JP6258386B2 - 電力増幅装置および電力増幅制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、衛星通信用基地局向けの大電力増幅を行う電力増幅装置および電力増幅制御方法に関する。
衛星通信は広範なサービスエリアと災害に強い特徴を有しているため、地上回線の使用困難な洋上やデジタルディバイド地域、災害時の通信環境構築に広く利用されている。しかしながら、36,000km上空の静止衛星を中継して通信するため、伝搬損失が非常に大きく地球局の性能の向上が求められる。特に、点在する各ユーザからのデータを集約する基地局においては、扱う通信容量が大きく、大きな送信電力が必要となると共に、信頼性も求められるため故障時の対応も求められる。
大きな送信電力が求められる場合は、(1) 増幅装置単体の高出力化、(2) 増幅装置出力の電力合成のいずれかの対応が考えられる。(1) については日々性能が向上しているものの上限があり、(1) で対応できない場合、または、コスト的観点から、(2) の電力合成のアプローチを取る必要性がある。
図15は、電力合成による電力増幅装置の構成例を示す。
図15(a) は、増幅しようとする信号を分配手段51を介して2つの増幅手段52−1,52−2に入力し、それぞれ増幅した信号を合成手段53を介して合成して出力する構成である。図15(b) は、増幅しようとする信号を多段化した分配手段51を介して4つの増幅手段52−1〜52−4に入力し、それぞれ増幅した信号を多段化した合成手段53を介して合成して出力する構成である。非特許文献1には、デバイスレベルでの合成例が記載されており、分配手段および合成手段についてはT分岐を使用している。また、非特許文献2には装置レベルでの合成例が記載されており、導波管マジックT(同軸系の場合のハイブリッド回路に相当)の使用例が示されている。
図15(a) は、増幅しようとする信号を分配手段51を介して2つの増幅手段52−1,52−2に入力し、それぞれ増幅した信号を合成手段53を介して合成して出力する構成である。図15(b) は、増幅しようとする信号を多段化した分配手段51を介して4つの増幅手段52−1〜52−4に入力し、それぞれ増幅した信号を多段化した合成手段53を介して合成して出力する構成である。非特許文献1には、デバイスレベルでの合成例が記載されており、分配手段および合成手段についてはT分岐を使用している。また、非特許文献2には装置レベルでの合成例が記載されており、導波管マジックT(同軸系の場合のハイブリッド回路に相当)の使用例が示されている。
また、信頼性向上の観点からは、増幅装置の故障に対応する必要がある。(1) の増幅装置単体の場合には、増幅装置の故障により出力が完全に零となるため、増幅装置の冗長構成が必要になる。
図16は、冗長化した電力増幅装置の構成例を示す。
図16において、切替手段54,55の間に増幅手段52−1,52−2を接続し、増幅手段の一方を現用系として、他方を予備系として冗長化した構成である。現用系の増幅手段が故障した場合には、切替手段54,55を現用系から予備系の増幅手段に切り替える。
図16において、切替手段54,55の間に増幅手段52−1,52−2を接続し、増幅手段の一方を現用系として、他方を予備系として冗長化した構成である。現用系の増幅手段が故障した場合には、切替手段54,55を現用系から予備系の増幅手段に切り替える。
なお、図15に示す電力合成のために複数の増幅手段を備える構成でも、個々の増幅手段の故障に対応するには図16に示すような冗長構成をとる必要がある。ただし、複数の増幅手段で構成されるため、1つの増幅手段の故障により完全に出力が零となることがないが、増幅出力は低下する。そのため、要求性能や出力低下許容量を勘案して冗長構成を採用するか、マージン等を予め確保するか等をユーザ側で判断する必要がある。
前原,山中,小坂,西原,川嶋,中山,"C帯 220W高効率GaN増幅器,"電子情報通信学会マイクロ波研究会,MW2012-22 ,pp.19-24,2012年6月
上田,濱田,池田,"薄型導波管マジックTによるKu帯電力4合成器,"1998年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会,C-2-73,p.99,1998年9月
鈴木,須崎,廣瀬,杉山,"衛星通信システムにおける分散アレイアンテナ構成技術,"NTT技術ジャーナル,2013 Vol.25 No.5,pp.42-44,2013年5月
電力合成により増幅装置出力の増大に対応する場合、合成時の増幅手段ごとの出力偏差や位相誤差をいかに低く抑えるかが重要である。増幅手段等の高周波回路は、環境温度、使用するデバイスの個体差等により、周波数特性があり使用する周波数に応じて差分が生じる。また、非特許文献3に報告されるように、増幅手段ごとの出力偏差や位相誤差を調整しても、時間の経過に伴って偏差が発生することも想定される。
ここで、2つの増幅手段(単体出力−3dBm)に信号を入力して合成電力0dBmを得る構成において、各増幅手段における信号間の位相誤差(出力偏差は零)に対する低下量を図17(a) に示し、出力偏差(位相誤差は零)に対する低下量を図17(b) に示す。
図17(a) に示すように、各増幅手段の位相誤差に応じて、合成出力が低下することが確認できる。これが、増幅手段の位相誤差に対する第1の課題である。特に、 180度の位相誤差が発生すると等振幅逆相合成となり、出力が零となる。
また、図17(b) に示すように、各増幅手段の出力偏差に応じて、合成出力が低下することが確認できる。例えば、増幅手段2の出力が−3dBmから1dB低下した場合は合成出力の低下は僅か0.5dB 程度であるが、増幅手段2が故障するなどして出力が零になると、合成出力が−6dBmとなり、増幅手段単体の出力よりも合成出力が低下することになる。これが、増幅手段の故障に伴う出力偏差に対する第2の課題である。
本発明は、電力合成時の損失要因となる複数の増幅手段の位相誤差および出力偏差を補償し、さらに増幅手段の故障に伴う出力偏差の影響を回避する電力合成を実現する電力増幅装置および電力増幅制御方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、入力信号を分配する分配手段と、分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段とを備えた電力増幅装置において、分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して2つの増幅手段にそれぞれ入力する位相制御手段と、合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に位相制御手段で設定する位相差を制御するレベル検出手段と、2つの増幅手段の故障を検出する故障検出手段と、故障検出手段で故障を検出しないときに2つの増幅手段の出力信号を合成手段で合成して出力する経路と、故障検出手段で故障を検出したときに故障していない一方の増幅手段の出力信号を合成手段を介さずに出力する経路とを切り替える経路切替手段とを備える。
第2の発明は、入力信号を分配する分配手段と、分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段とを備えた電力増幅装置において、分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して2つの増幅手段にそれぞれ入力する位相制御手段と、合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に位相制御手段で設定する位相差を制御するレベル検出手段とを備え、合成手段は、2入力2出力の2つのハイブリッドと、該2つのハイブリッド間の2経路の位相差を制御して2つの増幅手段の出力偏差を補償する出力偏差補償用の位相制御手段を備えた構成である。さらに、2つの増幅手段の故障を検出する故障検出手段を備え、出力偏差補償用の位相制御手段は、故障検出手段で故障を検出しないときに2経路の信号が等振幅で合成される位相差に設定し、故障検出手段で一方の増幅手段の故障を検出したときに他方の増幅手段の出力信号のみが出力される位相差に設定する構成としてもよい。
第3の発明は、入力信号を分配する分配手段と、分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段とを備えた電力増幅装置の電力増幅制御方法において、位相制御手段を介して分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して2つの増幅手段にそれぞれ入力し、合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に位相制御手段で設定する位相差を制御し、故障検出手段で2つの増幅手段の故障を検出し、故障検出手段で故障を検出しないときに2つの増幅手段の出力信号を合成手段で合成して出力する経路と、故障検出手段で故障を検出したときに故障していない一方の増幅手段の出力信号を合成手段を介さずに出力する経路とを切り替える。
第4の発明は、入力信号を分配する分配手段と、分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段とを備えた電力増幅装置の電力増幅制御方法において、位相制御手段を介して分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して2つの増幅手段にそれぞれ入力し、合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に位相制御手段で設定する位相差を制御し、合成手段は、2入力2出力の2つのハイブリッドと、該2つのハイブリッド間の2経路の位相差を制御する出力偏差補償用の位相制御手段とを用い、2つの増幅手段の出力偏差を補償するように該2経路の位相差を制御する。さらに、故障検出手段で2つの増幅手段の故障を検出し、出力偏差補償用の位相制御手段は、故障検出手段で故障を検出しないときに2経路の信号が等振幅で合成される位相差に設定し、故障検出手段で一方の増幅手段の故障を検出したときに他方の増幅手段の出力信号のみが出力される位相差に設定してもよい。
本発明によって、電力合成時の損失要因となる増幅手段間の位相誤差および出力偏差を補償することができる。これにより、増幅手段間の位相誤差および出力偏差の変動があっても損失のない電力合成を実現することができる。
また、増幅手段の故障時に、合成手段をバイパスするような経路に切り替えることや、各経路の振幅比に追従した可変電力合成を実施することで、増幅手段の故障に伴う出力偏差が合成手段の出力に与える影響を最小限に抑えた電力増幅が可能となる。
(実施例1…増幅手段の位相誤差への対応)
図1は、本発明の電力増幅装置の実施例1の構成例を示す。
図1において、実施例1の電力増幅装置は、分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、振幅制御手段13−1,13−2、増幅手段14−1,14−2、合成手段15およびレベル検出手段16により構成される。入力信号は、分配手段11で分配後、増幅手段14−1,14−2の位相誤差および出力偏差を補償するための位相制御手段12−1,12−2および振幅制御手段13−1,13−2を介して増幅手段14−1,14−2に入力し、合成手段15による合成信号成分が合成端子より出力される。
図1は、本発明の電力増幅装置の実施例1の構成例を示す。
図1において、実施例1の電力増幅装置は、分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、振幅制御手段13−1,13−2、増幅手段14−1,14−2、合成手段15およびレベル検出手段16により構成される。入力信号は、分配手段11で分配後、増幅手段14−1,14−2の位相誤差および出力偏差を補償するための位相制御手段12−1,12−2および振幅制御手段13−1,13−2を介して増幅手段14−1,14−2に入力し、合成手段15による合成信号成分が合成端子より出力される。
振幅制御手段13−1,13−2は、増幅手段14−1,14−2の固定の出力偏差に対して予め振幅制御するが、この出力偏差が許容できる範囲にあれば省略してもよい。
レベル検出手段16は、合成手段15のアイソレーション端子から出力された信号成分を検出し、その検出レベルが最小化するように位相制御手段12−1,12−2の位相量を調整する。なお、位相制御手段12−1,12−2は、経路間の位相差を調整すればよいため、何れか一方を省略することが可能であり、何れか一方を制御する構成であってもよい。アイソレーション端子からの出力が最小であるということは、他方の合成端子からの出力が最大であることを意味する。なお、本構成は信号成分モニタのための損失が発生しない利点がある。
また、位相制御手段12−1,12−2の制御方法に関しては、図2に示すように、合成手段15の合成端子からの出力信号の一部を取り出してレベル検出手段16に入力し、これが最大化するように位相量を調整してもよい。さらに、図3に示すように、合成出力信号を送受信装置17から送信し、通信衛星18を介して折り返した受信信号から、自身で送信した信号成分をレベル検出手段16に入力し、これが最大化するように位相量を調整してもよい。衛星折り返しを使用する場合も、アイソレーション端子の使用と同様、信号成分モニタのための損失が発生しない利点がある。これらの手順により位相量を常時調整することで、時々刻々と発生する位相誤差を補償することができ、増幅装置の位相誤差による合成出力が低下する第1の課題を解決できる。
また、実施例1の増幅手段14−1,14−2は、無線周波数帯における信号を扱うことを想定しているが、図4に示すように増幅手段と周波数変換手段を備える汎用のBUC(ブロックアップコンバータ)19−1,19−2を用いてもよい。なお、BUC間の周波数同期のため、基準発振器20から10MHz等の共通の参照信号を入力する構成となる。一般的なBUCは、L帯( 950MHz−1450MHz)の信号を無線周波数帯に変換後、増幅して出力するため、分配手段11、位相制御手段12−1,12−2および振幅制御手段13−1,13−2はL帯で動作し、動作周波数の共通化により汎用性が高まる。
ところで、基地局においては、複数の衛星通信システムを集約する必要性もあるため、通信衛星の複数の中継器に対応する必要性が生じることが想定される。図5は、一般的な通信衛星の周波数使用例を示すが、C帯およびKu帯においては、 500MHzの帯域に対して、36MHz帯域( 27.54MHz帯域等もある)の中継器が複数搭載される。複数の中継器に対応する場合は基地局において、図6に示すように、中継器ごとに処理した入力信号#1〜#nをそれぞれ分配手段11−1〜11−n、位相制御手段12−11〜12−n2、振幅制御手段13−11〜13−n2で処理し、合成手段15−2,15−3を介して全帯域に対応する増幅手段14−1,14−2に集約して増幅する構成とする。
(実施例2…増幅手段の冗長構成)
図7は、本発明の電力増幅装置の実施例2の構成例を示す。
図7において、実施例2の電力増幅装置は、入力信号の分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、振幅制御手段13−1,13−2、経路切替手段21−1、2つの現用系の増幅手段14−1,14−2と1つの予備系の増幅手段14−3、経路切替手段21−2、故障検出手段22、合成手段15およびレベル検出手段16により構成される。故障検出手段22は、現用系および予備系の増幅手段14−1〜14−3の動作を監視し、現用系の増幅手段14−1,14−2のいずれかに故障を検出したときに、経路切替手段21−1,21−2を制御して予備系の増幅手段14−3に切り替える。その他の構成は、図1に示す実施例1と同様である。
図7は、本発明の電力増幅装置の実施例2の構成例を示す。
図7において、実施例2の電力増幅装置は、入力信号の分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、振幅制御手段13−1,13−2、経路切替手段21−1、2つの現用系の増幅手段14−1,14−2と1つの予備系の増幅手段14−3、経路切替手段21−2、故障検出手段22、合成手段15およびレベル検出手段16により構成される。故障検出手段22は、現用系および予備系の増幅手段14−1〜14−3の動作を監視し、現用系の増幅手段14−1,14−2のいずれかに故障を検出したときに、経路切替手段21−1,21−2を制御して予備系の増幅手段14−3に切り替える。その他の構成は、図1に示す実施例1と同様である。
増幅手段14−1〜14−3のインターフェースを導波管で構成する場合は、経路切替手段21−1,21−2として、図8に示すロータ型の経路切替器L1〜L3の使用が一般的である。図8(a) は現用系の増幅手段14−1,14−2に故障がない場合、図8(b) は現用系の増幅手段14−1が故障した場合、図8(c) は現用系の増幅手段14−2が故障した場合に、それぞれ対応する経路切替手段21−1,21−2の状態を示す。なお、同軸のインターフェースの場合は、単純なスイッチを用いればよい。
図8(b),(c) に示すように、故障した増幅手段に合わせて、対応するロータ型の経路切替器を90度回転させることにより、故障した増幅手段から予備系の増幅手段に経路を切り替えることができる。
また、図9に示すように、入力側の経路切替手段21−1に替えて、予備系の増幅手段14−3に対応する位相制御手段12−3および振幅制御手段13−3を備え、現用系の増幅手段14−1,14−2が動作中のときは予備系の増幅手段14−3に接続される振幅制御手段13−3の減衰量を最大とする。故障検出手段22が故障を検出した際に、故障した増幅手段に対応する振幅制御手段の減衰量を最大とし、予備系の増幅手段14−3に対応する振幅制御手段13−3の減衰量を零または所定値とし、経路切替手段21−2を図8と同様に制御して現用系と予備系を切り替える制御を行う。
このような冗長構成の場合、現用系と予備系を切り替えるため性能の低下はないが、性能低下がある程度許容される場合は予備系を設けず、現用系の2つの増幅手段の正常な一方だけでも対応可能である。しかしながら、図1〜図4に示す構成の場合、一方の増幅手段の故障に伴い、他方の増幅手段だけで対応する場合は、課題2として示したように故障に伴う出力偏差が無限大になり、合成手段15において大きな損失(−6dB)が発生する。
(実施例3…増幅手段の故障に伴う出力偏差への対応)
図10は、本発明の電力増幅装置の実施例3の構成例を示す。
図10において、実施例3の電力増幅装置は、実施例1と同様の分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、振幅制御手段13−1,13−2、増幅手段14−1,14−2、合成手段15およびレベル検出手段16に加えて、経路切替手段31−1,31−2および故障検出手段32により構成される。増幅手段14−1,14−2の出力は、経路切替手段31−1を介して合成手段15に入力されるか、経路切替手段31−2に直接入力される。合成手段15の合成端子は経路切替手段31−2に接続され、アイソレーション端子はレベル検出手段16に接続される。故障検出手段32は、増幅手段14−1,14−2の故障を検出して経路切替手段31−1,31−2を制御する。
図10は、本発明の電力増幅装置の実施例3の構成例を示す。
図10において、実施例3の電力増幅装置は、実施例1と同様の分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、振幅制御手段13−1,13−2、増幅手段14−1,14−2、合成手段15およびレベル検出手段16に加えて、経路切替手段31−1,31−2および故障検出手段32により構成される。増幅手段14−1,14−2の出力は、経路切替手段31−1を介して合成手段15に入力されるか、経路切替手段31−2に直接入力される。合成手段15の合成端子は経路切替手段31−2に接続され、アイソレーション端子はレベル検出手段16に接続される。故障検出手段32は、増幅手段14−1,14−2の故障を検出して経路切替手段31−1,31−2を制御する。
図11は、経路切替手段31−1,31−2の制御例を示す。
図11(a) は増幅手段14−1,14−2に故障がない場合を示す。増幅手段14−1,14−2の出力は、経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L1,L2を介して合成手段15に入力し、その合成端子から経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L4を介して出力される。
図11(a) は増幅手段14−1,14−2に故障がない場合を示す。増幅手段14−1,14−2の出力は、経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L1,L2を介して合成手段15に入力し、その合成端子から経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L4を介して出力される。
図11(b) は増幅手段14−1が故障した場合を示す。経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L1,L2および経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L3,L4は、故障検出手段32の制御により増幅手段に故障がないときに比べて90度回転する。増幅手段14−1の出力は、経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L1から経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L3を介して終端する。増幅手段14−2の出力は、経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L2から経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L3,L4を介して出力される。
図11(c) は増幅手段14−2が故障した場合を示す。経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L1,L2および経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L4は、故障検出手段32の制御により増幅手段に故障がないときに比べて90度回転する。増幅手段14−1の出力は、経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L1から経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L3,L4を介して出力される。増幅手段14−2の出力は、経路切替手段31−1のロータ型の経路切替器L2から経路切替手段31−2のロータ型の経路切替器L3を介して終端する。
このように、増幅手段14−1,14−2の一方が故障した場合には、合成手段15を迂回する経路で片系での運用となり、故障による出力偏差が合成出力を大きく低下させる第2の課題を解決できる。このとき、レベル検出手段16は、合成手段15のアイソレーション端子の出力が零となり、位相制御手段12−1,12−2の位相制御を停止する。
図12は、本発明の電力増幅装置の実施例3の他の構成例を示す。
ここでは、図10に示す実施例3の経路切替手段31−1,31−2および合成手段15に替えて、増幅手段14−1,14−2に2入力2出力の90度ハイブリッド33−1を接続し、さらに0/90度位相制御手段34および0/180 度位相制御手段35を介して2入力2出力の90度ハイブリッド33−2を接続し、90度ハイブリッド33−2の合成端子から出力を取り出し、アイソレーション端子をレベル検出手段16に接続する。図10に示す実施例3の故障検出手段32に替わる故障検出手段36は、増幅手段14−1,14−2の故障を検出した場合に0/90度位相制御手段34および0/180 度位相制御手段35を制御し、2経路間に0度または 180度の位相差を形成する。また、増幅手段14−1,14−2の定常時は、等振幅合成すればよいので2経路間に90度の位相差を形成する。ここで、増幅手段14−1,14−2の出力偏差を補償する位相差の例を図14に示す。
ここでは、図10に示す実施例3の経路切替手段31−1,31−2および合成手段15に替えて、増幅手段14−1,14−2に2入力2出力の90度ハイブリッド33−1を接続し、さらに0/90度位相制御手段34および0/180 度位相制御手段35を介して2入力2出力の90度ハイブリッド33−2を接続し、90度ハイブリッド33−2の合成端子から出力を取り出し、アイソレーション端子をレベル検出手段16に接続する。図10に示す実施例3の故障検出手段32に替わる故障検出手段36は、増幅手段14−1,14−2の故障を検出した場合に0/90度位相制御手段34および0/180 度位相制御手段35を制御し、2経路間に0度または 180度の位相差を形成する。また、増幅手段14−1,14−2の定常時は、等振幅合成すればよいので2経路間に90度の位相差を形成する。ここで、増幅手段14−1,14−2の出力偏差を補償する位相差の例を図14に示す。
図14に示すように、増幅手段14−1,14−2の定常時は出力偏差が零になるので、2経路間に90度の位相差を与えるために、0/90度位相制御手段34で90度の位相制御を行い、0/180 度位相制御手段35で 180度の位相制御を行う。
また、増幅手段14−1が故障し、増幅手段14−1,14−2の出力偏差が+無限大になる場合には、増幅手段14−2の出力が損失なく出力されるように2経路間に0度の位相差を与えるために、0/90度位相制御手段34で0度の位相制御を行い、0/180 度位相制御手段35で0度の位相制御を行う。
また、増幅手段14−2が故障し、増幅手段14−1,14−2の出力偏差が−無限大になる場合には、増幅手段14−1の出力が損失なく出力されるように2経路間に 180度の位相差を与えるために、0/90度位相制御手段34で0度の位相制御を行い、0/180 度位相制御手段35で 180度の位相制御を行う。
なお、ここでは90度ハイブリッド33−1,33−2に対して、位相設定が固定の0/90度位相制御手段34と0/180 度位相制御手段35を用いた例を示したが、2経路間の位相差が0度、90度、 180度に設定できるものであればよい。また、90度ハイブリッド33−1,33−2に替えて 180度ハイブリッドと90度ハイブリッドで構成した場合は、2経路間の位相差が−90度、0度、90度に設定できればよい。
(実施例4…増幅手段の出力偏差への対応)
図13は、本発明の電力増幅装置の実施例4の構成例を示す。
図13において、実施例4の電力増幅装置は、分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、増幅手段14−1,14−2、90度ハイブリッド41−1、位相制御手段42,43、90度ハイブリッド41−2、レベル検出手段44により構成される。入力信号は、分配手段11で分配後、増幅手段14−1,14−2の位相誤差を補償するための位相制御手段12−1,12−2を介して増幅手段14−1,14−2に入力し、2入力2出力の90度ハイブリッド41−1の2出力が位相制御手段42,43を介して2入力2出力の90度ハイブリッド41−2に入力し、90度ハイブリッド41−2の合成端子から合成信号成分が出力される。
図13は、本発明の電力増幅装置の実施例4の構成例を示す。
図13において、実施例4の電力増幅装置は、分配手段11、位相制御手段12−1,12−2、増幅手段14−1,14−2、90度ハイブリッド41−1、位相制御手段42,43、90度ハイブリッド41−2、レベル検出手段44により構成される。入力信号は、分配手段11で分配後、増幅手段14−1,14−2の位相誤差を補償するための位相制御手段12−1,12−2を介して増幅手段14−1,14−2に入力し、2入力2出力の90度ハイブリッド41−1の2出力が位相制御手段42,43を介して2入力2出力の90度ハイブリッド41−2に入力し、90度ハイブリッド41−2の合成端子から合成信号成分が出力される。
レベル検出手段44は、90度ハイブリッド41−2のアイソレーション端子から出力された信号成分を検出し、その検出レベルが最小化するように位相制御手段12−1,12−2の位相量を調整するとともに、位相制御手段42,43の位相量を調整する。ただし、位相制御手段12−1,12−2は増幅手段14−1,14−2の位相誤差補償用であり、位相制御手段42,43は増幅手段14−1,14−2の出力偏差補償用である。なお、位相制御手段12−1,12−2および位相制御手段42,43は、経路間の位相差を調整すればよいため、何れか一方を省略することが可能であり、何れか一方を制御する構成であってもよい。アイソレーション端子からの出力が最小であるということは、他方の合成端子からの出力が最大であることを意味する。
ここでは、90度ハイブリッド41−1,41−2を用いた場合には、図14に示すように、増幅手段14−1,14−2の出力偏差に応じたレベル検出手段44の制御により、位相制御手段42,43で90度を基準に0度〜 180度の位相差を与える構成になるが、 180度ハイブリッドと90度ハイブリッドの組み合わせの場合には、位相制御手段42,43で0度を基準に−90度から+90度の位相差を与える構成となる。
また、図17(a),(b) に示すように、合成出力は位相誤差および出力偏差に対して、それぞれ単調減少であるため、位相誤差補償用の位相制御手段12−1,12−2および出力偏差補償用の位相制御手段42,43を交互に動作させて位相量を調整して、アイソレーション端子の出力信号の最小化を実現してもよい。また、図2および図3に示す構成のように、合成端子の出力信号をモニタして該出力信号の最大化を図るようにしてもよい。
11 分配手段
12 位相制御手段
13 振幅制御手段
14 増幅手段
15 合成手段
16,44 レベル検出手段
17 送受信装置
18 通信衛星
19 BUC(ブロックアップコンバータ)
20 基準発振器
21,31 経路切替手段
22,32,36 故障検出手段
33,41 90度ハイブリッド
34 0/90度位相制御手段
35 0/180 度位相制御手段
42,43 位相制御手段
12 位相制御手段
13 振幅制御手段
14 増幅手段
15 合成手段
16,44 レベル検出手段
17 送受信装置
18 通信衛星
19 BUC(ブロックアップコンバータ)
20 基準発振器
21,31 経路切替手段
22,32,36 故障検出手段
33,41 90度ハイブリッド
34 0/90度位相制御手段
35 0/180 度位相制御手段
42,43 位相制御手段
Claims (6)
- 入力信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、
前記2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段と
を備えた電力増幅装置において、
前記分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して前記2つの増幅手段にそれぞれ入力する位相制御手段と、
前記合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、前記2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に前記位相制御手段で設定する位相差を制御するレベル検出手段と、
前記2つの増幅手段の故障を検出する故障検出手段と、
前記故障検出手段で故障を検出しないときに前記2つの増幅手段の出力信号を前記合成手段で合成して出力する経路と、前記故障検出手段で故障を検出したときに故障していない一方の増幅手段の出力信号を前記合成手段を介さずに出力する経路とを切り替える経路切替手段と
を備えたことを特徴とする電力増幅装置。 - 入力信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、
前記2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段と
を備えた電力増幅装置において、
前記分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して前記2つの増幅手段にそれぞれ入力する位相制御手段と、
前記合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、前記2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に前記位相制御手段で設定する位相差を制御するレベル検出手段と
を備え、
前記合成手段は、2入力2出力の2つのハイブリッドと、該2つのハイブリッド間の2経路の位相差を制御して前記2つの増幅手段の出力偏差を補償する出力偏差補償用の位相制御手段を備えた構成である
ことを特徴とする電力増幅装置。 - 請求項2に記載の電力増幅装置において、
前記2つの増幅手段の故障を検出する故障検出手段を備え、
前記出力偏差補償用の位相制御手段は、前記故障検出手段で故障を検出しないときに前記2経路の信号が等振幅で合成される位相差に設定し、前記故障検出手段で一方の増幅手段の故障を検出したときに他方の増幅手段の出力信号のみが出力される位相差に設定する構成である
ことを特徴とする電力増幅装置。 - 入力信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、
前記2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段と
を備えた電力増幅装置の電力増幅制御方法において、
位相制御手段を介して前記分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して前記2つの増幅手段にそれぞれ入力し、
前記合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、前記2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に前記位相制御手段で設定する位相差を制御し、
故障検出手段で前記2つの増幅手段の故障を検出し、
前記故障検出手段で故障を検出しないときに前記2つの増幅手段の出力信号を前記合成手段で合成して出力する経路と、前記故障検出手段で故障を検出したときに故障していない一方の増幅手段の出力信号を前記合成手段を介さずに出力する経路とを切り替える
ことを特徴とする電力増幅制御方法。 - 入力信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された各入力信号を増幅する2つの増幅手段と、
前記2つの増幅手段の出力信号を合成する合成手段と
を備えた電力増幅装置の電力増幅制御方法において、
位相制御手段を介して前記分配手段で分配された各入力信号の位相差を制御して前記2つの増幅手段にそれぞれ入力し、
前記合成手段の合成端子またはアイソレーション端子の出力信号のレベルを検出し、前記2つの増幅手段の位相誤差を補償する方向に前記位相制御手段で設定する位相差を制御し、
前記合成手段は、2入力2出力の2つのハイブリッドと、該2つのハイブリッド間の2経路の位相差を制御する出力偏差補償用の位相制御手段とを用い、前記2つの増幅手段の出力偏差を補償するように該2経路の位相差を制御する
ことを特徴とする電力増幅制御方法。 - 請求項5に記載の電力増幅制御方法において、
故障検出手段で前記2つの増幅手段の故障を検出し、
前記出力偏差補償用の位相制御手段は、前記故障検出手段で故障を検出しないときに前記2経路の信号が等振幅で合成される位相差に設定し、前記故障検出手段で一方の増幅手段の故障を検出したときに他方の増幅手段の出力信号のみが出力される位相差に設定する ことを特徴とする電力増幅制御方法。
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JP2010161711A (ja) * | 2009-01-09 | 2010-07-22 | Mitsubishi Electric Corp | 高周波増幅器 |
JP2012065238A (ja) * | 2010-09-17 | 2012-03-29 | Toshiba Corp | 送信機制御装置及び送信機制御方法 |
JP2013017045A (ja) * | 2011-07-04 | 2013-01-24 | Toshiba Corp | 送信装置とその歪み補償方法 |
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