ワークを曲げ加工する場合の精度を高めると共に工程数を削減するという目的を、カットにより所定の外形とすると共に位置決め用の穴が形成さたワークを、位置決め穴を用いて第1及び第2曲げ加工部材へ位置決め、且つ第1曲げ加工部材へ押さえつけつつ、第1及び第2曲げ加工部材を相対的に回転変位させるワークの曲げ加工方法及び装置ことにより実現した。
すなわち、ワークの曲げ加工方法は、金属製のワークをカットして所定の外形とすると共にワークの曲げが行われる曲げ対象領域を挟んだ両側にそれぞれ位置決め穴を形成するカット工程と、ワークの曲げ対象領域を挟んだ両側をそれぞれ第1曲げ加工部材上及び第2曲げ加工部材上に配置し、ワークの位置決め穴に位置決めピンを挿通して第1及び第2曲げ加工部材にワークの両側をそれぞれ位置決める位置決め工程と、ワークの曲げ対象領域に対する一側を第1曲げ加工部材に押さえつけると共にワークの第1及び第2曲げ加工部材への位置決め状態を保持しつつ、第1及び第2曲げ加工部材を当該曲げ加工部材間の角度を小さくするように相対的に回転変位させ、押さえつけ部分を起点に曲げ対象領域でのワークの曲げを行う曲げ工程とを備える。
板状のウェブに曲げ対象領域を挟んだ両側に渡るフランジが突設された形鋼であるワークの場合、曲げ工程は、ワークの曲げを当該曲げの内側にフランジを位置させるようにして行うに際し、ウェブの押さえつけ力よりもフランジの押さえつけ力が大きくなるように押さえつけを行う構成を採用してもよい。
また、板状のウェブに曲げ対象領域を挟んだ両側に渡る一対のフランジが逆方向に突設されたZ形鋼であるワークの場合、曲げ工程は、ワークの曲げを当該曲げの内側に一対のフランジの一方を位置させると共に曲げの外側に一対のフランジの他方を配置させるようにして行うに際し、ウェブの押さえつけ力よりも一対のフランジの一方の押さえつけ力が大きくなるように押さえつけを行い、且つ第1曲げ加工部材に対して第2曲げ加工部材を回転変位させることでワークの曲げ対象領域に対する他側で一対のフランジの他方を押圧する構成であってもよい。
ワークの曲げ加工装置は、位置決め穴を有する金属製のワークの曲げが行われる曲げ領域を挟んだる両側をそれぞれ位置決めるための位置決め面と該位置決め面から突設され位置決め穴を挿通する位置決めピンとを有した第1曲げ加工部材及び第2曲げ加工部材と、ワークの曲げ対象領域に対する一側を第1曲げ加工部材に押さえつける押え部材と、第1及び第2曲げ加工部材の少なくとも一方を駆動して第1及び第2曲げ加工部材を両者間の角度を小さくするように相対的に回転変位させ、押さえ部材を起点に曲げ対象領域でのワークの曲げを行わせる駆動部と、第2曲げ加工部材側の位置決めピンを可動支持し、当該位置決めピンをワークの曲げに応じた位置決め穴の変位に追従させる追従機構とを備える。
板状のウェブに曲げ対象領域を挟んだ両側に渡るフランジが突設された形鋼であるワークの場合、押え部材は、ワークの曲げを当該曲げの内側にフランジを位置させるようにして行うに際して、ウェブに当接する当接部と、当該当接部の当接状態でフランジに押し込まれる押込部とを備えた構成であってもよい。
また、板状のウェブに曲げ対象領域を挟んだ両側に渡る一対のフランジが逆方向に突設されたZ形鋼であるワークの場合、押え部材は、ワークの曲げを当該曲げの内側に一対のフランジの一方を位置させると共に曲げの外側に一対のフランジの他方を配置させるようにして行うに際し、ウェブに当接する当接部と、該当接部の当接状態で一対のフランジの一方に押し込まれる押込部とを備え、第2曲げ加工部材は、駆動部により第1曲げ加工部材に対して回転変位されてワークの曲げ対象領域に対する他側で一対のフランジの他方を押圧する押圧部を備えた構成であってもよい。
曲げ加工装置は、押え部材を曲げ対象領域内で曲げの内側に位置するフランジの曲げ線方向での内側に当接させ、且つフランジの曲げ線方向での外側に当接して押え部材との間にフランジをクランプするクランプ部材を備えた構成を採用してもよい。
[ワーク]
図1は、ワークWを示す斜視図であり、(A)は曲げ加工前の状態、(B)は曲げ加工後の状態を示す。
本実施例の曲げ加工後のワークWは、例えば自動車のラダーフレームの先端に用いられるZ形鋼であり、長手方向の一側よりの中間部で幅方向に沿った曲げ線BLにより曲げられている。
このワークWは、板状のウェブWEの幅方向両縁に曲げ部Bに対する両側に渡る一対のフランジF1及びF2が逆方向に突設されている。
また、ワークWには、ボルト等のための穴Hの他、曲げ加工装置の曲げ加工部に対する位置決めのための位置決め穴PHが設けられている。
本実施例では、曲げ加工方法によって曲げ加工前のZ形鋼であるワークWを形成し、さらに曲げ加工方法及び装置によりワークWを長手方向の一側及び他側間の中間部に位置する曲げ対象領域BOで折り曲げる。なお、曲げ対象領域BOは、図1において斜線で示している。
[曲げ加工装置の構造]
図2は、曲げ加工装置1の側面図、図3は、同断面図、図4は、同正面図、図5は、図2の曲げ加工装置1の曲げ加工部5を示す一部省略拡大側面図である。
図2〜図5のように、曲げ加工装置1は、フレーム3と、曲げ加工部5と、搬送部7とを備え、ワークWに対する曲げ加工を行うものである。以下において、長手方向とは、ワークWの搬送方向に沿った曲げ加工装置1の長手方向を意味し、幅方向とは、長手方向に交差する曲げ加工装置1の幅方向を意味し、上下方向とは、長手方向及び幅方向に交差する曲げ加工装置1の上下方向を意味する。また、曲げ線方向は、曲げ線BL(図1)に沿った幅方向を意味する。なお、実施例のワークWの搬送は、図2の右側から左側へと行われる。
フレーム3は、鉄骨等の骨組み部材を平面、正面、側面において矩形枠状に組んだものとなっている。
フレーム3は、下端部においてボルト等の締結具3aによって接地面S上に固定されている。フレーム3の上下方向の中間部には、曲げ加工が行われる曲げ加工領域Rが区画されている。曲げ加工領域Rは、曲げ加工直前にワークWが位置決められる領域をいう。本実施例では、ワークWのウェブWEに沿った領域が曲げ加工領域Rとなっている(図5)。
この曲げ加工領域Rに対し、曲げ加工部5が設けられている。曲げ加工部5は、第1曲げ加工部材9、第2曲げ加工部材11、駆動部13、測定装置15、押さえ部材17、クランプ部材19、先端支持部21を有する。
第1曲げ加工部材9は、相互に分離した先端ブロック23及び中間ブロック25を備えている。なお、先端ブロック23及び中間ブロック25は、一体に構成していもよい。また、先端ブロック23を省略することも可能である。
先端ブロック23は、曲げ加工領域Rの長手方向の一側に配置されている。先端ブロック23は、曲げ加工領域Rの下方で上下方向に伸びる支持フレーム27に対し、支持ブラケット29を介して固定されている。本実施例の先端ブロック23は、フレーム3の幅方向に並んで一対設けられている。
先端ブロック23の上面は、曲げ加工領域Rに面した平坦な位置決め面23aであり、ワークWの長手方向の一側(先端部)を載置可能となっている。位置決め面23aには、位置決めピン23bが出没自在に設けられている。なお、位置決めピン23bの出没は、エアシリンダーや電動モーター等の適宜の駆動装置によって行えばよい。
位置決めピン23bは、位置決め面23aからの突出により位置決め面23a上のワークWに設けられた位置決め穴PH(図1)を挿通し、ワークWの先端部を先端ブロック23に対して位置決める。
位置決めピン23bに対する長手方向の一側には、先端突き当てピン31が設けられている。先端突き当てピン31は、支持ブラケット29を介してフレーム3に支持されている。
先端突き当てピン31は、曲げ加工領域Rに対して出没自在となっている。従って、先端突き当てピン31は、曲げ加工領域Rに対する突出により、搬送されてきたワークWの先端を突き当てて曲げ加工領域RにワークWを大まかに位置決める。なお、先端突き当てピン31の出没は、エアシリンダーや電動モーター等の適宜の駆動装置によって行えばよい。
図6は、中間ブロック25及び押さえ部材17を示す拡大図であり、(A)は中間ブロック25の平面図、(B)はVI−VI線に係る断面図、(C)は側面図である。
中間ブロック25は、曲げ加工時にワークWが押さえ部材17によって押さえつけられる部分である。この中間ブロック25は、図5のように、曲げ加工領域Rの長手方向の中間部に配置されており、フレーム3の上下方向に伸びる支持フレーム27上に固定されている。
中間ブロック25の上面は、曲げ加工領域Rに臨む位置決め面25aであり、ワークWの長手方向の中間部を載置可能となっている。本実施例の位置決め面25aは、図6のように、凸面25aaと凹面25abとで形成されている。
凸面25aaは、L字状に形成されて、曲げ加工領域Rに面した平坦な面となっている。凸面25aaは、幅方向に沿った幅方向領域及び幅方向の他側で長手方向に沿った長手方向領域を有している。
幅方向領域には、幅方向の中央部に押さえ部材17の位置決めピン17cの受けとなる開口25bが設けられている。長手方向領域は、幅方向領域から長手方向の他側に向けて延設され、後述する押さえ部材17の押さえ面17aaの長手方向の縁部に対向する部分にまで至る。
凹面25abは、幅方向の一側に位置した平坦な面であり、凸面25aaに対して一段下がっている。この凹面25abは、後述する押込部17bによるワークWのフランジF1の押込みを許容する。
この中間ブロック25上には、ワークWのウェブWEが載置され、幅方向の他側では、中間ブロック25の側面に沿ってフランジF2が下方に伸びる。この中間ブロック25の側面は、クランプ面25cを構成する。クランプ面25cは、平坦に形成され、幅方向の他側で曲げの外側となるフランジF2の曲げ線方向の内側に当接する。なお、図15(A)のように、逆向きのZ形鋼の場合、幅方向の一側の側面がクランプ面25cを構成する。
図2及び図5のように、第2曲げ加工部材11は、第1曲げ加工部材9に対し、長手方向の他側に間隔をあけて配置されている。第1及び第2曲げ加工部材11間には、開口が区画されている。
第2曲げ加工部材11は、矩形板状であり、駆動部13を介してフレーム3に支持されている。駆動部13は、本実施例において、第2曲げ加工部材11の下方でフレーム3に支持された油圧シリンダーである。
なお、駆動部13は、電動シリンダーやエアシリンダー等のように油圧シリンダー以外の駆動装置であってもよい。以下において、他の油圧シリンダーにも同様のことが言える。
駆動部13は、フレーム3から上方に延設されると共に上部側が長手方向の一側に向かって傾斜している。駆動部13の上端部には、第2曲げ加工部材11の長手方向一側が回転自在に軸支されている。
このため、第2曲げ加工部材11は、駆動部13の伸縮により上下動する。そして、第2曲げ加工部材11は、駆動部13が伸長すると、ワークWに押し付けられつつ上方に移動することになる。これにより、第2曲げ加工部材11は、第1曲げ加工部材9に押さえつけられているワークWを曲げつつ、曲げられたワークWに追従して傾斜することになる。
こうして、第2曲げ加工部材11は、駆動部13により第1曲げ加工部材9に対して第1及び第2曲げ加工部材11間の角度を小さくするように起立方向に回転変位可能となっている。
駆動部13の先端位置は、ワークWの曲げ対象領域BOの中心に対して長手方向において近すぎたり遠すぎたりすると、ワークWに局所的な変形が生じる等により曲げ加工が不安定になる。
このため、駆動部13の先端位置をワークWの断面二次モーメントや曲げ形状等に応じて適切な位置とし、曲げ加工を安定させることができる。また、本実施例では、駆動部13が傾斜して配置されていることにより、スラスト荷重や駆動部13のズレを軽減し、より曲げ加工を安定させることができる。
なお、本実施例では、駆動部13が第2曲げ加工部材11を駆動するが、第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11が相対的に駆動されれば良い。従って、第1曲げ加工部材9を駆動し、或は第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11の双方を駆動する構成とすることも可能である。つまり、第1及び第2曲げ加工部材9及び11の少なくとも一方を駆動すればよい。
第2曲げ加工部材11は、駆動部13の先端から長手方向の他側へ向けて延設されている。この第2曲げ加工部材11の上面は、曲げ加工前の初期位置において、曲げ加工領域Rに面した平坦な位置決め面11aとなっており、ワークWの長手方向の他側を載置可能とする。
位置決め面11aには、位置決めピン11bが設けられている。本実施例の位置決めピン11bは、位置決め面11aに対して出没化可能であると共に長手方向に可動支持されている。
このため、位置決めピン11bは、第2曲げ加工部材11に設けられた長手方向に長い長穴11c内に位置し(図3)、長穴11cの範囲内で長手方向の移動が許容される。位置決めピン11bの出没駆動は、エアシリンダーや電動モーター等の適宜の駆動装置によって行えばよい。
この位置決めピン11bは、突出によりワークWに設けられた位置決め穴PHを挿通し、ワークWの先端部を第2曲げ加工部材11に対して位置決める。第2曲げ加工部材11が回転変位する際は、それによるワークWの曲げに応じて位置決め穴PHが変位するが、この位置決め穴PHの変位に位置決めピン11bが追従して位置決め状態を保持する。従って、本実施例の長穴11cは追従機構を構成する。
なお、追従機構としては、第2曲げ加工部材11及び位置決めピン11b間に設けた溝及びレール等とすることも可能である。その他、追従機構は、第2曲げ加工部材11と駆動部13との間に設け、第2曲げ加工部材11を駆動部13に対して長手方向に可動とすることで、結果的に位置決めピン11bを可動とするものであってもよい。
位置決めピン11bに対する長手方向の一側には、後述する第1エジェクター41用並びに測定装置15用の開口11dが設けられている。
また、第2曲げ加工部材11の幅方向の両端面には、押圧部11eが設けられている。押圧部11eは、長手方向に沿った凸条であり、第2曲げ加工部材11の回転変位時にワークWのフランジF2を押圧する。
なお、ワークWの位置決め状態では、第2曲げ加工部材11の位置決め面11a上にウェブWEが位置し、フランジF2が第2曲げ加工部11の幅方向他側から下方に伸びることになる。
第2曲げ加工部材11に対しては、駆動部13に隣接して測定装置15が設けられている。測定装置15は、第2曲げ加工部材11の下方側でフレーム3に本体部15aが支持され、ロッド15bが第2曲げ加工部材11の開口11dに臨む。
この測定装置15は、第2曲げ加工部材11の開口11dを介してロッド15bが本体部15aから引き出され、ロッド15bの先端がワークWに突き当たった状態での引き出し量によりワークWの曲げ状態を検出可能とする。
押さえ部材17は、ワークWの曲げ加工領域Rに対する一側を第1曲げ加工部材9に押さえつけるものである。本実施例の押さえ部材17は、押さえ駆動部としての油圧シリンダー33の先端に支持されたブロック状となっている。
油圧シリンダー33は、第1曲げ加工部材9の中間ブロック25に対する上方でフレーム3に固定され、上下方向に沿って配置されている。この油圧シリンダー33は、伸縮により、先端の押さえ部材17を第1曲げ加工部材9の中間ブロック25に対して近接離反させる。
押さえ部材17は、図5及び図6のように、ワークWのウェブWEに当接する当接部17aと、この当接部17aの当接状態でフランジF1に押し込まれる押込部17bとを備えている。
当接部17aは、押さえ部材17の両側にレール状に設けられ、下面に押さえ面17aa及び曲げ面17abを備え、側面にクランプ面17acを備えている。
押さえ面17aaは、平坦な面として構成され、第1曲げ加工部材9の中間ブロック25の位置決め面25aに上下方向で対向する。これにより、押さえ面17aaは、ワークWの曲げ対象領域BOに対する一側において、押さえ部材17が下降した際にワークWのウェブWEに当接してウェブWEを中間ブロック25の位置決め面25aに対して押し付ける。
押さえ面17aaには、中間ブロック25の位置決め面25aの開口25bに対応して位置決めピン17cが突設されている。位置決めピン17cは、押さえ部材17が下降した際にワークWの位置決め穴PHを挿通し、ワークWの曲げ対象領域BOに対する一側において押さえ部材17及び中間ブロック25に対する位置決めを行う。
従って、位置決めピンは、第1曲げ加工部材9又は第2曲げ加工部材11に設けられている必要はなく、第1曲げ加工部材9又は第2曲げ加工部材11に対して上下動する部材や押さえ部材17に設ければよい。
曲げ面17abは、押さえ面17aaに対して長手方向の他側に配置されている。曲げ面17abは、湾曲した面であり、ワークWを湾曲形状に沿って曲げるものである。
クランプ面17acは、平坦に形成され、幅方向の一側で曲げの内側となるフランジF1の曲げ線方向の内側に当接する。このクランプ面F1には、押込部17bが突設されている。
押込部17bは、幅方向一側のフランジF1の上縁に対向するブロック状である。押込部17bの上下方向位置は、下面がワークWのフランジF1の上縁に当接した状態で、当接部17aの押さえ面17aaとワークWのウェブWEの表面との間に隙間dが確保されるように設定される。曲げ加工時には、この隙間dの分だけ押込部17bがフランジF1の上縁に押し込まれ、その結果、当接部17aの押さえ面17aaがワークWのウェブWEの表面に当接する。
従って、本実施例では、ウェブWEの押さえつけ力よりもフランジF1の押さえつけ力が大きくなる。
クランプ部材19は、図3のように、曲げ加工領域Rの幅方向両側でフレーム3に取り付けられている。このクランプ部材19は、曲げ加工時に第1曲げ加工部材9のクランプ面25c及び押さえ部材17のクランプ面17acとの間でワークWのフランジF2及びF1の曲げ部Bを曲げ線方向の内外から挟持するものである。
本実施例のクランプ部材19は、それぞれクランプ駆動部としての油圧シリンダー35の先端に設けられている。油圧シリンダー35は、幅方向に沿ってベース35aを介してフレーム3に固定されている。油圧シリンダー35の先端は、幅方向の内側に位置し、クランプ部材19が取り付けられている。
クランプ部材19は、円板状に形成され、油圧シリンダー35の伸縮によって幅方向に移動する。油圧シリンダー35が伸長すると、クランプ部材19は、それぞれ曲げ加工領域R側に移動し、ワークWのフランジF1及びF2の外面に当接する。
先端支持部21は、図2のように、先端支持駆動部としてのエアシリンダー21a及び先端支持片21bを備えている。なお、先端支持駆動部としては、油圧シリンダー、電動シリンダー等のように、エアシリンダー以外の駆動装置でもよい。以下において、他のエアシリンダーについても同様ことが言える。エアシリンダー21aは、フレーム3の上部に支持され、下部側に向けてロッド21aaが伸びるように配置されている。
ロッド21aaの先端には、先端支持片21bが設けられている。先端支持片21bは、エアシリンダー21aのロッド21aaと共に上下動し、下降によりワークWを先端突き当てピン31及び位置決めピン23bとの間で支持する。
図7は、搬送部を示す一部省略側面図である。
搬送部7は、搬入部37、搬出部39、第1エジェクター41、第2エジェクター43を備える。
搬入部37は、例えば複数のローラーからなり、ブラケット37aによりフレーム3の長手方向の他側に固定されている。搬入部37は、曲げ加工領域Rの長手方向の他側上方に位置し、曲げ加工領域Rに向けて下方に傾斜している。この傾斜により、搬入部37は、ワークWを曲げ加工領域R内へと搬送する。搬入部37の幅方向両側には、ワークWの搬入ガイド45が配置されている(図3)。
搬出部39は、搬入部37と同様、複数のローラーからなり、ブラケット39aによりフレーム3の長手方向一側に固定されてている。搬出部39は、曲げ加工領域Rから外側へ向けて下方に傾斜して配置され、この傾斜によりワークWを曲げ加工領域R外へと搬送可能とする。搬出部39の幅方向両側にも、ワークWの搬出ガイド47が配置されている。
第1及び第2エジェクター41及び43は、曲げ加工後のワークWを第2曲げ加工部材11から取り外して搬出部39に載せるためのものである。
図8は、図7の第1エジェクター41を示す正面図である。
第1エジェクター41は、図7及び図8のように、エジェクタ―駆動部としてのエアシリンダー41a及び押上部41bを備えている。エアシリンダー41aは、ブラケット41cによりフレーム3の上部に支持され、上部側にロッド41aaが上方に伸びるように配置されている。
ロッド41aaの先端には、矩形枠状のエジェクター・フレーム41abを介して押上部41bが連結されている。
エジェクター・フレーム41abは、ロッド41aaの先端から第2曲げ加工部材11の側方を通って下部が第2曲げ加工部材11の下方に位置している。エジェクター・フレーム41abの下部内周には、押上部41bが取り付けられている。
押上部41bは、ローラー等からなり、エジェクター・フレーム41abを介してエアシリンダー41aにより上下動する。この上下動により、押上部41bは、第2曲げ加工部材11の開口11dを介して出没するようになっている。
第2エジェクター43は、エジェクター駆動部としてのエアシリンダー43a及び押上部43bを備えている。エアシリンダー43aは、フレーム3に支持され、上部側にロッド43aaが上方に伸びるように配置されている。
ロッド43aaの先端には、ローラー等からなる押上部43bが支持されている。押上部43bは、エアシリンダー43aのロッド43aaと共に上下動し、第1及び第2曲げ加工部材9及び11間の開口を介して曲げ加工領域Rに対して出没するようになっている。
従って、第1及び第2エジェクター41及び43は、押圧部41b及び43bを上昇させることでワークWを傾斜させ、ワークWを自重により搬出部39へと移動させることができる。
[曲げ加工方法]
図9は、曲げ加工方法の流れを示す概念図である。
本実施例の曲げ加工方法は、カット工程S1と、フランジ形成工程S2と、位置決め工程S3と、曲げ工程S4とを備える。位置決め工程S3と曲げ工程S4とが曲げ加工装置1を用いて行われる。
カット工程S1は、母材からワークWをカットして所定の外形とすると共にワークWの曲げが行われる曲げ対象領域BOの両側にそれぞれ位置決め用の位置決め穴PHを形成する。
本実施例のカット工程S1は、レーザー加工機を用いて行われる。すなわち、カット工程S1は、レーザー加工機を制御してレーザー光を母材に照射し、母材から所定の外形を有する平板状のワークWを切り出すと共に位置決め穴PHを形成する。
本実施例のワークWは、ボルト等のための穴Hも形成される。このため、位置決め穴PHは、それら穴Hと共に形成することができるので、追加の工程が不要である。
なお、カット工程S1は、プレス機を用いた打ち抜きによって行うことも可能である。図9のワークWは、図2及び図3の曲げ加工装置1の位置決めピン23b、17c、11bに対応するように位置決め穴PHが設けられているわけではないが、曲げ加工装置1において位置決め穴PHに合わせて位置決めピンを配置すればよい。このため、以下においては、図9のワークWを前提にして説明する。
フランジ形成工程S2は、平板状のワークWに対し、幅方向の両縁に長手方向に沿ったフランジF1及びF2を形成する。
本実施例のフランジ形成工程S2は、プレスブレーキを用いて行われる。すなわち、ヘミング金型を用いたプレスにより、ワークWの幅方向縁部にフランジF1及びF2を各別に立ち上げてワークWをZ形鋼とする。
なお、フランジ形成工程S2は、ロボット等によるロール・ヘミングで行うことも可能である。また、本実施例では、ワークWをZ形鋼としているが、他の形状の形鋼とすることも可能である。また、フランジ形成工程を省略して、平板状のワークWとすることも可能である。
位置決め工程S3は、図1、図5、及び図9のように、ワークWの曲げ対象領域BOに対する両側をそれぞれ曲げ加工装置1の第1曲げ加工部材9上及び第2曲げ加工部材11上に配置し、ワークWの位置決め穴PHに第1及び第2曲げ加工部材9及び11に設けられた位置決めピン23b及び11bを挿通する。
本実施例では、フランジF1及びF2が形成された後にワークWを曲げ加工装置1の搬送部7の搬入部37から搬入する。この搬入は、搬入部37の傾斜に応じてワークWが自重により曲げ加工領域Rまで移動することで行われる。
ワークWが曲げ加工領域Rに到達すると、ワークWが先端突き当てピン31に突き当たって曲げ加工領域Rに大まかに位置決められる。この状態で、第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11の位置決めピン23b及び11bを突出させてワークWの位置決め穴PHを挿通する。これにより、ワークWの曲げ対象領域BOの両側がそれぞれ第1及び第2曲げ加工部材9及び11に位置決められることになる。
なお、位置決めピン23b及び11bの何れか一方でも位置決め穴PHを挿通してない場合は位置決めエラーとなる。位置決めエラーの判断は、センサー等によって検出すればよい。
図10〜図13は、曲げ工程の詳細を示す図表であり、図10は、側面図、図11は、図10のXI−XI線に係る断面図、図12は、図10のXII−XII線に係る断面図、図13は、ワークWの平面図である。なお、図10〜図13は、(A)〜(F)がそれぞれ曲げ工程S4のサブ工程1〜5並びに完了状態を示している。
なお、図10〜図13は、概略構成を示し、位置決めピンを省略したこと等、他の図とは形状が相違する部分がある。また、図10では、押込み部17b及び押圧部11eが重要な働きをすることから、断面ではないが、斜線により示している。
曲げ工程S4は、まずサブ工程1において、図10(A)及び図11(A)のように、ワークWの曲げ対象領域BO(図1)に対する一側を第1曲げ加工部材9に押さえつける。押さえつけは、押さえ部材17を初期位置から下降させて押込部17bをワークWの幅方向の一側でフランジF1の上縁に突き当てる。この状態では、当接部17aがワークWのウェブWEの表面から浮いた状態となっている。
次いで、サブ工程2において、図10(B)及び図11(B)のように押さえ部材17を更に下降させて当接部17aをワークWのウェブWEの表面に当接させると、その下降の分だけ押込部17bがワークWのフランジF1に対して上縁から押し込まれる。
このとき、ウェブWEの幅方向の一側では、フランジF1の押込みに応じて第1曲げ加工部材9の位置決め面25aの凹面25ab側に押し込まれることになる(図11)。
こうしてワークWの曲げ対象領域BOに対する一側では、ウェブWEの押さえつけ力よりもフランジF1の押さえつけ力が大きくなるようにワークWの第1曲げ加工部材9に対する押さえつけが行われ、且つワークWの幅方向一側が下降するようにフランジF1及びウェブWEに捩じれが加えられた状態となる。図13では、捩じれによる応力を斜線により示している(以下、同じ。)。
加えて、本実施例では、クランプ部材19のクランプ部材19をワークWの曲げ対象領域BOのフランジF1及びF2に幅方向両側から当接させる(図6(B))。これにより、幅方向一側においては、フランジF1をクランプ部材19と押さえ部材17のクランプ面17acとの間で挟持し、幅方向他側においては、フランジF2をクランプ部材19と第1曲げ加工部材9の中間ブロック25のクランプ面25cとの間で挟持する。
さらに、本実施例では、先端支持部21により、ワークWの先端部を先端突き当てピン31と位置決めピン23bとの間において支持する。
次いで、サブ工程3において、図10(C)及び図12(C)のように、ワークWの曲げ対象領域BOに対する他側を第2曲げ加工部材11により上方へ押圧開始する。すなわち、駆動部13を伸長させて第2曲げ加工部材11の上昇を開始する。
なお、位置決め工程S3で位置決めた状態においては、図12(A)及び(B)のサブ工程1及び2のように、第2曲げ加工部材11の押圧部11eがワークWの幅方向他側のフランジF2を加圧しない状態となっている。
図10(A)及び(B)並びに図12(A)及び(B)のサブ工程1及び2では、理解を容易にするために、第2曲げ加工部材11がワークWから大きく離れているが、実際は、位置決めピン11bがワークWの位置決め穴PHを挿通して位置決めができる程度に近接している。
かかる押圧の開始により、第2曲げ加工部材11の押圧部11eが幅方向の他側でフランジF2の下縁を上方に押圧する。これにより、ワークWの長手方向の他側では、幅方向の他側が上昇するように捩じれ、第2曲げ加工部材11が押圧部11eで幅方向他側のフランジF2を押圧すると同時に幅方向の一側のウェブWEを押圧する(図12)。
次いで、サブ工程4では、図10(D)のように、押さえ部分を起点にしたワークWの曲げを開始する。具体的には、ワークWの第1及び第2曲げ加工部材9及び11への位置決め状態を保持しつつ、第2曲げ加工部材11の上昇を進行させる。
第2曲げ加工部材11の上昇を進行させると、第2曲げ加工部材11は、駆動部13の押圧力でワークWに押し付けられ、ワークWに沿ったまま上昇しつつワークWを押さえ部分を起点に曲げることになる。
このため、第2曲げ加工部材11は、ワークWの曲げに応じて傾斜し、ワークWに対する駆動部13の押圧力を適切に伝達してワークWを円滑に曲げることができる。
また、ワークWに沿って第2曲げ加工部材11が傾斜することで、位置決めピン11bと位置決め穴PHとの挿通状態を維持する。このとき、ワークWの傾斜により位置決めピン11bと位置決め穴PHとの位置関係にずれが生じるが、そのずれを第2曲げ加工部材11に可動支持されている位置決めピン11bが吸収することになる。
こうして、本実施例では、ワークWの曲げ対象領域BOに対する両側の第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11に対する位置決め状態を確実に保持しながら、意図した曲げ線BLによってワークWの曲げを行うことができる。
従って、ワークWの曲げ精度を向上することができる。特に、Z形鋼では、通常、こうした曲げを精度よく行うことは困難であったが、本実施例では、ワークWの位置決めと、ウェブWEよりも曲げ内側のフランジF1の押さえつけ力を大きくした押さえつけとにより、Z形鋼であるワークWを精度よく行うことができる。
また、本実施例では、幅方向の両側において、フランジF1及びF2が内外から挟持されているため、フランジF1及びF2に変形が生じることがなく、かかる点からもワークWの曲げ精度を向上することができる。
最後に、サブ工程5では、図10(E)のように、第2曲げ加工部材11を所望の高さまで上昇させ、曲げ加工を終了する。曲げ加工を終了した後は、駆動部13を収縮させて第2曲げ加工部材11を下降させ、クランプ部材19のクランプ部材19を退避させ、押さえ部材17を上昇させる。
これにより、曲げ加工が行われたワークWは、先端支持部21でのみ支持されたフリー状態となる。このとき、ワークWは、サブ工程2及び3おいて捩じれを加えていたため、図10(F)、図11(F)、図12(F)のように、曲げ加工後のフリー状態で捻じれのない製品となる。従って、かかる点からもワークWの曲げ精度を向上することができる。
この状態で、本実施例では、測定装置15が第2曲げ加工部材11の開口11dを介してロッド15bの先端をワークWに突き当てて、ロッド15bの本体部15aからの引き出し長さによってワークWの曲げ状態を測定する。
測定結果が公差の範囲内であれば、曲げ加工が完了する。一方、交差外である場合は、再度、図10〜図12に記載のサブ工程1〜5を行うことになる。
曲げ工程が完了した場合は、先端突き当てピン31及び第1曲げ加工部材9の位置決めピン23b並びに第2曲げ加工部材11の位置決めピン11bを没入させ、搬送部7の第1及び第2エジェクター41及び43によりワークWの曲げ部Bに対する他側を上昇させる。これにより、ワークWは、傾斜して自重により搬送部7の搬出部39側に移動し、搬出部39から搬出されることになる。
[比較例]
図14は、比較例に係る曲げ工程によって曲げられたワークW1を示し、(A)は側面図、(B)はB−B線に係る断面図、(C)はC−C線に係る断面図、(D)は平面図である。
比較例は、実施例1に対してサブ工程2及び3で捩じれを加えず、それ以外を実施例1と同様にしてワークW1の曲げを行ったものである。
この結果、比較例では、サブ工程5のように曲げ工程が終了してフリー状態とすると、ワークW1の曲げ部B1の他側において大きく捩じれ、当該他側が一側に対して幅方向にずれてしまっている。
従って、比較例では、加工精度が低下してしまっている。しかし、製品によっては、そのような加工精度の低下が許容されることもあるため、本発明は、比較例のように必ずしもサブ工程2及び3の捩じれを加えなくてもよい。
[実施例1の効果]
本実施例の曲げ加工方法は、金属製のワークWをカットして所定の外形とすると共にワークWの曲げが行われる曲げ対象領域BOを挟んだ両側にそれぞれ位置決め穴PHを形成するカット工程S1と、ワークWの曲げ対象領域BOを挟んだ両側をそれぞれ第1曲げ加工部材9上及び第2曲げ加工部材11上に配置し、ワークWの位置決め穴PHに位置決めピン23b及び11bを挿通してワークWの両側をそれぞれ第1及び第2曲げ加工部材9及び11に位置決める位置決め工程S3と、ワークWの曲げ対象領域BOに対する一側を第1曲げ加工部材9に押さえつけると共にワークWの第1及び第2曲げ加工部材9及び11への位置決め状態を保持しつつ、第1及び第2曲げ加工部材9及び11を当該曲げ加工部材9及び11間の角度を小さくするように相対的に回転変位させ、押さえつけ部分を起点に曲げ対象領域BOでのワークWの曲げを行う曲げ工程S4とを備える。
従って、本実施例の曲げ加工方法では、ワークWの曲げ対象領域BOを挟んだ両側を第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11に対して位置決めた状態で、第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11を相対的に回転変位させることにより、意図した曲げ線BLに沿ってワークWの曲げを精度よく行うことができる。
しかも、本実施例の曲げ加工方法では、プレスによる曲げではないので、曲げ工程よりも前に一度カット工程S1を行うだけでよく、工程数を削減することができる。
また、カット工程S1を利用して位置決め穴PHを形成できるため、位置決め穴PHの形成による工程増もない。
このように、本実施例の曲げ加工方法は、ワークWを曲げ加工する場合に精度を高めると共に工程数を削減することができる。
また、本実施例の曲げ加工方法では、ワークWが板状のウェブWEに曲げ対象領域BOに対する両側に渡るフランジF1が突設された形鋼であり、曲げ工程S4が、ワークWの曲げを当該曲げの内側にフランジF1を位置させるようにして行うに際し、ウェブWEの押さえつけ力よりもフランジF1の押さえつけ力が大きくなるようにして押さえつけを行う。
従って、ワークWがウェブWE側よりもフランジF1側の曲げ剛性が向上している場合でも、フランジF1をより大きな力で押さえつけることにより、ワークWを精度よく確実に曲げることができる。
特に、本実施例のワークWは、ウェブWEに対して一対のフランジF1及びF2が逆方向に突設されたZ形鋼である。
このため、曲げ工程S4は、ワークWの曲げを当該曲げの内側に一対のフランジF1及びF2の一方(フランジF1)を位置させると共に曲げの外側に一対のフランジF1及びF2の他方(フランジF2)を配置させるようにして行うに際し、曲げ対象領域BOに対する一側でウェブWEの押さえつけ力よりもフランジF1の押さえつけ力が大きくなるようにして押さえつけを行い、且つ曲げ対象領域BOに対する他側で第1曲げ加工部材9に対して第2曲げ加工部材11を回転変位させることでワークWのフランジF2の他方を押圧する。
従って、本実施例の曲げ加工方法では、フランジF1の押込みとフランジF2の押圧とでワークWに捩じれを加えた状態で曲げを行うことで、曲げ加工後のワークWに捩じれを生じさせないようにすることができ、Z形鋼であるワークWの曲げ加工の精度を更に高めることができる。
曲げ工程S4は、曲げ対象領域BO内でフランジF1及びF2を曲げ線方向の内外からクランプしつつワークWの曲げを行うので、フランジF1及びF2に変形が生じることがなく、かかる点からもワークWの曲げに対する精度を向上することができる。
本実施例の曲げ加工装置1は、位置決め穴PHを有するワークWの曲げ対象領域BOを挟んだ両側をそれぞれ位置決めるための位置決め面23a及び11aと当該位置決め面23a及び11aから突設され位置決め穴PHを挿通する位置決めピン23b及び11bとを有した第1曲げ加工部材及び第2曲げ加工部材9及び11と、ワークWの曲げ対象領域BOに対する一側を第1曲げ加工部材9に押さえつける押さえ部材17と、第1及び第2曲げ加工部材9及び11の少なくとも一方(第2曲げ加工部材11)を駆動して第1及び第2曲げ加工部材9及び11を両者間の角度を小さくするように相対的に回転変位させ、押さえ部材17を起点に曲げ対象領域BOでのワークWの曲げを行わせる駆動部13と、第2曲げ加工部材11側の位置決めピン11bを可動支持し、当該位置決めピン11bをワークWの曲げに応じた位置決め穴PHの変位に追従させる追従機構としての長穴11cとを備えた。
従って、本実施例の曲げ加工装置1は、曲げ加工方法の位置決め工程S3及び曲げ工程S4を容易且つ確実に行わせ、ワークWを精度よく曲げることを可能とする。
第2曲げ加工部材11は、駆動部13に回転自在に結合されてワークWの曲げに追従して傾斜するので、ワークWに対し駆動部13の押圧力を適切に伝達してワークWを円滑に曲げることができると共にワークWの曲げ対象領域BOに対する両側の第1曲げ加工部材9及び第2曲げ加工部材11に対する位置決め状態を確実に保持できる。
押さえ部材17は、ワークWの曲げを当該曲げの内側にフランジF1を位置させるようにして行うに際してウェブWEに当接する当接部17aと、当該当接部17aの当接状態でフランジF1に押し込まれる押込部17bとを備える。
従って、本実施例の曲げ加工装置1では、当接部17aのウェブWEに対する当接と押込部17bのフランジF1への押込みとにより、ウェブWEの押さえつけ力よりもフランジF1の押さえつけ力が大きくなるような押さえつけを容易に実現できる。
また、押さえ部材17は、ワークWの曲げを当該曲げの内側に一対のフランジF1及びF2の一方(フランジF1)を位置させると共に曲げの外側に一対のフランジF1及びF2の他方(フランジF2)を配置させるようにして行うに際し、曲げ対象領域BOに対する一側で、当接部17aがウェブWEに当接し、当該当接部17aの当接状態で押込部17bがフランジF1に押し込まれる。さらに、第2曲げ加工部材11は、駆動部13により第1曲げ加工部材9に対して回転変位されて、ワークWの曲げ対象領域BOに対する他側でフランジF2を押圧する押圧部11eを備える。
従って、本実施例の曲げ加工装置1では、容易且つ確実にフランジF1の押込みとフランジF2の押圧とでワークWに捩じれを加えた状態で曲げを行うことができる。
押さえ部材17は、曲げ対象領域BO内でフランジF1の曲げ線方向での内側に当接し、フランジF1の曲げ線方向での外側に当接して押さえ部材17との間にフランジF1をクランプするクランプ部材19を備える。
従って、押さえ部材17を利用してクランプ部材19との間でフランジF1をクランプすることができる。
[変形例]
図15は、変形例に係るワークを示す斜視図であり、(A)は実施例1とは逆向きのZ形鋼、(B)は平板、(C)及び(D)は溝形鋼(チャンネル鋼)、(E)及び(F)は山形鋼(L字鋼)のワークである
図15のように、本発明の曲げ加工方法及び曲げ加工装置1は、Z形鋼に限られず、例えば平板や他の形鋼である溝形鋼や山形鋼の曲げにも適用可能である。