[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
<燃料電池モジュール>
図1,図2に示されるように、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1は、燃料電池セルスタック10と、容器20と、断熱層130と、断熱材140とを備える。
<燃料電池セルスタック>
燃料電池セルスタック10には、一例として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されている。この燃料電池セルスタック10は、一例として、鉛直方向に積層された複数の平板形のセル12と、マニホールド14と有している。各セル12は、燃料極、電解質層、空気極を有する。
各セル12の燃料極には、改質ガスが供給され、各セル12の空気極には、酸化剤ガスが供給される。各セル12は、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電すると共に、発電に伴い発熱する。
<容器>
容器20は、複数(九個)の管材21〜29により構成されている。この複数の管材21〜29は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成され、伝熱性の高い金属で形成される。この複数の管材21〜29は、容器20の内側から外側に順に配置されている。
一番目の管材21は、燃料電池セルスタック10の上方から容器20の上端部に亘って設けられている。二番目の管材22及び三番目の管材23は、一番目の管材21の上部に対応する長さで形成されており、二番目の管材22は、一番目の管材21の外側から管材21の上部に接合されている。四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部に設けられており、五番目の管材25及び六番目の管材26は、容器20の下端部から上端部に亘って設けられている。七番目の管材27、八番目の管材28、及び、九番目の管材29は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられている。
六番目の管材26と七番目の管材27とは、水平方向に延びる連結部31(第一連結部)を介して連結され、五番目の管材25と八番目の管材28とは、水平方向に延びる連結部32(第二連結部)を介して連結されている。また、九番目の管材29の上端部は、水平方向に延びる連結部33を介して三番目の管材23の上端部に固定されている。
五番目の管材25の下端部は、底壁部34に固定されており、六番目の管材26の下端部は、底壁部35に固定されている。底壁部34には、燃料電池セルスタック10が載置されており、また、底壁部34と底壁部35とは、スペーサ36により固定されている。底壁部34,35には、燃料電池セルスタック10から延びる出力線17が貫通している。出力線17が貫通する底壁部34,35の穴の内周と出力線17の外周との間は、適宜シールされる。
この複数の管材21〜29によって構成される容器20は、機能別には、気化部40と、改質部60と、燃焼部90と、予熱部100(収容部)と、熱交換部110とを有する。
<気化部>
気化部40は、図2〜図4に示されるように、四重の筒状壁41〜44によって構成されている。四重の筒状壁41〜44のうち最も内側に位置する筒状壁41は、一番目の管材21の上部と、二番目の管材22とによって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち内側から二番目の筒状壁42は、三番目の管材23によって構成されている。また、四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち最も外側の筒状壁44は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
この四重の筒状壁41〜44によって構成された気化部40は、後述する改質部60の上方に改質部60と同軸上に設けられている。図3に示されるように、この気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48が順に形成されている。
つまり、一番目の筒状壁41の内側の空間は、断熱空間45として形成され、一番目の筒状壁41と、二番目の筒状壁42との間の隙間は、気化流路46として形成されている。また、二番目の筒状壁42と、三番目の筒状壁43との間の隙間は、燃焼排ガス流路47として形成され、三番目の筒状壁43と、四番目の筒状壁44との間の隙間は、酸化剤ガス流路48として形成されている。図3において、断熱空間45は、空洞とされているが、この断熱空間45には、断熱材49が充填されても良い。
気化流路46の上端部には、容器20の径方向外側に延びる原燃料供給管50が接続されている。原燃料供給管50は、連結部31〜33の上方に位置する。気化流路46は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この気化流路46には、原燃料供給管50から供給された原燃料161が鉛直方向上側から下側に流れる。原燃料供給管50から供給される原燃料161としては、例えば、都市ガス等の炭化水素系ガス又は炭化水素系液体である炭化水素系燃料に改質用の水が混合されたものが使用される。
この気化流路46には、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部51(螺旋形成部)が設けられており、この螺旋凸部51により、気化流路46は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。螺旋凸部51は、気化流路46を形成する筒状壁41,42の両方と接触しており、筒状壁41及び筒状壁42の間に介在するスペーサの役割を果たしている。
図4に示されるように、気化部40の下端部には、トラップ部54が設けられている。このトラップ部54は、後述する連結管81(オリフィス82)に対する下方に位置している。このトラップ部54は、気化流路46の下端部と連通する空間を有する凹状に形成されている。気化流路46の幅W1、すなわち、一番目の筒状壁41と、二番目の筒状壁42との間の隙間は、後述する改質部60に形成された改質流路67の幅W2よりも狭くなっている。
燃焼排ガス流路47の下端部は、後述する改質部60に形成された燃焼排ガス流路66(図4参照)を介して燃焼部90に形成された燃焼室94(図5参照)と連通されている。燃焼排ガス流路47は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路47には、燃焼部90から排出されると共に改質部60の燃焼排ガス流路66を通じて供給された燃焼排ガス166が鉛直方向下側から上側に流れる。
燃焼排ガス流路47の上端部には、この燃焼排ガス流路47の周方向に沿って環状に形成された整流板52が設けられている。この整流板52には、周方向に間隔を空けて複数のオリフィス53が形成されている。この複数のオリフィス53は、整流板52の板厚方向に貫通している。なお、この整流板52は、省かれても良い。
酸化剤ガス流路48の上端部は、後述する熱交換部110に形成された酸化剤ガス流路117と連通されている。この酸化剤ガス流路48は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路48には、熱交換部110の酸化剤ガス流路117から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
<改質部>
改質部60は、上述の気化部40の下方に設けられた四重の筒状壁61〜64によって構成されている。四重の筒状壁61〜64のうち最も内側に位置する筒状壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62は、四番目の管材24によって構成されている。また、四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63は、五番目の管材25における高さ方向の中央部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち最も外側の筒状壁64は、六番目の管材26における高さ方向の中央部によって構成されている。
この四重の筒状壁61〜64によって構成された改質部60は、後述する燃焼部90(図5参照)の上方に燃焼部90と同軸上に設けられている。この改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64は、互いの間に隙間を有している。そして、この四重の筒状壁61〜64の内側から外側には、断熱空間65、燃焼排ガス流路66、改質流路67、及び、酸化剤ガス流路68が順に形成されている。
つまり、一番目の筒状壁61の内側の空間は、断熱空間65として形成され、一番目の筒状壁61と、二番目の筒状壁62との間の隙間は、燃焼排ガス流路66として形成されている。また、二番目の筒状壁62と、三番目の筒状壁63との間の隙間は、改質流路67として形成され、三番目の筒状壁63と、四番目の筒状壁64との間の隙間は、酸化剤ガス流路68として形成されている。
断熱空間65は、上述の気化部40の断熱空間45と連通している。図4において、断熱空間65は、空洞とされているが、この断熱空間65には、断熱材69が充填されても良い。燃焼排ガス流路66の下端部は、後述する燃焼部90に形成された燃焼室94(図5参照)と連通されている。燃焼排ガス流路66は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路66には、後述する燃焼部90から排出された燃焼排ガス166が鉛直方向下側から上側に流れる。
<混合部及び分散部>
改質部60の上端部には、鉛直方向上側に延長された混合部80が形成されている。この混合部80は、気化部40と改質部60との間、すなわち、より具体的には、改質部60の上側且つ気化部40の下端部の径方向外側に位置する。気化部40の下端部における周方向の一部からは、連結管81が径方向外側に延びている。連結管81は、混合部80における気化部40との接続部を構成しており、この連結管81の内側は、水平方向に貫通するオリフィス82として形成されている。連結管81(オリフィス82)は、気化流路46の径方向外側に位置しており、気化流路46の下端部と連通する。混合部80は、連結管81(オリフィス82)を一つのみ有する。混合部80には、オリフィス82に対する改質流路67側(径方向外側)に位置しオリフィス82と対向する対向壁部86が設けられている。
改質流路67の入口(上端)は、混合部80及び連結管81を介して気化流路46と連通されている。改質流路67は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この改質流路67には、気化流路46から供給された原燃料ガス162が鉛直方向上側から下側に流れる。
この改質流路67の入口には、改質流路67の周方向に沿って環状に形成された仕切板83が設けられている。この仕切板83には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス84が形成されている。この複数のオリフィス84は、仕切板83の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス84を通じて原燃料ガス162が流入する。この仕切板83は、鉛直方向に間隔を空けて複数設けられていても良い。
この改質流路67の入口の径方向外側には、酸化剤ガス流路68が位置している。改質流路67には、原燃料ガス162から燃料ガス(改質ガス)を生成するための改質触媒層70が改質流路67の周方向及び軸方向の全長に亘って設けられている。改質触媒層70には、例えば、活性金属としてニッケル、ルテニウム、白金、ロジウム等の金属を担持した粒状触媒又はハニカム触媒等が用いられる。
酸化剤ガス流路68の上端部は、上述の気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。この酸化剤ガス流路68は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路68には、気化部40の酸化剤ガス流路48から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
<燃焼部>
図5に示されるように、燃焼部90は、上述の改質部60の下方に設けられており、周壁部91と、点火電極92と、隔壁部93とを有する。周壁部91は、上述の改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61を除く残りの筒状壁62〜64に一体に形成されている。
つまり、四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61を除く残りの筒状壁62〜64は、内側の筒状壁61に対して下方に延びている。そして、この筒状部62〜64における下方に延びた延長部分は、燃焼部90の周壁部91として形成されている。この周壁部91を構成する三重の筒状壁62〜64において、筒状壁62と筒状壁63との間には、改質部60の改質流路67が延長して形成されており、筒状壁63と筒状壁64との間には、改質部60の酸化剤ガス流路68が延長して形成されている。
この周壁部91は、燃料電池セルスタック10の上方に位置すると共に、後述する燃料電池セルスタック10の周囲を囲う予熱部100と同軸上に設けられている。この周壁部91の内側は、燃焼室94として形成されており、この燃焼室94は、後述する予熱部100の内側空間104と、上述の改質部60の燃焼排ガス流路66とに連通されている。
周壁部91の内側には、テーパ部95が設けられている。このテーパ部95は、上述の改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61の下端部に一体に形成されている。このテーパ部95は、改質部60の側から燃焼部90の側に突出すると共に、燃焼部90の側から改質部60の側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている、
点火電極92は、テーパ部95の先端部(下端部)から燃焼室94内に突出されており、燃焼室94の中心部に配置されている。この点火電極92は、燃料電池セルスタック10の上方に燃料電池セルスタック10と離間して設けられている。上述の気化部40及び改質部60を構成する一番目の管材21の内側には、パイプ150が収容され、このパイプ150の内側には、点火電極92と接続され碍子で絶縁された導電部151が挿入されている。
隔壁部93は、周壁部91の内周面に沿って環状に形成されている。この隔壁部93は、点火電極92と燃料電池セルスタック10との間に開口する絞り孔96を有している。この絞り孔96には、燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガス165が通過する。絞り孔96を通過したスタック排ガス165は、点火電極92とパイプ150等との間に形成されるスパークによって燃焼される。燃焼室94にて発生した燃焼排ガス166は、上方(燃料電池セルスタック10と反対側)に排出され、テーパ部95に沿って改質部60の燃焼排ガス流路66に流入する。
<予熱部>
予熱部100(収容部)は、上述の燃焼部90の下方に設けられた二重の筒状壁101,102によって構成されている。二重の筒状壁101,102のうち内側の筒状壁101は、五番目の管材25の下部によって構成され、二重の筒状壁101,102のうち外側の筒状壁102は、六番目の管材26の下部によって構成されている。
この予熱部100は、燃料電池セルスタック10の周囲に設けられており、燃料電池セルスタック10を収容している。予熱部100の内側には、内側空間104が形成されており、予熱部100を構成する二重の筒状壁101,102の間には、予熱流路105が形成されている。
この予熱流路105には、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部106が設けられており、この螺旋凸部106により、予熱流路105は、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成されている。螺旋凸部106は、予熱流路105を形成する筒状壁101,102の両方と接触しており、筒状壁101及び筒状壁102の間に介在するスペーサの役割を果たしている。
この予熱流路105の上端部は、上述の改質部60の酸化剤ガス流路68と連通され、予熱流路105の下端部は、図2に示される底壁部34と底壁部35との間に形成された導入路37を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15と連通されている。図5に示されるように、予熱流路105は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この予熱流路105には、改質部60の酸化剤ガス流路68を通じて供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
また、予熱部100の内側には、上述の改質流路67と、燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16(図2参照)とを接続する燃料ガス配管107が設けられている。上述の隔壁部93の外周部には、水平方向に延在する仕切板97が一体に形成されており、この仕切板97には、鉛直方向に貫通するオリフィス98が仕切板97の周方向に間隔を空けて複数形成されている。改質流路67と燃料ガス配管107の内側とは、オリフィス98を通じて連通されている。
<熱交換部>
図3に示されるように、熱交換部110は、上述の改質部60及び気化部40の周囲に設けられた三重の筒状壁111〜113によって構成されている。三重の筒状壁111〜113における内側の筒状壁111は、七番目の管材27によって構成され、三重の筒状壁111〜113における中央の筒状壁112は、八番目の管材28によって構成され、三重の筒状壁111〜113における外側の筒状壁113は、九番目の管材29によって構成されている。
この熱交換部110を構成する三重の筒状壁111〜113は、互いの間に隙間を有している。そして、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間には、酸化剤ガス流路117が形成され、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間には、燃焼排ガス流路118が形成されている。
酸化剤ガス流路117には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部120(螺旋形成部)が設けられており、この螺旋凸部120により、酸化剤ガス流路117は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路118には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部121(螺旋形成部)が設けられており、この螺旋凸部121により、燃焼排ガス流路118は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
酸化剤ガス流路117及び燃焼排ガス流路118は、気化流路46よりも螺旋のピッチが大きくなっている。螺旋凸部120は、酸化剤ガス流路117を形成する筒状壁111,112の両方と接触しており、筒状壁111及び筒状壁112の間に介在するスペーサの役割を果たしている。同様に、螺旋凸部121は、燃焼排ガス流路118を形成する筒状壁112,113の両方と接触しており、筒状壁112及び筒状壁113の間に介在するスペーサの役割を果たしている。
酸化剤ガス流路117の下端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122(図2参照)が接続されている。連結部31と連結部32との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路38として形成されており、酸化剤ガス流路117の上端部は、連結流路38を介して上述の気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。酸化剤ガス流路117は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路117には、酸化剤ガス供給管122(図2参照)から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向下側から上側に流れる。
また、連結部32と連結部33との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路39として形成されており、燃焼排ガス流路118の上端部は、連結流路39を介して上述の気化部40に形成された燃焼排ガス流路47と連通されている。この燃焼排ガス流路118の下端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123(図2参照)が接続されている。燃焼排ガス流路118は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路118には、気化部40の燃焼排ガス流路47から供給された燃焼排ガス166が鉛直方向上側から下側に流れる。
<断熱層>
図2に示されるように、改質部60及び気化部40と、熱交換部110とは、容器20の径方向に離間しており、この改質部60及び気化部40と熱交換部110との間には、円筒状の断熱層130が介在されている。この断熱層130は、気化部40及び改質部60を外側から覆っている。
<断熱材>
断熱材140は、円筒状の本体部141と、円盤状の上部142及び下部143とを有し、容器20を覆っている。つまり、本体部141は、容器20の周囲に設けられており、容器20を外側から覆っている。上部142は、本体部141を鉛直方向上側から覆うと共に、容器20の上部の周囲に設けられている。上部142は、鉛直方向上側から固定部材144により固定されている。下部143は、容器20及び本体部141を鉛直方向下側から覆っている。この断熱材140の表面は、被覆シート145によって覆われている。
次に、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1の動作について説明する。
図2に示される原燃料供給管50を通じて図3に示される気化流路46に原燃料161(炭化水素系燃料に改質用の水が混合されたもの)が供給されると、この原燃料161は、螺旋状に形成された気化流路46を鉛直方向上側から下側へ流れる。このとき、気化部40では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。気化流路46に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス166が流れると、気化流路46を流れる原燃料161と燃焼排ガス166との間で熱交換される(燃焼排ガス166から原燃料161に気化熱が与えられる)。そして、気化流路46では、原燃料161が気化されて原燃料ガス162(図4参照)が生成される。
図4に示されるように、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、連結管81の内側に形成されたオリフィス82を通り、改質部60の上方に形成された混合部80の内側空間85に流入する。このとき、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、連結管81の内側のオリフィス82を通過する際に流速が高められて噴流となり、混合部80における径方向外側の対向壁部86に衝突する。そして、原燃料ガス162が対向壁部86に衝突することにより乱流が生じ、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気が混合される。
このようにして混合された原燃料ガス162は、対向壁部86に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス84を通じて改質流路67に流入する。複数のオリフィス84は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス84を通過することで、改質流路67には、原燃料ガス162が周方向に分散して流入する。
また、このとき、改質部60では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路66を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路67に隣接する燃焼排ガス流路66に燃焼排ガス166が流れると、改質流路67を流れる原燃料ガス162と燃焼排ガス166との間で熱交換される。そして、改質流路67では、燃焼排ガス166の熱を利用して改質触媒層70により原燃料ガス162から燃料ガス163(改質ガス)が生成される。
改質流路67にて生成された燃料ガス163は、図5に示されるように、仕切板97に形成されたオリフィス98を通過し、燃料ガス配管107の内側に流入する。そして、この燃料ガス163は、燃料ガス配管107を通じて燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16(図2参照)に供給される。
一方、このとき、図3に示される熱交換部110では、酸化剤ガス供給管122(図2参照)を通じて酸化剤ガス流路117に酸化剤ガス164が供給される。この酸化剤ガス164は、螺旋状に形成された酸化剤ガス流路117を鉛直方向下側から上側に流れる。このとき、熱交換部110では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路118を鉛直方向上側から下側に流れる。この燃焼排ガス166は、図2に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
図3に示されるように、酸化剤ガス流路117に隣接する燃焼排ガス流路118に燃焼排ガス166が流れると、酸化剤ガス流路117を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス166との間で熱交換される。そして、燃料電池モジュールM1の外部へ排出される燃焼排ガス166の温度が低下され、燃料電池モジュールM1の外部への放熱が抑制される。一方、酸化剤ガス164は、燃焼排ガス166の熱を吸収し、予熱される。この熱交換部110にて予熱された酸化剤ガス164は、連結流路38を通じて気化部40の酸化剤ガス流路48に流入し、その後、気化部40の酸化剤ガス流路48及び改質部60の酸化剤ガス流路68(図4,図5参照)を鉛直方向上側から下側に流れる。
図4に示される気化部40では、上述の通り、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。酸化剤ガス流路48に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス166が流れると、酸化剤ガス流路48を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス166との間で熱交換され、酸化剤ガス164がさらに予熱される。
同様に、改質部60では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス166が燃焼排ガス流路66を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路67を挟んだ酸化剤ガス流路68と反対側の燃焼排ガス流路66に燃焼排ガス166が流れると、酸化剤ガス流路68を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス166とが改質流路67(改質触媒層70)を介して熱交換し、このことによっても、酸化剤ガス164が予熱される。
このように酸化剤ガス流路48,68を流れることで予熱された酸化剤ガス164は、図5に示される予熱流路105に流入し、この螺旋状に形成された予熱流路105を鉛直方向上側から下側に流れる。この予熱流路105を流れる酸化剤ガス164は、燃料電池セルスタック10の熱によってさらに予熱される。そして、この予熱流路105にて予熱された酸化剤ガス164は、燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15(図2参照)に供給される。
以上のようにして、図2に示される燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16に燃料ガスが供給されると共に、燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15に酸化剤ガスが供給されると、燃料電池セルスタック10では、各セル12において、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電する。また、各セル12は、発電に伴い発熱する。
図5に示されるように、燃料電池セルスタック10からは、燃料極排ガス及び空気極排ガスを含むスタック排ガス165が排出される。この燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガス165は、隔壁部93に形成された絞り孔96を通じて燃焼部90の内側に形成された燃焼室94に流入する。このとき、燃料極排ガス及び空気極排ガスを含むスタック排ガス165は、絞り孔96を通過することで混合される。
この燃焼室94に流入したスタック排ガス165には、各セル12において未反応の水素及び酸素が含まれており、この水素を含むスタック排ガス165は、点火電極92とパイプ150等との間に形成されるスパークによって燃焼される。点火電極92は、燃料電池セルスタック10と鉛直方向に離間しているため、スタック排ガス165は、燃料電池セルスタック10から離れた位置で燃焼される。
そして、このようにして燃焼室94においてスタック排ガス165が燃焼されると、燃焼室94にて燃焼排ガス166が発生する。この燃焼室94にて発生した燃焼排ガス166は、上方(燃料電池セルスタック10と反対側)に排出され、テーパ部95に沿って改質部60の燃焼排ガス流路66に流入する。また、この燃焼部90から排出され改質部60の燃焼排ガス流路66に流入した燃焼排ガス166は、上述の通り、改質部60の燃焼排ガス流路66、気化部40の燃焼排ガス流路47(図4参照)、連結流路39及び熱交換部110の燃焼排ガス流路118(図3参照)を流れた後、図2に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
次に、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1によれば、予熱部100と、燃焼部90の周壁部91と、改質部60と、気化部40とは、互いに同軸上に設けられている。また、改質部60は、四重の筒状壁61〜64によって構成され、この四重の筒状壁61〜64に、改質部60における断熱空間65、燃焼排ガス流路66、改質流路67、及び、酸化剤ガス流路68が形成されている。同様に、気化部40は、四重の筒状壁41〜44によって構成され、この四重の筒状壁41〜44に、気化部40における断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48が形成されている。さらに、改質部60及び気化部40の周囲に設けられた熱交換部110は、三重の筒状壁111〜113によって構成され、この三重の筒状壁111〜113に、熱交換部110における酸化剤ガス流路117及び燃焼排ガス流路118が形成されている。以上より、燃料電池モジュールM1が径方向に拡がることを抑制できるので、この燃料電池モジュールM1によれば、径方向に小型化することができる。
しかも、上述の通り、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110は、多重の筒状壁によって構成されており、この多重の筒状壁によって各流路が形成されている。従って、例えば、各流路が別々の構造によって構成される場合に比して、部品点数を削減して低コスト化することができる。
また、気化流路46は、螺旋凸部51によって気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。従って、気化流路46が螺旋状に形成された分、原燃料161が気化流路46を流れる時間を長くすることができると共に、気化流路46における圧力損失も増えるので、気化部40における気化の促進及び安定性を確保することができる。
また、気化流路46の内側には、断熱空間45が形成されている。従って、気化流路46については、径方向の厚さを薄くすることで、容積に対して伝熱面積を大きく確保することができる。これにより、気化部40を径方向及び軸方向に小型化しつつ、気化流路46において原燃料を安定して気化させることができる。
また、気化部40では、燃焼排ガス流路47の径方向の両側に気化流路46及び酸化剤ガス流路48が形成されている。従って、燃焼排ガス流路47の熱を、気化流路46と酸化剤ガス流路48とに振り分けることができる。これにより、気化流路46の過昇温、ひいては、改質流路67の入口の過昇温を抑制することができる。
また、気化流路46は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この気化流路46には、原燃料161が鉛直方向上側から下側に流れる。従って、気化流路46にて液溜りが生じることを抑制することができる。また、気化流路46では、原燃料161に含まれる改質用の水が水滴状態(表面積が大きい状態)で流れるので、この改質用の水を突沸させることなく静かに気化させることができる。
また、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、オリフィス82を通過する際に流速が高められて噴流となり、対向壁部86に衝突する。従って、原燃料ガス162が対向壁部86に衝突することにより乱流を生じさせることができるので、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気を混合させることができる。
また、オリフィス82に対する下方には、気化流路46の下端部と連通する空間を有する凹状のトラップ部54が設けられている。従って、気化流路46において未蒸発の水滴が生じた場合でも、この水滴をトラップ部54にて捕集することができるので、この水滴が改質流路67に流入することを抑制することができる。これにより、この気化流路46において未蒸発の水滴が改質触媒層70に侵入して、改質触媒層70の内部の改質触媒の表面で気化することを抑制することができるので、熱衝撃で改質触媒が損傷することを抑制することができる。
また、混合部80は、オリフィス82を一つのみ有するので、例えば、原燃料ガス162の流量やスチームカーボン比(S/C比)に変動があっても、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気をより一層効果的に混合させることができる。これにより、改質触媒層70の転化率低下や改質触媒層70内に局所的に温度が高くなる箇所が生じることによる改質触媒層70の劣化を抑制することができる。
また、オリフィス82は、気化流路46の径方向外側に位置するので、このオリフィス82を通じて気化流路46と連通される改質流路67を気化流路46よりも径方向外側に拡大することができる。これにより、改質流路67における伝熱面積を増加させることができる。
また、原燃料ガス162は、対向壁部86に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス84を通じて改質流路67に流入する。このとき、複数のオリフィス84が改質流路67の周方向に間隔を空けて並ぶことにより、原燃料ガス162が周方向に分散される。従って、改質流路67に流入する原燃料ガス162の周方向への偏り(原燃料ガスの偏流)を抑制することができる。
また、気化流路46、予熱流路105、酸化剤ガス流路117、及び、燃焼排ガス流路118の各流路に設けられた螺旋凸部51、106、120、121は、各流路の両側に位置する筒状壁間の間に介在するスペーサの役割を果たしている。従って、この螺旋凸部51、106、120、121によって各流路の幅を維持することができ、各流路の周方向で温度差が生じることを抑制することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図6に示される第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、上述の第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1に対し、次のように構造が変更されている。
すなわち、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2において、容器20は、上述の第一実施形態よりも一つ少ない八個の管材21〜28により構成されている。一番目の管材21、五番目の管材25、及び、六番目の管材26は、容器20の上側へ延長されている。七番目の管材27は、一番目の管材21における上方への延長部分の外側に設けられており、八番目の管材28は、七番目の管材27と五番目の管材25との間に設けられている。
七番目の管材27の下端部は、二番目の管材22の上端部に固定され、八番目の管材28の下端部は、三番目の管材23の上端部に固定されている。八番目の管材28の上端部は、七番目の管材27の上端部に固定され、五番目の管材25の上端部は、八番目の管材28の上端部に固定され、六番目の管材26の上端部は、五番目の管材25の上端部に固定されている。
熱交換部110は、気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられており、容器20の上部に設けられた四重の筒状壁111〜114によって構成されている。四重の筒状壁111〜114のうち最も内側に位置する筒状壁111は、七番目の管材27によって構成され、四重の筒状壁111〜114のうち内側から二番目の筒状壁112は、八番目の管材28によって構成されている。また、四重の筒状壁111〜114のうち内側から三番目の筒状壁113は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の筒状壁111〜114のうち最も外側に位置する筒状壁114は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
図7に示されるように、この熱交換部110を構成する四重の筒状壁111〜114は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁111〜114の内側から外側には、断熱空間115、原燃料流路116、燃焼排ガス流路118、及び、酸化剤ガス流路117が順に形成されている。
つまり、一番目の筒状壁111の内側の空間は、断熱空間115として形成され、一番目の筒状壁111と、二番目の筒状壁112との間の隙間は、原燃料流路116として形成されている。また、二番目の筒状壁112と、三番目の筒状壁113との間の隙間は、燃焼排ガス流路118として形成され、三番目の筒状壁113と、四番目の筒状壁111〜114との間の隙間は、酸化剤ガス流路117として形成されている。図7において、断熱空間115は、空洞とされているが、この断熱空間115には、断熱材124が充填されても良い。
原燃料流路116の上端部には、容器20の径方向外側に延びる原燃料供給管50(図6参照)が接続されている。原燃料流路116は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この原燃料流路116には、原燃料供給管50から供給された原燃料161が鉛直方向上側から下側に流れる。原燃料流路116の下端部は、気化流路46と連通されている。
気化流路46の入口(上端)には、気化流路46の周方向に沿って環状に形成された整流筒171が設けられている。この整流筒171によって、気化流路46の入口には、連通路172が形成されている。なお、この整流筒171は、省かれても良い。
酸化剤ガス流路117の上端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122(図6参照)が接続されており、酸化剤ガス流路117の下端部は、気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。酸化剤ガス流路117は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路117には、酸化剤ガス供給管122から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
燃焼排ガス流路118の上端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123(図6参照)が接続されており、燃焼排ガス流路118の下端部は、気化部40に形成された燃焼排ガス流路47と連通されている。燃焼排ガス流路118は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路118には、気化部40の燃焼排ガス流路47から供給された燃焼排ガス166が鉛直方向下側から上側に流れる。
この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、熱交換部110が気化部40の上方に設けられた以外は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様の構造であり、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様に動作する。また、この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様の構造については、この燃料電池モジュールM1と同様の作用及び効果を奏する。
この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2のように、熱交換部110が気化部40の上方に設けられていると、五番目の管材25と六番目の管材26を容器20の上側へ直線状に延長することにより、この五番目の管材25の上部と六番目の管材26の上部で熱交換部110の外周側の壁部を構成することができる。これにより、容器20の製造が容易になると共に容器20を構成する管材の数を減らすことができるので、コストダウンすることができる。
また、熱交換部110が気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられているので、この燃料電池モジュールM2によれば、径方向により一層小型化することができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8に示される第三実施形態に係る燃料電池モジュールM3は、上述の第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2に対し、次のように構造が変更されている。
すなわち、第三実施形態に係る燃料電池モジュールM3において、六番目の管材26は、鉛直方向の長さが縮められており、容器20の下部にのみ設けられている。そして、予熱部100を構成する二重の筒状壁101,102のうち内側の筒状壁101は、五番目の管材25の下部によって構成され、二重の筒状壁101のうち外側の筒状壁102は、六番目の管材26によって構成されている。
六番目の管材26が容器20の下部にのみ設けられることにより、図9に示される如く、熱交換部110は、三重の筒状壁111〜113によって構成されている。同様に、気化部40は、三重の筒状壁41〜43によって構成され、図10に示されるように、改質部60は、三重の筒状壁61〜63によって構成されている。熱交換部110、気化部40、及び、改質部60がそれぞれ三重の筒状壁によって構成されることにより、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60からは、酸化剤ガス流路がそれぞれ省かれている。
図10に示されるように、予熱流路105の上端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122が接続されている。予熱流路105を流れる酸化剤ガスの予熱は、燃料電池セルスタック10からの輻射、燃料極及び空気極から排出された排ガスからの伝熱、及び、燃焼部90からの伝熱によって賄われる。
この第三実施形態に係る燃料電池モジュールM3は、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60から酸化剤ガス流路がそれぞれ省かれた以外は、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様の構造であり、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様に動作する。また、この第三実施形態に係る燃料電池モジュールM3は、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様の構造については、この燃料電池モジュールM1と同様の作用及び効果を奏する。
この第三実施形態に係る燃料電池モジュールM3のように、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60から酸化剤ガス流路がそれぞれ省かれていると、燃焼部90から排出された燃焼排ガス166の熱を酸化剤ガスで吸収することができないが、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60の構造を簡素化することができるので、これにより、コストダウンすることができる。
また、気化部40及び改質部60から酸化剤ガス流路が省かれることにより、気化部40及び改質部60では、燃焼排ガス166が改質反応と気化とに熱を奪われるのみであるので、これにより、気化部40及び改質部60の伝熱面積を小さくすることができる。
また、気化部40及び改質部60から酸化剤ガス流路が省かれて、予熱流路105の上端部に酸化剤ガス供給管122が接続されることにより、予熱流路105を流れる酸化剤ガス164の温度は、気化部40及び改質部60に酸化剤ガス流路が設けられている場合に比して低くなる。従って、燃料電池セルスタック10の放熱を、温度の低い酸化剤ガスで吸収することができるので、燃料電池セルスタック10から外部への放熱を抑制でき、ひいては、燃料電池モジュールM3の発電効率を向上させることができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図11に示される第四実施形態に係る燃料電池モジュールM4は、上述の第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2に対し、次のように構造が変更されている。
すなわち、第四実施形態に係る燃料電池モジュールM4において、容器20は、上述の第二実施形態よりもさらに二つ少ない六個の管材21〜26により構成されている。一番目の管材21は、容器20の高さ方向の中央部に設けられており、二番目の管材22及び三番目の管材23は、一番目の管材21の上側且つ外側に配置されている。
三番目の管材23は、二番目の管材22よりも上方に延びている。四番目の管材24は、一番目の管材21の外側で、且つ、二番目の管材22及び三番目の管材23よりも下側に配置されている。五番目の管材25、及び、六番目の管材26は、三番目の管材23及び四番目の管材24の外側に配置され、容器20の上端部から下端部に亘って設けられている。
三番目の管材23の上端部と、五番目の管材25の上端部は、容器20の上端部に設けられた天壁部181に固定され、六番目の管材26の上端部は、五番目の管材25の上端部に固定されている。
熱交換部110は、三重の筒状壁111〜113によって構成されている。三重の筒状壁111〜113における内側の筒状壁111は、三番目の管材23の上部によって構成され、三重の筒状壁111〜113における中央の筒状壁112は、五番目の管材25の上部によって構成されている。また、三重の筒状壁111〜113における外側の筒状壁113は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
図12に示されるように、熱交換部110を構成する三重の筒状壁111〜113は、互いの間に隙間を有しており、この三重の筒状壁111〜113の内側から外側には、断熱空間115、燃焼排ガス流路118、及び、酸化剤ガス流路117が順に形成されている。
気化部40は、四重の筒状壁41〜44によって構成されている。四重の筒状壁41〜44のうち最も内側に位置する筒状壁41は、二番目の管材22によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち内側から二番目の筒状壁42は、三番目の管材23によって構成されている。また、四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43は、五番目の管材25の高さ方向の中央部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち最も外側に位置する筒状壁44は、六番目の管材26の高さ方向の中央部によって構成されている。
この気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48が順に形成されている。気化流路46の上端部には、容器20の内側を通る原燃料供給管50が接続されている。気化流路46は、原燃料161を気化させるために必要な長さを有する。
図13に示されるように、改質部60の上端部には、鉛直方向上側に延長された混合部190が形成されている。この混合部190は、容器20の高さ方向における気化部40と改質部60との間に位置する。混合部190には、混合部190の周方向に沿って環状に形成された整流筒191が設けられており、この整流筒191には、整流筒191の径方向(水平方向)に貫通するオリフィス192が形成されている。このオリフィス192は、気化流路46の径方向外側に位置しており、気化流路46の下端部と連通する。混合部190は、オリフィス192を一つのみ有する。混合部190には、オリフィス192に対する改質流路67側(径方向外側)に位置しオリフィス192と対向する対向壁部196が設けられている。
改質流路67の入口(上端)は、オリフィス192、及び、混合部190の内側空間195を介して気化流路46と連通されている。改質流路67の入口には、改質流路67の周方向に沿って環状に形成された一対の仕切板193(分散部)が設けられている。この一対の仕切板193は、鉛直方向に並んでいる。各仕切板193には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス194が形成されている。この複数のオリフィス194は、仕切板193の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス194を通じて原燃料ガス162が流入する。なお、仕切板193は、一枚でも良い。
気化流路46で気化された原燃料ガス162は、オリフィス192を通り、改質部60の上方に形成された混合部190の内側空間195に流入する。このとき、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、オリフィス192を通過する際に流速が高められ、混合部190における径方向外側の対向壁部196に衝突する。そして、原燃料ガス162が混合部190における径方向外側の対向壁部196に衝突することにより乱流が生じ、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気が混合される。
このようにして混合された原燃料ガス162は、対向壁部196に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス194を通じて改質流路67に流入する。複数のオリフィス194は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス194を通過することで、改質流路67には、原燃料ガス162が分散して流入する。
また、改質部60と気化部40との間には、より具体的には、流路切替部300が設けられている。流路切替部300は、改質部60及び気化部40と同軸上に設けられると共に、互いの間に隙間を有する五重の筒状壁301〜305によって構成されている。
この五重の筒状壁301〜305のうち内側から一番目の筒状壁301は、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から一番目の筒状壁61を上方に延長にして形成されており、流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から二番目の筒状壁302は、気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44のうち内側から一番目の筒状壁41を下方に延長にして形成されている。
また、流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から三番目の筒状壁303は、気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43を下方に延長にして形成されており、流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から四番目の筒状壁304は、気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43と、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63とに連続して形成されている。
流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から一番目の筒状壁301と内側から二番目の筒状壁302との間には、改質部60の燃焼排ガス流路66を上方に延長した上方延長排ガス流路306が形成されており、流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から三番目の筒状壁303と内側から四番目の筒状壁304との間には、気化部40の燃焼排ガス流路47を下方に延長した下方延長排ガス流路307が形成されている。
流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から二番目の筒状壁302と三番目の筒状壁303には、連通管197が接続されている。この連通管197は、容器20の周方向の一部に設けられており、流路切替部300の径方向を軸方向として配置されている。上方延長排ガス流路306と下方延長排ガス流路307とは、連通管197の内側を通じて連通されており、改質部60の燃焼排ガス流路66を流れる燃焼排ガス166は、上方延長排ガス流路306、連通管197の内側、及び、下方延長排ガス流路307を通じて気化部40の燃焼排ガス流路47に流入する。
流路切替部300を構成する五重の筒状壁300〜305のうち内側から二番目の筒状壁302の下端部302Aは、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62の上端部62Aに例えば溶接等により結合されている。
また、混合部190には、トラップ部198が設けられている。このトラップ部198は、上述のオリフィス192に対する下方に位置している。このトラップ部198は、気化流路46の下端部と連通する空間を有する凹状に形成されている。
図14に示されるように、燃焼部90には、ノズル部材200が設けられている。このノズル部材200は、燃料電池セルスタック10の上面に設けられ、燃料極排ガスノズル201及び空気極排ガスノズル202を有する。ノズル部材200は、点火電極92と燃料電池セルスタック10との間に位置する隔壁部203を有し、燃料極排ガスノズル201は、この隔壁部203の中心部に形成されている。
燃料極排ガスノズル201は、燃料電池セルスタック10における燃料極の排ガス排出口と連通され、空気極排ガスノズル202は、燃料電池セルスタック10における空気極の排ガス排出口と連通されている。燃料極排ガスノズル201は、燃焼部90における径方向の中心部に位置しており、空気極排ガスノズル202は、燃料極排ガスノズル201の周囲に複数設けられている。なお、燃料極排ガスノズル201は、例えば、円板状に形成された隔壁部203の径方向に並んで複数形成されていても良く、また、隔壁部203に分散して複数形成されていても良い。
燃料極排ガスノズル201は、鉛直方向上側に開口し、空気極排ガスノズル202は、燃焼部90の径方向内側に開口する。つまり、燃料極排ガスノズル201と空気極排ガスノズル202とは、互いに直交する方向に開口している。
点火電極92は、複数の空気極排ガスノズル202の中心部に燃料極排ガスノズル201と対向して配置されている。燃料極排ガスノズル201及び空気極排ガスノズル202から排出されたガスは、混合され、スタック排ガス165が生成される。このスタック排ガス165は、点火電極92と隔壁部203との間に形成されるスパークによって燃焼される。点火電極92は、燃料電池セルスタック10と鉛直方向に離間しているため、スタック排ガス165は、燃料電池セルスタック10から離れた位置で燃焼される。
この第四実施形態に係る燃料電池モジュールM4は、上記構成以外は、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様の構造であり、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様に動作する。また、この第四実施形態に係る燃料電池モジュールM4は、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様の構造については、この燃料電池モジュールM1と同様の作用及び効果を奏する。
この第四実施形態に係る燃料電池モジュールM4のように、熱交換部110が気化部40の上方に設けられていると、三番目の管材23、五番目の管材25、及び、六番目の管材26を容器20の上側へ直線状に延長することにより、これらの管材23,25,26で熱交換部110を構成することができる。これにより、容器20の製造が容易になると共に容器20を構成する管材の数を減らすことができるので、コストダウンすることができる。
また、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、オリフィス192を通過する際に流速が高められて噴流となり、対向壁部196に衝突する。従って、原燃料ガス162が対向壁部196に衝突することにより乱流を生じさせることができるので、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気を混合させることができる。
また、混合部190は、オリフィス192を一つのみ有するので、例えば、原燃料ガス162の流量やスチームカーボン比(S/C比)に変動があっても、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気をより一層効果的に混合させることができる。これにより、改質触媒層70の転化率低下や改質触媒層70内に局所的に温度が高くなる箇所が生じることによる改質触媒層70の劣化を抑制することができる。
また、オリフィス192は、気化流路46の径方向外側に位置するので、このオリフィス192を通じて気化流路46と連通される改質流路67を気化流路46よりも径方向外側に拡大することができる。これにより、改質流路67における伝熱面積を増加させることができる。
また、原燃料ガス162は、対向壁部196に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス194を通じて改質流路67に流入する。このとき、複数のオリフィス194が改質流路67の周方向に間隔を空けて並ぶことにより、原燃料ガス162が周方向に分散される。従って、改質流路67に流入する原燃料ガス162の周方向への偏り(原燃料ガスの偏流)を抑制することができる。
また、改質流路67の入口には、仕切板193が鉛直方向に間隔を空けて複数設けられているので、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス194を通じて原燃料ガス162を周方向により一層効果的に分散させることができる。
また、気化流路46は、二番目の管材22及び三番目の管材23によって形成されているが、二番目の管材22の上端の位置は、容器20の高さ方向の制約が無いので、これにより、気化流路46の長さを容易に変更することができる。この結果、気化流路46の長さを最適化することができるので、気化流路46の下流側に位置する改質流路67(図13参照)の入口を通過する原燃料ガス162の温度が上昇し過ぎることを抑制することができる。
また、改質部60と気化部40との間には、気化流路46の内側に位置する燃焼排ガス流路66と気化流路46の外側に位置する燃焼排ガス流路47とを連通させるための連通管197が接続されている。この連通管197は、流路切替部300を構成する五重の筒状壁301〜305のうち内側から二番目の筒状壁302と三番目の筒状壁303に接続されているが、この連通管197は、流路切替部300の周方向の一部に設けられているため、この連通管197と筒状壁302,303との接続部に応力が集中する虞がある。しかしながら、流路切替部300を構成する五重の筒状壁300〜305のうち内側から二番目の筒状壁302の下端部302Aは、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62の上端部62Aに例えば溶接等により結合されている。従って、連通管197の近傍にて筒状壁302の下端部302Aが筒状壁62の上端部62Aに結合されているので、連通管197と筒状壁302,303との接続部に応力が集中することを抑制することができる。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図15に示される第五実施形態に係る燃料電池モジュールM5は、上述の第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2に対し、次のように構造が変更されている。
すなわち、第五実施形態に係る燃料電池モジュールM5において、容器20は、上述の第二実施形態よりもさらに三つ少ない五個の管材21〜25により構成されている。一番目の管材21及び二番目の管材22は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられており、二番目の管材22は、一番目の管材21の外側に配置されている。
三番目の管材23及び四番目の管材24は、二番目の管材22の外側に配置されている。三番目の管材23は、二番目の管材22の上部に対応する長さで形成されている。四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部から下端部に亘って設けられており、三番目の管材23の下側に配置されている。五番目の管材25は、四番目の管材24の下部に対応する長さで形成され、四番目の管材24の下部の外側に配置されている。
一番目の管材21の上端部と、二番目の管材22の上端部は、容器20の上端部に設けられた天壁部181に固定され、三番目の管材23の上端部は、二番目の管材22の上端部に固定されている。四番目の管材24の下端部は、底壁部34に固定され、五番目の管材25の下端部は、底壁部35に固定されている。
容器20からは、熱交換部が省かれており、この容器20には、気化部40と、改質部60と、燃焼部90と、予熱部100(収容部)とが設けられている。
気化部40は、三重の筒状壁41〜43によって構成されている。三重の筒状壁41〜43における内側の筒状壁41は、一番目の管材21の上部によって構成され、三重の筒状壁41〜43における中央の筒状壁42は、二番目の管材22の上部によって構成されている。また、三重の筒状壁41〜43における外側の筒状壁43は、三番目の管材23によって構成されている。
図16に示されるように、この気化部40を構成する三重の筒状壁41〜43は、互いの間に隙間を有しており、内側の筒状壁41と中央の筒状壁42との間には、燃焼排ガス流路47が形成され、外側の筒状壁43と中央の筒状壁42との間には、気化流路46が形成されている。燃焼排ガス流路47の上端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123(図15参照)が接続され、気化流路46の上端部には、容器20の径方向外側に延びる原燃料供給管50(図15参照)が接続されている。
また、気化流路46には、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部51が設けられており、この螺旋凸部51により、気化流路46は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路47には、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部55が設けられており、この螺旋凸部55により、燃焼排ガス流路47は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
改質部60は、三重の筒状壁61〜63によって構成されている。三重の筒状壁61〜63における内側の筒状壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、三重の筒状壁61〜63における中央の筒状壁62は、二番目の管材22の下部によって構成されている。また、三重の筒状壁61〜63における外側の筒状壁63は、四番目の管材24の上部によって構成されている。
この改質部60を構成する三重の筒状壁61〜63は、互いの間に隙間を有しており、内側の筒状壁61と中央の筒状壁62との間には、燃焼排ガス流路66が形成され、外側の筒状壁63と中央の筒状壁62との間には、改質流路67が形成されている。
改質流路67の入口には、改質部60の周方向に沿って環状に形成された一対の仕切板212(分散部)が設けられている。この一対の仕切板212は、鉛直方向に並んでいる。各仕切板212には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス213が形成されている。オリフィス213は、仕切板212の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス213を通じて原燃料ガス162が流入する。
複数のオリフィス213は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス213を通過することで、改質流路67には、原燃料ガス162が分散して流入する。なお、仕切板212は、一枚でも良い。
図17に示されるように、予熱部100は、二重の筒状壁101,102によって構成されている。二重の筒状壁101,102のうち内側の筒状壁101は、四番目の管材24の下部によって構成され、二重の筒状壁101,102のうち外側の筒状壁102は、五番目の管材25によって構成されている。予熱流路105の上端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122が接続されている。
予熱流路105を流れる酸化剤ガス164の予熱は、燃料電池セルスタック10からの輻射、燃料極及び空気極から排出された排ガスからの伝熱、及び、燃焼部90からの伝熱によって賄われる。
五番目の管材25が容器20の下部にのみ設けられることにより、上述の如く、気化部40は、三重の筒状壁41〜43によって構成され、改質部60は、三重の筒状壁61〜63によって構成されている。また、気化部40及び改質部60がそれぞれ三重の筒状壁によって構成されることにより、気化部40及び改質部60からは、酸化剤ガス流路がそれぞれ省かれている。
この第五実施形態に係る燃料電池モジュールM5は、上記構成以外は、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様の構造であり、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様に動作する。また、この第五実施形態に係る燃料電池モジュールM5は、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2と同様の構造については、この燃料電池モジュールM1と同様の作用及び効果を奏する。
この第五実施形態に係る燃料電池モジュールM5のように、気化部40及び改質部60から酸化剤ガス流路がそれぞれ省かれていると、燃焼部90から排出された燃焼排ガス166の熱を酸化剤ガスで吸収することができないが、気化部40及び改質部60の構造を簡素化することができるので、これにより、コストダウンすることができる。
また、原燃料ガス162は、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス213を通じて改質流路67に流入する。このとき、複数のオリフィス213が改質流路67の周方向に間隔を空けて並ぶことにより、原燃料ガス162が周方向に分散される。従って、改質流路67に流入する原燃料ガス162の周方向への偏り(原燃料ガスの偏流)を抑制することができる。
また、改質流路67の入口には、仕切板212が鉛直方向に間隔を空けて複数設けられているので、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス213を通じて原燃料ガス162を周方向により一層効果的に分散させることができる。
また、気化部40及び改質部60から酸化剤ガス流路が省かれることにより、気化部40及び改質部60では、燃焼排ガス166が改質反応と気化とに熱を奪われるのみであるので、これにより、気化部40及び改質部60の伝熱面積を小さくすることができる。
また、気化部40及び改質部60から酸化剤ガス流路が省かれて、予熱流路105の上端部に酸化剤ガス供給管122が接続されることにより、予熱流路105を流れる酸化剤ガス164の温度は、気化部40及び改質部60に酸化剤ガス流路が設けられている場合に比して低くなる。従って、燃料電池セルスタック10の放熱を、温度の低い酸化剤ガスで吸収することができるので、燃料電池セルスタック10から外部への放熱を抑制でき、ひいては、燃料電池モジュールM5の発電効率を向上させることができる。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について説明する。
図18に示される第六実施形態に係る燃料電池モジュールM6は、上述の第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1に対し、次のように構造が変更されている。
すなわち、第六実施形態に係る燃料電池モジュールM6において、容器20は、上述の第一実施形態よりも二つ少ない七個の管材21〜27により構成されている。一番目の管材21及び二番目の管材22は、燃料電池セルスタック10の上方から容器20の上端部に亘って設けられており、三番目の管材23及び四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられている。
図19に示されるように、一番目の管材21から四番目の管材24の上部には、鉛直方向上側に向かうに従って縮径する縮径部221〜224がそれぞれ形成されている。この複数の縮径部221〜224のうち、二番目から四番目の管材22〜24に形成された縮径部222〜224の上方には、円筒状の接続部225〜227がそれぞれ形成されている。
一番目の管材21に形成された縮径部221の上端部、及び、二番目の管材22に設けられた接続部225の上端部は、パイプ150の上部にそれぞれ固定されている。また、三番目の管材23に設けられた接続部226の上端部は、二番目の管材22に設けられた接続部225の上端部に固定され、四番目の管材24に設けられた接続部227の上端部は、三番目の管材23に設けられた接続部226の上端部に固定されている。また、この接続部225〜227のうち、三番目の管材23及び四番目の管材24に設けられた接続部226,227には、蛇腹状のベローズ228,229がそれぞれ形成されている。
図18に示されるように、五番目の管材25及び六番目の管材26は、三番目の管材23及び四番目の管材24の下方から容器20の下端部に亘って設けられており、七番目の管材27は、二番目の管材22の下方で燃料電池セルスタック10と五番目の管材25のとの間に設けられている。二番目の管材22の下端部は、七番目の管材27の上端部に固定され、五番目の管材25の下端部、六番目の管材26の下端部、及び、七番目の管材27の下端部は、容器20の下壁部を構成するマニホールド14に固定されている。
熱交換部110は、気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられており、容器20の上部に設けられた四重の筒状壁111〜114によって構成されている。四重の筒状壁111〜114のうち最も内側に位置する筒状壁111は、一番目の管材21の上部によって構成され、四重の筒状壁111〜114のうち内側から二番目の筒状壁112は、二番目の管材22の上部によって構成されている。また、四重の筒状壁111〜114のうち内側から三番目の筒状壁113は、三番目の管材23の上部によって構成され、四重の筒状壁111〜114のうち最も外側に位置する筒状壁114は、四番目の管材24の上部によって構成されている。
図19に示されるように、この熱交換部110を構成する四重の筒状壁111〜114は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁111〜114の内側から外側には、断熱空間115、燃焼排ガス流路118、原燃料流路116、及び、酸化剤ガス流路117が順に形成されている。
つまり、一番目の筒状壁111の内側の空間は、断熱空間115として形成され、一番目の筒状壁111と、二番目の筒状壁112との間の隙間は、燃焼排ガス流路118として形成されている。また、二番目の筒状壁112と、三番目の筒状壁113との間の隙間は、原燃料流路116として形成され、三番目の筒状壁113と、四番目の筒状壁114との間の隙間は、酸化剤ガス流路117として形成されている。
燃焼排ガス流路118の上端部は、パイプ150と接続部225との間に形成された接続流路231と連通され、この接続流路231の上端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123が接続されている。燃焼排ガス流路118は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路118には、気化部40の燃焼排ガス流路47(図20参照)から供給された燃焼排ガス166が鉛直方向下側から上側に流れる。
原燃料流路116の上端部は、接続部225と接続部226との間に形成された接続流路232と連通され、この接続流路232の上端部には、容器20の径方向外側に延びる原燃料供給管50が接続されている。原燃料流路116は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この原燃料流路116には、原燃料供給管50から接続流路232を通じて供給された原燃料161が鉛直方向上側から下側に流れる。原燃料流路116の下端部は、気化流路46(図20参照)と連通されている。
酸化剤ガス流路117の上端部は、接続部226と接続部227との間に形成された接続流路233と連通されている。この接続流路233の上端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122が接続されており、酸化剤ガス流路117の下端部は、気化部40に形成された酸化剤ガス流路48(図20参照)と連通されている。酸化剤ガス流路117は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路117には、酸化剤ガス供給管122から接続流路233を通じて供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
原燃料流路116には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部119が設けられており、この螺旋凸部119により、原燃料流路116は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、酸化剤ガス流路117には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部120が設けられており、この螺旋凸部120により、酸化剤ガス流路117は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路118には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋凸部121が設けられており、この螺旋凸部121により、燃焼排ガス流路118は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
原燃料流路116のうち螺旋凸部119により螺旋状に形成された部分(螺旋流路)は、原燃料流路116の下流に位置する気化流路46よりも螺旋のピッチが小さくなっている。螺旋凸部119は、原燃料流路116を形成する筒状壁112,113の両方と接触しており、筒状壁112及び筒状壁113の間に介在するスペーサの役割を果たしている。
なお、燃焼排ガス流路118のうち螺旋凸部121により螺旋状に形成された部分のピッチ(螺旋凸部121のピッチ)は、交換伝熱量に応じて変更することが可能である。また、伝熱量の多い気化部40に形成された気化流路46の螺旋のピッチ(螺旋凸部51のピッチ)は、細かくすると好適である。
図18に示されるように、気化部40は、四重の筒状壁41〜44によって構成されている。四重の筒状壁41〜44のうち最も内側に位置する筒状壁41は、一番目の管材21の高さ方向の中央部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち内側から二番目の筒状壁42は、二番目の管材22の高さ方向の中央部によって構成されている。また、四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43は、三番目の管材23の下部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち最も外側に位置する筒状壁44は、四番目の管材24の下部によって構成されている。
図20に示されるように、この気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、気化流路46、及び、酸化剤ガス流路48が順に形成されている。
気化流路46、酸化剤ガス流路48、及び、燃焼排ガス流路47には、螺旋凸部119,120,121が設けられており、この螺旋凸部119,120,121により、気化流路46、酸化剤ガス流路48、及び、燃焼排ガス流路47は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
図18に示されるように、改質部60は、四重の筒状壁61〜64によって構成されている。四重の筒状壁61〜64のうち最も内側に位置する筒状壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62は、二番目の管材22の下部によって構成されている。また、四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち最も外側に位置する筒状壁64は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
図20に示されるように、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁61〜64の内側から外側には、断熱空間65、燃焼排ガス流路66、改質流路67、及び、酸化剤ガス流路68が順に形成されている。
改質流路67の入口(上端)には、改質部60の周方向に沿って環状に形成された一対の仕切板234(分散部)が設けられている。この一対の仕切板234は、鉛直方向に並んでいる。各仕切板234には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス235が形成されている。オリフィス235は、仕切板234の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス235を通じて原燃料ガス162が流入する。
一対の仕切板234の外周部は、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63と僅かな隙間を有して離間されている。なお、一対の仕切板234の内周部が、改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62と僅かな隙間を有して離間されていても良い。
複数のオリフィス235は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス235を通過することで、改質流路67には、原燃料ガスが分散して流入する。なお、仕切板234は、一枚でも良い。
図18に示されるように、予熱部100は、三重の筒状壁101〜103によって構成されている。三重の筒状壁101〜103における内側の筒状壁101は、七番目の管材27によって構成され、三重の筒状壁101〜103における中央の筒状壁102は、五番目の管材25の下部によって構成され、三重の筒状壁101〜103における外側の筒状壁103は、六番目の管材26の下部によって構成されている。
図21に示されるように、この熱交換部110を構成する三重の筒状壁101〜103は、互いの間に隙間を有している。そして、内側の筒状壁101と中央の筒状壁102との間には、燃料ガス流路108が形成され、外側の筒状壁103と中央の筒状壁102との間には、予熱流路105が形成されている。燃料ガス流路108の上端部は、改質流路67と連通されている。
また、燃料ガス流路108の下端部は、マニホールド14(図18参照)に形成された流路を通じて燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口と連通され、予熱流路105の下端部は、マニホールド14(図18参照)に形成された流路を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口と連通されている。
この第六実施形態に係る燃料電池モジュールM6は、熱交換部110が気化部40の上方に設けられた以外は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様の構造であり、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様に動作する。また、この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様の構造については、この燃料電池モジュールM1と同様の作用及び効果を奏する。
この第六実施形態に係る燃料電池モジュールM6のように、熱交換部110が気化部40の上方に設けられていると、一番目から四番目の管材21〜24を容器20の上側へ直線状に延長することにより、この一番目から四番目の管材21〜24の上部で熱交換部110を構成することができる。これにより、容器20の製造が容易になると共に容器20を構成する管材の数を減らすことができるので、コストダウンすることができる。
また、原燃料ガス162は、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス235を通じて改質流路67に流入する。このとき、複数のオリフィス235が改質流路67の周方向に間隔を空けて並ぶことにより、原燃料ガス162が周方向に分散される。従って、改質流路67に流入する原燃料ガス162の周方向への偏り(原燃料ガスの偏流)を抑制することができる。
また、改質流路67の入口には、仕切板234が鉛直方向に間隔を空けて複数設けられているので、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス234を通じて原燃料ガス162を周方向により一層効果的に分散させることができる。
また、三番目の管材23及び四番目の管材24に設けられた接続部226,227にベローズ228,229がそれぞれ形成されているので、一番目から四番目の管材21〜24に温度差による熱膨張差が生じても、ベローズ228,229が伸縮することにより熱膨張差に伴う応力を吸収して緩和することができる。
次に、上述の第一乃至第六実施形態に共通の変形例について説明する。
上述の第一乃至第六実施形態では、例えば、気化流路46を螺旋状に形成する螺旋形成部(螺旋凸部51)として、図22に示されるように、螺旋状に形成された金属製の丸棒部材311が用いられても良い。この丸棒部材311は、気化流路46を形成する一対の筒状壁41,42の間に設けられると共に、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。この丸棒部材311は、内側の筒状壁41に巻回されており、この筒状壁41に密着されている。
このように、気化流路46を螺旋状に形成するために螺旋状の丸棒部材311が用いていると、螺旋状の気化流路46を簡単な構造で実現できるので、コストダウンすることができる。また、丸棒部材311が気化流路46を形成する内側の筒状壁41に密着されているので、気化流路46を流れる原燃料161が丸棒部材311と筒状壁41との間をすり抜けること(ショートパスすること)を安価な構造で抑制することができる。
なお、丸棒部材311は、気化流路46を形成する一対の筒状壁41,42のうち外側の筒状壁42にのみ密着されていても良く、また、筒状壁41,42の両方に密着されていても良い。
また、気化流路46は、以下の構造により、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されても良い。
すなわち、図23に示される変形例では、螺旋形成部として、ワイヤー状のメッシュ材により形成されたワイヤーメッシュ312が用いられている。このワイヤーメッシュ312は、気化流路46を形成する一対の筒状壁41,42の間に設けられると共に、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されており、内側の筒状壁41に巻回されている。
このようにワイヤーメッシュ312が用いられていると、気化流路46に投入された原燃料161に含まれる水の流れをワイヤーメッシュ312により抑制することができるので、気化流路46における水の滞留時間を延ばすことができると共に、水とメッシュ部(金属部)との接触面積(伝熱面積)を大きくすることができる。これにより、気化部40における気化の促進及び安定性を向上させることができる。
また、図24に示される変形例では、上述の丸棒部材311及びワイヤーメッシュ312が組み合わされて用いられている。つまり、ワイヤーメッシュ312は、丸棒部材311に沿って設けられており、丸棒部材311によって鉛直方向下側から支持されている。
このように構成されていても、丸棒部材311が気化流路46を形成する内側の筒状壁41に密着されているので、気化流路46を流れる原燃料161が丸棒部材311と筒状壁41との間をすり抜けること(ショートパスすること)を安価な構造で抑制することができる。
また、気化流路46に投入された原燃料161に含まれる水の流れをワイヤーメッシュ312により抑制することができるので、気化流路46における水の滞留時間を延ばすことができると共に、水とメッシュ部(金属部)との接触面積(伝熱面積)を大きくすることができる。これにより、気化部40における気化の促進及び安定性を向上させることができる。
さらに、ワイヤーメッシュ312が丸棒部材311によって支持されているので、ワイヤーメッシュ312を位置決めすることができると共に、ワイヤーメッシュ312の変形を抑制することができる。
なお、図24に示される変形例においても、丸棒部材311は、気化流路46を形成する一対の筒状壁41,42のうち外側の筒状壁42にのみ密着されていても良く、また、筒状壁41,42の両方に密着されていても良い。
また、図25に示される変形例では、螺旋形成部として、ガイド部313と、複数の球体314とが用いられている。ガイド部313には、例えば、上述の丸棒部材311(図22参照)を適用することが可能である。このガイド部313は、気化流路46を形成する一対の筒状壁41,42の間に設けられると共に、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
複数の球体314は、一対の筒状壁41,42の間に充填されている。複数の球体314の隙間は、気化流路46として形成されており、複数の球体314は、気化流路46が気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されるように、ガイド部313によって気化部40の軸方向回りに螺旋状に配列されている。この複数の球体314としては、例えば、セラミックボールが使用される。なお、ガイド部313として丸棒部材以外の構造が用いられても良い。
このように複数の球体314が用いられていると、気化流路46に投入された原燃料に含まれる水の流れを複数の球体314の間に形成された凹凸形状により抑制することができるので、気化流路46における水の滞留時間を延ばすことができる。これにより、気化部40における気化の促進及び安定性を向上させることができる。
また、図26に示される変形例では、螺旋形成部として、気化流路46を形成する内側の筒状壁41から膨出されたコルゲート部315が用いられている。このコルゲート部315は、コルゲート加工により気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成される。
また、図27に示される変形例では、螺旋形成部として、気化流路46を形成する内側の筒状壁41から膨出されたコルゲート部315と、気化流路46を形成する外側の筒状壁42から膨出されたコルゲート部315とが用いられている。各コルゲート部315は、コルゲート加工により気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されており、一方のコルゲート部315と、他方のコルゲート部315とは、互いの頂部にて接している。
このように、螺旋形状部として、コルゲート加工により筒状壁41又は筒状壁41,42に一体に形成されたコルゲート部315が用いられていると、気化部40の部品点数を削減することができる。
また、図28に示される変形例では、螺旋形成部として、気化流路46を形成する外側の筒状壁42に形成された溶接金属316が用いられている。この溶接金属316の形成方法としては、気化流路46を形成する一対の筒状壁41,42の間に粉体を充填した状態で、この一対の筒状壁41,42の外側からレーザを照射して粉体を溶かし、この溶けた粉体を冷却することにより形成される。この溶接金属316は、レーザを気化部40の軸方向回りに螺旋状に相対移動させることにより、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成される。このような溶接金属の形成方法には、例えば、特願2013−59683に記載の技術が適用可能である。一対の筒状壁41,42の間に充填された粉体のうちレーザにより溶融されなかった粉体は、気化流路46の上方から外部に排出される。
このように、螺旋形状部として、気化流路46を形成する外側の筒状壁42に形成された溶接金属316が用いられていると、螺旋状の気化流路46を容易に形成することができる。
また、溶接金属316が外側の筒状壁42に一体に形成されているので、気化流路46を流れる原燃料161が溶接金属316と外側の筒状壁42との間をすり抜けること(ショートパスすること)を抑制することができる。
この図22〜図28に示される螺旋形成部の例は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1だけでなく、第二乃至第六実施形態に係る燃料電池モジュールM2〜M6にも適用可能である。
なお、図22〜図28に示される螺旋形成部(丸棒部材311、ワイヤーメッシュ312、ガイド部313、複数の球体314、コルゲート部315、溶接金属316)が一対の筒状壁41,42の間に介在するスペーサとしての機能を果たすと、一対の筒状壁41,42の一方に対して他方を位置決めをすることができ、ひいては、気化流路46の幅を保持することができる。
図22に示される丸棒部材311、図25に示されるコルゲート部315、及び、図27に示される溶接金属316は、その頂部が外側の筒状壁42に対して離間されているが、丸棒部材311、コルゲート部315、溶接金属316は、その頂部が外側の筒状壁42に接していても良い。このように構成されていても、一対の筒状壁41,42の一方に対して他方を位置決めをすることができる。
また、第一乃至第六実施形態に係る燃料電池モジュールM1〜M6において、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60を構成する複数の筒状壁、気化部40を構成する複数の筒状壁、及び、熱交換部110等を構成する複数の筒状壁は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成されている。
しかしながら、第一乃至第六実施形態に係る燃料電池モジュールM1〜M6において、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60を構成する複数の筒状壁、気化部40を構成する複数の筒状壁、及び、熱交換部110等を構成する複数の筒状壁は、いずれも横断面が楕円形状である楕円筒状に形成されていても良い。
また、第一乃至第六実施形態に係る燃料電池モジュールM1〜M6において、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60を構成する複数の筒状壁、気化部40を構成する複数の筒状壁、及び、熱交換部110等を構成する複数の筒状壁は、横断面が真円形状である円筒状に形成されたものと、横断面が楕円形状である楕円筒状に形成されたものの両方を含んでいても良い。
また、第一乃至第六実施形態に係る燃料電池モジュールM1〜M6では、燃料電池セルスタック10の形状(例えば、燃料電池セルスタック10が複数の円筒平板形のセル12を有する場合)に応じて、予熱部100のみ楕円筒状に形成されても良い。
また、第一乃至第六実施形態に係る燃料電池モジュールM1〜M6において、燃料電池セルスタック10には、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されているが、その他の形式の燃料電池が適用されても良い。
また、原燃料に含まれる炭化水素系燃料として、都市ガスが用いられているが、都市ガスの代わりにメタンガスなど水素を主成分とするガスが用いられても良い。また、炭化水素系燃料は、炭化水素系液体でも良い。
次に、評価試験について説明する。
評価試験として、上述の第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1を例に温度測定を行う。温度測定は、気化流路の入口、気化流路の出口、改質流路の入口(周方向の4カ所)、及び、改質流路の出口(周方向の4カ所)について行う。炭化水素系ガスには、都市ガスを使用し、温度測定には、熱電対を使用する。表1には、測定結果が示されている。
表1により、気化流路の入口では100℃以下になっているが、気化流路の出口では、300℃を超えており、気化流路に投入された水の蒸発ができていることが確認できる。
また、改質流路の入口及び出口での周方向における温度のバラツキは20℃以下であるが、以下の(1)、(2)の理由から、改質流路の入口における都市ガスと水蒸気の混合気体(原燃料ガス)の分散は良好であると判断できる。
(1)改質流路の出口における熱電対の測定誤差は約±5℃(素線種類はK、許容差はクラス2)であり、10℃程度のバラツキは許容される。
(2)周方向の温度のバラツキが20℃の場合では、メタン転化率は1%程度しか変わらず、発電に影響を与えない(この場合のメタン転化率とは、原燃料ガスから発電に利用できる水素をどれだけ取り出せているかを示す値である)。
以上、本発明の第一乃至第六実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。