JP6245794B2 - 遮蔽格子の製造方法 - Google Patents
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Description
実施形態1では1次元の構造体の製造方法について図1に基づいて説明をする。但し、1次元の構造体とは、複数の金属構造体が1次元に配列された構造体であり、X線遮蔽部とX線透過部とが1次元に配列された1次元遮蔽格子として用いることができる。
(1)基板の第1の面に凹部を形成する工程。
(2)基板の凹部に金属を充填して金属構造体を形成する工程。
(3)金属構造体が形成された領域の外周部、又は第1の面と対向する第2の面における、外周部に対向する部分の少なくともいずれか一方にマスク層を形成する工程。
(4)マスク層をマスクとして基板をエッチングする工程。
尚、本明細書では基板の第1の面に凸部(凸状構造体)を形成することで凹部を形成することも、基板の第1の面に凹部を形成するという。
各工程について説明をする。
まず、図1(a)に示す様に、シリコン基板1の第1の面10に複数の凹部2を形成する第1工程について説明する。本実施形態では、エッチングを用いてシリコン基板1の第1の面10に複数の凹部2を形成する。本実施形態により製造される構造体を遮蔽格子として用いる場合、複数の凹部2が最終的に遮蔽格子の遮蔽部となる。そのため、1次元遮蔽格子を製造する場合は、複数の凹部2がシリコン基板1の第1の面10において、1次元に配列されるようにエッチングを行う。
次に、図1(b)に示す様に、複数の凹部2に金属を充填して複数の金属構造体3を形成する第2工程について説明する。金属の充填方法としては凹部2上に金属を配置し、金属を溶融させる方法をとることができる。また、CVD(Chemical Vapor Deposition)、真空スパッタ、真空蒸着を用いて金属を充填しても良い。また、めっきを用いて金属を充填してもよい。
次に、図1(c)に示す様に、シリコン基板1の、複数の金属構造体3が形成された領域の外周部(以下、単に外周部と呼ぶことがある。)と、その外周部に対向する部分にマスク層4(4a,4b)を形成する第3工程について説明する。尚、外周部に対向する部分とは、シリコン基板の第1の面に対向する第2の面における、外周部に対向する部分である。また、本実施形態において複数の金属構造体3が形成された領域とは複数の金属構造体と、隣り合う金属構造体の端部同士をつないだ線に囲まれた領域であり、例を図5(a),(b)に示した。図5(a),(b)はシリコン基板に形成した凹部に金属を充填して金属構造体を形成した状態を第1の面側から見た図である。図5(a)のように、複数の金属構造体が全て同じ大きさで且つ、金属構造体の端部が一直線上に並んでいるとき、複数の金属構造体が形成された領域20は四角形である。また、図5(b)のように、複数の金属構造体の端部が一直線上に並んでいないときでも、隣り合う金属構造体の端部同士をつないだ線に囲まれた領域を複数の金属構造体が形成された領域21と呼ぶ。
次に、図1(d)に示す様に、シリコン基板1の、マスク層4から露出した領域5(5a、5b)をエッチングする第4工程について説明する。本実施形態では、第1の面10と第2の面11の両面からエッチングを行う。これにより、第1の面10においてマスク層4aから露出した領域5aと、第2の面11においてマスク層4bから露出した領域5bのエッチングが可能である。本実施形態の第4工程におけるエッチングはウェットエッチング、ドライエッチングまたはその両方を併用した方法を用いることができる。但し、エッチングの方法としては第3工程で形成したマスク層4を浸食することなく、マスク層4から露出した領域5のシリコンを選択的にエッチングできる方法を選択することが好ましい。マスク層4を浸食する方法でエッチングする場合は、エッチングが終わるまでマスク層4が残り、シリコン基板のマスク層4により保護された領域がエッチングされないようにマスク層の厚みを十分厚くする。
実施形態2では2次元の構造体の製造方法について説明をする。尚、実施形態1と重複する部分は省略する。
2次元の構造体とは、金属構造体に複数の孔が配列されて設けられており、その複数の孔が2次元に配列された構造体である。2次元の構造体は、X線遮蔽部とX線透過部とが2次元に配列された2次元遮蔽格子として用いることができる。この2次元の構造体を2次元遮蔽格子としてもいる場合、金属構造体に設けられた複数の孔がX線透過部として機能するため、この複数の孔の一つ一つのアスペクト比は20以上であるのが一般的である。
実施形態1と同様に、まず、シリコン基板の第1の面に凹部を形成する。但し、本実施形態で形成する凹部は凹部中に複数の孔を有する1つの凹部である。このような凹部を形成することにより、シリコン基板の第1の面に複数の凸部を形成する。構造体を遮蔽格子として用いる場合、実施形態1同様に凹部が最終的に遮蔽格子の遮蔽部となる。また、この金属構造体を形成すると複数の凸部が金属構造体の複数の孔となり、遮蔽格子として用いると複数の凸部が透過部となるため、複数の凸部がシリコン基板の第1の面において、2次元に配列されるようにエッチングを行う。
尚、実施形態1と同様に、シリコン基板の代わり例えばガラスの上にフォトレジスト膜が形成された基板を用いてフォトリソグラフィを用いることにより複数の凸部を形成しても良い。
次に、第1の工程で形成した複数の凸部の間に金属を充填して金属構造体を形成する。尚、複数の凸部の間とは、第1工程で形成した1つの凹部であり、凹部が1つなので本実施形態で形成される金属構造体も1つである点が実施形態1と異なる。
次に、実施形態1と同様、第2工程で形成した金属構造体が形成された領域の外周部と、その外周部に対向する部分にマスク層を形成する。尚、本実施形態において金属構造体が形成された領域とは、実施形態1の複数の金属構造体が形成されたた領域と同様、金属構造体と、金属構造体の端部同士をつないだ線に囲まれた領域であり、例を図5(c),(d)に示した。図5(a),(b)同様、図5(c),(d)はシリコン基板3001に形成した凹部に金属を充填して金属構造体3003を形成した状態を第1の面側から見た図である。図5(c)のように、複数の金属構造体3003が全て同じ大きさで且つ、金属構造体の端部が一直線上に並んでいるとき、複数の金属構造体が形成された領域3020は4角が欠けた四角形のような形である。また、図5(d)のように、複数の金属構造体の端部が一直線上に並んでいないときでも、隣り合う金属構造体の端部同士をつないだ線に囲まれた領域を複数の金属構造体が形成された領域3021と呼ぶ。
尚、外周部とは金属構造体が形成された領域の外周を含む部分であり、外周部にマスク層を形成すると、金属構造体上の少なくとも一部にマスク層が形成される。
また、本実施形態も、実施形態1と同様に第1の面と第2の面の両面にマスク層を形成したが、いずれか一方の面にのみマスク層を形成しても良い。
次に、実施形態1と同様、第3工程で形成したマスク層から露出した領域のシリコンをエッチングする。エッチング方法は実施形態1と同様である。また、実施形態1と同様、マスク層から露出した領域のシリコンを、厚み方向に対して完全にエッチングを行っても良いし、一部を残してもよい。厚み方向に対して完全にエッチングを行うと、シリコン基板の複数の凸部と複数の凸部に対向する部分とがエッチングにより除去され、第1の面に形成された凹状の空間と第2の面の一部に形成された空間を形成する凹部が繋がる。この凹状の空間と、空間を形成する凹部のうち、金属構造体の間に存在する空間が金属構造体の複数の孔である。また、金属構造体の間にシリコン基板の複数の凸部が残っている場合、金属構造体の複数の孔はシリコン有する。つまり、金属構造体の複数の孔は空間でも良いし、複数の孔の一部または全部にシリコンが形成されていても良い。また、金属構造体を形成する材料よりもX線の透過率が高い材料で形成されていればシリコン以外の材料で形成されていても良い。但し、本実施形態により製造された構造体を遮蔽格子として用いるとき、金属構造体の複数の孔が透過部として機能するため、複数の孔を形成する材料はX線透過率が高いことが好ましい。
尚、実施形態1同様、第4工程の後にマスク層を除去する工程を行っても、金属構造体は支持体から脱離しない。
実施形態3では、樹脂を用いて強度を向上させた2次元の構造体の製造方法について図6に基づいて説明する。また、本実施形態は、点光源(X線発生領域が小さいX線源)からのX線の遮蔽格子として好ましい形状の構造体を製造するために、金属構造体を湾曲した形状に変形させて樹脂層を形成する。
実施形態2と同様に、まず、シリコン基板の第1の面に複数の孔を有する凹部を形成する。このような凹部を形成することにより、シリコン基板の第1の面に複数の凸部を形成する。この複数の凸部は、後の工程で凹部に金属を充填して金属構造体を形成した際に金属構造体の複数の孔となる。構造体を遮蔽格子として用いる場合、実施形態2同様に凹部が最終的に遮蔽格子の遮蔽部となる。また、複数の凸部が透過部となるため、複数の凸部がシリコン基板の第1の面において、2次元に配列されるようにエッチングを行う。
次に、第1の工程で形成した凹部2(複数の凸部の間)に金属を充填して金属構造体を形成する。
次に、実施形態2と同様、第2工程で形成した金属構造体が形成された領域の外周部と、その外周部に対向する部分にマスク層を形成する。尚、本実施形態における金属構造体が形成された領域とは、実施形態2における金属構造体が形成された領域と同様な領域のことをいう。
次に、第3工程で形成したマスク層から露出した領域のシリコンをエッチングする。エッチング方法は実施形態2と同様である。また、実施形態2と同様、マスク層から露出した領域のシリコンを、厚み方向に対して完全にエッチングを行っても良いし、一部を残してもよい。但し、樹脂で金属構造体の表面を覆うことで第2の実施形態の構造体よりも強度を向上させつつ、従来のシリコンで形成された透過部よりもX線透過率を高くするためには、金属構造体の高さの半分以上をシリコン基板から露出させることが好ましい。更に、図6(a)のように、金属構造体の高さの全体をシリコン基板から露出させることがより好ましい。つまり、例えば金属構造体の高さが100μmの場合は50μm以上をシリコン基板から露出させることが好ましく、100μm全部を露出させることがより好ましい。金属構造体の高さの半分以上をシリコン基板から露出させると、金属構造体の複数の孔の夫々の半分以上は空間により形成されることになる。尚、本実施形態では、図6(a)のように、第1の面に形成された凹状の空間と第2の面の一部に形成された空間を形成する凹部が繋がるまでエッチングを行ったため、金属構造体の複数の孔は空間からなる。しかし、金属構造体の複数の孔は必ずしも空間のみから形成されていなくても良く、シリコン(基板の材料)で形成されていても良いし、シリコンと空間とから形成されていても良い。シリコンが複数の孔の少なくとも一部を形成するとき、複数の孔がシリコンを有すると言う。
次に、第4工程でシリコン基板から露出させた金属構造体の表面に樹脂を塗布し、固化して樹脂層を形成する。この樹脂層により構造体、特に金属構造体の強度を実施形態2の構造体(金属構造体)よりも向上させる。更に本実施形態では上述のように、点光源からのX線の遮蔽格子として好ましい形状の構造体を製造するために、金属構造体を変形させたまま樹脂層を形成する。金属構造体の変形方法として、例えば、図6(b)に示すように型19を用いて型19の形状を反映した形に金属構造体3を変形させる方法がある。本実施形態では、型19として3次元の形状を有するものを用いる。型19は凸型でも凹型でもよい。型19を用いて金属構造体3を変形させる方法としては、金属構造体を型19に接触させて外部から圧力をかければよい。例えば、凸型の型19に金属構造体3を接触させ、凹型を押し付ければ、金属構造体を変形させることができる。又は、金属構造体3と型19との間に液体を介し、表面張力によって金属構造体3を型19に貼り付けて変形させてもよい。このように、金属構造体と型が直接は接触せず、間接的にのみ接触している場合であっても、本明細書では金属構造体と型が接触していると言う。
尚、金属構造体3に樹脂を塗布後に、金属構造体3を変形させ、樹脂を固化して樹脂層22を形成してもよい。
実施形態4では樹脂を用いて強度を向上させた2次元の構造体の製造方法について図7に基づいて説明する。本実施形態は図7(a)に示すようにマスク層4を除去する点が実施形態3と異なる。マスク層4が除去されても、支持部7のシリコンによって金属構造体3が支持されるため金属構造体3は支持体9から脱離しない。本実施形態は、実施形態3の第4工程まで実施形態3と同様の方法で行い、その後マスク層4を除去する。
次に、実施形態3と同様に金属構造体3を型19に接触させ、金属構造体3を型19の形状を反映した形に変形させる(図7(b))。次に変形された金属構造体3に樹脂を塗布し樹脂を固化し樹脂層22を形成する。これにより金属構造体3は使用する型19の形状を反映した形に成型される(図7(c))。
実施形態5ではシリコン基板から取り出した金属構造体に樹脂を塗布し、樹脂層を形成することで強度を向上させた構造体の製造方法について図8に基づいて説明する。尚、本実施形態では2次元の遮蔽格子として用いることができる2次元の構造体について説明をし、実施形態2と重複する部分は省略する。まず、実施形態2と同様の方法にて凹部2に金属を充填して金属構造体3を形成する(図8(a))。次に、シリコン基板を金属構造体から取り出すことにより、金属構造体を露出させる(図8(b))。金属構造体3を取り出す方法として例えば、シリコン基板1をエッチングにより溶かして金属構造体を残す方法を用いても良いし、シリコン基板に切込みを入れてシリコン基板から金属構造体を取り外す方法を用いても良い。シリコン基板のエッチングの方法としては金属構造体3がエッチングされにくい方法であれば、ウェットエッチングとドライエッチングの何れも用いることができる。例えば、ウェットエッチングであればフッ化水素酸と硝酸とからなる水溶液を使用してシリコン基板1をエッチングすることができる。また、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムのような無機アルカリ、水酸化テトラメチルアンモニウムやヒドラジンやエチレンジアミンのような有機アルカリの水溶液を用いても良い。また、ドライエッチングであればXeFを反応性ガスとして用いるエッチングによりシリコン基板をエッチングすることができる。XeFはシリコンを選択的にエッチングできるガスである。本実施形態ではシリコン基板1から金属構造体3が取り出せればよいため、取り出された金属構造体3にはシリコン基板1の一部が残っていてもよい。取り出された金属構造体3は複数の孔を有する。複数の孔は空間でも良く、複数の孔の一部にシリコンが形成されていても良い。但し、本実施形態のように、後の工程で金属構造体を変形させる場合は複数の孔のうち空間が占める割合が大きい方が変形させやすいため好ましい。変形方法にもよるが、概ね複数の孔の夫々の体積の半分以上を空間が占めると、金属構造体を変形させやすく、複数の孔の夫々の体積の3/4以上を空間が占めると金属構造体をより変形させやすい。
実施例1ではマスク層を第1の面と第2の面上に銅で形成し、アルカリ水溶液を用いてエッチングをすることで2次元の構造体を製造する。
硫酸銅・5水和物 200(g/L)
98%濃硫酸 14(mL/L)
35%塩酸 0.09(mL/L)
Cu−Brite VFII−A(荏原ユージライト社製) 20(mL/L)
Cu−Brite VFII−B(荏原ユージライト社製) 1(mL/L)
銅めっきは電子ビーム蒸着にて形成されたCrとCuからなる金属膜から通電し、電流密度1.5A/dm2にて室温で1時間めっきを行う。すると高さ約15μmの銅めっき層が形成される。本実施例ではこれをシリコンのエッチング用のマスク層として使用する。これによってシリコン基板の第1の面と第2の面に56mm×56mm領域でシリコンが露出される。
本比較例では、金属構造体が形成されている60mm×60mmの領域の以外の領域にマスク層を形成し、それ以外は実施例1と同様に構造体を製造する。実施例1と同様に95℃に加熱され、30wt%に調製された水酸化カリウム水溶液に浸し、マスク層から露出した領域のシリコンのエッチングを3時間行うと、金属構造体は支持部が無くなり、シリコン基板から脱離する。
実施例2ではマスク層を第1の面と第2の面上に金で形成し、フッ硝酸水溶液を用いてエッチングをすることで2次元の構造体を製造する。但し、第1の面は全体をマスクして第2の面からのみエッチングを行い、金属構造体内の孔にシリコンを残したままエッチングを終了する。金属構造体の孔内のシリコンはスペーサーとして機能する。
実施例3ではマスク層を第1の面と第2の面上にニッケルで形成し、アルカリ水溶液を用いてエッチングをすることで1次元の構造体を製造する。実施例2同様、第1の面は全体をマスクして第2の面からのみエッチングを行い、シリコン基板中の複数の金属構造体の間にシリコンを残したままエッチングを終了する。残されたシリコンはスペーサーとして機能する。
1050℃で75分のウェット熱酸化によって、シリコンウエハの第1の面2010と第2の面2011にそれぞれ0.5μm程度のSiO2層を形成する。次にSiO2層の上に200nm厚のCr膜を電子ビーム蒸着法で成膜する。その上にポジ型フォトレジストを塗布し、半導体フォトリソグラフィにて60mm×60mmの領域に、ライン/スペースが5μm/5μmのパターンが1次元に配置されたレジストパターンを形成する。その後、露出したCr膜をCrエッチング水溶液にてエッチングし、SiO2層を露出させる。露出したSiO2層をCHF3プラズマによるドライエッチング法でSiO2をエッチングし、シリコンを露出させる。レジストをジメチルホルムアミドで除去し、Crを前記エッチング液にて除去する。
この工程は、実施例1と同様である。まず、シリコン基板2001を硫酸過水にて洗浄し、水洗後、イソプロピルアルコールに浸し、超臨界乾燥装置を用い乾燥させる。続いて、1050℃で7分のウェット熱酸化によって、シリコン基板2001の表面に0.1μm程度のSiO2層を形成する。シリコン基板2001の複数の凹部2002の底部に形成されたSiO2層を除去し、シリコンの露出面を形成する。次に電子ビーム蒸着装置にてCr、Cuの順番でそれぞれ約7.5nm、約50nm成膜する。これにより露出された複数の凹部2002の底部のシリコン上にCrとCuからなる金属が付与される。次に、シリコン基板2001から通電し、金めっきを行ない、金を複数の凹部2002に充填する。金めっきはノンシアン金めっき液(ミクロファブAu1101、日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース)にてめっき液温度60℃、電流密度0.2A/dm2にて24時間のめっきを行う。これにより複数の金属構造体2003が形成される。この金属構造体2003の高さはそれぞれ、約120μmである(図4(b))。
第1の面2010と第2の面2011にそれぞれ電子ビーム蒸着装置にてCr、Cuの順番でそれぞれ約5nm、約1000nm成膜する。成膜した膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、半導体フォトリソグラフィにて第2の面2011に50mm×60mmの領域が開口したレジストパターンを形成する。このレジストパターンの開口の中心は、第1の面2010の金属構造体が形成された領域の中心に対向する位置とする。その後、露出した銅の膜を銅のエッチング液でエッチングし、その銅の膜の下のクロムの膜はクロムのエッチング液でエッチングし、SiO2層を露出させる。露出したSiO2層をCHF3プラズマによるドライエッチング法でSiO2をエッチングし、シリコンを露出させる。フォトレジストを除去後、成膜した銅の上にニッケルめっきを行う。電流密度1.5A/dm2にて室温で1時間めっきを行うと高さ約15μmのニッケルめっき層が形成される。本実施例ではこれをシリコンのエッチング用のマスク層2004として使用する(図4(c))。これにより第1の面2010は全面にマスク層2004で覆われ、第2の面2011上にのみマスク層から露出した領域2005が形成される。この露出した領域2005の大きさは50mm×60mmである。
95℃に加熱され、30wt%に調製された水酸化カリウム水溶液に得られたシリコン基板2001を浸し、マスク層から露出した領域の2005のエッチングを行う。エッチングを48分間行うとマスク層2004から露出した領域2005はエッチングされ、約140μmの深さの、空間を形成する凹部2013が形成される(図4(d))。次にマスク層2004をニッケルのエッチング液と銅のエッチング液とクロムのエッチング液にて除去する(図4(e))。このとき、マスク層2004が除去されても、複数の金属構造体2003は支持部2007と、金属構造体の間に残されたシリコンにより、シリコン基板2001に支持されているため脱離しない。また、金属構造体2003の間に残されたシリコンにより、金属構造体2003同士は5μmの間隔を維持する。また、この構造体を第1の面側からX線顕微鏡にて観察すると、金属構造体の間はX線が透過し、金属構造体の部分はX線を吸収することが確認できる。
実施例4は、実施例3の第1の面2010にも50mm×60mmのマスク層から露出した領域を設けること以外は実施例3と同様の方法で構造体を製造する。こうすることによってマスク層から露出した領域は第1の面と第2の面の両面に形成され、シリコン基板のエッチングも両面からされる。これにより、実施例3と異なり、複数の金属構造体の間のシリコンも除去され、複数の空間ができる。この空間は、第1の面に凹状の空間を形成する。得られた構造体を実施例1同様に第1の面側からX線顕微鏡にて観察すると、金属構造体の間はX線が透過し、金属構造体の部分はX線を吸収することが確認できる。
実施例5は実施形態3に対応する実施例であり、型を用いて金属構造体を変形させて樹脂層を形成することで点光源から2次元に発散するX線の遮蔽格子として好ましい形状を有する構造体を製造する。第4工程のマスク層をマスクとするシリコン基板のエッチングまでは実施例1と同様に行い、マスク層に保護されたシリコン基板中に厚さ120μmの金からなるメッシュ状の金属構造体を形成する(図6(a))。
実施例6は実施形態4に対応する実施例であり、マスク層をマスクとしてシリコン基板をエッチングした後にマスク層を除去する点で実施例5と異なる。その他は実施例5と同様である。実施例5と同様に第4工程まで行うことで、シリコン基板のマスク層により保護された部分からなる支持部に保持された金属構造体を得る。その後、マスク層を除去し(図7(a))、実施例5と同様に金属構造体を変形させる(図7(b))。次に型上の金属構造体3に紫外線硬化樹脂を塗布する。その上に離型剤が塗布された石英基板を置き、紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させ樹脂層を形成する。その後、石英基板と型から樹脂が塗布された金属構造体3を離型すると、半径が5mの球面状の連続曲面を有する金属構造体3が得られる(図7(c))。これによって、金属構造体3の複数の孔の高さ方向の延長線は1点に集中する。但し、実施例5と同様に、支持部内に形成された金属構造体の端部は変形させるのが難しいため、この端部の孔の延長線は上述の延長線が集中する1点と交わらない。
実施例7は実施形態5に対応する実施例であり、金属構造体をシリコン基板から取り出した後変形させ、樹脂層を形成する。第2工程の複数の凸部の間に金属を充填するところまで実施例1と同様に行う(図8(a))。次にフッ化水素酸と硝酸からなる水溶液に浸し、シリコン基板1をエッチングして金属構造体3を取り出す(図8(b))。シリコンからなる複数の凸部のシリコンがエッチングされることによって金属構造体3に形成された複数の孔は空間から構成される。孔のアスペクト比は約60となる。本実施例では半径が2mで球欠の表面形状を有する凸型の型を用いる。実施例5と同様に、型に界面活性剤の水溶液を塗布し、金属構造体を型上に置いて金属構造体を変形させる(図8(c))。次に型上の金属構造体3に紫外線硬化樹脂を塗布する。その上に離型剤が塗布された石英基板を置き、紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させる(図8(d))。その後、石英基板と型から樹脂層22が形成された金属構造体3を離型すると半径が2mの球面状の連続曲面を有する金属構造体3の構造体が得られる(図8(e))。これによって、金属構造体3の複数の孔の高さ方向の延長線は1点に集中する。
次に、前述の実施形態または実施例で製造した構造体をX線吸収格子として用いた撮像装置について、図10を用いて説明をする。
2 凹部
3 金属構造体
4 マスク層
5 マスク層から露出した領域
7 支持部
9 支持体
10 第1の面
11 第2の面
19 型
22 樹脂層
Claims (4)
- X線タルボ干渉法による撮像装置に用いられる遮蔽格子の製造方法であって、基板の第1の面に複数の凹部を形成する工程と、
前記複数の凹部に金属を充填してX線を遮蔽する遮蔽部を構成する金属構造体を形成する工程と、
前記基板にエッチング処理を施し、前記金属構造体を露出させる工程と、
前記露出した金属構造体を湾曲した形状に変形させる工程と、
前記変形した金属構造体に樹脂を塗布し、前記樹脂を固化して樹脂層を形成する工程と、
を有することを特徴とする遮蔽格子の製造方法。 - 前記金属構造体を露出させる工程において、
前記金属構造体の高さの半分以上を前記基板から露出させることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽格子の製造方法。 - 前記基板は、シリコンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の遮蔽格子の製造方法。
- 前記金属構造体は、金または金の合金で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の遮蔽格子の製造方法。
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