JP6011809B2 - 嵩密度の高い金粉の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、上記方法で製造された金粉は、ルツボ等の小型溶解炉でバッチ溶解され、インゴットの形状に鋳造されて製品となる。
第一に、得られた金粉の嵩密度が低いために起こるもので、金粉の輸送回数が増えるといったハンドリング効率の問題や、金粉をバッチ式の溶解炉に投入して溶解する場合に、一回当たりの溶解重量が少なくなるために、単位金粉重量当たりのエネルギー使用量が増加すると共に溶解工程の設備能力が制限されるといった設備効率の問題である。
すなわち、金粉のハンドリング効率及び金粉の溶解工程における設備効率を向上させると共に、還元反応槽の内壁や攪拌機への金の付着を防止して還元工程における作業効率及び設備効率を向上させて、効率的かつ経済的な製造を実現するために、嵩密度の高い金粉の製造方法を提供する。
なお、本発明により得られる金粉は、ルツボ等の小型溶解炉でバッチ溶解され、インゴットの形状に鋳造されて最終製品となるため、従来は、金粉の粒子径、粒径分布、形等の形状的特性は重要視されておらず、したがって、嵩密度を制御する還元反応条件は見出されていなかった。
図1のフロー図における各工程を簡単に説明する。
金をテトラクロロ金酸イオンの形に浸出した浸出液と有機溶媒のジエチレングリコールジブチルエーテルを接触させて、前記テトラクロロ金酸イオンを前記有機溶媒に抽出する工程である。
[洗浄工程]
抽出されたテトラクロロ金酸イオンを含む有機溶媒中に共抽出された不純物を塩酸で洗浄して洗浄後有機溶媒を形成する工程である。
[調整工程]
有機相の洗浄後有機溶媒と、水相の水を混合して混合液を形成した後、その水相の塩化物イオン濃度が60g/L以上、90g/L以下に調整されるように塩化物を溶解した塩化物水溶液と洗浄後有機溶媒との調整混合液を形成する工程である。
[還元工程]
前工程で作製した調整混合液の塩化物水溶液に蓚酸を添加した後、その蓚酸を含む塩化物水溶液と洗浄後有機溶媒とを接触、混合し、洗浄後有機溶媒中のテトラクロロ金酸イオンを蓚酸を含む塩化物水溶液に逆抽出後、水溶液中で還元して金粉を生成する工程である。
以上の工程を順に経て、嵩密度の高い金粉を生成する。
各工程の構成要素について順に説明する。
本発明のような有機溶媒中のテトラクロロ金酸イオンを還元して金粉を製造する方法では、例えば特許文献2にも記載されているように、還元剤としては蓚酸が最適である。
また、尿素には、テトラクロロ金酸イオンの還元を促進する作用もある。
還元剤の蓚酸を含む(場合によっては尿素も含む)水溶液(水相)の塩化物イオン濃度は、50〜75g/Lの間では、この塩化物イオン濃度と得られる金粉の嵩密度は図2に示すように線形関係を有しているが、4.0g/mL以上の嵩密度を得るには、塩化物イオン濃度を60g/L以上、90g/L以下に調整するのが望ましい。
なお、図2は水相の塩化物イオン濃度と得られた金粉の嵩密度との関係を示す図で、横軸は水相の塩化物イオン濃度、縦軸は金粉の嵩密度である。
塩化物イオン濃度を調整する塩化物には、例えば、塩化ナトリウムを用いても良いし、還元した金粉回収後のろ液を、繰り返し使用し、純水で濃度を調整しても良い。
還元処理時の水溶液温度は、85℃以上、95℃以下に保持することが望ましい。
この還元処理時の水溶液温度が85℃未満の場合、金の還元反応速度が遅くなる。一方で、水溶液温度が95℃を越えた場合、有機溶媒の揮発が促進されてしまうため、有機溶媒ロスが増加すると共に、作業環境、防火管理等の観点から、好ましくはない。
還元処理後の水溶液のpHは、−0.2以上、1.0以下とすることが望ましい。
この還元処理後の水溶液のpHが、−0.2未満だと、金の還元反応速度が遅くなる。対して、還元処理後の水溶液のpHが、1.0を超えると、錫等の不純物が水酸化物の沈殿を生成し、金粉に混入する可能性が高くなる。
回収した金粉の分析を行ったが、純分は99.999%であった。金の純分は、ICP発光分光分析法およびガス分析によって不純物含有量を求めた後、差引法によって算出した。
反応終了時の酸化還元電位は761mV、pHは−0.2であった。
回収した金粉の分析を行ったが、純分は99.999%であった。金の純分は、ICP発光分光分析法およびガス分析によって不純物含有量を求めた後、差引法によって算出した。
反応終了時の酸化還元電位は757mV、pHは−0.1であった。
回収した金粉の分析を行ったが、純分は99.999%であった。
金の純分は、ICP発光分光分析法およびガス分析によって不純物含有量を求めた後、差引法によって算出した。
実施例1と同様に、テトラクロロ金酸イオンを含んだ浸出液からテトラクロロ金酸イオンをDBCに抽出し、有機溶媒中の金濃度を35.4g/Lとした。この金を含む有機溶媒を1.5モル/Lの塩酸で洗浄した後、その有機溶媒1000Lを、3.0m3のグラスライニング槽に入れ、1000Lの純水を添加し、有機相(有機溶媒)と水相(純水)の混合液を作製した。
加温後、その温度を維持して撹拌を継続することで還元反応を行い、還元反応中の混合液の酸化還元電位とpHを、酸化還元電位(ORP)計とpH計で計測し、酸化還元電位が低下して、5分間に10mV以上の低下が無くなった時点で還元反応が終了したと見なし、還元後スラリーを得た。
反応終了時の酸化還元電位は750mV、pHは−0.2となった。
その回収した金粉の嵩密度は、3.20g/mLであった。なお、嵩密度は、タップしない状態で、メスシリンダーと秤量器により測定した。
取り出した金粉には、0.5〜3mm程度の長径を持つ鱗片状の金が、多量に存在していた。
さらに回収した金粉の分析を行ったが、純分は99.999%であった。金の純分は、ICP発光分光分析法およびガス分析によって不純物含有量を求めた後、差引法によって算出した。
Claims (1)
- 金をテトラクロロ金酸イオンとして浸出した浸出液に、有機溶媒のジエチレングリコールジブチルエーテルを接触させて、前記テトラクロロ金酸イオンを前記有機溶媒に抽出し、抽出された前記テトラクロロ金酸イオンを含む有機溶媒を塩酸で洗浄した後、前記洗浄後有機溶媒と蓚酸を含む水溶液とを混合して両者を接触させ、テトラクロロ金酸イオンを還元して金粉を製造する方法において、
前記テトラクロロ金酸イオンを含む有機溶媒と、前記蓚酸を含む水溶液とを混合して接触させる際に、前記水溶液中の塩化物イオン濃度を60g/L以上、90g/L以下に調整して、前記有機溶媒中のテトラクロロ金酸イオンを前記水溶液中に逆抽出した後、前記水溶液中で還元処理して金粉を生成することを特徴とする嵩密度の高い金粉の製造方法。
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