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JP2014126708A - 採光シート、採光装置、及び建物 - Google Patents

採光シート、採光装置、及び建物 Download PDF

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JP2014126708A JP2012283645A JP2012283645A JP2014126708A JP 2014126708 A JP2014126708 A JP 2014126708A JP 2012283645 A JP2012283645 A JP 2012283645A JP 2012283645 A JP2012283645 A JP 2012283645A JP 2014126708 A JP2014126708 A JP 2014126708A
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Abstract

【課題】効率良く採光できるとともに、室内側から室外側を見ることも可能であり、且つ、快適な室内空間を提供できる採光シートを提供する。
【解決手段】建物の採光部に配置されるシート状である採光シート20であって、透光性を有するシート状の基材層22と、該基材層の一方の面に形成された、光を散乱する光散乱層23と、赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する吸収層21と、を少なくとも備える積層体であり、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置された、光を透過する光透過部24と、隣り合う光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部25と、を有する採光シートとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、建物等の内部に日光等の外光を採り入れるための採光シート、採光装置、及びこれを用いた建物に関する。
いわゆる窓ガラスにより、建物の内部に日光等の外光を採り入れて明るく快適な室内空間を形成することはよく知られている。しかし一方で、当該窓ガラスに入射した外光をそのまま室内に採り入れると、まぶしさを感じる等の不具合を生じることもある。これに対して、日光を制御してより快適な態様で室内側に採り入れる技術がいくつか提案されている。
特許文献1には、太陽光を建物内に取り入れる部位に配置される太陽光取り入れ制御用の光制御シートが開示されている。これは太陽光を透過する光透過性部と、太陽光を吸収する遮光部群とからなり、遮光部群はシート内の一方向に所定ピッチで遮光部を複数配列させているものである。
また特許文献2には、太陽光を採り入れるよう建物の開口部に設けられる板状の採光用光学素子が開示されている。これは、同一平面上に詰めて設けられた多数のプリズム部から成り、各プリズム部の斜面は、太陽の仰角が臨界仰角より小さい場合には太陽光を透過させ、臨界仰角以上の場合には全反射させる角度となっており、太陽の仰角が臨界仰角以上の場合の全体の採光量は、臨界仰角より小さい場合の全体の採光量に比べて少なくなる形態を備えている。
特開2010−259406号公報 特開2003−157707号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような構成の光制御シートでは、外光(太陽光)の一部を遮光部群が吸収してしまう。すなわち、該光制御シートを建物等の窓に適用した場合、外光の一部を遮光部群が吸収してしまうことによって、効率良く外光を室内に採り入れることが難しかった。
また、特許文献2に開示されている技術では、外側から入射する光について制御できるが、室内側から外を見たときに像が屈折するため、外の景色を見るための鮮明さに不足があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
さらに、特許文献1および2に記載された技術では、赤外線や紫外線についての対策が十分に考慮されていなかった。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、効率良く採光できるとともに、室内側から室外側を見ることも可能であり、且つ、快適な室内空間を提供できる採光シートを提供することを課題とする。また、当該採光シートを用いた採光装置及び建物を提供する。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、建物の採光部に配置されるシート状である採光シートであって、透光性を有するシート状の基材層と、該基材層の一方の面に形成された、光を散乱する光散乱層と、赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する吸収層と、を少なくとも備える積層体であり、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置された、光を透過する光透過部と、隣り合う光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を有する、採光シートである。
ここに、「赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する」とは、赤外線、紫外線、および可視光線のいずれかに分類される電磁波のうち所定の波長の電磁波を吸収することを意味する。また、「吸収する」とは、上記所定の波長の電磁波を10%以上吸収することを意味する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の採光シートにおいて、吸収層が、採光シートに含まれる層同士を接着するため、又は採光シートを他の部材に接着するための接着層であるである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の採光シートにおいて、採光シートを建物の採光部に配置したときに、吸収層が最も室外側の層である。
請求項4に記載の発明は、建物の採光部に備えられる採光装置であって、透光性を有する板状のパネルと、パネルの一方の面に貼付された請求項1乃至3のいずれかに記載の採光シートと、少なくともパネルの周囲を囲むように配置された枠と、を備える採光装置である。
請求項5に記載の発明は、採光部に請求項4に記載の採光装置が設置された建物である。
本発明によれば、効率良く採光できるとともに、室内側から室外側を見ることも可能であり、且つ、快適な室内空間を提供できる。
建物1の外観斜視図である。 採光装置10を正面視した図である。 採光パネル12の層構成を説明する図である。 光散乱層23の形態を説明する図である。 図5(a)は光散乱部の台形断面の脚部が凸状である例、図5(b)は光散乱部の台形断面の脚部が凹状である例、図5(c)は光散乱部の台形断面の脚部が折れ線状である例、図5(d)は光散乱部の台形断面の下底が凹状である例である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す各図では、分かりやすさのため大きさや形状を誇張して記載することがある。また、各図では見易さのため、繰り返しとなる符号は一部を省略することがある。
図1は一つの実施形態を説明する図であり、採光シート20(図3参照)が備えられた建物1の外観斜視図である。建物1はいわゆるオフィスビルである。建物1の南側などに面する外壁には室内外を連通する複数の採光部が設けられる。採光シート20を具備する採光装置10は当該採光部に配置されている。
図2には1つの採光装置10を室外側から正面視した図を表した。図2に示したように、採光装置10は枠11と該枠11の枠組み内に配置された採光パネル12とを備えている。採光装置10はいわゆる窓として構成されており、当該採光装置10が上記のように建物1の採光部に配置される。
図3には図2にIII−IIIで示した線に沿った採光装置10の鉛直方向断面のうち、採光パネル12の層構成を模式的に表した。図3では採光パネル12のパネル面が鉛直になるように建物1に取り付けられた姿勢で表されている。図3の紙面左が室外側、紙面右が室内側、紙面上方が天側、紙面下方が地側である。
採光パネル12は、図3からわかるように、パネル13、及び該パネル13の室内側面に貼合された採光シート20を備えている。また、シート20は複数の層を備えた積層体であり、パネル13側から接着層21、基材層22、光散乱層23、接着層26、保護層27およびハードコート層28を備えている。以下、これらの構成要素について説明する。
パネル13は、ガラスパネルや樹脂パネル等、通常の建物や乗り物の窓等に用いられる透光性を有する板状の透光パネルである。従って、パネル13を構成する部材としては公知の板ガラスや樹脂板を用いることができる。上記した枠11は少なくとも当該パネル13の周囲に配置されることにより、採光パネル12が枠11の枠組み内に取り付けられる。
接着層21は、パネル13に採光シート20を接着するための層である。また、本実施形態における接着層21は、赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する層(以下、このような機能を有する層を「吸収層」という。)である。「赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する」とは、赤外線、紫外線、および可視光線のいずれかに分類される電磁波のうち所定の波長の電磁波を吸収することを意味する。また、「吸収する」とは、上記所定の波長の電磁波を10%以上吸収することを意味する。
したがって、接着層21を構成する材料は、パネル13に採光シート20を接着できる接着剤組成物と、赤外線、紫外線、又は可視光の少なくともいずれかを吸収できる吸収剤と、を含んでいる。
接着層21に用いる上記接着剤組成物としては、パネル13に採光シート20を接着できるものであれば特に限定されない。すなわち、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。より具体な例としては、アクリル系の粘着剤を挙げることがでる。さらに具体的には、アクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。
また、赤外線を吸収する吸収剤としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)またはスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物などの金属酸化物超微粒子などが挙げられる。これらの吸収剤を添加したり表面に塗布したりすることによって、赤外線を吸収する機能を奏することができる。採光シートに赤外線を吸収する機能を付加することによって、例えば、特に夏場における室内温度の上昇を抑制して冷房の使用を控えられる等の効果を奏することができる。
また、紫外線を吸収する吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。これらの吸収剤を添加したり表面に塗布したりすることによって、紫外線を吸収する機能を奏することができる。採光シートに紫外線を吸収する機能を付加することによって、例えば、室内に居る人の皮膚への悪影響や室内にある家具の退色等を抑制する等の効果を奏することができる。
また、可視光線を吸収する吸収剤としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられる。ただし、これに限定されず、例えば吸収すべき光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を用いてもよい。着色粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。これらの中では、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から着色した有機微粒子が好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。これらの吸収剤を添加したり表面に塗布したりすることによって、可視光線を吸収する機能を奏することができる。採光シートに可視光線を吸収する機能を付加することによって、例えば、室内におけるまぶしさを和らげることができる。
上記のような吸収層を備えることによって、採光シート20を建物の採光部に配置したときにより快適な室内環境を提供することができる。当該吸収層は、赤外線、紫外線、および可視光線のいずれかに分類される電磁波のうち所定の波長の電磁波を吸収できればよく、赤外線のみを吸収するように構成してもよく、紫外線のみを吸収するように構成してもよく、可視光線のみを吸収するように構成してもよく、赤外線、紫外線、および可視光線のうち2種以上の電磁波を吸収できるように構成してもよい。いずれの波長の電磁波を吸収できるように構成するかは、採光シート20の設置場所や設置目的に応じて適宜選択可能である。また、吸収する電磁波の波長や吸収率は、上述した吸収剤の種類や量を適宜調整することによって調節できる。
なお、吸収層における上記所定の波長の電磁波の吸収率は10%以上であり、90%以下であることが好ましい。吸収率が10%未満であれば吸収層を設けることによる効果を得難く、90%以下とすれば吸収層を構成する組成物の調整が容易になる。
接着層21の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層21の厚さを10μm以上とすることによって、パネル13と採光シート20との密着性を向上させやすくなる。また、接着層21の厚さを100μm以下とすることによって、接着層21の厚さを均一にしやすくなる。
基材層22は、光散乱層23を形成するための基材となる層である。従って基材層22は、透光性を有するとともに光散乱層23の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層22を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層22の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層22の厚さを25μm以上とすることによって、採光シート20に製造過程において基材層22に皺が生じ難くなる。また、基材層22の厚さを300μm以下とすることによって、採光シート20の製造過程において基材層22を含むシートが巻き取り難くなることを防止できる。
光散乱層23は光透過部24及び光散乱部25を有している。光透過部24は、図3に示した断面を有して基材層22の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、基材層22の面に沿った該一方向とは異なる方向(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)に所定の間隔で複数配列されている。本実施形態では隣り合う光透過部24は基材層22側の端部で連結され、一体化されている。また、本実施形態では、光透過部24は図3、図4に表れる断面で2つの光散乱部25間において略台形の断面を有しており、室外側(基材層22側)が長い下底、室内側(接着層26側)が短い上底であり、光散乱部25との界面を構成する辺が脚部となっている。
一方、光散乱部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
図4には光散乱層23の一部を拡大した図を示した。
光透過部24は光を透過する部位である。また、光散乱層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行且つ平滑に形成されている。これによって、採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。
また、光透過部24は光を散乱させることなく透過する部位であることが好ましい。これにより背面側の景色の見易さが向上する。なお、「光を散乱させることなく透過する部位」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、当該部位中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
光透過部24を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
光散乱部25は、隣り合う2つの光透過部24間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部24はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部24間には、略台形断面を有する凹部が形成されている。本実施形態における凹部は、室外側(基材層22側)に短い上底、室内側(接着層26側)に長い下底を有する断面の溝であり、ここに光散乱部25を構成する材料が充填されることにより光散乱部25が形成されている。従って光散乱部25は上記凹部に基づいた断面を具備している。
光散乱部25は、ここに照射された光を散乱することができるように構成された部位である。光散乱部25が備えられていることによって、光散乱部25に入射した直達光を散乱させることができる。すなわち、まぶしさの原因となる直達光が室内に照射されることを抑制できる。
光散乱部25は、光を散乱させることができる材料で構成されている。光を散乱させることができる材料の例としては、樹脂(硬化性樹脂)に白色顔料や銀色顔料等の光を散乱させる光散乱剤を混ぜた組成物が挙げられる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロムなどの金属が挙げられる。これにより効率よく光を散乱させることができる。また、上記硬化性樹脂としては、光透過部24を構成する樹脂と同様のものを用いることもできる。
また、光散乱部25を透明な樹脂(硬化性樹脂)と該樹脂とは屈折率が異なる透明な光散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。透明な硬化性樹脂としては光透過部24と同様のものを用いることができる。一方、当該透明な光散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、光散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、光散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
光散乱部25に用いる硬化性樹脂の屈折率は特に限定されることはないが、汎用性から1.56から1.49の範囲が好ましい。また、光透過部24と光散乱部25との界面に全反射臨界角より大きい角度で入射した外光を全反射して偏向させる観点からは、光散乱部25に用いる硬化性樹脂の屈折率は光透過部24を構成する樹脂の屈折率より低いことが望ましく、1.50から1.49であることがより好ましい。上記のように偏向された光は、その向きが変わり、例えば天井に照射されるなどしてまぶしさを与える直達光でなくすことができる。
ただし、これに限らず光散乱部25に用いる硬化性樹脂の屈折率と光透過部24を構成する樹脂の屈折率とを同じ、又は近い大きさとしてもよい。
光散乱部25が並列されるピッチは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱部25のピッチを10μm以上とすることによって、光散乱部25が微細形状になり過ぎることを防止でき、光散乱層23の作製が容易になる。一方、光散乱部25のピッチを200μm以下とすることによって、後述するようにして金型を用いて光透過部24を成形する際に、該金型から光透過部24を離型しやすくなる。
また、光散乱部25の鉛直断面のうち、室内側(基材層22と反対側で光透過部24間の凹部の開口側)の大きさ(幅)は特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。当該幅を5μm以上とすることによって、光散乱部29が微細形状になり過ぎることを防止でき、光散乱層23の作製が容易になる。一方、当該幅を150μm以下とすることによって、後述するようにして金型を用いて光透過部24を成形する際に、該金型から光透過部24を離型しやすくなる。
光散乱部25の厚さ方向の大きさ(図4の紙面左右方向)は特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。この大きさを10μm以上とすることによって、光散乱部25の形成が容易になる。一方、この大きさを200μm以下とすることによって、光透過部24を成形する際に用いる金型の製造が容易になる。また、後述するようにして金型を用いて光透過部24を成形する際に、該金型から光透過部24を離型しやすくなる。
本実施形態では光散乱部25の断面が等脚台形の例を説明したが、必ずしもこれに限らず、光散乱部の台形断面の2つの脚部のシート面に対する角度が異なっていてもよい。また、光散乱部の台形断面の脚部は曲線状や折れ線状であってもよい。図5に各例の光散乱部の断面形状を表した。
図5(a)は台形断面の脚部が凸状の曲線の光散乱部25aの例、図5(b)は台形断面の脚部が凹状の曲線の光散乱部25bの例、及び図5(c)は台形断面の脚部が折れ線状の光散乱部25cの例である。
図5(d)には、光散乱部の台形断面のうち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部25dを表した。この場合、当該凹状の内側には隣接する接着層26を構成する材料が充填される。
また、光散乱部25と光透過部24との界面で光を散乱反射させ易くするという観点からは、光散乱部25と光透過部24との界面を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
図3に戻って他の構成についても説明を続ける。
接着層26は、保護層27と光散乱層23とを接着して積層するための層である。接着層26を構成する材料としては、保護層27と光散乱層23とを接着できるものであれば特に限定されない。接着層26を構成する材料としては、例えば、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。接着層26を構成する材料のより具体的な例としては、アクリル系の粘着剤を挙げることができる。さらに具体的には、アクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、接着層26を構成する材料は、採光シート20の性質上、透光性、耐候性に優れた材料であることが好ましい。
接着層26の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層26の厚さを10μm以上とすることによって、保護層27と光散乱層23との密着性を向上させやすくなる。また、接着層26の厚さを100μm以下とすることによって、接着層26の厚さを均一にしやすくなる。
保護層27は基材層22と対になり、保護層27と基材層22との間に光散乱層23を挟むように配置される層である。これにより、基材層22と併せて光散乱層23を保護する機能を有する。また、本実施形態では、保護層27はハードコート層28の形成するための基材となる層である。保護層27はこのような機能を有するものであれば、その構成材料は特に限定されることはない。保護層27は、例えば上記した基材層22と同様の材料により構成することができる。
ハードコート層28は、採光シート20の表面保護を目的として、採光シート20のうちパネル13に貼合される側とは反対側の最表面に設けられる層である。ハードコート層28は透明な樹脂層として形成することができる。採光シート20の表面の擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、ハードコート層28は硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
ハードコート層28を構成する材料としては、例えば電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層28には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加することにより可能となる。さらにその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上の機能を有するものとしてもよい。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
以上説明した採光シート20を具備する採光パネル12により採光装置10を形成し、これを図1に示したように建物1の採光部に配置する。
採光シート20には上記したように光透過部24が備えられており、光透過部24が配置される部位の光散乱層23の表裏面は平行且つ平滑に形成されている。これにより、室外側の景色を伴う光は歪が抑制されて室内に入射することができ、これは室内側から室外側の景色を視認することができることを意味する。従って、採光シート20は室外側の景色を視認し易い構造を具備している。
また、採光シート20には上記したように光散乱部25が備えられており、光散乱部25に入射した太陽光は散乱されて室内側に入射する。これにより、まぶしさの原因となる直達光を減らしつつ、効率良く採光することができる。また、光透過部24と光散乱部25との間に屈折率差がある場合は、所定の角度で光透過部24と光散乱部25と界面に達した直達光を全反射させて天井等の方向に偏向させることができる。このように直達光を偏向させることによって、室内に居る人に直達光が届くことを抑制しつつ、効率良く採光することができる。
また、赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する吸収層を備えていることによって、より快適な室内環境を提供することができる。
以上説明した採光パネル12は例えば次のように製造することができる。すなわち、採光パネル12は、パネル13に採光シート20を貼合することによって製造することができる。ここで採光シート20は、例えば次のように作製することができる。
採光シート20のうち光散乱層23は金型ロールを用いる方法により形成することができる。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光散乱層23の光透過部24を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層22となる基材を挿入する。このとき当該基材のうち光散乱層23が形成される側とは反対側の面には接着層21が予め形成されていることが好ましい。その際には、接着層21の基材とは反対側の面が他のものにくっついてしまわないように、接着層21の表面のうち基材と反対側の表面には離型フィルムを貼り付ける。そして、基材と金型ロールとの間に光透過部24を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部24を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部24を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部24の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部24を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部24を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより基材層22上に成形された光透過部24を金型ロールから離型する。
次に、光透過部24間の凹部に光散乱部25を構成する組成物を充填して硬化させることによって、光散乱部を形成することができる。このようにして、基材層22上に光散乱層23を形成することが可能である。
このようにして形成された光散乱層23上に接着剤を積層して接着層26とし、一方の面側にハードコート層28を形成したシート(保護層27)の他方の面側を接着層26に貼合する。このようにして、採光シート20を作製することができる。
これまでの採光シート20の説明では、接着層21に吸収層としての機能を備えさせる例を説明したが、当該吸収層としての機能は採光シートに備えられる層の少なくともいずれか一層に備えられていればよく、採光シートに含まれるどの層に備えさせてもよい。
ただし、採光シートの生産性の観点からは、吸収層としての機能を接着層に備えさせることが好ましい。すなわち、採光シートに含まれる層同士を接着するための接着層(例えば、接着層26)、又は採光シートを他の部材に接着するための接着層(例えば、接着層21)に吸収層としての機能を備えさせることが好ましい。
また、赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを効率良く吸収する等の観点からは、採光シート20のように、採光シートを建物の採光部に配置したときに吸収層が最も室外側の層であることが好ましい。
また、これまでの採光シート20の説明では、接着層21、基材層22、光散乱層23、接着層26、保護層27、およびハードコート層28を備える例を説明したが、採光シートは少なくとも光散乱層と吸収層とを備えていればよい。例えば、ハードコート層28にかえて反射防止層などを備えさせてもよい。また、光散乱層23の表裏が反対(すなわち、基材層22が光散乱層23よりも室内側になるように配置される)の形態であってもよい。
1 建物
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 接着層(吸収層)
22 基材層
23 光散乱層
24 光透過部
25 光散乱部
26 接着層
27 保護層
28 ハードコート層

Claims (5)

  1. 建物の採光部に配置されるシート状である採光シートであって、
    透光性を有するシート状の基材層と、
    該基材層の一方の面に形成された、光を散乱する光散乱層と、
    赤外線、紫外線、又は可視光線の少なくともいずれかを吸収する吸収層と、
    を少なくとも備える積層体であり、
    前記光散乱層は、
    前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置された、光を透過する光透過部と、
    隣り合う前記光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を有する、
    採光シート。
  2. 前記吸収層が、前記採光シートに含まれる層同士を接着するため、又は前記採光シートを他の部材に接着するための接着層である、請求項1に記載の採光シート。
  3. 前記採光シートを前記建物の採光部に配置したときに、前記吸収層が最も室外側の層である、請求項1または2に記載の採光シート。
  4. 建物の採光部に備えられる採光装置であって、
    透光性を有する板状のパネルと、
    前記パネルの一方の面に貼付された請求項1乃至3のいずれかに記載の採光シートと、
    少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置された枠と、
    を備える採光装置。
  5. 採光部に請求項4に記載の採光装置が設置された建物。
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