JP6296430B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、目標トルクを出力させるようにエンジンを制御するエンジンの制御装置に関する。
従来、ガソリンエンジンのような火花点火式のエンジンにおいて、現在使用している燃料のオクタン価を推測し、そのオクタン価に応じた点火時期マップを参照して、ノッキングを起こさない適切な点火時期を決定する制御を実施するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載された制御装置では、燃料のオクタン価が高くなるほど、ノッキングを引き起こさない限界の点火時期進角量(ノック限界)が進角側に設定される。すなわち、オクタン価が高くなるほど、最も高いトルクが得られるMBTの近傍まで点火時期を進角させることができ、燃費を向上させることができる。
この特許文献1に記載された制御装置では、燃料のオクタン価が高くなるほど、ノッキングを引き起こさない限界の点火時期進角量(ノック限界)が進角側に設定される。すなわち、オクタン価が高くなるほど、最も高いトルクが得られるMBTの近傍まで点火時期を進角させることができ、燃費を向上させることができる。
ところで、近年では、アクセルペダルの操作等の車両の運転状態に基づき目標トルクを設定し、その目標トルクを出力させるようにエンジンを制御する、いわゆるトルクベース制御が知られている。上記の特許文献1に記載されているような制御装置を、トルクベース制御を実行するエンジンに適用した場合において、異なるオクタン価の燃料により同じ目標トルクを出力させようとした場合、燃料のオクタン価が高く点火時期の進角量を大きくできるほど、少ない吸入空気量(及びそれに相当する燃料量)により目標トルクを出力させることができる。すなわち、同じ目標トルクを出力させようとした場合、燃料のオクタン価が高いほど、スロットルバルブの開度が小さくなる。
したがって、例えば自動変速機によるアップシフト(低速段から高速段への変速)時のように、エンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合、高いオクタン価に応じて点火時期の進角量が大きく設定されていると、目標トルクの低下に応じて吸入空気量を減少させるためにスロットルバルブの閉じ量が一層多くなり、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みが顕著になる。その結果、アップシフト後の出力トルクの落ち込みが生じ、変速ショックを引き起こしてしまう。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、高いオクタン価に応じて点火時期が進角されているときに、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、ショックを引き起こすことなく目標トルクを出力させるようにエンジンを制御することができる、エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のエンジンの制御装置は、目標トルクを出力させるようにエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、エンジンのノック限界点火時期を、燃料のオクタン価に応じて設定するノック限界点火時期設定手段と、エンジンの現在の運転状態に基づき、エンジンが出力可能なトルクを予測するトルク予測手段と、トルク予測手段が予測した予測トルクに所定の付加トルクを加えた値を上限トルクとして算出し、目標トルクを上限トルク以下に設定する目標トルク設定手段と、目標トルクに基づき吸入空気量を制御する空気量制御手段とを有し、目標トルク設定手段は、ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されている場合、ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合よりも付加トルクを大きくすることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、目標トルク設定手段は、ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されている場合、ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合よりも付加トルクを大きくするので、相対的に高いオクタン価に応じて点火時期が進角されていることによりスロットルバルブの閉じ量が相対的に大きい場合には、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合よりも、付加トルクの増大に応じて吸入空気量を増大させるためにスロットルバルブの閉じ量を少なくすることができる。これにより、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、ショックを引き起こすことなく目標トルクを出力させるようにエンジンを制御することができる。
このように構成された本発明においては、目標トルク設定手段は、ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されている場合、ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合よりも付加トルクを大きくするので、相対的に高いオクタン価に応じて点火時期が進角されていることによりスロットルバルブの閉じ量が相対的に大きい場合には、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合よりも、付加トルクの増大に応じて吸入空気量を増大させるためにスロットルバルブの閉じ量を少なくすることができる。これにより、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、ショックを引き起こすことなく目標トルクを出力させるようにエンジンを制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、目標トルク設定手段は、ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されており、且つ、エンジンの運転状態が相対的に高負荷且つ高回転の運転領域にある場合、ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合又はエンジンの運転状態が相対的に低負荷若しくは低回転の運転領域にあるよりも付加トルクを大きくする。
このように構成された本発明においては、相対的に高いオクタン価に応じて点火時期が進角されており、且つ相対的に高負荷高回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させることでスロットルバルブの閉じ量を少なくするので、エンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、これにより、ショックを引き起こすことなく高い目標トルクを維持することができる。
また、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合、あるいは低負荷又は低回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させず、したがって吸入空気量を増大させないので、全運転領域において付加トルクを大きくして吸入空気量を増大させることにより例えば高負荷低回転領域においてプリイグニッションが発生することを防止できる。
このように構成された本発明においては、相対的に高いオクタン価に応じて点火時期が進角されており、且つ相対的に高負荷高回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させることでスロットルバルブの閉じ量を少なくするので、エンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、これにより、ショックを引き起こすことなく高い目標トルクを維持することができる。
また、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合、あるいは低負荷又は低回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させず、したがって吸入空気量を増大させないので、全運転領域において付加トルクを大きくして吸入空気量を増大させることにより例えば高負荷低回転領域においてプリイグニッションが発生することを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、エンジンの制御装置は、ターボ過給機を有するエンジンの制御装置であり、トルク予測手段は、ターボ過給機による現在の過給圧に基づき、エンジンが出力可能なトルクを予測する。
このように構成された本発明においては、例えばエンジン回転数が低く十分な過給圧が得られない場合でも、その状態を反映してエンジンが出力可能なトルクを正確に予測し、その正確な予測トルクに基づき目標トルクを設定することができるので、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、ショックを引き起こすことなく必要な目標トルクを確実に出力させるようにエンジンを制御することができる。
このように構成された本発明においては、例えばエンジン回転数が低く十分な過給圧が得られない場合でも、その状態を反映してエンジンが出力可能なトルクを正確に予測し、その正確な予測トルクに基づき目標トルクを設定することができるので、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、ショックを引き起こすことなく必要な目標トルクを確実に出力させるようにエンジンを制御することができる。
本発明によるエンジンの制御装置によれば、高いオクタン価に応じて点火時期が進角されているときに、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、ショックを引き起こすことなく目標トルクを出力させるようにエンジンを制御することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を説明する。
<システム構成>
まず、図1及び図2により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
まず、図1及び図2により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、エンジンシステム100は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路1と、この吸気通路1から供給された吸気と、後述する燃料噴射弁13から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン10(具体的にはガソリンエンジン)と、このエンジン10内の燃焼により発生した排気ガスを排出する排気通路25と、エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ40〜54と、エンジンシステム100全体を制御するPCM60(エンジンの制御装置)とを有する。
吸気通路1には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を昇圧させる、ターボ過給機4のコンプレッサ4aと、外気や冷却水により吸気を冷却するインタークーラ5と、通過する吸気の量(吸入空気量)を調整するスロットルバルブ6と、エンジン10に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク7と、が設けられている。
また、吸気通路1には、コンプレッサ4aによって過給された吸気の一部を、コンプレッサ4aの上流側に還流するためのエアバイパス通路8が設けられている。具体的には、エアバイパス通路8の一端は、コンプレッサ4aの下流側で且つスロットルバルブ6の上流側の吸気通路1に接続され、エアバイパス通路8の他端は、エアクリーナ3の下流側で且つコンプレッサ4aの上流側の吸気通路1に接続されている。
このエアバイパス通路8には、エアバイパス通路8を流れる吸気の流量を開閉動作により調節するエアバイパスバルブ9が設けられている。エアバイパスバルブ9は、エアバイパス通路8を完全に閉じる閉状態と完全に開く開状態とに切り換え可能な、いわゆるオンオフバルブである。
エンジン10は、主に、吸気通路1から供給された吸気を燃焼室11内に導入する吸気バルブ12と、燃焼室11に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁13と、燃焼室11内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ14と、燃焼室11内での混合気の燃焼により往復運動するピストン15と、ピストン15の往復運動により回転されるクランクシャフト16と、燃焼室11内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路25へ排出する排気バルブ17と、を有する。
また、エンジン10は、吸気バルブ12及び排気バルブ17のそれぞれの動作タイミング(バルブの開閉時期に相当する)を、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing Mechanism)としての可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19によって可変に構成されている。可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19としては、公知の種々の形式を適用可能であるが、例えば電磁式又は油圧式に構成された機構を用いて、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを変化させることができる。
排気通路25には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によってコンプレッサ4aを駆動する、ターボ過給機4のタービン4bと、例えばNOx触媒や三元触媒や酸化触媒などの、排気ガスの浄化機能を有する触媒装置35a、35bが設けられている。以下では、これらの触媒装置35a、35bを区別しないで用いる場合には、単に「触媒装置35」と表記する。
また、排気通路25上には、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路1に還流させるEGR装置26が設けられている。EGR装置26は、一端がタービン4bの上流側の排気通路25に接続され、他端がコンプレッサ4aの下流側で且つスロットルバルブ11の下流側の吸気通路1に接続されたEGR通路27と、EGRガスを冷却するEGRクーラ28と、EGR通路27を流れるEGRガス量(流量)を制御するEGRバルブ29と、を有する。このEGR装置26は、いわゆる高圧EGR装置(HPL(High Pressure Loop)EGR装置)に相当する。
また、排気通路25には、排気ガスを、ターボ過給機4のタービン4bを通過させずに迂回させるタービンバイパス通路30が設けられている。このタービンバイパス通路30には、タービンバイパス通路30を流れる排気ガスの流量を制御するウェイストゲートバルブ(以下「WGバルブ」と称する)31が設けられている。
また、排気通路25においては、EGR通路27の上流側の接続部分とタービンバイパス通路30の上流側の接続部分との間の通路が、第1通路25aと第2通路25bとに分岐されている。第1通路25aは第2通路25bよりも径が大きく、換言すると第2通路25bは第1通路25aよりも径が小さく、第1通路25aには開閉バルブ25cが設けられている。開閉バルブ25cが開いている場合には、排気ガスは基本的には第1通路25aに流れ、開閉バルブ25cが閉じている場合には、排気ガスは第2通路25bにのみ流れる。そのため、開閉バルブ25cが閉じている場合には、開閉バルブ25cが開いている場合よりも、排気ガスの流速が大きくなる。開閉バルブ25cは低回転数領域において閉じられ、流速が上昇された排気ガスをターボ過給機4のタービン4bに供給して、低回転域でもターボ過給機4による過給が行えるようになっている。
エンジンシステム100には、当該エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ40〜54が設けられている。これらセンサ40〜54は、具体的には以下の通りである。アクセル開度センサ40は、アクセルペダルの開度(ドライバがアクセルペダルを踏み込んだ量に相当する)であるアクセル開度を検出する。エアフローセンサ41は、エアクリーナ3とコンプレッサ4aとの間の吸気通路1を通過する吸気の流量に相当する吸入空気量を検出する。温度センサ42は、エアクリーナ3とコンプレッサ4aとの間の吸気通路1を通過する吸気の温度を検出する。圧力センサ43は、過給圧を検出する。スロットル開度センサ44は、スロットルバルブ6の開度であるスロットル開度を検出する。圧力センサ45は、エンジン10に供給される吸気の圧力に相当するインマニ圧(サージタンク7内の圧力)を検出する。クランク角センサ46は、クランクシャフト16におけるクランク角を検出する。吸気側カム角センサ47は、吸気カムシャフトのカム角を検出する。排気側カム角センサ48は、排気カムシャフトのカム角を検出する。温度センサ49は、エンジン10の冷却水の温度(水温)を検出する。WG開度センサ50は、WGバルブ31の開度を検出する。O2センサ51は、触媒装置35aの上流側の排気ガス中の酸素濃度を検出し、O2センサ52は、触媒装置35aと触媒装置35bとの間の排気ガス中の酸素濃度を検出する。車速センサ53は、車両の速度(車速)を検出する。ノックセンサ54は、例えばエンジン10のシリンダブロックに設けられ、エンジン10のノッキングによる振動を検出する。これらの各種センサ40〜54は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S140〜S154をPCM60に出力する。
PCM60は、上述した各種センサ40〜54から入力された検出信号S140〜S154に基づいて、エンジンシステム100内の構成要素に対する制御を行う。具体的には、図2に示すように、PCM60は、スロットルバルブ6に制御信号S106を供給して、スロットルバルブ6の開閉時期やスロットル開度を制御し、エアバイパスバルブ9に制御信号S109を供給して、エアバイパスバルブ9の開閉を制御し、WGバルブ31に制御信号S131を供給して、WGバルブ31の開度を制御し、燃料噴射弁13に制御信号S113を供給して、燃料噴射量や燃料噴射タイミングを制御し、点火プラグ14に制御信号S114を供給して、点火時期を制御し、可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19のそれぞれに制御信号S118、S119を供給して、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを制御し、EGRバルブ29に制御信号S129を供給して、EGRバルブ29の開度を制御する。
特に、本実施形態では、PCM60は、エンジン10においてノッキングが発生しない限界の点火時期(ノック限界点火時期)を、燃料のオクタン価に応じて設定する。また、PCM60は、エンジン10が所定時間先に出力可能なトルクを予測し、その予測トルクに所定の付加トルクを加えた値を上限トルクとして算出して、目標トルクを上限トルク以下に設定する。また、PCM60は、目標トルクに基づき吸入空気量を制御する。また、PCM60は、ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されている場合、ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合よりも付加トルクを大きくする。このように、PCM60は、本発明における「エンジンの制御装置」に相当し、本発明における「ノック限界点火時期設定手段」、「トルク予測手段」、「目標トルク設定手段」、「空気量制御手段」として機能する。
PCM60の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
<エンジン制御処理>
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態において行われるエンジン10の基本制御について説明する。図3は、本発明の実施形態によるエンジン制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による点火時期設定マップの一例である。このエンジン制御処理は、車両のイグニッションがオンにされ、PCM60に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態において行われるエンジン10の基本制御について説明する。図3は、本発明の実施形態によるエンジン制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による点火時期設定マップの一例である。このエンジン制御処理は、車両のイグニッションがオンにされ、PCM60に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM60は車両の運転状態に関する各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、アクセル開度センサ40が検出したアクセル開度、エアフローセンサ41が検出した吸入空気量、車速センサ53が検出した車速、ノックセンサ54が検出したノッキングの有無、車両の変速機に現在設定されているギヤ段等を取得する。
次に、ステップS2において、PCM60は、ステップS1において取得された車両の運転状態に基づき、目標加速度を設定する。具体的には、PCM60は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して、アクセル開度センサ40によって検出されたアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次に、ステップS3において、PCM60は、ノック限界点火時期を、ステップS1において取得されたエンジン10の運転状態及び現在使用している燃料のオクタン価に応じて設定する。
具体的には、PCM60は、現在使用している燃料のオクタン価を予め推定しておく。例えば、PCM60は、燃料が給油された後の適当な時期に、エンジン10の運転中に点火時期を徐々に進角させ、ノッキングが検出されたときのノック発生点火時期を特定する。そして、ノック発生点火時期とオクタン価との関係を規定したマップ(予め作成されてメモリ等に記憶されている)を参照し、特定したノック発生点火時期に対応するオクタン価を、現在使用している燃料のオクタン価として推定する。
また、PCM60は、エンジン10の運転状態と、ノック限界点火時期を設定するときに使用するオクタン価との関係を各変速段について規定したオクタン価設定マップ(予め作成されてメモリ等に記憶されている)を参照し、ステップS1において取得された車両の運転状態に対応するオクタン価を取得する。図4に例示したオクタン価設定マップでは、横軸がエンジン回転数を表し、縦軸がアクセル開度を表している。また、図4(a)は変速段が1速及び2速のときのオクタン価設定マップであり、図4(b)は変速段が3速以上のときのオクタン価設定マップである。図4に示すように、現在の変速段が1速又は2速の場合、エンジン回転数A及びアクセル開度Bに対応するオクタン価としては93RONが取得されるが、現在の変速段が3速以上の場合、エンジン回転数A及びアクセル開度Bに対応するオクタン価としては98RONが取得される。
そして、PCM60は、予め推定した現在使用している燃料のオクタン価と、エンジン10の運転状態に基づきオクタン価設定マップから取得したオクタン価との内、小さい方の値を、ノック限界点火時期を設定するために使用する点火時期設定用オクタン価として取得する。
そして、PCM60は、種々のオクタン価について充填効率及びエンジン回転数に応じたノック限界点火時期を規定したマップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、取得した点火時期設定用オクタン価に対応するマップを選択し、選択したマップに規定されているノック限界点火時期を、種々の充填効率及び種々のエンジン回転数についてのノック限界点火時期のセットとして設定する。
そして、PCM60は、種々のオクタン価について充填効率及びエンジン回転数に応じたノック限界点火時期を規定したマップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、取得した点火時期設定用オクタン価に対応するマップを選択し、選択したマップに規定されているノック限界点火時期を、種々の充填効率及び種々のエンジン回転数についてのノック限界点火時期のセットとして設定する。
次に、ステップS4において、PCM60は、ステップS2において決定した目標加速度を実現するためのエンジン10の目標トルクを決定する。この場合、PCM60は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン10が出力可能なトルクの範囲内で、目標トルクを決定する。この目標トルクを決定する処理の詳細は後述する。
また、ステップS2〜S4の処理と並行して、ステップS5において、PCM60は、ステップS1においてノックセンサ54から取得した検出信号に基づき、ノッキングが検出されたか否かを判定する。
その結果、ノッキングが検出された場合、ステップS6に進み、PCM60は、ノッキングを抑制するために点火時期を遅角側に補正するときの補正量(点火リタード量)を増大させる。一方、ノッキングが検出されなかった場合、ステップS7に進み、PCM60は、点火リタード量を減少させる。これにより、ノックセンサ54によりノッキングが検出される度に点火時期は徐々に遅角側に補正され、ノッキングが検出されない場合、点火時期は進角側に戻される。ただし、点火リタード量は、燃焼効率の著しい悪化や失火を考慮した燃焼安定性の観点から予め実験により定められたリタード限界を超えないように設定される。
その結果、ノッキングが検出された場合、ステップS6に進み、PCM60は、ノッキングを抑制するために点火時期を遅角側に補正するときの補正量(点火リタード量)を増大させる。一方、ノッキングが検出されなかった場合、ステップS7に進み、PCM60は、点火リタード量を減少させる。これにより、ノックセンサ54によりノッキングが検出される度に点火時期は徐々に遅角側に補正され、ノッキングが検出されない場合、点火時期は進角側に戻される。ただし、点火リタード量は、燃焼効率の著しい悪化や失火を考慮した燃焼安定性の観点から予め実験により定められたリタード限界を超えないように設定される。
ステップS4、及び、ステップS6又はS7の後、ステップS8において、PCM60は、ステップS1において取得した現在のエンジン回転数及びステップS3において決定した目標トルクを含むエンジン10の運転状態に応じて、点火プラグ14による基準点火時期を設定する。
具体的には、PCM60は、目標トルクにフリクションロスやポンピングロスによる損失トルクを加味した目標図示トルクを算出し、種々の充填効率及び種々のエンジン回転数について点火時期と図示トルクとの関係を規定した点火進角マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在のエンジン回転数に対応し且つノッキングが発生しない範囲(ステップS3で設定したノック限界点火時期よりも遅角側の範囲)で可能な限りMBTに近い点火時期の場合に目標図示トルクが得られる点火進角マップを選択し、選択した点火進角マップを参照して、目標図示トルクに対応する点火時期を基準点火時期として設定する。そして、PCM60は、設定した基準点火時期を、ステップS6又はS7において設定した点火リタード量だけ遅角側に補正する。
具体的には、PCM60は、目標トルクにフリクションロスやポンピングロスによる損失トルクを加味した目標図示トルクを算出し、種々の充填効率及び種々のエンジン回転数について点火時期と図示トルクとの関係を規定した点火進角マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在のエンジン回転数に対応し且つノッキングが発生しない範囲(ステップS3で設定したノック限界点火時期よりも遅角側の範囲)で可能な限りMBTに近い点火時期の場合に目標図示トルクが得られる点火進角マップを選択し、選択した点火進角マップを参照して、目標図示トルクに対応する点火時期を基準点火時期として設定する。そして、PCM60は、設定した基準点火時期を、ステップS6又はS7において設定した点火リタード量だけ遅角側に補正する。
次に、ステップS9において、PCM60は、ステップS4により決定された目標トルクをエンジン10に出力させるための目標充填効率を設定する。具体的には、PCM60は、目標図示トルクを出力するために必要な熱量(要求熱量)を求め、この要求熱量を発生させるために必要な目標充填効率を求める。PCM60は、ステップS8において基準点火時期をステップS6又はS7において設定した点火リタード量だけ遅角させる場合には、この点火リタード量に応じて目標充填効率を増大させ、目標トルクがエンジン10から適切に出力されるようにする。
次に、ステップS10において、PCM60は、ステップS9において設定した目標充填効率に相当する空気がエンジン10に導入されるように、エアフローセンサ31が検出した空気量を考慮して、スロットルバルブ6の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期とを決定する。
次に、ステップS11において、PCM60は、ステップS9において決定したスロットル開度及び吸気バルブ12の開閉時期に基づき、スロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18を制御するとともに、エンジン10の運転状態等に応じて決定された目標当量比と、エアフローセンサ41の検出信号S141等に基づき推定した実空気量とに基づき、燃料噴射弁13を制御する。
また、ステップS10〜S11の処理と並行して、ステップS12において、PCM60は、ターボ過給機4による目標過給圧を取得する。例えば、種々のエンジン回転数について目標トルクと目標過給圧との関係を示すマップが予めメモリ等に記憶されており、PCM60は、そのマップを参照し、現時点でのエンジン回転数及びステップS4において決定した目標トルクに対応する目標過給圧を取得する。
次に、ステップS13において、PCM60は、ステップS12において取得した目標過給圧を実現するための、WGバルブ31の開度を決定する。
次に、ステップS14において、PCM60は、ステップS13において設定した開度に基づき、WGバルブ31のアクチュエータを制御する。この場合、PCM10は、ステップS13において設定した開度に応じてWGバルブ31のアクチュエータを制御すると共に、圧力センサ43により検出される過給圧を、ステップS12において取得した目標過給圧に近づけるようにアクチュエータをフィードバック制御する。
また、ステップS10〜S11及びステップS12〜S14の処理と並行して、ステップS15において、PCM60は、ステップS8において設定した点火時期に点火が行われるように、点火プラグ14を制御する。
ステップS11、S14及びS15の後、PCM60は、エンジン制御処理を終了する。
ステップS11、S14及びS15の後、PCM60は、エンジン制御処理を終了する。
<目標トルク決定処理>
次に、図5を参照して、目標トルクを決定するための目標トルク決定処理について説明する。図5は、目標トルク決定処理のフローチャートである。
次に、図5を参照して、目標トルクを決定するための目標トルク決定処理について説明する。図5は、目標トルク決定処理のフローチャートである。
図3に示したエンジン制御処理のステップS4において目標トルク決定処理が開始されると、ステップS21において、PCM60は、アクセル開度センサ40、クランク角センサ46、圧力センサ43などから入力された検出信号に基づき、現時点のアクセル開度、エンジン回転数及び過給圧を取得する。
次に、ステップS22において、PCM60は、ステップS21において取得したアクセル開度、エンジン回転数及び過給圧に基づき、エンジン10が所定の予測時間先に出力可能な予測トルクを算出する。なお、予測時間は、目標トルクに基づきスロットルバルブ6や可変吸気バルブ機構18を制御した場合にエンジン10の出力トルクが応答するまでの時間であり、例えば200msである。
例えば、PCM60は、図3に例示したエンジン制御処理のステップS2において決定した目標加速度を実現するために必要なトルクを、アクセルペダルを操作したドライバが要求するトルク(ドライバ要求トルク)として算出する。そして、種々のエンジン回転数について過給圧と出力トルクとの関係を示す過給圧マップ(予め作成されてメモリ等に記憶されている)の中から現在のエンジン回転数に対応するマップを参照し、ドライバ要求トルクに対応する過給圧を目標過給圧として算出する。さらに、現在の過給圧と目標過給圧との間の値(例えば、現在の過給圧と目標過給圧との間を1:9に内分した点の値)を、200ms先の予測過給圧として算出し、現在のエンジン回転数に対応する過給圧マップにおいて予測過給圧に対応する出力トルクを、200ms先に出力可能な予測トルクとして算出する。
例えば、PCM60は、図3に例示したエンジン制御処理のステップS2において決定した目標加速度を実現するために必要なトルクを、アクセルペダルを操作したドライバが要求するトルク(ドライバ要求トルク)として算出する。そして、種々のエンジン回転数について過給圧と出力トルクとの関係を示す過給圧マップ(予め作成されてメモリ等に記憶されている)の中から現在のエンジン回転数に対応するマップを参照し、ドライバ要求トルクに対応する過給圧を目標過給圧として算出する。さらに、現在の過給圧と目標過給圧との間の値(例えば、現在の過給圧と目標過給圧との間を1:9に内分した点の値)を、200ms先の予測過給圧として算出し、現在のエンジン回転数に対応する過給圧マップにおいて予測過給圧に対応する出力トルクを、200ms先に出力可能な予測トルクとして算出する。
次に、ステップS23において、PCM60は、図3のエンジン制御処理のステップS3においてノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価(本実施形態では98RON)に応じて設定されており、且つ、エンジン10の運転状態が相対的に高負荷且つ高回転の運転領域にあるか否かを判定する。具体的には、PCM60は、図3のエンジン制御処理のステップS3において点火時期設定用オクタン価として取得されたオクタン価が98RONであり、現在の変速段が3速以上であり、且つ、エンジン回転数及びアクセル開度が、図4(b)に示したオクタン価設定マップにおいて98RONのオクタン価が設定されている領域のうち高回転側の領域(高回転側98RON設定領域)に含まれているか否かを判定する。
その結果、ノック限界点火時期が98RONに応じて設定されていないか、又は、エンジン10の運転状態が高回転側98RON設定領域に含まれていない場合、ステップS24に進み、PCM60は、ステップS22において算出した予測トルクに、第1の付加トルク(本実施形態では10Nm)を上乗せした値を、エンジン10が予測時間先に出力可能な上限トルクとして設定する。
一方、ノック限界点火時期が98RONに応じて設定されており、且つ、エンジン10の運転状態が高回転側98RON設定領域に含まれている場合、ステップS25に進み、PCM60は、ステップS22において算出した予測トルクに、第1の付加トルクよりも大きい第2の付加トルク(本実施形態では50Nm)を上乗せした値を、エンジン10が予測時間先に出力可能な上限トルクとして設定する。
ステップS24又はS25の後、ステップS26に進み、PCM60は、図3に例示したエンジン制御処理のステップS2において決定した目標加速度を実現するために必要なトルクを、アクセルペダルを操作したドライバが要求するトルク(ドライバ要求トルク)として設定し、ドライバ要求トルクがステップS24又はS25において設定した上限トルクよりも大きいか否かを判定する。
その結果、ドライバ要求トルクが上限トルクよりも大きい場合、ステップS27に進み、PCM60は、上限トルクをエンジン10の目標トルクとして設定する。一方、ドライバ要求トルクが上限トルクよりも大きくない(ドライバ要求トルクが上限トルク以下の場合)、ステップS28に進み、PCM60は、ドライバ要求トルクをエンジン10の目標トルクとして設定する。すなわち、PCM60は、ドライバ要求トルクと上限トルクとの内、小さい方のトルクを目標トルクとして決定する。
ステップS27又はS28の後、PCM60は目標トルク決定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
<エンジンの動作>
次に、図6を参照して、本発明の実施形態による目標トルク決定処理を実行した場合のエンジンの動作を説明する。図6は、本発明の実施形態による目標トルク決定処理を実行した場合のタイムチャートの一例である。具体的には、図6では、上から順に、アクセル開度、エンジン回転数、変速段、高回転側98RON設定領域判定、付加トルク、エンジントルクを示している。なお、エンジントルクのタイムチャートにおいて、点線はドライバ要求トルク、一点鎖線は予測トルク、実線は目標トルクを示している。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態による目標トルク決定処理を実行した場合のエンジンの動作を説明する。図6は、本発明の実施形態による目標トルク決定処理を実行した場合のタイムチャートの一例である。具体的には、図6では、上から順に、アクセル開度、エンジン回転数、変速段、高回転側98RON設定領域判定、付加トルク、エンジントルクを示している。なお、エンジントルクのタイムチャートにおいて、点線はドライバ要求トルク、一点鎖線は予測トルク、実線は目標トルクを示している。
まず、時刻t1において、アクセル開度が最大となるまでアクセルペダルが踏み込まれると、アクセル開度と同じようにドライバ要求トルクが急増する。しかしながら、時刻t1においてはまだエンジン回転数が低く、十分な過給圧が得られていないので、上限トルクはドライバ要求トルクよりも小さい。そこで、PCM60は、上限トルクを目標トルクとして設定し、この目標トルクをエンジン10に出力させるように、スロットルバルブ6、可変吸気バルブ機構18、WGバルブ31などを制御する。
時刻t1の後、変速段が1速及び2速の間は、図4(a)に示したように、高負荷且つ高回転の運転領域においてノック限界点火時期を設定するときに使用するオクタン価が98RONに設定されない。すなわち、ノック限界点火時期が98RONに応じて設定されていないので、PCM60は、200ms先の予測トルクに第1の付加トルク(本実施形態では10Nm)を上乗せした上限トルクを目標トルクとして設定する。
一方、変速段が3速となった後の時刻t2において、エンジン10の運転状態が図4(b)のオクタン価設定マップにおける高回転側98RON設定領域に入り、ノック限界点火時期が98RONに応じて設定されると、PCM60は、200ms先の予測トルクに第2の付加トルク(本実施形態では50Nm)を上乗せした上限トルクを目標トルクとして設定する。この場合、図6に示すように、時刻t2以前と比較して予測トルクに対する付加トルクの上乗せが拡大している。
このように、ノック限界点火時期が98RONに応じて設定されている場合、すなわち点火時期が高いオクタン価に応じて進角されている場合には、相対的に大きい第2の付加トルクを予測トルクに上乗せして目標トルクとしているので、その上乗せ分に応じて吸入空気量を増大させるためにスロットルバルブ6の閉じ量が抑えられている。これにより、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、変速ショックを緩和することができる。
このように、ノック限界点火時期が98RONに応じて設定されている場合、すなわち点火時期が高いオクタン価に応じて進角されている場合には、相対的に大きい第2の付加トルクを予測トルクに上乗せして目標トルクとしているので、その上乗せ分に応じて吸入空気量を増大させるためにスロットルバルブ6の閉じ量が抑えられている。これにより、自動変速機のアップシフト時のようにエンジンの目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、変速ショックを緩和することができる。
<作用効果>
次に、上述した本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果を説明する。
次に、上述した本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果を説明する。
まず、PCM60は、ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されている場合、ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合よりも付加トルクを大きくするので、相対的に高いオクタン価に応じて点火時期が進角されていることによりスロットルバルブ6の閉じ量が相対的に大きい場合には、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合よりも、付加トルクの増大に応じて吸入空気量を増大させるためにスロットルバルブ6の閉じ量を少なくすることができる。これにより、自動変速機のアップシフト時のようにエンジン10の目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、ショックを引き起こすことなく目標トルクを出力させるようにエンジン10を制御することができる。
また、PCM60は、相対的に高いオクタン価に応じて点火時期が進角されており、且つ相対的に高負荷高回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させることでスロットルバルブ6の閉じ量を少なくするので、エンジン10の目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、アップシフト直後における吸入空気量の落ち込みを抑制することができ、これにより、ショックを引き起こすことなく高い目標トルクを維持することができる。
また、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合、あるいは低負荷又は低回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させず、したがって吸入空気量を増大させないので、全運転領域において付加トルクを大きくして吸入空気量を増大させることにより例えば高負荷低回転領域においてプリイグニッションが発生することを防止できる。
また、相対的に低いオクタン価に応じて点火時期が設定されている場合、あるいは低負荷又は低回転の運転状態である場合には、付加トルクを増大させず、したがって吸入空気量を増大させないので、全運転領域において付加トルクを大きくして吸入空気量を増大させることにより例えば高負荷低回転領域においてプリイグニッションが発生することを防止できる。
また、PCM60は、ターボ過給機4による現在の過給圧に基づき、エンジン10が出力可能なトルクを予測するので、例えばエンジン回転数が低く十分な過給圧が得られない場合でも、その状態を反映してエンジン10が出力可能なトルクを正確に予測し、その正確な予測トルクに基づき目標トルクを設定することができるので、自動変速機のアップシフト時のようにエンジン10の目標トルクを一時的に低下させた後に直ちに上昇させる必要がある場合においても、ショックを引き起こすことなく必要な目標トルクを確実に出力させるようにエンジン10を制御することができる。
1 吸気通路
4 ターボ過給機
4a コンプレッサ
4b タービン
6 スロットルバルブ
10 エンジン
13 燃料噴射弁
14 点火プラグ
18 可変吸気バルブ機構
25 排気通路
31 WGバルブ
40 アクセル開度センサ
43 圧力センサ
53 車速センサ
60 PCM
100 エンジンシステム
4 ターボ過給機
4a コンプレッサ
4b タービン
6 スロットルバルブ
10 エンジン
13 燃料噴射弁
14 点火プラグ
18 可変吸気バルブ機構
25 排気通路
31 WGバルブ
40 アクセル開度センサ
43 圧力センサ
53 車速センサ
60 PCM
100 エンジンシステム
Claims (3)
- 目標トルクを出力させるようにエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
上記エンジンのノック限界点火時期を、燃料のオクタン価に応じて設定するノック限界点火時期設定手段と、
上記エンジンの現在の運転状態に基づき、上記エンジンが出力可能なトルクを予測するトルク予測手段と、
上記トルク予測手段が予測した予測トルクに所定の付加トルクを加えた値を上限トルクとして算出し、上記目標トルクを上記上限トルク以下に設定する目標トルク設定手段と、
上記目標トルクに基づき吸入空気量を制御する空気量制御手段と、を有し、
上記目標トルク設定手段は、上記ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されている場合、上記ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合よりも上記付加トルクを大きくする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記目標トルク設定手段は、上記ノック限界点火時期が相対的に高いオクタン価に応じて設定されており、且つ、エンジンの運転状態が相対的に高負荷且つ高回転の運転領域にある場合、上記ノック限界点火時期が相対的に低いオクタン価に応じて設定されている場合又はエンジンの運転状態が相対的に低負荷若しくは低回転の運転領域にあるよりも上記付加トルクを大きくする、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 上記エンジンの制御装置は、ターボ過給機を有するエンジンの制御装置であり、
上記トルク予測手段は、上記ターボ過給機による現在の過給圧に基づき、上記エンジンが出力可能なトルクを予測する請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
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-
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