JP2013047473A - エンジン冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン1の内部通路(4,5)とエンジン1の外部通路(7,8)との間で冷却液を循環可能とし、内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁23を有するエンジン冷却装置において、余分な構成要素を追加しないようにするとともに、制御弁23の故障判定に関する処理を可及的に簡易化することにより、設備コストの増大を抑制可能とする。
【解決手段】制御弁23の開閉動作を制御する制御部100は、制御弁23の開側作動または閉側作動を指示した後、エンジン1内の冷却液温度thw2とエンジン1外の冷却液温度thw3との差に基づいて制御弁23の故障を判定する。
【選択図】図1
【解決手段】制御弁23の開閉動作を制御する制御部100は、制御弁23の開側作動または閉側作動を指示した後、エンジン1内の冷却液温度thw2とエンジン1外の冷却液温度thw3との差に基づいて制御弁23の故障を判定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンの内部通路とエンジンの外部通路との間で冷却液を循環可能とし、前記内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁を有するエンジン冷却装置に関する。
例えば特許文献1には、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとに独立して冷却水を流通させるような構成において、シリンダブロック内の冷却水の水温が故障判定温度になったときにシリンダブロックのウォータジャケットからシリンダヘッドのウォータジャケットへの冷却水流通を許可するバイメタルと、前記シリンダブロックのウォータジャケットへの冷却水流入とシリンダヘッドのウォータジャケットへの冷却水流入とを制御する第1、第2サーモスタット弁とを備えた構成が開示されている。
この特許文献1では、第1サーモスタット弁の閉故障を判定することが可能になっている。具体的に、第1サーモスタット弁が閉故障している場合には、シリンダブロック内の冷却水が流動停止して温度が上昇するので、バイメタルが開弁することになってシリンダブロックからシリンダヘッドに冷却水が流入するようになる。そこで、シリンダヘッドの流路に設置される水温センサの測定データの変化に基づいてエレクトロニックコントロールユニットが第1サーモスタット弁の閉故障を判定するようにしている。
また、例えば特許文献2では、エンジンの内部通路(ウォータジャケット)とエンジンの外部通路との間で冷却液を循環可能とするとともに、前記外部通路にラジエータが設置される構成において、前記外部通路の冷却水流入部分に設置されるサーモスタットの閉故障および開故障の有無を診断することが可能になっている。
具体的に、まず、冷間始動時でかつ開故障診断条件が成立している場合において、エンジン側冷却水とラジエータ側冷却水との温度差が開故障判定基準値以上であるときはサーモスタットが正常であると判定し、前記温度差が前記開故障判定基準値より小さいときはサーモスタットが開故障していると判定する。
一方、冷間始動時でかつ閉故障診断条件が成立している場合において、エンジン側冷却水温がサーモスタットの開弁温度を越えたときに、エンジン側冷却水とラジエータ側冷却水との温度差が閉故障判定基準以下のときはサーモスタットが正常であると判定し、前記温度差が前記閉故障判定基準値よりも大きいときはサーモスタットが閉故障であると判定する。
なお、前記エンジン側冷却水の温度は、エンジンウォータジャケットの出口に設置されるエンジン側冷却水温センサの検出値に基づき認識するようにし、前記ラジエータ側冷却水の温度は、冷却水循環路の冷却水流入側に設置されるラジエータ側冷却水温センサの検出値に基づき認識するようにしている。
また、前記開故障診断条件は、(1)エンジン側冷却水温センサおよびラジエータ側冷却水温センサの双方が正常であること、(2)冷間始動から所定時間経過後であること、(3)エンジン側冷却水温がサーモスタットの開弁温度よりも低いことである。これらの条件(1)〜(3)を全て満たしたときに前記開故障診断条件が成立する。
さらに、前記閉故障診断条件は、(1)エンジン側冷却水温センサおよびラジエータ側冷却水温センサの双方が正常であること、(2)エンジン側冷却水温がサーモスタットの開弁温を越えてから所定時間経過していること、(3)エンジン側冷却水温がサーモスタットの閉弁温度よりも高いことである。これらの条件(1)〜(3)を全て満たしたときに前記閉故障診断条件が成立する。
上記特許文献1の場合、第1サーモスタット弁の閉故障を判定するために、わざわざバイメタルを設ける必要があり、コスト面で無駄である。さらに、シリンダヘッドの流路に設置される水温センサの測定データの変化を調べている関係より、当該測定データを逐一エレクトロニックコントロールユニットで監視する必要があるなど、制御ロジックに無駄があると考えられる。
上記特許文献2の場合、故障診断をエンジン側冷却水とラジエータ側冷却水との温度差に基づいて判定するようにしているものの、冷却水温度に応じて自動的に開閉するサーモスタットを故障診断の対象にしている関係より、サーモスタットの本来の開閉状態を認識するために前記故障診断条件を調べる必要があって、この条件成立の有無を判定する処理の煩雑になると考えられる。
このような事情に鑑み、本発明は、エンジンの内部通路とエンジンの外部通路との間で冷却液を循環可能とし、前記内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁を有するエンジン冷却装置において、余分な構成要素(例えば特許文献1のようなバイメタルなど)を追加しないようにするとともに、前記制御弁の故障判定に関する処理を可及的に簡易化することにより、設備コストの増大を抑制可能とすることを目的としている。
本発明に係るエンジン冷却装置は、エンジン内部に設けられる冷却液の内部通路と、この内部通路から冷却液を外部に取り出してから戻すための外部通路と、前記内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁と、この制御弁の開閉動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記制御弁の開側作動または閉側作動を指示した後、前記エンジン内の冷却液温度と前記エンジン外の冷却液温度との差に基づいて前記制御弁の故障を判定する、ことを特徴としている。
このような構成では、まず、前記制御弁が閉弁している状態から開側作動が指示されると、正常であれば開弁して冷却液が前記内部通路と前記外部通路との間で循環されるようになるので、前記エンジン内冷却液温度と前記エンジン外冷却液温度との差が小さくなる。そのとき、前記制御弁が閉故障(閉弁したまま不動となる故障)していると、冷却液が循環しなくなるので、前記エンジン内冷却液温度のみが上昇することになって、前記差が大きくなる。これにより、この差が所定値以上になると、閉故障が発生していると判定することが可能になる。
一方、制御弁が開弁している状態から閉側作動が指示されると、正常であれば閉弁して前記内部通路と前記外部通路との間で冷却液が循環しなくなるので、前記エンジン内冷却液温度のみが上昇することになって、前記エンジン内冷却液温度と前記エンジン外冷却液温度との差が大きくなる。そのとき、制御弁が開故障(開弁したまま不動となる故障)していると、冷却液が停止しなくなって循環するようになるので、前記差が小さくなる。これにより、この差が所定値以下になると、開故障が発生していると判定することが可能になる。
このように、本発明は、前記制御弁の開閉指示に対して実際に開閉しているか否かをエンジン内外の冷却液の温度差を適宜の閾値と対比することによって判定するように構成しているから、余分な構成要素(例えば特許文献1のようなバイメタルなど)を追加せずに済むとともに、前記制御弁の故障判定に関する処理を可及的に簡易化することが可能になる。要するに、本発明では、エンジン冷却装置の設備コストの増大を抑制しながら、制御弁の故障判定を行えるようになっている。
好ましくは、前記制御部は、前記制御弁の開側作動を指示した後、前記エンジン内の冷却液温度から前記エンジン外の冷却液温度を減算した結果が所定値以上であるときに前記制御弁が閉状態で固着する閉故障であると判定する。このように、制御弁の閉故障判定を行う形態を特定することができる。
好ましくは、前記制御部は、前記制御弁の閉側作動を指示した後、前記エンジン内の冷却液温度から前記エンジン外の冷却液温度を減算した結果が所定値以下であるときに前記制御弁が開状態で固着する開故障であると判定する。このように、制御弁の開故障判定を行う形態を特定することができる。
好ましくは、前記制御弁は、電磁弁とされる。また、好ましくは、前記制御弁は、温度の高低に応じてサーモワックスが溶融または固化することにより開閉作動するタイプで、かつ前記サーモワックスを加熱するとともに当該加熱動作が前記制御部により制御される加熱部を備えるタイプのサーモスタットとされる。
なお、サーモスタットとは、自動車関連業界において温度感知型の自動開閉弁のことを意味している。特に、前記のように加熱部を備えるタイプのサーモスタットの場合には、制御弁としてのサーモスタットを冷却液の温度に関係なく制御部によって速やかに開弁させることが可能になる。
好ましくは、前記内部通路は、エンジンのシリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとを含み、前記外部通路は、途中にウォータポンプが設けられかつ前記内部通路から排出される冷却液をラジエータを通して前記内部通路に戻すための循環路と、この循環路に前記ラジエータをバイパスするように接続されるラジエータバイパス路とを含み、前記循環路において前記ラジエータよりも冷却液流通方向下流側と前記ラジエータバイパス路の下流側接続部との間には、冷却液の温度を感知して自動的に開閉するラジエータ用サーモスタットが設けられ、前記循環路の冷却液還流部分は、途中から二股に分岐され、かつ当該2つの支流部が前記ブロック内ウォータジャケットの冷却液流入部と前記ヘッド内ウォータジャケットの冷却液流入部とに振り分けて接続され、前記循環路のヘッド側支流部には前記制御弁が設けられ、前記循環路の冷却液流入部寄りには、前記エンジン内の冷却液温度を検出するための第1温度センサが、また、前記外部通路において前記内部通路から離れた位置には、前記エンジン外の冷却液温度を検出するための第2温度センサがそれぞれ設けられる。
ここでは、エンジン冷却装置の構成要素を特定している。このような構成であれば、エンジンを冷間始動させたときに、ブロック内ウォータジャケットおよびヘッド内ウォータジャケットに冷却液を流通させない状態にすることが可能になり、その結果として、エンジンや冷却液の昇温を促進させることが可能になる。また、エンジン暖機中においてシリンダヘッドの局所の冷却液が過剰昇温したときにはヘッド内ウォータジャケットに冷却液を流通させるような流通経路を確保することが可能になり、その結果として、前記過剰昇温を速やかに解消することが可能になる。このようなことから、エンジンが冷間始動されたときに、シリンダブロックとシリンダヘッドとをそれらの温度差を可及的に生じさせない状態で可及的速やかに昇温させることが可能になる。
好ましくは、前記ブロック内ウォータジャケットの冷却液排出部と前記ヘッド内ウォータジャケットの冷却液排出部とが端部で合流され、前記循環路の冷却液流入部分は、1本とされて前記両ウォータジャケットの前記合流端部に接続される。
ここでは、前記循環路を簡易な形状に特定しており、これにより、前記循環路のコストならびにその設置に要するコストを抑制することが可能になり、エンジン冷却装置をコストダウンすることに貢献できる。
本発明は、エンジンの内部通路とエンジンの外部通路との間で冷却液を循環可能とし、前記内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁を有するエンジン冷却装置において、余分な構成要素(例えば特許文献1のようなバイメタルなど)を追加しないようにするとともに、前記制御弁の故障判定に関する処理を可及的に簡易化することにより、設備コストの増大を抑制することが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図6に、本発明の一実施形態を示している。この実施形態では直列多気筒型のエンジン1の冷却装置を例に挙げている。
このエンジン1には、冷却液を外部に取り出してから戻すための冷却液循環経路として、エンジンの内部通路とエンジンの外部通路とが設けられている。
前記内部通路は、エンジン1のシリンダブロック2内に設けられるウォータジャケット4と、エンジン1のシリンダヘッド3内に設けられるウォータジャケット5とを含んでいる。また、前記外部通路は、循環路7と、ラジエータバイパス路8とを少なくとも含んでいる。
ブロック内ウォータジャケット4の冷却液流入部4aは、シリンダブロック2において気筒配列方向の一端面(例えば前端面)の下方に設けられている。ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液流入部5aは、シリンダヘッド3において気筒配列方向の一端面(例えば前端面)に設けられている。
そして、ブロック内ウォータジャケット4の冷却液排出部とヘッド内ウォータジャケット5の冷却液排出部とは、それらの端部で合流されており、この合流端部が共通排出部6としてシリンダヘッド3において気筒配列方向の他端面(例えば後端面)に設けられている。
循環路7は、ブロック内ウォータジャケット4とヘッド内ウォータジャケット5との少なくともいずれか一方から排出される冷却液をブロック内ウォータジャケット4とヘッド内ウォータジャケット5との少なくともいずれか一方に還流させるものである。
この循環路7の一端側(冷却液流通方向上流端側)は1本の冷却液流入部7aとされているが、循環路7の他端側(冷却液流通方向下流端側)は二股に分岐されている。この分岐した2つの支流部のうち、一方がブロック側冷却液還流部7bとされ、他方がヘッド側冷却液還流部7cとされている。
そして、循環路7の1本の冷却液流入部7aが両ウォータジャケット4,5の共通排出部6に接続されている。また、循環路7のブロック側冷却液還流部7bがブロック内ウォータジャケット4の冷却液流入部4aに接続されており、また、循環路7のヘッド側冷却液還流部7cがヘッド内ウォータジャケット5の冷却液流入部5aに接続されている。
この循環路7には、ウォータポンプ11、ラジエータ12が設けられている。ウォータポンプ11は、循環路7の前記二股分岐部分よりも冷却液流通方向上流側に設けられている。このウォータポンプ11は、機械式とされている。この機械式のウォータポンプ11は、図示していないが、エンジン1のクランクシャフトの回転動力を動力伝達装置(例えばプーリやベルトなどを含む)を介して伝達されて駆動される。ラジエータ12は、循環路7を流通する冷却液と大気との間で熱交換するもので、主に冷却用の熱交換器とされている。
ラジエータバイパス路8は、循環路7に対してラジエータ12をバイパスするように接続されている。このラジエータバイパス路8の途中には、ヒータコア13が設けられている。ヒータコア13は、ラジエータバイパス路8を流通する冷却液と車両室内との間で熱交換するための熱交換器である。このヒータコア13から放出される熱は、ヒータブロア14でもって車両室内に供給されて、車両室内を暖房するようになる。ヒータブロア14の動作は、下記するエレクトロニックコントロールユニット(以下、単にECUとする)100により制御される。
そして、循環路7においてラジエータ12よりも冷却液流通方向の下流側の位置とラジエータバイパス路8の下流側接続部分との間には、ラジエータ用サーモスタット21が設けられている。
このラジエータ用サーモスタット21は、公知の構成であるので詳細な図示や説明を割愛するが、一般に、弁体と、サーモアクチュエータとを備えている。前記サーモアクチュエータは、サーモワックスが充填される感温部と、この感温部に設けられて前記弁体を開弁方向または閉弁方向に変位させるプランジャとを備えている。
ここで、ラジエータ用サーモスタット21の動作を説明する。循環路7においてラジエータバイパス路8との下流側接続部分の冷却液温度thw4がオーバーヒート防止温度Z未満の場合に前記サーモワックスが凝固収縮してワックス圧が低くなっているので、前記プランジャが前記感温部に引き込まれて前記弁体が全閉位置に変位されている。なお、前記オーバーヒート防止温度Zは暖機完了温度(例えば85℃〜90℃、好ましくは88℃)よりも高い任意の値に設定される。そして、前記冷却液温度thw4が前記オーバーヒート防止温度Z以上になると、前記サーモワックスが溶融膨張されることによりワックス圧が高くなるので、前記プランジャが前記感温部から飛び出して前記弁体を開くようになる。これにより、循環路7とラジエータバイパス路8の両方に冷却液が流通するようになる。
この実施形態では、循環路7のブロック側冷却液還流部7bにブロック側バルブ22が設けられており、循環路7のヘッド側冷却液還流部7cにヘッド側バルブ23が設けられている。
さらに、この実施形態では、循環路7に内部通路(4,5)をバイパスするためのエンジンバイパス路9が接続されている。このエンジンバイパス路9は、ブロック側冷却液還流部7bにおいてブロック側バルブ22よりも冷却液流通方向上流側と、循環路7においてラジエータバイパス路8およびヒータコア13よりも冷却液流通方向下流側とに接続されている。このエンジンバイパス路9には、エンジン1のオイルを冷却するためのオイルクーラ15が設けられている。
ブロック側バルブ22は、サーモスタットとされており、ブロック側冷却液還流部7bの冷却液流通を許容または遮断する。ヘッド側バルブ23は、請求項に記載の制御弁であり、この実施形態では電磁弁とされており、ヘッド側冷却液還流部7cの冷却液流通を許容または遮断する。この実施形態ではヘッド側バルブ23が請求項に記載の制御弁に相当している。なお、ブロック側バルブ22およびヘッド側バルブ23は、冷却液流通を制限するものとすることも可能である。
ブロック側バルブ22としてのサーモスタットは、前記したラジエータ用サーモスタット21と基本的に同じ構成であるので詳細な図示や説明を割愛するが、弁体と、サーモアクチュエータとを備えている。前記サーモアクチュエータは、サーモワックスが充填される感温部と、この感温部に設けられて前記弁体を開弁方向または閉弁方向に変位させるプランジャとを備えている。
ここで、ブロック側バルブ22としてのサーモスタットの動作を説明する。ブロック側冷却液還流部7bにおいてブロック側バルブ22よりも冷却液流通方向上流側の冷却液温度thw1が所定の開弁温度X未満の場合に、サーモワックスが凝固収縮してワックス圧が低くなるので、弁体が自動的に閉弁して循環路7からブロック内ウォータジャケット4への冷却液の流入を停止させる状態にする。なお、前記開弁温度Xは、前記暖機完了温度よりも高くかつ前記オーバーヒート防止温度Zよりも低い任意の値に設定される。そして、前記冷却液温度thw1が前記開弁温度X以上になると、サーモワックスが溶融膨張されてワックス圧が高くなるので、弁体が自動的に開弁して循環路7からブロック内ウォータジャケット4へ冷却液を流入させる状態にする。
次に、ヘッド側バルブ23としての電磁弁は、ノーマリークローズタイプとされている。このヘッド側バルブ23の開閉動作は、ECU100により制御される。例えばECU100でヘッド側バルブ23の図示していないコイルに通電すると弁体が開弁状態になり、また、前記コイルに対する通電を停止すると弁体32が閉弁状態になる。
ECU100は、例えばエンジン1の各種動作制御に必須となる既存のエンジンコントロールコンピュータとすることができる。このECU100は、詳細に図示していないが、共にCPU(中央処理装置)、ROM(プログラムメモリ)、RAM(データメモリ)、ならびにバックアップRAM(不揮発性メモリ)などを備える公知の構成とされる。
ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータなどを記憶する不揮発性のメモリである。
以上のように、この実施形態では、エンジン1の内部通路(ウォータジャケット4,5)と、外部通路(循環路7、ラジエータバイパス路8、エンジンバイパス路9)とによって適宜の閉ループの冷却液循環経路が作られており、前記内部通路と、前記外部通路と、ウォータポンプ11と、ラジエータ用サーモスタット21と、ブロック側バルブ22と、ヘッド側バルブ23と、ECU100とによってエンジン冷却装置が構成されている。
そして、ECU100は、例えば第1温度センサ31からの検出出力の入力に基づいてヘッド側バルブ23などの動作を制御することにより、エンジン1の温度調節をすることができる。第1温度センサ31は、循環路7の冷却液流入部7aにおいて両ウォータジャケット4,5の共通排出部6の近傍に設けられており、当該設置場所の冷却液温度thw2(エンジン内冷却液温度ともいう)を検出する。
具体的に、この実施形態のエンジン冷却装置による基本的な動作を説明する。
例えばエンジン1を冷間始動したときには、つまりエンジン1を始動したときに第1温度センサ31の検出出力(エンジン内冷却液温度thw2)が所定の冷間始動判定基準値Y未満のときには、ECU100が電磁弁からなるヘッド側バルブ23を閉弁状態にさせるように指示する。なお、前記冷間始動判定基準値Yは、前記暖機完了温度よりも低い任意の値に設定される。
このとき、ラジエータ用サーモスタット21およびサーモスタットからなるブロック側バルブ22が共に閉弁している状態だと、図1の実線矢印で示すように、エンジン1により駆動される機械式のウォータポンプ11によって循環路7内の冷却液がラジエータバイパス路8を経てエンジンバイパス路9に流通するようになるが、両ウォータジャケット4,5内では冷却液が流通せずに停止するようになる。これにより、シリンダヘッド3の特に燃焼室から発生する熱によってエンジン1および両ウォータジャケット4,5内の冷却液の昇温が促進されるようになる。
この昇温に伴い前記エンジン内冷却液温度thw2が前記冷間始動判定基準値Y以上になった後で、ヘッド内ウォータジャケット5の局所(シリンダヘッド燃焼室近傍)で冷却液が過剰昇温(沸騰)するような状況になったことをECU100が検知すると、ECU100はヘッド側バルブ23を開弁させるよう指示する。
なお、前記過剰昇温の検知方法の一例としては、エンジン1の始動開始から所定周期(数msec〜数十msec)毎に、ヘッド内ウォータジャケット5においてシリンダヘッド3内最高温度到達領域での冷却液温度の最高値を推定することにより行うことができる。この推定方法の一例としては、エンジン1の始動開始時に第1温度センサ31からの検出出力に基づいてエンジン内冷却液温度thw2の初期値を認識する処理と、エンジン1を始動してからのエンジン1の発生熱量を算出するとともに、この発生熱量による前記シリンダヘッド内最高温度到達領域の上昇値を算出する処理と、この上昇値を前回の推定値(初回は前記初期値)に加算することにより前記シリンダヘッド内最高温度到達領域の現在の冷却液温度を推定する処理と、この推定値が所定温度(例えば96℃)を超えた場合に沸騰が発生するような状況であると判断する処理とを行う。
前記したようにヘッド側バルブ23を開弁させると、図2の実線矢印で示すように、ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液が共通排出部6から循環路7に排出され、この冷却液がラジエータ12に流入せずにラジエータバイパス路8を経てヘッド側冷却液還流部7cに流入し、さらにヘッド側バルブ23を経てヘッド内ウォータジャケット5に流入させられるようになる。
このようにしてヘッド内ウォータジャケット5を冷却液が繰り返し流通する際に冷却液がシリンダヘッド3の特に燃焼室近傍の熱を吸収する。その結果、ヘッド内ウォータジャケット5の局所で冷却液が過剰昇温(沸騰)することが防止される一方で、シリンダブロック2およびブロック内ウォータジャケット4の冷却液が徐々に昇温させられるようになる。これにより、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との温度差を可及的に小さく保ちながら昇温が促進されるようになる。
ところで、循環路7のブロック側冷却液還流部7bにおいてブロック側バルブ22の冷却液流通方向上流側の冷却液温度thw1がブロック側バルブ22の開弁温度Xに到達するまでの上昇過程では、ブロック側バルブ22が閉弁したままであるが、前記冷却液温度thw1が前記開弁温度X以上になるとブロック側バルブ22が自動的に開弁する。このブロック側バルブ22が開弁すると、図3の実線矢印で示すように、ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液が共通排出部6から循環路7に排出され、この冷却液がラジエータ12に流入せずにラジエータバイパス路8を経てヘッド側冷却液還流部7cに流入し、さらにヘッド側バルブ23を経てヘッド内ウォータジャケット5に流入させられるようになるとともに、ラジエータバイパス路8を通った冷却液がブロック側冷却液還流部7bおよびブロック側バルブ22を経てブロック内ウォータジャケット4にも流入させられるようになる。これにより、循環路7のラジエータバイパス路8とブロック内ウォータジャケット4およびヘッド内ウォータジャケット5との間で十分な量の冷却液が循環させられるようになる。
この後、循環路7においてラジエータバイパス路8との下流側接続部分の冷却液温度thw4がオーバーヒート防止温度Z以上になると、ラジエータ用サーモスタット21が自動的に開弁することになるので、図4の実線矢印で示すように、ブロック内ウォータジャケット4およびヘッド内ウォータジャケット5の共通排出部6から循環路7に排出される冷却液がラジエータバイパス路8だけでなくラジエータ12にも流通するようになる。そして、ラジエータバイパス路8およびラジエータ12を通過した冷却液が前記両ウォータジャケット4,5に戻される。このように、両ウォータジャケット4,5から排出される冷却液がラジエータ12で冷却されてから両ウォータジャケット4,5に戻されるように循環するので、当該循環する冷却液およびエンジン1の温度が一定範囲内に調整されることになって、エンジン1のオーバーヒートが回避されて適温に保たれるようになる。
さらに、この実施形態では、電磁弁からなるヘッド側バルブ23の故障判定を行えるようにしているので、以下、図5および図6を参照して詳細に説明する。
このヘッド側バルブ23である電磁弁は、閉状態のまま固着する閉故障と、開状態のまま固着する開故障とが起こりうる。そこで、この実施形態では、前記閉故障と開故障とが発生しているか否かを判定できるようにしている。
この故障判定を行うために、エンジンバイパス路9においてオイルクーラ15よりも冷却液流通方向上流側に第2温度センサ32を設け、この第2温度センサ32により当該第2温度センサ32の設置場所の冷却液温度thw3(エンジン外冷却液温度ともいう)を検出するようにしている。
(1)閉故障は、ECU100がヘッド側バルブ23を開弁させるための信号を出力(開側作動の指示)した後、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が所定値α以上であるときに、ECU100はヘッド側バルブ23が閉故障していると判定する。
(2)開故障は、ECU100がヘッド側バルブ23を閉弁させるための信号を出力(閉側作動の指示)した後、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が所定値β以下であるときに、ECU100はヘッド側バルブ23が開故障していると判定する。
具体的に、図5に示すフローチャートを参照して、ヘッド側バルブ23の閉故障の有無判定に関する処理について、説明する。
このフローチャートは、ECU100による処理を示しており、エンジン1を始動してから所定の周期(数msec〜数十msec)毎にスタートされる。このフローチャートがスタートされると、まず、ステップS1において、ヘッド側バルブ23を開弁させるための信号が出力(開側作動の指示)されたか否かを判定する。
ここで、前記開弁信号が出力されていない場合には前記ステップS1で否定判定して当該フローチャートを終了する。しかし、前記開弁信号が出力されている場合には、前記ステップS1で肯定判定して、続くステップS2に移行する。
このステップS2では、所定時間が経過するのを待つ。当該所定時間が経過すると(ステップS2で肯定判定)、続くステップS3において、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が所定値α以上である否かを判定する。なお、前記所定時間とは、前記開弁信号の出力後において、仮にヘッド側バルブ23が閉故障している場合に特にヘッド内ウォータジャケット5の冷却液の温度(第1温度センサ31の検出出力に基づき認識される冷却液温度thw2)が過剰上昇するまでに要する時間に基づいて設定される。この設定時間は、適宜の実験あるいはシミュレーションなどによって適宜に決定することができる。
ここで、前記のようにヘッド側バルブ23を開弁させるように指示しても、仮にヘッド側バルブ23が閉故障していると、ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液が停止することになるので、ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液温度(thw2)が過剰に上昇することになる一方、外部通路(7〜9)の冷却液温度(thw3)はほとんど変化しなくなる。つまり、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が徐々に大きくなる。しかしながら、前記開弁指示に応答してヘッド側バルブ23が正常に開弁する場合にはヘッド内ウォータジャケット5と外部通路(7〜9)との間で冷却液が流通するようになるので、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が小さくなる。
このような現象の知見により、thw2−thw3≧αであるときには、前記ステップS3で肯定判定して、続くステップS4において、ヘッド側バルブ23が閉故障していると判定する。一方、thw2−thw3<αであるときには、前記ステップS3で否定判定して、続くステップS5において、ヘッド側バルブ23が正常、つまり閉故障していないと判定する。
具体的に、図6に示すフローチャートを参照して、ヘッド側バルブ23の開故障の有無判定に関する処理について説明する。
このフローチャートは、ECU100による処理を示しており、エンジン1を始動してから所定の周期(数msec〜数十msec)毎にスタートされる。このフローチャートがスタートされると、まず、ステップS11において、ヘッド側バルブ23を閉弁させるための信号が出力(閉側作動の指示)されたか否かを判定する。
ここで、前記閉弁信号が出力されていない場合には前記ステップS11で否定判定して当該フローチャートを終了する。しかし、前記閉弁信号が出力されている場合には、前記ステップS11で肯定判定して、続くステップS12に移行する。
このステップS12では、所定時間が経過するのを待つ。当該所定時間が経過すると(ステップS12で肯定判定)、続くステップS13において、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が所定値β以下である否かを判定する。なお、前記所定時間とは、前記閉弁信号の出力後において、仮にヘッド側バルブ23が開故障している場合に特にヘッド内ウォータジャケット5の冷却液の温度(第1温度センサ31の検出出力に基づき認識される冷却液温度thw2)とエンジン外冷却液温度thw3との差が所定値β以下になるまでに要する時間に基づいて設定される。この設定時間は、適宜の実験あるいはシミュレーションなどによって適宜に決定することができる。
ここで、前記のようにヘッド側バルブ23を閉弁させるように指示しても、仮にヘッド側バルブ23が開故障していると、ヘッド内ウォータジャケット5と外部通路(7〜9)との間で冷却液が停止せずに流通していることになるから、ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液が外部通路(7〜9)の冷却液と混ざるようになる。そのため、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が徐々に小さくなる。しかしながら、前記閉弁指示に応答してヘッド側バルブ23が正常に閉弁する場合にはヘッド内ウォータジャケット5と外部通路(7〜9)との間で冷却液が流通せずに停止するようになるので、エンジン内冷却液温度thw2とエンジン外冷却液温度thw3との差が大きくなる。
このような現象の知見により、thw2−thw3≦βであるときには、前記ステップS13で肯定判定して、続くステップS14において、ヘッド側バルブ23が開故障していると判定する。一方、thw2−thw3>βであるときには、前記ステップS13で否定判定して、続くステップS15において、ヘッド側バルブ23が正常、つまり開故障していないと判定する。
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、エンジン1が冷間始動されたときにブロック側バルブ22およびヘッド側バルブ23でブロック内ウォータジャケット4およびヘッド内ウォータジャケット5の冷却液流通を停止することにより暖機を促進させるようにしているとともに、エンジン暖機中にシリンダヘッド3の局所での過剰昇温を抑制しつつ、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との温度差を可及的に生じさせないようにしている。これにより、エンジン1が冷間始動されても、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とに温度差を可及的に生じさせない状態で可及的速やかに暖機を完了させることが可能になる。
そして、この実施形態では、電磁弁からなるヘッド側バルブ23の閉故障または開故障の発生を判定するにあたって、ECU100でヘッド側バルブ23を開弁または閉弁させるように指示してから指示通りに開弁または閉弁しているかをエンジン1内外の冷却液の温度差に基づいて判定するようにしている。これにより、例えば特許文献1に示すようなバイメタルなどといった余分な構成要素を追加せずに済むとともに、故障判定に関する処理が特許文献2に比べて簡易化されるようになるので、信頼性の高いエンジン冷却装置を比較的安価に提供することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態ではヘッド側バルブ23を電磁弁とした例を挙げているが、このヘッド側バルブ23は、例えばECU100により作動指示を受けて作動するタイプの制御弁であれば特に限定されるものではない。具体的に、ヘッド側バルブ23は、例えばヒータなどの加熱部で感温部のサーモワックスを加熱することが可能なタイプのサーモスタット、あるいはモータなどで作動される電動弁などとすることが可能である。
(2)上記実施形態ではブロック側バルブ22をサーモスタットとした例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ブロック側バルブ22は、例えばECU100により作動指示を受けて作動するタイプの制御弁とすることが可能である。具体的に、ブロック側バルブ22は、電磁弁、ヒータなどの加熱部で感温部のサーモワックスを加熱することが可能なタイプのサーモスタット、あるいはモータなどで作動される電動弁などとすることが可能である。
(3)上記実施形態ではブロック内ウォータジャケット4とヘッド内ウォータジャケット5との共通排出部6をシリンダヘッド3の他端面に設け、それに合わせて循環路7の冷却液流入部7aを1本形状にした例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば図示していないが、ブロック内ウォータジャケット4の冷却液排出部とヘッド内ウォータジャケット5の冷却液排出部とをシリンダヘッド3の他端面に別々に設けるとともに、循環路7の冷却液流入部7aを二股に分岐させるようにし、当該二股に分岐する冷却液流入部を前記2つの冷却液排出部に振り分けて接続させるようにすることが可能である。また、前記したブロック内ウォータジャケット4の冷却液排出部は、シリンダブロック2において気筒配列方向の他端面(例えば後端面)に設けるようにしてもよい。
(4)上記実施形態ではエンジン1の内部通路(4,5)と外部通路(7〜9)との間で冷却液を循環可能とする構成のエンジン冷却装置を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図7から図9に示すような構成のエンジン冷却装置にも本願発明を適用することが可能である。
具体的に、図7から図9に示すエンジン冷却装置の構成を説明する。まず、ブロック内ウォータジャケット4の冷却液流入部がシリンダブロック2において気筒配列方向の一端面(例えば前端面)に設置され、このブロック内ウォータジャケット4の冷却液排出部がヘッド内ウォータジャケット5の冷却液流入部に接続されていて、ヘッド内ウォータジャケット5の冷却液排出部がシリンダヘッド3において気筒配列方向の他端面(例えば後端面)に設置されている。
そして、循環路7の両端(冷却液還流側端部および冷却液導入側端部)が共に1本になっていて、前記冷却液導入側端部がヘッド内ウォータジャケット5の冷却液排出部に接続され、前記冷却液還流側端部がブロック内ウォータジャケット4の冷却液流入部4aに接続されている。これにより、ブロック内ウォータジャケット4とヘッド内ウォータジャケット5と循環路7とが直列に接続されることになっている。
さらに、前記冷却液還流側端部には、ECU100により作動指示を受けて作動するタイプの制御弁30が設けられている。このタイプの制御弁30としては、例えば電磁弁、ヒータなどの加熱部で感温部のサーモワックスを加熱することが可能なタイプのサーモスタット、あるいはモータなどで作動される電動弁などとすることが可能である。
このような構成のエンジン冷却装置の冷間始動時の動作について説明する。
例えばエンジン1を冷間始動したときには、つまりエンジン1を始動したときに第1温度センサ31の検出出力(エンジン内冷却液温度thw2)が所定の冷間始動判定基準値Y未満のときには、ECU100が制御弁30を閉弁状態にさせるように指示する。なお、前記冷間始動判定基準値Yは、前記暖機完了温度よりも低い任意の値に設定される。
このとき、ラジエータ用サーモスタット21が閉弁している状態だと、図7の実線矢印で示すように、エンジン1により駆動される機械式のウォータポンプ11によって循環路7内の冷却液がラジエータバイパス路8を経てエンジンバイパス路9に流通するようになるが、両ウォータジャケット4,5内では冷却液が流通せずに停止するようになる。これにより、シリンダヘッド3の特に燃焼室から発生する熱によってエンジン1および両ウォータジャケット4,5内の冷却液の昇温が促進されるようになる。
この昇温に伴い前記エンジン内冷却液温度thw2が前記冷間始動判定基準値Y以上になった後で、ヘッド内ウォータジャケット5の局所(シリンダヘッド燃焼室近傍)で冷却液が過剰昇温(沸騰)するような状況になったことをECU100が検知すると、ECU100は制御弁30を開弁させるよう指示する。
なお、前記過剰昇温の検知方法の一例としては、エンジン1の始動開始から所定周期(数msec〜数十msec)毎に、ヘッド内ウォータジャケット5においてシリンダヘッド3内最高温度到達領域での冷却液温度の最高値を推定することにより行うことができる。この推定方法の一例としては、エンジン1の始動開始時に第1温度センサ31からの検出出力に基づいてエンジン内冷却液温度thw2の初期値を認識する処理と、エンジン1を始動してからのエンジン1の発生熱量を算出するとともに、この発生熱量による前記シリンダヘッド内最高温度到達領域の上昇値を算出する処理と、この上昇値を前回の推定値(初回は前記初期値)に加算することにより前記シリンダヘッド内最高温度到達領域の現在の冷却液温度を推定する処理と、この推定値が所定温度(例えば96℃)を超えた場合に沸騰が発生するような状況であると判断する処理とを行う。
前記したように制御弁30を開弁すると、図8の実線矢印で示すように、ブロック内ウォータジャケット4およびヘッド内ウォータジャケット5の冷却液が循環路7に排出され、この冷却液がラジエータ12に流入せずにラジエータバイパス路8を経てブロック内ウォータジャケット4およびヘッド内ウォータジャケット5に戻されるようになる。
このようにして両ウォータジャケット4,5を冷却液が繰り返し流通する際に冷却液がシリンダヘッド3の特に燃焼室近傍の熱を吸収する。その結果、ヘッド内ウォータジャケット5の局所で冷却液が過剰昇温(沸騰)することが防止されるようになり、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3が徐々に昇温されるようになる。
この後、循環路7においてラジエータバイパス路8との下流側接続部分の冷却液温度thw4がオーバーヒート防止温度Z以上になると、ラジエータ用サーモスタット21が自動的に開弁するので、図9の実線矢印で示すように、ブロック内ウォータジャケット4およびヘッド内ウォータジャケット5から循環路7に排出される冷却液がラジエータバイパス路8だけでなくラジエータ12にも流通するようになる。これにより、ヘッド内ウォータジャケット5から排出される冷却液がラジエータ12で冷却されてからブロック内ウォータジャケット4に戻されるように循環するので、当該循環する冷却液およびエンジン1の温度が一定範囲内に調整されることになって、エンジン1のオーバーヒートが回避されて適温に保たれるようになる。
このような冷却液循環経路を有する構成の実施形態においても、制御弁30の開故障および閉故障の有無を判定する処理については、上記実施形態で説明したヘッド側バルブ23の開故障および閉故障の判定処理と同様とすることができる。つまり、ECU100で制御弁30を開弁または閉弁させるように指示してから指示通りに開弁または閉弁しているかをエンジン1内外の冷却液の温度差に基づいて判定することが可能である。
これにより、この実施形態の場合にも、上記実施形態と同様に、例えば特許文献1に示すようなバイメタルなどといった余分な構成要素を追加せずに済むとともに、故障判定処理が特許文献2に比べて簡易化されるようになるので、信頼性の高いエンジン冷却装置を比較的安価に提供することが可能になる。
本発明は、エンジンの内部通路とエンジンの外部通路との間で冷却液を循環可能とし、前記内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁を有するエンジン冷却装置に好適に適用することが可能である。
1 エンジン
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ブロック内ウォータジャケット
4a ブロック内ウォータジャケットの冷却液流入部
5 ヘッド内ウォータジャケット
5a ヘッド内ウォータジャケットの冷却液流入部
6 両方のウォータジャケットの共通排出部
7 循環路
7a 循環路の冷却液流入部
7b 循環路のブロック側冷却液還流部
7c 循環路のヘッド側冷却液還流部
8 ラジエータバイパス路
11 ウォータポンプ
12 ラジエータ
21 ラジエータ用サーモスタット
22 ブロック側バルブ
23 ヘッド側バルブ(制御弁に相当)
100 ECU(制御部に相当)
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ブロック内ウォータジャケット
4a ブロック内ウォータジャケットの冷却液流入部
5 ヘッド内ウォータジャケット
5a ヘッド内ウォータジャケットの冷却液流入部
6 両方のウォータジャケットの共通排出部
7 循環路
7a 循環路の冷却液流入部
7b 循環路のブロック側冷却液還流部
7c 循環路のヘッド側冷却液還流部
8 ラジエータバイパス路
11 ウォータポンプ
12 ラジエータ
21 ラジエータ用サーモスタット
22 ブロック側バルブ
23 ヘッド側バルブ(制御弁に相当)
100 ECU(制御部に相当)
Claims (7)
- エンジン内部に設けられる冷却液の内部通路と、この内部通路から冷却液を外部に取り出してから戻すための外部通路と、前記内部通路の冷却液流通を許容または制限するための制御弁と、この制御弁の開閉動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記制御弁の開側作動または閉側作動を指示した後、前記エンジン内の冷却液温度と前記エンジン外の冷却液温度との差に基づいて前記制御弁の故障を判定する、ことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 請求項1に記載のエンジン冷却装置において、
前記制御部は、前記制御弁の開側作動を指示した後、前記エンジン内の冷却液温度から前記エンジン外の冷却液温度を減算した結果が所定値以上であるときに前記制御弁が閉状態で固着する閉故障であると判定する、ことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 請求項1または2に記載のエンジン冷却装置において、
前記制御部は、前記制御弁の閉側作動を指示した後、前記エンジン内の冷却液温度から前記エンジン外の冷却液温度を減算した結果が所定値以下であるときに前記制御弁が開状態で固着する開故障であると判定する、ことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置において、
前記制御弁は、電磁弁とされる、ことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置において、
前記制御弁は、温度の高低に応じてサーモワックスが溶融または固化することにより開閉作動するタイプで、かつ前記サーモワックスを加熱するとともに当該加熱動作が前記制御部により制御される加熱部を備えるタイプのサーモスタットとされる、ことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジン冷却装置において、
前記内部通路は、エンジンのシリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとを含み、
前記外部通路は、途中にウォータポンプが設けられかつ前記内部通路から排出される冷却液をラジエータを通して前記内部通路に戻すための循環路と、この循環路に前記ラジエータをバイパスするように接続されるラジエータバイパス路とを含み、
前記循環路において前記ラジエータよりも冷却液流通方向下流側と前記ラジエータバイパス路の下流側接続部との間には、冷却液の温度を感知して自動的に開閉するラジエータ用サーモスタットが設けられ、
前記循環路の冷却液還流部分は、途中から二股に分岐され、かつ当該2つの支流部が前記ブロック内ウォータジャケットの冷却液流入部と前記ヘッド内ウォータジャケットの冷却液流入部とに振り分けて接続され、
前記循環路のヘッド側支流部には前記制御弁が設けられ、
前記循環路の冷却液流入部寄りには、前記エンジン内の冷却液温度を検出するための第1温度センサが、また、前記外部通路において前記内部通路から離れた位置には、前記エンジン外の冷却液温度を検出するための第2温度センサがそれぞれ設けられる、ことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 請求項6に記載のエンジン冷却装置において、
前記ブロック内ウォータジャケットの冷却液排出部と前記ヘッド内ウォータジャケットの冷却液排出部とが端部で合流され、
前記循環路の冷却液流入部分は、1本とされて前記両ウォータジャケットの前記合流端部に接続される、ことを特徴とするエンジン冷却装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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- 2011-08-29 JP JP2011185665A patent/JP2013047473A/ja active Pending
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