以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態における発電ユニット1の正面模式図であり、図2は図1の矢印II方向視における発電素子10の平面図である。図1に示すように発電ユニット1は、発電素子10と、その発電素子10に荷重を入力する入力機構50とを備えている。
図1に示すように発電素子10は、磁歪材料から構成される第1棒11及び第2棒12と、第1棒11に巻回されるコイル13と、第1棒11及び第2棒12の軸方向他端側(図1左側)及び軸方向一端側(図1右側)においてこれら第1棒11及び第2棒12の対向間に挟装される一対の永久磁石14,15と、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着され第1棒11及び第2棒12の対向間に永久磁石14,15が挟装された状態を保持する一対の保持部材40とを備える。
第1棒11及び第2棒12は、厚み寸法(図1上下方向寸法)に対して幅寸法(図2上下方向寸法)が大きな断面長方形(即ち、断面が長辺(幅方向に沿う辺)及び短辺(厚み方向に沿う辺)を有する長方形)の長尺板状に形成される。
これら第1棒11及び第2棒12は、互いに同一形状(寸法)に形成されると共に、面積が大きな側面(即ち、断面において長辺を含む側面)同士を対向させて平行に配置される。なお、第2棒12は、第1棒11よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成される。本実施形態では、第1棒11が鉄ガリウム合金から、第2棒12が鉄鋼材料から、それぞれ構成される。
コイル13は、銅線から構成される線材を第1棒11に巻回したものである。コイル13と第1棒11との間には隙間が設けられる。永久磁石14,15は、第1棒11にバイアス磁界を付与するための部材であり、それぞれ断面矩形の板状に形成される。
永久磁石14,15は、互いに磁極を違えて配設される。即ち、永久磁石14は、第1棒11に接続される面側(図1上側)にN極、第2棒12に接続される面側(図1下側)にS極が配置される一方、これとは反対に、永久磁石15は、第1棒11に接続される面側にS極、第2棒12に接続される面側にN極が配置される。
これにより、第1棒11と、第2棒12と、永久磁石14,15とにより磁気ループが形成され、永久磁石14,15の起磁力によるバイアス磁界が第1棒11に付与される。その結果、第1棒11の磁化容易方向(磁化の方向または磁化が生じ易い方向)が、第1棒11の軸方向(長手方向、図1左右方向)に設定される。
永久磁石14,15は、固定部材20に形成(凹設)された収容空間に配設される。この収容空間の内面および第1棒11及び第2棒12の側面と、永久磁石14,15の側面との対向間には隙間が形成され、この隙間に充填した接着剤により、永久磁石14,15が固定部材20に固着される。
保持部材40は、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側および他端側にそれぞれ取着される一対の固定部材20と、それら一対の固定部材20がそれぞれ圧入されるホルダ部材30とを備える。固定部材20及びホルダ部材30は、非磁性材料(本実施形態では、アルミニウム合金)から構成される。
固定部材20は、ブロック状に形成され、その一側の側面(図1紙面手前側、図2下側)には、第1棒11、第2棒12及び永久磁石14,15を収容するための凹部空間が凹設される。即ち、永久磁石14,15を収容する凹部空間が、固定部材20の略中央部に正面視矩形状に凹設され、その永久磁石14,15を収容する凹部空間を上下方向(図1上下方向)から挟んで、第1棒11及び第2棒12を収容する溝状の凹部空間が左右方向(図1左右方向)に延設される。
第1棒11及び第2棒12を収容する凹部空間の対向間には、永久磁石14,15を収容する凹部空間に隣接する位置に、正面視矩形状の規制部21が突設される。規制部21の厚み寸法(図1上下方向寸法)は、永久磁石14,15の厚み寸法(図1上下方向寸法)よりも大きくされる。
固定部材20の上下(図1上側および下側)の側面は、固定部材20をホルダ部材30へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面として形成される。これら上下の傾斜面の傾斜(勾配)によって、固定部材20は、図1に示す正面視において、第1棒11及び第2棒12の軸方向中央から離間するに従って先細りとなる形状に形成される。
ホルダ部材30は、略直方体形状のベース部31と、そのベース部31から突設されると共に所定間隔を隔てて互いに対向する被圧入対向部32,33とを備え、被圧入対向部32,33の対向間に固定部材20を保持する。
被圧入対向部32,33の互いに対向する面は、固定部材20をホルダ部材30へ圧入する際の圧入方向に沿って傾斜する傾斜面として形成される。これら対向する面の傾斜(勾配)によって、その対向間隔はベース部31へ向かうに従って狭くなる。
発電素子10は、一対の保持部材40の内の一方の保持部材40(図1右側)が支持部F1に固定された状態で設置され、第1棒11及び第2棒12の軸方向一端側(図1右側)が固定端とされると共に、第1棒11及び第2棒12の軸方向他端側(図1左側)が自由振動可能な自由端とされる。ホルダ部材30(保持部材40)は、被圧入対向部32,33が突設される方向と反対方向にベース部31から突起部34が突設される。入力機構50から突起部34に荷重が入力されることにより、他方の保持部材40(図1左側)が振り子運動(自由振動)される。
発電素子10は、第1棒11及び第2棒12の対向間に一対の永久磁石14,15が磁極を違えて挟装されるので、第1棒11及び第2棒12と一対の永久磁石14,15とにより磁気ループが形成されると共に、永久磁石14,15の起磁力によるバイアス磁界が第1棒11及び第2棒12に付与される。よって、振り子運動(自由振動)により、第1棒11及び第2棒12が伸張または収縮されることで、その軸方向(図1左右方向)と平行な方向に磁束密度が変化される。その結果、第1棒11に巻回されたコイル13に電流が発生し、発電が行われる。
入力機構50は、発電素子10に周期的に荷重を入力するための機構であり、円盤状の駆動部材52と、駆動部材52の外周面に周方向に互いに間隔をあけて突設される複数の凸起状の干渉部53(係合部)と、その干渉部53と係脱を交互に繰り返すことにより駆動部材52を連続的に間欠回転させる係止部材54とを備えている。
駆動部材52は駆動軸51と一体回転可能に構成され、駆動軸51は蓄力装置(後述する)に蓄えられるエネルギーにより回転駆動される(図1反時計回り)。駆動部材52は、駆動部材52の回転により干渉部53が突起部34に衝突可能な位置に配設されるので、干渉部53は、駆動部材52の回転により突起部34と所定の周期で干渉(衝突)する。駆動部材52が回転して干渉部53が突起部34と衝突すると、その回転トルクで第1棒11及び第2棒12が撓んで上方に傾倒される。突起部34と衝突した干渉部53がその突起部34を乗り越えると、上方に傾倒した第1棒11及び第2棒12がその反力で復元し振動する。干渉部53は、駆動部材52の周方向に所定の間隔をあけて配置されることで干渉部53との間に遊間が設けられているので、第1棒11及び第2棒12は、干渉部53間で自由振動する。その結果、発電素子10により発電が行われる。
係止部材54は、連続回転しようとする駆動部材52に対して干渉部53の係合と離脱とを繰り返すことにより駆動部材52を間欠回転させるための部材である。係止部材54は、支軸55を中心に往復回転可能に構成されると共に、支軸55から延設される脚部56を有し、正面視して略T字形状とされる。係止部材54は、両腕の先端に爪を有しており、支軸55を中心にして一方向(図1反時計回り)に回転すると、干渉部53を一方の爪が係止して駆動部材52の回転を停止させる。また、係止部材54が支軸55を中心にして他方向(図1時計回り)に回転すると、干渉部53から一方の爪が離脱して駆動部材52の回転が開始されるが、直ちに他方の爪に遮られて再び駆動部材52の回転が停止される。この動作が繰り返されることにより、駆動部材52は連続して間欠回転する。
係止部材54に隣接して、リング状に形成された環部58が配置されている。環部58はアーム(図示せず)により中心軸57と連結され、中心軸57を中心に中心軸57と一体に往復回転可能に構成される。中心軸57及び環部58は渦巻ばね59の両端がそれぞれ固定されているので、等時性のある渦巻ばね59の伸縮により中心軸57及び環部58は規則正しく往復回転する。
中心軸57は、径方向に偏心状に突出する凸起(図示せず)が形成されている。その凸起が支軸55から延設される脚部56と干渉して、中心軸57及び環部58の回転エネルギーを係止部材54に伝達する。これにより、支軸55を中心に係止部材54を往復回転させることができる。その結果、係止部材54と干渉部53との係脱が繰り返される。
また、係止部材54と干渉部53との係脱が行われるときには、駆動部材54の回転トルクが、干渉部53及び爪を介して脚部56から中心軸57の凸起に伝達される。駆動部材54の回転トルクが中心軸57(凸起)に伝達されるので、渦巻ばね59の弾性エネルギーの減衰が防止される。その結果、駆動軸51から動力が伝達される間は、係止部材54の往復回転による駆動部材52の間欠回転が持続する。
なお、突起部34は、駆動部材52が間欠回転するときの干渉部53間に位置するように設定される。その結果、駆動部材52の回転が停止するときには突起部34と干渉部53との間に遊間が設けられ、第1棒11及び第2棒12は軸方向他端側(図1左側)が自由振動可能な自由端とされる。その自由振動の固有周期は、突起部34に干渉部53が干渉する周期より小さい値に設定される。
次に図3から図6を参照して加振装置60について説明する。図3は加振装置60の側面模式図である。図3に示すように加振装置60は、外力を回転錘61の振り子振動として取り出し、力学的エネルギーとして蓄え、蓄えたエネルギーを開放することにより入力機構50を介して発電素子10(図1参照)を振動させる装置である。
回転錘61は、外力が作用することにより自在継手62を中心に振り子振動を生じる部材である。回転錘61の振り子振動は自在継手62を介して回動軸63に伝達される。回転錘61と回動軸63との間に自在継手62を介在させているので、回動軸63と直交する速度成分の外力だけでなく、回動軸63と斜交する速度成分の外力も、回転錘61により効率良く取り出すことが可能となる。
なお、回転錘61に作用する外力としては、蓄力装置90(後述する)が固定される支持部F2の振動、回転錘61を揺動させる気流(風)や水流等が例示される。また、支持部F2としては、自動車、船舶や鉄道車両などの移動体;工場設備(例えばコンベヤの支持脚、プレス機)などの固定物;人体;橋や歩道橋、道路などの建造物などが例示される。但し、これに限られるものではなく、支持部F2は、回転錘61を揺動可能な外力が作用する部位であれば、適宜設定することが可能である。
回動軸63に伝達された回転動力は方向変換機構70に伝達される。図4を参照して方向変換機構70について説明する。図4は方向変換機構70の正面模式図である。方向変換機構70は、回転錘61の振り子振動で得られた往復運動(二方向の運動)を一方向の運動に変換するための機構である。
図4に示すように方向変換機構70は2つの切換車71,81を備えている。切換車71,81は、切換ギヤ72,82と、その切換ギヤ72,82の回転中心に配設され回動軸63の回動運動がそれぞれ伝達される伝達軸73,83とを備えている。切換ギヤ72,82は伝達軸73,83に対して回転可能に構成される。切換ギヤ72,82は互いに噛み合い、切換ギヤ72は、回転軸64(図3参照)と一体に回転するギヤ80と噛み合う。
切換車71,81は、それぞれ伝達軸73,83と一体のラチェット車74,84を備え、切換ギヤ72,82にはラチェット車74,84と係合する切換爪75,85がピン76,86により揺動可能に固定されている。切換爪75,85は、付勢ばね77,87により一端が押圧され且つ他端がラチェット車74,84の歯面に対して付勢される。付勢ばね77,87はピン76,86により切換ギヤ72,82に固定されている。これによりラチェット車74,84は回転規制方向が互いに反対方向となるように設定される。
以上のように構成される方向変換機構70によれば、回動軸63の一方向の回転により伝達軸73,83及びラチェット車74,84が図4反時計方向に回転すると、ラチェット車74は切換爪75でロックされないので、ラチェット車74の回転は切換ギヤ72に伝達されない。一方、ラチェット車84は切換爪85でロックされるので、ラチェット車84の回転は切換ギヤ82に伝達される。その結果、切換ギヤ82は矢印R1方向に回転し、切換ギヤ82と噛み合う切換ギヤ72は矢印R2方向へ回転する。そして、切換ギヤ72と噛み合うギヤ80が矢印R3方向へ回転し、ギヤ80と一体に回転軸64が矢印R3方向に回転する。
また、回動軸63の他方向の回転により伝達軸73,83及びラチェット車74,84が図4時計方向に回転すると、ラチェット車84は切換爪85でロックされないので、ラチェット車84の回転は切換ギヤ82に伝達されない。一方、ラチェット車74は切換爪75でロックされるので、ラチェット車74の回転は切換ギヤ72に伝達される。その結果、切換ギヤ72は矢印R2方向へ回転し、切換ギヤ72と噛み合うギヤ80が矢印R3方向へ回転する。以上のようにギヤ80及び回転軸64は、回動軸63がいずれの方向に回転しても、矢印R3方向へのみ回転する。
なお、ギヤ80は逆回転(反矢印R3方向の回転)を阻止するラッチ機構(図示せず)が設けられている。ラッチ機構によりギヤ80の逆回転を阻止することにより、蓄力装置(後述する)に蓄えられたエネルギー損失を防止できる。
図3に戻って説明する。方向変換機構70により回転軸64が一方向に回転されると、その回転動力は駆動ギヤ65を介して、駆動ギヤ65と噛み合う被動ギヤ66に伝達され、被動ギヤ66と一体に回転する入力軸67に出力される。被動ギヤ66は駆動ギヤ65より歯数が多くなるように設定されているので、入力軸67の回転トルクを大きくできる。蓄力装置90に動力を入力する入力軸67の回転トルクを大きくすることで、蓄力装置90への動力の入力を容易にできる。
図5を参照して蓄力装置90について説明する。図5は蓄力装置90の側面模式図である。蓄力装置90は、入力軸67の回転動力を力学的エネルギーとして蓄えるための装置であり、入力軸67に連結された香箱91と、香箱91の回転を伝達する第1ギヤ列92と、第1ギヤ列92の回転動力を伝達する中心軸93と、中心軸93の回転を駆動軸52に伝達する第2ギヤ列94とを備えて構成されている。第1ギヤ列92は、互いに噛み合う第1駆動ギヤ92a及び第1被動ギヤ92bからなり、第2ギヤ列94は、互いに噛み合う第2駆動ギヤ94a及び第2被動ギヤ94bからなる。第1駆動ギヤ92aは、香箱91の外周に形設されている。
次に図6を参照して香箱91について説明する。香箱91は弾性体91cが内蔵される部材である。図6(a)はエネルギーを開放したときの弾性体91cの正面模式図であり、図6(b)はエネルギーを蓄積するときの弾性体91cの正面模式図である。香箱91は、入力軸67に対して回転可能に構成されるケース91aに、金属帯により渦巻ばね(ぜんまい)として構成される弾性体91c(金属ばね)が収容される。弾性体91cは、入力軸67に一端が固定され、ケース91aの内周面に設けられた固定部91bに他端が固定されている。これにより入力軸67から回転動力が入力されると、図6(b)に示すように弾性体91aが巻き上げられ、弾性エネルギーが蓄えられる。また、巻き上げられた弾性体91cの復元力により、香箱91が、弾性体91cの巻き上げ方向と反対方向に回転し、動力が出力される(図6(a)参照)。
蓄力装置90は、弾性体91cにより外力が弾性エネルギーとして蓄えられるので、外力を位置エネルギー等として蓄えるものと比較して、重力の影響を受け難くでき環境依存性を小さくできると共に蓄力装置90を小型化できる。また、弾性体91cが金属ばねにより形成されているので、略一定トルクでエネルギーを開放できると共に、エネルギー損失を小さくできる。
図5に戻って説明する。弾性体91aの復元力で香箱91及び第1駆動ギヤ92aが回転すると、第1ギヤ列92及び第2ギヤ列94を介して駆動軸51が回転する。ここで、第1ギヤ列92は、第1駆動ギヤ92aの歯数が第1被動ギヤ92bの歯数より多く設定されている。同様に、第2ギヤ列94は、第2駆動ギヤ94aの歯数が第2被動ギヤ94bの歯数より多く設定されている。よって、香箱91の回転を増速して駆動軸51及び駆動部材52を回転させることができる。そして、駆動軸51が回転することにより、前述のとおり駆動部材52(図1参照)が回転して、干渉部53が周期的に突起部34に衝突することにより、発電素子10が加振される。
以上のように、蓄力装置90を駆動源として加振装置60の駆動部材52が回転駆動され、その駆動部材52の外周面に周方向に所定の間隔をあけて複数の干渉部53(係合部)が設けられる。蓄力装置90に蓄えられた力学的エネルギーにより駆動部材52及び干渉部53を回転させ、その干渉部53の変位に伴い、駆動部材52が1回転する間に突起部34と干渉部53(係合部)とが複数回干渉する。干渉部53が突起部34に干渉するときに要する駆動部材52の回転角を小さく設定できるので、蓄力装置90に蓄えられた力学的エネルギーを発電素子10の振動に効率良く変換できる。
なお、ギヤ列により増速される駆動部材52の回転トルク、渦巻ばね59(図1参照)のばね定数、第1棒11及び第2棒12の曲げ剛性等は、駆動部材52の間欠回転を持続させつつ第1棒11及び第2棒12を加振できるように適宜設定される。香箱91に蓄えられた弾性エネルギーが効率良く回転エネルギーに変換され、発電素子10が加振されるので、発電効率の向上を図ることができる。
また、蓄力装置90に蓄えられた力学的エネルギー(弾性エネルギー)を必要に応じて開放することで、必要に応じて発電できる。その結果、発電した電力を無駄に消費することを防止できるので、発電素子10の発電効率を向上させることができる。さらに、力学的エネルギーとして外力が蓄えられる蓄力装置90は、電気エネルギーを蓄える蓄電池と比較して経年劣化し難くできるので、耐久性を向上できる。
ここで、干渉部53(図1参照)が突起部34に衝突して発電素子10が自由振動する間、干渉部53間に突起部34が位置するように(干渉部53が発電素子10の自由振動を妨げないように)、係止部材54の位置や大きさ等が設定される。その結果、突起部34と干渉部53との間に遊間が設けられる。突起部34と干渉部53との間に遊間が設けられるので、加振装置60(回転錘61や支持部F2)に大きな外力が作用したときでも、その外力が発電素子10に伝達されないようにできる。その結果、発電素子10に過大な外力が入力されて発電素子10が破損したり損傷したりすることを防止できる。
また、第1棒11及び第2棒12の軸方向他端側(図1左側)は自由振動可能な自由端とされ、その第1棒11及び第2棒12の自由振動の固有周期は、突起部34に干渉部53が干渉する周期より小さい値に設定される。その結果、発電素子10の発電圧を大きくできる。
この理由を以下説明する。発電素子10の発電圧はV∝fSNBと表すことができる。但し、Vは発電圧、fは共振周波数、Sは磁歪棒の断面積、Nはコイル13の巻数、Bは磁歪棒内部の磁束密度である。即ち、発電素子10の発電圧は第1棒11及び第2棒12(磁歪棒)の共振周波数に比例する。換言すれば、発電素子10の発電圧は第1棒11及び第2棒12の固有周期の逆数に反比例する。よって、第1棒11及び第2棒12の自由振動の固有周期を小さく設定できれば、発電素子10の発電圧を大きくすることができる。第1棒11及び第2棒12は、干渉部53と突起部34との間に遊間が設けられることにより自由振動可能とされるので、干渉部53が突起部34に干渉する周期とは別に第1棒11及び第2棒12の固有周期を設定できる。干渉部53等と無関係に第1棒11及び第2棒12の自由振動の固有周期を小さく設定できるので、干渉部53等に規制されることなく発電素子10の発電圧を大きくできる。
また、蓄力装置90に外力を蓄え、蓄えたエネルギーを開放して発電素子10を振動させるので、第1棒11及び第2棒12(磁歪棒)が振動する周期を、加振装置60(回転錘61)に外力が作用する周期より小さい値に設定できる。その結果、発電素子10による効率的な発電にほとんど寄与しない静的な外力や比較的低周波数である振動(例えば橋や歩道橋、道路等の約3〜20Hzの振動)のエネルギーを蓄力装置90に蓄えた場合も、その蓄えたエネルギーを開放して加振装置60により発電素子10を振動させることができる。発電素子10の発電圧は第1棒11及び第2棒12が振動する周期の逆数に反比例するので、第1棒11及び第2棒12が振動する周期を、加振装置60に外力が作用する周期より小さい値に設定することで、発電圧を確保できる。
換言すれば、蓄力装置90にエネルギーを蓄積するのに適した外力の周波数等と、発電に適した発電素子10の共振周波数とを異ならせることができる。例えば、蓄力装置90が固定される支持部F2の振動、回転錘61を揺動させる気流(風)や水流等の外力は、比較的低周波数のものや静的なものを設定することができる。その結果、蓄力装置90にエネルギーを蓄積する効率を向上させると共に、発電効率を向上させることができる。
また、発電素子10の共振周波数を高周波数に設定できれば、質量体(可動マス)として機能する他方(自由端側、図1左側)の保持部材40の質量を小さくできる。これにより、発電と無関係な部位の体積を小さくできるので、その分、電力密度(単位体積あたりから取り出せる電力)を大きくできる。
同様に、発電素子10の共振周波数を高周波数に設定できれば、発電素子10のばね定数を大きくできる。これにより、第1棒11及び第2棒12の軸方向長さを短くできるので、その分、発電ユニット1の小型化を図ることができる。また、第1棒11及び第2棒12の厚み寸法や幅寸法を大きくできるので、磁束を漏れ難くできる。さらに、第1棒11及び第2棒12の対向間隔を広くできるので、コイル13の配設スペースを確保して、その巻き数を多くすることができる。その結果、発電効率の向上を図ることができる。
なお、発電ユニット1の発電素子10によれば、第1棒11のみにコイル13が巻回され、第2棒12にコイル13を巻回する必要がないので、その分、部品点数の削減を図ることができる。また、第2棒12にコイル13を巻回する必要がなければ、本来、第2棒12にコイル13を巻回するためのスペースを利用して、第1棒11に巻回されるコイル13の巻き数を増加させることができる。即ち、この構成も、発電効率の向上に寄与する。
ここで、発電ユニット1の構造では、第1棒11にその軸方向(図1左右方向)に沿って形成される磁界の方向と第2棒12にその軸方向(図1左右方向)に沿って形成される磁界の方向とが逆方向となる。よって、発電中、第1棒11及び第2棒12が伸張または収縮される際に、軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が逆方向となり互いに打ち消し合う。そのため、磁束密度の変化が低減され、発電効率の低下を招く。
この場合、発電ユニット1によれば、第2棒12(即ち、コイルが巻回されない磁歪棒)が第1棒11よりも磁歪効果の低い磁歪材料から構成されるので、発電中、第1棒11及び第2棒12が伸張または収縮される際には、第2棒12における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を少なくできる。よって、第2棒12における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化によって、第1棒11における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化が打ち消されることを抑制できるので、その分、発電に必要な第1棒11における軸方向と平行な方向の磁束密度の変化を確保して、発電効率の向上を図ることができる。
また、第2棒12を、磁歪効果の高い磁歪材料から構成する必要がなく、一般的な磁性材料(本実施形態では鉄鋼材料)から構成することができるので、第1棒11と比較して、第2棒12の材料コストを削減でき、その分、発電ユニット1全体としての製品コストを削減できる。
次に図7を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、歯車状に形成された干渉部53により発電素子10に振動を加える場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、ハンマ状に形成された干渉部(マス部材104)により発電素子10に振動を加える場合について説明する。
図7は本発明の第2実施の形態における発電ユニット100の正面模式図である。なお、第2実施の形態における発電ユニット100は、発電素子10に振動を加える干渉部(マス部材104)の構成が、第1実施の形態における発電ユニット1と異なる点を除き、他の構成は第1実施の形態における発電ユニット1と同一である。よって、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図7に示すように発電ユニット100は、加振装置60(図3参照)の一部として構成され支持部F1側に固定される固定部材102と、質量体として構成されるマス部材104と、マス部材104の先端に突設される板状の突起部105と、それらマス部材104及び固定部材102の間に介設され、固定部材102に対してマス部材104を自由振動可能に弾性支持する弾性支持部材103とを備え、これら各部材102〜105が鉄鋼材料から一体に形成される。
マス部材104は、直方体形状に形成され、発電素子10の他方の保持部材40(図7左側であって、自由振動可能な自由端側)に対して所定間隔を隔てつつ対向配置される。即ち、マス部材104は、その下面(図7下側面)を他方の保持部材40の上面(図7上側面)に衝突可能な位置に配置される。
なお、マス部材104は、保持部材40(ホルダ部材30のベース部31)の端面よりも外方(弾性支持部材103と反対側、図7左側)に突出する位置に配置される。これにより、保持部材40の最端部(図7左端)にマス部材104を衝突させることができるので、発電素子10に自由振動を効率的に発生させることができる。
固定部材102は、直方体形状に形成され、発電素子10の一方の保持部材40(図7右側、即ち、支持部F1に固定される固定端側)に締結ボルトBにより締結固定される。即ち、固定部材102には、挿通孔102aが貫通形成されており、締結ボルトBは、固定部材102の挿通孔102aに挿通され、一方の保持部材40の締結孔32aに締結される。
弾性支持部材103は、第1棒11及び第2棒12と同様に、厚み寸法に対して幅寸法が大きな断面長方形の長尺板状に形成され、面積が大きな側面(即ち、断面において長辺を含む側面)を対向させて第1棒11及び第2棒12に平行に配置される。入力機構50の駆動部材52が回転駆動されて係合部53が突起部34に衝突し、弾性支持部材103が上方(図7上側)に撓み変形されることで、マス部材104が固定部材102に対して振り子運動(自由振動)する。即ち、入力機構50からの荷重の入力によりマス部材104に振動が加えられると、マス部材104(干渉部)により発電素子10の他方(自由端側)の保持部材40に衝撃が加えられる。その結果、発電素子10の第1棒11及び第2棒12は自由振動するので、発電が行われる。
ここで、発電素子10を自由振動させるために必要な入力エネルギーは、保持部材40に衝突するときのマス部材104の速度およびマス部材104の質量によって決定される。これらは、発電素子10の発電圧に寄与する第1棒11及び第2棒12のばね定数や断面積と無関係である。発電素子10の発電圧に寄与する第1棒11及び第2棒12のばね定数や断面積と無関係に、入力エネルギーを設定できるので、発電素子10の発電圧を確保しつつ、発電素子10に必要な振動を加えることができる。よって、発電素子10に振動を加える加振装置60の設計の自由度を向上できる。
また、マス部材104は、その振り子運動(自由振動)の共振周波数(第1周波数)を、発電素子10における振り子運動(自由振動)の共振周波数(第2周波数)よりも低い値(低周波数)に設定することができる。本実施形態では、マス部材104の自由振動の共振周波数(第1周波数)は、支持部F2の振動の周波数に一致するように設定される。
発電ユニット101によれば、マス部材104の振り子運動(自由振動)の共振周波数である第1周波数が、支持部F2の振動の周波数に一致されるので、マス部材104を共振させ、マス部材104を発電素子10の他方(自由端側)の保持部材40に周期的に衝突させることができる。これにより、発電素子10に自由振動を発生させ、発電素子10による発電を効率的に行わせることができる。
即ち、発電素子10における振り子運動(自由振動)の共振周波数(第2周波数)を、支持部F2の振動(即ち、低周波数の振動)に合わせる必要がなく、高周波数に設定できる。従って、共振周波数に比例する発電素子10の発電圧を確保した状態で発電を行うことができる。その結果、振動が比較的低周波数の支持部F2(振動源)において、発電を効率的に行うことができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態では、保持部材40が固定部材20とホルダ部材30との2部材から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、固定部材20とホルダ部材30とを一体に形成しても良い。なお、この場合には、圧入による第1棒11等の挟圧保持作用を得られないため、第1棒11等の保持部材40への固着を、接着剤による接着固定で行う。
上記各実施形態では、第1棒11のみにコイル13を巻回する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるのもではなく、第1棒11と第2棒12との両者にそれぞれコイル13を巻回しても良い。なお、この場合には、第1棒11及び第2棒12を同じ磁歪材料から構成する(即ち、第2棒12を第1棒11よりも磁歪効果の低い材料で構成する必要はない)。
上記各実施形態では、発電ユニット1,101を構成する発電素子として、発電素子10を採用する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、「磁歪材料から構成される磁歪棒と、その磁歪棒に巻回されるコイルとを備え、磁歪棒の軸方向一端側が固定端とされると共に軸方向他端側が自由振動可能な自由端とされ、磁歪棒が軸方向に伸張または収縮されることで、逆磁歪効果により発電を行うもの」であれば、他の発電素子を採用することは当然可能である。
他の発電素子としては、例えば、永久磁石14,15に代えて、電磁石を利用するものを採用することができる。また、発電ユニット1,101の外部からの磁場により磁気回路に漏れ磁束が発生する構成であれば、発電ユニット1,101の外部に磁石を配置した構成とすることは可能である。また、永久磁石や電磁石の起磁力により第1棒11及び第2棒12(磁歪棒)にバイアス磁化を印加するバックヨークを設けることも可能である。
上記第2実施形態では、加振装置60の固定部材102、弾性支持部材103及びマス部材104が一体に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるのもではなく、これら固定部材102、弾性支持部材103及びマス部材104を別体に形成しても良い。これにより、発電ユニット101の設置環境(支持部F1の振動の周波数)に応じて、マス部材104及び弾性支持部材103を変更して、マス部材104及び弾性支持部材103の共振周波数を変更できる。従って、発電素子10の設置環境に応じた調整を容易に行うことができると共に、より効率的な発電が可能となる。
上記第2実施形態では、マス部材104が保持部材40(ホルダ部材30)に直接衝突する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら両者の間にゴムシートなどの緩衝材を介在させても良い。これにより、異音の防止と耐久性の向上とを図ることができる。
上記第2実施形態では、加振装置60が1のマス部材104を備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、加振装置60が複数のマス部材104を備えていても良い。この場合には、各マス部材104及び弾性支持部材103が個別に自由振動可能となるように、複数の弾性支持部材103により弾性支持すると共に、これら複数の弾性支持部材103をそれぞれ異なるタイミングで弾性変形させて、各マス部材104を発電素子10の保持部材40に異なるタイミングで衝突させる。
その場合には、複数の弾性支持部材103を異なるばね定数に設定することが望ましい(これに代えて、或いは、これに加えて、各マス部材104の質量をそれぞれ異ならせる)。これにより、支持部F2(振動源)の振動の周波数が変化しても、複数のマス部材104の内のいずれかのマス部材104を発電素子10の保持部材40に衝突させて、発電素子10に自由振動を発生させることができる。よって、マス部材104及び弾性支持部材103の共振を利用して、発電素子10による発電可能な周波数帯域を拡大できる。
上記第2実施の形態では、発電素子10と固定部材102とが連結(締結固定)されて、発電ユニット101が構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、発電ユニット101は、発電素子10と固定部材102とが非連結であっても良い。即ち、発電素子10の一方の保持部材40と固定部材102とをそれぞれ個別に支持部F2に固定しても良い。
上記各実施形態では、ホルダ部材30の被圧入対向部53の下面が支持部F2に固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ホルダ部材30のいずれかの部分が支持部F2に固定されていれば良い。また、固定方法も適宜選択することができる。例えば、接着固定、溶接固定、締結固定などが例示される。
上記各実施の形態では、発電素子10の一端が自由端とされ、干渉部53,マス部材104(干渉部)が発電素子10の自由端側に衝突することで発電素子10が自由振動する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。発電素子10の一端を自由端とすることに代えて、発電素子10の一端に干渉部を連結固定することは可能である。これにより、発電素子10の一端を、干渉部を介して、蓄力装置90に蓄えられたエネルギーによって強制振動させることができる。干渉部を介して発電素子10の一端を強制振動させる機構としては、カム機構やリンク機構等を適宜選択できる。発電素子10の一端を強制振動させる場合も、必要に応じて発電できる本実施形態の作用効果を実現できる。
上記各実施の形態では、方向変換機構70として切換車方式によるものを説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の方式を採用することは当然可能である。他の方式としては、例えばマジックレバー方式、ペラトン方式を挙げることができる。
上記各実施の形態では説明を省略したが、弾性体91cのオーバーチャージ(過剰な巻き上げ)を排除する機構を蓄力装置90に設けることが望ましい。また、蓄力装置90の力量が不足している場合や緊急に発電する必要がある場合に備えて、回転錘61によらずに手動で弾性体91cを巻き上げるための手動入力装置を設けることが望ましい。
また、設定された時間になると加振装置60を作動させるタイマーを設けることは可能である。例えば、発電ユニット1,101を照明用の発電装置とする場合には、照明が不要な昼間は加振装置60を作動させずに蓄力だけを行い、照明が必要な夜間に、蓄力装置90に蓄えたエネルギーを開放して加振装置60を作動させるようにタイマーを設定する。これにより無駄な電力消費を防止できる。タイマーに加えて、或いはタイマーに代えて、周囲の明るさを検出する照度センサを設けることは可能である。照度センサを設けることにより、タイマーで設定された時間に関わらず、周囲が薄暗くなって照明が必要になると発電するように設定できる。
上記各実施の形態では、金属ばねで形成された弾性体91cにより蓄力する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の弾性体を採用することは当然可能である。他の弾性体としては、例えば、空気ばね、ゴム状弾性体を挙げることができる。これらの弾性体を用いることにより、弾性体の復元力を利用して蓄力できる。なお、弾性体91cを金属ばね(ぜんまい)とすることにより、エネルギー損失を小さくできると共に蓄力装置90を小型化できる。
上記各実施の形態では、加振装置60により駆動部材52を回転させて保持部材40又はマス部材104を振動させる場合について説明したが、保持部材40やマス部材104を振動させる機構は、これに限られるものではなく、他の公知のカム機構やリンク機構を適宜採用することは当然可能である。
<その他>
<手段>
技術的思想1の発電ユニットは、発電素子および加振装置を備え、外力を利用して発電を行う発電ユニットであって、前記発電素子は、磁歪材料から構成され軸方向一端側が固定端とされる磁歪棒と、前記磁歪棒に巻回されるコイルとを備え、前記磁歪棒が軸方向に伸張または収縮されることで逆磁歪効果により発電を行い、前記加振装置は、外力を力学的エネルギーとして蓄える蓄力装置と、前記蓄力装置に蓄えられた力学的エネルギーが開放されることにより前記磁歪棒の軸方向他端側と干渉して前記磁歪棒を振動させる干渉部とを備えている。
技術的思想2の発電ユニットは、技術的思想1記載の発電ユニットであって、前記干渉部は、前記磁歪棒の軸方向他端側と周期的に干渉し、前記磁歪棒は、軸方向他端側と前記干渉部との間に遊間が設けられることにより軸方向他端側が自由振動可能な自由端とされ、自由振動の固有周期が、軸方向他端側に前記干渉部が干渉する周期より小さい値に設定されている。
技術的思想3の発電ユニットは、技術的思想1又は2に記載の発電ユニットであって、前記干渉部の干渉により前記磁歪棒が振動する周期は、前記加振装置に外力が作用する周期より小さい値に設定されている。
技術的思想4の発電ユニットは、技術的思想1から3のいずれかに記載の発電ユニットであって、前記加振装置は、前記蓄力装置を駆動源として回転駆動される駆動部材と、前記駆動部材の外周面に周方向に互いに間隔をあけて設けられる複数の係合部とを備え、前記磁歪棒は、前記係合部の変位に伴い前記駆動部材が1回転する間に前記干渉部と軸方向他端側が複数回干渉する。
技術的思想5の発電ユニットは、技術的思想1から4のいずれかに記載の発電ユニットであって、前記蓄力装置は、外力を弾性エネルギーとして蓄える弾性体を備えている。
<効果>
技術的思想1記載の発電ユニットによれば、発電素子および加振装置を備え、外力を利用して発電を行うものであって、加振装置の蓄力装置に力学的エネルギーとして外力が蓄えられる。発電素子は、磁歪材料から構成される磁歪棒の軸方向一端側が固定端とされ、その磁歪棒にコイルが巻回される。蓄力装置に蓄えられた力学的エネルギーが開放されることにより、磁歪棒の軸方向他端側と干渉する干渉部により磁歪棒が振動する。磁歪棒が軸方向に伸張または収縮されることで逆磁歪効果により発電が行われる。
従って、蓄力装置に蓄えられた力学的エネルギーを必要に応じて開放することで、必要に応じて発電できる効果がある。また、力学的エネルギーとして外力が蓄えられる蓄力装置は、電気エネルギーを蓄える蓄電池と比較して経年劣化し難くできるので、耐久性を向上できる効果がある。
技術的思想2記載の発電ユニットによれば、磁歪棒の軸方向他端側と干渉部が周期的に干渉し、磁歪棒は、軸方向他端側と干渉部との間に遊間が設けられることにより軸方向他端側が自由振動可能な自由端とされる。磁歪棒は、磁歪棒の軸方向他端側に干渉部が干渉する周期より、自由振動の固有周期が小さい値に設定される。
発電素子の発電圧は磁歪棒の共振周波数に比例する、即ち発電素子の発電圧は磁歪棒の固有周期の逆数に反比例するので、磁歪棒の自由振動の固有周期を小さく設定できれば、発電素子の発電圧を大きくすることができる。磁歪棒は、干渉部との間に遊間が設けられることにより自由振動可能とされるので、干渉部が干渉する周期とは別に固有周期を設定できる。干渉部とは無関係に磁歪棒の自由振動の固有周期を小さく設定することで、技術的思想1の効果に加え、干渉部に規制されることなく発電圧を大きくできる効果がある。
技術的思想3記載の発電ユニットによれば、干渉部が干渉することにより磁歪棒が振動する周期は、加振装置に外力が作用する周期より小さい値に設定される。例えば、発電素子による効率的な発電にほとんど寄与しない静的な外力や比較的低周波数である振動(例えば橋や歩道橋、道路等の約3〜20Hzの振動)のエネルギーを蓄力装置に蓄えた場合も、その蓄えたエネルギーを開放して加振装置により発電素子を振動させることができる。発電素子の発電圧は磁歪棒が振動する周期の逆数に反比例するので、磁歪棒が振動する周期を、加振装置に外力が作用する周期より小さい値に設定することで、技術的思想1又は2の効果に加え、発電圧を確保できる効果がある。
技術的思想4記載の発電ユニットによれば、蓄力装置を駆動源として加振装置の駆動部材が回転駆動され、その駆動部材の外周面に周方向に所定の間隔をあけて複数の係合部が設けられる。蓄力装置に蓄えられた力学的エネルギーにより駆動部材および係合部を回転させ、その係合部の変位に伴い、駆動部材が1回転する間に磁歪棒の軸方向他端側と干渉部とが複数回干渉する。干渉部が磁歪棒に干渉するときに要する駆動部材の回転角を小さく設定できるので、技術的思想1から3のいずれかの効果に加え、蓄力装置に蓄えられた力学的エネルギーを磁歪棒の振動に効率良く変換できる効果がある。
技術的思想5記載の発電ユニットによれば、蓄力装置は、弾性体により外力が弾性エネルギーとして蓄えられる。よって、技術的思想1から4のいずれかの効果に加え、外力を位置エネルギー等として蓄えるものと比較して、重力の影響を受け難くでき環境依存性を小さくできると共に蓄力装置を小型化できる効果がある。