JP6117515B2 - 髄膜腫治療用医薬組成物 - Google Patents
髄膜腫治療用医薬組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6117515B2 JP6117515B2 JP2012240778A JP2012240778A JP6117515B2 JP 6117515 B2 JP6117515 B2 JP 6117515B2 JP 2012240778 A JP2012240778 A JP 2012240778A JP 2012240778 A JP2012240778 A JP 2012240778A JP 6117515 B2 JP6117515 B2 JP 6117515B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cells
- cell
- tcr
- expressing
- nucleic acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Description
[1] WT1発現細胞に対して細胞傷害性を発揮する物質、又はWT1発現細胞に対する細胞傷害性を誘導する活性を有する物質を有効成分として含有する髄膜腫治療用医薬組成物、
[2] WT1発現細胞特異的細胞傷害性を有する細胞を有効成分として含有する[1]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、
[3] WT1発現細胞を特異的に認識するT細胞レセプター(TCR)又はキメラ抗原レセプター(CAR)を発現する細胞を含有する[2]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、
[4] WT1、WT1由来ペプチド、WT1由来ペプチドを提示する細胞から選択される有効成分を含有する[1]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、
[5] WT1由来ペプチドを提示する細胞が抗原提示細胞である[4]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、
[6] WT1発現細胞を特異的に認識するレセプター又は前記レセプターをコードする核酸から選択される有効成分を含有する[1]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、
[7] WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARをコードする核酸を含有する[6]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、
[8] WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARをコードする核酸がウイルスベクター粒子に含有される[7]記載の医薬組成物、
[9] WT1発現細胞を特異的に認識する抗体又はその抗体の抗原認識部位を含むポリペプチドを有効成分として含有する[1]記載の髄膜腫治療用医薬組成物、に関する。
本発明の一つの態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1発現細胞を特異的に認識するレセプターをコードする核酸を有効成分として含有する。当該レセプターとしては、例えば、TCRやCARが例示される。したがって、本発明のさらなる態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARをコードする核酸を有効成分として含有する。
本発明の一つの態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1発現細胞を特異的に認識するTCRをコードする核酸を有効成分として含有する。ここで、「WT1発現細胞を特異的に認識するTCR」はWT1由来のペプチドとMHCとの複合体に結合する能力を有するTCRを意味する。当該TCRをコードする核酸は、生体中に存在するT細胞を含有する細胞集団からWT1発現細胞を特異的に認識するT細胞を選別し、このT細胞から調製することができる。例えば、哺乳動物からT細胞を含有する細胞集団(例えばPBMC)を採取して、WT1又はWT1由来ペプチド存在下でこれらの細胞集団を刺激しながら培養する。この細胞集団から、WT1発現細胞に対する特異性と、CD8やCD4等の細胞表面抗原を指標として単離したCTLやヘルパーT細胞、ナイーブT細胞から公知の方法でWT1発現細胞を特異的に認識するTCRをコードする核酸を調製することができる。T細胞を含有する細胞集団の採取は、例えばWT1陽性の腫瘍のような疾患を有する生体から実施することが好ましい。例えば、HLA−A2402拘束性のCTLクローンTAK−1[ブラッド(Blood)、第95巻、第286−293頁(2000)]は、Vα20/J33/CαのTCRα鎖遺伝子及びVβ5.1/J2.1/Cβ2のTCRβ鎖遺伝子を有している。T細胞のWT1発現細胞特異性は、例えば、クロム放出アッセイ又は増殖アッセイを利用して、溶解性や増殖性を陰性コントロールと比較して測定することができる。また、サイトカインの産生を測定してT細胞のWT1発現細胞特異性を評価することができる。
また、WT1を特異的に認識するTCR又はCARをコードする核酸は、ウイルスベクター粒子中に含有されていてもよい。ウイルスベクターとしては、例えば、レトロウイルスベクター(オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シュードタイプベクターを包含する)、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター又はセンダイウイルスベクター、エプスタイン−バーウイルス(EBV)ベクター、単純疱疹ウイルス(HSV)ベクターなどのウイルスベクターが使用できる。上記ウイルスベクターとしては、感染した細胞中で自己複製できないように複製能を欠損させたものが好適である。常法により、WT1を特異的に認識するTCR又はCARをコードする核酸を適当なウイルスベクター中に挿入することによって、該核酸をウイルスベクター粒子中に含有させることができる。
本発明の別の態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物はWT1発現細胞特異的細胞傷害活性を有する細胞を有効成分として含有する。当該細胞は、例えば、WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARを発現する細胞である。このような細胞は前記(1)に記載するように生体からWT1を特異的に認識する細胞を採取すること、又は前記(1)に記載するWT1を特異的に認識するTCRもしくはCARをコードする核酸を細胞に導入すること、WT1由来ペプチドを提示する抗原提示細胞によりT細胞又はその前駆細胞を刺激すること、等の方法により調製することができる。これらの細胞は、TCR又はCARを介してWT1発現細胞と結合することにより細胞内にシグナルが伝達され活性化される。TCR又はCARを発現する細胞の活性化は、宿主細胞の種類や細胞内ドメインにより異なるが、例えば、サイトカインの放出、細胞増殖率の向上、細胞表面分子の変化等を指標として確認することができる。例えば、活性化された細胞からの細胞傷害性のサイトカイン(腫瘍壊死因子、リンホトキシンなど)の放出は、WT1を発現する髄膜腫細胞の破壊をもたらす。また、サイトカイン放出や細胞表面分子の変化により、他の免疫細胞、例えば、B細胞、樹状細胞、NK細胞、マクロファージ等を刺激する。従って、本発明の組成物は養子免疫療法において有用である。
WT1発現細胞を特異的に認識するTCRをコードする核酸をT細胞に導入する場合、前記(1)に記載するように、当該T細胞が本来発現する内在性のTCRα鎖及びTCRβ鎖の発現をsiRNAによって抑制することにより、WT1発現細胞を認識するTCRを高い比率で発現するT細胞を得ることができる。
本発明の別の態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1発現細胞を特異的に認識するレセプターを有効成分として含有する。当該レセプターは、例えばTCRやCARが例示される。当該TCR又はCARは、前記(1)の核酸や(2)の細胞を利用して製造することができる。したがって、本発明のさらなる態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARを有効成分として含有する。
前記のレセプターを有効成分として含有する医薬組成物は、適宜、薬理学的に許容できる賦形剤、湿潤剤又は乳化剤などの補助剤、pH緩衝剤、懸濁化剤、保存剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤補助剤を含有していてもよい。薬理学的に許容できる賦形剤としては、前記(1)に記載のものが挙げられる。本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、粉末剤、液剤などの経口投与形態、または注射剤、注入剤などの非経口投与形態であってもよい。また、使用前に適切な無菌の液体により再構成するための乾燥形態であってもよい。
本発明の別の態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1又はWT1由来ペプチドを有効成分として含有する。本発明には、遺伝的に改変されていない生物によって発現される天然のWT1又は遺伝子組換え技術により調製された組換えWT1が使用できる。更に、WT1の改変体を使用することができる。改変体は、そのタンパク質の免疫原性が保持されるように、1つ以上、好ましくは10以下のアミノ酸の置換、欠失、付加及び/又は挿入において天然のタンパク質と異なるポリペプチドである。例えば、WT1改変体は、免疫原性部分内の1〜3アミノ酸残基が置換され、その結果、抗原特異的抗血清及び/又はT細胞株との反応が、天然のタンパク質に比べて向上している。特に、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)クラスI分子又はMHCクラスII分子との結合性が向上することが好ましい。WT1又はWT1由来ペプチドは抗原提示細胞に取り込まれ、その後、細胞内分解を受けて生じた個々のWT1由来ペプチドがMHC分子と結合して複合体を形成し、当該複合体が抗原提示細胞表面に高密度に提示される。この複合体に特異的なCTLが増殖し、WT1発現細胞に対する細胞傷害性が誘導される。
本発明の別の態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1由来ペプチドを提示する細胞(抗原提示細胞)を有効成分として含有する。当該抗原提示細胞は、前記(4)に記載するペプチドとMHC分子(HLA抗原)との複合体が提示された抗原提示細胞であれば良い。このような抗原提示細胞は、生体から抗原提示能を有する細胞を単離し、この細胞にWT1又はWT1由来ペプチドを体外でパルスするか、又はWT1又はWT1由来ペプチドを発現するベクターを細胞内に導入して細胞表面に提示させることにより作製することができる。ここで「抗原提示能を有する細胞」とは、WT1由来ペプチドを提示可能なMHC分子を細胞表面に発現している細胞(マクロファージ、B細胞等)であれば特に限定されないが、抗原提示能が高いとされている樹状細胞が特に好ましい。樹状細胞を用いる場合は、例えば、生体の末梢血からフィコール法によりリンパ球を分離し、次いで非付着細胞を除去し、付着細胞をGM−CSF及びIL−4存在下で培養して樹状細胞を誘導して、当該樹状細胞をペプチドと共に培養してパルスすることにより、抗原提示細胞を調製することができる。抗原提示細胞は、T細胞を含有する細胞集団から前記(2)に記載するWT1を特異的に認識するTCRを発現する細胞を誘導するのに有用である。
本発明の別の態様において、本発明の髄膜腫治療用医薬組成物は、WT1を特異的に認識する抗体又はその抗体の抗原認識部位を含むポリペプチドを有効成分として含有する。これらの抗体やポリペプチドはポリクローナル抗体由来であってもよく、モノクローナル抗体由来でもよい。これらの抗体やポリペプチドは髄膜腫細胞の表面上に存在するWT1と特異的に結合し、髄膜腫細胞に対する細胞性免疫を誘導する。
更に、抗体の抗原認識部位は、前記(1)に記載するCARの細胞外ドメインとして使用することができる。
また、本明細書に記載の操作のうち、基本的な操作については2001年、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ら編集、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル第3版(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd ed.)に記載の方法によった。
インフォームドコンセントを得て髄膜腫患者から採取された髄膜腫細胞29サンプルと、悪性髄膜腫細胞株であるHKBMM細胞、Ktelmgl細胞、IOMM−Lee細胞を用意した。各細胞よりキット(アンビオン社製)を用いてRNAを抽出した。続いて、抽出したそれぞれのRNAから、Transcriptor First Strand cDNA Synthesisキット(ロシュ社製)を使用してcDNAを調製した。同様に、正常脳RNAサンプルとして、Human Total RNA Master PanelII(クロンテック社製)からもcDNAを調製した。調製したcDNAは−20℃のフリーザー内で保存した。
An Jら、インターナショナル ジャーナル オブ ヘマトロジー(Int.J Hematol.)、第93巻、第176−185頁(2011)の記載に従い、腫瘍抗原WT1の235−243のペプチドを認識するHLA−A2402拘束性のTCRのα鎖遺伝子(Vα20/J33/Cα)及びTCRβ鎖遺伝子(Vβ5.1/J2.1/Cβ2)を含む核酸断片をそれぞれ調製した。次に、こうして得られたTCRα鎖遺伝子の、配列番号3、6で示されるC領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列(それぞれ配列番号1、4)を、それぞれ配列番号2、5の塩基配列に変換した。こうして野生型TCR遺伝子と同じアミノ酸配列をコードするが、C領域をコードする部分の塩基配列が異なるコドン変換型のWT1−TCRのα鎖遺伝子を作製した。同様に、TCRβ鎖遺伝子の、配列番号9、12で示されるC領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列(それぞれ配列番号7、10)を、それぞれ配列番号8、11の塩基配列に変換したコドン変換型のWT1−TCRのβ鎖遺伝子を作製した。以上の塩基配列変換の詳細を表1に示す。また、配列番号13に示す人工遺伝子を合成した。この人工遺伝子は、ステム−ループ構造を形成する4種類の一本鎖RNAを転写する。これらの一本鎖RNAは細胞内でそれぞれ配列番号1、4、7、10の塩基配列を標的とする、野生型TCRα鎖及び野生型TCRβ鎖遺伝子の発現を抑制するsiRNAを生成する。野生型とコドン変換型の塩基配列がコードするアミノ酸配列は共通であるが、コドン変換型TCRの塩基配列には変異が導入されているので、配列番号13記載のDNAより転写される二本鎖siRNAによりコドン変換型TCRの発現は抑制されない。
pMSCVneo(Clontech社製)を鋳型に、制限酵素XhoIの認識配列が付加されたプライマーと制限酵素EcoRIの認識配列が付加されたプライマーを用いてPCRを行い、MSCVの3’LTR部位を増幅してXhoIとEcoRIで切断した。切断したDNA断片をpMTベクター[ジーン セラピー(Gene Ther)、第11巻、第94−99頁(2004)に記載されているpMTベクター]のXhoI−EcoRIサイトにクローニングし、pMSを作製した。次にpDON−5ベクター(タカラバイオ社製)を制限酵素MluIとNotIで切断して、ヒトEF1αの非翻訳領域を切り出し、pMSベクターのMluI−NotIサイトにクローニングし、pMS3を得た。
また、Mouse Genomic DNA(タカラバイオ社製)を鋳型に、制限酵素MluI、NotI及びBglIIの認識配列が付加されたプライマーと制限酵素XhoI、NotI及びBamHIの認識配列が付加されたプライマーを用いてPCRを行った。得られたPGKプロモーター配列を含む増幅DNA断片をNotIとBamHIで切断した核酸断片を調製した。
最後に、実施例2で調製したコドン変換型のWT1−TCRのβ鎖遺伝子を含む核酸断片と、PGKプロモーター配列を含む核酸断片をpMS3−WT1−A−siのNotI−XhoIサイトにクローニングして、プラスミドベクターpMS3−WT1−siTCRを得た。pMS3−WT1−siTCRのLTR間の構造を図2に示す。
実施例3で調製したpMS3−WT1−siTCRにより大腸菌JM109を形質転換し、形質転換体を得た。この形質転換体の保持するプラスミドDNAをQIAGEN Plasmid Midi Kit(キアゲン社製)を用いて精製し、トランスフェクション用DNAとして以下の操作に供した。
調製したpMS3−WT1−siTCRを293T細胞にトランスフェクトした。この操作にはRetorovirus Packaging Kit Eco(タカラバイオ社製)をその製品プロトコールに従って使用した。得られた形質導入細胞よりエコトロピックウイルスを含有する上清液を獲得し、0.45μmフィルター(Milex HV、ミリポア社製)にてろ過した。この上清を用いて、ポリブレンを使用する方法によりPG13細胞(ATCC CRL−10686)にエコトロピックウイルスを感染させた。得られた細胞を培養して培養液上清を回収し、この上清を0.45μmフィルターによりろ過して得られたWT1−TCR発現レトロウイルス溶液をMS3−WT1−siTCRとした。
インフォームドコンセントの得られたヒト末梢血より分離した末梢血単核球(PBMC)に、MS3−WT1−siTCRを、レトロネクチン(登録商標、タカラバイオ社製)を用いた標準的な方法で2回感染させてWT1−TCR導入細胞を作製し細胞を回収した。
実施例4で調製したWT1−TCR導入細胞について、T細胞表現型及び細胞内IFN−γ合成を、同時フローサイトメトリー評価法により測定した。まず、実施例4で調製したWT1−TCR導入細胞をRPMI−1640培養液(SIGMA社製)中に1×106細胞/mLの濃度で懸濁した。この懸濁液を24穴細胞培養プレート(FALCON社製)に0.5mL/ウェルで播種し、ここに1×106細胞/mLの濃度で懸濁したHLA−A0207髄膜腫細胞株であるKtelmgl細胞又はHLA−A2402髄膜腫細胞株であるIOMM−Lee細胞をそれぞれ0.5mL/ウェルで添加した。対照として、WT1−TCR導入細胞に代えてウイルスを感染させていないPBMC(WT1−TCR非導入細胞)を使用し、同様の操作を行った。これらのプレートを37℃、5%CO2インキュベータ内で培養した(培養0時間目)。培養1時間後、各ウェルにBD GolgiStop(BD PharMingen社製)を加えた後、更に培養を継続した。培養8時間後に細胞を回収し、FACS緩衝液(1%FCS及び0.1%NaN3を含むリン酸緩衝食塩水)で2度洗浄した。洗浄後の細胞にイソチオシアン酸フルオレッセイン(FITC)結合抗CD8抗体(BD PharMingen社製)及びアロフィコシアニン(APC)結合抗IFN−γ抗体(BD PharMingen社製)を添加して氷上で30分間染色し、続いてCytofix/Cytoperm キット(BD PharMingen社製)を用いて細胞内サイトカイン染色を行った。これらをフローサイトメーター(BD FACScantoII、BD Biosciences社製)で分析した。その結果を図3に示す。図3中、(a)はKtelmgl細胞とWT1−TCR非導入細胞(NGMC)、(b)はKtelmgl細胞とWT1−TCR導入細胞(GMC)、(c)はIOMM−Lee細胞とWT1−TCR非導入細胞、(d)はIOMM−Lee細胞とWT1−TCR導入細胞をそれぞれ共培養した結果であり、縦軸はIFN−γ量、横軸はCD8量を示す。図3−(d)に示す通り、IOMM−Lee細胞とWT1−TCR導入細胞との共培養により、CD8陽性であるT細胞においてIFN−γの細胞内発現が認められた。一方、図3−(a)〜(c)の組合せの共培養では、IFN−γの細胞内発現が認められなかった。このことから、WT1−TCR導入細胞がHLA−A2402陽性の髄膜腫細胞に特異的にIFN−γを生成することが示された。
髄膜腫細胞株Ktelmgl細胞又はIOMM−Lee細胞をウシ胎仔血清(FCS)不含RPMI1640培地で3回洗浄し、1×106細胞を1mLの10%FCS含有RPMI1640培地にそれぞれ懸濁した。これらの細胞懸濁液に、10μLのDMSOに懸濁した2.5mM Calcein−AM(同仁化学研究所社製)溶液を添加し、37℃で1時間標識した。得られた髄膜腫細胞株を標的細胞として、細胞傷害活性の測定に使用した。
緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するIOMM−Lee細胞を調製するために、pRetroQ−AcGFP−C1 Vector(クロンテック社製)を使用してGFP遺伝子をIOMM−Lee細胞に導入し、IOMM−Lee−GFP細胞を調製した。
NOD.Cg−Prkdcscid Il2rgtmlSug/Jic(NOG)マウス(公益財団法人 実験動物中央研究所製)の頭蓋底にIOMM−Lee−GFP細胞を移植して悪性頭蓋底髄膜腫マウスモデルを作成し、腫瘍径が2〜5mmに達した後(移植後約5日)に、実施例4で調製したWT1−TCR導入細胞及び非導入細胞を使用して治療を開始した。各細胞5×107細胞/匹をマウス10匹の尾静脈に投与した。
また、ホルマリンで固定したマウス頭部をDecalcifying Solution B(和光純薬社製)で96時間脱灰し、パラフィンに包埋して5μmの連続薄切標本を作製した。この薄切標本に対し、抗ヒトCD8抗体(MBL社製)、Vector M.O.M.Immunodetection Kit(Vector Laboratories社製)を使用して免疫組織化学染色を行った。正常組織(口腔粘膜及び粘膜下軟組織)に浸潤したCD8陽性細胞及び腫瘍に浸潤したCD8陽性細胞を顕微鏡を用いて計測した。その結果を図6に示す。図6に示す通り、WT1−TCR導入細胞投与群及び非導入細胞投与群で正常組織に浸潤したCD8陽性細胞に違いは見られなかった。対照的に、腫瘍細胞に浸潤したCD8陽性細胞は、WT1−TCR導入細胞投与群の方が非導入細胞投与群より多かった。
さらに、各マウスの生存率をIOMM−Lee−GFP細胞移植後28日目まで追跡した。その結果を図7に示す。横軸は移植後の日数を、縦軸は生存率を示す。図7に示す通り、WT1−TCR導入細胞の投与は悪性頭蓋底髄膜腫マウスモデルにおいて生存期間を延長することが示された。
SEQ ID NO:2: A part of codon modified TCR alpha chain coding sequence
SEQ ID NO:3: A part of TCR alpha chain amino acid sequence
SEQ ID NO:4: A part of wild type TCR alpha chain coding sequence
SEQ ID NO:5: A part of codon modified TCR alpha chain coding sequence
SEQ ID NO:6: A part of TCR alpha chain amino acid sequence
SEQ ID NO:7: A part of wild type TCR beta chain coding sequence
SEQ ID NO:8: A part of codon modified TCR beta chain coding sequence
SEQ ID NO:9: A part of TCR beta chain amino acid sequence
SEQ ID NO:10: A part of wild type TCR beta chain coding sequence
SEQ ID NO:11: A part of codon modified TCR beta chain coding sequence
SEQ ID NO:12: A part of TCR beta chain amino acid sequence
SEQ ID NO:13: siRNA generating sequence for wild type TCR genes
SEQ ID NO:15: WT1 forward primer
SEQ ID NO:16: WT1 reverse primer
SEQ ID NO:17: WT1 probe
Claims (4)
- WT1発現細胞を特異的に認識するT細胞レセプター(TCR)又はキメラ抗原レセプター(CAR)を発現する、WT1発現細胞特異的細胞傷害性を有する細胞を含有する髄膜腫治療用医薬組成物。
- WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARを発現する、WT1発現細胞特異的細胞傷害性を有する細胞が、TCR又はCARをコードする核酸が導入された細胞である、請求項1記載の組成物。
- WT1発現細胞を特異的に認識するTCR又はCARを発現する、WT1発現細胞特異的細胞傷害性を有する細胞が、T細胞を含有する細胞集団である、請求項1又は2記載の組成物。
- T細胞が、内在性のTCRα鎖及びTCRβ鎖のsiRNAにより抑制されている細胞である、請求項3記載の組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012240778A JP6117515B2 (ja) | 2011-11-01 | 2012-10-31 | 髄膜腫治療用医薬組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011239930 | 2011-11-01 | ||
JP2011239930 | 2011-11-01 | ||
JP2012240778A JP6117515B2 (ja) | 2011-11-01 | 2012-10-31 | 髄膜腫治療用医薬組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013116891A JP2013116891A (ja) | 2013-06-13 |
JP6117515B2 true JP6117515B2 (ja) | 2017-04-19 |
Family
ID=48711701
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012240778A Active JP6117515B2 (ja) | 2011-11-01 | 2012-10-31 | 髄膜腫治療用医薬組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6117515B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112795594A (zh) | 2013-05-14 | 2021-05-14 | 得克萨斯州大学系统董事会 | 工程化嵌合抗原受体(car)t细胞的人应用 |
CN106414748B (zh) | 2014-02-14 | 2021-05-28 | 得克萨斯州大学系统董事会 | 嵌合抗原受体及制备方法 |
CN107075483A (zh) * | 2014-07-15 | 2017-08-18 | 朱诺治疗学股份有限公司 | 用于过继细胞治疗的工程改造的细胞 |
WO2016069647A1 (en) * | 2014-10-27 | 2016-05-06 | Fred Hutchinson Cancer Research Center | Compositions and methods for boosting the efficacy of adoptive cellular immunotherapy |
JP6570109B2 (ja) * | 2015-05-15 | 2019-09-04 | 国立大学法人名古屋大学 | キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム |
MA42895A (fr) | 2015-07-15 | 2018-05-23 | Juno Therapeutics Inc | Cellules modifiées pour thérapie cellulaire adoptive |
CA3017442A1 (en) | 2016-03-17 | 2017-09-21 | Yamaguchi University | Immunocompetent cell and expression vector expressing regulatory factors of immune function |
CA3022267A1 (en) | 2016-05-04 | 2017-11-09 | Fred Hutchinson Cancer Research Center | Cell-based neoantigen vaccines and uses thereof |
CA3115240A1 (en) * | 2018-10-05 | 2020-04-09 | International Institute Of Cancer Immunology, Inc. | Composition for preventing or treating benign tumor |
US20220089719A1 (en) * | 2019-01-08 | 2022-03-24 | Labyrx Immunologic Therapeutics (Usa) Limited | Constructs targeting labyrinthin or a portion thereof and uses thereof |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20030072767A1 (en) * | 1998-09-30 | 2003-04-17 | Alexander Gaiger | Compositions and methods for WT1 specific immunotherapy |
WO2003028757A1 (fr) * | 2001-09-28 | 2003-04-10 | Haruo Sugiyama | Nouvelle methode pour induire des lymphocytes t specifiques d'antigenes |
JP4111394B2 (ja) * | 2003-12-22 | 2008-07-02 | 北海道ティー・エル・オー株式会社 | 改変標的化t細胞の製造方法及び医薬 |
-
2012
- 2012-10-31 JP JP2012240778A patent/JP6117515B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013116891A (ja) | 2013-06-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6117515B2 (ja) | 髄膜腫治療用医薬組成物 | |
JP6612963B2 (ja) | 腫瘍抗原を直接認識するために組換えt細胞レセプターを使用するための組成物及び方法 | |
US10286066B2 (en) | Artificial antigen presenting cells and uses thereof | |
JP6709549B2 (ja) | T細胞の機能増強方法 | |
EP3268014B1 (en) | T-cell receptors directed against the preferentially expressed antigen of melanoma and uses thereof | |
JP6884423B2 (ja) | 免疫機能制御因子を発現する免疫担当細胞及び発現ベクター | |
EP3791892A2 (en) | Smart car devices and de car polypeptides for treating disease and methods of enhancing immune responses | |
JP5271901B2 (ja) | 特異的遺伝子発現方法 | |
WO2016056228A1 (ja) | Car発現ベクター及びcar発現t細胞 | |
JP7233720B2 (ja) | ヒトメソセリンを特異的に認識する細胞表面分子、il-7、及びccl19を発現する免疫担当細胞 | |
KR20210022690A (ko) | 키메라 성장 인자 수용체 | |
WO2011024791A1 (ja) | レチノイン酸存在下でのt細胞集団の製造方法 | |
JP5485139B2 (ja) | 遺伝子導入細胞の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150813 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20150813 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160614 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160812 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161025 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20161216 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170307 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170323 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6117515 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |