JP6241435B2 - 内燃機関の温度制御装置 - Google Patents
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Description
1.内燃機関の温度制御装置は、冷却水の通路である機関側通路が形成された内燃機関と、前記内燃機関の外部に形成され、前記機関側通路に接続された冷却回路と、前記冷却水を循環させる電動ポンプと、前記内燃機関に設けられた水温センサと、前記内燃機関の周囲の気体の温度である外気温を検出する外気温センサと、を備えたシステムに適用され、前記電動ポンプを停止した状態で、前記水温センサによって検出された水温と前記外気温センサによって検出された外気温との乖離が所定値以上となる場合、前記電動ポンプを駆動する判定用駆動処理部と、該判定用駆動処理部が前記電動ポンプを駆動することによる前記水温センサによって検出された水温の低下量が所定量以下であることを条件に前記水温センサおよび前記外気温センサの少なくとも一方に異常があると判定する異常判定処理部とを備える内燃機関の温度制御装置において、前記判定用駆動処理部は、当該判定用駆動処理部による前記電動ポンプの駆動に伴って当該電動ポンプから吐出される冷却水の積算量が所定の積算量となる場合、前記電動ポンプの駆動を停止する停止処理部を備え、前記所定の積算量は、前記機関側通路の入口から前記水温センサまでの前記機関側通路内の容量に応じて設定されていることを特徴とする。
内燃機関がブロックヒータ等によって加熱される場合、機関側通路の内部および冷却回路の内部の冷却水のうち水温が顕著に上昇するのは、機関側通路の内部の冷却水である。ここで、電動ポンプの吐出量の積算量が機関側通路の内部の冷却水量となる場合、機関側通路の内部の冷却水は、電動ポンプの駆動前に冷却回路の内部にあった冷却水によって十分に入れ替えられる。このため、上記乖離が所定値以上となった原因がブロックヒータ等による内燃機関の加熱にある場合、所定の積算量となるまで電動ポンプを駆動することで水温センサによって検出される水温を確実に低下させることができる。
上記構成では、水温センサが出口に配置されているため、上記乖離が所定値以上となった原因がブロックヒータ等による内燃機関の加熱にある場合、電動ポンプの駆動によって水温センサの検出値が低下するためには、駆動前に機関側通路の内部にあった冷却水を全て外部に排出し、駆動前に冷却回路の内部にあった冷却水と入れ替えることが望まれる。このため、上記5記載の所定の積算量の設定が特に有効である。
図1に示す内燃機関10は、金属製のシリンダヘッド12およびシリンダブロック14を備えている。そして、シリンダヘッド12およびシリンダブロック14には、内燃機関10を冷却する冷却水を循環させるための機関側通路16が形成されている。ここで、冷却水は、水分子のみからなるものに限らず、たとえば水よりも凝固点が低い不凍液等、所望の機能を持たせるために水分子以外の成分を含んだ液体であってよい。そして、機関側通路16には、シリンダヘッド12およびシリンダブロック14の外部に形成された冷却回路が接続されている。
出口EXには、また、EGRクーラ通路36が接続されており、EGRクーラ通路36は、ラジエータ下流通路26に接続されている。そして、EGRクーラ通路36の途中には、EGRクーラ38が設けられている。EGRクーラ38は、EGRガスを冷却水によって冷却する冷却装置である。なお、EGRガスとは、燃焼室から排出された後に吸気通路に戻された排気、すなわち吸気通路を介して燃焼室に吸入される排気である。
この一連の処理において、制御装置50は、まず、異常判定の実行条件が成立しているか否かを判定する(S10)。ここで、実行条件は、たとえば内燃機関10の始動時である旨の条件(ア)と、今回の始動時と前回の停止時との間の時間が所定時間以上経過している旨の条件(イ)との論理積が真であることとすればよい。ここで、条件(イ)は、冷却水と内燃機関10の周囲の気体とが十分に熱的な平衡状態に近づくための条件である。所定時間は、冷却水と内燃機関10の周囲の気体とが十分に熱的な平衡状態に近づくのに要する時間に設定される。なお、上記(ア)の条件は、車両の運転がなされる直前に、水温センサ52の異常の有無を判定することに加えて、後述する電動ポンプ22の駆動処理によるバッテリ24の端子電圧の低下を抑制することを可能とするための条件である。すなわち、内燃機関10のクランク軸が回転すると、その回転エネルギの一部をオルタネータによって電力に変換することができるため、電動ポンプ22の駆動によるバッテリ24の端子電圧の低下を抑制することができる。
制御装置50は、水温センサ52の異常判定の実行条件が成立した後、水温THWと外気温TAとの乖離が所定値Δth以上であると判定する場合、電動ポンプ22を駆動する。そして、機関側通路16内の冷却水が、電動ポンプ22の駆動前に機関側通路16の外部にあった冷却水に完全に入れ替わった時点で、電動ポンプ22が停止され、水温センサ52によって検出される水温THWの低下量ΔTHWが所定量ΔTthよりも大きいか否かが判定される。ここで、内燃機関10にブロックヒータが取り付けられて内燃機関10の停止中にブロックヒータ等による加熱処理がなされていた場合には、機関側通路16内の冷却水と内燃機関10の周囲の気体とは熱的な平衡状態に近づくことはない。詳しくは、図1の領域Aに取り付けられたブロックヒータによる加熱がなされると、シリンダブロック14やシリンダヘッド12の熱伝導率が高いために、ブロックヒータの熱は、シリンダブロック14やシリンダヘッド12に拡散する。また、機関側通路16内の冷却水のうちブロックヒータ側に位置する鉛直方向下方の冷却水に熱が与えられると、その熱は、冷却水の対流によって、機関側通路16のうち鉛直方向上方に伝達される。このため、機関側通路16内の冷却水は、ブロックヒータの熱によってその温度が大きく上昇する。
(1)吐出量ΔVの積算量Vが所定の積算量Vthとなる場合、電動ポンプ22の駆動を停止した。これにより、異常判定精度の確保と暖機に要する時間の短縮との好適な両立を図ることができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。以下において、「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項と上記実施形態との対応関係を符号等によって例示した部分があるが、これには、例示した対応関係に上記事項を限定する意図はない。
積算量としては、内燃機関10の機関側通路16内の容量に限らない。たとえば、これよりもわずかに多くしてもよい。またたとえば、水温センサ52を機関側通路16であって且つ、入口IN付近に配置し、所定の積算量Vthを、機関側通路16の容積よりも少量としてもよい。この場合、機関側通路16のうち入口INから水温センサ52間の容量程度とすることが望ましい。
消費電力Pと吐出量ΔVとの関係を定めたマップとしては、コア側バルブ40やウォーマ側バルブ44の開閉状態毎に、消費電力Pと吐出量ΔVとの関係を定めたマップに限らない。たとえば、コア側バルブ40やウォーマ側バルブ44の開閉状態毎に、外気温TAおよび消費電力Pと吐出量ΔVとの関係を定めたマップであってもよい。この場合、同一の消費電力Pに対し、外気温TAが低いほど吐出量ΔVを小さく設定すればよい。これにより、水温が低いほど冷却水の粘性が高くなり、粘性が高い場合の方が低い場合よりも吐出量ΔVが減少することを考慮することができる。
吐出される冷却水の積算量が所定の積算量Vthであるか否かを判定する処理としては、算出された吐出量ΔVの積算量Vが所定の積算量Vthであるか否かを判定するものに限らない。たとえば、ステップS18の電動ポンプ22の駆動処理の開始からの経過時間が閾値時間以上であるか否かを判定する処理として且つ、閾値時間を、消費電力Pとコア側バルブ40およびウォーマ側バルブ44の開閉状態とに応じて可変設定してもよい。これは、たとえば以下のようにして実現することができる。すなわち、まず、消費電力Pが最大であって且つ、コア側バルブ40およびウォーマ側バルブ44の開閉状態が同一の消費電力Pに対して吐出量ΔVが最大となる状態である場合に吐出量ΔVの積算量が所定の積算量Vthとなる時間を基準時間とする。そして、これを閾値時間の初期値に設定し、実際の消費電力Pや開閉状態に応じて閾値時間を都度伸長補正する。
電動ポンプ22の消費電力Pを決定する際のバッテリ状態情報INBとしては、バッテリ24の電圧情報に限らない。たとえば、バッテリ24の充電率(SOC)であってもよい。さらに、バッテリ状態情報INBのみとすることなく、たとえば内燃機関10のクランク軸の回転エネルギを電気エネルギに変換するオルタネータの出力電力を加味してもよい。また、バッテリ状態情報INBを用いることなく、オルタネータの出力電力に基づき電動ポンプ22の消費電力Pを可変設定してもよい。
上記実施形態では、電動ポンプ22の駆動後、水温THWの低下量ΔTHWが所定量ΔTth以下である場合、水温センサ52の異常としたが、これに限らない。たとえば、水温センサ52および吸気温センサ54の少なくとも一方の異常としてもよい。この場合、その後、別の処理によって、吸気温センサ54が正常であると判定されることを条件に、水温センサ52の異常と判定すればよい。なお、吸気温センサ54に異常がある場合は、少なくとも一方の異常である旨の判定を維持する。
出口EXに配置されるものに限らない。たとえば、シリンダヘッド12内の機関側通路16に配置されるものであってもよい。
吸気温センサ54に限らない。たとえば、これとは別に、内燃機関10の停止後、冷却水と熱的な平衡状態を実現すると考えられる内燃機関10の周囲の気体の温度を測定するものであって、水温センサ52等の異常判定専用のセンサであってもよい。
図1に例示したものに限らない。たとえば、サーモスタット28が閉弁状態である場合に、ラジエータ32を迂回する迂回通路から、ヒータコア42やオイルウォーマ46、EGRクーラ38の少なくとも1つが削除された構成であってもよい。またたとえば、コア側バルブ40を削除してもよく、またたとえばウォーマ側バルブ44を削除してもよい。
Claims (6)
- 冷却水の通路である機関側通路が形成された内燃機関と、前記内燃機関の外部に形成され、前記機関側通路に接続された冷却回路と、前記冷却水を循環させる電動ポンプと、前記内燃機関に設けられた水温センサと、前記内燃機関の周囲の気体の温度である外気温を検出する外気温センサと、を備えたシステムに適用され、前記電動ポンプを停止した状態で、前記水温センサによって検出された水温と前記外気温センサによって検出された外気温との乖離が所定値以上となる場合、前記電動ポンプを駆動する判定用駆動処理部と、該判定用駆動処理部が前記電動ポンプを駆動することによる前記水温センサによって検出された水温の低下量が所定量以下であることを条件に前記水温センサおよび前記外気温センサの少なくとも一方に異常があると判定する異常判定処理部とを備える内燃機関の温度制御装置において、
前記判定用駆動処理部は、当該判定用駆動処理部による前記電動ポンプの駆動に伴って当該電動ポンプから吐出される冷却水の積算量が所定の積算量となる場合、前記電動ポンプの駆動を停止する停止処理部を備え、
前記所定の積算量は、前記機関側通路の入口から前記水温センサまでの前記機関側通路内の容量に応じて設定されていることを特徴とする内燃機関の温度制御装置。 - 冷却水の通路である機関側通路が形成された内燃機関と、前記内燃機関の外部に形成され、前記機関側通路に接続された冷却回路と、前記冷却水を循環させる電動ポンプと、前記内燃機関に設けられた水温センサと、前記内燃機関の周囲の気体の温度である外気温を検出する外気温センサと、を備えたシステムに適用され、前記電動ポンプを停止した状態で、前記水温センサによって検出された水温と前記外気温センサによって検出された外気温との乖離が所定値以上となる場合、前記電動ポンプを駆動する判定用駆動処理部と、該判定用駆動処理部が前記電動ポンプを駆動することによる前記水温センサによって検出された水温の低下量が所定量以下であることを条件に前記水温センサおよび前記外気温センサの少なくとも一方に異常があると判定する異常判定処理部とを備える内燃機関の温度制御装置において、
前記判定用駆動処理部は、当該判定用駆動処理部による前記電動ポンプの駆動に伴って当該電動ポンプから吐出される冷却水の積算量が所定の積算量となる場合、前記電動ポンプの駆動を停止する停止処理部を備え、
前記所定の積算量は、前記機関側通路の内部の冷却水量以上の冷却水量である内燃機関の温度制御装置。 - 前記停止処理部は、前記電動ポンプの消費電力が大きい場合、小さい場合と比較して前記判定用駆動処理部による前記電動ポンプの駆動開始からの経過時間が短いタイミングで前記吐出される冷却水の積算量が所定の積算量となったとして前記電動ポンプの駆動を停止する請求項1または2記載の内燃機関の温度制御装置。
- 前記判定用駆動処理部は、前記電動ポンプの消費電力を可変設定するものであり、
前記停止処理部は、前記電動ポンプの消費電力、および前記電動ポンプに内蔵されたモータの回転速度のいずれかに基づき、前記吐出される冷却水の積算量が所定の積算量となるか否かを判定する積算量判定処理部を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の温度制御装置。 - 前記積算量判定処理部は、前記いずれかに基づき前記電動ポンプの単位時間当たりの吐出量を算出する吐出量算出処理部を備え、該吐出量算出処理部によって算出される吐出量の積算量が所定の積算量となるか否かを判定する請求項4記載の内燃機関の温度制御装置。
- 前記水温センサは、前記内燃機関のうち前記機関側通路の出口部分に配置されている請求項2記載の内燃機関の温度制御装置。
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