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JP6102809B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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JP6102809B2
JP6102809B2 JP2014061647A JP2014061647A JP6102809B2 JP 6102809 B2 JP6102809 B2 JP 6102809B2 JP 2014061647 A JP2014061647 A JP 2014061647A JP 2014061647 A JP2014061647 A JP 2014061647A JP 6102809 B2 JP6102809 B2 JP 6102809B2
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Description

本発明は、車室内空間の空調を行う車両用空調装置、特に、空気を除湿するためのデシカント材を組み込んだ車両用空調装置に関する。
自動車等の車両には、冷房、暖房、除湿、送風等、車室内空間の空調を行う空調装置が備えられる。このような空調装置においては、例えば、夏季の冷房時は、温湿度の高い外気(車外空間の空気)を導入せずに内気(車室内空間の空気)を循環させ、冬季の暖房時は、湿度の低い外気を導入してウィンドシールドの曇りを防止するのが通例である。しかし、冬季に外気導入すると車室内の温度が下がり暖房効率が低下する。そこで、発熱量の少ない車両、例えば、熱効率の高い内燃機関を搭載した車両や、内燃機関が常には駆動しないハイブリッド車や、そもそも内燃機関を持たない電気自動車等においては、熱源が不足するので、暖房時も内気循環する場合がある。ところが、暖房時に内気循環すると車室内の湿度が高くなるため除湿が必要となる。その場合、一般に、除湿はエバポレータを用いて行われるので、エバポレータを駆動するために燃費やバッテリ電力が低下するという不利益や、エバポレータでいったん冷やされた空調風を加熱するのに余分なエネルギーが必要になるという不利益がある。
そこで、空調装置に空気を除湿するためのデシカント材(乾燥材又は除湿材ともいう)を組み込むことが知られている。デシカント材を用いれば、除湿のための駆動力が不要となり、また空調風が冷やされることもない。しかし、デシカント材は吸湿能力に限界があるため、定期的に吸収した水分を排出(排湿)させて飽和したデシカント材を再生する必要がある。
この点、特許文献1には、デシカント材を空気通過可能な円板に担持させ、この円板を湿った外気を通す除湿側空気通路と、再生のための熱風を通す再生側空気通路との間で回転させることにより、デシカント材の吸湿と排湿(再生)とを連続的に行う技術が開示されている。しかし、この技術は、空調装置の大掛かりな変更を必要とし、車両の重量アップ及びコストアップを招く。
そこで、特許文献2に開示される技術を適用することが考えられる。すなわち、特許文献2には、次のような車両用空調装置が開示されている。通常の空調時に空調風が流れる空調風通路にデシカント材がヒータコアや電気ヒータ等の加熱手段と共に配設され、内気循環で暖房するときは、内気が上記加熱手段及びデシカント材を通過して、加熱及び除湿された空調風が生成し、この空調風が吹出口からウィンドシールドの内面に向けて吹き出される。上記空調風通路における吹出口の手前に流路切替弁が配設され、デシカント材を再生するときは、上記加熱手段で加熱された内気がデシカント材に供給されて、デシカント材から水分を奪った温風となり、この温風が上記流路切替弁により切り替えられた流路を通って車外空間へ排出される。
特許文献2に開示の技術によれば、デシカント材が既存の空調風通路に配設されるので、空調装置の大掛かりな変更を必要とせず、車両の重量アップ及びコストアップが抑制される。また、内気循環による暖房時に内気の加熱に用いる加熱手段が、デシカント材の再生時にはデシカント材から水分を排湿させるための温風の調製に兼用されるので、これによっても空調装置の大掛かりな変更を必要とせず、またデシカント材を空調装置に組み込んだままデシカント材を再生できる。
しかし、特許文献2に開示の技術では、空調風通路及び加熱手段が内気循環による暖房時とデシカント材の再生時とで兼用されるので、デシカント材の再生中は通常の空調が行えない。そのため、デシカント材の再生中は通常の空調が停止して乗員に違和感を与えてしまう。また、デシカント材の再生中は除湿が行えないので、車室内の湿度が高くなり、乗員に不快感を与えると共に、ウィンドシールドが曇り易くなり、結露予防のために特殊なウィンドシールドを用いる等の対策が必要となる。一方、車両が停車して乗員が不在になるまでデシカント材の再生を遅延させていたのでは、それまで除湿が行えないので、やはり車室内の湿度が高くなり、乗員に不快感を与えると共に、ウィンドシールドが曇り易くなる。
特開2011−110951号公報 特開2012−224135号公報
上記不具合に対処するために、例えば、デシカント材を短時間で再生することが提案される。デシカント材を短時間で再生することができれば、たとえその間通常の空調が行えなくても、乗員が違和感や不快感を感じる度合い、及びウィンドシールドが曇る度合いが少なくて済む。そのため、信号待ち等、車両の運転中の一時停車時にデシカント材を再生することが可能となる。
ところが、次のような新たな課題が生じる。すなわち、デシカント材を短時間で再生するためには、例えば、デシカント材を専用の再生用加熱手段により例えば100℃近い高温まで強制的に急加熱することになる。すると、デシカント材から水分を奪った空気(これを「排湿空気」と記す)もまた高温となるため、この排湿空気を車外空間へ排出する排湿通路の耐熱性が懸念される。また、信号待ち等を利用してデシカント材を再生する場合、高温の排湿空気が車外空間へ排出されるので、車両付近にいる歩行者に上記排湿空気が及ばないように対策する必要が生じ、例えば排湿通路の排湿口のレイアウトが制約を受けることになる。
本発明は、デシカント材を組み込んだ車両用空調装置における上記のような現状に鑑みてなされたもので、車両の運転中にデシカント材を強制的に急加熱して短時間で再生する際に、デシカント材の再生効率を維持したまま、排湿空気の温度を低下させることが可能な車両用空調装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、車室内空間の空調を行う車両用空調装置であって、空調ダクトを通過する空気を加熱する空調用加熱手段と、上記空調ダクト内において空気の流れ方向と直交する方向の断面積を部分的に占めるように設けられ、空調ダクトの内壁との間に所定の隙間空間を形成するデシカント材と、上記デシカント材の上記隙間空間を臨む面に設けられ、隙間空間側の面で吸熱しデシカント材側の面で発熱するペルチェ素子と、上記デシカント材の再生時に上記ペルチェ素子を駆動してデシカント材を加熱する制御手段とを有し、上記デシカント材が設けられた部分の空調ダクトの断面積のうち、上記デシカント材が占める領域の断面積が上記隙間空間の断面積よりも大きい値に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、内気循環による暖房時は、空調用加熱手段で加熱され、デシカント材で除湿された空調風が得られる。一方、デシカント材の再生時は、デシカント材がペルチェ素子で強制的に急加熱され、デシカント材と空調ダクトの内壁との間の隙間空間がペルチェ素子で冷却される。そのため、加熱されたデシカント材を通過した高温の排湿空気と、冷却された隙間空間を通過した低温の空気、言い換えると、排湿空気冷却用の空気とが同時に生成し、これらが合流することにより、デシカント材の下流(空気の流れの下流)では、排湿空気の温度が低下する。その結果、排湿空気を排出する排湿通路の耐熱性を懸念する必要がなくなる。また、信号待ち等、車両の運転中の一時停車時にデシカント材を再生する場合でも、歩行者に対する安全性が図られる。さらに、排湿空気の温度を低下させるためにデシカント材の加熱温度を低く抑える、というようなこともせずに済むから、デシカント材の再生効率も低下せず高いレベルに維持される。
要すれば、本発明は、デシカント材を用いた除湿を空調装置の大掛かりな変更なしに実現できる。また、デシカント材を短時間で再生できるから、車両の運転中にも違和感や不快感やウィンドシールドの曇りを抑制してデシカント材を再生できる。また、デシカント材を短時間で再生する際に、排湿空気の高温化が回避できる。
以上により、本発明によれば、車両の運転中にデシカント材を強制的に急加熱して短時間で再生する際に、デシカント材の再生効率を維持したまま、排湿空気の温度を低下させることが可能な車両用空調装置が提供される。
しかも、本発明によれば、通気抵抗が大きいデシカント材が占める領域の断面積を、通気抵抗が小さい隙間空間の断面積よりも大きい値に設定しているので、言い換えると、隙間空間の流路を狭くして通気抵抗を大きくしているので、デシカント材の断面積を隙間空間の断面積と同じかそれ未満の値に設定した場合に比べて、隙間空間を流れる空気の流量が減り、デシカント材を流れる空気の流量が増える。そのため、内気循環による暖房時は、空調風の除湿効率が高まり、デシカント材の再生時は、デシカント材の再生効率が高まる、という有利な作用が得られる。
本発明においては、好ましくは、上記デシカント材の再生時はデシカント材を流れる空気の流量と隙間空間を流れる空気の流量とが等しくなるようにデシカント材が占める領域の断面積と隙間空間の断面積とが設定されている。
この構成によれば、ペルチェ素子の吸熱量と発熱量とは基本的に同じであるから、デシカント材の再生時に、デシカント材を流れる空気(つまり排湿空気)の流量と隙間空間を流れる空気(つまり冷却用空気)の流量とを等しくすることにより、これらの排湿空気と冷却用空気とが合流した後の排湿空気の温度がデシカント材の上流の空気の温度に戻ることになる。
本発明においては、好ましくは、上記空調ダクト及びデシカント材は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、上記デシカント材は、所定の2面が空調ダクトの内壁と接し、他の2面に上記ペルチェ素子が設けられている。
この構成によれば、デシカント材の再生時は断面形状が矩形のデシカント材が2面からペルチェ素子で加熱されるので、デシカント材が短時間で高温となり、短時間で再生される。また、デシカント材の2面が空調ダクトの内壁と接するには、例えば、デシカント材を断面形状が矩形の空調ダクトの1つの角部に寄せればよいので、構造がシンプルとなる。
本発明においては、好ましくは、上記空調ダクト及びデシカント材は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、上記デシカント材は、所定の1面が空調ダクトの内壁と接し、他の3面に上記ペルチェ素子が設けられている。
この構成によれば、デシカント材の再生時は断面形状が矩形のデシカント材が3面からペルチェ素子で加熱されるので、デシカント材が短時間で高温となり、短時間で再生される。また、デシカント材の1面が空調ダクトの内壁と接するには、例えば、デシカント材を断面形状が矩形の空調ダクトの1つの面部に付ければよいので、構造がシンプルとなる。
本発明においては、好ましくは、上記空調ダクト及びデシカント材は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、上記デシカント材は、全ての面が空調ダクトの内壁から離間し、全ての面に上記ペルチェ素子が設けられている。
この構成によれば、デシカント材の再生時は断面形状が矩形のデシカント材が全ての面からペルチェ素子で加熱されるので、デシカント材が短時間で高温となり、短時間で再生される。なお、デシカント材の全ての面を空調ダクトの内壁から離間させるためには、例えば、脚部材を介してデシカント材を空調ダクトに設ければよい。
以上のように、本発明は、車両の運転中にデシカント材を強制的に急加熱して短時間で再生する際に、デシカント材の再生効率を維持したまま、排湿空気の温度を低下させることが可能な車両用空調装置を提供するので、空気を除湿するためのデシカント材を組み込んだ車両用空調装置の技術の発展・向上に寄与する。
本発明の実施形態に係る車両用空調装置の全体構成を示すブロック図である(エアコンモード)。 上記車両用空調装置に組み込んだデシカント材の吸湿・排湿特性を示すグラフである。 上記車両用空調装置の除湿ユニットの構成を説明するための斜視図であり、(a)は、エアコンモードを示すもの、(b)は、再生モードを示すものである。 上記車両用空調装置の制御系統を示すブロック図である。 図1に類似のブロック図である(再生モード)。 上記車両用空調装置の制御ユニットが行う制御動作の1例を示すフローチャートである。 上記除湿ユニットの変形例を説明するための図であり、(a)は、デシカント材の3面にペルチェ素子が設けられたもの、(b)は、デシカント材の全ての面にペルチェ素子が設けられたものである。
図1は、本実施形態に係る車両1に搭載された車両用空調装置10の全体構成を示すブロック図である。本実施形態においては、車両1は、内燃機関を持たず、モータ(図示せず)のみで走行する電気自動車である。図1において、符号1aは車体、符号1bは車室内空間、符号1cは車外空間(車体1aの外部の空間)を示す。本発明で「上流」「下流」というときは、特に断らない限り、空調装置10における空気の流れに関していう。
空調装置10は、車体1aの前部に配置され、車体1aの後部には、車室内空間1bと車外空間1cとを連通するエキストラクタ1dが配置されている。空調装置10は、車室内空間1bの空調を行うもので、車外空間1cの空気、すなわち外気を空調装置10に導入するための外気導入通路11aと、車室内空間1bの空気、すなわち内気を空調装置10に導入するための内気導入通路11bとを有する。
外気導入通路11a及び内気導入通路11bの下流端に上流通路11cが接続され、上流通路11cの下流端に第1下流通路11d及び第2下流通路11eが接続され、第1下流通路11d及び第2下流通路11eの下流端に吹出口通路11fが接続されている。内気導入通路11b、上流通路11c、第2下流通路11e、及び吹出口通路11fは、それぞれ、本発明の空調ダクトの一部に相当する。
吹出口通路11fの下流端に、空調装置10で冷却、加熱、又は除湿された空気(空調風)を車室内空間1bに吹き出すための複数の吹出口11gが設けられている。詳しくは図示しないが、吹出口11gとして、前席の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すベント吹出口、前席の乗員の足元に向けて空調風を吹き出すヒート吹出口、後席の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すリヤベント吹出口、後席の乗員の足元に向けて空調風を吹き出すリヤヒート吹出口、及びフロントウィンドシールド(図示せず)の内面に向けて下方から上方に空調風を吹き出すデフロスタ吹出口等が設けられている。
上流通路11c内に、上流側から、除湿ユニット20、ブロアファン(送風手段)12、及びエバポレータ13が配置されている。第2下流通路11e内に、上流側から、ヒータコア(加熱手段)14、及びPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ(加熱手段)15が配置されている。
外気導入通路11a及び内気導入通路11bの下流端に内外気切替ダンパ16が配設されている。内外気切替ダンパ16は、外気導入通路11aを閉じる位置(内気循環位置)と内気導入通路11bを閉じる位置(外気導入位置)との間の任意の位置に位置することが可能に構成されている。これにより、外気導入通路11aと内気導入通路11bとの開度の割合が調節され、吹出口11gから吹き出される空調風の外気と内気との混合比率が種々調節される。
ブロアファン12は、内外気切替ダンパ16の下流に配置され、駆動されることにより送風を行い、外気導入通路11a又は内気導入通路11bから吹出口11gに向けて流れる空気の流れ、すなわち空調風を生成する。
エバポレータ13は、冷房用の熱交換器であり、ブロアファン12の下流に配置され、空調風を冷却する。
第1下流通路11d及び第2下流通路11eの上流端に温度コントロールダンパ17が配設されている。温度コントロールダンパ17は、第1下流通路11dを閉じる位置(暖房時位置)と第2下流通路11eを閉じる位置(冷房時位置)との間の任意の位置に位置することが可能に構成されている。これにより、第1下流通路11dと第2下流通路11eとの開度の割合が調節され、吹出口11gから吹き出される空調風の温度が種々調節される。
ヒータコア14は、暖房用の熱交換器であり、温度コントロールダンパ17の下流に配置され、空調風を加熱する。ヒータコア14は、暖房用の熱源として利用し得るモータ及びインバータ(図示せず)の冷却水がその内部を循環する。
PTCヒータ15もまた、暖房用の熱交換器であり、ヒータコア14の下流に配置され、ヒータコア14で加熱された空調風をさらに加熱する。PTCヒータ15は、電力の供給を受けて駆動する電気式ヒータであり、図示しないPTC素子(正特性サーミスタ)に電力が供給されることによって発熱する。PTCヒータ15は、駆動時に発熱して温度が上昇すると抵抗値が増大して電流量を抑制する自己温度制御機能を有する。一方、PTCヒータ15は、非駆動時に温度が低下すると抵抗値が減少して電流が流れ易くなり、そのため、冷間始動時は多量の電流(突入電流)が流れるという性質を有する。
本実施形態に係る車両1は、内燃機関を持たず、モータのみで走行する電気自動車である。そのため、発熱量が少ないので、ヒータコア14を循環するモータ及びインバータの冷却水の温度が相対的に低くなる。したがって、ヒータコア14だけでは暖房用の熱源として不足するので、それを補うために、追加の暖房用熱源としてPCTヒータ15が用いられている。
上流通路11c内で、ブロアファン12の上流に、空気を除湿するための除湿ユニット20が配設されている。除湿ユニット20は、水分を吸収(吸湿)又は排出(排湿)するデシカント材21を含んでいる。
本実施形態で用いられるデシカント材21は、所定の基準温度未満のときに空気中の水分を吸収(吸湿)し、上記基準温度以上のときに吸収した水分を排出(排湿)するという性質を有する。上記基準温度は吸排湿反転温度ということができる。
図2は、上記デシカント材21の吸湿・排湿特性を示すグラフである。図中、実線Aは、デシカント材21に供給される空気の温度(インプット温度)の時間変化を示し、破線Bは、デシカント材21を通過した空気の温度(アウトプット温度)の時間変化を示す。
インプット温度Aが基準温度Ta以上のとき(A≧Ta)は、デシカント材21は排湿しており再生中である。インプット温度Aが基準温度Ta未満のとき(A<Ta)は、デシカント材21は吸湿中である。
デシカント材21は、吸湿中は発熱する。したがって、デシカント材21の吸湿中は、インプット温度Aよりもアウトプット温度Bが高くなる(B>A)。
デシカント材21は、飽和すると発熱が止まる。したがって、デシカント材21が飽和すると、インプット温度Aとアウトプット温度Bとは略等しくなる(B≒A)。
本実施形態で用いられるデシカント材21としては、例えば、シリカゲル、ポリアクリル酸高分子等、所定の基準温度未満のときに吸湿し、上記基準温度以上のときに排湿するという性質を有するものであれば、特に限定されない。
図3に示すように、除湿ユニット20は、デシカント材21に加えて、デシカント材21の再生時にデシカント材21を加熱するためのペルチェ素子22をさらに含んでいる。
ペルチェ素子22は、通電されることにより、一方の面から他方の面に熱が移動する電子部品である。ペルチェ素子22に通電すると、一方の面で吸熱が起こり、他方の面で発熱が起こる。その吸熱量と発熱量とは基本的に同じである。通電方向を逆転すると、吸熱が起こる吸熱側の面(吸熱面)と発熱が起こる発熱側の面(発熱面)とが逆転する。
本実施形態では、図3に示すように、デシカント材21は、上流通路11cに、空気の流れ方向(図中の矢印参照)と直交する方向の断面において、上流通路11cの内壁との間に隙間空間11sを残して設けられている。そして、ペルチェ素子22は、上記デシカント材21の隙間空間11sを臨む面に設けられている。
具体的に、上流通路11cは四角筒状、デシカント材21はブロック状であり、上流通路11c及びデシカント材21は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が略正方形に形成されている。デシカント材21は、上流通路11cの左下(図3に関していう。以下同じ)の角部に寄せられている。これにより、デシカント材21と上流通路11cの右側部から上部に亘る内壁との間に、L字状の隙間空間11sが形成されている。デシカント材21は、左側面及び下面が上流通路11cの左側部の内壁及び下部の内壁と接し、右側面及び上面が隙間空間11sを臨んでいる。そして、デシカント材21の隙間空間11sを臨む右側面及び上面にペルチェ素子22が設けられている。ペルチェ素子22は平板状であり、デシカント材21の右側面及び上面を過不足なく覆っている。
本実施形態では、ペルチェ素子22に所定方向に通電すると、ペルチェ素子22の外側の面が吸熱面となり、内側の面が発熱面となる。つまり、隙間空間11s側の面で吸熱し、デシカント材21側の面で発熱する。そのため、図3(b)に示すように、発熱面と接するデシカント材21が加熱され(Hと表示)、吸熱面と接する隙間空間11sが冷却される(Cと表示)。これを正駆動状態とする。一方、通電方向を逆転すると、ペルチェ素子22の外側の面が発熱面となり、内側の面が吸熱面となる。つまり、隙間空間11s側の面で発熱し、デシカント材21側の面で吸熱する。そのため、図示しないが、発熱面と接する隙間空間11sが加熱され、吸熱面と接するデシカント材21が冷却される。これを反駆動状態とする。
デシカント材21は、空気の流れ方向と直交する上流側の面及び下流側の面が開放されている。そのため、上流通路11cを上流側から流れてきた空気はデシカント材21を上流側から下流側に通過する。
後述する制御ユニット100(図4参照)の制御により、内気循環による暖房時は、上記ブロアファン12及びPTCヒータ15が駆動される。その結果、内気循環による暖房時は、図3(a)に示すように、デシカント材21を通過した空気は、デシカント材21により除湿された空調風となる(図3(a)において、黒矢印は湿度の高い空気を示し、白矢印は湿度の低い空気を示す)。これをエアコンモードとする。
一方、デシカント材21の再生時は、上記ブロアファン12及びペルチェ素子22が駆動される。その結果、デシカント材21の再生時は、図3(b)に示すように、ペルチェ素子22で加熱されたデシカント材21を通過した空気は、デシカント材21から水分を奪った高温の排湿空気となり、ペルチェ素子22で冷却された隙間空間11sを通過した空気は、低温の排湿空気冷却用の空気となる(図3(b)において、白矢印は湿度の低い空気を示し、黒矢印は湿度の高い空気を示す)。これを再生モードとする。
除湿ユニット20の下流に、上流通路11cから分岐して車外空間1cに連通する排湿通路25が設けられている。具体的に、排湿通路25は、上流通路11cのブロアファン12とエバポレータ13との間の部分に接続されている。排湿通路25は、デシカント材21の再生時に、デシカント材21を通過した排湿空気を車外空間1cに排出するためのものである。
排湿通路25の接続部、つまり上流通路11cと排湿通路25との分岐部に、上流通路11c及び排湿通路25を開閉する再生時排湿ダンパ26が備えられている。再生時排湿ダンパ26は、排湿通路25を閉じたときは上流通路11cを排湿通路25とエバポレータ13との間で開き(図1の状態)、排湿通路25を開いたときは上流通路11cを排湿通路25とエバポレータ13との間で閉じる(図5の状態)ように構成されている。
図4は、上記車両用空調装置10の制御系統を示すブロック図である。
制御ユニット100は、CPU、ROM、RAM等を含む周知の構成のマイクロプロセッサであり、本発明の制御手段に相当する。
制御ユニット100には、空調装置10の操作盤30、上流通路11c内で除湿ユニット20のデシカント材21に流入する空気の温度(すなわちインプット温度)を検知する温度センサ31、モータのスタートスイッチ32、及び車両1の走行速度を検知する車速センサ33から、それぞれ各信号が入力される。
制御ユニット100は、上記各信号等に基いて、上記空調装置10のブロアファン12、エバポレータ13、PTCヒータ15、各ダンパ16,17,26、及び除湿ユニット20のペルチェ素子22に、それぞれ制御信号を出力する。なお、図示しないが、制御ユニット100は、車両1をモータで走行させるために、インバータにも制御信号を出力する。
以上の構成によれば、内気循環による暖房時は、第2下流通路11eに設けられたヒータコア14及びPTCヒータ15で加熱され、上流通路11cに設けられたデシカント材21で除湿された空調風が得られる。一方、デシカント材21の再生時は、デシカント材21が正駆動状態のペルチェ素子22で強制的に急加熱され、デシカント材21と上流通路11cの内壁との間の隙間空間11sが正駆動状態のペルチェ素子22で冷却される。そのため、加熱されたデシカント材21を通過した高温の排湿空気と、冷却された隙間空間11sを通過した低温の排湿空気冷却用の空気とが同時に生成し、これらが合流することにより、デシカント材21の下流では、温度が低下した排湿空気が得られる。その結果、排湿空気を排出する排湿通路25の耐熱性を懸念する必要がなくなる。また、信号待ち等、車両の運転中の一時停車時にデシカント材21を再生する場合でも、歩行者に対する安全性が図られる。さらに、排湿空気の温度を低下させるためにデシカント材21の加熱温度を低く抑える、というようなこともせずに済むから、デシカント材21の再生効率も低下せず高いレベルに維持される。
また、本実施形態では、図3に示すように、デシカント材21が設けられた部分の上流通路11cの略正方形の断面積のうち、ペルチェ素子22が占める長方形の領域を除いて、通気抵抗が大きいデシカント材21が占める略正方形の領域の断面積S1が、通気抵抗が小さいL字状の隙間空間11sの断面積S2よりも大きい値に設定されている(S1>S2)。そのため、隙間空間11sの流路が狭くなり、隙間空間11sの通気抵抗が大きくなっている。したがって、デシカント材21の断面積S1を隙間空間11sの断面積S2と同じかそれ未満の値に設定した場合に比べて、隙間空間11sを流れる空気の流量が減り、デシカント材21を流れる空気の流量が増える。これにより、内気循環による暖房時は、空調風の除湿効率が高まり、デシカント材21の再生時は、デシカント材21の再生効率が高まる、という有利な作用が奏される。
さらに、本実施形態では、デシカント材21の再生時に、デシカント材21を流れる排湿空気の流量と隙間空間11sを流れる冷却用空気の流量とが等しくなるように、デシカント材21が占める領域の断面積S1及び隙間空間11sの断面積S2が設定されている。
具体的に、デシカント材21を流れる排湿空気の流量は、次の式(1)で求められる。
式(1):Q=C1×S1×(2×P÷ρ)(1/2)
ここで、Qはデシカント材21を流れる排湿空気の流量(m/sec)、C1はデシカント材21の流出係数(無次元数、1.0未満の値(例えば0.6〜0.8等))、S1はデシカント材21の断面積(m)、Pは上流通路11c内におけるデシカント材21の上流の圧力(Pa)、ρはデシカント材21内の空気の密度(kg/m)である。
一方、隙間空間11sを流れる冷却用空気の流量は、次の式(2)で求められる。
式(2):Q’=C2×S2×(2×P÷ρ’)(1/2)
ここで、Q’は隙間空間11sを流れる冷却用空気の流量(m/sec)、C2は隙間空間11sの流出係数(無次元数、1.0以上の値)、S2は隙間空間11sの断面積(m)、Pは上流通路11c内におけるデシカント材21の上流(すなわち隙間空間11sの上流)の圧力(Pa)、ρ’は隙間空間11s内の空気の密度(kg/m)である。
なお、式(1)及び式(2)において、Pは、デシカント材21の再生時のブロアファン12の送風量に依存する。また、そのブロアファン12の送風量は、デシカント材21の再生時の制御ユニット100のブロアファン12に対する駆動量に依存する。
そして、式(1)で求めたQの値と式(2)で求めたQ’の値とが等しくなるときの(Q=Q’)断面積の比(S1:S2)から、デシカント材21の断面積S1及び隙間空間11sの断面積S2を設定することができる。
上述したように、ペルチェ素子22の吸熱量と発熱量とは基本的に同じであるから、デシカント材21の再生時に、デシカント材21を流れる排湿空気の流量Qと隙間空間11sを流れる冷却用空気の流量Q’とを等しくすることによって、これらの排湿空気と冷却用空気とが合流した後の排湿空気の温度がデシカント材21の上流の空気の温度に戻る、という作用が得られる。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、上流通路11c及びデシカント材21は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、デシカント材21は、左側面及び下面が上流通路11cの左側部の内壁及び下部の内壁と接し、右側面及び上面にペルチェ素子22が設けられている。そのため、デシカント材21の再生時は、断面矩形のデシカント材21がペルチェ素子22で2面から加熱されるので、デシカント材21が短時間で高温となり、短時間で再生される。また、デシカント材21を上流通路11cの角部に寄せるだけで、デシカント材21の2面が上流通路11cの内壁と接するので、構造がシンプルとなる。
次に、上記制御ユニット100が行う制御動作を説明する。
まず、エアコンモードでは、制御ユニット100は、図1に示すように、内外気切替ダンパ16を内気循環位置に位置させ、再生時排湿ダンパ26を上流通路11cが排湿通路25とエバポレータ13との間で開く位置(通常時位置)に位置させ、温度コントロールダンパ17を暖房時位置に位置させる。これにより、内気導入通路11b、上流通路11c、第2下流通路11e、及び吹出口通路11fが相互に連通し、全体として内気循環による暖房時の空調ダクトが形成される。
その上で、制御ユニット100は、空調装置操作盤30からの設定信号に応じた強さでブロアファン12を駆動し、空調装置操作盤30からの設定信号に応じた電力でPTCヒータ15を駆動させる。これにより、上流通路11cを上流側から流れてきた空気は、図3(a)に示すように、デシカント材21を通過し、空調風が高効率で除湿される。その場合、上述したように、デシカント材21の断面積S1が隙間空間11sの断面積S2よりも大きい値に設定されているから(S1>S2)、隙間空間11sの通気抵抗が大きくなり、隙間空間11sを流れる空気の流量が減り、デシカント材21を流れる空気の流量が増える。つまり、このエアコンモードでは、空調風の除湿効率が高められる。
以上により、エアコンモードでは、車室内空間1bの空気、すなわち内気が、内気導入通路11b、上流通路11c、第2下流通路11e、及び吹出口通路11fを通過し、その間に除湿ユニット20のデシカント材21で除湿され、ヒータコア14及びPTCヒータ15で加熱されて、乗員が空調装置操作盤30を操作して設定した温度の空調風が吹出口11gから車室内空間1bに吹き出され、再び内気導入通路11bに導入される。
このときの空気の流れのルートをエアコンモードのルートR1とする。
一方、再生モードでは、制御ユニット100は、図5に示すように、内外気切替ダンパ16を内気循環位置に位置させ、再生時排湿ダンパ26を上流通路11cが排湿通路25とエバポレータ13との間で閉じる位置(再生時位置)に位置させる(温度コントロールダンパ17の位置は問題ではない)。これにより、内気導入通路11b、上流通路11cのエバポレータ13より上流側の部分、及び排湿通路25が相互に連通する。
その上で、制御ユニット100は、除湿ユニット20のペルチェ素子22に所定方向に通電する。これにより、図3(b)の正駆動状態が実現し、デシカント材21が基準温度Ta以上の例えば100℃近い高温まで強制的に急加熱され(H)、隙間空間11sが冷却される(C)。また、制御ユニット100は、ブロアファン12を駆動する。これにより、図3(b)に示すように、上流通路11cを上流側から流れてきた空気のうち、デシカント材21を通過した空気は、高温の排湿空気となり、隙間空間11sを通過した空気は、上記排湿空気を冷却するための低温の冷却用空気となる。その場合、上述したように、デシカント材21の断面積S1が隙間空間11sの断面積S2よりも大きい値に設定されているから(S1>S2)、隙間空間11sの通気抵抗が大きくなり、隙間空間11sを流れる空気の流量が減り、デシカント材21を流れる空気の流量が増える。つまり、この再生モードでは、デシカント材21の再生効率が高められる。
なお、制御ユニット100は、この再生モードでは、再生時間の短縮のため、ブロアファン12を最大駆動する。
以上により、再生モードでは、車室内空間1bの空気、すなわち内気が、内気導入通路11b、上流通路11cのエバポレータ13より上流側の部分、及び排湿通路25を通過し、その間に、除湿ユニット20のデシカント材21を通過した空気がペルチェ素子22で基準温度Ta以上の温度まで加熱されたデシカント材21から水分を奪った高温の排湿空気となり、隙間空間11sを通過した空気が低温の排湿空気冷却用の空気となって、排湿空気と冷却用空気とがデシカント材21の下流で合流し、排湿空気の温度が低下する。そして、この温度が低下した排湿空気が排湿通路25を通って車外空間1cに排出される。
なお、この再生モードでは、車室内空間1bの空気が車外空間1cに排出されるので、それを補うために、エキストラクタ1dが開いて、車外空間1cの空気が車室内空間1bに導入される。
このときの空気の流れのルートを再生モードのルートR2とする。
図6は、上記制御ユニット100が行う制御動作の1例を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両1の始動時からスタートする。
制御ユニット100は、スタートスイッチ32がオンされると、ステップS1で、インバータに制御信号を出力して、車両1をREADY(走行可能)状態とする。
制御ユニット100は、ステップS2で、ブロアファン12、PTCヒータ15、及び各ダンパ16,17,26に制御信号を出力して、空調装置10を通常のエアコンモード、すなわち内気循環による暖房モードとする(図1の状態)。このとき、空調風は、デシカント材21を通過して、高効率で除湿される。
制御ユニット100は、ステップS3で、車速センサ33からの信号に基づき、車両1が停車状態又は加速状態か否かを判定する。停車状態とは、始動直後のアクセルペダルをまだ踏み込んでいない状態(発進前)や、あるいは、信号待ち等、車両1の運転中(スタートスイッチ32がオンされている状態)の一時停車の状態等が含まれる。加速状態とは、アクセルペダル(図示せず)が踏み込まれることにより車両1の速度が増大している状態である。制御ユニット100は、YESのときはステップS4に進み、NOのときはステップS2に戻る(エアコンモードの継続)。
制御ユニット100は、ステップS4で、デシカント材21が飽和状態か否かを判定する。この判定は、例えば、前回デシカント材21を再生してからの走行距離や走行時間等から行うことができる(上記走行距離や走行時間が長いほど飽和状態に近い)。あるいは、上述したように、デシカント材21のインプット温度Aとアウトプット温度Bとが略等しいか否かにより行うことができる(いままでB>AだったのがB≒Aに近づくほど飽和状態に近い)。制御ユニット100は、YESのときはステップS5に進み(エアコンモードから再生モードへの切替え)、NOのときはステップS2に戻る(エアコンモードの継続)。
制御ユニット100は、ステップS5で、ブロアファン12、各ダンパ16,17,26、及びペルチェ素子22に制御信号を出力して、空調装置10をデシカント材21の再生モードとする(図5の状態)。詳しくは、再生時排湿ダンパ26を開(排湿通路25を開、上流通路11cを閉)とし、ブロアファン12を全開(最大駆動)とする。また、ペルチェ素子22が正駆動状態となるように通電(所定方向に通電)する(図3(b)の状態)。このとき、除湿ユニット20のデシカント材21を通過した高温の排湿空気と、隙間空間11sを通過した低温の冷却用空気とが合流して、温度が低下した排湿空気が安全に排湿通路25を経由して車外空間1cに排出される。
制御ユニット100は、ステップS6で、デシカント材21の再生度合いを計算する。この計算は、例えば、再生モードの実行時間、デシカント材21の容量、ペルチェ素子22の加熱温度等から行うことができる(上記実行時間が長いほど、上記容量が小さいほど、上記加熱温度が高いほど再生度合いが大きい)。
制御ユニット100は、ステップS7で、デシカント材21の再生度合いが所定の閾値(例えば90%等)以上か否かを判定する。制御ユニット100は、YESのときはステップS2に戻り(再生モードからエアコンモードへの切替え)、NOのときはステップS5に戻る(再生モードの継続)。
以上により、このフローチャートによれば、再生モードは、乗員が車両1に乗車している車両1の運転中に行われる(ステップS3でYES)。
本実施形態では、制御ユニット100は、内気循環による暖房時(ステップS2)は、デシカント材21の再生時(ステップS5)よりも、送風量が少なくなるようにブロアファン12を駆動させる。具体的に、制御ユニット100は、上述したように、エアコンモードでは、空調装置操作盤30からの設定信号に応じた強さでブロアファン12を駆動するのみであるが、再生モードでは、再生時間の短縮のため、ブロアファン12を最大駆動する。
なお、上記実施形態では、図3に示すように、デシカント材21の2面が上流通路11cの内壁と接し、他の2面にペルチェ素子22を設けたが、これに限らず、例えば、図7(a)に示すように、デシカント材21の1面が上流通路11cの内壁と接し、他の3面にペルチェ素子22を設けてもよい。この場合、デシカント材21の再生時は、断面矩形のデシカント材21がペルチェ素子22で3面から加熱されるので、デシカント材21が短時間で高温となり、短時間で再生される。また、デシカント材21を上流通路11cの面部に付けるだけで、デシカント材21の1面が上流通路11cの内壁と接するので、構造がシンプルとなる。
また、例えば、図7(b)に示すように、デシカント材21の全ての面(4面)が上流通路11cの内壁から離間し、全ての面(4面)にペルチェ素子22を設けることもできる。この場合、デシカント材21の再生時は、断面矩形のデシカント材21がペルチェ素子22で全ての面から加熱されるので、デシカント材21が短時間で高温となり、短時間で再生される。なお、デシカント材21の全ての面を上流通路11cの内壁から離間させるためには、例えば、図示したように、脚部材23を介してデシカント材21を上流通路11cに設ければよい。この場合、脚部材23は、隙間空間11sを流れる空気の流通を妨げないよう、支柱状のものや、空気の流れ方向に沿って延びる壁状のもの等が好ましい。
また、デシカント材21の2面が上流通路11cの内壁と接する図3以外の他の態様として、例えば、デシカント材21の上下の面が上流通路11cの上部及び下部の内壁と接する態様や、デシカント材21の左右の側面が上流通路11cの左側部及び右側部の内壁と接する態様等が挙げられる。
また、デシカント材21の1面が上流通路11cの内壁と接する図7(a)以外の他の態様として、例えば、デシカント材21の上面、左側面又は右側面が上流通路11cの上部、左側部又は右側部の内壁と接する態様等が挙げられる。
また、デシカント材21の全ての面が上流通路11cの内壁から離間する図7(b)以外の他の態様として、例えば、脚部材23をデシカント材21の上面、左側面又は右側面と上流通路11cの上部、左側部又は右側部の内壁との間に介設する態様等が挙げられる。
また、ステップS3で、車両1の急減速時にデシカント材21を再生してもよい。この構成によっても、乗員の意識が車両1の挙動に向く時間帯を利用してデシカント材21が再生される。
また、式(1)及び式(2)で、Pを上流通路11c内におけるデシカント材21の上流の圧力と下流の圧力との差圧(Pa)としてもよい。
さらに、第2下流通路11eのPTCヒータ15に代えて、例えば電熱式ヒータや遠赤外線ヒータ等を用いてもよい。
さらに、空調ダクトにおいて、除湿ユニット20をブロアファン12の下流に配設してもよく、除湿ユニット20をヒータコア14及びPTCヒータ15の下流に配設してもよい。
さらに、デシカント材21の再生中に内外気切替ダンパ16を駆動して外気導入を行ってもよい。この場合、湿度の低い外気をデシカント材21に流してデシカント材21を再生するので、デシカント材21からの排湿、すなわちデシカント材21の再生が促進される。
1 車両(電気自動車)
1b 車室内空間
1c 車外空間
10 車両用空調装置
11b 内気導入通路(空調ダクト)
11c 上流通路(空調ダクト)
11e 第2下流通路(空調ダクト)
11f 吹出口通路(空調ダクト)
11s 隙間空間
12 ブロアファン(送風手段)
14 ヒータコア(空調用加熱手段)
15 PTCヒータ(空調用加熱手段)
20 除湿ユニット
21 デシカント材
22 ペルチェ素子
23 脚部材
25 排湿通路
26 再生時排湿ダンパ
100 制御ユニット(制御手段)
S1 デシカント材が占める領域の断面積
S2 隙間空間の断面積
Ta 基準温度(吸排湿反転温度)

Claims (5)

  1. 車室内空間の空調を行う車両用空調装置であって、
    空調ダクトを通過する空気を加熱する空調用加熱手段と、
    上記空調ダクト内において空気の流れ方向と直交する方向の断面積を部分的に占めるように設けられ、空調ダクトの内壁との間に所定の隙間空間を形成するデシカント材と、
    上記デシカント材の上記隙間空間を臨む面に設けられ、隙間空間側の面で吸熱しデシカント材側の面で発熱するペルチェ素子と、
    上記デシカント材の再生時に上記ペルチェ素子を駆動してデシカント材を加熱する制御手段とを有し、
    上記デシカント材が設けられた部分の空調ダクトの断面積のうち、上記デシカント材が占める領域の断面積が上記隙間空間の断面積よりも大きい値に設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 請求項1に記載の車両用空調装置において、
    上記デシカント材の再生時はデシカント材を流れる空気の流量と隙間空間を流れる空気の流量とが等しくなるようにデシカント材が占める領域の断面積と隙間空間の断面積とが設定されていることを特徴とする車両用空調装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用空調装置において、
    上記空調ダクト及びデシカント材は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、
    上記デシカント材は、所定の2面が空調ダクトの内壁と接し、他の2面に上記ペルチェ素子が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
  4. 請求項1又は2に記載の車両用空調装置において、
    上記空調ダクト及びデシカント材は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、
    上記デシカント材は、所定の1面が空調ダクトの内壁と接し、他の3面に上記ペルチェ素子が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
  5. 請求項1又は2に記載の車両用空調装置において、
    上記空調ダクト及びデシカント材は、空気の流れ方向と直交する方向の断面形状が矩形に形成され、
    上記デシカント材は、全ての面が空調ダクトの内壁から離間し、全ての面に上記ペルチェ素子が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
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