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JP6105961B2 - 位置制御装置 - Google Patents

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JP6105961B2 JP2013021990A JP2013021990A JP6105961B2 JP 6105961 B2 JP6105961 B2 JP 6105961B2 JP 2013021990 A JP2013021990 A JP 2013021990A JP 2013021990 A JP2013021990 A JP 2013021990A JP 6105961 B2 JP6105961 B2 JP 6105961B2
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Description

本発明は、工作機械等における送り軸(テーブル、サドルあるいは主軸頭等の被駆動体)の位置制御装置、特に位置指令値に従い被駆動体位置をフルクローズド制御する位置制御装置の改良に関する。
工作機械の可動部にリニアスケールを取り付けて被駆動体位置を検出し、これを位置指令値と比較してフルクローズド制御を行う位置制御装置において、位置誤差を小さくするために以下の試みがなされている。
過渡応答時の位置誤差を小さくするためには、速度ループと位置ループの各ゲインを高く設定することで、可動部の摺動抵抗の変化や切削負荷等の予測困難な負荷変動外乱に対して被駆動体を高精度に制御することが可能となる。
図7に一般的なフルクローズド制御システムのブロック図を示す。被駆動体12の位置を直接検出するリニアスケール11で検出した被駆動体12の位置検出値Plを位置フィードバック値とし、当該位置検出値Plと位置指令Pcとの偏差Pdifを減算器2が算出する。速度指令演算器3は、前記位置偏差Pdifに、比例ゲインKpを乗算し速度指令Vcを出力する。一方、被駆動体12を駆動するモータ10に取り付けられたモータ位置検出器9の位置検出値Pmを微分器14が微分し、モータの速度検出値Vmを出力する。前記速度指令Vcとモータ速度検出値Vmの偏差を減算器4により求め、速度偏差として出力する。トルク指令演算器5は、速度偏差と速度ループ比例ゲインPvを、トルク指令演算器6は、速度偏差の積分値と速度ループ積分ゲインIvを、それぞれ乗算して、速度偏差比例成分と速度偏差積分成分を出力する。加算器7は、速度偏差比例成分と速度偏差積分成分を加算しトルク指令Tcを出力する。図7における符号8は、トルク指令をフィルタリングする各種のフィルタ部と電流制御部を示す。電流制御部はトルク指令Tcに従い、モータ10を制御し、ボールネジ13を介して被駆動体12を駆動する駆動部として機能する。
ここで、図7において符号8で記した各種フィルタ部、電流制御部の伝達特性が1であるとし、モータと被駆動体がバネ係数Kbのバネで連結されているとする。更に、モータ、被駆動体12のモータ軸換算イナーシャがそれぞれJm,Jl、粘性摩擦係数がそれぞれDm,Dlであるとしてモデル化すると、トルク指令Tcから被駆動体の位置検出値Plまでの伝達特性は、図8に示すブロック図で表すことができる。
図8では、モータの速度検出値をVm、ラプラス演算子をSとしたときに、モータの加速トルクJm・S・Vm、モータの粘性摩擦Dm・Vm、非駆動体からの反力トルクTrの総和がトルク指令Tcに等しいとしてモデル化しており、モータモデル16にトルク指令Tcと反力トルクTrの差を入力することでモータの速度検出値Vmが得られるとして表現している。更に、モータの速度検出値Vmを積分器17で積分することでモータの位置検出値Pmが得られ、バネ系モデル18の入力となる。
バネ系モデル18では、モータの位置検出値Pmと被駆動体の位置検出値Plの差にバネモデル20のバネ係数Kbを乗じた値が、被駆動体への伝達トルクとなる。なお、この被駆動体への伝達トルクは、非駆動体からの反力トルクTrと等しく、被駆動体の速度検出値をVlとしたときに、被駆動体の加速トルクJl・S・Vl、被駆動体の粘性摩擦Dl・Vlの総和に等しいとしてモデル化でき、図8では非駆動体モデル21に被駆動体への伝達トルクを入力することで被駆動体の速度検出値Vlが得られるとして表現している。更に、被駆動体の速度検出値Vlを積分器22で積分することで被駆動体の位置検出値Plを得ることができる。
ここで、図7において、速度指令Vcからモータの速度検出値Vmまでの伝達特性が1、即ち、速度フィードバック制御系の応答帯域が十分に高く、図8における被駆動体からの反力トルクTrの影響を抑制可能な系に構成できたとすると、図7のブロック図は図9に示すブロック図で表すことができる。
即ち、速度指令Vcからモータの速度検出値Vmの伝達特性は符号23のように1に置き換えることができ、更に、図8の構成と同様、モータの速度検出値Vmを積分器17で積分することでモータの位置検出値Pmを得る。また、このモータの位置検出値Pmはバネ系モデル18の入力となり、バネ系モデル18は被駆動体の位置検出値Plを出力する。このとき、制御系全体の伝達関数は次の式1で表される。式1においてSはラプラス演算子を示す。
Pl(S)/Pc(S)
=Kp・Kb/(Jl・S+Dl・S+Kb・S+Kp・Kb)・・・式1
上式において、Kp<<(Kb/Jl)1/2と設定した場合、制御系全体のゲイン線図は図13に示す様な特性となる。
近年、各種のフィルタ技術と制振制御および速度ループの高速化によって高い位置・速度ループゲインの設定が可能になった。しかし、経年変化による駆動系部品の磨耗・部品のゆるみ、連続動作時の温度上昇によるボールネジの伸びを原因としたボールネジのテンション低下などにより、送り軸機構部の剛性が低下する場合がある。その場合、機械共振周波数(Kb/Jl)1/2が低下し、式1における制御系全体のゲイン線図は図14に示す様な特性となる。即ち、高く設定された位置ループゲインにより機械共振周波数(Kb/Jl)1/2におけるゲイン余裕が低下し、場合によっては被駆動体が低周波で振動してしまう課題が生じていた。また、大型マシニングセンタ等で想定以上の重量ワークを被駆動体に積載した場合においても、機械共振周波数(Kb/Jl)1/2が低下するため、同様の低周波振動が発生する。この課題に対する従来技術を次に説明する。
図10、図11は、低周波振動の抑制を目的とした従来技術を示す制御ブロック図である。図7と同一要素には同一符号を付しており、説明を省略する。また、各図に記載している経年変化補正器40については、詳細を後述する。
図10において、位置検出値演算器27は、被駆動体位置検出値Plとモータ位置検出値Pmより、下記式2で表される位置を位置フィードバック値Pdとして出力する。なお、式2でTpは1次遅れ回路25の時定数を示し、Sはラプラス演算子を示す。
Pd=Pm+(Pl−Pm)/(1+Tp・S) ・・・式2
式2において、1/(1+Tp・S)は1次遅れ回路を示し、式2の第2項の演算は図10中の1次遅れ回路25で行われる。
図11において、速度検出値演算器32は、被駆動体位置検出値Plを微分器28で微分して得た被駆動体速度検出値Vlと、モータ速度検出値Vmより、下記式3で表される速度を速度フィードバック値Vdとして出力する。式3でTvは1次遅れ回路30の時定数を示し、Sはラプラス演算子を示す。
Vd=Vm+(Vl−Vm)/(1+Tv・S) ・・・式3
式3において、1/(1+Tv・S)は1次遅れ回路を示し、式3の第2項の演算は図11中の1次遅れ回路30で行われる。
次に、経年変化補正器40について説明する。経年変化補正器40は、位置指令Pcと被駆動体位置検出値Plを入力とし、駆動系が非加減速状態にあるときの被駆動体の振動を検出する。被駆動体の振動が検出された場合に、1次遅れ回路25,30の時定数Tp,Tvを大きく、あるいは、速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを小さくする。
式2、式3において、Tp>>(Kb/M)1/2、Tv>>(Kb/M)1/2の条件のもと、Tp,Tvの値を大きくした場合、図10、図11のブロック図における制御系全体のゲイン線図は図15の点線で示す様な特性となり、機械共振周波数(Kb/M)1/2におけるゲイン余裕が大きくなる。さらに、送り軸機構部の剛性が低下した場合は、図13の実線で示す様な特性となり、図7の従来例で発生した低周波の振動に対する課題を解決している。
また、送り軸機構部の剛性が低下した状態で、速度指令演算器3のゲインKpを小さくした場合、図10、図11のブロック図における制御系全体のゲイン線図は図16の実線で示す様な特性となる。結果、機械共振周波数(Kb/Jl)1/2におけるゲイン余裕を大きくし、図7の従来例で発生した低周波の振動に対する課題を解決している。
ここで、経年変化補正器40の構成について説明する。図12は経年変化補正器40の構成を示す制御ブロック図である。位置指令値Pcを2次微分器41に入力し、2階微分することで指令加速度Acを算出する。算出された指令加速度Acは比較器43により予め設定された指令加速度閾値Acrefと比較され、指令加速度Acが指令加速度閾値Acref以下の場合には、駆動系が加減速状態に無い(定常状態にある)と判断し、振動検出開始信号を振動検出器48に出力する。
一方、振動検出器48は、振動検出開始信号の他に位置指令値Pcと被駆動体位置検出値Plとの差分により定義される被駆動体の位置誤差信号を入力に持ち、振動検出開始信号が出力されている間の被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動周波数fpをDFT(FFT)などの周波数解析法を利用して算出する。この時、振動周波数fpの検出範囲は予め定数設定されたfstからfenの範囲に限定され、被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の大きさ(振幅)が予め定数設定されたSPrefの値よりも大きい場合にのみ振動が存在していると見なし、振動周波数fpを出力する。
除算器49は、振動周波数fpが出力された場合に逆数である振動周期を算出し、時定数初期値T0を出力する。算出された時定数初期値T0は、1次遅れ回路25または30で使用する時定数Tp,Tvの初期値として設定される。時定数Tp,Tvの値が更新されても振動検出器48が振動周波数fpを検出し続けている場合、カウンタ51がカウントアップされ、予め定数設定された時定数増加量分ΔTの加算が行われ、時定数増加量分ΔTだけ時定数Tp、Tvの値が大きくなる。
一方、ゲイン換算初期値設定器53は、振動検出器48から出力された振動周波数fpを入力とし、以下の演算を行い、ゲイン換算初期値Ksを算出する。
図11の構成で{Iv/(Jm+Jl)}1/2>2πfpの場合
Ks=2πfp/{Iv/(Jm+Jl)}1/2

図10の構成で、Kp>2πfpの場合
Ks=2πfp/Kp

上記以外の場合
Ks=1 ・・・式4
算出されたゲイン換算初期値Ksは、ゲイン換算値Kの初期値として設定される。ゲイン換算値Kの値が更新されても振動検出器48が振動周波数fpを検出し続けている場合、カウンタ55がカウントアップされ、予め定数設定されたゲイン低減率分ΔKの減算が行われ、ゲイン低減率分ΔKだけゲイン換算値Kの値が小さくなる。なお、ゲイン換算値Kはその値が0<K<1の範囲となるようにゲイン出力切替器59でリミット処理される。また、ゲイン換算値Kが出力されると、図10の構成の場合は速度指令演算器3のゲインKpを、図11の構成の場合は速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを元々の設定値に対し、ゲイン換算値Kを乗じた値に低減する。
なお、図12の従来例では、ゲイン出力切替器59にて、ゲイン換算値Kの更新よりも時定数Tp,Tvの更新を優先することを可能としている。具体的には、比較器58にて時定数Tp,Tvと予め定数設定された許容時定数Trefとを比較し、比較の結果、時定数Tp,Tvが許容時定数Trefを超えた場合にゲイン換算値Kの更新を行う。
以上のように、図12に示した経年変化補正器40は、1次遅れ回路25,30の時定数Tp,Tvを必要な分だけ大きく、あるいは、速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを必要な分だけ小さくすることで、図7の従来例で発生した低周波の振動を解決すると同時に、過度にゲイン余裕が確保され、制御系の応答性が著しく低下することを回避している。
特開2012−168926号公報
図12に示した従来技術では、被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動周波数fpをDFT(FFT)などの周波数解析法を利用して算出している。しかし、この場合、低周波振動の振動周波数を特定する上で、(1)周波数分解能を高くとれず、時定数の算出精度が悪い、(2)メモリの使用量が大きい、(3)データのトレース・解析に時間がかかるなどの課題がある。
例えば、サンプリング周期が1msのシステムで、10Hz相当の低周波振動を検出する場合、サンプリング数を1024ポイントとしてFFT演算を行うことを考えると、周波数分解能は0.98Hzとなる。結果、10Hz前後のスペクトルとしては、9.77Hz、10.74Hzに対応したスペクトルを得ることができる。しかし、振動周期に換算した場合、それぞれ102.4ms、93.1msとなり、9.3msの差がある。これは、サンプリング周期1msに比べ、非常に大きい。
特許文献1では、経年変化補正器40が変更する時定数Tp,Tvは、1次遅れ回路25,30に限らず、高域遮断特性を持つ移動平均(FIRフィルタ)にも適用できるとし、制御系のサンプリング周期Tsに対し、Tp/Ts段、Tv/Ts段の移動平均を構成することが記載されている。しかし、時定数Tp,Tvの値が102.4msであるか93.1msであるかによって、該当周波数での遮断特性は大きく異なったものとなる。
なお、時定数の算出精度を高める方法として、サンプリング数を増やすという手段がある。例えば、サンプリング数を8192ポイントとすることで、9.89Hz、10.01Hzに対応したスペクトルを得ることができ、振動周期に換算した場合、それぞれ101.1ms、99.9msとなり、サンプリング周期1ms相当の分解能を持った時定数Tp,Tvを設定することが可能となる。
ただし、サンプリング数を増やせば、そのデータを格納したり、解析したりするために必要なメモリも増大する。また、時系列データをトレースするに際しても、サンプリング周期×サンプリング数分の連続したデータが必要となるため、トレースに時間を要する他、サンプリング数が増えたことにより、FFTのバタフライ演算を行う時間も増大する。
一方、被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動周波数fpを特定する他の手段として、特許文献1には、被駆動体の位置誤差信号が最大値あるいは最小値をとる時間の間隔から振動周波数fpの逆数である振動周期(時定数初期値T0)を検出することが記載されている。
しかし、位置誤差信号に含まれる振動が最大値から最小値に遷移する過程、最小値から最大値に遷移する過程は、単調減少、単調増加を繰り返すわけではない。例えば、検出器ノイズ等の影響で頻繁に増加、減少を繰り返し、振動振幅も振動周期ごとに変長する。ここで、位置誤差信号が増加から減少に転じるタイミングを振動の最大値、減少から増加に転じるタイミングを振動の最小値と判断すると、ノイズ等の影響で振動周期の真値よりも遥かに短い周期が検出されてしまう。また、振動を複数周期含む時系列データの中から最大値、最小値を検出すると、変長等の影響で振動周期の真値よりも遥かに長い周期が検出されてしまう。
このように、単純に、時系列データの最大値あるいは最小値をとる時間の間隔から振動周期を特定すると、振動周期を誤検出するという課題がある。
また、送り軸機構部の剛性が低下した状態では、定常的に振動が発生するため、時定数Tp,Tv、あるいはゲインKp,Pv,Ivを更新し、振動を抑制する必要がある。反対に、定常的に振動が発生していない状態では、これらのパラメータを変更する必要はない。しかし、図12の従来技術では、インパルス上の外乱が瞬時的に加わった場合でも、パラメータが変更されるため、過度にゲイン余裕が確保され、制御系の応答性を低下させるという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動周波数fp(時定数初期値T0)を正確に特定するために多くのメモリ、時間を必要とすることである。また、時系列データから振動周期(時定数初期値T0)を検出しようとした場合に、検出器ノイズ等の影響で誤検出することである。更に、インパルス上の外乱が瞬時的に加わった場合に、時定数Tp,Tv、あるいはゲインKp,Pv,Ivが更新され、過度にゲイン余裕が確保され、制御系の応答性を低下させることである。そして、本発明の目的は、多くのメモリ、時間を必要とせず、かつ検出器ノイズ等の影響を受けることなく、正確に被駆動体の低周波振動を検出し、抑制する位置制御装置を提供することである。また、インパルス上の外乱などが加わっても、過度にゲイン余裕を確保することなく、制御系の追従性の低下を最小限に止める位置制御装置を提供することである。
本発明の位置制御装置は、モータ位置検出器と、モータにより駆動される被駆動体の位置を検出する被駆動体位置検出器と、を含み、被駆動体の位置をフルクローズド制御する被駆動体の位置制御装置であって、上位装置から入力される位置指令値と位置フィードバック値との偏差を比例増幅して速度指令値を出力する速度指令演算器と、前記速度指令値と速度フィードバック値との偏差を、比例積分増幅して、トルク指令値を出力するトルク指令演算器と、前記トルク指令値に応じて、前記モータを駆動する駆動部と、前記位置指令値と、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値に基づいて、前記被駆動体の定常的な振動の有無を検出し、前記定常的な振動が発生している場合に前記定常的な振動の周期を算出し、前記周期に応じて制御パラメータを変更する経年変化補正器を、備え、前記経年変化補正器は、前記位置指令値と前記被駆動体位置検出値との差分値の極値タイミングおよび極値を検出し、検出された極値タイミングおよび極値に基づいて前記差分値に含まれる振動の周期および振幅を検出する振動周期振幅検出器と、前記位置指令値に基づいて、前記被駆動体が加減速状態でないことを判定する加減速状態判定部と、加減速状態でない場合に前記振動周期振幅検出器により検出された振動の周期と検出された振動の周期の最大値である振動周期最大値とがほぼ等しいかつ検出された振幅が振幅閾値以上の場合に得られる周期または前記振動周期最大値を、前記定常的な振動の周期として出力する定常振動検出器と、前記定常振動検出器から出力された前記振動の周期に基づいて、前記制御パラメータを変更する制御パラメータ変更部と、を備えることを特徴とする。
好適な態様では、前記定常振動検出器は、加減速状態でなく、かつ、前記振動の周期が周期閾値以上の場合に、前記振動周期振幅検出器により検出された振動の振幅を平滑化し、当該平滑化された振幅が振幅閾値以上か否かを判断する。
他の好適な態様では、前記位置フィードバック値は、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値であり、前記速度フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分することで算出されるモータ速度検出値であり、前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、を備える。
他の好適な態様では、前記位置フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値と前記被駆動体位置検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ位置検出器からの位置検出値と、を加算した値であり、前記速度フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分することで算出されるモータ速度検出値であり、前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、を備える。
他の好適な態様では、前記位置フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値と前記被駆動体位置検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ位置検出器からの位置検出値と、を加算した値であり、前記速度フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分することで算出されるモータ速度検出値であり、前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定された時定数増加分を繰り返し加算して得られる値を、前記1次遅れ回路の時定数として順次更新する時定数変更部を備える。この場合、前記制御パラメータ変更部は、さらに、前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、前記時定数が予め規定された基準値以上か否かを判定する比較器と、前記時定数が予め規定された基準値以上の場合に、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、を備えることが望ましい。
他の好適な態様では、さらに、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分してモータ速度検出値を算出する微分器と、前記被駆動体位置検出値を微分して被駆動体速度検出値を算出する微分器と、を備え、前記位置フィードバック値は、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値であり、前記速度フィードバック値は、前記モータ速度検出値と前記被駆動体速度検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ速度検出値と、を加算した値であり、前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、を備える。
他の好適な態様では、さらに、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分してモータ速度検出値を算出する微分器と、前記被駆動体位置検出値を微分して被駆動体速度検出値を算出する微分器と、を備え、前記位置フィードバック値は、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値であり、前記速度フィードバック値は、前記モータ速度検出値と前記被駆動体速度検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ速度検出値と、を加算した値であり、前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定された時定数増加分を繰り返し加算して得られる値を、前記1次遅れ回路の時定数として順次更新する時定数変更部を備える。この場合、前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、前記時定数が予め規定された基準値以上か否かを判定する比較器と、前記時定数が予め規定された基準値以上の場合に、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値、前記トルク指令演算器のゲイン設定値の少なくとも一つに乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、を備えることが望ましい。
本発明による位置制御装置によれば、多くのメモリ、時間を必要とせず、かつ検出器ノイズ等の影響を受けることなく、正確に被駆動体の低周波振動を検出し、抑制することができる。また、インパルス上の外乱などが加わっても、過度にゲイン余裕を確保することなく、制御系の追従性の低下を最小限に止めることができる。
本発明の実施例を示すブロック図である。 本発明の実施例を示すブロック図である。 本発明の実施例を示すブロック図である。 本発明の実施例を示すブロック図である。 本発明のピーク検出器の実施例を示すブロック図である。 本発明の有効データ抽出器の実施例を示すブロック図である。 従来技術を示すブロック図である。 制御対象を二慣性系モデルで表現したときのブロック図である。 従来技術を示すブロック図である。 従来技術を示すブロック図である。 従来技術を示すブロック図である。 従来技術を示すブロック図である。 機械共振周波数が低下する前のゲイン線図例である。 機械共振周波数が低下したときのゲイン線図例である。 1次遅れ回路時定数を大きくしたときのゲイン線図例である。 1次遅れ回路時定数を大きく、速度指令演算器のゲインを小さくしたときのゲイン線図例である。
本発明の実施例について説明する。従来例と同一要素には同一符号を付しており説明は省略する。本発明の制御ブロック図を図1、図2、図3に示す。
図1は図7の従来例に対し、位置指令Pcと被駆動体位置検出値Plを入力とする経年変化補正器60が付加され、速度指令演算器3のゲインKpを可変する構成となっている。経年変化補正器60は駆動系が非加減速状態にあるときの被駆動体の振動を検出し、被駆動体の振動が検出された場合に、速度指令演算器3のゲインKpを小さくする。経年変化補正器60の詳細については後述する。
図2は図10の従来例に対し、経年変化補正器40に変わり、経年変化補正器60が、1次遅れ回路25の時定数Tp、速度指令演算器3のゲインKpを可変する構成となっている。経年変化補正器60は駆動系が非加減速状態にあるときの被駆動体の振動を検出し、被駆動体の振動が検出された場合に、1次遅れ回路25の時定数Tpを大きく、あるいは、速度指令演算器3のゲインKpを小さくする。経年変化補正器60の詳細については後述する。
図3は図11の従来例に対し、経年変化補正器40に変わり、経年変化補正器60が、1次遅れ回路30の時定数Tv、速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを可変する構成となっている。経年変化補正器60は駆動系が非加減速状態にあるときの被駆動体の振動を検出し、被駆動体の振動が検出された場合に、1次遅れ回路30の時定数Tvを大きく、あるいは、速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを小さくする。
次に、経年変化補正器60について説明する。図4は経年変化補正器60の構成を示した図である。ブロック67は、駆動系が加減速状態であるか否かを判定する加減速状態判定部である。すなわち、位置指令値Pcを2次微分器41に入力し、2階微分することで指令加速度Acを算出する。算出された指令加速度Acは比較器43により予め設定された指令加速度閾値Acrefと比較され、指令加速度Acが指令加速度閾値Acref以下の場合には、駆動系が加減速状態に無い(定常状態にある)と判断し、振動検出開始信号を有効データ抽出器63に出力する。
一方、ピーク検出器61は、位置指令値Pcと被駆動体位置検出値Plとの差分により定義される被駆動体の位置誤差信号を入力に持ち、被駆動体の位置誤差信号の極大・極小タイミングを検出する。ピーク検出器61の制御ブロック図を図5に示す。ピーク検出器61に入力された被駆動体の位置誤差信号は、予め被駆動体の位置誤差信号に含まれる検出器ノイズの大きさの数倍相当が最小分解能となるように設計された丸め処理演算器61aに入力される。この丸め処理演算器61aにより被駆動体の位置誤差信号に含まれる検出器ノイズの大半は無視される。次に、丸め処理された被駆動体の位置誤差信号を微分器61bで微分し、微分した信号がゼロクロスするタイミングを検出する。このとき、微分した信号の極性が正から負に変わった場合を極大タイミング、負から正に変わった場合を極小タイミングとし、メモリ62に出力する。
メモリ62は、ピーク検出器61が極大タイミングを検出した場合に、被駆動体の位置誤差信号を+peak値として記憶し、直前にピーク検出器61が極小タイミングを検出してからの経過時間を−peak → +peak間隔として記憶する。反対に、ピーク検出器61が極小タイミングを検出した場合に、被駆動体の位置誤差信号を−peak値として記憶し、直前にピーク検出器61が極大タイミングを検出してからの経過時間を+peak → −peak間隔として記憶する。
ここで、−peak → +peak間隔、+peak → −peak間隔は被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動周期の半分に相当する値であり、両者を加算することで振動周期検出値Tdを得ることができる。なお、振動周期検出値Tdは−peak → +peak間隔、+peak → −peak間隔のいずれかを2倍した値で代替することも可能である。
また、+peak値と−peak値の差分は被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動振幅に相当する値であり、+peak値から−peak値を減算することで振動振幅検出値Vdを得ることができる。なお、被駆動体の位置誤差信号に定常偏差などが介在していない場合、振動振幅検出値Vdは+peak値、−peak値のいずれかを2倍した値で代替することも可能である。
有効データ抽出器63は、上記のように算出された振動周期検出値Td、振動振幅検出値Vd、及び比較器43から出力された振動検出開始信号を入力に持ち、振動周期最大値Tmax、及び振動振幅有効値Vokを出力する。有効データ抽出器63の制御ブロック図を図6に示す。有効データ抽出器63は、入力された振動周期検出値Tdの最大値を検出し、振動周期最大値Tmaxとして出力する。その一方で、振動周期最大値Tmaxと振動周期検出値Tdの差が閾値Te ref以下であることを確認、即ち振動周期最大値Tmaxと振動周期検出値Tdがほぼ等しい状態にあることを確認する。なお、これは、振動周期検出値Tdが、周期閾値[Tmax−Te ref]以上であることを判定するのと等価である。また、両者がほぼ等しい状態にあり、且つ比較器43から振動検出開始信号が出力されている場合に、データ抽出器63eは、振動振幅検出値Vdを振動振幅有効値Vokとして出力する。
前述のように、位置誤差信号に含まれる検出器ノイズの大半はピーク検出器61の丸め処理演算器61aにより無視できる状態となる。ここで、丸め処理を行う際、丸め処理分解能よりも下位の桁を切上げ、または切捨てするが、稀にこの境界値付近でノイズにより、切上げ、切捨てが交互に行われることがある。この場合、ピーク検出器61は本来抑制したい振動の極大・極小タイミング以外に、ノイズにより生じた極大・極小タイミングを検出する。結果、本来抑制したい振動の振動周期よりも極端に短い周期が振動周期検出値Tdとして検出される。
このように、ノイズにより振動周期を誤検出した場合、振動周期検出値Tdは真値に比べ、極端に短い値となる。また、機械共振周波数が低下し、低周波振動が発生する状況下では、同一周期の振動が継続的に発生するため、振動周期を繰り返し測定してもその値はほぼ同値となり、その最大値もまた、ほぼ同値となる。
この性質を利用し、振動周期検出値Tdの最大値を見ることで、振動周期の真値が測定でき、同時に、振動周期最大値Tmaxと振動周期検出値Tdがほぼ等しい状態に無い場合は、ノイズの影響を受け、振動周期を誤検出したと判定することができる。
また、駆動系が加減速した状態では、抑制対象とする低周波振動以外に、種々の振動モードが介在するため、正しく振動周期を特定することができない。
そこで、駆動系が加減速状態に無い(定常状態にある)と判断し、比較器43が振動検出開始信号を出力した場合で、且つ、振動周期最大値Tmaxと振動周期検出値Tdがほぼ等しく、ノイズの影響を受けていないと判断した場合に、データ抽出器63eは、振動振幅検出値Vdを振動振幅有効値Vokとして出力する。
次に、持続振動判定器65は、有効データ抽出器63が振動振幅有効値Vokを出力したタイミングで動作し、振動振幅有効値Vokを平滑化する。平滑化した値が予め設定された振動振幅閾値Vrefを超えた場合に定常的な振動が発生している、すなわち、持続振動発生中と判定する。そして、持続振動発生中と判定した場合、振動周期最大値Tmaxを、定常的な振動の振幅とし、当該定常的な振動の振幅を時定数初期値T0として出力する。なお、振動周期最大値Tmaxに替えて、持続振動発生中と判定した際の振動振幅検出値Tdを、定常的な振動の周期として出力してもよい。
なお、振動振幅有効値Vokの平滑化は、例えば、以下の演算を行うことで実現できるが、この手法に限定されるものではない。
Y(n)= (1−A)・Y(n−1)+A・U(n) ・・・式5
U(n):入力信号(振動振幅有効値Vok)
Y(n):出力信号
Y(n−1):出力信号の前回値
A:係数[0<A<1]
また、式5のように振動振幅有効値Vokを平滑化することにより、インパルス上の外乱が瞬時的に加わった場合でも、振動振幅閾値Vrefを直ちに超えることはなく、送り軸機構部の剛性が低下した場合など、定常的に振動が発生した場合のみ、時定数初期値T0を出力することが可能となる。結果、インパルス上の外乱が瞬時的に加わったことに対する影響を抑制することができる。なお、インパルス状の外乱が作用しない、あるいは無視できる機械構成の場合、振動振幅有効値Vokは、必ずしも、平滑化しなくてもよく、振動振幅有効値Vokと振動振幅閾値Vrefとを直接比較してもよい。
持続振動判定器65が時定数初期値T0を出力すると、制御パラメータ変更部70が、当該時定数初期値T0(定常的な振動の周期)に基づいて各種制御パラメータを変更する。具体的には、図12の従来例と同様に、時定数初期値T0を、1次遅れ回路25または30で使用する時定数Tp,Tvの初期値として設定する。時定数Tp,Tvの値が更新されても持続振動判定器65が時定数初期値T0を出力し続けている場合、カウンタ51がカウントアップされ、予め定数設定された時定数増加量分ΔTの加算が行われ、時定数増加量分ΔTだけ時定数Tp,Tvの値が大きくなる。したがって、カウンタ51や加算器52は、定常的な振動の周期に基づいて、1次遅れ回路の時定数を更新する時定数更新部として機能する。
一方、除算器66は時定数初期値T0が出力された場合に逆数である振動周波数fpを算出する。算出された振動周波数fpはゲイン換算初期値設定器53に入力され、式4の演算を行い、ゲイン換算初期値Ksを算出する。
算出されたゲイン換算初期値Ksは、ゲイン換算値Kの初期値として設定される。ゲイン換算値Kの値が更新されても持続振動判定器65が時定数初期値T0を出力し続けている場合、カウンタ55がカウントアップされ、予め定数設定されたゲイン低減率分ΔKの減算が行われ、ゲイン低減率分ΔKだけゲイン換算値Kの値が小さくなる。したがって、ゲイン換算初期値設定器53や、カウンタ55、減算器56は、ゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部として機能する。なお、ゲイン換算値Kはその値が0<K<1の範囲となるようにゲイン出力切替器59でリミット処理される。また、ゲイン換算値Kが出力されると、図1、図2の構成の場合は速度指令演算器3のゲインKpを、図3の構成の場合は速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを元々の設定値に対し、ゲイン換算値Kを乗じた値に低減する。
なお、図12の従来例と同様に、ゲイン出力切替器59にて、ゲイン換算値Kの更新よりも時定数Tp,Tvの更新を優先することも可能である。具体的には、比較器58にて時定数Tp,Tvと予め定数設定された許容時定数Trefとを比較し、比較の結果、時定数Tp,Tvが許容時定数Trefを超えた場合にゲイン換算値Kの更新を行う。
以上のように、本発明による位置制御装置によれば、図14のように機械共振周波数(Kb/Jl)1/2が低下した場合に発生する低周波振動に対し、振動が観測されなくなるまでTp,Tvの値を大きくする、または速度指令演算器3のゲインKp、トルク指令演算器5の速度ループ比例ゲインPv、トルク指令演算器6の速度ループ積分ゲインIvを小さくすることにより、図15、図16の実線のように、機械共振周波数(Kb/Jl)1/2におけるゲイン余裕が大きくなるため、制御系を安定化し、低周波振動の発生を抑制することができる。
その上で、被駆動体の位置誤差信号に含まれる振動の振動周波数fp(時定数初期値T0)を特定する際にDFT(FFT)などの周波数解析法を使用しないため、使用するメモリや演算時間を大幅に削減することができる。また、ピーク検出器61内の丸め処理演算器61a、及び有効データ抽出器63を設けることで、検出器ノイズ等の影響で時定数初期値T0を誤検出することなく、正確に振動周期を特定することができる。更に、持続振動判定器65を設けることで、インパルス上の外乱が瞬時的に加わった場合に、時定数Tp,Tv、あるいはゲインKp,Pv,Ivが更新され、過度にゲイン余裕が確保されることなく、制御系の追従性の低下を最小限に止めることができる。
1 上位制御装置、2,4,15,19,24,29,44,56,63b 減算器、3 速度指令演算器(位置ループゲイン)、5 トルク指令演算器(速度ループ比例ゲイン)、6 トルク指令演算器(速度ループ積分ゲイン)、7,26,31,52 加算器、8 各種フィルタ部,電流制御部、9 モータ位置検出器、10 モータ、11 リニアスケール、12 被駆動体、13 ボールネジ、14,28 微分器、16 モータモデル、17,22 積分器、18 バネ系モデル、20 バネモデル、21 被駆動体モデル、23 速度指令からモータ速度の伝達特性、25,30 一次遅れ回路(高域遮断フィルタ)、27 位置検出値演算器、32 速度検出値演算器、40,60 経年変化補正器、41 2次微分器、42,45,46,47,50,54,57,63c,64 係数、43,58,63d 比較器、48 振動検出器、49,66 除算器、51,55 カウンタ、53 ゲイン換算初期値設定器、59 ゲイン出力切替器、61 ピーク検出器、61a 丸め処理演算器、61b 微分器、61c 極値検出器、62 メモリ、63 有効データ抽出器、63a 最大値検出器、63e データ抽出器、65 持続振動判定器、67 加減速状態判定部、68 振動周期振幅検出器、69 定常振動検出器、70 制御パラメータ変更部。

Claims (10)

  1. モータ位置検出器と、モータにより駆動される被駆動体の位置を検出する被駆動体位置検出器と、を含み、被駆動体の位置をフルクローズド制御する被駆動体の位置制御装置であって、
    上位装置から入力される位置指令値と位置フィードバック値との偏差を比例増幅して速度指令値を出力する速度指令演算器と、
    前記速度指令値と速度フィードバック値との偏差を、比例積分増幅して、トルク指令値を出力するトルク指令演算器と、
    前記トルク指令値に応じて、前記モータを駆動する駆動部と、
    前記位置指令値と、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値に基づいて、前記被駆動体の定常的な振動の有無を検出し、前記定常的な振動が発生している場合に前記定常的な振動の周期を算出し、前記周期に応じて制御パラメータを変更する経年変化補正器を、備え、
    前記経年変化補正器は、
    前記位置指令値と前記被駆動体位置検出値との差分値の極値タイミングおよび極値を検出し、検出された極値タイミングおよび極値に基づいて前記差分値に含まれる振動の周期および振幅を検出する振動周期振幅検出器と、
    前記位置指令値に基づいて、前記被駆動体が加減速状態でないことを判定する加減速状態判定部と、
    加減速状態でない場合に前記振動周期振幅検出器により検出された振動の周期と検出された振動の周期の最大値とがほぼ等しいかつ検出された振幅が振幅閾値以上の場合に得られる周期または前記振動周期最大値を、前記定常的な振動の周期として出力する定常振動検出器と、
    前記定常振動検出器から出力された前記振動の周期に基づいて、前記制御パラメータを変更する制御パラメータ変更部と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
  2. 請求項に記載の位置制御装置であって、
    前記定常振動検出器は、加減速状態でなく、かつ、前記振動の周期が周期閾値以上の場合に、前記振動周期振幅検出器により検出された振動の振幅を平滑化し、当該平滑化された振幅が振幅閾値以上か否かを判断する、ことを特徴とする位置制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の位置制御装置であって、
    前記位置フィードバック値は、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値であり、
    前記速度フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分することで算出されるモータ速度検出値であり、
    前記制御パラメータ変更部は、
    前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、
    前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、
    前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
  4. 請求項1または2に記載の位置制御装置であって、
    前記位置フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値と前記被駆動体位置検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ位置検出器からの位置検出値と、を加算した値であり、
    前記速度フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分することで算出されるモータ速度検出値であり、
    前記制御パラメータ変更部は、
    前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、
    前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、
    前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
  5. 請求項1または2に記載の位置制御装置であって、
    前記位置フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値と前記被駆動体位置検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ位置検出器からの位置検出値と、を加算した値であり、
    前記速度フィードバック値は、前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分することで算出されるモータ速度検出値であり、
    前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定された時定数増加分を繰り返し加算して得られる値を、前記1次遅れ回路の時定数として順次更新する時定数変更部を備える、
    ことを特徴とする位置制御装置。
  6. 請求項に記載の位置制御装置であって、
    前記制御パラメータ変更部は、さらに、
    前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、
    前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、
    前記時定数が予め規定された基準値以上か否かを判定する比較器と、
    前記時定数が予め規定された基準値以上の場合に、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
  7. 請求項1または2に記載の位置制御装置であって、さらに、
    前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分してモータ速度検出値を算出する微分器と、
    前記被駆動体位置検出値を微分して被駆動体速度検出値を算出する微分器と、
    を備え、
    前記位置フィードバック値は、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値であり、
    前記速度フィードバック値は、前記モータ速度検出値と前記被駆動体速度検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ速度検出値と、を加算した値であり、
    前記制御パラメータ変更部は、
    前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、
    前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、
    前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値に乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
  8. 請求項1または2に記載の位置制御装置であって、さらに、
    前記モータ位置検出器からの位置検出値を微分してモータ速度検出値を算出する微分器と、
    前記被駆動体位置検出値を微分して被駆動体速度検出値を算出する微分器と、
    を備え、
    前記位置フィードバック値は、前記被駆動体位置検出器で検出される被駆動体位置検出値であり、
    前記速度フィードバック値は、前記モータ速度検出値と前記被駆動体速度検出値との差を入力とする1次遅れ回路の出力と、前記モータ速度検出値と、を加算した値であり、
    前記制御パラメータ変更部は、前記定常的な振動の周期を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定された時定数増加分を繰り返し加算して得られる値を、前記1次遅れ回路の時定数として順次更新する時定数変更部を備える、
    ことを特徴とする位置制御装置。
  9. 請求項に記載の位置制御装置であって、
    前記制御パラメータ変更部は、
    前記定常的な振動の周期から前記定常的な振動の周波数を算出する除算器と、
    前記定常的な振動の周波数から算出されるゲイン換算初期値を初期値とし、前記定常的な振動が検出される度に予め設定されたゲイン低減率分を繰り返し減算して得られるゲイン換算値を順次出力するゲイン換算値出力部と、
    前記時定数が予め規定された基準値以上か否かを判定する比較器と、
    前記時定数が予め規定された基準値以上の場合に、前記ゲイン換算値をリミット処理し、前記ゲイン換算値を、前記速度指令演算器のゲイン設定値、前記トルク指令演算器のゲイン設定値の少なくとも一つに乗算してゲイン値を変更するゲイン出力切替器と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の位置制御装置であって、
    前記振幅周期振幅検出器は、前記位置指令値と前記被駆動体位置検出値との差分値である位置誤差信号の極値タイミングおよび極値を検出するピーク検出器を備え、
    前記ピーク検出器は、
    前記位置誤差信号を、当該位置誤差信号に含まれるノイズよりも大きい分解能で丸め処理する丸め処理演算器と、
    前記丸め処理演算器で丸め処理された前記位置誤差信号を、微分する微分器と、
    前記微分された信号が、ゼロクロスするタイミングを極値タイミングとして、また、前記ゼロクロスしたときの前記位置誤差信号の値を極値として検出する極値検出器と、
    を備えることを特徴とする位置制御装置。
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