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JP6296424B2 - ターボ過給機付きエンジンの制御装置 - Google Patents

ターボ過給機付きエンジンの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ターボ過給機付きエンジンの制御装置に係わり、特に、吸気通路に設けられたコンプレッサを備えたターボ過給機を有するエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するターボ過給機付きエンジンの制御装置に関する。
従来、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
一方、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、通常の走行状態にある車両のコーナリング時におけるドライバによる一連の操作(ブレーキング、ステアリングの切り込み、加速、及び、ステアリングの戻し等)が自然で安定したものとなるように、コーナリング時に減速度を調整して操舵輪である前輪に加わる荷重を調整するようにした車両運動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
更に、ドライバのステアリング操作に対応するヨーレート関連量(例えばヨー加速度)に応じて車両の駆動力を低減させることにより、ドライバがステアリング操作を開始したときに減速度を迅速に車両に生じさせ、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えるようにした車両用挙動制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この車両用挙動制御装置によれば、ステアリング操作の開始時に荷重を前輪に迅速に加えることにより、前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性が向上し、ステアリングの切り込み操作に対する応答性が向上する。これにより、ドライバが意図したとおりの車両挙動を実現する。
特開2011−88576号公報 特開2014−166014号公報
ところで、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのような内燃エンジンにおいて、エンジンの出力を向上させるべくターボ過給機を設け、車両の運転状態(例えばドライバによるアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリング等の各種操作や、車速、気温、気圧、道路勾配、路面μ等の走行環境等)に基づいて決定した目標トルクに応じて、ターボ過給機による過給圧を制御するものが知られている。
このようなターボ過給機を有するエンジンの制御装置において、上述した特許文献2に記載の車両用挙動制御装置により、ドライバのステアリング操作に応じて車両に減速度を生じさせるために目標トルクを瞬間的に変化させた場合、その目標トルクの変化を実現するようにターボ過給機の制御が行われることになる。即ち、エンジンの制御装置は、目標トルクの変化に応じて過給圧を変化させるようにターボ過給機を制御する。
しかしながら、車両に減速度を生じさせるために目標トルクが瞬間的に低下した場合、目標トルクの低下に応じて過給圧を低下させるようにターボ過給機の制御が行われるので、その後目標トルクが瞬間的に上昇したとき、目標トルクの上昇に対して過給圧の上昇が追い付かず、加速レスポンスが悪化してしまう。
また、ターボ過給機においては、コンプレッサの下流に設けられたスロットルバルブの開度を絞り吸入空気量を減少させた際にサージングと呼ばれるコンプレッサでの空気の逆流現象が生じ得ることが知られている。このサージングの発生を抑制するために、コンプレッサをバイパスするバイパス通路とバイパス通路を開閉するバイパスバルブとを設け、スロットルバルブの開度を絞る際にバイパスバルブを開くことで、バイパス通路を介してコンプレッサの上流側に過給圧を逃がすことが行われる。
上述した特許文献2に記載の車両用挙動制御装置により、ドライバのステアリング操作に応じて車両に減速度を生じさせるために目標トルクを瞬間的に低下させた場合においても、上述の如くバイパスバルブを開くことによってサージングが生じるのを回避できるが、バイパスバルブを開くと過給圧が低下するので、その後に加速要求があったときに加速レスポンスが悪化してしまう。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ターボ過給機を有するエンジンにおいて、加速レスポンスの悪化を抑制しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる、ターボ過給機付きエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のターボ過給機付きエンジンの制御装置は、吸気通路に設けられたコンプレッサを備えたターボ過給機を有するエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するターボ過給機付きエンジンの制御装置であって、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定手段と、車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、旋回状態に基づき、エンジンのトルクを低減させ、その後にトルクを上昇させるように、トルク低減量を決定するトルク低減量決定手段と、基本目標トルクとトルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定手段と、最終目標トルクをエンジンに出力させるようにエンジンを制御するエンジン制御手段と、を有し、エンジン制御手段は、エンジンの運転状態がコンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、トルク低減量を、エンジンの運転状態が上記過給領域にない場合よりも小さくすることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、エンジン制御手段は、エンジンの運転状態がコンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、車両の旋回状態に基づき決定したトルク低減量を、エンジンの運転状態が過給領域にない場合よりも小さくするので、トルク低減量の変化に応じてそのままエンジンを制御することにより過給圧が過度に低下することを抑制することができ、これにより、加速レスポンスの悪化を抑制しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、エンジンの運転状態がコンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、トルク低減量を0にする。
このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が過給領域にある場合、エンジン制御手段がトルク低減量の変化に応じてエンジンを制御することにより過給圧が低下することを確実に防止でき、これにより、加速レスポンスの悪化を確実に抑制しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、ターボ過給機付きエンジンの制御装置は、最終目標トルクをエンジンに出力させるように吸入空気量を制御する空気量制御手段を有し、空気量制御手段は、エンジンの運転状態がコンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の制御を制限する。
このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が過給領域にある場合、空気量制御手段がトルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じてそのまま吸入空気量を減少させることによりコンプレッサの通過流量が減少してサージングが発生することを抑制でき、これにより、サージングを回避するためにエアバイパスバルブが開くことによる過給圧の低下を抑制して加速レスポンスの悪化を低減することができる。
また、本発明において、好ましくは、空気量制御手段は、エンジンの運転状態がコンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、コンプレッサを通過する吸気の流量が、現在のコンプレッサ圧力比においてサージングが生じる領域とサージングが生じない領域との境界に位置する最小コンプレッサ通過流量以上となるように、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の制御を制限する。
このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が過給領域にある場合、空気量制御手段がトルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じて吸入空気量を減少させることによりコンプレッサの通過流量が減少してサージングが発生することを確実に防止でき、これにより、サージングを回避するためにエアバイパスバルブが開くことによる過給圧の低下を確実に防止して加速レスポンスの悪化を防ぐことができる。
また、本発明において、好ましくは、旋回状態検出手段は、車両のステアリング操作を検出し、トルク低減量決定手段は、ステアリング操作に応じてトルク低減量を決定する。
このように構成された本発明においては、ステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を最終目標トルクの時間変化に反映することができ、これにより、ドライバのステアリング操作に応じた減速度を車両に迅速に付加して荷重を前輪に加え、コーナリングフォースを迅速に増大させることによりステアリング操作に対する応答性を向上させることができ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
本発明によるターボ過給機付きエンジンの制御装置によれば、ターボ過給機を有するエンジンにおいて、加速レスポンスの悪化を抑制しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるターボ過給機のコンプレッサ性能マップである。 本発明の第1実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がエンジンを制御するエンジン制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がトルク低減量を決定するトルク低減量決定処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置が決定する目標付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。 本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合における、ターボ過給機付きエンジンの制御装置によるエンジン制御に関するパラメータの時間変化を示す線図であり、図7(a)は右旋回を行う車両を概略的に示す平面図、図7(b)は図7(a)に示したように右旋回を行う車両の操舵角の変化を示す線図、図7(c)は図7(b)に示したように右旋回を行う車両の操舵速度の変化を示す線図、図7(d)は、図7(c)に示した操舵速度に基づき決定された付加減速度の変化を示す線図、図7(e)は図7(d)に示した付加減速度に基づいて決定されたトルク低減量の変化を示す線図、図7(f)は基本目標トルクの変化を示す線図、図7(g)は基本目標トルクとトルク低減量とに基づき決定された最終目標トルクの変化を示す線図、図7(h)は最終目標トルクに基づき決定された目標空気量と実際の空気量との変化を示す線図、図7(i)は最終目標トルクと実際の空気量とに基づき決定された目標点火時期を、基本点火時期を基準として表した線図、図7(j)は(h)及び(i)に示したように吸入空気量と点火時期の制御を行った場合に車両に発生するヨーレート(実ヨーレート)の変化と、トルク低減量決定部が決定したトルク低減量に基づく制御を行わなかった場合の実ヨーレートの変化とを示す線図である。 本発明の第2実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がエンジンを制御するエンジン制御処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がエンジンを制御するエンジン制御処理のフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置を説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、エンジンシステム100は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路1と、この吸気通路1から供給された吸気と、後述する燃料噴射弁13から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン10(具体的にはガソリンエンジン)と、このエンジン10内の燃焼により発生した排気ガスを排出する排気通路25と、エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ30〜39と、エンジンシステム100全体を制御するPCM60(ターボ過給機付きエンジンの制御装置)とを有する。
吸気通路1には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を昇圧させる、ターボ過給機4のコンプレッサ4aと、外気や冷却水により吸気を冷却するインタークーラ5と、通過する吸気の量(吸入空気量)を調整するスロットルバルブ6と、エンジン10に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク7と、が設けられている。
また、吸気通路1には、コンプレッサ4aによって過給された吸気の一部を、コンプレッサ4aの上流側に還流するためのエアバイパス通路8が設けられている。具体的には、エアバイパス通路8の一端は、コンプレッサ4aの下流側で且つスロットルバルブ6の上流側の吸気通路1に接続され、エアバイパス通路8の他端は、エアクリーナ3の下流側で且つコンプレッサ4aの上流側の吸気通路1に接続されている。
このエアバイパス通路8には、エアバイパス通路8を流れる吸気の流量を開閉動作により調節するエアバイパスバルブ9が設けられている。エアバイパスバルブ9は、エアバイパス通路8を完全に閉じる閉状態と完全に開く開状態とに切り換え可能な、いわゆるオンオフバルブである。
エンジン10は、主に、吸気通路1から供給された吸気を燃焼室11内に導入する吸気バルブ12と、燃焼室11に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁13と、燃焼室11内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ14と、燃焼室11内での混合気の燃焼により往復運動するピストン15と、ピストン15の往復運動により回転されるクランクシャフト16と、燃焼室11内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路25へ排出する排気バルブ17と、を有する。
また、エンジン10は、吸気バルブ12及び排気バルブ17のそれぞれの動作タイミング(バルブの位相に相当する)を、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing Mechanism)としての可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19によって可変に構成されている。可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19としては、公知の種々の形式を適用可能であるが、例えば電磁式又は油圧式に構成された機構を用いて、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを変化させることができる。
排気通路25には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によってコンプレッサ4aを駆動する、ターボ過給機4のタービン4bと、例えばNOx触媒や三元触媒や酸化触媒などの、排気ガスの浄化機能を有する排気浄化触媒26a、26bが設けられている。以下では、排気浄化触媒26a、26bを区別しないで用いる場合には、単に「排気浄化触媒26」と表記する。
また、排気通路25には、排気の一部を吸気通路1に還流する排気再循環(Exhaust Gas Recirculation、以下「EGR」と称する)通路27が接続されている。EGR通路27は、一端がタービン4bの上流側の排気通路25に接続され、他端がスロットルバルブ11の下流側の吸気通路1に接続されている。さらに、EGR通路27には、還流させる排気を冷却するEGRクーラ28と、EGR通路27を流れる排気の流量を制御するEGRバルブ29とが設けられている。
さらに、排気通路25には、排気にターボ過給機4のタービン4bを迂回させるタービンバイパス通路30が設けられている。このタービンバイパス通路30には、タービンバイパス通路30を流れる排気の流量を制御するウェイストゲートバルブ(以下「WGバルブ」と称する)31が設けられている。
また、エンジンシステム100には、当該エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ40〜54が設けられている。これらセンサ40〜54は、具体的には以下の通りである。アクセル開度センサ40は、アクセルペダルの開度(ドライバがアクセルペダルを踏み込んだ量に相当する)であるアクセル開度を検出する。エアフローセンサ41は、エアクリーナ3とコンプレッサ4aとの間の吸気通路1を通過する吸気の流量に相当する吸入空気量を検出する。第1温度センサ42は、エアクリーナ3とコンプレッサ4aとの間の吸気通路1を通過する吸気の温度を検出する。第1圧力センサ43は、過給圧を検出する。スロットル開度センサ44は、スロットルバルブ6の開度であるスロットル開度を検出する。第2圧力センサ45は、エンジン10に供給される吸気の圧力に相当するインマニ圧(サージタンク7内の圧力)を検出する。クランク角センサ46は、クランクシャフト16におけるクランク角を検出する。吸気側カム角センサ47は、吸気カムシャフトのカム角を検出する。排気側カム角センサ48は、排気カムシャフトのカム角を検出する。EGR開度センサ49は、EGRバルブ29の開度を検出する。WG開度センサ50は、WGバルブ31の開度を検出する。O2センサ51は、排気中の酸素濃度を検出する。排気温度センサ52は、排気温度を検出する。車速センサ53は、車両の速度(車速)を検出する。操舵角センサ54は、ステアリングホイールの回転角度を検出する。これらの各種センサ40〜54は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S140〜S154をPCM60に出力する。
PCM60は、上述した各種センサ40〜54から入力された検出信号S140〜S154に基づいて、エンジンシステム100内の構成要素に対する制御を行う。具体的には、図2に示すように、PCM60は、スロットルバルブ6に制御信号S106を供給して、スロットルバルブ6の開閉時期やスロットル開度を制御し、エアバイパスバルブ9に制御信号S109を供給して、エアバイパスバルブ9の開閉を制御し、WGバルブ31に制御信号S131を供給して、WGバルブ31の開度を制御し、燃料噴射弁13に制御信号S113を供給して、燃料噴射量や燃料噴射タイミングを制御し、点火プラグ14に制御信号S114を供給して、点火時期を制御し、可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19のそれぞれに制御信号S118、S119を供給して、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを制御する。
また、PCM60は、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定部61と、アクセルペダルの操作を含まない車両の運転状態に基づきトルク低減量を決定するトルク低減量決定部63と、基本目標トルクとトルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定部65と、最終目標トルクを出力させるようにエンジン10を制御するエンジン制御部67と、を有する。
これらのPCM60の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
次に、図3により、バイパスバルブ9の開閉制御を説明する。図3は、本発明の実施形態によるターボ過給機のコンプレッサ性能マップである。
ターボ過給機4は、図3にコンプレッサ性能マップとして示したような性能を有する。コンプレッサ性能マップは、コンプレッサ4aを通過する吸気の流量であるコンプレッサ通過流量と、コンプレッサ4aの上流側及び下流側の吸気圧力の比であるコンプレッサ圧力比(過給圧/大気圧)と、コンプレッサ4aの回転数であるコンプレッサ回転数との関係を規定している。このようなコンプレッサ性能マップは、PCM60の内部メモリに記憶されている。
コンプレッサ性能マップには、図3に示す破線(以下「サージライン」と称する)Lよりもコンプレッサ通過流量が少ない領域に、いわゆるサージ領域が規定されている。サージ領域は、コンプレッサ通過流量とコンプレッサ圧力比との関係で規定され、コンプレッサ圧力比が大きいほどコンプレッサ通過流量が多い側に拡大されている。このサージ領域は、コンプレッサ通過流量に対して、コンプレッサ圧力比が高すぎるため、コンプレッサ4aで過給された吸気がコンプレッサ4aに逆流し得る、つまりサージングが発生し得る運転領域である。
コンプレッサ4aの運転状態がサージ領域に入る傾向にあるのは、例えば自動変速機による変速動作時である。すなわち、自動変速機制御ユニット(ATCU)からのトルクダウン要求に応じてエンジン10のトルクを低下させるべくスロットルバルブ6の開度を調節する場合には、スロットルバルブ6の開度が絞られる一方で、コンプレッサ4aは慣性でしばらく回り続けるため吸気の過給がしばらく続く。その結果、コンプレッサ圧力比が高いままエンジン10への吸入空気量、つまりコンプレッサ通過流量が制限される状況となって、サージングが生じ得る。
エンジン制御部67は、上記のコンプレッサ性能マップに基づいてコンプレッサ4aにサージングが生じるか否かを判定し、その判定結果に応じてエアバイパスバルブ9を開閉制御する。
具体的には、エンジン制御部67は、まず、エアフローセンサ41により検出される吸気流量に基づいて、コンプレッサ通過流量を推定する。続いて、大気圧センサにより検出される大気圧と、第1圧力センサ43により検出される過給圧とに基づき、コンプレッサ圧力比を算出する。そして、図3に示すコンプレッサ性能マップを参照し、コンプレッサ通過流量とコンプレッサ圧力比とから、現在のコンプレッサ4aの運転状態がサージ領域に入るのかどうか、つまりサージングが生じるかどうかを判定する。具体的には、コンプレッサ性能マップにおいて、推定したコンプレッサ通過流量が、算出したコンプレッサ圧力比と同じコンプレッサ圧力比におけるサージラインL上に位置する運転状態にあるときの所定のコンプレッサ通過流量以下であるかどうかを判定する。
その結果、サージングが生じると判定される場合には、エアバイパスバルブ9を開状態とし、コンプレッサ4aの上流側に過給圧を逃がすことによりサージングの発生を回避する。一方、サージングが生じないと判定される場合には、エアバイパスバルブ9を閉状態とし、過給圧を維持する。このようなエアバイパスバルブ9の開閉制御は、エンジン10の運転期間中は、連続的に繰り返し実行される。
次に、図4乃至図6により、ターボ過給機付きエンジンの制御装置が行うエンジン制御処理について説明する。
図4は、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がエンジン10を制御するエンジン制御処理のフローチャートであり、図5は、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がトルク低減量を決定するトルク低減量決定処理のフローチャートであり、図6は、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置が決定する目標付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。
図4のエンジン制御処理は、車両のイグニッションがオンにされ、ターボ過給機付きエンジンの制御装置に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、図4に示すように、ステップS1において、PCM60は車両の運転状態を取得する。具体的には、PCM60は、アクセル開度センサ40が検出したアクセル開度、車速センサ53が検出した車速、操舵角センサ54が検出した操舵角、車両の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサ40〜54が出力した検出信号S140〜S154を運転状態として取得する。
次に、ステップS2において、PCM60の基本目標トルク決定部61は、ステップS1において取得されたアクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき、目標加速度を設定する。具体的には、基本目標トルク決定部61は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次に、ステップS3において、基本目標トルク決定部61は、ステップS2において決定した目標加速度を実現するためのエンジン10の基本目標トルクを決定する。この場合、基本目標トルク決定部61は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン10が出力可能なトルクの範囲内で、基本目標トルクを決定する。
また、ステップS2〜S3の処理と並行して、ステップS4において、トルク低減量決定部63は、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づきトルク低減量を決定するためのトルク低減量決定処理を実行する。このトルク低減量決定処理について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、トルク低減量決定処理が開始されると、ステップS21において、トルク低減量決定部63は、ステップS1において取得した操舵角の絶対値が増大中か否かを判定する。その結果、操舵角の絶対値が増大中である場合、ステップS22に進み、トルク低減量決定部63は、ステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
次に、ステップS23において、トルク低減量決定部63は、操舵速度の絶対値が減少しているか否かを判定する。
その結果、操舵速度の絶対値が減少していない場合、即ち操舵速度の絶対値が増大している又は操舵速度の絶対値が変化していない場合、ステップS24に進み、トルク低減量決定部63は、操舵速度に基づき目標付加減速度を取得する。この目標付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両に付加すべき減速度である。
具体的には、トルク低減量決定部63は、図6のマップに示した目標付加減速度と操舵速度との関係に基づき、ステップS22において算出した操舵速度に対応する目標付加減速度を取得する。
図6における横軸は操舵速度を示し、縦軸は目標付加減速度を示す。図6に示すように、操舵速度が閾値TS(例えば10deg/s)未満の場合、対応する目標付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値TS未満の場合には、ステアリング操作に応じて車両に減速度を付加する制御が行われない。
一方、操舵速度が閾値TS以上の場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する目標付加減速度は、所定の上限値Dmax(例えば1m/s2)に漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど目標付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。
次に、ステップS25において、トルク低減量決定部63は、付加減速度の増大率が閾値Rmax(例えば0.5m/s3)以下となる範囲で今回の処理における付加減速度を決定する。
具体的には、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理のステップS24において決定した目標付加減速度への増大率がRmax以下である場合、ステップS24において決定した目標付加減速度を今回の処理における付加減速度として決定する。
一方、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理のステップS24において決定した目標付加減速度への変化率がRmaxより大きい場合、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理時まで増大率Rmaxにより増大させた値を今回の処理における付加減速度として決定する。
また、ステップS23において、操舵速度の絶対値が減少している場合、ステップS26に進み、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度を今回の処理における付加減速度として決定する。即ち、操舵速度の絶対値が減少している場合、操舵速度の最大時における付加減速度(即ち付加減速度の最大値)が保持される。
また、ステップS21において、操舵角の絶対値が増大中ではない(一定又は減少中である)場合、ステップS27に進み、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度を今回の処理において減少させる量(減速度減少量)を取得する。この減速度減少量は、例えば、予めメモリ等に記憶されている一定の減少率(例えば0.3m/s3)に基づき算出される。あるいは、ステップS1において取得された車両の運転状態やステップS22において算出した操舵速度に応じて決定された減少率に基づき算出される。
そして、ステップS28において、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度からステップS27において取得した減速度減少量を減算することにより、今回の処理における付加減速度を決定する。
ステップS25、S26、又はS28の後、ステップS29において、トルク低減量決定部63は、ステップS25、S26、又はS28において決定した今回の付加減速度に基づき、トルク低減量を決定する。具体的には、トルク低減量決定部63は、今回の付加減速度を実現するために必要となるトルク低減量を、ステップS1において取得された現在の車速、ギヤ段、路面勾配等に基づき決定する。このステップS29の後、トルク低減量決定部63はトルク低減量決定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
図4に戻り、ステップS2〜S3の処理及びステップS4のトルク低減量決定処理を行った後、ステップS5において、最終目標トルク決定部65は、ステップS3において決定した基本目標トルクから、ステップS4のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。
次に、ステップS6において、エンジン制御部67は、ステップS5において決定した最終目標トルクをエンジン10により出力させるための目標空気量及び目標当量比を決定する。ここで、「空気量」とは、エンジン10の燃焼室11内に導入される空気の量である。なお、この空気量を無次元化した充填効率を用いてもよい。
具体的には、エンジン制御部67は、最終目標トルクにフリクションロスやポンピングロスによる損失トルクを加味した目標図示トルクを算出し、この目標図示トルクを発生させるために必要な目標発生熱量を算出し、この目標発生熱量と目標当量比とに基づき、目標空気量を決定する。
次に、ステップS7において、エンジン制御部67は、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づくトルク低減の要求の有無を判定する。具体的には、エンジン制御部67は、ステップS4のトルク低減量決定処理において決定されたトルク低減量が0より大きい場合、トルク低減の要求があると判定する。
その結果、トルク低減の要求がある場合、ステップS8に進み、エンジン制御部67は、ステップS6において決定した目標空気量が最低空気量より小さいか否かを判定する。ここで、「最低空気量」は、エアバイパスバルブ9を閉状態に維持可能な空気量の最低値である。
具体的には、エンジン制御部67は、図3に示したコンプレッサ性能マップを参照し、サージラインL上において現在のコンプレッサ圧力比に対応するコンプレッサ通過流量を最小コンプレッサ通過流量として特定する。そして、エンジン回転数に基づき、最小コンプレッサ通過流量をエンジン10の燃焼室11内に導入される空気量、即ち最低空気量に変換する。この最低空気量は、コンプレッサ4aの運転状態に応じて変化するものであり、エンジン10の運転期間中、エンジン制御部67により繰り返し算出される。
ステップS8において、目標空気量が最低空気量より小さい場合、ステップS9に進み、エンジン制御部67は、最低空気量を目標空気量として設定する。
ステップS7においてトルク低減の要求がない場合、ステップS8において目標空気量が最低空気量より小さくない(目標空気量が最低空気量以上である)場合、又は、ステップS9の後、ステップS10に進み、エンジン制御部67は、ステップS6において決定した目標空気量又はステップS9において設定した目標空気量の空気がエンジン10に導入されるように、エアフローセンサ31が検出した空気量を考慮して、スロットルバルブ6の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期とを決定する。
次に、ステップS11において、エンジン制御部67は、ステップS10において設定したスロットル開度及び吸気バルブ12の開閉時期に基づき、スロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18を制御するとともに、ステップS6において決定した目標当量比と、エアフローセンサ41の検出信号S141等に基づき推定した実空気量とに基づき燃料噴射弁13を制御する。
上記のように、ステップS8において目標空気量が最低空気量より小さい場合、最低空気量が目標空気量として設定され、その目標空気量の空気がエンジン10に導入されるようにスロットルバルブ6の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期が決定される。即ち、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にあり、エアバイパスバルブ9を閉状態に維持するために最低空気量以上の空気量が必要な場合には、スロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18の制御は、エンジン10に導入される空気が最低空気量を下回ることがないように制限されるのである。
次に、ステップS12において、エンジン制御部67は、ステップS5において決定した最終目標トルクと、ステップS11におけるスロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18の制御により実際に燃焼室11に導入された実空気量とに基づき、最終目標トルクをエンジン10により出力させるために必要な点火時期の目標値(以下「目標点火時期」と称する)を設定する。
具体的には、エンジン制御部67は、エアフローセンサ31の検出信号S131等に基づき、実空気量を推定する。そして、種々の空気量及び種々のエンジン回転数について点火時期と図示トルクとの関係を規定した点火進角マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、推定した実空気量及びエンジン回転数に対応する点火進角マップを選択し、選択した点火進角マップを参照して、ステップS6において算出した目標図示トルクに対応する点火時期を目標点火時期として決定する。
点火進角マップは、横軸を点火時期、縦軸を図示トルクとした場合、点火時期がMBT(Minimum Advance for Best Torque)であるときの図示トルクを極大値として、点火時期が進角又は遅角するほど図示トルクが減少するような上に凸の曲線で表される。
例えば、トルク低減要求に対応した目標空気量の減少に対して、実空気量の応答が遅れ、実空気量が目標空気量に対して過剰になっている場合、実空気量に対応する点火進角マップのMBTにおける図示トルクは、目標空気量に対応する点火進角マップのMBTにおける図示トルクよりも大きい。言い換えると、実空気量に対応する点火進角マップの目標図示トルクに対応する点火時期は、目標空気量に対応する点火進角マップの目標図示トルクに対応する点火時期に対して遅角している。即ち、目標点火時期は、目標空気量に対して実空気量が過剰になるほど遅角側にシフトする。
但し、目標点火時期が所定の遅角限界よりも遅角側にある場合には、遅角限界を目標点火時期として決定する。この遅角限界は、燃焼効率の著しい悪化や失火を考慮した燃焼安定性の観点から予め実験により定められた遅角量の限界値である。
次に、ステップS13において、エンジン制御部67は、ステップS12において決定した目標点火時期に点火が行われるように、点火プラグ14を制御する。
また、ステップS5〜S13の処理と並行して、ステップS14において、エンジン制御部67は、ターボ過給機4による目標過給圧を取得する。例えば、目標トルクと目標過給圧との関係を示すマップが予めメモリ等に記憶されており、エンジン制御部67は、そのマップを参照し、ステップS3において決定した基本目標トルクに対応する目標過給圧を取得する。
次に、ステップS15において、エンジン制御部67は、ステップS14において取得した目標過給圧を実現するための、WGバルブ31の開度を決定する。
次に、ステップS16において、エンジン制御部69は、ステップS15において設定した開度に基づき、WGバルブ31のアクチュエータを制御する。
この場合、エンジン制御部67は、ステップS15において設定した開度に応じてWGバルブ31のアクチュエータを制御すると共に、第1圧力センサ43により検出される過給圧を、ステップS16において取得した目標過給圧に近づけるようにアクチュエータをフィードバック制御する。
ステップS13及びS16の後、PCM60は、エンジン制御処理を終了する。
次に、図7により、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置の作用を説明する。図7は、本発明の実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合における、ターボ過給機付きエンジンの制御装置によるエンジン制御に関するパラメータの時間変化を示す線図である。
図7(a)は、右旋回を行う車両を概略的に示す平面図である。この図7(a)に示すように、車両は、位置Aから右旋回を開始し、位置Bから位置Cまで操舵角一定で右旋回を継続する。
図7(b)は、図7(a)に示したように右旋回を行う車両の操舵角の変化を示す線図である。図7(b)における横軸は時間を示し、縦軸は操舵角を示す。
この図7(b)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、ステアリングの切り足し操作が行われることにより右向きの操舵角が徐々に増大し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大となる。その後、位置Cまで操舵角が一定に保たれる(操舵保持)。
図7(c)は、図7(b)に示したように右旋回を行う車両の操舵速度の変化を示す線図である。図7(b)における横軸は時間を示し、縦軸は操舵速度を示す。
車両の操舵速度は、車両の操舵角の時間微分により表される。即ち、図7(c)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始された場合、右向きの操舵速度が生じ、位置Aと位置Bとの間において操舵速度がほぼ一定に保たれる。その後、右向きの操舵速度は減少し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大になると、操舵速度は0になる。更に、位置Bから位置Cまで右向きの操舵角が保持される間、操舵速度は0のままである。
図7(d)は、図7(c)に示した操舵速度に基づき決定された付加減速度の変化を示す線図である。図7(d)における横軸は時間を示し、縦軸は付加減速度を示す。また、図7(d)における実線は、図5のトルク低減量決定処理において決定された付加減速度の変化を示し、一点鎖線は、操舵速度に基づく目標付加減速度の変化を示す。この一点鎖線により示す目標付加減速度は、図7(c)に示した操舵速度の変化と同様に、位置Aから増大し始め、位置Aと位置Bとの間においてほぼ一定に保たれ、その後減少して位置Bにおいて0になる。
図5を参照して説明したように、トルク低減量決定部63は、ステップS23において操舵速度の絶対値が減少していない場合、即ち操舵速度の絶対値が増大している又は操舵速度の絶対値が変化していない場合、ステップS24において操舵速度に基づき目標付加減速度を取得する。続いて、ステップS25において、トルク低減量決定部63は、付加減速度の増大率が閾値Rmax以下となる範囲で各処理サイクルにおける付加減速度を決定する。
図7(d)では、位置Aから増大を開始した目標付加減速度の増大率が閾値Rmaxを上回っている場合を示している。この場合、トルク低減量決定部63は、増大率=Rmaxとなるように(即ち一点鎖線で示した目標付加減速度よりも緩やかな増大率で)付加減速度を増大させる。また、位置Aと位置Bとの間において目標付加減速度がほぼ一定に保たれている場合、トルク低減量決定部63は、付加減速度=目標付加減速度として決定する。
また、上述したように、図5のステップS23において操舵速度の絶対値が減少している場合、トルク低減量決定部63は、操舵速度の最大時における付加減速度を保持する。図7(d)では、位置Bに向かって操舵速度が減少している場合、それに伴って一点鎖線により示す目標付加減速度も減少するが、実線により示す付加減速度は最大値を位置Bまで維持する。
更に、上述したように、図5のステップS21において、操舵角の絶対値が一定又は減少中である場合、トルク低減量決定部63は、ステップS27において減速度減少量を取得し、その減速度減少量により付加減速度を減少させる。図7(d)では、トルク低減量決定部63は、付加減速度の減少率が徐々に小さくなるように、即ち付加減速度の変化を示す実線の傾きが徐々に緩やかになるように、付加減速度を減少させる。
図7(e)は、図7(d)に示した付加減速度に基づき決定されたトルク低減量の変化を示す線図である。図7(e)における横軸は時間を示し、縦軸はトルク低減量を示す。
上述したように、トルク低減量決定部63は、付加減速度を実現するために必要となるトルク低減量を、現在の車速、ギヤ段、路面勾配等のパラメータに基づき決定する。従って、これらのパラメータが一定である場合、トルク低減量は、図7(d)に示した付加減速度の変化と同様に変化するように決定される。
図7(f)は基本目標トルクの変化を示す線図である。図7(f)における横軸は時間を示し、縦軸はトルクを示す。
図7(f)の例では、アクセル開度、車速、ギヤ段等に基づき設定された目標加速度を実現するように決定された基本目標トルクは、一定となっている。
図7(g)は基本目標トルクとトルク低減量とに基づき決定された最終目標トルクの変化を示す線図である。図7(g)における横軸は時間を示し、縦軸はトルクを示す。また、図7(g)における点線は図7(f)に示した基本目標トルクを示し、実線は最終目標トルクを示す。
図5を参照して説明したように、最終目標トルク決定部65は、ステップS3において決定した基本目標トルクから、ステップS4のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。これにより、図7(g)に実線で示すように、トルク低減量の変化が最終目標トルクに反映される。
図7(h)は最終目標トルクに基づき決定された目標空気量と実空気量との変化を示す線図である。図7(h)における横軸は時間を示し、縦軸は空気量を示す。また、図7(h)における一点鎖線は図7(g)に示した最終目標トルクに対応する目標空気量を示し、実線は最終目標トルクに応じたスロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18の制御により実際に燃焼室11に導入された実空気量を示す。
図7(h)に示すように、目標空気量が最終目標トルクの時間変化に同期して変化するが、目標空気量の変化に対して実空気量の応答に遅れが生じている。即ち、目標空気量が低下するときには実空気量が過剰となっている。
更に、上記のように、図4のステップS7において目標空気量が最低空気量より小さい場合、最低空気量が目標空気量として設定され、その目標空気量の空気が燃焼室11に導入されるようにスロットルバルブ6の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期が決定される。即ち、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にあり、エアバイパスバルブ9を閉状態に維持するために最低空気量以上の空気量が必要な場合には、燃焼室11に導入される空気が最低空気量を下回ることがないようにスロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18の制御が制限されている。
図7(i)は最終目標トルクと実際の空気量とに基づき決定された目標点火時期を、目標空気量の空気が燃焼室11に導入された場合に最終目標トルクをエンジン10により出力させるために必要な点火時期(以下、基本点火時期と称する)を基準として表した線図である。図7(i)における横軸は時間を示し、縦軸は基本点火時期を基準とした点火時期(進角が正、遅角が負)を示す。
図7(h)に示したように、最終目標トルクの低下に応じて目標空気量が低下する場合、実空気量の応答に遅れが生じ、目標空気量に対して実空気量が過剰となるので、実空気量の減少分だけでは最終目標トルクの低下を実現できない。そこで、最終目標トルクと実空気量とに基づいて目標点火時期を基本点火時期よりも遅角側に設定することにより、最終目標トルクの低下を実現するようにしている。
更に、図7(h)に示したように、燃焼室11に導入される空気が最低空気量を下回ることがないようにスロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18の制御が制限されている場合、トルク低減量の増加に対応する最終目標トルクの低下に対して空気量の低下が十分ではないので、最終目標トルクをエンジン10により出力させるために必要な目標点火時期を設定し、この目標点火時期に従って点火時期を遅角させることにより、最終目標トルクの低下を実現するようにしている。
図7(j)は、図7(b)に示したように操舵が行われる車両において、図7(g)に示した最終目標トルクを実現するようにエンジン10の制御を行った場合に車両に発生するヨーレート(実ヨーレート)の変化と、図7(e)に示したトルク低減量に対応する制御を行わなかった場合(即ち図7(g)に示した基本目標トルクを実現するようにエンジン10の制御を行った場合)の実ヨーレートの変化とを示す線図である。図7(j)における横軸は時間を示し、縦軸はヨーレートを示す。また、図7(j)における実線は、最終目標トルクを実現するようにエンジン10の制御を行った場合の実ヨーレートの変化を示し、点線は、トルク低減量に対応する制御を行わなかった場合の実ヨーレートの変化を示す。
位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、右向きの操舵速度が増大するにつれて図7(e)に示したようにトルク低減量を増大させると、車両の操舵輪である前輪の荷重が増加する。その結果、前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するため、車両の回頭性が向上する。即ち、図7(j)に示すように、位置Aと位置Bとの間において、トルク低減量に対応する制御を行わなかった場合(点線)よりも、トルク低減量を反映した最終目標トルクを実現するようにエンジン10の制御を行った場合(実線)の方が、車両に発生する時計回り(CW)のヨーレートが大きくなる。
また、図7(d)、(e)に示したように、位置Bに向かって操舵速度が減少するとき目標付加減速度も減少するが、トルク低減量を最大値のまま維持しているので、操舵の切り込みが継続されている間は前輪に付加した荷重が維持され、車両の回頭性が保たれる。
更に、位置Bから位置Cにおいて操舵角の絶対値が一定である場合、トルク低減量を滑らかに減少させるので、操舵の切り込みの終了に応じて徐々に前輪に付加した荷重を低減し、前輪のコーナリングフォースを減少させることにより車体を安定させつつ、エンジン10の出力トルクを回復させる。
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置により実行されるエンジン制御処理を説明する。図8は、本発明の第2実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がエンジンを制御するエンジン制御処理のフローチャートである。
なお、この図8の制御におけるステップS31〜S34及びS45〜S47の各処理は、図4を参照して説明した第1実施形態のエンジン制御処理におけるステップS1〜S4及びS14〜S16の各処理と同様であるので、説明を省略する。
図8に示した第2実施形態によるエンジン制御処理では、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にある場合、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の変化を禁止するようにしている。
即ち、ステップS32〜S33の処理及びステップS34のトルク低減量決定処理を行った後、ステップS35において、最終目標トルク決定部65は、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にあるか否かを判定する。
具体的には、最終目標トルク決定部65は、負荷とエンジン回転数とによって規定される運転状態を、コンプレッサ4aにより過給を行う過給領域と過給を行わない非過給領域とに区分した過給マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)を参照し、ステップS33において決定した基本目標トルク及び現在のエンジン回転数に対応する運転状態が過給領域又は非過給領域の何れの運転領域に該当するかを判定する。
その結果、エンジン10の運転状態が過給領域にある場合、ステップS36に進み、最終目標トルク決定部65は、ステップS34において決定されたトルク低減量を0に設定する。即ち、トルク低減の要求がないものとする。
ステップS36の後、又は、ステップS35においてエンジン10の運転状態が過給領域にない(非過給領域にある)場合、ステップS37に進み、最終目標トルク決定部65は、ステップS33において決定した基本目標トルクからトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。
次に、ステップS38において、エンジン制御部67は、ステップS37において決定した最終目標トルクをエンジン10により出力させるための目標空気量及び目標当量比を決定する。
上記のように、ステップS35においてエンジン10の運転状態が過給領域にある場合、最終目標トルク決定部65はトルク低減量を0に設定するので、最終目標トルクは基本目標トルクと等しくなる。この場合、エンジン制御部67は、基本目標トルクをエンジン10により出力させるための目標空気量及び目標当量比を決定することになる。言い換えると、エンジン制御部67は、ステップS35において、エンジン10の運転状態が過給領域にあると判定した場合には、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じたエンジン10の制御を禁止し、基本目標トルクの変化に対応する最終目標トルクの変化に応じてエンジン10を制御する。
次に、ステップS39において、エンジン制御部67は、ステップS38において決定した目標空気量の空気がエンジン10に導入されるように、エアフローセンサ31が検出した空気量を考慮して、スロットルバルブ6の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期とを決定する。
次に、ステップS40において、エンジン制御部67は、ステップS39において設定したスロットル開度及び吸気バルブ12の開閉時期に基づき、スロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18を制御するとともに、ステップS38において決定した目標当量比と、エアフローセンサ41の検出信号S141等に基づき推定した実空気量とに基づき燃料噴射弁13を制御する。
次に、ステップS41において、エンジン制御部67は、ステップS38において決定した目標空気量と、エアフローセンサ31の検出信号S131等に基づき推定した実空気量との差が所定値以上か否かを判定する。
その結果、目標空気量と実空気量との差が所定値以上である場合、ステップS42に進み、エンジン制御部67は、ステップS37において決定した最終目標トルクと、ステップS40におけるスロットルバルブ6及び可変吸気バルブ機構18の制御により実際に燃焼室11に導入された実空気量とに基づき、目標点火時期を設定する。
次に、ステップS43において、エンジン制御部67は、ステップS42において決定した目標点火時期に点火が行われるように、点火プラグ14を制御する。
また、ステップS42において、目標空気量と実空気量との差が所定値以上ではない(目標空気量と実空気量との差が所定値未満である)場合、ステップS44に進み、エンジン制御部67は、目標空気量の空気が燃焼室11に導入された場合に最終目標トルクをエンジン10により出力させるために必要な基本点火時期に点火が行われるように、点火プラグ14を制御する。この場合の基本点火時期は、目標空気量とエンジン回転数に対応する点火進角マップにおいて、ノッキングが発生しない範囲で可能な限りMBTに近い時期に設定されている。
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置により実行されるエンジン制御処理を説明する。図9は、本発明の第3実施形態によるターボ過給機付きエンジンの制御装置がエンジンを制御するエンジン制御処理のフローチャートである。
なお、この図9の制御におけるステップS51〜S54及びS59〜S67の各処理は、図8を参照して説明した第2実施形態のエンジン制御処理におけるステップS31〜S34及びS39〜S47の各処理と同様であるので、説明を省略する。
図9に示した第3実施形態によるエンジン制御処理では、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にある場合、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の変化を制限するようにしている。
即ち、ステップS52〜S53の処理及びステップS54のトルク低減量決定処理を行った後、ステップS55において、最終目標トルク決定部65は、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にあるか否かを判定する。
その結果、エンジン10の運転状態が過給領域にある場合、ステップS56に進み、最終目標トルク決定部65は、ステップS53において決定した基本目標トルクから、ステップS54のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量に1未満の係数Kを乗じた値を減算することにより、最終目標トルクを決定する。
一方、エンジン10の運転状態が過給領域にない(非過給領域にある)場合、ステップS57に進み、最終目標トルク決定部65は、ステップS53において決定した基本目標トルクから、ステップS54のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。
ステップS56又はS57の後、ステップS58に進み、エンジン制御部67は、ステップS56又はS57において決定した最終目標トルクをエンジン10により出力させるための目標空気量及び目標当量比を決定する。
上記のように、ステップS55においてエンジン10の運転状態が過給領域にある場合、最終目標トルク決定部65は、基本目標トルクからトルク低減量に1未満の係数Kを乗じた値を減算することにより最終目標トルクを決定するので、エンジン10の運転状態が非過給領域にある場合と比較して、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化は小さくなる。言い換えると、エンジン制御部67は、ステップS55において、エンジン10の運転状態が過給領域にあると判定した場合には、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じたエンジン10の制御を制限する。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態においては、トルク低減量決定部63は、操舵速度に基づき目標付加減速度を取得し、この目標付加減速度に基づいてトルク低減量を決定すると説明したが、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態(操舵角、ヨーレート、スリップ率等)に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。
例えば、トルク低減量決定部63は、操舵角及び車速から算出した目標ヨーレートや、ヨーレートセンサから入力されたヨーレートに基づき、車両に発生させるべき目標ヨー加速度を算出し、その目標ヨー加速度に基づき目標付加減速度を取得して、トルク低減量を決定するようにしてもよい。あるいは、加速度センサにより、車両の旋回に伴って発生する横加速度を検出し、この横加速度に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。あるいは、トルク低減量決定部63は、目標付加減速度とは異なる要求(例えば、加減速時のパワートレインの振動を打ち消すために必要なトルク)に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例によるターボ過給機付きエンジンの制御装置の効果を説明する。
まず、エンジン制御部67は、エンジン10の運転状態がコンプレッサ4aにより過給を行う過給領域にある場合、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づき決定したトルク低減量の変化に対応するエンジン10の制御を制限するので、トルク低減量の変化に応じてそのままエンジン10を制御することにより過給圧が過度に低下することを抑制することができ、これにより、加速レスポンスの悪化を抑制しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
特に、エンジン制御部67は、エンジン10の運転状態が過給領域にある場合、トルク低減量の変化に対応するエンジン10の制御を禁止するので、トルク低減量の変化に応じてエンジン10を制御することにより過給圧が低下することを確実に防止でき、これにより、加速レスポンスの悪化を確実に抑制しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
また、エンジン制御部67は、エンジン10の運転状態が過給領域にある場合、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の制御を制限するので、トルク低減量の変化に応じてそのまま吸入空気量を減少させることによりコンプレッサ4aの通過流量が減少してサージングが発生することを抑制でき、これにより、サージングを回避するためにエアバイパスバルブ9が開くことによる過給圧の低下を抑制して加速レスポンスの悪化を低減することができる。
特に、エンジン制御部67は、エンジン10の運転状態が過給領域にある場合、コンプレッサ4aを通過する吸気の流量が所定流量以上となるように、トルク低減量の変化に対応する最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の制御を制限するので、トルク低減量の変化に応じて吸入空気量を減少させることによりコンプレッサ4aの通過流量が減少し、サージングが発生することを確実に防止でき、これにより、サージングを回避するためにエアバイパスバルブ9が開くことによる過給圧の低下を確実に防止して加速レスポンスの悪化を防ぐことができる。
また、トルク低減量決定部63は、車両のステアリング操作に応じてトルク低減量を決定するので、ステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を最終目標トルクの時間変化に反映することができ、これにより、ドライバのステアリング操作に応じた減速度を車両に迅速に付加して荷重を前輪に加え、コーナリングフォースを迅速に増大させることによりステアリング操作に対する応答性を向上させることができ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジン10を制御することができる。
1 吸気通路
4 ターボ過給機
4a コンプレッサ
6 スロットルバルブ
9 エアバイパスバルブ
10 エンジン
13 燃料噴射弁
14 点火プラグ
18 可変吸気バルブ機構
25 排気通路
31 WGバルブ
40 アクセル開度センサ
53 車速センサ
54 操舵角センサ
60 PCM
61 基本目標トルク決定部
63 トルク低減量決定部
65 最終目標トルク決定部
67 エンジン制御部
100 エンジンシステム

Claims (6)

  1. 吸気通路に設けられたコンプレッサを備えたターボ過給機を有するエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するターボ過給機付きエンジンの制御装置であって、
    アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定手段と、
    車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、
    上記旋回状態に基づき、エンジンのトルクを低減させ、その後にトルクを上昇させるように、トルク低減量を決定するトルク低減量決定手段と、
    上記基本目標トルクと上記トルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定手段と、
    上記最終目標トルクをエンジンに出力させるようにエンジンを制御するエンジン制御手段と、を有し、
    上記エンジン制御手段は、エンジンの運転状態が上記コンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、上記トルク低減量を、エンジンの運転状態が上記過給領域にない場合よりも小さくすることを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  2. 上記エンジン制御手段は、エンジンの運転状態が上記コンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、上記トルク低減量を0にする、請求項1に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  3. 上記最終目標トルクをエンジンに出力させるように吸入空気量を制御する空気量制御手段を有し、
    上記空気量制御手段は、エンジンの運転状態が上記コンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、上記トルク低減量の変化に対応する上記最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の制御を制限する、請求項1に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  4. 上記空気量制御手段は、エンジンの運転状態が上記コンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、上記コンプレッサを通過する吸気の流量が、現在のコンプレッサ圧力比においてサージングが生じる領域とサージングが生じない領域との境界に位置する最小コンプレッサ通過流量以上となるように、上記トルク低減量の変化に対応する上記最終目標トルクの変化に応じた吸入空気量の制御を制限する、請求項3に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  5. 上記旋回状態検出手段は、車両のステアリング操作を検出し、
    上記トルク低減量決定手段は、上記ステアリング操作に応じて上記トルク低減量を決定する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  6. 吸気通路に設けられたコンプレッサを備えたターボ過給機を有するエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するターボ過給機付きエンジンの制御装置であって、
    車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、
    アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づきエンジンを制御すると共に、上記旋回状態に基づき、エンジンのトルクを低減させ、その後にトルクを上昇させるようにエンジンを制御するエンジン制御手段と、を有し、
    上記エンジン制御手段は、エンジンの運転状態が上記コンプレッサにより過給を行う過給領域にある場合、上記旋回状態に基づきエンジンのトルクを低減させるときのトルク低減量を、エンジンの運転状態が上記過給領域にない場合よりも小さくすることを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
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