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JP6023395B2 - 触媒担持フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、触媒担持フィルタに関する。更に詳しくは、ディーゼルエンジン等の内燃機関、又は各種燃焼装置から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質の捕集と、NOの浄化を良好に行うことが可能な触媒担持フィルタに関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関、又は各種燃焼装置(以下、適宜「内燃機関等」という)から排出される排ガスにはスート(黒鉛)を主体とする粒子状物質(以下、適宜「パティキュレート・マター」、「パティキュレート」、或いは「PM」という)が多量に含まれている。このパティキュレートがそのまま大気中に放出されると環境汚染を引き起こすため、内燃機関等からの排ガス流路には、パティキュレートを捕集するためのフィルタが搭載されていることが一般的である。
このような目的で使用されるフィルタとしては、例えば、多数の細孔を有する多孔質セラミックスからなる隔壁によって、排ガスの流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造の基体を有し、上記複数のセルの一方の開口端部と他方の端部とが目封止部によって、互い違いに目封じされてなるハニカムフィルタを挙げることができる。
例えば、図8に示されるハニカムフィルタ110は、多数の細孔を有する多孔質セラミックスからなる隔壁105によって、複数のセル101が区画形成されたハニカム構造の基材(例えば、ハニカム構造体100)を備え、複数のセル101の一方の開口端部Xと他方の端部Yとが目封止部107によって、互い違いに目封じされている。このようなハニカムフィルタ110は、一方の開口端部Xが開口したセル101aからガスGが流入すると、セル101aを区画形成する隔壁105の表面から隔壁105を通過して、他方の端部Yが開口したセル101bからガスGが流出するように構成されている。即ち、セル101aに流入したガスGは、隔壁105に形成された細孔を経由してセル101bに流出し、ハニカムフィルタ110の他方の端部Yから排出される。そして、上述したように排ガス(ガスG)が隔壁を通過する際に、排ガス中のパティキュレートが隔壁に捕集され、浄化ガスが浄化される。
また、近年、自動車の排ガス中の有害物質に対する規制は、世界的に強化される方向にあり、このような背景の下、排ガスの処理技術として、上記したハニカムフィルタ(例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」ともいう))に加え、ディーゼル酸化触媒(DOC)、NO選択還元触媒(SCR)、NO吸蔵還元触媒(LNT)、三元触媒等の開発も行われている。例えば、近時のディーゼルエンジン自動車の排ガス浄化装置としては、DPFとSCRとを備えたものを挙げることができる(例えば、特許文献1及び2参照)。
例えば、特許文献1には、ディーゼルエンジンの排気通路に、NOを還元浄化する触媒を配設するとともに、このNO浄化触媒の上流側に、上流側から順に酸化触媒と、ディーゼル機関から排出されるPMを捕集できるフィルタ、NOの一部をNOに酸化させる目的の酸化触媒を直列に配設したディーゼルエンジンの排ガス浄化装置が開示されている。
また、引用文献2には、ハニカム構造の担体における、排ガスが流入するセルを区画形成する隔壁に対して、窒素酸化物をアンモニアと反応させて分解するような触媒作用を有する第1活性成分(例えば、SCR触媒)が担持され、排ガスが流出するセルを区画形成する隔壁に対して、アンモニアを酸化するような触媒作用を有する第2活性成分が担持された選択還元型触媒が開示されている。
特開2004−138022号公報 特開2007−21422号公報
しかしながら、特許文献1に記載された排ガス浄化装置においては、一つの排ガス浄化装置内に、触媒を担持する担体(即ち、DOC用のハニカム構造体2つ)と、フィルタを構成する担体(即ち、DPF用のハニカム構造体)とを備える必要があり、排ガス浄化装置が大きく(即ち、排ガスの流れ方向に長く)なりすぎて、このような排ガス浄化装置を搭載可能な車種が制限されてしまうという問題があった。例えば、特許文献1に記載された排ガス浄化装置は、一般的な大きさの乗用車に対して搭載スペースを確保することは極めて困難である。また、担体の個数が増加すれば、それに伴い排気抵抗(圧損)が上昇するため、燃費の悪化を招来するという問題もあった。
また、特許文献2に記載の選択還元型触媒は、アンモニアを酸化するための触媒が担持された担体を減らすことができ、排ガス浄化装置を多少コンパクトなものとすることが可能であるが、そもそもアンモニアを酸化するための触媒が担持された担体は小型なものであるため、搭載性の向上には十分寄与しない。一方で、特許文献2に記載の選択還元型触媒を用いた場合であっても、触媒を担持する担体と、フィルタを構成する担体とを備える必要があるため、圧損の上昇は、特許文献1に記載された排ガス浄化装置よりも増大し、更に燃費の悪化を招来するという問題があった。
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、排ガス中の粒子状物質の捕集、及び排ガス中の有害成分(特に、NO)の浄化を良好に行うことができるとともに、圧損の過度の上昇を有効に抑制することができ、且つコンパクトな構成とすることが可能な触媒担持フィルタを提供するものである。
本発明により、以下の触媒担持フィルタが提供される。
[1] 多数の細孔を有する多孔質のセラミックからなる隔壁を有し、前記隔壁によって排ガスの流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体と、前記複数のセルの開口部を、前記ハニカム構造体の流入側端部と流出側端部とで互い違いに目封止するように配設された目封止部と、を備え、前記ハニカム構造体は、前記隔壁にNOを浄化するNO浄化触媒と、酸化触媒とが担持されたものであり、前記ハニカム構造体は、前記複数のセルのうちの前記流入側端部が開口した流入側開口セルを区画形成する隔壁表面の、前記流入側端部における端面から前記ハニカム構造体の長手方向の長さの1/8以上1/2以下の範囲に、前記NO浄化触媒が担持されたものであり、前記NO浄化触媒は、前記ハニカム構造体の長手方向の単位長さ当たりの担持した触媒層の厚さが、前記流入側端部における端面から前記流出側端部における端面に向けて漸増するように担持されており、且つ、前記ハニカム構造体の前記隔壁に前記NO浄化触媒と前記酸化触媒とが一部重なる領域に担持される場合には、当該領域においては、前記酸化触媒の上層に前記NO浄化触媒が担持されており、また、前記NO浄化触媒と前記酸化触媒とが領域を分けて担持される場合には、前記NO浄化触媒が担持された領域の下流側の部位の少なくとも一部に、前記酸化触媒が担持されている触媒担持フィルタ。
[2] 前記ハニカム構造体は、前記隔壁の細孔の内部にも前記NO浄化触媒が担持されたものである前記[1]に記載の触媒担持フィルタ。
[3] 前記NO浄化触媒が、前記ハニカム構造体の前記流入側端部を封止する前記目封止部の、流入側端面にも担持されている前記[1]又は[2]に記載の触媒担持フィルタ。
] 前記ハニカム構造体が、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナ、及びシリカからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなる前記[1]〜[]のいずれかに記載の触媒担持フィルタ。
] 前記NO浄化触媒が、少なくとも尿素選択還元型NO触媒を含む前記[1]〜[]のいずれかに記載の触媒担持フィルタ。
] 前記NO浄化触媒が、銅、バナジウム、ゼオライト、チタニア、酸化タングステン、銀、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を含む前記[1]〜[]のいずれかに記載の触媒担持フィルタ。
] 前記酸化触媒が、白金、セリア、及びパラジウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む前記[1]〜[]のいずれかに記載の触媒担持フィルタ。
[8] 前記ハニカム構造体の前記隔壁に前記酸化触媒が担持された後に、前記NO浄化触媒が担持されている前記[1]〜[7]のいずれかに記載の触媒担持フィルタの製造方法
本発明の触媒担持フィルタは、排ガス中の粒子状物質の捕集、及び排ガス中の有害成分(特に、NO)の浄化を良好に行うことができるとともに、圧損の過度の上昇を有効に抑制することができ、且つコンパクトな構成とすることができる。
即ち、本発明の触媒担持フィルタは、一つのフィルタで、粒子状物質の捕集と、NOの浄化との両方を良好に行うことができ、排ガスの浄化に必要となる担体の個数が、従来の排ガス浄化装置と比較して少なくなるため、圧損の過度の上昇を有効に抑制することができる。また、これに伴い、極めてコンパクトな構成とすることができるため、搭載スペースの確保が重要な問題となっていた、一般乗用車等への搭載も可能となる。
本発明の触媒担持フィルタの一の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図1に示す触媒担持フィルタの一方の端面を示す平面図である。 図1に示す触媒担持フィルタの断面を模式的に示す断面図である。 本発明の触媒担持フィルタの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の触媒担持フィルタの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の触媒担持フィルタの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の触媒担持フィルタを用いた排ガス浄化システムを模式的に示す説明図であり、排ガス浄化システムを排ガスの流路方向に切断した断面を示す。 従来のハニカムフィルタの構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の触媒担持フィルタを実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える触媒担持フィルタを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]本発明の触媒担持フィルタ:
ここで、図1は、本発明の触媒担持フィルタの一の実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示す触媒担持フィルタの一方の端面を示す平面図であり、図3は、図1に示す触媒担持フィルタの断面を模式的に示す断面図である。
本実施形態の触媒担持フィルタ1Aは、図1〜図3に示すように、多数の細孔を有する多孔質のセラミックからなる隔壁4を有し、この隔壁4によって排ガスの流路となる複数のセル3が区画形成されたハニカム構造体2と、複数のセル3の開口部を、ハニカム構造体2の流入側端部7と流出側端部8とで互い違いに目封止するように配設された目封止部13と、を備えた触媒担持フィルタ1Aである。
そして、本実施形態の触媒担持フィルタ1Aのハニカム構造体2は、上述した複数のセル3のうちの流入側端部7が開口した流入側開口セル3aを区画形成する隔壁4a表面の、流入側端部7における端面7aからハニカム構造体2の長手方向の長さ(即ち、セルの貫通方向の長さ)の1/8以上1/2以下の範囲に、NOを浄化するNO浄化触媒5が担持されたものである。
このように構成することによって、本実施形態の触媒担持フィルタは、排ガス中の粒子状物質の捕集、及び排ガス中の有害成分、特に、NOの浄化を良好に行うことができるとともに、圧損の過度の上昇を有効に抑制することができ、且つコンパクトな構成とすることができる。即ち、本実施形態の触媒担持フィルタは、一つのフィルタで、粒子状物質の捕集と、NOの浄化との両方を良好に行うことができ、排ガスの浄化に必要となる担体の個数が、従来の排ガス浄化装置と比較して少なくなるため、圧損の過度の上昇を有効に抑制することができる。また、これに伴い、極めてコンパクトな構成とすることができるため、搭載スペースの確保が重要な問題となっていた、一般乗用車等への搭載も可能となる。また、担体の個数が増加すれば、それに伴い排気抵抗(圧損)が上昇し、更に燃費の悪化を招来する。本実施形態においては、圧損上昇の抑制、更に、燃費向上の効果も期待することができる。特に、燃費向上の効果については、商用自動車に搭載した場合により大きな効果を期待することができる。
具体的な排ガス浄化のプロセスとしては、図1〜図3に示すような本実施形態の触媒担持フィルタ1Aを、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気系に設置して用いた場合には、本実施形態の触媒担持フィルタ1Aの流入側開口セル3aから流入した排ガスは、まず、ハニカム構造体2の長手方向の長さ(セルの貫通方向の長さ)の1/8以上且つ1/2以下の範囲に担持されたNO浄化触媒5によって、NO成分が浄化される。また、この排ガスは、この流入側開口セル3aを区画形成する隔壁3を透過し、流出側端部8が開口した流入側開口セル3bに流入し、流出側端部8の端面側から浄化済みガスとして流出される。この際、セル3を区画する隔壁が濾過層となり、排ガス中の粒子状物質(パティキュレート)が隔壁に捕集される。
なお、本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、上述したNO浄化触媒として、少なくとも尿素選択還元型NO触媒を含む触媒を好適に用いることができる。このような尿素選択還元型NO触媒は、触媒担持フィルタを設置した排気系の更に上流側にて、アンモニア水溶液や、加水分解によってアンモニアを生じる尿素水溶液を供給し、アンモニアを還元剤として排ガスの浄化を行うものである。本実施形態の触媒担持フィルタは、ハニカム構造体の長手方向の上流側(即ち、流入側端部における端面から1/8以上1/2以下の範囲)にNO浄化触媒が担持されているため、上述したアンモニアを還元剤とした排ガスの浄化をより良好に行うことができる。
例えば、同一フィルタ内において、NO浄化触媒が担持された領域よりも上流側に、別の酸化触媒(例えば、パティキュレートを酸化するための酸化触媒)等が担持されていると、還元剤となるアンモニアが酸化触媒によって酸化されてしまい、上述した尿素選択還元型NO触媒の機能が著しく低下してしまう。
また、ハニカム構造体の隔壁にNO浄化触媒を担持した場合には、ハニカム構造体の圧損(換言すれば、触媒担持フィルタの圧損)を上昇させる傾向にあるが、本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/8以上1/2以下の範囲にNO浄化触媒が担持されているため、圧損の過度の上昇を抑制することができる。例えば、ハニカム構造体の長手方向の長さの1/2を超える範囲にNO浄化触媒が担持されていると、触媒担持フィルタの圧損が大きくなり、燃費が悪化してしまう。また、ハニカム構造体の長手方向の長さの1/8未満では、NO浄化触媒を担持した範囲が狭すぎて、NOの浄化効率を十分に得ることができない。
なお、本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/6〜1/2の長さに相当する範囲にNO浄化触媒が担持されていることが更に好ましく、1/3〜1/2の長さに相当する範囲にNO浄化触媒が担持されていることが特に好ましい。このように構成することによって、圧損の過剰な上昇を抑制しつつ、NOの浄化を良好に行うことができる。即ち、圧損の上昇と、NOの浄化効率とのバランスと考慮した場合、NO浄化触媒の担持する範囲を、上記範囲とすることが有効である。
また、本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、図1〜図3に示すように、ハニカム構造体2の隔壁3には、酸化触媒6が担持されており、NO浄化触媒5が担持された領域以外の部位の少なくとも一部に、上記酸化触媒6が担持されていてもよい。このように構成することによって、隔壁表面に捕集した、排ガス中に含まれるスート等の粒子状物質を、酸化触媒6によって酸化し、フィルタの浄化性能(捕集性能)を再生させることができる。また、例えば、尿素選択還元型NO触媒の還元剤となるアンモニアが、排ガスとともに触媒担持フィルタ1Aに過剰に(即ち、NOの浄化に必要な量以上に)流入した場合には、この酸化触媒6によってアンモニアを無害な成分に酸化して触媒担持フィルタ1Aの流出側端部における端面から排出することができる。このため、尿素選択還元型NO触媒を用いた場合に、その下流側に別途設けられていた、アンモニア酸化用の触媒担持体を必要としないため、よりコンパクトな構成とすることができる。
なお、酸化触媒は、1つ目の態様として、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/2以降の範囲(即ち、NO浄化触媒が担持された領域よりも下流側の隔壁)に少なくとも担持されている。このように構成することによって、隔壁によって捕集したスート等の粒子状物質を、酸化触媒によって良好に燃焼・除去することができる。
このような酸化触媒は、NO浄化触媒が担持された領域以外の部位に担持されていれば、例えば、流入側開口セルを区画形成する隔壁の、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/2以降の範囲に担持されていてもよいし、前記した1/2以降の範囲における隔壁の細孔の内部に担持されていてもよい。また、流出側端部が開口した流入側開口セルを区画形成する隔壁の表面に担持されていてもよい。図3においては、流入側端部7における端面7aからハニカム構造体2の長手方向の長さの1/2以降の範囲と、その隔壁の細孔の内部、及び流出側端部8が開口した流入側開口セル33bを区画形成する隔壁3の表面、及びその細孔の内部のそれぞれに、酸化触媒6が担持された場合の例を示している。
また、本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、2つ目の態様として、NO浄化触媒が担持されている領域の下層部の少なくとも一部含む領域に、酸化触媒がコート(担持)されていている。即ち、上記した触媒担持フィルタにおいては、NO浄化触媒と酸化触媒との担持する領域を分けて、流入側と流出側とでそれぞれの触媒機能を発現させる構成について説明したが、本実施形態の触媒担持フィルタは、NO浄化触媒と酸化触媒とが一部重なる領域に担持されていてもよい。但し、このように、一部重なる領域にそれぞれの触媒(NO浄化触媒と酸化触媒)が担持される場合には、NO浄化触媒が担持されている領域の下層部の少なくとも一部含む領域に、酸化触媒がコート(担持)される。即ち、その重なる領域においては、酸化触媒の上層にNO浄化触媒が担持され、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/8以上1/2以下の範囲には、その最も上層にNO浄化触媒が担持されている必要がある。
例えば、NO浄化触媒の上に酸化触媒が担持された場合には、NO浄化触媒の還元剤となるアンモニアが酸化触媒によって酸化されてしまい、NO浄化触媒の機能が著しく低下してしまうことがある。
なお、NO浄化触媒と、酸化触媒とを、その担持領域を分けて担持する場合には、酸化触媒を担持した領域における隔壁のパーミアビリティーが、NO浄化触媒を担持した領域における隔壁のパーミアビリティーよりも低くなるように構成されていることが好ましい。このように構成することによって、流入側開口セルに流入した排ガスは、酸化触媒を担持した領域における隔壁をより多く通過(透過)することとなり、積極的に酸化触媒が担持された隔壁上に粒子状物質が捕集され、粒子状物質の燃焼・除去の効率を向上させることができる。また、NO浄化触媒と酸化触媒とが重なるように担持される場合には、必然的に、重なる領域(即ち、NO浄化触媒が上層に露出する領域)のパーミアビリティーが高くなり、積極的に酸化触媒が担持された隔壁上に粒子状物質が捕集される。
なお、本明細書にいう「パーミアビリティー」とは、下記式(1)により算出される物性値をいい、所定のガスがその物(隔壁)を通過する際の通過抵抗を表す指標となる値である。ここで、下記式(1)中、Cはパーミアビリティー(m)、Fはガス流量(cm/sec)、Tは試料厚み(cm)、Vはガス粘性(dynes・sec/cm)、Dは試料直径(cm)、Pはガス圧力(PSI)をそれぞれ示す。また、下記式(1)中の数値は、13.839(PSI)=1(atm)であり、68947.6(dynes・sec/cm)=1(PSI)である。
Figure 0006023395
パーミアビリティーの測定手順としては、ハニカム構造体における一方向に連続する隔壁の一枚を、その隔壁に直行するように配置される隔壁の残り部分(リブ残り)高さが0.2mm以下となるように切り出した角板又は円板状の試験片を作製し、この試験片(即ち、隔壁の一部)に室温空気を通過させ、その際の通過抵抗を測定し、上記式(1)により求める。この際、リブ残りによりできるシールとの隙間から空気が漏れないように、グリス等の流動性シールを併用することが望ましい。また、空気流量範囲としては、計算上の隔壁通過流速が0.1cm/sec以上、1cm/sec以下となる範囲での計測結果を用いる。
本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、ハニカム構造体の隔壁に酸化触媒が担持された後に、NO浄化触媒が担持されて構成された場合、即ち、酸化触媒の上層部の少なくとも一部含む領域にNO浄化触媒が担持された場合には、必然的にNO浄化触媒がコートされる部分のパーミアビリティーが上昇し、排ガスは、酸化触媒のみを担持した領域の隔壁をより多く通過(透過)することとなり、積極的に酸化触媒が担持された隔壁上に粒子状物質が捕集され、粒子状物質の燃焼・除去の効率を向上させることができる。また、酸化触媒の上層にNO浄化触媒がコートされることで、ハニカム構造体の前段で噴射された尿素から生成されたアンモニアの酸化を防ぐことができる。
また、図3に示す触媒担持フィルタ1Aにおいては、隔壁3の表面の所定の範囲にNO浄化触媒5が担持された場合の例を示しているが、例えば、図4に示す触媒担持フィルタ1Bのように、ハニカム構造体2を構成する隔壁3の細孔の内部(上記所定の範囲における細孔の内部)にも、上述したNO浄化触媒5が更に担持されたものであってもよい。このように構成することによって、NOの浄化を良好に行うことができる。なお、隔壁の細孔の内部にもNO浄化触媒が担持される場合には、隔壁表面から、流出側表面近傍(即ち、隔壁の反対側の表面)までNO浄化触媒が担持されていてもよい。ここで、図4は、本発明の触媒担持フィルタの他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図4に示す触媒担持フィルタにおいて、図3に示す触媒担持フィルタの各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
また、図4に示す触媒担持フィルタ1Bにおいては、隔壁3の表面及び細孔の内部に担持されたNO浄化触媒5の担持量が、流入側端部7における端面7aから流出側端部8における端面8aに向けて一定の場合の例を示しているが、例えば、図5に示す触媒担持フィルタ1Cのように、NO浄化触媒5は、ハニカム構造体2の長手方向の単位長さ当たりの担持量が、流入側端部7における端面7aから流出側端部8における端面8aに向けて漸減するように担持されてなるものであってもよい。このように構成することによって、流入側の端部において目封止部が配設された領域近傍は、フィルタ(即ち、濾過膜)としての役割が小さく、このような領域にNO浄化触媒を多く担持することで、NO浄化効率を高めることができる。また、フィルタの役割が大きくなる流出側に向かうにつれて、NO浄化触媒の担持量を徐々に少なくすることにより、有効なフィルタ面積の確保が可能となる。
なお、このようにNO浄化触媒の担持量を漸減させる場合には、流入側の端面におけるNO浄化触媒の担持量に対して、流出側に向かう終端でのNO浄化触媒の担持量が3/4以下となるように構成されていることが好ましい。例えば、NO浄化触媒によって形成される触媒層の厚さを、流入側の端面に対して、流出側に向かう終端が3/4以下となるように構成することが好ましい。なお、NO浄化触媒の担持量を漸減させる場合には、一定の割合で略直線的に減少させるものであってもよいし、曲線的、例えば、指数的に減少させるものであってもよいが、略直線的に減少させるものであることが好ましい。
また、例えば、図6に示す触媒担持フィルタ1Dのように、NO浄化触媒5は、ハニカム構造体2の長手方向の単位長さ当たりの担持量が、流入側端部7における端面7aから流出側端部8における端面8aに向けて漸増するように担持されてなるものであってもよい。このように構成することによって、流入側の端面における、NO浄化触媒による水力直径の減少を抑えることができる。例えば、排ガス温度特性が低い車輌については、水力直径が減少した場合に、捕集した粒子状物質によって、セル開口部が閉塞される場合があるが、NO浄化触媒による水力直径の減少を抑えることができるため、セル開口部の閉塞を有効に防止することができる。
なお、このようにNO浄化触媒の担持量を漸増させる場合には、流入側の端面におけるNO浄化触媒の担持量に対して、流出側に向かう終端でのNO浄化触媒の担持量が4/3以上となるように構成されていることが好ましい。例えば、NO浄化触媒によって形成される触媒層の厚さを、流入側の端面に対して、流出側に向かう終端が4/3以上となるように構成することが好ましい。なお、NO浄化触媒の担持量を漸増させる場合には、一定の割合で略直線的に増加させるものであってもよいし、曲線的、例えば、指数的に増加させるものであってもよいが、略直線的に増加させるものであることが好ましい。
ここで、図5及び図6は、それぞれ本発明の触媒担持フィルタの更に他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図5及び図6に示す触媒担持フィルタにおいて、図3に示す触媒担持フィルタの各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
なお、NO浄化触媒の担持量については特に制限はないが、例えば、30〜200g/Lであることが好ましく、50〜150g/Lであることが更に好ましく、60〜100g/Lであることが特に好ましい。このように構成することによって、NOの浄化を良好に行うことができる。例えば、NO浄化触媒の担持量が、30g/L未満の場合には、NO浄化触媒が少な過ぎて、NOの浄化を十分に行えなくなることがある。一方、NO浄化触媒の担持量が、200g/Lを超えたとしても、NOの浄化性能の著しい向上を見込めず、逆に、隔壁の表面及び細孔の内部にNO浄化触媒が過剰に担持され、触媒担持フィルタの圧損が上昇してしまうことがある。なお、本明細書における、触媒の担持量(g/L)は、ハニカム構造体単位容積(L)当たりに担持される触媒の量(g)を示す。
また、図1〜図3に示すように、本実施形態の触媒担持フィルタ1Aにおいては、NO浄化触媒5が、ハニカム構造体2の流入側端部7を封止する目封止部13の、流入側端面にも担持されていることが好ましい。このように構成することによって、触媒担持フィルタ1Aの流入側端部7における端面7aに接触する排ガスについても、NOの浄化を行うことができ、NOの浄化効率をより向上させることができる。
以下、本実施形態の触媒担持フィルタの各構成要素について、更に具体的に説明する。
[1−1]ハニカム構造体、及び目封止部:
本実施形態の触媒担持フィルタを構成するハニカム構造体は、図1〜図3に示すように、多数の細孔5を有する多孔質のセラミックからなる隔壁4を有し、この隔壁4によって排ガスの流路となる複数のセル5が区画形成されたものである。このハニカム構造体2は、ハニカム構造体2の流入側端部7と流出側端部8とで、複数のセル3の開口部が互い違いに目封止部13によって目封止されており、流入側端部7が開口した流入側開口セル3aと、流出側端部8が開口した流出側開口セル3bと、隔壁4を挟んで交互に配置されている。
ハニカム構造体の全体形状については特に制限はなく、例えば、図1及び図2に示されるような円筒状の他、四角柱状、三角柱状等の形状を挙げることができる。
また、ハニカム構造体に形成されたセルの形状(セルの形成方向に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、例えば、図1に示されるような四角形セル、六角形セル、三角形セル等の形状を挙げることができる。但し、このような形状に限られるものではなく、公知のセルの形状を広く包含することができる。より好ましいセル形状としては、円形セル又は四角形以上の多角形セルを挙げることができる。このような円形セル又は四角形以上の多角形セルがより好ましいのは、セル断面において、セルを区画するコーナー部分の触媒の厚付きを軽減し、隔壁に触媒を担持する際の厚さを均一にできるからである。
ハニカム構造体のセル密度も特に制限はないが、本実施形態のような触媒担持フィルタとして用いる場合には、15.5〜62セル/cm(100〜400セル/平方インチ)の範囲であることが好ましく、31〜46.5セル/cm(200〜300セル/平方インチ)の範囲であることが好ましい。また、隔壁の厚さは、0.254〜0.4318mmの範囲であることが好ましく、0.305〜0.381mmの範囲であることが好ましい。
ハニカム構造体の材質については特に制限はないが、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナ、及びシリカからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなるものであることが好ましい。特に、強度、耐熱性、耐食性等の観点から、コージェライト、炭化珪素、及びチタン酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなるものを好適に用いることができる。
隔壁の平均細孔径としては、10〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることが更に好ましく、15〜25μmであることが特に好ましい。
また、隔壁の気孔率は、40〜70%であることが好ましく、より好ましいのは、ガス浄化触媒層の気孔率が45〜65%である。40%未満であると、圧力損失が大きくなるという問題が生じるおそれがある。また、気孔率が70%を超えると、隔壁の強度が不足し、破損を生じることがある。
また、本明細書において、「平均細孔径」、「気孔率」というときには、水銀圧入法により測定した平均細孔径、気孔率を意味するものとする。但し、後述するように、SEM(走査型電子顕微鏡)により撮影した画像を2値化処理して測定評価することを適宜加えることにより行う。
また、ハニカム構造体は、隔壁が一体的に形成された一体型のハニカム構造体に限定されることはなく、例えば、図示は省略するが、多孔質の隔壁を有し、隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された柱状のハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個組み合わされた構造を有するハニカム構造体(以下、「接合型ハニカム構造体」ということがある)であってもよい。
セルの開口部を目封止するように配置された目封止部は、公知のハニカムフィルタにおいて用いられる目封止部と同様に構成されたものを用いることができる。
なお、このような、セルの開口部が目封止部材によって目封止されたハニカム構造体は、従来公知のハニカムフィルタの製造方法に準じて作製することができる。
例えば、まず、焼成後にコージェライトとなるように、タルク、カオリン、アルミナ、シリカ等を所定の配合割合で調合し、バインダー、界面活性剤、水を加え、造孔材としてはコークスを使用し所定の配合割合で混合して坏土を得る。コージェライト化原料については、粒度、成分等は最終的には気孔率、熱膨脹率に影響するが、適宜、当業者であれば選定することが可能であり、また、バインダー、界面活性剤についても適宜設定することが可能である。
得られた坏土を、口金を付けた押出し成形機を用いて押出し成形を行い、乾燥後、得られたハニカム成形体の各端面が市松模様状となるように各端面において交互に目封止部を形成した。
以上のようにして、セルの開口部が目封止部によって目封止されたハニカム構造体を作製することができる。なお、このような目封止部の形成方法は、例えば、公知のハニカムフィルタにおける目封止部の作製方法に準じて行うことができる。
なお、目封止部としては、ハニカム本体と同様な材料を用いると、ハニカム成形体との焼成時の膨張率を同じにでき、耐久性の向上につながるため好ましい。
また、上記作製方法においては、一体型のハニカム構造体を作製する方法について説明しているが、例えば、上述した接合型ハニカム構造体を作製する場合には、複数本のハニカムセグメント成形体を、上記原料を用いて複数本作製した後、得られた複数本のハニカムセグメントを接合剤を介して接合することによって、ハニカムセグメント接合体を形成してもよい。
[1―2]NO浄化触媒:
本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、ハニカム構造体の、流入側開口セルを区画形成する隔壁表面の、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/8以上、1/2以下の範囲にNO浄化触媒が担持されている。
このようなNO浄化触媒としては、NOの浄化作用を有する触媒であれば、特に制限はなく、選択還元型NO触媒や、NO吸蔵触媒等の公知のNO浄化触媒を好適に用いることができる。
ここで、「NO吸蔵還元触媒」とは、空燃比がリーン状態のときにNOを吸蔵し、一定間隔でリッチスパイクを行った時に(排ガスを燃料リッチにした時に)、吸蔵したNOをNに還元する触媒をいう。例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニアのような金属酸化物のコート材に、白金、パラジウム、ロジウムのような貴金属と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選択される少なくとも一種の金属とを担持させて得ることができる。
また、「選択還元型NO触媒」とは、リーン雰囲気において、NOを還元成分と選択的に反応させて浄化する触媒をいう。例えば、銅、コバルト、ニッケル、鉄、ガリウム、ランタン、セリウム、亜鉛、チタン、カルシウム、バリウム及び銀からなる群より選択される少なくとも一種の貴金属を、ゼオライト又はアルミナを含有するコート材に担持させて得ることができる。
なお、本実施形態の触媒担持フィルタに用いられるNO浄化触媒としては、例えば、銅、バナジウム、ゼオライト、チタニア、酸化タングステン、銀、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を含む触媒を好適に用いることができ、特に、ゼオライトが、触媒コート性や耐熱性の点でより好適に用いることができる。
このようなNO浄化触媒を、ハニカム構造体の所定の領域に担持する方法としては、例えば、NO浄化触媒のスラリーが貯留された容器に、目封止部が配設されたハニカム構造体を、その流入側端面から、触媒を担持させる範囲(例えば、長手方向の1/2の範囲)浸漬させ、流出側端面からスラリーを吸引することによってNO浄化触媒を担持させることができる。
なお、上記したNO浄化触媒のスラリーの粘度や、含有されるNO浄化触媒の粒径、また、スラリーを吸引する吸引力を調整することによって、隔壁の表面だけでなく、隔壁の細孔の内部にまで触媒を担持することができ、更に、担持する触媒の量を調節することもできる。また、スラリーの吸引を複数回行うことによって、担持する触媒の量を調節することもできる。
なお、NO浄化触媒の担持量を、流入側端部における端面から流出側端部における端面に向けて漸増又は漸減させる場合には、上記したスラリーの粘度、粒径、吸収力、担持の回数を調整して、触媒を担持する領域毎の担持量を調節することができる。
[1−3]酸化触媒:
本実施形態の触媒担持フィルタにおいては、上述したように、ハニカム構造体の隔壁の、NO浄化触媒が担持された領域以外の部位の少なくとも一部に、酸化触媒が担持されていてもよい。
このような酸化触媒としては、排ガス中に含まれる粒子状物質の酸化を促進することが可能な酸化触媒を好適に用いることができる。また、このような酸化触媒を担持することによって、選択還元型NO触媒の還元剤として用いられるアンモニアの酸化も行うことができる。
このような酸化触媒としては、白金、セリア、パラジウム等を好適に用いることができる。
このような酸化触媒を担持する場合における担持量については特に制限はないが、例えば、3〜100g/Lであることが好ましく、5〜80g/Lであることが更に好ましく、5〜50g/Lであることが特に好ましい。このように構成することによって、触媒担持フィルタの隔壁にて捕集した粒子状物質を良好に燃焼除去することができる。
このような酸化触媒を、ハニカム構造体の所定の領域に担持する方法としては、例えば、酸化触媒のスラリーが貯留された容器に、目封止部が配設されたハニカム構造体を、その流出側端面から、触媒を担持させる範囲(例えば、NO浄化触媒を担持する長手方向の1/2以外の範囲)浸漬させ、流入側端面からスラリーを吸引することによって行うことができる。
なお、上記した酸化触媒のスラリーの粘度や、含有される酸化触媒の粒径、また、スラリーを吸引する吸引力を調整することによって、隔壁の表面だけでなく、隔壁の細孔の内部にまで触媒を担持することができ、更に、担持する触媒の量を調節することもできる。また、スラリーの吸引を複数回行うことによって、担持する触媒の量を調節することもできる。
なお、このような酸化触媒を担持する場合には、上述したNO浄化触媒を担持する前に行うことが好ましい。即ち、NO浄化触媒と酸化触媒とを担持する場合には、酸化触媒を担持した後に、NO浄化触媒を担持することが好ましい。
[2]本発明の適用対象:
次に、本発明の触媒担持フィルタを用いた排ガス浄化システムについて説明する。本発明の触媒担持フィルタを用いた排ガス浄化システム(以下、「本排ガス浄化システム」という)は、図7に示すように、これまでに説明した本発明の触媒担持フィルタ1を備えた排ガス浄化システム50である。即ち、ディーゼルエンジンから排出される排ガスが流通する排ガス流路51内に配設された本発明の触媒担持フィルタ1と、この触媒担持フィルタ1よりも上流側の排ガス流路51内に配設された、尿素水溶液又はアンモニア水溶液を排ガス中に噴射して供給する還元剤供給部52と、を備えた排ガス浄化システム50である。ここで、図7は、本発明の触媒担持フィルタを用いた排ガス浄化システム(本排ガス浄化システム)を模式的に示す説明図であり、排ガス浄化システムを排ガスの流路方向に切断した断面を示す。
本排ガス浄化システムは、これまでに説明した本発明の触媒担持フィルタを備えたものであり、排ガス中のパティキュレートの捕集、及び排ガス中のNOの浄化を良好に行うことができるとともに、圧損の過度の上昇を有効に抑制することができ、且つコンパクトな構成とすることができる。
なお、図7に示す排ガス浄化システム50においては、ディーゼル酸化触媒(DOC)53を、還元剤供給部52の上流側に更に備えた例を示している。また、触媒担持フィルタ1及びディーゼル酸化触媒(DOC)53は、例えば、保持材としてセラミック製非熱膨張性のマット55によって保持され、金属性(例えば、ステンレス製)のキャニング用缶体54によってキャニングされている。
なお、還元剤供給部は、アンモニア水溶液を排ガス中に噴射して供給する、或いは、尿素水溶液を排ガス中に噴射して、尿素の加水分解によってアンモニアを発生させる供給部であり、従来公知のSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒装置に用いられる還元剤供給部と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例においては、ディーゼル酸化触媒(DOC)、粒子状物質を捕集するフィルタ、尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)、及びアンモニアスリップ触媒の浄化機能を有する浄化部材を備えた排ガス浄化システムを用いて評価を行った。実施例における各種の評価、測定は、下記方法により実施した。
[1]圧損の評価:
排ガス浄化システムに、7Lディーゼルエンジンを用いて、250℃の排ガスを通気した場合の圧損(圧力損失)を測定した。なお、圧損の評価としては、比較例1の触媒担持フィルタにて測定された圧損値(2.7kPa)から、40%超の圧損が低減された場合を「◎(より良好)」、20〜40%圧損が低減された場合を「○(良好)」、20%未満しか圧損が低減されない或いは増加した場合を「×(不可)」とした。
[2]排ガス浄化システムの総長さ:
排ガス浄化システムの総長さを測定した。排ガス浄化システムの総長さとしては、ディーゼル酸化触媒(DOC)、粒子状物質を捕集するフィルタ、尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)、及びアンモニアスリップ触媒の機能部分の総長とし、各部が分離した装置からなる排ガス浄化システムの場合には、それぞれの長さの総和を全長とし、各機能の少なくとも一部が一体化した装置の場合には、その長さを一体化した部分の全長とした。また、この総長さには、各装置を接続する配管類の長さは含まないものとする。なお、排ガス浄化システムの総長さの評価としては、比較例1の排ガス浄化システムの総長さ(76.2cm(30インチ))に対して、40%超の長さが減少された場合を「◎(より良好)」、20〜40%の長さが減少された場合を「○(良好)」、20%未満しか長さが減少されない或いは増加した場合を「×(不可)」とした。
[3]捕集効率の評価:
排ガス浄化システムに、7Lディーゼルエンジンを用いて、250℃の排ガスを通気し、排ガス浄化システムの入口側の粒子状物質の質量と出口側の粒子状物質の質量とを測定して、排ガス浄化システムの捕集効率(出口側の質量/入口側の質量×100)を測定した。なお、捕集効率の評価としては、比較例1にて測定された捕集効率(98%)から、少なくとも捕集効率が増加していた場合を「◎(より良好)」、捕集効率の低下が10%以下の場合を「△(可)」、10%を超えて捕集効率が低下していた場合を「×(不可)」とした。
[4]NO浄化効率の評価:
排ガス浄化システムに、7Lディーゼルエンジンを用いて、250℃の排ガスを通気し、排ガス浄化システムの入口側のNO濃度と出口側のNO濃度とを測定して、排ガス浄化システムのNO浄化効率(出口側のNO濃度/入口側のNO濃度×100)を測定した。排ガス浄化システムによる排ガスの浄化時には、尿素水を排ガスに添加し、NO浄化触媒による浄化を行った。なお、NO浄化効率の評価としては、比較例1にて測定されたNO浄化効率(75%)から、少なくともNO浄化効率が増加していた場合を「◎(より良好)」、NO浄化効率の低下が10%以下の場合を「△(可)」、10%を超えてNO浄化効率が低下していた場合を「×(不可)」とした。
参考例1)
参考例1の排ガス浄化システムとして、ディーゼル酸化触媒(DOC)と、本発明の触媒担持フィルタとを備えた排ガス浄化システムを作製した。
触媒担持フィルタのハニカム構造体は、原料として、焼成後にコージェライトとなるように、タルク、カオリン、アルミナ、シリカを所定の配合割合で調合し、バインダー、界面活性剤、造孔材、水を加え、混合して坏土を得た。なお、造孔材としてはコークスを使用した。得られた坏土を、口金を付けた押出し成形機を用いて押出し成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を乾燥した後、ハニカム成形体の各端面が市松模様状となるように各端面において交互に目封止部を形成した。
このハニカム構造体(ハニカムフィルタ)は、直径が266.7mmで長さが304.8mmの円柱状で、気孔率が59%、隔壁厚さ0.3mm、セル密度が46.5セル/cmである。
このようにして得られたハニカム構造体(ハニカムフィルタ)の、流入側開口セルを区画形成する隔壁表面の、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/2以下の範囲に、ゼオライト系のNO浄化触媒を100g/L担持して触媒担持フィルタを作製した。
具体的な担持方法としては、上記したNO浄化触媒のスラリーが貯留された容器に、ハニカム構造体を、その流入側端面から、触媒を担持させる範囲(即ち、長手方向の1/2の範囲)浸漬させ、流出側端面からスラリーを吸引することによって、隔壁表面の所定の領域にNO浄化触媒を担持させた。
また、ディーゼル酸化触媒(DOC)としては、焼成後にコージェライトとなるように、タルク、カオリン、アルミナ、シリカを所定の配合割合で調合し、バインダー、界面活性剤、水を加え、所定の配合割合で混合して坏土を得た。得られた坏土を、口金を付けた押出し成形機を用いて押出し成形を行い、乾燥、焼成後して得られたハニカム構造体に、白金、セリア系の酸化触媒を20g/L担持して作製した。
ディーゼル酸化触媒(DOC)用のハニカム構造体は、直径が266.7mmで長さが101.6mmの円柱状で、気孔率が35%、隔壁厚さ0.127mm、セル密度が46.5セル/cmである。
このようにして得られた触媒担持フィルタとディーゼル酸化触媒(DOC)とを、金属性のキャニング用缶体によってキャニングして、排ガス浄化システムを作製した。上述した圧損の評価、排ガス浄化システムの総長さ、捕集効率の評価、及びNO浄化効率の評価の結果を表1に示す。
なお、表1における「排ガス浄化システムの構成」において、「DOC」は、ディーゼル酸化触媒を示し、「SCRF」は、NO浄化触媒担持フィルタを示し、「DPF」は、ハニカムフィルタ(触媒の担持無し)、「SCR」は、選択還元型NO触媒(尿素選択還元型NO触媒)、「Slip」は、アンモニアスリップ触媒を示す。
Figure 0006023395
参考例2)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒を、隔壁の内部まで担持されるように変更した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。なお、触媒担持フィルタに担持したNO浄化触媒の担持量は、100g/Lである。
なお、NO浄化触媒を担持する際には、NO浄化触媒のスラリーを、流出側端面から吸引することによって、隔壁表面の所定の領域にNO浄化触媒を担持させた。なお、参考例2においては、使用するスラリーの粘度と、吸引圧力とを調整することにより、隔壁の細孔内にまで触媒を担持させた。
参考例3)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒が、流入側端部における端面における担持量に対して、ハニカム構造体の長手方向の長さの1/2(即ち、長手方向の中央)部分における担持量が半分となるように、即ち、NO浄化触媒が長手方向に漸減するように担持した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。
なお、NO浄化触媒を担持する際には、NO浄化触媒のスラリーを、流出側端面から吸引し、これを段階的に複数回繰り返すことによってNO浄化触媒を担持させた。
参考例4)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒が、流入側端部における端面における担持量に対して、ハニカム構造体の長手方向の長さの1/2(即ち、長手方向の中央)部分における担持量が2倍となるように、即ち、NO浄化触媒が長手方向に漸増するように担持した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。
なお、NO浄化触媒を担持する際には、まず、NO浄化触媒のスラリーを、流出側端面から吸引して1/2の範囲まで担持し、その後、流入側端面側から隔壁表面を段階的にマスクして触媒の担持を繰り返し行うことによって、所定の範囲にNO浄化触媒を担持させた。
参考例5)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒を、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/4の範囲まで担持されるように変更した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。
参考例6)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒を、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/3の範囲まで担持されるように変更した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。
参考例7)
触媒担持フィルタの流出側端面から3/4の領域に酸化触媒をコートした後、NO浄化触媒を流入側端面から1/2の領域にコートし、NO浄化触媒と酸化触媒が重なる、流入側端面から1/4〜1/2の範囲においてはNO浄化触媒が酸化触媒の上層にコートされた触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。
(比較例1)
参考例1にて製造したハニカム構造体(ハニカムフィルタ)にNO浄化触媒を担持せず、単なるフィルタとして使用し、更に、NO浄化触媒を担持させた尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)と、アンモニアスリップ触媒とを別途用いて、排ガス浄化システムを作製した。即ち、比較例1の排ガス浄化システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ハニカムフィルタ、尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)、及びアンモニアスリップ触媒の4つの浄化部材から構成されている。
なお、比較例1に用いた尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)は、直径が266.7mm、長さが152.4mmの円柱状担体で、気孔率が35%、隔壁厚さ0.127mm、セル密度が46.5セル/cmの担体を2個直列に配置し、この担体にSCR触媒を100g/L担持したものを用いた。
また、アンモニアスリップ触媒は、直径が266.7mm、長さが101.4mmの円柱状担体で、気孔率が35%、隔壁厚さ0.127mm、セル密度が46.5セル/cmに構成された担体に、酸化触媒を20g/L担持したものを用いた。
(比較例2)
参考例1にて製造したハニカム構造体(ハニカムフィルタ)にNO浄化触媒を担持せず、単なるフィルタとして使用し、排ガス浄化システムを作製した。即ち、比較例2の排ガス浄化システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、及びハニカムフィルタの2つの浄化部材から構成されている。
(比較例3)
比較例1にて使用したハニカムフィルタを用いないこと以外は、比較例1と同様に構成された排ガス浄化システムを作製した。即ち、比較例3の排ガス浄化システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)、及びアンモニアスリップ触媒の3つの浄化部材から構成されている。
(比較例4)
比較例1にて使用したアンモニアスリップ触媒を用いず、ハニカムフィルタの上流側に尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)を配置したこと以外は、比較例1と同様に構成された排ガス浄化システムを作製した。即ち、比較例4の排ガス浄化システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)、及びハニカムフィルタの3つの浄化部材から構成されている。
(比較例5)
比較例1にて使用したアンモニアスリップ触媒を用いず、尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)として、排ガスが流入するセルを区画する隔壁に尿素選択還元型NO触媒を担持し、隔壁を通過した排ガスが流出するセルを区画する隔壁に酸化触媒を担持したものを用いたこと以外は、比較例1と同様に構成された排ガス浄化システムを作製した。即ち、比較例5の排ガス浄化システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ハニカムフィルタ、及び尿素選択還元型NO触媒(尿素SCR)の3つの浄化部材から構成されている。
(比較例6)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒を、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/9の範囲までの、隔壁表面及び隔壁の内部に担持した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。なお、触媒担持フィルタに担持したNO浄化触媒は、隔壁の表面には担持されておらず、その担持量は、100g/Lである。
(比較例7)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒を、流入側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの3/4の範囲までの、隔壁の内部のみに担持した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。なお、触媒担持フィルタに担持したNO浄化触媒は、隔壁の表面には担持されておらず、その担持量は、100g/Lである。
(比較例8)
参考例1にて用いたハニカム構造体(ハニカムフィルタ)に対して、NO浄化触媒と酸化触媒とを均一に担持して触媒担持フィルタを作製し、この触媒担持フィルタとディーゼル酸化触媒(DOC)とを用いて、排ガス浄化システムを作製した。即ち、比較例8の排ガス浄化システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒担持フィルタの2つの浄化部材から構成されている。
(比較例9)
触媒担持フィルタに担持するNO浄化触媒を、流出側端部における端面からハニカム構造体の長手方向の長さの1/2の範囲に担持した以外は、参考例1と同様に構成された触媒担持フィルタを用いて排ガス浄化システムを作製した。なお、触媒担持フィルタに担持したNO浄化触媒は、隔壁の表面には担持されておらず、その担持量は、100g/Lである。
(結果)
参考例1〜の排ガス浄化システムは、触媒担持フィルタを用いたものであり、全ての評価において良好な結果を得ることができた。
一方、比較例2は、圧損の評価、排ガス浄化システムの総長さ、及び捕集効率の評価については良好な結果を得ることができたが、NO浄化触媒が用いられていないため、NOの浄化を行うことができないものである。また、比較例3は、ハニカムフィルタが用いられていないため、粒子状物質の捕集を行うことができなかった。また、比較例4及び5については、捕集効率の評価、及びNO浄化効率の評価において良好な結果を得ることができたが、浄化部材の点数が多くなり、圧損が著しく上昇し、且つ、排ガス浄化システムの総長さが長くなってしまった。
また、比較例6においては、NO浄化触媒が、隔壁の細孔の内部の極めて短い範囲に担持されており、NO浄化効率が著しく低下してしまった。また、比較例7においては、NO浄化触媒を担持した範囲が長すぎて、圧力損失が著しく上昇してしまった。また、捕集効率とNO浄化効率とがともに低下していた。また、比較例8においては、NO浄化触媒と酸化触媒とを均一に担持したため、NO浄化効率が低下してしまった。また、圧損の上昇を招来するNO浄化触媒が広い範囲に亘って担持されたため、圧損の上昇も確認された。
また、比較例9においては、触媒担持フィルタの流出側端部にNO浄化触媒を担持したため、NO浄化効率が著しく低下してしまった。これは、還元剤のアンモニアが、NO浄化触媒に到達する前に酸化されてしまい、NO浄化触媒の機能が発現しなかったためと予想される。
本発明の触媒担持フィルタは、ディーゼルエンジン、普通自動車用エンジン、トラックやバス等の大型自動車用エンジンをはじめとする内燃機関、各種燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるパティキュレートを捕集し、或いは浄化するために好適に用いることができる。
1,1A,1B,1C,1D:触媒フィルタ、2:ハニカム構造体、3:セル、3a:流入側開口セル、3b:流出側開口セル、4:隔壁、4a:隔壁(流入側開口セルを区画形成する隔壁)、4b:隔壁(流出側開口セルを区画形成する隔壁)、5:NO浄化触媒、6:酸化触媒、7:流入側端部、7a:端面(流入側端部における端面)、8:流出側端部、8a:端面(流出側端部における端面)、13:目封止部、50:排ガス浄化システム、51:排ガス流路、52:還元剤供給部、53:ディーゼル酸化触媒(DOC)、54:キャニング用缶体、55:マット、100:ハニカム構造体、101a,101b:セル、103:細孔、105:隔壁、107:目封止部、109:開口部、110:(従来の)ハニカムフィルタ、G,G:ガス。

Claims (8)

  1. 多数の細孔を有する多孔質のセラミックからなる隔壁を有し、前記隔壁によって排ガスの流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体と、
    前記複数のセルの開口部を、前記ハニカム構造体の流入側端部と流出側端部とで互い違いに目封止するように配設された目封止部と、を備え、
    前記ハニカム構造体は、前記隔壁にNOを浄化するNO浄化触媒と、酸化触媒とが担持されたものであり、
    前記ハニカム構造体は、前記複数のセルのうちの前記流入側端部が開口した流入側開口セルを区画形成する隔壁表面の、前記流入側端部における端面から前記ハニカム構造体の長手方向の長さの1/8以上1/2以下の範囲に、前記NO浄化触媒が担持されたものであり、
    前記NO浄化触媒は、前記ハニカム構造体の長手方向の単位長さ当たりの担持した触媒層の厚さが、前記流入側端部における端面から前記流出側端部における端面に向けて漸増するように担持されており、且つ、
    前記ハニカム構造体の前記隔壁に前記NO浄化触媒と前記酸化触媒とが一部重なる領域に担持される場合には、当該領域においては、前記酸化触媒の上層に前記NO浄化触媒が担持されており、また、前記NO浄化触媒と前記酸化触媒とが領域を分けて担持される場合には、前記NO浄化触媒が担持された領域の下流側の部位の少なくとも一部に、前記酸化触媒が担持されている触媒担持フィルタ。
  2. 前記ハニカム構造体は、前記隔壁の細孔の内部にも前記NO浄化触媒が担持されたものである請求項1に記載の触媒担持フィルタ。
  3. 前記NO浄化触媒が、前記ハニカム構造体の前記流入側端部を封止する前記目封止部の、流入側端面にも担持されている請求項1又は2に記載の触媒担持フィルタ。
  4. 前記ハニカム構造体が、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナ、及びシリカからなる群より選択される少なくとも一種を含む材料からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒担持フィルタ。
  5. 前記NO浄化触媒が、少なくとも尿素選択還元型NO触媒を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒担持フィルタ。
  6. 前記NO浄化触媒が、銅、バナジウム、ゼオライト、チタニア、酸化タングステン、銀、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒担持フィルタ。
  7. 前記酸化触媒が、白金、セリア、及びパラジウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒担持フィルタ。
  8. 前記ハニカム構造体の前記隔壁に前記酸化触媒が担持された後に、前記NO浄化触媒が担持されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒担持フィルタの製造方法
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