JP6240569B2 - 肘掛椅子及び肘掛器具 - Google Patents
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Description
従来、むち打ち症や喘息等の患者の頚椎固定を目的とした器具として、特開昭60−77755号公報「固定力の調整自在な頚椎装具」(株式会社にれ薬品)[特許文献1]に開示の頚椎固定具がある。この頚椎固定具は、患者の背後から頚椎装置を首にかけて、胸板を係止する。そして、頬部受けと後頭受けにより、患者の頚椎の前屈、後屈、側屈、回旋の全ての運動を制限するものである。
また、特開2005−112054号公報「首位置保持具」(アップリカ葛西株式会社)[特許文献3]には、顎宛てパッドによって首の位置を確保する器具が開示されている。
また、他の患者は、両手の指先を内側(体側)にして、お尻と床の間に手の甲を差し込んで、両肘を伸ばして肩を持ち上げることにより、呼吸が楽になることがある。
これらの呼吸が困難な場合の姿勢は、肩の動きから鎖骨を働かせ、そして、胸鎖関節を働かせることにより、呼吸を増大させて楽な呼吸を確保していると推定される。
そこで、上記姿勢と同様な楽な姿勢を容易に実現し、長く維持できるようにすることが検討されている。
[実施の形態の概要]
[実施の形態における肘掛椅子の概要]
本発明の実施の形態に係る肘掛椅子は、座面部と、座面部の背面側に設けられる背もたれ部と、肘をのせる肘掛と、肘掛を垂直方向に移動させる垂直移動部と、肘掛を水平方向に移動させる水平移動部と備え、肘掛は、座面部の側面側に設けられ、座面部の中央方向を内側とすると、その内側に向けて下がるよう傾斜する傾斜面を有するものであり、垂直移動部で垂直方向、水平移動部で水平方向に肘掛を粗調整でき、更に息が苦しくなった時に肘掛の傾斜面を利用して肘の微妙な最適位置を微調整できるものである。
本発明の実施の形態に係る肘掛器具は、肘をのせる肘掛と、肘掛を垂直方向に移動させる垂直移動部と、肘掛を水平方向に移動させる水平移動部と備え、肘掛において肘が接触する面を利用者側に下がるよう傾斜させたものであり、垂直移動部で垂直方向、水平移動部で水平方向に肘掛を粗調整でき、更に息が苦しくなった時に肘掛の傾斜面を利用して肘の微妙な最適位置を微調整できるものである。
[第1の肘掛椅子の構成]
本発明の実施の形態に係る第1の肘掛椅子(第1の肘掛椅子)について図6、図7を参照しながら説明する。図6は、第1の肘掛椅子の正面概略図であり、図7は、第1の肘掛椅子の側面概略図である。
第1の肘掛椅子は、図6,7に示すように、座面部2と、背もたれ部5と、肘掛33とを有し、背もたれ部5は、背柱3により座面部2に接続されている。
尚、請求項では、背もたれ部5と背柱3を併せて「背もたれ部」と称している。
また、肘掛33は、座面部2の側面側に設けられ、座面部2の中央方向を内側とすると、内側に向けて下がる傾斜を備えている。
図6では、肘掛33の傾斜面は、平面に描かれているが、平面でなく曲面であってもよい。
尚、肘掛33は、表面が滑りやすいと肘の位置を固定できないし、素材が柔らかすぎるのも肩を持ち上げる効果が薄れて適切ではないため、素材として硬質ゴム等の比較的硬い素材を用いるのが望ましい。肘掛33の傾斜面については、プラスチック等の素材を滑りにくいシート状の素材でカバーしたものであってもよい。
肘に重みが掛かる中で、肘が傾斜面をすべることで、肘が一定の範囲内に納まることになる。傾斜が肘に方向性を持たせることになるが、傾斜が急だと、肩の筋肉や筋をこわばったまま、固定させてしまう。
肘の位置は、常にある範囲内で、揺らいで動いていることが肩のこわばりを逃がす上で大事な要素となる。人間の腕が胴体部から外側に15度くらい下向きについているので、少なくとも肘掛33の傾斜が20度以上、好ましくは25度以上ないと、肘が外側にはみ出る力を食い止めることができない。
以上の範囲で肘掛33に傾斜面を持たせることで、負担が掛かる肩周辺の筋肉のこわばりを逃がす自由な揺らぎ運動をさせることを実現している。
第1の肘掛椅子の使用方法は、呼吸が苦しくなる前に予め利用者が垂直移動部31と水平移動部32を用いて垂直方向と水平方向で調整して利用者の呼吸が楽になる肘の位置を大まかに設定する(粗調整)。
利用者は、呼吸が苦しくなった場合に、肘掛33の傾斜面に沿って肘をスライドさせ、更に最適な肘の位置を微調整する。この傾斜面を利用した微調整における微妙な肘の位置の設定が、呼吸が楽になるポイントを迅速かつ容易に発見できることになる。
第1の肘掛椅子によれば、垂直移動部31で肘掛33を垂直方向に移動させ、水平移動部32で肘掛33を水平方向に移動させ、肘掛33を任意の位置に調整(粗調整)して設定でき、更に、肘掛33の傾斜面に沿って肘を外側から内側にスライドさせて、つまり肘を内側に閉めるようにし、利用者にとって最適な位置に迅速かつ容易に微調整できる効果がある。
[第2の肘掛椅子の構成]
次に、本発明の実施の形態に係る第2の肘掛椅子(第2の肘掛椅子)について図8、図9を参照しながら説明する。図8は、第2の肘掛椅子の正面概略図であり、図9は、第2の肘掛椅子の側面概略図である。
図8,9に示すように、第2の肘掛椅子が第1の肘掛椅子と相違する点は、垂直移動部が、背柱3に接続する第1の接続部31aと、水平移動部32に接続する第2の接続部31bとから構成されている。
第1の接続部31aにおいて、第2の接続部31bに接続する部分を中心として第2の接続部31bが回転可能であり、第1の接続部31aの端部を押し上げ、又は押し下げた場合に、第2の接続部31bが垂直方向(上方向又は下方向)に向くように調整する。
第2の肘掛椅子の使用方法も、第1の肘掛椅子と同様であり、肘掛33の垂直方向の移動が第1の接続部31aと第2の接続部31bによって為されるものである。
また、第2の肘掛椅子の効果も、第1の肘掛椅子と同様の効果を奏するものである。
尚、第1,2の肘掛椅子には、図6〜9において、座面部2の下方に足部を描いていないが、足部を設けるようにしてもよい。足部を備える肘掛椅子であれば、洋室、事務所での利用も可能となる。
また、肘掛33の形状を三角柱の形状としたが、後述する図14のように、V字形状であってもよいし、V字の開閉角度を調整可能で固定できる構成としてもよい。
更に、肘掛に平板を用い、平板の短辺における側面の一点で回転可能とし、特定の位置で固定できる構成としてもよい。
つまり、肘掛が座面部2の中央方向に向けて下がるような傾斜面を形成するものであればよい。
図1に示す椅子(第3の肘掛椅子)は、座面2の後側には、逆U字状の背柱3がほぼ垂直に取り付けてあり、その背柱3の前側には背もたれ5が配置されている。
尚、背柱3には、肘掛120等が対称形状で左右一対、付設してある。
即ち、上支持体193と下支持体110と背柱3及び連結杆112とで平行リンクを形成している。
従って、高さ調整体107を回転させることによって、上支持体103は、座面支持体102からの距離を変更して、回動軸103aで揺動する。上支持体103の揺動によって、平行リングを介して、肘掛120は昇降する。
次に、第3の肘掛椅子の使用方法について、図2(A)(B)を参照しながら説明する。
喘息患者は、先ず、座面2に座り、自然体で、左右の掌を互いに内に向けて(手を垂直状態にして)、斜め形状の肘掛120の平坦部に、前腕を載置する(図2(A))。そして、高さ調節体107を回転させると、前記平行リンクを介して、肘掛120を上昇させる。
次に、別の形状の肘掛を備えた肘掛椅子(第4の肘掛椅子)の構成について図3を用いて説明する。図3は、第4の肘掛椅子の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、第4の肘掛椅子は、肘掛140の形状が図1に示した肘掛椅子とは異なっており、肘掛が上下する昇降可能路も異なっている。
つまり、図3に示すように、別の肱掛椅子は、ラチェット機構141を備えており、肘掛140の先端部が昇降して肘掛140全体を傾斜した状態にすることができる上下傾斜角度調整機能を備えている。
尚、この肘掛140の内側傾斜角度は、使用者によって異なるが、10〜50度であり、30度程度が好ましい。
図4は、肘掛を更に別の形状とした第5の肘掛椅子の斜視図である。
図4では、肘掛240は、肘を載置する肘載置部240Aのみが傾斜状であればよいことを意味している。
また、肘掛本体のみの構成としてもよい。図5は、本発明の実施の形態に係る肘掛の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、肘掛250は、左前腕を載置する脚付きの肘掛であり、この肘掛250においても、左手の肘を載置する肘載置部250Aのみが、座面側250aの厚みが座面外側250bの厚みより小さく、座面側250aから座面外側250bに向けて高くなる内側傾斜角度を有するように形成されることによって、前腕が肘掛の外側に脱落するのを防止して、上腕が胴体に接触するような姿勢(脇を締める)になり、肩を自然体の状態より高くして呼吸を楽にする。
尚、右手用の肘掛は、図5に示す図と対称に形成する。
次に、具体的な肘掛椅子について図10〜13を参照しながら説明する。図10は、具体的な肘掛椅子の正面図であり、図11は、具体的な肘掛椅子の側面図であり、図12は、肘掛の正面図であり、図13は、具体的な肘掛椅子の斜視図である。
具体的な肘掛椅子は、図10〜13に示すように、座面2の下側にU字形状に座面支持体34が形成され、その座面支持体34に垂直方向に取り付けられたU字形状の背柱3が接続され、その背柱3に背もたれ部5が取り付けられている。
背柱3は、座面支持体34に対して後方にやや傾いたものとなっている。
また、背柱3は、座面支持体34と背柱支持部36により連結され、背柱3が後方に倒れるのを防止している。
そして、傾斜面の傾斜方向の長さ(図12の斜線部分の長さ)は、7cm以上、好ましくは10cm以上ある方が、肘をスライドさせるのに適している。この傾斜方向の長さが短いと、スライドの幅が短くなって使い難くなる。
また、肘掛33の底面には、水平移動部32がハンドルネジ32aによって取り付けられている。
このハンドルネジ32aを緩めると、肘掛33に取り付けられた水平移動部32に水平方向(図10の左右方向)に移動可能となり、ハンドルネジ32aを締めると特定の水平位置に肘掛33を固定することができる。
次に、垂直移動部について説明する。
垂直移動部は、上支持体側面部(第1の接続部)31aと、上支持体背面部31dと、連結部(第2の接続部)31bと、下支持体31cと、ネジ棒35とを備えている。
ネジ棒35を短くするよう調整すると、上支持体側面部31aの連結部31b側の端部が上方向に移動し、下支持体31cも平行して移動する。
また、ネジ棒35を長くするよう調整すると、上支持体側面部31aの連結部31b側の端部が下方向に移動し、下支持体31cも平行して移動する。
尚、上支持体側面部31aと下支持体31cが平行状態で連動するため、連結部31bはそのままの状態で垂直方向に移動する。
この具体的な肘掛椅子によれば、肘掛を水平方向と垂直方向に調整(粗調整)でき、更に、肘掛33が傾斜面を備えているため、その傾斜面を重力に従ってスライドさせて微妙な肘の最適位置を迅速かつ容易に微調整して設定できる効果がある。
次に、本発明の実施の形態に係る肘掛器具について図14を参照しながら説明する。図14は、ベッド用の肘掛器具の概略図である。
図14に示す肘掛器具は、V字形状の肘掛33と、その肘掛33を水平方向に移動させる水平移動部32と、肘掛33を垂直方向に移動させる垂直移動部31と、垂直移動部31を固定する固定部とを有している。
尚、図14では、ベッド40の一部が起き上がる構成となっており、起き上がった部分が背もたれ部41となる。
図14の肘掛器具によれば、肘掛を水平方向と垂直方向に調整(粗調整)でき、更に、肘掛33が傾斜面を備えているため、その傾斜面を重力に従ってスライドさせて微妙な肘の最適位置を迅速かつ容易に微調整して設定できる効果がある。
図14の肘掛器具では、肘掛形状をV字形状として傾斜面を形成したが、肘掛を平板にし、その平板の短辺における側面の一点で、回転可能であって特定位置で固定できる構成とし、平板を回転させて傾斜面を形成して固定するようにしてもよい。
Claims (8)
- 座面部と、前記座面部の背面側に設けられる背もたれ部と、肘をのせる肘掛を有する椅子であって、
垂直方向に設けられ、前記肘掛を垂直方向に移動させる垂直移動部と、
前記垂直方向に直交する水平面を備え、当該水平面に搭載された前記肘掛を水平方向に移動させる水平移動部と備え、
前記肘掛は、前記座面部の側面側に設けられ、前記座面部の中央方向を内側とすると、前記内側に向けて下がるよう傾斜する傾斜面を有し、前記水平移動部の水平面と前記傾斜面とで傾斜角度を形成することを特徴とする椅子。 - 肘掛における傾斜面の傾斜角度が、20度以上45度以下であることを特徴とする請求項1記載の椅子。
- 肘掛における傾斜面の傾斜角度が、25度以上35度以下であることを特徴とする請求項1記載の椅子。
- 肘掛における傾斜面は、平面又は曲面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の椅子。
- 垂直移動部は、座面部又は背もたれ部に接続され、肘掛を垂直方向に移動させ、前記垂直方向の特定位置で前記肘掛を固定させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の椅子。
- 水平移動部は、垂直移動部に接続されると共に肘掛に接続され、肘掛を水平方向に移動させ、前記水平方向の特定位置で前記肘掛を固定させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の椅子。
- 肘をのせる肘掛を有する肘掛器具であって、
垂直方向に設けられ、前記肘掛を垂直方向に移動させる垂直移動部と、
前記垂直方向に直交する水平面を備え、当該水平面に搭載された前記肘掛を水平方向に移動させる水平移動部と備え、
前記肘掛において肘が接触する面を利用者側に下がるよう傾斜させた傾斜面を有し、前記水平移動部の水平面と前記傾斜面とで傾斜角度を形成することを特徴とする肘掛器具。 - 肘掛における肘の接触する面の傾斜角度が、25度以上35度以下であることを特徴とする請求項7記載の肘掛器具。
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