタを得た。
上記のようにして得られた、各シール層を備えたセラミックフィルタについて、結晶質量おとび気孔率を求めるとともに、耐食性および強度の評価を行った結果を表3に示している。結晶質量はX線回折による標準物を使用した検量線法により算出して求め、気孔率は電子顕微鏡画像解析で二値化により算出して求めた。耐食性および強度は、以下の方法により評価した。
(耐食性の評価方法)
洗浄用薬液として、2質量%クエン酸水溶液と、有効塩素5000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを用意した。これらの薬液の液温を30℃に調整した後、各々の薬液に、セラミックフィルタを6時間ずつ交互に浸漬する操作を1サイクルとしてこのサイクルを複数回繰り返した。浸漬操作10回毎に、JIS K3832に記載のバブルポイント法試験に準拠して、ガラスシールの部分の発泡圧を測定し、その値の変化からセラミックフィルタの耐食性を評価した。具体的には、ガラスシールの部分の発泡圧が100kPa以上であればセラミックフィルタの劣化がないものと判断し、100kPaを下回るまでの回数を基準に耐食性の優劣を評価した。
(強度の評価方法)
先端R0.5mmの鉄製ピンに1kgの荷重を加え、30mm/secで移動させてシール層を引っ掻き、傷発生の有無を評価した。
表3に示すように、シール層を、AD法で形成した実施例1〜12については、何れも、良好な耐食性と強度を示すことが確認された。このうち、実施例1〜11では、「気孔率が10%以下かつ、前記シール層の結晶質量が80%以上の緻密質セラミックスからなるシール層」が形成され、特に良好な耐食性を示すことが確認された。一方、ガラスフリットのスラリーの塗布・乾燥・焼成の各工程を経てシール層を形成した比較例1では実施例1〜12に比べて、耐食性が劣ることが確認された。また、アルミナ粒子を原料としたスラリーの含浸・乾燥・焼成の各工程を経てシール層を形成した比較例2では、気孔率が35%と高い上、焼成によりクラックも発生した。そのため、実施例1〜12に比べて、強度が劣ることが確認された。
1 セラミックフィルタ
2 隔壁
3 流路
4 基材
5 ろ過膜
6 ガラスシール
7 O−リング
8 ハウジング
9 基材
10 ろ過膜
11 シール層
12 エアロゾル発生部
13 膜部
14 気系
15 アロゾル発生器
16 スボンベ
17 マスフロー制御器
18、19、20 配管
21 容器
22 セラミック粒子
23 解砕器
24 分級器
25 成膜室
26 噴射ノズル
27 基材
28 基材保持台
29 XYZθステージ
30 メカニカルブースタ
31 真空ポンプ
32 端面
33 側面
34 中間膜

Claims (7)

  1. セラミック多孔体からなる隔壁により流体の流路が形成された基材と、前記隔壁の表面に形成されたろ過膜と、前記基材の端部に形成されたシール層からなるセラミックフィルタを製造するセラミックフィルタの製造方法であって、
    前記シール層を、エアロゾルデポジション法により、セラミック粒子を噴射して形成することを特徴とするセラミックフィルタの製造方法。
  2. 前記セラミック粒子として、体積平均粒子径が、レーザー回折・散乱法による体積基準分布において、0.1〜3μmのものを使用することを特徴とする請求項1記載のセラミックフィルタの製造方法。
  3. 前記セラミック粒子として、前記体積平均粒子径の2倍以上の粒径の体積割合が10%以下であるものを使用することを特徴とする請求項2記載のセラミックフィルタの製造方法。
  4. 前記シール層が、気孔率が10%以下の緻密質セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
  5. 前記シール層が、結晶質量が80%以上の緻密質セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
  6. 前記シール層の形成に先立って、溶射法によって前記基材の端部に溶射被膜を形成し、該溶射被膜に前記シール層を積層することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
  7. 前記シール層の形成に先立って、前記基材の流路出入口のエッジ部および該基材の外周エッジ部に、面取り処理を施すことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のセラミックフィルタの製造方法。
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