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JP5790329B2 - 排ガス処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排ガスに含まれるNOxを除去する排ガス処理装置に関する。
船舶や、車両等のエンジンにおいて、化石燃料を燃焼させると、燃焼排ガス(排ガス)が生じる。このような化石燃料を燃焼させた結果生じる排ガスには、窒素酸化物(以下、単にNOxと称する)が含まれている。NOxは、大気汚染物質であるため、国際的な機関、国、地方自治体により排出濃度や排出量の規制が行われている。したがって、エンジンから排出される排ガスに含まれるNOx濃度が所定の規制値以上である場合には、NOxを除去するための排ガス処理装置を用いて排ガスからNOxを除去する必要がある。
NOxを除去する排ガス処理装置として、NOxの還元を促進する脱硝触媒と、NOxを還元するための還元剤とを含んで構成される選択式触媒還元(Selective Catalytic Reduction)脱硝装置がある。しかし、脱硝触媒は、ある程度高温(例えば、270℃程度)でなければNOxの還元効率が低下してしまう。また一般的に還元剤として尿素水を利用するため、尿素水のためのコストがかかってしまったり、余剰の尿素水の廃棄処理にコストがかかってしまったりしていた。
そこで、例えば、海水に排ガスを吸収させ、その海水を、透過膜で離隔されたアノード槽とカソード槽とにそれぞれ収容して電気分解を行うことにより、アノード槽で生成される溶液を用いてNOxを分解する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
特許第3829184号
しかし、特許文献1の技術では、電気分解によって海水に含まれるマグネシウムイオン(Mg2+)やカルシウムイオン(Ca2+)がスケール(堆積物)としてカソード槽に析出してしまう。具体的に説明すると、下記反応式(1)や(2)に示すように、Mg2+は水酸化マグネシウム(Mg(OH))になり、Ca2+は水酸化カルシウム(Ca(OH))になり、カソード槽に堆積する。
Mg2++2OH→Mg(OH)
…反応式(1)
Ca2++2OH→Ca(OH)
…反応式(2)
そうすると、堆積した水酸化物(堆積物)によって、アノード槽とカソード槽を離隔する透過膜が目詰まりを起こしてしまうことがある。透過膜が目詰まりを起こすと透過膜を交換する必要があり、メンテナンスコストが上昇してしまっていた。また、カソード槽に収容できる海水の量が、堆積物の分だけ減少してしまい電気分解効率が低減することもある。このため、カソード槽から堆積物を除去(回収)するための装置を別途採用しなければならずコスト高となっていた。
そこで本発明は、このような課題に鑑み、カソード槽に収容する液体を工夫することで、カソード槽における堆積物の発生を抑制するとともに、低コストで排ガスからNOxを除去することが可能な排ガス処理装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の排ガス処理装置は、海水が収容されるとともに陽極が設けられるアノード槽と、Mg2+が30mg/L以下でありCa2+が100mg/L以下である水が収容されるとともに陰極が設けられるカソード槽とがイオン交換膜で仕切られている電解槽と、陽極および陰極に電圧を印加することで電気分解を行う電圧印加部と、少なくともNOxが含まれる排ガスが導入されるとともに、電気分解が行われることによってアノード槽で生成されたClガスと、電気分解が行われることによってアノード槽で生成されたアノード溶液とが、経路を異にして導入される第1排ガス処理部と、を備えたことを特徴とする。
排ガスには、さらに、SOxおよびCOのいずれか一方または両方が含まれ、第1排ガス処理部を通過したガスが導入されるとともに、電気分解が行われることによってカソード槽で生成されたカソード溶液が導入される第2排ガス処理部を備えてもよい。
電圧印加部は、陽極および陰極に3.5Vから20Vの電圧を印加してもよい。また、アノード溶液のpHは、pH1からpH6であり、カソード溶液のpHは、pH7からpH14であってもよい。
電圧印加部は、カソード槽で生成されたHを電力源として陽極および負極に電圧を印加してもよい。
第1排ガス処理部は、導入された排ガスにアノード溶液を噴霧するスプレー塔であり、第2排ガス処理部は、第1排ガス処理部を通過したガスにカソード溶液を噴霧するスプレー塔であってもよい。
本発明によれば、カソード槽に収容する液体を工夫することで、カソード槽における堆積物の発生を抑制するとともに、低コストで排ガスからNOxを除去することが可能となる。
実施形態にかかる排ガス処理装置の具体的な構成を説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(排ガス処理装置100)
図1は、本実施形態にかかる排ガス処理装置100の具体的な構成を説明するための説明図である。図1に示すように、排ガス処理装置100は、電解槽110と、電圧印加部130と、第1排ガス処理部150と、第2排ガス処理部160と、を含んで構成される。図1中、ガス(気体)の流れを破線の矢印で示し、液体の流れを実線の矢印で示す。
電解槽110は、アノード槽112と、カソード槽114とを含んで構成され、アノード槽112とカソード槽114とはイオン交換膜116で仕切られている。
アノード槽112には、不図示の海水源からポンプ120a、海水導入管120b、バルブ120cを通じて、海水が投入され、不図示の空気源からポンプ122a、空気導入管122b、バルブ122cを通じて、空気が導入される。
また、アノード槽112には、海水が収容されるとともに陽極112aが設けられる。陽極112aは、白金(Pt)で被膜されたチタン(Ti)等の一般的に電極として利用可能な導電性材料で構成される。
カソード槽114には、不図示の水源(河川等)からポンプ124a、水管124b、バルブ124cを通じて、水が投入される。ここで、カソード槽114に投入される水に含有されるMg2+濃度は、30mg/L以下であり、好ましくは20mg/L以下、より好ましくは、10mg/L以下である。カソード槽114に投入される水のMg2+濃度が低い程、後述する電圧印加部130によって電気分解が行われる際に生成される、水酸化マグネシウムの量を低減することができる。また、カソード槽114に投入される水に含有されるCa2+濃度は、100mg/L以下であり、好ましくは50mg/L以下、より好ましくは、30mg/L以下である。カソード槽114に投入される水のCa2+濃度が低い程、電圧印加部130によって電気分解が行われる際に生成される、水酸化カルシウムの量を低減することができる。
このように水酸化物(堆積物)の生成量を低減することで、水酸化物によるイオン交換膜116の目詰まりを低減することができ、イオン交換膜116の交換頻度を少なくすることが可能となる。また、水酸化物の生成量が極めて少ないため、カソード槽114に収容できる水の量を維持することができ、電気分解効率を安定化することが可能となる。
また、カソード槽114には、上述したMg2+濃度およびCa2+濃度の水が収容されるとともに陰極114aが設けられる。陰極114aは、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)等の金属のうち1または複数を用いた材料や、真鍮や高力黄銅等の合金で構成される。
電圧印加部130は、水素ガス燃料電池や、水素ディーゼル発電機等の水素(H)を動力源として電力を生成する装置で構成され、アノード槽112に設けられた陽極112a、および、カソード槽114に設けられた陰極114aに、電圧を印加することで電気分解を行う。
ここで、電圧印加部130に供給されるHは、後述するカソード槽114で生成されたHガス(以下、単にHとする)である。このように、電圧印加部130を、Hを動力源として電力を生成する装置で構成することにより、カソード槽114で生成されたHを有効利用することができる。
また、電圧印加部130が陽極112aおよび陰極114aに印加する電圧は、3.5Vから20Vであり、好ましくは3.5Vから15V、より好ましくは3.5Vから10Vである。電圧印加部130が陽極112aおよび陰極114aに印加する電圧を、3.5Vから20V、好ましくは3.5Vから15V、より好ましくは3.5Vから10Vにすることで、後述するアノード溶液ASやカソード溶液CSのpHを所望する値に容易に調整することができる。
電圧印加部130が陽極112aおよび陰極114aに電圧を印加して電気分解を行うと、アノード槽112では以下の反応式(3)、(4)、(5)に示す反応が遂行される。
2Cl→Cl(g)+2e
…反応式(3)
2HO→O(g)+4H+4e
…反応式(4)
Cl+2HO→2HClO+2H
…反応式(5)
一方、カソード槽114では以下の反応式(6)に示す反応が遂行される。
2HO+2e→H(g)+2OH
…反応式(6)
なお、反応式において(g)は気体を示す。
そうすると、アノード槽112では、Cl(塩素)ガスとO(酸素)ガスが生成され(反応式(3)、(4)、(5)参照)、カソード槽114ではH(水素)が生成される(反応式(6)参照)こととなる。
そして、アノード槽112で生成されたClガス(以下、単にClとする)およびOガス(以下、単にOとする)は、ガス滞留空間112bに滞留した後、空気源から導入される空気によって押し出され、バルブ140a、ガス管140bを通じて、後述する第1排ガス処理部150のガス供給口152に導かれる。また、カソード槽114で生成されたHガスは、ガス滞留空間114bに滞留した後、バルブ142a、ガス管142bを通じて電圧印加部130に導入される。
また、電気分解の進行に伴って、アノード槽112で生成されるアノード溶液のpHは酸性(反応式(4)、(5)参照)に傾き、カソード槽114で生成されるカソード溶液のpHはアルカリ性(反応式(6)参照)に傾く。
そして、電圧印加部130が陽極112aおよび陰極114aに電圧を印加して電気分解を行うことで生成されたアノード溶液ASは、バルブ144a、アノード溶液流通管144b、ポンプ144cを通じて、後述する第1排ガス処理部150の噴霧部156に供給される。
一方、カソード溶液CSは、バルブ146a、カソード溶液流通管146b、ポンプ146cを通じて、後述する第2排ガス処理部160の噴霧部166に供給される。
第1排ガス処理部150は、例えば、スプレー塔であり、本体150aと、ガス供給口152と、排ガス導入部154と、噴霧部156とを含んで構成される。
第1排ガス処理部150をスプレー塔で構成することにより、気泡塔や充填塔と比較して、空塔速度(塔内部に充填物がないと仮定したときのガスの流速)を大きくすることができ、同一のNOxの除去率を達成するための塔径を小さくすることが可能となる。したがって、第1排ガス処理部150の占有体積を小さくすることが可能となり、船舶等の占有体積に制限がある対象であっても排ガス処理装置100を搭載することができる。
ガス供給口152は、ガス管140b、バルブ140aを通じてアノード槽112のガス滞留空間112bと連通しており、アノード槽112で生成された、ClおよびOは、ガス供給口152を通じて本体150a内に供給される。
排ガス導入部154は、バルブ154aと、排ガス導入管154bとを含んで構成され、NOx、SOx、COが含まれる排ガスX1を本体150a内に導入する。
噴霧部156は、ポンプ144c、アノード溶液流通管144b、バルブ144aを通じて、アノード槽112の溶液収容領域112cと連通しており、ガス供給口152から供給されたCl、O、および、排ガス導入部154が導入した排ガスX1に、アノード溶液ASを噴霧する。
そうすると、本体150a内で、以下の反応式(7)に示すように、まず、排ガスX1中のNOx(ここでは、一例としてNOを挙げる)とClとが反応してNOCl(塩化ニトロシル)が生成される。
2NO(g)+Cl(g)→2NOCl(g)
…反応式(7)
そして、噴霧部156によって、NOClにアノード溶液ASが噴霧されることにより、NOClはアノード溶液ASに吸収(溶解)される。
ここで、アノード溶液ASのpHは、pH1からpH6であり、好ましくはpH2からpH5、より好ましくはpH2からpH4である。このように、アノード溶液ASのpHが低いと、すなわち、アノード溶液ASが酸性であると、NOClを効率よく吸収することができる。
また、アノード溶液ASのpHをpH1からpH6にするためには、上述した電圧印加部130が陽極112aおよび陰極114aに印加する電圧を、3.5Vから20Vにするとよい。
このように、第1排ガス処理部150において、排ガスX1からNOxが除去されるとともに、SOx、CO、余剰のClおよびO(以下、単に排ガスX2とする)は、バルブ170a、ガス管170bを通じて、後述する第2排ガス処理部160の排ガス導入口162に導かれる。また、NOxを吸収したアノード溶液ASは、バルブ180aを介して外部に排出される。
第2排ガス処理部160は、例えば、スプレー塔であり、本体160aと、排ガス導入口162と、噴霧部166とを含んで構成される。
第2排ガス処理部160をスプレー塔で構成することにより、気泡塔や充填塔と比較して、空塔速度を大きくすることができ、同一のSOx、CO、Clの除去率を達成するための塔径を小さくすることが可能となる。したがって、第2排ガス処理部160の占有体積を小さくすることが可能となり、船舶等の占有体積に制限がある対象であっても排ガス処理装置100を搭載することができる。
排ガス導入口162は、ガス管170b、バルブ170aを通じて第1排ガス処理部150のガス滞留空間150bと連通しており、ガス滞留空間150bに滞留している排ガスX2は、排ガス導入口162を通じて、本体160a内に導入される。
噴霧部166は、ポンプ146c、カソード溶液流通管146b、バルブ146aを通じて、カソード槽114の溶液収容領域114cと連通しており、排ガス導入口162から導入された排ガスX2にカソード溶液CSを噴霧する。
そうすると、噴霧部166によって、排ガスX2にカソード溶液CSが噴霧されることにより、排ガスX2中のSOx、CO、Cl、および、Oは、カソード溶液CSに吸収(溶解)される。
ここで、カソード溶液CSのpHは、pH7からpH14であり、好ましくはpH8からpH13、より好ましくはpH9からpH13である。このように、カソード溶液CSのpHが高いと、すなわち、カソード溶液CSがアルカリ性であると、SOx、CO、および、Clを効率よく吸収することができる。また、カソード溶液CSは、カソード槽に海水を収容した場合と比較して、Cl(塩化物イオン)の濃度が低いため、Clをさらに効率よく吸収することが可能となる。
また、カソード溶液CSのpHをpH7からpH14にするためには、上述した電圧印加部130が陽極112aおよび陰極114aに印加する電圧を、3.5Vから20Vにするとよい。
このように第2排ガス処理部160において、排ガスX2からSOx、COが除去されるとともに、余剰のClも除去されることになる。また、SOx、CO、および、Clを吸収したカソード溶液CSは、バルブ182aを介して外部に排出される。また、SOx、CO、および、Clが除去されたガスは、不図示のガス放出口から放出されることになる。
以上説明したように、本実施形態にかかる排ガス処理装置100によれば、アノード槽112に入手が容易な海水を収容し、カソード槽114にMg2+が30mg/L以下でありCa2+が100mg/L以下である水を収容して電気分解を行うことで、アノード槽112においてClを発生させるとともに、カソード槽114における堆積物の生成を抑制することができる。したがって、イオン交換膜116が目詰まりを起こす確率を低減することが可能となる。
また、第1排ガス処理部150を備える構成により、アノード槽112で発生させたClを排ガスX1に接触させて、排ガスX1に含まれるNOxを分解することができ、噴霧部156がガス滞留空間150bにアノード溶液ASを噴霧することにより、NOx分解物(NOCl)をアノード溶液ASに溶解させて排出することが可能となる。
さらに、第2排ガス処理部160を備える構成により、排ガスX1に含まれるSOx、およびCOをカソード溶液CSに溶解させて排出することが可能となる。また、第2排ガス処理部160は、上記SOx、およびCOのみならず、第1排ガス処理部150に供給されるClの量が、排ガスX1のNOxを分解するのに必要な量よりも多い場合に生じる余剰のClをカソード溶液CSに吸収させることができるため、Clの外部への放出を抑制することが可能となる。
こうして、排ガス処理装置100は、カソード槽114に収容する液体を工夫することで、カソード槽114における堆積物の発生を抑制するとともに、低コストで排ガスX1からNOx、SOx、COを除去することが可能となる。
(実施例)
カソード槽114およびアノード槽112に人工海水を2Lずつ収容し、電圧印加部130は、陽極112aおよび陰極114aに4Vの電圧を印加した。そして、アノード槽112で生成されたClを、0.3m/h程度の排ガスX1を処理可能なスプレー塔(第1排ガス処理部150)に導入した。
その結果、アノード槽112で生成されたClの濃度は、0.01%から0.1%であった。また、このClを第1排ガス処理部150に導入した場合の、第1排ガス処理部150におけるNOの除去率は70%であった。
この結果より、カソード槽114にMg2+が30mg/L以下でありCa2+が100mg/L以下である水を収容した場合であっても、アノード槽112に海水を収容するため、電気分解によって生成されるClの濃度は実質的に等しいと考えられる。したがって、排ガス処理装置100における第1排ガス処理部150のNOx除去率は、70%程度であると推測される。
また、第1排ガス処理部150から送出される排ガスX2には、Clが%オーダーで含まれていた。したがって、排ガス処理装置100が第2排ガス処理部160を備えることで、第1排ガス処理部150において未反応のClを除去し、Clの大気への放出を防止することができる。
一方、電気分解を行った結果、カソード槽114において、堆積物が乾燥重量で6g程度(海水1Lに対して3g程度)堆積した。しかし、排ガス処理装置100のアノード槽112には、Mg2+が30mg/L以下でありCa2+が100mg/L以下である水が収容されるため、堆積物の主成分である、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウムの生成量を極めて少なくすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、ポンプ124aがカソード槽114に導入する、Mg2+が30mg/L以下でありCa2+が100mg/L以下である水の水源として、河川を例に挙げたが、水源として水道水や工業用水を利用することもできる。また、海水淡水化装置を利用して、得られた淡水をカソード槽114に導入し、濃縮された海水をアノード槽112に導入してもよい。この場合、アノード槽112におけるCl(塩化物イオン)の濃度を海水よりも高くすることができ、海水の場合と比較して、電気分解に必要な電力を減らすことが可能となる。
また、上述した実施形態では、カソード槽114で生成されたHは、バルブ142a、ガス管142bを通じて電圧印加部130に導入される例について説明した。しかし、これに限らず、カソード槽114で生成されたHを一旦ガスホルダに回収し、精製した後に、電圧印加部130に導入することもできる。
さらに、上述した実施形態では、水素(H)を動力源として電力を生成する装置で構成される電圧印加部130を例に挙げて説明した。しかし、電圧印加部130は、陽極112aおよび陰極114aに電圧を印加できればよく、例えば、商用電源を利用して電圧を印加する装置等であってもよい。
また、上述した実施形態において、第1排ガス処理部150、および、第2排ガス処理部160を、スプレー塔で構成した例について説明したが、これに限定されず、気泡塔や充填塔であってもよい。
また、排ガス処理装置100において示した位置以外にポンプやバルブを設けてもよい。
本発明は、排ガスに含まれるNOxを除去する排ガス処理装置に利用することができる。
100 …排ガス処理装置
110 …電解槽
112 …アノード槽
112a …陽極
114 …カソード槽
114a …陰極
116 …イオン交換膜
130 …電圧印加部
150 …第1排ガス処理部
160 …第2排ガス処理部

Claims (6)

  1. 海水が収容されるとともに陽極が設けられるアノード槽と、Mg2+が30mg/L以下でありCa2+が100mg/L以下である水が収容されるとともに陰極が設けられるカソード槽とがイオン交換膜で仕切られている電解槽と、
    前記陽極および前記陰極に電圧を印加することで電気分解を行う電圧印加部と、
    少なくともNOxが含まれる排ガスが導入されるとともに、電気分解が行われることによってアノード槽で生成されたClガスと、電気分解が行われることによってアノード槽で生成されたアノード溶液とが、経路を異にして導入される第1排ガス処理部と、
    を備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
  2. 前記排ガスには、さらに、SOxおよびCOのいずれか一方または両方が含まれ、
    前記第1排ガス処理部を通過したガスが導入されるとともに、前記電気分解が行われることによってカソード槽で生成されたカソード溶液が導入される第2排ガス処理部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
  3. 前記電圧印加部は、前記陽極および前記陰極に3.5Vから20Vの電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス処理装置。
  4. 前記アノード溶液のpHは、pH1からpH6であり、前記カソード溶液のpHは、pH7からpH14であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
  5. 前記電圧印加部は、前記カソード槽で生成されたHを電力源として前記陽極および前記陰極に電圧を印加することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
  6. 前記第1排ガス処理部は、導入された排ガスに前記アノード溶液を噴霧するスプレー塔であり、
    前記第2排ガス処理部は、前記第1排ガス処理部を通過したガスに前記カソード溶液を噴霧するスプレー塔であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
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