JP6094450B2 - Ledリフレクター用白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物、及び該組成物の硬化物を含む光半導体装置 - Google Patents
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Description
(A)一分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するトリアジン誘導体エポキシ樹脂、
(B)三価のアルコールと酸無水物とを反応させることによって得られるトリカルボン酸から成る硬化剤、
(ただし、[(A)成分中のエポキシ基の合計当量数]/[(B)成分中のカルボキシル基の当量数]が0.5〜2.0となる量)、
(C)白色顔料、及び
(D)無機充填剤
を含有することを特徴とする白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物が、低揮発性及び高強度を有するLED用等の光半導体封止材として有用であることを見出した。
[(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂]
本発明で用いられる(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂は、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するが、これを(B)成分のトリカルボン酸と特定の割合で反応させて得られる反応生成物により、得られる熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の黄変が抑制され、且つ経時劣化の少ない光半導体装置を実現できる。かかるトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂であることが好ましい。特にイソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れており、1つのイソシアヌレート環に対して、2個の、より好ましくは3個のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で用いられる(B)成分のトリカルボン酸は硬化剤として作用するものであり、これを(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂と特定の割合で反応させると揮発分が抑制されるので、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の強度を向上させることができる。
光半導体装置のリフレクター(反射板)等の用途向けに、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、白色度を高めるために白色顔料が配合される。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、更に(D)成分として上記(C)成分以外の無機充填剤が配合される。このような無機充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられるが、上記した(C)成分の白色顔料は除かれる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、平均粒径は通常3〜40μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、150℃以上に放置した場合に、処理済の該無機充填剤が変色しない配合量及び表面処理方法が好ましい。
(E)成分の硬化触媒は熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させるための触媒である。触媒の種類としては、エポキシ樹脂組成物の硬化触媒として公知のものが使用できる。特に限定されないが、該硬化触媒としては、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩又は有機カルボン酸金属塩;金属−有機キレート化合物;芳香族スルホニウム塩;有機ホスフィン化合物類、ホスホニウム化合物類等のリン系硬化触媒;又はこれらの1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、イミダゾール系若しくはリン系硬化触媒、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール若しくはメチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト;又は第三級アミンのオクチル酸塩が更に好ましい。また、第四級ホスホニウムブロマイドとアミンの有機酸塩の併用も好ましく用いられる。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要により(F)酸化防止剤を配合することができる。(F)成分の酸化防止剤としては、フェノール系、リン系又は硫黄系の酸化防止剤を使用でき、その具体例としては、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて離型剤を配合することができる。(G)成分の離型剤は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と無機充填剤との結合強度を強くするために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;又はγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、上記無機充填剤の表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合に熱樹脂が変色するものはあまり好ましくない。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で、ガラス繊維等の補強材、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。具体的には、該組成物の硬化物に可撓性や強靭性を付与させたり、接着性を付与するため、シリコーン変性共重合体、各種有機合成ゴム、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体又はスチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂、シリコーンゲル又はシリコーンゴムなどの微粉末を添加することができる。また、二液タイプのシリコーンゴムやシリコーンゲルで無機質充填剤の表面を処理してもよい。なお、上述したシリコーン変性共重合体やスチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体はエポキシ樹脂の低応力化に効果を発揮する。
(A−1):トリアジン誘導体エポキシ樹脂:トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC−S:日産化学(株)製商品名、エポキシ当量100)
(B−1):下記合成例1で得られたヘキサヒドロ無水フタル酸とグリセリンとの反応生成物
(B−2):下記合成例2で得られた4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とグリセリンとの反応生成物
(B´−1): ヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドHH:新日本理化(株)製商品名)
(B´−2): 4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名)
(C−1):二酸化チタン;ルチル型 CR−95(石原産業(株)製、平均粒径0.28μm)
(D−1):シリカ;球状溶融シリカ CS−6103 53C2((株)龍森製、平均粒径15μm)
(E−1):リン系硬化触媒;4級ホスホニウムブロミド触媒(U−CAT 5003:サンアプロ(株)製)
(F−1):ホスファイト系酸化防止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(PEP−8;ADEKA(株)製商品名)
(G−1):カルナバワックス(TOWAX−131;東亜化成(株)製商品名)
(H−1):3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803;信越化学工業(株)製商品名)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、ヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドHH:新日本理化(株)製商品名)462g(3.0mol)を納め、オイルバスにて130℃に加熱した。その後グリセリン(関東化学製)92.1g(1.0mol)を2時間かけて滴下した。その後、130℃にて4時間加熱撹拌し、反応を終了して目的物のトリカルボン酸硬化剤(B−1)を516.9g(収率93%)で得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名)504g(3.0mol)を納め、オイルバスにて130℃に加熱した。その後グリセリン(関東化学製)92.1g(1.0mol)を2時間かけて滴下した。その後、130℃にて4時間加熱撹拌し反応を終了し目的物のトリカルボン酸硬化剤(B−2)を549.0g(収率92%)で得た。
表1及び表2に示す配合(質量部)で、配合物を二本熱ロールにて製造し、冷却、粉砕して熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。表1及び表2中のプレポリマー化の有無は、(A)成分と、(B)若しくは(B’)成分とをプレポリマー化した場合を「有」、(A)成分と、(B)若しくは(B’)成分とをプレポリマー化しない場合を「無」で示す。ここでプレポリマー化は、(A)成分と(B)若しくは(B’)成分とを溶融混合することにより行われる。
EMMI規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で測定した。
JIS−K6911規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で成形し、成形後直ちにバーコール硬度計935を用いて成形体の硬度を測定した。
JIS−K6911規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で成形し、150℃、2時間ポストキュアーした。ポストキュアーした試験片を室温(25℃)にて、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で、1辺50mm、厚さ0.35mmの硬化物を作成し、エス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して450nmでの光反射率を測定した。
175℃に設定した熱板に各組成物の測定サンプルを塗布し、硬化が始まるまでの時間をゲルタイム(秒)とした。
180℃に設定した乾燥機に各組成物の測定サンプルを10g入れ、10分間加熱し、重量減少を測定した。
Claims (8)
- (A)一分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するトリアジン誘導体エポキシ樹脂(トリアジン環を水素化したものを除く)、
(B)三価のアルコールと酸無水物を反応させることによって得られるトリカルボン酸から成る硬化剤、
(ただし、[(A)成分中のエポキシ基の合計当量数]/[(B)成分中のカルボキシル基の当量数]が0.5〜2.0となる量)、
(C)白色顔料、及び
(D)無機充填剤
を含有することを特徴とする白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。 - (A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂が、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂である請求項1記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- (B)成分の上記三価のアルコールがグリセリンである、請求項1又は2に記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- (B)成分の上記酸無水物が水素化無水フタル酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- (B)成分の上記トリカルボン酸が、三価のアルコールと水素化無水フタル酸とのモル比1:3の反応生成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)白色顔料を3〜250質量部、(D)無機充填剤を200〜1,000質量部含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- LEDリフレクター材料用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物で光半導体素子を封止した光半導体装置。
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