JP6264424B2 - 採光シート、採光装置、及び建物 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に開示されている技術では、外側から入射する光について制御することができるが、室内側から外を見たときに像が屈折するため、外の景色を見るための鮮明さに不足があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
図2には1つの採光装置10を室外側から正面視した図を表した。このように採光装置10は、枠11と該枠11の枠組み内に配置された採光パネル12とを備えており、いわゆる窓として構成されている。そして当該採光装置10が上記のように建物1の開口部に配置される。
ここでパネル13は、建物1に予め設置してあった窓のガラスが用いられてもよい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
従って基材層22は、透光性を有するとともに光偏向層23の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層22を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
一方、光偏向部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
光透過部24は、光を透過する部位であり、光偏向層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行、平滑に形成されていることが好ましい。これによって、後に説明するように採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。さらに好ましくは光透過部24は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。ここで光透過部24を形成する材料の屈折率は原材料の汎用性から1.49以上1.56以下の範囲が好ましく、1.49以上1.50以下であることがより好ましい。
また、そのときにおける光透過部24と光偏向部25との屈折率差は、0.03以上0.07以下、より好ましくは0.05以上0.06以下である。屈折率差が0より大きく0.03より小さい範囲では、全反射時の波長分散(波長により全反射角度が異なることによる分散。)が生じた際に長波長の成分が全反射せず、短波長の成分のみが全反射することがあり、色彩の変化が生じる虞がある。一方、屈折率差が0.07より大きいと、短波長の成分の屈折率が長波長の屈折率の成分の屈折率に対して大きくなる傾向にあり、虹状のムラが顕著に表れる虞がある。
光偏向部25は上記のように光透過部24間の凹部に沿った形状となるが、図4に表れる断面で採光パネル12を建物1に配置した姿勢において上部となる辺25a、及び下部となる辺25bを有している。そのうち上部となる側の辺25aは、凸となるように湾曲して形成されている。これにより、後述するように偏向部25の辺25aで全反射した光が広く拡散して狭い範囲に集中することを抑えることができる。詳しくは光路例を示しつつ後で説明する。
曲線状である場合、任意の位置における接線が水平面(採光シート20のシート面の法線)に対して角度θUを具備し、接線が室外側(太陽側)に向けて上となるように傾斜しているとともに、辺25aの各部位における角度θUが室外側から室内側に向けて連続的に変化していることが好ましい。これにより上記効果をより顕著なものとすることができる。θUの範囲は特に限定されることはないが、光偏向部25の室内外方向中央部において、θUが0°より大きく30°より小さいことが好ましい。
また、光偏向部25の断面のうち、室外側(基材層22と反対側で光透過部間の凹部の開口側)の大きさは特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると微細形状になるので加工が困難になる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
接着層26は、パネル13に採光シート20を接着するための層である。接着層26を構成する材料としては、パネル13に採光シート20を接着できるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。より具体的な例としては、接着層26として、例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、接着層26を構成する材料は、採光シート20の性質上、透光性、耐候性に優れた材料によることが好ましい。
一方、散乱反射、散乱透過のための構成については、光偏向部125を透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な光散乱剤とを混合させた材料で構成することができる。透明なバインダー樹脂としては光透過部24と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な光散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、光散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、光散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
図7からわかるようにLS3はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θS3で採光パネル112に照射される。採光パネル112に入射した光LS3は採光パネル112を透過するうちに光偏向層123の光透過部24内を進む。光透過部24内では、該光透過部24の屈折率をNP、室外の屈折率をN0とすれば、光LS3は、式(2)で表される太陽光進行角θP3で進む。
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 ハードコート層
22 基材層
23 光偏向層
24 光透過部
25 光偏向部
26 接着層
Claims (4)
- シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シートであって、
透光性を有するシート状の基材層と、
前記基材層の一方の面に形成され、光を偏向する光偏向層と、を備え、
前記光偏向層は、
前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置された光を透過する光透過部と、
隣り合う前記光透過部間に配置され、該光透過部よりも低い屈折率の樹脂が充填された光偏向部と、を有し、
前記採光シートが前記建物開口部に配置された姿勢で、前記光偏向部は前記採光シートの厚さ方向断面において、その上部となる側の辺が上に凸となるよう形成され、下部となる側の辺が一直線状であるとともにシート面の法線に対して0°以上30°以下とされている、採光シート。 - 前記光偏向部の前記上部となる側の辺は、該辺の接線と水平面とのなす角が、前記厚さ方向一方から他方に向けて連続的に変化する曲線である、請求項1に記載の採光シート。
- 透光性を有する板状のパネルと、
前記パネルの一方の面に貼付される請求項1又は2に記載の採光シートと、
少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置される枠と、を備える採光装置。 - 壁に形成された開口部に請求項3に記載の採光装置が設置された建物。
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