JP6144555B2 - 可塑性油脂組成物 - Google Patents
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Description
ベーカリー製品のジューシー感に関する先行技術としては、特定の油脂を用いてジューシー感を得る方法や、乳化剤を用いてジューシー感を得る方法があげられる。
上記の特定の油脂を用いてジューシー感を得る方法を記載した先行技術文献としては特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
特許文献2には、ラウリン系ハードバター、パーム油起源の非選択的エステル交換油脂及び乳脂肪をそれぞれ特定量含有し、SFCが特定値であるロールイン用可塑性油中水型乳化物が記載されている。特許文献2のロールイン用可塑性油中水型乳化物もSFCを特定の範囲とするために液状油を多く配合する必要があり、ペストリー食品は口に入れる前からべとついた状態にあり、さらにこれを食してもべとついた食感となってしまうという欠点があり、上記のジューシー感を得ることはできなかった。
特許文献3には、シュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた1種以上の結晶調整剤を用いたロールイン用油中水型乳化組成物によりジューシー感を有するペストリー食品を提供できることが記載されている。しかし、特許文献3のロールイン用油中水型乳化組成物は乳化剤を用いるため、ペストリー食品の風味が悪くなるという欠点があった。また特許文献3のロールイン用油中水型乳化組成物は、特定の範囲のSFCとするために液状油を多く配合する必要があり、ペストリー食品は口に入れる前からべとついた状態にあり、さらにこれを食してもべとついた食感となってしまうという欠点があり、上記のジューシー感を得ることはできなかった。
すなわち、本発明は、全油脂中のトリグリセリド組成が、下記条件1)〜4)を全て満たし、さらにアミロース含量が30質量%以上の澱粉を含有することを特徴とする可塑性油脂組成物を提供するものである。
1)S3の含有量が0.1〜8質量%
2)s2Uの含有量が28質量%以上
3)s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが2より大きいこと
4)sD2の含有量とU3の含有量の合計量が20〜40質量%
ただし、
S3:Sが3分子結合しているトリグリセリド
s2U:sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
sD2:sが1分子、Dが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
また、上記条件1)〜4)中のS、s、U、P、St及びDは、それぞれ以下の脂肪酸残基を示す。
S :飽和脂肪酸残基
s :炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基
U :炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基
P :パルミチン酸残基
St:ステアリン酸残基
D :炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基
本発明の可塑性油脂組成物は、全油脂中のトリグリセリド組成が上記の条件1)〜4)を全て満たすことが必要である。
本発明の可塑性油脂組成物は、S3の含有量が0.1〜8質量%、好ましくは1〜7質量%、さらに好ましくは2〜6質量%、最も好ましくは3〜5質量%である。上記のS3はSが3分子結合しているトリグリセリド(=トリアシルグリセロール、以下同じ)を表す。上記のSは飽和脂肪酸残基を示し、具体的には飽和脂肪酸残基の炭素数は8〜22であり、具体的にはカプリル酸残基、カプリン酸残基、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、アラキジン酸残基及びベヘン酸残基の中から選ばれた1種又は2種以上である。
上記のS3の含有量が0.1質量%よりも少ないと層状ベーカリーの内層不良となり、8質量%よりも多いと口溶けが悪く、ジューシー感を有するベーカリー製品、特に層状ベーカリー製品が得られない。
本発明の可塑性油脂組成物は、s2Uの含有量が28質量%以上、好ましくは31質量%以上、さらに好ましくは34質量%以上、最も好ましくは37〜60質量%である。
上記のs2Uの含有量が28質量%よりも少ないとジューシー感を有するベーカリー製品、特に層状ベーカリー製品が得られない。上記のs2Uは、sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリドを表す。上記のsは炭素数が16〜18の飽和脂肪酸残基を示し、具体的にはパルミチン酸残基(P)及び/又はステアリン酸残基(St)である。上記のUは炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基を示し、具体的にはオレイン酸残基、リノール酸残基及びリノレン酸残基の中から選ばれた1種又は2種以上である。
本発明の可塑性油脂組成物は、s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが2より大きく、好ましくは2超6以下、さらに好ましくは2超5以下、最も好ましくは2超4以下である。
上記のs2Uを構成するPとStの質量比率であるP/St(質量基準)が2以下であるとs2Uの融点が高くなりやすいため、口溶けが悪く、ジューシー感を有するベーカリー製品が得られない。
本発明の可塑性油脂組成物は、sD2の含有量とU3の含有量の合計量が20〜40質量%、好ましくは20〜35質量%、さらに好ましくは20〜30質量%、最も好ましくは20〜25質量%である。上記のsD2の含有量とU3の含有量の合計量が20質量%よりも少ないと可塑性油脂組成物の伸展性が損なわれ、40質量%よりも多いと口溶けは良いものの、ベとついた食感を有するベーカリー食品となる。上記のsD2はsが1分子、Dが2分子結合しているトリグリセリドを表す。上記のU3はUが3分子結合しているトリグリセリドを表す。上記のDは、炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基を示し、具体的にはリノール酸残基及び/又はリノレン酸残基である。
本発明の全油脂中のトリグリセリド組成が特定範囲である可塑性油脂組成物が焼成により一度溶解し、焼成後、冷却されることにより、可塑性油脂組成物は液状成分である油脂のまわりを固体脂で取り囲んだ状態でベーカリー製品中に存在する。この状態のベーカリー製品を食すると、口に入れた瞬間は油性感がないが、口中の温度と歯で噛むことにより、固体脂部分から液状成分である油脂がにじみ出てくるために、ジューシー感が得られると考えられる。
条件5)としては、ラウリン酸の含有量を、好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、一層好ましくは6質量%以下、最も好ましくは5質量%以下とする。
上記のラウリン酸の含有量が8質量%よりも多いと口溶けは良好なものの、ジューシー感を有するベーカリー製品が得られにくい。上記のラウリン酸の含有量は、少なければ少ないほど、好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物の全油脂中、上記油脂Bの含有量が5質量%よりも少ないとs2Uの含有量が少なくなるためジューシー感を有するベーカリー製品を得難い場合が有り、55質量%よりも多いとsD2の含有量とU3の含有量の合計量が不足し、可塑性油脂組成物が伸展性不足となりやすい。
上記の液状油脂とは常温(30℃)で液状の油脂を指し、好ましくは融点20℃未満である油脂、最も好ましくは融点10℃未満である油脂である。
上記のその他の油脂としては、パーム核油、ヤシ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記その他の油脂の含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の全油脂中、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、最も好ましくは19質量%以下である。
硬化油には通常、構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれているためであり、トランス酸に起因する健康阻害回避のため本発明では含有しないことが好ましい。
ただし、極度硬化油脂は完全に水素添加されており、トランス酸を含まないため、本発明では極度硬化油を含有することは構わない。
本発明の可塑性油脂組成物の全油脂中の脂肪酸組成において、トランス酸の含有量は好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。
澱粉は、ブドウ糖を構成単位として直鎖状に結合した構造のアミロースと、分岐の多い構造のアミロペクチンから構成される。アミロースとアミロペクチンの比率は澱粉の種類によって大きく異なっており、例えばコーンスターチではアミロース含量が25%程度、米澱粉では15〜20%程度、もち米では0%に近いことが知られている。
上記アミロース含量が30質量%以上の澱粉としては特に制限されず、アミロース含量が30質量%以上であれば、一般的な穀物由来の澱粉、例えば米、小麦、大麦、トウモロコシなどの澱粉や、地下茎由来の澱粉、例えば馬鈴薯、甘薯、タピオカなどの澱粉等が利用可能であるが、より好ましくはコーンスターチである。
また、特に好ましくは湿熱処理されたハイアミロース澱粉を使用し、最も好ましくは湿熱処理されたハイアミロースコーンスターチを使用する。湿熱処理されたハイアミロース澱粉、特に湿熱処理されたハイアミロースコーンスターチを使用することで、ジューシー感をより長い期間維持することができる。
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記の糖類の含有量及び上記の甘味料の含有量の合計は、固形物換算で好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明の可塑性油脂組成物は、その製造方法が特に制限されるものではなく、上記条件1)〜4)を満たす油相を溶解し、さらに上記アミロース含量が30質量%以上の澱粉を油相へ分散させた後、冷却し、可塑化することにより得ることができる。
急冷可塑化の際に、ピンマシン等の捏和装置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
以下に、本発明のベーカリー製品について説明する。
また、本発明のベーカリー製品が層状ベーカリー製品であるときの層数は、目的とする製品により異なるものであり、特に限定されるものではないが、好ましくは9〜144層、より好ましくは16〜64層である。
(配合油の製造例)
油脂Aとして豚脂(S3:3.7質量%、s2U:30.9質量%、s2U中のP/St:1.8、sD2+U3:26.6質量%)、油脂Bとしてパーム分別中部油(S3:1.5質量%、s2U:64.5質量%、s2U中のP/St:11.1、sD2+U3:10.4質量%)、油脂Cとしてパーム極度硬化油(S3:100質量%)、油脂Dとして菜種油(S3:0質量%、s2U:0.8質量%、s2U中のP/St:3.7、sD2+U3:83質量%)を選定し、これらのうち、油脂Aと油脂Bと油脂Cとを用い、必要により油脂Dを用いて、表1に示す組成の配合油A〜Cを調製した。
また、油脂A〜Dから1種又は2種以上の油脂を用いて、表1に示す組成の配合油Dを調製した。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)2質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Aを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)1質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水16質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Bを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)4質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水13質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Cを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)0.1質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水16.9質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Dを得た。
配合油B82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)2質量部を分散させ、油相を調製した調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Eを得た。
配合油C82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)2質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Fを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、ハイアミロースコーンスターチ(アミロース含量約70%)2質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である本発明の可塑性油脂組成物Gを得た。
配合油D82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、湿熱処理したハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB−450」、アミロース含量約70%)2質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である比較例の可塑性油脂組成物Hを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である比較例の可塑性油脂組成物Iを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、コーンスターチ(アミロース含量約25%)10質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水7質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である比較例の可塑性油脂組成物Jを得た。
配合油C82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、コーンスターチ(アミロース含量約25%)2質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水15質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である比較例の可塑性油脂組成物Kを得た。
配合油A82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合したのち、米澱粉(アミロース含量約20%)3質量部を分散させ、油相を調製した。調製した油相に水相として水14質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、5℃で2週間保管し、ロールイン用である比較例の可塑性油脂組成物Lを得た。
実施例1〜7、比較例1及び参考例1〜4で得られたロールイン用である可塑性油脂組成物A〜Lを用いて、下記配合と製法により使用例1〜7及び比較使用例1〜5のデニッシュをそれぞれ製造した。また、比較使用例6では、ロールイン用油脂として可塑性油脂組成物Iを用い、下記配合と製法により比較使用例6のデニッシュを製造した。
強力粉 100質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.2質量部
上白糖 10質量部
全卵 10質量部
練り込み用マーガリン 5質量部
水 50質量部
ロールイン用油脂組成物 50質量部
強力粉 100質量部
ハイアミロースコーンスターチ(三和澱粉工業社製、製品名「アミロジェルHB-450」) 0.9質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.2質量部
上白糖 10質量部
全卵 10質量部
練り込み用マーガリン 5質量部
水 50質量部
ロールイン用油脂組成物 50質量部
練り込み用マーガリンとロールイン用油脂組成物以外の原料をミキサーボールに入れ、フックを用い、縦型ミキサーにてL3、M3にてミキシングを行い、練り込み用マーガリンを入れ、さらにL3、M3にてミキシングを行い、生地を調製する。この生地をフロアタイム20分、−5℃の冷凍庫で24時間リタードさせた。この生地にロールイン用油脂組成物をのせ、常法により、ロールイン(3つ折り3回)し、成型(縦10センチ、横10センチ、厚さ3ミリ)した。そしてホイロ(32℃ 50分)をとり、200℃15分にて焼成した。
焼成2時間後、並びに封をしてから1日後及び3日後の状態を下記基準で評価した。結果を[表2]に示す。下記の基準のうち、総合評価では、デニッシュの食感について総合的に評価した。
◎:ジューシー感を十分に感じ、極めて良好である
○ :ジューシー感を感じ、良好である
△:ややジューシー感を感じるものの、十分ではない
×:全くジューシー感が感じられない
◎:まったくべとつきが感じられず、極めて良好である
○ :ほとんどベとつきがなく、良好である
△:口に入れた際に、唇に油脂が付着しベとつく
×:デニッシュを持った時点で、手がベとつく
◎:非常に良好である
○ :良好である
△:やや不良である
×:不良である
Claims (6)
- 油脂の含有量が70〜90質量%であり、全油脂中のトリグリセリド組成が、下記条件1)〜4)を全て満たし、さらにアミロース含量が50質量%以上である澱粉を0.1〜5質量%含有する、油中水型乳化物であることを特徴とする可塑性油脂組成物。
1)S3の含有量が0.1〜8質量%
2)s2Uの含有量が28質量%以上
3)s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが2より大きいこと
4)sD2の含有量とU3の含有量の合計量が20〜40質量%
ただし、
S3 :Sが3分子結合しているトリグリセリド
s2U:sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
sD2:sが1分子、Dが2分子結合しているトリグリセリド
U3 :Uが3分子結合しているトリグリセリド
また、上記条件1)〜4)中のS、s、U、P、St及びDは、それぞれ以下の脂肪酸残基を示す。
S :飽和脂肪酸残基
s :炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基
U :炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基
P :パルミチン酸残基
St:ステアリン酸残基
D :炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基 - さらに全油脂中の脂肪酸組成が、下記条件5)を満たす請求項1に記載の可塑性油脂組成物。
5)ラウリン酸の含有量が8質量%以下 - 上記アミロース含量が50質量%以上の澱粉がコーンスターチである、請求項1又は2に記載の可塑性油脂組成物。
- 層状ベーカリー製品用である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の可塑性油脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可塑性油脂組成物を用いたベーカリー製品。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可塑性油脂組成物を用いた包装ベーカリー製品。
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