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JP6003245B2 - 排ガスの処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンなどの動力源によって排出される排ガスから窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去するための排ガスの処理方法及び処理装置に関する。
船舶や車輌に動力源として用いられているディーゼルエンジンは、スモッグや酸性雨等の原因となる窒素酸化物及び硫黄酸化物を排出する。特に船舶用のディーゼルエンジンは、排気量が極めて大きいため、対策を施すことが急務となっている。このため、現状においては、排ガスに含まれる窒素酸化物を低減するために選択還元脱硝法(Selective Catalytic Reduction)を適用したり、硫黄酸化物を低減するために海水スクラバーを用いたりしている。
具体的には、下記特許文献1では、ハニカム型触媒を用いて窒素酸化物を含む排ガスを処理する排ガス処理方法及び船舶用排ガス処理触媒が記載されている。又、下記特許文献2では、海水によるスクラバー処理による排ガス中の酸性成分の除去方法を、下記特許文献3では、溢流壁及び処理液貯溜部を備えたスプレー塔において、塩水を電気分解した処理液を用いて排ガスを処理する排ガス浄化装置を記載している。
液相中の硝酸塩を還元する装置としては、例えば、下記特許文献4に記載されるバッチ式の水処理装置がある。
特開2009−56410号公報 特開2001−129352号公報 特許第3901559号 特許第4101116号
排ガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を低減するには、各々を処理するための個別の設備が必要となるので、設備の設置スペースや運転動力が問題となる。また、特許文献3の排ガス浄化装置では、電解処理した海水を利用した湿式排ガス処理技術によって窒素酸化物の低減が可能であるが、吸収された窒素酸化物は硝酸塩として排出されるため、排水として廃棄する際に、周囲への影響を軽減するための中和処理の負担が非常に大きくなる。特許文献4の水処理装置は、連続的なガス洗浄と組み合わせるには不向きであり、設備の設置スペースや運転動力の節減も難しい。
また、温室効果ガス削減の観点から、船舶における二酸化炭素の排出抑制に対する要求も強まりつつあり、水の抵抗及び燃費を低減する試みがなされているが、排ガスから二酸化炭素を除去することも重要である。
本発明の課題は、上述の問題を解決し、設備の設置スペース及び運転動力が小さく、効率的に排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去し、処理に使用した排水の廃棄における負担を軽減可能な排ガスの処理装置を提供することである。
又、本発明の課題は、船舶用ディーゼルエンジン等の動力源から排出される排ガスに適用可能で、効率的に排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去し、処理後の排水を廃棄する際の負担が軽減可能な排ガスの処理方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、海水の電解処理液を用いて効率的に排ガスから窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去可能であり、処理排水を支障なく廃棄可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一態様によれば、排ガスの処理方法は、電解槽を用いて海水を電解する電解工程と、排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理工程と、前記第1処理工程後の排ガスを、前記電解工程で生成する海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理工程と、前記第2処理工程において吸収された窒素酸化物から海水アノード液に生成する硝酸成分を窒素に還元する変換工程であって、前記海水アノード液に生成する硝酸成分を、前記電解槽のカソード槽を用いて電解処理する工程と、前記電解槽のカソード槽に次亜塩素酸成分を供給する工程とを有する前記変換工程とを有することを要旨とする。
上記変換工程は、硝酸成分を電気化学的に還元する電解還元反応と、前記還元による生成物と次亜塩素酸との反応による窒素の生成とが進行する。
又、本発明の一態様によれば、排ガスの処理装置は、アノード槽及びカソード槽を有し、海水を電解して海水アノード液と海水カソード液とを生成する電解槽と、排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理塔と、前記第1処理塔から排出される排ガスを、前記電解槽で生成した海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理塔と、前記第2処理塔において吸収された窒素酸化物から海水アノード液において生成する硝酸成分を窒素に還元するための変換手段であって、前記海水アノード液に生成する硝酸成分、及び、次亜塩素酸成分を、前記電解槽のカソード槽に供給する供給手段を有し、前記カソード槽において硝酸成分は窒素に還元される前記変換手段とを有することを要旨とする。
本発明によれば、船舶用ディーゼルエンジン等の排ガスの処理に海水を用い、使用した後の排水を廃棄する際の処理負担が軽減され、排ガスから窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去する処理を効率的に少ないスペースで行うことができる排ガスの処理方法及び処理装置が提供できるので、大気汚染及び海洋汚染の防止に寄与する。
本発明における排ガスの処理装置の実施形態を示す概略構成図。 図1の処理装置の変形例を示す要部の概略構成図。 本発明における排ガスの処理装置の他の実施形態を示す概略構成図。 本発明における排ガスの処理装置の更に他の実施形態を示す概略構成図。
エンジン等から排出される排ガスには、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、炭酸ガス及び粉塵等の微粒子が含まれ、排ガス中に含まれる硫黄酸化物及び二酸化炭素は水に可溶であり、水洗によって排ガスから除去することができる。一方、窒素酸化物は水に溶解し難いが、海水を電解したアノード液を処理液として用いると、吸収することが可能となる。これは、電解によってアノード液中に生じる塩素及び次亜塩素酸に窒素酸化物が反応することによる。しかし、この結果、処理後の排水には硝酸が含まれ、廃棄するには更に中和するなどの処置が必要となる。しかし、この点に関し、本発明では、硝酸を更に電解処理することにより、窒素ガスに変換して放出することが可能である。以下に、本発明について詳細に説明する。
海水等を含む水性液は、排ガスに含まれる窒素酸化物はほとんど吸収しないが、硫黄酸化物及び二酸化炭素は吸収し得るので、第1処理工程として、排ガスを海水と接触させて、排ガスに含まれる硫黄酸化物及び二酸化炭素を海水に吸収させて排ガスから除去する。排ガスに含まれる微粒子もこの時除去される。第1処理工程を施した後の海水は、硫酸イオン、亜硫酸イオン、炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含み、pH5〜6程度の酸性液となる。第1処理工程を経た排ガスは、窒素酸化物を除去するために、第2処理工程として、海水の電解によって生成する海水アノード液に接触させて、第1処理工程後の排ガスから窒素酸化物を吸収させて除去する。
海水の電解工程では、隔膜によって分画された電解槽中で電極を用いて海水を電気分解し、正極側のアノード槽では、下記式の反応に従って、正極表面では塩素ガス又は酸素ガスが生成し、生成したガスの一部は海水に溶解して、溶存塩素の一部は次亜塩素酸イオンとなる。この電解によって海水アノード液は、pH2〜4程度の酸性液となる。
2Cl → Cl + 2e
Cl + HO → H + Cl + ClO
2HO → O + 4H + 4e
上記のような海水アノード液が第2処理工程において排ガスと接触すると、排ガスに含まれる窒素酸化物は、下記式のように海水アノード液に含まれる塩素と反応して塩化ニトロシル(NOCl)に変換されて海水アノード液に溶解され、亜硝酸イオンに変換される。亜硝酸イオンは、海水アノード液に含まれる次亜塩素酸イオンと反応すると硝酸イオンに酸化されるので、排ガスと接触した後の海水アノード液には、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び塩素イオンが含まれる。
2NO + Cl → 2NOCl
NOCl + HO → NO + 2H + Cl
NO + ClO → Cl + NO
第2処理工程後の海水アノード液を電解槽のアノード槽に供給して海水アノード液を循環させることによって、第2処理工程が繰り返されて窒素酸化物の吸収、亜硝酸イオン及び硝酸イオンの生成が更に進行するが、亜硝酸イオンは、次亜塩素酸によって硝酸に酸化されるので、海水アノード液の亜硝酸イオンは減少して硝酸イオンが増加する。
海水アノード液の一部を電解槽のカソード槽へ供給すると、下記式に示すように、硝酸イオンは、負極上での電解還元を経て、還元生成物と次亜塩素酸との反応によって窒素ガスに変換される。この反応は、カソード槽の電極材料として、例えば硝酸イオンの電解還元に活性を有する真鍮や高力黄銅等を用いた時に顕著になり、硝酸イオンは還元されてアンモニアが生成する。アンモニアは海水中ではアンモニウムイオンとして存在し、海水アノード液に含まれる次亜塩素酸イオンと反応して窒素に還元される。亜硝酸イオンも電解還元を経て窒素ガスに変換される。
NO + 6HO + 8e → NH + 9OH
2NH + HO → NH + OH
2NH + 3HClO → N↑ + 3H + 3Cl + 3H
2HO + 2e → H↑ + 2OH
上述の処理において、カソード槽における硝酸イオンの電解還元反応は、pH5〜9程度において反応効率が高く、硝酸イオンの過剰供給や水素発生によって上記範囲からpHが外れると、還元反応が好適に進行しなくなる。従って、反応を良好に進行させるには、pHがこの範囲になるように調整することが好ましい。又、カソード槽における硝酸イオンの反応には次亜塩素酸が必要であるので、上述のpH調整及び次亜塩素酸の供給を行う手段として、海水アノード液の利用は都合がよい。つまり、第2処理工程後の海水アノード液を、アノード槽との循環を経てカソード槽に供給することによって、排ガスの窒素酸化物由来の成分濃度を増加させてカソード槽に供給できるだけでなく、酸性の海水アノード液によってカソード槽のpHを適正範囲に調整し、次亜塩素酸をカソード槽に供給することができる。
海水カソード液は、上記反応によって硝酸イオンが窒素ガスに変換されるとpH10程度の塩基性になる。これは、第1処理工程後の海水と併せることによって中和することができる。又、第1処理工程後の海水に含まれる亜硫酸イオンは、下記式のように、海水カソード液に残留する次亜塩素酸によって硫酸イオンに酸化される。炭酸水素イオンは、海水に含まれるカルシウムと反応し、炭酸水素カルシウムを経て炭酸カルシウムとして沈殿するので、二酸化炭素の大気中への再放出は抑制される。このようにして、処理後の海水及び海水カソード液を混合してpH7〜8程度に調整すると、海洋に廃棄することができる。
SO 2− + ClO → SO 2− + Cl
2HCO + Ca2+ → CaCO + HO + CO
アノード槽への海水の供給速度と、アノード槽からカソード槽への海水アノード液の供給速度とが等しくなるように、これらの流量を調節すると、上述の処理を安定的に継続させることができる。又、カソード槽の処理済み海水カソード液を排出する流量も、これらと同等になるように調節するとよい。また、排ガスに含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度に応じて第1処理工程及び第2処理工程へ供給する海水及び海水アノード液の流量も調節すると、各工程において排ガスを十分且つ効率的に浄化することができる。
上述のような排ガスの処理方法を適切に実施可能な排ガスの処理装置の実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。
図1は、本発明に係る排ガスの処理装置の一実施形態を示し、排ガスの処理装置1は、第1処理塔3及び第2処理塔5と、電気分解するための2槽式の電解槽7とを有し、電解槽7は、対になった電極、つまり、直流電源9の正極側に接続されるアノード側の電極11と、電源9の負極側に接続されるカソード側の電極13とを有し、電極間を区画する隔膜15によってアノード槽17とカソード槽19とに分割されている。電極を構成する素材は、アノード側については、白金被膜チタン等の一般的に電極として利用可能な導電性材料が挙げられ、カソード側については、硝酸イオンの電解還元に活性を有する導電性材料が使用され、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、タングステン、モリブデン、クロム、白金、錫、アルミニウム、亜鉛、カドミウム等の一種又は複数の金属を用いた材料や、真鍮、高力黄銅等の合金が挙げられる。隔膜15としては、一般的に電気分解で使用される透過膜を使用することができ、例えば、表面を親水化処理した中性の樹脂隔膜、イオン交換膜などがあり、樹脂隔膜の素材としてはPTFE等のフッ素系樹脂、ナフィオン等の電解質膜などが挙げられる。電解槽7には海水が収容され、海水の電気分解によって、アノード槽17側では、電極11表面において塩素ガス及び/又は酸素ガスが生成し、塩素の一部は溶解して次亜塩素酸イオンに変化し、海水アノード液はpH2〜4程度の酸性液となる。カソード槽19側では、電極13表面において水素ガスが生成し、海水カソード液のpHは9〜10程度に上昇して塩基性液となる。
処理装置1は、海水Wを供給するためのポンプ21を有し、ポンプ21は、流路23を通じて、第1処理塔3内の頂部に配置される噴霧器25に海水Wを供給し、流路23から分岐する流路27によって、海水の一部はアノード槽17に供給可能である。第1処理塔3の底部には、排ガスGを導入する導入口29を備え、第1処理塔3に供給される排ガスGは、第1処理塔3の頂部と第2処理塔5の底部とを接続する配管31によって第2処理塔5へ供給される。従って、排ガスGは、第1処理塔3内を上昇する間に、噴霧器25から滴下される海水Wと気液接触し、硫黄酸化物及び二酸化炭素が海水Wによって吸収・除去され、粉塵等の粒子状物質も洗浄除去される。
更に、処理装置1は、アノード槽17内の海水アノード液Waを第2処理塔5に供給するポンプ33を有し、流路35を通じて、第2処理塔5内の頂部に配置される噴霧器37に海水アノード液Waを供給し、海水アノード液Waの一部をカソード槽19に供給可能なように分岐した流路39を備えている。第2処理塔5に供給される排ガスGは、第2処理塔5内を上昇する間に、噴霧器37から滴下される海水アノード液Waと気液接触し、窒素酸化物が海水アノード液Waによって吸収・除去されて、第2処理塔5の頂部の排出口41から排出される。窒素酸化物を吸収した海水アノード液Waにおいては、窒素酸化物から亜硝酸イオン及び硝酸イオンが生成し、これらの成分は、海水アノード液Waと共に第2処理塔5の底部から流路43を通じてアノード槽17へ還流される。
海水アノード液Waは、アノード槽17と第2処理塔5との間を循環し、その間に排ガスGから窒素酸化物を吸収することによって、次々と亜硝酸イオン及び硝酸イオンがアノード槽17へ供給され、亜硝酸イオンはアノード槽17内で次亜塩素酸イオンによって硝酸イオンに酸化されて硝酸イオン成分の濃度が増加する。海水アノード液Waの硝酸イオン成分をカソード槽19において電解還元するには、流路35から分岐する流路39の調整弁45を開き、ポンプ33によって流路39を通じて海水アノード液Waをカソード槽19へ供給する。これによってアノード槽17の海水量が減少するので、これに対応する量の海水Wをアノード槽17へ補充するために、流路23から分岐する流路27の調整弁47を開き、ポンプ21によって流路27を通じて海水Wをアノード槽17へ供給する。
カソード槽19に供給された海水アノード液に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンは、海水カソード液Wc中での電解還元を経て窒素ガスに変化し、水素ガスと共に放出される。硝酸イオン成分が許容レベル以下に減少した海水カソード液Wcは、流路49から調整槽51へ供給され、カソード槽19の水位が一定に保持される。調整槽51への供給流量は、ポンプ等の駆動制御によって調節したり、カソード槽19の水位が所定水位を超えた分をオーバーフローさせたりして調節するように構成することができる。
調整槽51に供給された海水カソード液Wcは、第1処理塔3から流路53を通じて排出される海水と混合されて互いに中和され、この海水W’に含まれる亜硫酸イオンは、海水カソード液Wcに残留していた次亜塩素酸によって硫酸イオンに酸化される。排ガスに含まれる窒素酸化物はカソード槽19において窒素ガスとして放出され、二酸化炭素は調整槽51においてカルシウム塩として析出するので、調整槽51の海水W’に溶解される排ガス由来の成分は、硫黄酸化物由来の硫酸である。調整槽51の海水W’を外部廃棄に適したpHに更に調整する必要がある場合、図示するように、pH測定器55、pH調整液を収容する容器57、及び、pH測定器55と電気的に接続されるポンプ59を用いて調整できる。pH測定器55によって測定される調整槽51内の海水W’のpHに応じてポンプ59が作動し、中和に必要な量のpH調整液を容器57から調整槽51へ供給するように制御される。容器57に収容されるpH調整液は、金属水酸化物等の塩基性化合物水溶液が使用され、水酸化ナトリウム等の水溶液が実用的である。
排ガスの処理が良好に遂行されるように、排ガスに含まれる各成分の処理による濃度変化を調べる測定システムが処理装置1に備えられる。具体的には、導入される排ガスGの窒素酸化物、硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度を測定する濃度計及びガス流量を測定する流量計を備えた測定部61が導入口29に設けられ、処理後の排ガスG’の窒素酸化物、硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度を測定する濃度計63が排出口41に設けられる。測定部61で検出されるガス流量と硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度に基づいて、第1処理塔2に適正量の海水Wが供給されるようにポンプ21の作動が調節され、濃度計63で検出される硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度が許容レベルを超える場合は、海水Wの供給流量を増加して各濃度が許容範囲に収まるように調整する。又、測定部61で検出されるガス流量と窒素酸化物の濃度に基づいて、抵抗回路等を利用した電源9の出力制御によって電解槽7における通電量を制御し、アノード槽17で生成する塩素ガスの量が、窒素酸化物の吸収に要する量及び硝酸の電解還元に要する次亜塩素酸を供給可能な量の合計になるように調整する。これらの制御は、測定システムとポンプ21及び電源9とを電気的に制御する制御部を設けることによって、測定値に基づいて自動的に実施可能である。
又、カソード槽19における海水カソード液WcのpH値は、酸性の海水アノード液Waをカソード槽19に供給することによって低下して、硝酸イオンの電解還元に適するpH6〜8の範囲に近づくが、過剰に供給すると適正範囲を下回る。他方、硝酸イオンの電解還元の進行や水素ガスの放出が起こると、海水カソード液WcのpH値は上昇する。つまり、海水アノード液Waによって供給される硝酸イオン量と電解還元によって減少する硝酸イオン量とのバランスを取って安定的に処理を継続するには、海水カソード液WcのpH値を電解還元に適したpHに維持することが肝要であり、カソード槽19内のpHに応じて海水アノード液Waの供給流量を適正量に調節する必要がある。このため、本発明では、海水カソード液WcのpHを検出するpH測定器65を備え、検出されるpH値に応じて調整弁45の開度を調節してカソード槽19内のpHが上記適正範囲になるような流量で海水アノード液Waをカソード槽19へ供給する。同時に、調整弁47の開度も調節して、アノード槽17内の海水アノード液Waの液量が一定に維持されるように同じ流量で海水Wをアノード槽17へ供給する。但し、硝酸イオンの電解還元反応は、次亜塩素酸が不足すると進行しないので、排ガスGに含まれる高濃度の窒素酸化物によって海水アノード液Waの次亜塩素酸が消費されると、カソード槽19内のpHを上記適正範囲に調整しても、次亜塩素酸の不足のために硝酸イオンの還元によるpH上昇が起こらず、海水アノード液Waの供給が停止する。この場合は、アノード槽17での塩素発生量を増加させることによって対応可能であり、そのためには、電源9の出力制御によって電極間の通電量を増加させる。次亜塩素酸は、必要量を超えて存在しても反応を阻害する恐れはないが、大気への過剰塩素ガスの放出及びエネルギー節減の観点から、前述したように、排ガスGの窒素酸化物濃度と対応させて適正な通電量になるように調節することが好ましい。
上述の様な処理条件の調整に際し、海水アノード液Waの供給過剰や電力供給過剰等によって適正pHから外れた場合、あるいは、より迅速にpHを低下させる必要がある場合などに、補助的にpHを調整するために、pH調整液を収容する容器67、及び、pH測定器65と電気的に接続されるポンプ69を備えると有用であり、pH測定器65によって測定されるpH値に基づいて、必要に応じてポンプ69を作動してpH調整液をカソード槽19に添加する。容器67に収容されるpH調整液は、電力過剰によるpH上昇の解消用及び急速調整用としては酸性水溶液が用いられ、海水アノード液Waの供給過剰によるpH低下の解消用としては、金属水酸化物等の塩基性化合物水溶液が使用され、実用的には、硫酸、水酸化ナトリウム等の水溶液が用いられる。塩基性化合物水溶液については、容器57に収容されるpH調整液を代用してもよい。
第2処理塔5による1回の処理で海水アノード液の硝酸イオン濃度が著しく上昇するような形態では、アノード槽17と第2処理塔5との間で海水アノード液Waを循環させる必要性が低下する。この場合、第2処理塔5から排出される海水アノード液は、アノード槽17へ還流させずに、ポンプ33の上流側又は流路39へ供給するように応用してもよい。第2処理塔5からポンプ33の上流側へ海水アノード液を供給する構成では、第2処理塔5の海水アノード液は、アノード槽17の海水アノード液Waと混合されて、その一部がカソード槽19へ供給される。第2処理塔5から流路39へ海水アノード液を供給すると、アノード槽17の海水アノード液Waとの混合液全てがカソード槽19へ供給される。何れにおいても、第2処理塔5の海水アノード液は、アノード槽17での電解を経ずに、次亜塩素酸イオンが添加されてカソード槽19に供給され、含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンが還元される。
上述の排ガスの処理において、利用される海水の成分は塩素イオンであることから、上記処理は、海水に限らず、塩水を用いて実施することが可能である。但し、吸収した二酸化炭素は、カルシウムとの析出によって再放出が抑制されるので、この点を実現するには、カルシウム成分を含んだ塩水が使用される。海水に通常含まれる各種有機及び無機成分の配合が許容される。
海水には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の様々な金属イオンが含まれる。海水を電解すると、カソード槽においては海水のpHが上昇して塩基性になるので、カルシウムやマグネシウム等の水酸化物が海水から析出し、カソード槽の電極上に付着したり、隔膜の目詰まりを生じたりする。金属水酸化物の析出を生じるpHのしきい値は、カルシウムについてはpH11〜12付近、マグネシウムではpH9付近にあることから、このような金属の析出を防止するためには、カソード槽の海水をpH9以下、好ましくはpH8.5以下に調整する。このpH調整における条件設定をpH8以下とすることによって、前述の硝酸イオンの電気化学的還元(電解還元)に適するpH条件にも適合する。析出防止のためのpH調整に使用するpH調整液(酸性液)は、海水アノード液に限られず、排ガスの処理において生じる他の酸性液であってもよい。従って、海水の電解によって生成する海水アノード液、第1処理工程において硫黄酸化物を吸収した海水、第2処理工程において窒素酸化物を吸収した海水アノード液、及び、外部からpH調整液として供給される酸性液から状況に応じて選択して用いることができる。例えば、海水アノード液を主として、pH測定値に応じて第1及び第2処理工程後の酸性液や外部供給液を付加的に使用する様に管理すると、次亜塩素酸成分が適正に供給されると共にpHが好適に調整される。カソード槽におけるpHの上昇は電極周囲において生じる点、及び、電極上への金属析出は処理の障害になる点を考慮すると、pH調整液をカソード槽の電極周囲に集中して供給することが効率的であり、pH測定器の検出部も電極近辺に配置すると好ましい。特に、流体噴出装置等を用いてノズルから勢いよくpH調整液のジェット流を噴出すると即時調整が可能であり、電極近辺にノズルの吐出口を配置して、電極に向けて、又は、電極の表面に沿ってpH調整液を噴出させると、液流れや吐出圧も利用して電極上への金属水酸化物の付着を防止できる。pH調整液を電極に向けて噴出すると、少量で効率的に電極周囲のpHを調整でき、噴出液の衝突圧によって電極表面の洗浄が可能である。電極に向けない場合でも、電極表面に沿ったpH調整液の流れが形成されるようにノズルの向きを配置するとよく、これにより、電極周囲の海水をpH調整液で容易に置換できる。電極が、円柱、楕円柱等のような側面が曲面の形状であると、1つのノズルからの噴出によるpH調整液の供給が電極周囲の全体に行き渡り易い。電極が平板状である場合は、電極の真上から吐出すると、電極の両側面にpH調整液を供給し易い。或いは、複数のノズルを用いて電極の両面に供給するとよい。pH調整液の供給形態は、連続供給及び断続供給の何れでもよく、例えば、pH調整液を液溜に一次貯留してダイアフラムポンプ等を用いて供給すると、脈動的な断続供給が行える。両形態を併用することも可能であり、例えば、一定流量で海水アノード液を連続的に供給すると共に、第1又は第2処理工程後の酸性液或いは外部供給による酸性液を断続的に噴出させてもよい。更に、超音波振動装置を付設してカソード槽の電極又は海水カソード液に振動エネルギーを供給すると、析出物の付着・積層を効果的に抑制することができる。
図2は、図1の処理装置におけるpH調整液の供給について変更した実施形態の要部を示し、海水を電解する対の電極の各々がアノード槽及びカソード槽に配設される電解槽及びその周囲について記載する。具体的には、図2の処理装置2における電解槽8は、次亜塩素酸の供給手段を兼ねるpH調整手段として、先細のノズル73を有する流体噴出装置71と、pH測定器66とを有し、流体噴出装置71は、ノズル73の吐出口がカソード槽19の電極13の近辺に位置するように付設される。流路39を通じて流体噴出装置71に送られる海水アノード液Waは、電極13近くの上方に位置するノズル73の吐出口から、電極13上端の側面に向けて下方に勢いよく噴出され、電極13周囲の海水カソード液のpHを低下させて金属水酸化物の析出を抑制する。電極13に衝突した海水アノード液Waは、電極表面に沿って勢いよく流れ、これにより、電極周囲の海水は移動して置換され、電極13上に析出物が生じた場合でも溶解又は洗浄されて付着・積層が防止される。pH測定器66の検出部も電極13の近辺に配置され、電極13周囲の海水のpH変化は感度良く検知される。この検出値に応じて調整弁45の開度又はポンプ69の駆動が制御されるようにpH測定器66と調整弁45及びポンプ69とが電気接続され、海水アノード液Waの流量、又は、容器67から供給されるpH調整液の供給量が調整されて、電極13周囲の海水のpHが9以下、好ましくは8以下になり、過度にpHを低下させないようにpH6〜8に調整される。
図2の回収装置2において省略されている部分は、図1の回収装置1と同様であり、上述の点以外については図1の回収装置1と同様に作用するので、これらについての説明は省略する。
図3及び図4は、図2に示すようなpH調整液を供給するためのノズルを利用した処理装置の実施形態を示し、pH調整液を供給するノズルの形態については図2と同様であるが、カソード槽の電極周囲のpHを低下させるpH調整液として、海水アノード液と共に、第1処理工程において硫黄酸化物を吸収した海水、及び、第2処理工程において窒素酸化物を吸収した海水アノード液を使用する実施形態を示す。第1処理工程後の海水及び第2処理工程後の海水アノード液を使用すると、pH調整液の外部からの供給量を削減でき、特に第2処理後の海水アノード液は、電解槽の海水アノード液よりpHが低くなるので、少量で効率的に電極13周囲のpHを低下させることができる。
図3の処理装置10の電解槽8aにおいて、カソード槽の電極周囲の海水のpHを9以下に調整するpH調整手段は、pH調整液の供給手段として、流路39を通じて送られる海水アノード液Waをカソード槽19の電極13周囲に集中して供給するノズル75を有し、図2と同様に、ノズル75の吐出口が電極13近くの上方に位置するように付設され、電極13に向けてpH調整液が吐出されるように配置される。更に、流路43から分岐して、第2処理塔5から排出される海水アノード液の一部を貯水容器77へ供給する流路43’と、流路53から分岐して、第1処理塔3から排出される海水の一部を貯水容器77へ供給する流路53’が設けられる。従って、貯水容器77には、第1処理工程を経た海水と、第2処理工程を経た海水アノード液との混合物である酸性の海水W1が貯留され、これは、排ガスの硫黄酸化物、窒素酸化物及び炭酸ガスに由来する硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、炭酸イオン等を含む。貯水容器77には、ポンプ79を有する流路80が設けられ、海水W1は、流路80を通じてポンプ79によって流路39へ供給されて、海水アノード液Waと共にpH調整液としてノズル75からカソード槽19に供給され、電極13の周囲のpHを低下させる。図2と同様に、pH測定器66の検出部が電極13の近辺に配置され、電極13周囲の海水カソード液のpHが測定される。又、容器67内のpH調整液は、電極付近まで伸長するノズル81を通じて供給される。pH測定器66の測定値に応じて調整弁45の開度又はポンプ69,79の駆動が制御されるようにpH測定器66と調整弁45及びポンプ69,79とが電気的に接続される。
図3の処理装置10において、海水W及び電解槽7の海水アノード液Waを第1処理塔3及び第2処理塔5に供給して排ガスを処理する第1及び第2処理工程を進行すると、第1処理塔3から排出される海水は、調整槽51へ供給されると共に、一部は貯水容器77に供給され、第2処理塔5から排出される海水アノード液は、電解槽7のアノード槽17に還流されると共に、一部は貯水容器77に供給される。次亜塩素酸を含む海水アノード液がポンプ33によってアノード槽17から流路39を通じてノズル73へ供給され、貯水容器77の海水W1もポンプ79によって流路80から流路39を通じてノズル73へ供給される。従って、pH調整液として、海水アノード液、第1処理工程において硫黄酸化物を吸収した海水、及び、第2処理工程において窒素酸化物を吸収した海水アノード液の混合物が電極13の周囲に供給されてpH調製工程が進行し、海水カソード液のpHが9以下、好ましくは8程度以下に低下する。又、容器67のpH調整液は、ポンプ69によってノズル81から電極13の周囲に供給され、pH測定器66の測定値に応じて調整弁45及びポンプ69の制御によって流量が調整される。或いは、容器67に、pH調整液として塩基性液を収容すると、カソード槽19におけるpHの過度な低下に即時対処でき、pH6〜8程度に好適に維持することができる。
図3の実施形態において、第1処理塔3から排出される海水、又は、第2処理塔5から排出される海水アノード液の何れか一方のみを貯水容器77に供給して、pH調整液として用いてもよい。又、ポンプ79をpH測定器66と電気的に接続して、pHの測定値に応じてポンプ79の駆動を制御するように構成することによって、例えば、次亜塩素酸イオンを供給するための海水アノード液の供給を一定流量の連続供給とし、pH調整に不足する分の追加供給として貯水容器77の海水W1を用いた連続又は断続供給を行うことが可能である。つまり、海水アノード液のカソード槽への供給によって硝酸成分を窒素に還元する変換工程に伴うpH調整と、第1処理塔3及び/又は第2処理塔5からの海水を用いたpH調整とを各々制御できる。更に、海水W1の水位を検出するレベル計を貯水容器77に設置してポンプ69,79と電気的に接続し、レベル計の検出によってポンプ69,79の駆動を制御可能に構成すると、貯水容器77の海水W1の不足時にのみ容器67のpH調整液(酸液)を使用するように供給管理することができる。あるいは、pH測定器66の測定値が所定時間以上9を超える時にポンプ69が駆動して容器67からpH調整液(酸液)が供給されるように設定しても良い。
図4の処理装置20は、電解槽8bの海水アノード液をカソード槽に供給する前に、貯水容器83に供給して、第1処理工程を経た海水及び第2処理工程を経た海水アノード液と混合するように構成している点以外は、図3の処理装置10と同じである。具体的には、第1処理塔3から排出される海水及び第2処理塔5から排出される海水アノード液は、流路53から分岐する流路53’、及び、流路43から分岐する流路43’を通じて貯水容器83に供給され、この貯水容器83に、アノード槽17から送られる海水アノード液Waも流路39を通じて供給される。貯水容器83で混合された海水W2は、ポンプ85によって流路87からノズル75へ送られ、カソード槽19の電極13周囲に供給される。従って、図3の処理装置10と同様に、pH調整液として、海水の電解によって生成する海水アノード液、第1処理工程において硫黄酸化物を吸収した海水、及び、第2処理工程において窒素酸化物を吸収した海水アノード液の混合物がカソード槽19の電極13周囲に供給される。又、図2と同様に、pH測定器66の検出部が電極13の近辺に配置され、容器67内のpH調整液は、電極付近まで伸長するノズル81を通じて供給される。電極13周囲の海水カソード液のpHがpH測定器66によって測定され、その測定値に応じて調整弁45の開度及びポンプポンプ69,85の駆動が制御されるようにpH測定器66と調整弁45及びポンプ69,85とが電気的に接続される。この実施形態では、貯水容器83の最大容量の海水を搬送可能なようにポンプ85の駆動力が設定され、調整弁45の制御によって変動する貯水容器83への供給量に対応して、ノズル75からの海水W2の供給量が変動する。ポンプ85とpH測定器66を電気的に接続することによって、pH測定器66が異常に低い値を検出するような場合にポンプ85の駆動を制御又は停止することができる。
尚、図3及び図4の実施形態において、pH調整手段は、ノズル75を用いてpH調整液を供給するが、ノズル75の代わりに図2に示すような流体噴出装置71を用いて供給してもよく、カソード槽19の電極13に向けて、又は、電極13の表面に沿って流れるようにpH調整液を噴出させることによって、噴出圧や液流れを利用した電極の洗浄効果が得られ、更に有効であることは明らかである。
図1のような排ガスの処理装置を用いて、室温において、以下のような操作を約3時間行った。
電極11,13として白金被膜チタン及び真鍮を装着し、隔膜15としてPTFE膜を用いて電解槽7を構成し、電解槽7に海水を投入して電極11,13に電圧(3.5V)を印加して電解することにより、アノード槽17に海水アノード液Waを、カソード槽19に海水カソード液Wcを生成させた。海水アノード液WaのpHは徐々に減少して2.9に、海水カソード液WcのpHは増加して10.2になった。
上記の状態でポンプ21,33を駆動させて、第1処理塔3に海水を、第2処理塔5に海水アノード液Waを各々10L/時の流量で供給しながら、窒素ガスをベースとしたボンベガスを用いて調製した模擬排ガス(SOx濃度:1,000ppm、NOx濃度:1,000ppm、CO濃度:5.0容積%)を第1処理塔3内に3.5L/分の流量で導入した。第2処理塔5に供給した海水アノード液Waがアノード槽17へ還流し始めたところで調整弁45,47を開放して、pH測定器65でカソード槽19のpHを測定しながら海水アノード液Waをカソード槽19に供給し、調整弁45はカソード槽19のpHが8〜9になるように調節した。それにより、カソード槽19への海水アノード液Waの供給流量は4L/時になり、同じ流量で海水がアノード槽17へ海水が補充されるように調整弁47が調節された。
海水アノード液Waの循環が始まってから、アノード槽17の水質を測定したところ、60分後には亜硝酸イオン濃度:0mg/L、硝酸イオン濃度:350mg/Lとなった。一方、カソード槽19では、120分後には亜硝酸イオン濃度:0mg/L、硝酸イオン濃度:50mg/Lとなった。
第2処理塔から排出される排ガスを分析したところ、SOx濃度:20ppm、NOx濃度:120ppm、CO濃度:2.8容積%であった。又、第1処理塔3から排出される海水は、調整槽51に供給され、カソード槽19から流量約4L/時で供給される海水カソード液Wcと混合して、pH8.2の処理排水となり、その水質は、硝酸イオン濃度:20mg/L、亜硝酸イオン濃度:0mg/Lであった。
ディーゼルエンジン等の排ガスに含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物、炭酸ガス及び粉塵等を、海水を用いて効率的に除去でき、処理に用いた海水を外部に廃棄する際の調整も軽減されるので、船舶等における排ガス処理に適した、簡便且つ効率的な排ガスの処理装置が提供され、海洋での大気汚染の軽減に貢献可能な排ガスの処理方法が実施可能である。
1,2,10,20:処理装置、 3:第1処理塔、 5:第2処理塔、
7,8,8a,8b:電解槽、 9:直流電源、 11,13:電極、
15:隔膜、 17:アノード槽、 19:カソード槽、
21,33,59,69,79,85:ポンプ、
23,27,35,39,43,43’,49,53,53’,80,87:流路、
25,37:噴霧器、 29:導入口、 31:配管、
41:排出口、 45,47:調整弁、 51:調整槽、
55,65,66:pH測定器、 57,67:容器、
61:測定部、 63:濃度計、 71:流体噴出装置、
73,75,81:ノズル、 77,83:貯水容器、
G,G’:排ガス、 W,W1,W2:海水、
Wa:海水アノード液、 Wc:海水カソード液。

Claims (21)

  1. 電解槽を用いて海水を電解する電解工程と、
    排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理工程と、
    前記第1処理工程後の排ガスを、前記電解工程で生成する海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理工程と、
    前記第2処理工程において吸収された窒素酸化物から海水アノード液に生成する硝酸成分を窒素に還元する変換工程であって、前記海水アノード液に生成する硝酸成分を、前記電解槽のカソード槽を用いて電解処理する工程と、前記電解槽のカソード槽に次亜塩素酸成分を供給する工程とを有する前記変換工程と
    を有する排ガスの処理方法。
  2. 前記変換工程において、硝酸成分を電気化学的に還元する電解還元反応と、前記還元による生成物と次亜塩素酸との反応による窒素の生成とを進行させる工程とを有する請求項1に記載の排ガスの処理方法。
  3. 前記変換工程において、次亜塩素酸成分は、海水の電解によって生成する次亜塩素酸を含んだ海水アノード液を用いて供給される請求項1又は2に記載の排ガスの処理方法。
  4. 前記海水アノード液は、前記電解工程において生成する海水アノード液である請求項3に記載の排ガスの処理方法。
  5. 前記変換工程において、前記海水アノード液に生成する硝酸成分を電解処理するカソード槽として、前記電解工程を行う電解槽のカソード槽を用いる請求項1〜4の何れか一項に記載の排ガスの処理方法。
  6. 更に、前記第2処理工程後の海水アノード液を、前記電解工程を行う電解槽のアノード槽に供給して海水アノード液を循環させる循環工程を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の排ガスの処理方法。
  7. 更に、前記カソード槽における液のpHを5〜9の範囲に調整するpH調整工程を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の排ガスの処理方法。
  8. 前記電解工程で生成する海水アノード液は、塩素及び次亜塩素酸成分を含有する酸性液であり、前記pH調整工程において、海水アノード液を用いてpHを調整する請求項7に記載の排ガスの処理方法。
  9. 更に、前記電解工程を行う電解槽のカソード槽における電極周囲の海水のpHを9以下に調整するpH調整工程を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の排ガスの処理方法。
  10. 前記pH調整工程において、pH調整液として、海水の電解によって生成する海水アノード液、前記第1処理工程において硫黄酸化物を吸収した海水、及び、前記第2処理工程において窒素酸化物を吸収した海水アノード液からなる群より選択される少なくとも1つを用いて、前記カソード槽における電極周囲に前記pH調整液を供給する請求項9に記載の排ガスの処理方法。
  11. 前記pH調整工程において、前記カソード槽における電極に向けて、又は、電極に沿って、前記pH調整液を噴出させて当該電極周囲の海水のpHを8以下に調整する請求項10に記載の排ガスの処理方法。
  12. アノード槽及びカソード槽を有し、海水を電解して海水アノード液と海水カソード液とを生成する電解槽と、
    排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理塔と、
    前記第1処理塔から排出される排ガスを、前記電解槽で生成した海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理塔と、
    前記第2処理塔において吸収された窒素酸化物から海水アノード液において生成する硝酸成分を窒素に還元するための変換手段であって、前記海水アノード液に生成する硝酸成分、及び、次亜塩素酸成分を、前記電解槽のカソード槽に供給する供給手段を有し、前記カソード槽において硝酸成分は窒素に還元される前記変換手段と
    を有する排ガスの処理装置。
  13. 前記供給手段は、前記電解槽のアノード槽からカソード槽に海水アノード液を供給する第1の流路を有し、これにより、前記海水アノード液に含まれる次亜塩素酸成分が前記カソード槽に供給される請求項12に記載の排ガスの処理装置。
  14. 前記供給手段は、第2処理塔から排出される海水アノード液を前記電解槽のアノード槽へ供給する第2の流路を有し、これにより、硝酸成分及び次亜塩素酸成分を含む海水アノード液が第1の流路によって前記カソード槽に供給される請求項13に記載の排ガスの処理装置。
  15. 更に、前記電解槽のカソード槽におけるpHを5〜9に調整するためのpH調整手段を有する請求項12〜14の何れか一項に記載の排ガスの処理装置。
  16. 更に、前記電解槽のカソード槽におけるpHを5〜9に調整するためのpH調整手段を有し、
    前記pH調整手段は、前記カソード槽においてpHを測定するpH測定器と、前記pH測定器の測定値に基づいて、前記第1の流路による前記カソード槽への海水アノード液の供給を制御する調整弁とを有する請求項13又は14に記載の排ガスの処理装置。
  17. 更に、前記第1処理塔で使用した海水と、前記カソード槽で硝酸成分を窒素に変換した海水カソード液とを混合する調整槽を有する請求項12〜16の何れか一項に記載の排ガスの処理装置。
  18. 更に、排ガスの変化を調べるための測定システムと、前記電解槽に電気分解を行う電気エネルギーを供給する電源とを有し、前記測定システムの測定に基づいて、前記電源による通電量、前記第1処理塔へ供給される海水の流量、及び、前記第2処理塔へ供給される海水アノード液の流量が調整される請求項12〜17の何れか一項に記載の排ガスの処理装置。
  19. 前記電解槽のアノード槽及びカソード槽は、海水を電解する対の電極の各々が配設され、更に、前記カソード槽の電極周囲の海水のpHを9以下に調整するpH調整手段を有する請求項12〜14の何れか一項に記載の排ガスの処理装置。
  20. 前記pH調整手段は、前記カソード槽の電極周囲にpH調整液を供給する供給手段を有し、前記pH調整液は、海水の電解によって生成する海水アノード液、前記第1処理塔において硫黄酸化物を吸収した海水、及び、前記第2処理塔において窒素酸化物を吸収した海水アノード液からなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項19に記載の排ガスの処理装置。
  21. 前記供給手段は、前記カソード槽の電極に向けて、又は、電極に沿って、前記pH調整液を噴出させるノズルを有し、前記pH調整手段は、当該電極周囲の海水のpHを8以下に調整する請求項20に記載の排ガスの処理装置。
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