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JP6087040B1 - 内視鏡用処置具 - Google Patents

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Abstract

本発明の内視鏡用処置具は、ルーメンが形成されたシースと、ルーメン内に挿通され挿通路を有する長軸部材と、挿通路に配されたスタイレットと、挿通路内でスタイレットの先端に接続され、長軸部材の先端から突没可能なインプラントと、操作部と、を備え、操作部は、操作部本体とスライダ部とを備え、スライダ部は、長軸部材を軸方向固定に支持するとともに、スタイレットの動作を規定する螺旋機構を支持し、螺旋機構は、案内路が形成されたカム管と案内路に係合しスタイレットに設けられた凸部とを有し、スライダ部を操作部本体に対し基端側に移動させてスタイレットに対して基端側に移動させる力よりも大きい先端方向への力が負荷された場合に、長軸部材のみが基端側に移動する。

Description

本発明は、内視鏡用処置具に関する。本願は、2015年9月17日に、日本に出願された特願2015−184393号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、クリップ状のインプラントを管腔組織等に留置して、管腔組織を吻合する方法が知られている。例えば、特許文献1には、コイルスプリング状のインプラントを生体組織に留置するアプリケータ及びインプラント留置方法が開示されている。
特許文献1に開示された組織締付具(インプラント)は、例えば、高弾性金属線材からなり、自然状態ではコイル形状を有し、外力により長手方向に延びるように弾性変形可能に構成されている。特許文献1に開示されたアプリケータ及びインプラント留置方法では、先端に鋭利な傾斜端面を有する筒部材内に組織締付具が延ばされた状態で挿入される。次に、筒部材の傾斜端面をシースから押し出して、生体組織に筒部材を貫通させた状態で、スタイレットにより組織締付具の長手方向の一部を筒部材先端から押し出す。その後、筒部材を組織から引き抜き、組織締付具の残りの部分を筒部材から押し出す。組織締付具が筒部材から押し出されて組織に留置されると、成形時のコイル形状に復元して管腔組織を締め付ける。
日本国特許第4801230号公報
特許文献1のような従来のアプリケータは、筒部材を進退させる機構、組織締付具を筒部材に対して進退させる機構、筒部材またはシースを回転させる機構等、各部材を操作部で動かすための機構が必要である。加えて、それらの機構における可動範囲を確保する必要があるために、アプリケータは必然的に大型となる。アプリケータが大型となると、使用者にとって操作の負担が大きい。
加えて、特許文献1のような組織締付具を留置する内視鏡処置具の場合、組織締付具は小さなインプラントであり、組織締付具を組織の適切な位置に留置するためには繊細な操作が必要である。しかし、大型の装置では、操作者に負担が掛り繊細な操作が行い難い。そのため、操作性に優れたアプリケータが望まれていた。
さらに、組織締付具は、弾性変形可能且つ湾曲形状への復元力を有するコイルであるため、組織に留置する際にその復元力により組織に過剰な力が掛かり組織を損傷するおそれがあった。
上記事情を踏まえ、本発明は、組織の損傷を防ぎながら簡単な操作で組織にインプラントを留置することができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に係る内視鏡用処置具は、先端から基端に延びるルーメンが形成されたシースと、前記ルーメン内に挿通され、前記シースの前記先端から突没可能であり、内部に挿通路を有する長軸部材と、前記長軸部材に対して相対移動可能に前記挿通路に配されたスタイレットと、前記挿通路内で前記スタイレットの先端に接続され、前記長軸部材の先端から突没可能なインプラントと、前記シースの基端側に設けられ、内視鏡に装着される操作部本体と、前記操作部本体に対し軸方向に進退可能に設けられ、前記長軸部材の基端部に軸方向に対して固定されたスライダと、前記スライダの操作に応じて回動しながら後退するように構成され、前記スタイレットの基端部を支持し、前記操作部本体の中心軸周りに螺旋状に案内路が形成されたカム管と、を備え、前記スタイレットの前記基端部には、前記カム管が回動しながら後退することによって前記スタイレットに後退させる力が付与されるように前記案内路に係合する凸部を有し、前記凸部は、前記スタイレットを後退させる力に抗して前記スタイレットが前記長軸部材に対して相対的に前進できるように、前記案内路に摺動自在に構成されている
本発明の第二の態様として、第一の態様に係る内視鏡用処置具では、前記スライダ部を前記操作部本体に対し螺旋状に基端側に移動させて前記スタイレットを後退させる力よりも大きい先端方向への力が付加された場合に、前記長軸部材のみが基端側に移動してもよい。
本発明の第三の態様として、第一の態様に係る内視鏡用処置具では、前記スタイレットは、前記スライダを前記操作部本体に対し基端側に移動させると、前記案内路の内面により前記凸部を基端側に移動させる力が発生し、前記長軸部材に追従して基端側に移動してもよい。
本発明の第四の態様として、第一の態様に係る内視鏡用処置具では、前記案内路のリード角は20度から75度の範囲であってもよい。
本発明の第五の態様として、第一の態様に係る内視鏡用処置具では、前記案内路のリード角は40度以上であってもよい。
本発明の第六の態様として、第一の態様に係る内視鏡用処置具では、前記スライダを前記操作部本体に対し基端側に移動させて前記スタイレットを後退させる力よりも大きい先端方向への力が付加された場合に、前記長軸部材のみが基端側に移動してもよい。
本発明の内視鏡用処置具によれば、組織にインプラントを留置する操作を行う際に、組織の損傷を防ぐことができる。
本発明の一実施形態のインプラントの一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のインプラントの使用態様の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を示す全体図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の先端部分の断面図である。 本発明の一実施形態の主操作部の斜視図である。 本発明の一実施形態の主操作部の断面図である。 本発明の一実施形態の主操作部の基端部分の断面図である。 図6BのA−A線における断面図である。 本発明の一実施形態のシースガイドに針ガイドが挿入された状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のスタイレット及び第一カム管の断面図である。 本発明の一実施形態のスタイレットの基端部及び操作伝達部材の先端部の斜視図である。 本発明の一実施形態の第一カム管の第一案内路を示す模式図である。 本発明の一実施形態の針ガイド内にスタイレット及びスタイレット基端部材が挿入された状態を示す側面図である。 本発明の一実施形態のシーススライダの斜視図である。 本発明の一実施形態の主操作部の部分断面図である。 本発明の一実施形態の補助操作部の側面図である。 本発明の一実施形態の補助操作部の断面図である。 本発明の一実施形態の操作連結部の断面図である。 本発明の一実施形態の第一案内路と第二案内路との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を用いた処置のフローチャートである。 本発明の一実施形態の主操作部の初期状態を示す側面図である。 本発明の一実施形態の治具の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を内視鏡に装着した状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の使用態様を示す側面図である。
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具について説明する。本実施形態では、内視鏡用処置具として、インプラント留置装置(以下、単に「留置装置」と称する。)の例を示して説明する。
最初に、インプラント留置装置1に装填され、体内に留置されるインプラントについて説明する。インプラントは、一本の高弾性金属線材からなり、予め湾曲形状が付与され、弾性変形可能且つ湾曲形状への復元力を有する公知のインプラントを使用可能である。本実施形態では、図1に示すように、一本の形状記憶ワイヤがコイル状に巻かれて形成され、図2に示すように、十二指腸の組織D、総胆管の組織CBDの二つの管腔組織を密着させた状態で挟持して吻合する組織締付具2をインプラントとして留置する例(図20から26参照)を示す。
組織締付具(処置部)2は、基端21にインプラント連結部(連結部)22を備える。インプラント連結部22は、図1に示すように、第一係合部本体23と凹部24とを有する。第一係合部本体23は、円柱を中心軸上で半分に切断した半円柱形状部を有する。凹部24は、第一係合部本体23の長手軸と平行な平面部23aから垂直な方向に延びて形成された孔である。インプラント連結部22は、後述するスタイレットと係合可能に構成されている。
図3は、本実施形態に係る留置装置1を示す全体図である。留置装置1は、内視鏡を用いて組織締付具2を体内に留置するための装置である。留置装置1は、シース3と、針管(長軸部材、処置部)4と、スタイレット(処置部)5と、主操作部6と、補助操作部7と、操作伝達部材(以下、単に「伝達部材」と称する場合がある。)8とを有する。シース3と、針管4と、スタイレット5と、主操作部6とは、シース3の中心軸L上に配置されている。補助操作部7は、シース3の中心軸L上で主操作部6と連結される。以下の主操作部6及び補助操作部7の説明において、「中心軸」とは、主操作部6と補助操作部7とがシース3の中心軸L上に配置された時のシース3の中心軸Lの延長線上を含む意味で使用する。
図4は、留置装置1の先端部分の断面図である。シース3は、体内に挿入される部分である。シース3は、図3及び図4に示すように、内部に先端から基端まで延びるルーメン31が形成されている。図4に示すように、シース3の先端開口部32には、中心軸L方向に延びる切欠き33が形成されている。シース3内には後述する針管4が進退自在に挿入される。シース3の基端側は主操作部(操作部)6に接続されている。シース3は内視鏡挿入部101の処置具チャンネル102に挿入される(図20参照)。
針管4は、図4に示すように、中空の針管挿通路(挿通路)41を有する長尺部材である。針管4は、シース3の先端から突没可能にルーメン31内に挿通されている。針管4の先端(穿刺部)42が鋭利に形成され、穿刺針として機能する。針管4の基端は後述する針ガイド67(図6A参照)の先端に、相対回転自在かつ進退不能に取り付けられている。針管4の材質としては、例えば、ニッケルチタン合金に代表される超弾性合金や、ステンレス鋼を採用できる。
スタイレット5は、長尺な芯材であり、先端部が針管挿通路41内に位置し(図4参照)、基端部は、シース3の基端側に設けられた主操作部6まで延設されている。スタイレット5は、組織締付具2を針管挿通路41に対して進退移動させる部材である。スタイレット5は、シース3の先端から突没可能に構成されている。
図7はスタイレット5及び第一カム管(カム管)61の断面図である。スタイレット5の先端部には、図7に示すように、先端係合部51が設けられている。先端係合部51は、第二係合部本体51aと突起部51bとを有する。第二係合部本体51aは、基端部が円柱形状で、先端部が円柱を中心軸L上で半分に切断した半円柱形状を有する。突起部51bは、中心軸Lと平行な第二係合部本体51aの平面部51cから垂直な方向に突出して形成されている。図4に示すように、先端係合部51とインプラント連結部22とは、針管4内において互いの平面部23a、51c同士が当接して突起部51bが凹部24に挿入されることにより係合し、組織締付具2がスタイレット5に連結される。
図7に示すように、スタイレット5の基端部にはスタイレット基端部材54が固定されている。スタイレット基端部材54の先端部には、3本の第一係合ピン(カムフォロアー、第一凸部)55が中心軸Lに対して直交する方向に突出して設けられている。3本の第一係合ピン55は、周方向に等角度で離間し、且つ中心軸L方向に等間隔で離間して設けられている。
図6Aは、主操作部6の断面図である。図6Bは、主操作部6の基端部の断面図である。スタイレット基端部材54は、図6A、図6B及び図7に示すように、ルアージョイント57のルーメン571に挿通されている。図8はスタイレット5の基端部及び伝達部材8の先端部の斜視図である。スタイレット基端部材54には、基端係合部56が設けられている。基端係合部56は、伝達部材8の先端部と係合する係合部材である。基端係合部56は、図8に示すように、略平板形状を有し、スタイレット基端部材54の基端から、中心軸Lに沿って延出するように設けられている。基端係合部56の基端部56aは基端側に向かって突出した面を有する。基端係合部56には貫通孔56bが形成されている。基端係合部56は、中心軸L方向から見たときに、スタイレット5の最大外径部よりも内側に位置するような大きさを有する。
スタイレット5及び針管4は、図4に示すように、シース3の中心軸Lと同軸となるようにシース3のルーメン31に挿通されている。シース3、針管4及びスタイレット5は、先端側から体内に挿入される部材であり、内視鏡100の処置具チャンネル102に挿通されたときに、処置具チャンネル102の湾曲に伴って弾性変形可能な材料からなる。
主操作部6は、シース3の基端側にシース3の中心軸Lに沿って設けられている。図5は主操作部6の斜視図である。図6Cは、図6BのA−A線における断面図である。図3には、後述する治具9が装着された状態の主操作部6を示しているが、図5、図6A、図6B及び図6Cは治具9が抜去された主操作部6を示している。主操作部6は、シース3、針管4及びスタイレット5を操作するために設けられている。主操作部6は、第一カム管61と、主操作部本体62と、シーススライダ63と、針スライダ(スライダ部、長軸部材操作部)64と、針スライダストッパ65と、第一回転ノブ(長軸部材操作部)66と、針ガイド67と、取付部69と、を備える。
第一カム管61は、図7に示すように、中心軸Lに沿って延びる第一挿通路611と、第一案内路(カム、案内路)612とが形成されている管である。第一案内路612は、管の内外に連通して螺旋状に形成されている。第一案内路612の螺旋形状は、基端から先端に向かって見たときに、第一係合ピン55が、第一案内路612の基端から先端に向かって右回りに回転しながら前進するように形成されている。
図9は、第一案内路612の螺旋形状を示す模式図である。図9に示すように、第一案内路612の螺旋形状は一定のピッチで形成されている。第一案内路612の螺旋形状の螺旋ピッチPは、組織締付具2のうち手前側の管腔臓器に留置される部分におけるコイルの線材の長さを、当該部分のコイルの巻数で割った長さと等しいピッチで形成されている。また、第一案内路612の螺旋形状は、組織締付具2の手前側の管腔臓器に留置される部分コイルの巻数以上の巻数に設定されている。さらに、第一案内路612は、リード角θが20度以上75度以下の範囲に設定されている。
図6A及び図7に示すように、第一カム管61内には、スタイレット5の基端部及びスタイレット基端部材54が挿入されている。第一カム管61と、スタイレット基端部材54の三本の第一係合ピン55とは、第一螺旋機構80を構成する。スタイレット基端部材54の三本の第一係合ピン55は、第一案内路612内に第一挿通路611から外方に向かって突出するように挿通されている。三本の第一係合ピン55と第一案内路612との係合により、スタイレット5及びスタイレット基端部材54は、第一カム管61に支持され、且つ、第一カム管61に対して回転しながら進退するように構成されている。このように、螺旋機構は、スタイレット5の動作を規定する。
第一カム管61の基端部とルアージョイント57の先端部とは固定されている。ルアージョイント57とスタイレット5とは相対回転可能に構成されている。スタイレット5及びスタイレット基端部材54は、第一カム管61及びルアージョイント57に対して回転しながら中心軸L方向に進退可能である。
図10は、針ガイド67内に第一カム管61、スタイレット5及びスタイレット基端部が挿入された状態を示す側面図である。図6Dは、シースガイド623に針ガイド67が挿入された状態を示す斜視図である。針ガイド67は、図10に示すように、略円筒形状を有し、図6Aに示すように、中心軸L方向に延びる針ガイド挿通路671を有する。針ガイド67の側壁部672には、図6D及び図10に示すように、針ガイド67の外部と針ガイド挿通路671内とに連通するガイドスリット673が中心軸L方向に沿って形成されている。ガイドスリット673は、針ガイド67の周方向に等間隔に3か所形成されている。
針ガイド挿通路671は、図6Aに示すように、中心軸L方向の一部の領域に針ガイド挿通路671の開口径が小さい小径部671aが形成されている。小径部671aの開口径は第一カム管61の外径よりわずかに大きく設定されている。
針スライダエンド部材643は、針スライダ64の基端に固定される。針ガイド67は、基端部において、針スライダ64と針スライダエンド部材643とに挟持され、針スライダ64に対し回転のみ可能に支持されている。
針ガイド挿通路671内には、スタイレット5と、スタイレット基端部材54と、第一カム管61と、ルアージョイント57とが、針ガイド67に対して進退可能に挿入されている。針ガイド67の小径部671aに第一カム管61が挿通されることにより、第一カム管61は針ガイド挿通路671内を中心軸L上で相対的に進退及び回転可能に支持されている。
図10に示すように、各ガイドスリット673には、スタイレット基端部材54の三本の第一係合ピン55が一本ずつ係合している。第一係合ピン55は、ガイドスリット673内をスライド可能である。すなわち、第一係合ピン55は、第一案内路612内及びガイドスリット673内をスライド可能である。
第一カム管61は、針スライダ64に対して進退のみ可能に支持されている。スタイレット基端部材54の第一係合ピン55は第一案内路612とガイドスリット673とに同時に係合している。言い換えると、第一カム管61と第一係合ピン55とを備える第一螺旋機構80は、針スライダ64に支持され、ガイドスリット673と係合している。スタイレット5及びスタイレット基端部材54が中心軸L周りに回転すると、針スライダ64に対しスタイレット5及びスタイレット基端部材54は回転しながら進退し、針ガイド67は回転のみするように構成されている。なお、本明細書では、スタイレット5が回転しながら前進する動作を「螺旋動作」と称する場合がある。
主操作部本体62は、図5に示すように、略円筒形状を有し、図6Aに示すように中心軸L方向に延びる第二挿通路621が形成されている。第二挿通路621内には、先端側にシースガイド623が挿通されている。シースガイド623は、第二挿通路621の先端寄りに主操作部本体62に対し回転自在に支持されている。シース固定部625はシースガイド623の先端部に固定されており、シース3の基端が固定されている。
図6Dに示すように、シースガイド623は中心軸L方向に延びる略円筒形状の部材であり、図6Aに示すように、内部に第三挿通路623aが形成されている。第三挿通路623aには、針ガイド67及び第一カム管61に挿通されたスタイレット5が進退可能に挿通されている。シースガイド623には、周方向に等間隔で3か所に中心軸L方向に延びる第一スリット623bが形成されている。第一スリット623bは、針ガイド67のガイドスリット673の周囲の径方向外側に形成されたリブ673a(図10参照)と係合している。従って、針ガイド67が中心軸Lを中心に回転するとシースガイド623は追従して回転するが、針ガイド67が中心軸L方向に進退してもシースガイド623は追従しない。以上から、第一螺旋機構80は、カムとカムフォロアーとの係合によって、シース3を中心軸L周りに回転させる。
主操作部本体62には、リング形状の針スライダストッパ65が外装されている。針スライダストッパ65は、主操作部本体62に対して中心軸L方向に進退可能な内径を有する。針スライダストッパ65には、ネジ孔651が形成されている。ネジ孔651には針ストッパネジ652が螺合されている。針ストッパネジ652がネジ孔651内に挿入されてねじ込まれると、針ストッパネジ652の先端が主操作部本体62の外周面を押圧して、針スライダストッパ65の主操作部本体62に対する位置が固定される。
シーススライダ63は、主操作部本体62の先端側に設けられている。シーススライダ63は、図5及び図11に示すように、円筒形状の部材であり、基端開口631から中心軸L方向に延びる第四挿通路632が形成されている。基端開口631から主操作部本体62の先端部が挿入されている。主操作部本体62は、第四挿通路632内を進退可能に設けられている。
シーススライダ63の先端には取付部69が固定されている。取付部69は、内視鏡100の処置具チャンネル102の口金103にネジ嵌合することにより内視鏡100の操作部104に固定される(図19参照。)。取付部69により、主操作部6が内視鏡100に固定される。取付部69には、中心軸L方向に延びる先端挿通路691が形成されている。先端挿通路691にはシース3が進退可能に挿通されている。シーススライダ63に対して主操作部本体62を直線方向に進退移動させることにより、シース3を進退させることができる。
シーススライダ63には、中心軸L方向に延びる第二スリット633が形成されている。第二スリット633には固定ノブ634が、外周側から挿入されている。固定ノブ634のネジ部634aは第二スリット633を貫通してシーススライダ63の第四挿通路632側に突出している。固定ノブ634のネジ部634aは、先端が主操作部本体62の先端部の外周に形成されたネジ穴623dに挿入されている。ネジ部634aの長さは、先端側の一部が主操作部本体62のネジ穴と螺合した状態を保ちながら、固定ノブ634のネジ頭634bが第二スリット633からわずかに離間可能な長さに設定されている。
ネジ部634aが主操作部本体62側にねじ込まれると、ネジ頭634bと主操作部本体62とで第二スリット633周辺のシーススライダ63を挟持する。この結果、シーススライダ63と主操作部本体62との中心軸L方向の位置関係が固定される。ネジ部634aの螺合が緩められると、主操作部本体62は、シーススライダ63に対して直線方向に進退移動可能な状態となる。すなわち、第二スリット633及び固定ノブ634により、シーススライダ63に対する主操作部本体62の相対位置を固定状態または、相対移動可能な状態に切替可能である。
固定ノブ634の第二スリット633に対する位置により、シース3の主操作部6からの突出量(取付部69からの突出量)が決まる。第二スリット633の中心軸L方向の長さは、シース3の進退移動長さに対応している。固定ノブ634が第二スリット633の先端に当接する位置に配置されると、シース3の主操作部6の先端からの突出量(取付部69からの突出量)が最大となる。一方、固定ノブ634が第二スリット633の基端に当接する位置に配置されると、シース3は最も後退した位置に配置され、シース3の主操作部6の先端からの突出量が最小となる。
図5及び図11に示すように、シーススライダ63の第二スリット633の一部には、中心軸L方向に延びる片持ち梁からなる樹脂バネ635が設けられている。図11に示すように、樹脂バネ635には、斜面635aと係止面635bとが設けられている。固定ノブ634を中心軸L方向の先端側に進めると、ネジ部634aは斜面635aと接して樹脂バネ635を徐々に押しながら進み、第二スリット633の先端633aに当接する。ネジ部634aは第二スリット633の先端633aに当接した段階で斜面635aから外れ、樹脂バネ635は元の位置に戻る。この状態で固定ノブ634を中心軸L方向の基端側に戻す力が作用しても、ネジ部634aは係止面635bに当たるため、戻らない。以上から、ネジ部634aを主操作部本体62に対してねじ込まなくても、シース3の主操作部6からの突出量を最大にした状態でシーススライダ63を固定できる。
針スライダ64は、図5及び図6Aに示すように、略円筒形状を有し、主操作部6の中心軸L方向の中間部に中心軸Lに沿って設けられている。針スライダ64に形成されている第五挿通路641内には、スタイレット5と、第一カム管61と、針ガイド67と、主操作部本体62とが、中心軸L側から径方向外側に向かってこの順に同軸に配置されている。針スライダ64の基端部には、後述する第一回転ノブ66が配置されている。
針スライダ64には、図12に示すように、一対の側孔642が径方向において対向するように形成されている。図5及び図12に示すように、一対の側孔642にはそれぞれスライドボタンユニット68が設けられている。スライドボタンユニット68は、針スライダ64が主操作部本体62に対して中心軸L方向に進退可能な状態と、針スライダ64が中心軸Lを中心として回転しながら進退可能な状態とを切り替えるために設けられている。針スライダ64が主操作部本体62に対して中心軸L方向に進退可能な状態のスライドボタンユニット68を図12の上側に示し、針スライダ64が主操作部本体62に対して中心軸Lを中心として回転しながら進退可能な状態のスライドボタンユニット68を図12の下側に示す。一対のスライドボタンユニット68は、実際は、図12の上側に示す状態または下側に示す状態のいずれか一方の状態に切り替えられる。
スライドボタンユニット68は、基体681が側孔642に嵌入されて、針スライダ64に固定され、基体681の径方向外側にボタン本体682が取付けられている。ボタン本体682と基体681との間にはバネ部材683が付勢部材として設けられている。ボタン本体682はバネ部材683により基体681に対して径方向外側に離間する方向に付勢されている。
スライドボタンユニット68は、さらに板684をボタン本体682と基体681との間に備えている。板684は、中心軸L方向に延びて配置され、中心軸L方向の略中間部が基体681に固定されている。基体681には、中心軸Lに沿って形成された孔681bが形成されている。板684は、先端部がボタン本体682のスリット682aに係合され、基端部が基体681の孔681b内に配置されている。板684の第一面684aはボタン本体682に対向し、第二面684bは、孔681b内に位置して主操作部本体62に対向するように設けられている。板684の基端部には係止ピン684cが、第二面684bから板684の厚さ方向に突出して設けられている。主操作部本体62の中心軸L方向の中間領域の外周面には、螺旋溝622が形成されており、係止ピン684cは、図12に示すように、螺旋溝622に嵌合している状態と、螺旋溝622に嵌合していない状態とに切り替えられる。
術者により、ボタン本体682が径方向内側に押圧されて、ボタン本体682が基体681と当接するまで押し込まれると、板684の先端部が主操作部本体62側に押される。これに伴い、板684の基端部が主操作部本体62から離間する方向に移動し、係止ピン684cが螺旋溝622から外れる。この状態では、針スライダ64と主操作部本体62との接続関係が解除されるので、針スライダ64は主操作部本体62に対して中心軸L方向に進退可能に構成されている。
ボタン本体682がバネ部材683により径方向外側に付勢されてボタン本体682が基体681に対して離間している状態では、板684の先端部がボタン本体682により径方向外側に牽引され、板684の基端部が主操作部本体62側に付勢される。このとき、係止ピン684cは主操作部本体62の外周面に形成されている螺旋溝622に嵌合している。この状態では、針スライダ64は主操作部本体62に対して回転しながら進退可能に構成されている。
第一回転ノブ66は、組織締付具2を針管4の先端から送り出す際に、術者によって回転操作される部材である。第一回転ノブ66は、図5、図6A、図6B及び図6Cに示すように、円筒形状の部材であり、針スライダエンド部材643の側面及び基端側を覆うように取り付けられている。第一回転ノブ66は、針スライダエンド部材643に対し回転自在に取り付けられている。第一回転ノブ66の中心には雌ネジ661が形成されており、ルアージョイント57の外周に切られた雄ネジ572と螺合している。針スライダエンド部材643の略中心の貫通孔643aには、径方向に突出する係合凸部643bが形成されている。ルアージョイント57の外周には、中心軸L方向に延びる直線溝573が形成されている。係合凸部643bは、直線溝573と係合している。この構成により、第一回転ノブ66を回転させることにより、ルアージョイント57及びルアージョイント57に固定された第一カム管61が第一回転ノブ66に対して進退する。同時に、第一カム管61に係合しているスタイレット5が第一回転ノブ66に対して進退する。
図13は、補助操作部7を中心軸Lに直交する方向から見た側面図である。補助操作部7は、主操作部6と離間配置されて伝達部材8を介して主操作部6と接続される。主操作部6と補助操作部7とは伝達部材8を介して分離可能に接続されるように構成されている。補助操作部7は、伝達部材8を進退させて、スタイレット5の主操作部6内での移動を操作する。補助操作部7は、先端側から順に、操作連結部71と、補助操作部本体72と、第二カム管73と、回転ハンドル74と、を備え、伝達部材8が中心軸L方向の全長に亘って挿通されている。
図14Aは、中心軸Lを通る面における補助操作部7の断面図である。図14Bは、操作連結部71の断面図である。操作連結部71は、主操作部6の基端部と接続され、スタイレット5の基端部と伝達部材8の先端部とを連結する部材である。操作連結部71には、中心軸L方向に延びる第六挿通路711が形成されている。第六挿通路711の先端部の内周面には、ルアージョイント57のフランジ574(図5参照)と螺合可能なネジ溝712が中心軸L周りに形成されている。
伝達部材8は、長尺で可撓性を有する芯材(軟性部材)である。伝達部材8の中心軸L方向の略中央部から先端側は可撓性を有するケーブルチューブ81に挿入されている。伝達部材8は、補助操作部7の回転ハンドル74における操作入力を主操作部6に伝達する伝達部材である。
図8に示すように、伝達部材8の先端には、スタイレット係合部82が設けられている。スタイレット係合部82は、略円柱状の外形を有する基部82aから中心軸L方向に平行に延びる二本の腕部82bを有する。二本の腕部82bは、中心軸Lを挟んで対向する平面部82c、82dを有し、平面部82c、82dの径方向(中心軸Lと直交する方向)の離間距離は、主操作部6の基端係合部56の板厚よりやや大きく設定されている。
伝達部材8は、操作連結部71に対して進退及び回動可能に第六挿通路711に挿入されている。補助操作部7が主操作部6に連結されていない状態では、第六挿通路711の中心軸L方向の略中間部に、伝達部材8の先端が配置されている。
スタイレット係合部82は、中心軸L上で二本の腕部82bの間に基端係合部56が挿入されると、スタイレット5と伝達部材8とが係合するように構成されている。スタイレット5と伝達部材8とが係合すると、平面部82c、82dと基端係合部56とが当接し、伝達部材8の回転動作がスタイレット5に伝達可能となる。また、伝達部材8が前進するとスタイレット5が前進可能となる。
補助操作部本体72は、筒形状を有し、補助操作部7の先端側に配置されている。図14Aに示すように、補助操作部本体72には、中心軸L方向に延びる第七挿通路721が形成されている。第七挿通路721は、基端側の第一領域721aと、第一領域721aより先端側に位置し、第一領域721aの開口径より小さい開口径を有する第二領域721bとからなる。補助操作部本体72の基端部の外周面には、第一リング部材723が外装されてネジ724で固定されている。
補助操作部本体72の先端部には、コネクタ725が固定されている。具体的には、第七挿通路721の第二領域721bの先端開口を塞ぐようにコネクタ725が挿入されて補助操作部本体72に固定されている。コネクタ725には、中心軸Lに沿って第八挿通路726が形成されており、第八挿通路726の基端側には、後述する案内管75の先端部が固定されている。第八挿通路726の先端側には、ケーブルチューブ81が固定されている。伝達部材8は、第八挿通路726内に固定された案内管75及びケーブルチューブ81内に挿通されて、操作連結部71まで延出している。
第二カム管73は、長尺な筒部材であり、外周面には、中心軸L周りに螺旋状に形成された溝からなる第二案内路731が形成されている。図15に示すように、第二カム管73の第二案内路731と、第一カム管61の第一案内路612とは、同じ螺旋ピッチP1、P2及び回転方向で形成されている。第二カム管73の先端側は、補助操作部本体72の第七挿通路721の第一領域721aに挿通され、先端部が第二領域721bに固定されている。
図14Aに示すように、第一領域721aの内周面と第二カム管73の外周面との間には隙間Sが形成されている。第二カム管73は中心軸L方向に延びるカム挿通路732を有する。カム挿通路732には、中心軸L方向の略中央部で開口径が縮径された縮径部732aが形成されている。
カム挿通路732には、第二カム管73と略等しい長さの案内管75が挿入されている。案内管75の先端部は前述の通りコネクタ725の第八挿通路726に固定されている。案内管75の基端側はカム挿通路732の縮径部732aに挿通されるので、案内管75は中心が中心軸Lに一致するように配置される。案内管75内には伝達部材8が進退可能に挿通されている。この構成により、伝達部材8は、補助操作部7内では、進退可能に中心軸L上に支持されている。
回転ハンドル74は、図13及び図14Aに示すように、筒状部材であり、補助操作部7の基端部に配置されている。回転ハンドル74は、中心軸L方向に延びる第九挿通路741が形成されている。第九挿通路741の先端側領域の開口径は、第二カム管73の外径よりもやや大きく設定されている。回転ハンドル74の先端部には、外周面から第九挿通路741内に連通するネジ孔742が3か所形成されている(図14Aでは2箇所のネジ孔742は不図示。)。各ネジ孔742は、周方向には1/3周(角度120度)毎に等間隔に設けられ、長手方向には前述の螺旋ピッチの1/3の長さ毎に等間隔に設けられている。
第九挿通路741には、第二カム管73が挿入されている。回転ハンドル74の第九挿通路741内に第二カム管73が挿入された状態で、第二係合ピン743が各ネジ孔742に螺合して固定されている。各ネジ孔742は、第九挿通路741内に突出して、先端部が第二案内路731内に係合している。第二係合ピン743の先端部の外径は、第二案内路731の開口幅よりも小さい。そのため、回転ハンドル74の回転に応じて、第二係合ピン743の先端部が第二案内路731内を相対移動可能に構成されている。第二カム管73と、第二係合ピン743とは、第二螺旋機構90を構成する。
回転ハンドル74の基端部には、第九挿通路741の基端開口を覆う固定部材744が固定されている。伝達部材8の基端部と回転ハンドル74の基端部とは、固定部材744により固定されている。したがって、伝達部材8の基端部は、回転ハンドル74の操作に追従する。つまり、第二螺旋機構90は、伝達部材8を補助操作部本体72に対して回転しながら前進させる。
回転ハンドル74の中心軸L方向の略中央部の外周面には、第二リング部材745が外装されてネジ746で固定されている。第二リング部材745よりも先端側における回転ハンドル74の外径は、第七挿通路721の第一領域721aの開口径よりもやや小さく設定されている。
上記構成を有する留置装置1において、主操作部6は、シース3の進退及び回転、針管4の進退、スタイレット5の進退及び回転の各操作を行うことができる。補助操作部7は、伝達部材8の進退及び回転操作が可能であり、針管4に対する操作は行うことができないように構成されている。
次に、留置装置1の動作について、超音波内視鏡(以下、「内視鏡」と記載する。)に留置装置1を装着して、組織締付具2を十二指腸の組織D及び総胆管の組織CBDに貫通させて留置する処置を例に説明する。図16は、本実施形態の処置を示すフローチャートである。
留置装置1では、スタイレット5を針管4に対して基端側から先端側に移動させる動作(第一動作)は主操作部6と補助操作部7との両方で操作可能に構成されている。一方、留置装置1では、針管4の操作(第二動作)は主操作部6でのみ行うように構成されている。以下、具体的に説明する。
図17は、主操作部6の初期状態を示す側面図である。組織締付具2は、図17に示すように、シース3内に挿入されている針管4の先端部の針管挿通路41内でスタイレット5の先端部と組織締付具2の基端部とが係合されている。組織締付具2は、針管4の先端から突没可能に設けられている。組織締付具2のスタイレット5との接続部分よりも先端側の部分は、図17に示すように、針管4の先端から突出して、コイル形状に復元した状態で配置されている。
主操作部6は、基端側から治具9が挿入されている状態で製品として梱包されている。
仮に組織締付具2を全長に亘って針管4内に装填した状態を梱包状態とすると、組織締付具2が針管4で延ばされた状態が長期間続く。その結果、組織締付具2に予め付与されたコイル状の湾曲形状への復元力が弱まる可能性がある。また、組織締付具2を主操作部6と分けて別々に梱包した場合には、使用者が組織締付具2の基端部とスタイレット5の先端部とを連結する作業を行う必要があるが、組織締付具2は非常に小さい部材であるため、連結する作業は技能と時間を要する。
このような組織締付具2の形状復元力の低下及び装填作業の難しさを考慮し、本実施形態では、上述の通り、スタイレット5と係合させた組織締付具2の基端領域のみが針管4内に挿入され、先端領域が針管4から露出した状態で梱包されている。本明細書では、この状態を初期状態と称する。初期状態にするための手順の一例を以下に説明する。
スタイレット5を最も先端側に移動させると、先端係合部51は針管挿通路41から露出する。この状態で、突起部51bと組織締付具2の凹部24とを係合させ、スタイレット5を基端側に移動させて先端係合部51を針管4に収納することで、初期状態(梱包状態)となる。初期状態では、組織締付具2とスタイレット5との接続状態が維持される。
このとき、治具9を使ってスタイレット5を引く動作を行う。
治具9は、初期状態(梱包状態)で主操作部6に装着されている。図18は、治具9を示す斜視図である。治具9は、図18に示すように、治具ハンドル91と、棒状の挿入シャフト(シャフト)92と、治具側連結部93と、シャフトヘッド95とを有する。挿入シャフト92は、シャフトヘッド95の先端側に固定されている。治具ハンドル91には、中央に挿入シャフト92の径よりも少し大きく、シャフトヘッド95よりも小さな穴が開いており、挿入シャフト92が挿通されている。治具側連結部93は、挿入シャフト92の先端から湾曲して基端側に延びるフック形状を有する。治具ハンドル91は、挿入シャフト92に対して相対回転可能に設けられている。挿入シャフト92の基端部の外周には管形状の治具ストッパ94が外装されている。
初期状態では、第一カム管61内で基端係合部56の貫通孔に治具側連結部93が係止されている。つまり、組織締付具2と治具9とは、スタイレット5を介して接続されている。
基端係合部56は、第一カム管61の先端側に配置されている。挿入シャフト92は、第一カム管61内を通って基端側に延び、治具ハンドル91は主操作部6の基端側に露出している。なお、この時点では、治具ストッパ94は挿入シャフト92に外装されていない。挿入シャフト92は、スタイレット5が針管4に対し最も先端側に位置しているときの基端係合部56からルアージョイント57の基端までの長さ以上の長さを有する。このとき前述の通りスタイレット5の先端は針管4の外に露出しているので、組織締付具2と係合させる。治具9を基端側に若干引くことで、組織締付具2の基端領域が針管4内に引き込まれ、初期状態になる。しかし、この状態では治具9が先端側に移動して組織締付具2が外れるおそれがあるので、それを防ぐために治具ストッパ94を装着して治具9が先端側へ移動することを防ぐ。治具ストッパ94は中心軸L方向に切込み941が入っているため、挿入シャフト92に対し横から外装可能である。以上で初期状態(梱包状態)が完成する。製造者により滅菌処理を行った後、出荷される。
使用者は、最初に、組織締付具2を針管4内に引き込んで全て収める準備工程(ステップS1)を行う。ここで、使用者とは、術者及び術者の処置を補助する補助者を指す。準備工程は術者が行っても補助者が行っても良い。以下の説明において、使用者が主操作部6及び補助操作部7の各部を回転操作する際の回転方向は、中心軸L方向に基端から先端に見たときの回転方向で示す。
最初に、使用者は、主操作部6の第一回転ノブ66を右方向に回転させる。第一回転ノブ66が右方向に回転すると、ルアージョイント57及びルアージョイント57に固定された第一カム管61が基端側に移動する。スタイレット5の第一係合ピン55は、第一案内路612及び針ガイド67のガイドスリット673の両方に係合しているので、第一カム管61が基端側に移動するとスタイレット5も基端側に移動する。その結果、組織締付具2が針管4内で基端側に引き込まれていく。使用者が第一回転ノブ66を右回転し続けると、雌ネジ661と螺合しているルアージョイント57の雄ネジ572の先端側終端に雌ネジ661が行き当たり、第一回転ノブ66をこれ以上回転させることができなくなり、ルアージョイント57の基端側への移動もできなくなる。これにより、組織締付具2の長手方向の略中間部分までが針管4内に引き込まれたことを使用者が察知する。
次に、治具9を用いて組織締付具2を針管4内に引き込む。使用者が治具9の治具ハンドル91を手元側に中心軸L方向に牽引すると、スタイレット5に基端方向へ牽引される力が作用する。このとき、第一係合ピン55が第一案内路612に沿ってスライドするので、スタイレット5は回転しながら基端側に移動し組織締付具2は針管4内にさらに引き込まれていく。治具ハンドル91は、挿入シャフト92に対して相対回転可能に設けられている。そのため、使用者が治具ハンドル91を中心軸L方向に牽引する操作の際、挿入シャフト92は、スタイレット5の回転に追従して、治具ハンドル91に対して相対回転する。このとき、第一係合ピン55は針ガイド67のガイドスリット673とも係合しているので、同時に針ガイド67を回転させる。組織締付具2は針管4の中に引き込まれることで元のコイル形状に戻ろうとして強い力を発するため、針管4は組織締付具2から強い力を受ける。従って、組織締付具2を針管4内に無理なく引き込むためには、針管4の回転方向の動きは、組織締付具2の動きに追従させたほうが良い。そのため、針管4は針ガイド67に対し相対回転自在かつ進退不能に取り付けられている。治具ハンドル91を中心軸Lに沿って直線方向に基端側に牽引する動作で、組織締付具2を回転させながら針管4内に装填できる。
使用者がさらに治具9を手元側に引き続けると、組織締付具2は針管4内に徐々に収納され、先端まで針管4内に収納された直後に、第一係合ピン55のうち最も基端側に配設された1本がルアージョイント57の先端側の端面に当たる。このため、スタイレット5はこれ以上基端側に移動できなくなり、治具9をこれ以上手元側に引くことができなくなる。これにより、組織締付具2の装填が終了したことを使用者が察知する。このとき同時に、基端係合部56が外部に露出するので、術者は治具9と基端係合部56との係合を解除して、治具9を取り外す。以上で準備工程が完了する。
このように、本実施形態に係る留置装置1では、治具9を用いて組織締付具2を装填するので、組織締付具2を針管4内に引き込む機構を主操作部6に設ける必要が無く、主操作部の小型化を図ることができる。
次に、主操作部6が内視鏡100に装着されて固定される(ステップS2)。主操作部6は、内視鏡挿入部101の処置具チャンネル102にシース3及び針管4が挿入され、図19に示すように、主操作部6のシーススライダ63の先端に設けられた取付部69を内視鏡100の処置具チャンネル102の口金103にネジ嵌合することにより内視鏡100の操作部104に固定される。ステップS2は、術者と補助者が協力して操作を行う。
ステップS3からステップS9までの操作は、術者が行う。図20から図26は、留置装置1の使用時の内視鏡挿入部101の先端側における態様を示す図である。術者は、図20に示すように、内視鏡挿入部101を体内の処置対象部位まで挿入する(ステップS3)。内視鏡挿入部101の先端を対象組織である十二指腸の組織D近傍まで挿入する。ステップS2とステップS3とは逆の順序で行ってもよい。
次に、内視鏡挿入部101の先端に対するシース3の先端の位置を調整する(ステップS4)。術者は固定ノブ634を緩め、シーススライダ63に対し主操作部本体62を中心軸L方向に進退させ、シース3の先端の中心軸L方向の位置が内視鏡挿入部101の先端に対し所定の位置になるよう調整する。図20では、中心軸L方向におけるシース3の先端位置を内視鏡挿入部101の先端と一致させた状態を示す。シース3の先端位置が決まったら、術者は、固定ノブ634を締め、シース3の位置を固定する。
術者は、図21に示すように、内視鏡挿入部101及びシース3の先端開口部32を十二指腸の組織Dに当接させる。内視鏡挿入部101の先端には超音波振動子101aを備えている。そのため、以降の処置では、内視鏡挿入部101の先端が十二指腸の組織Dに当接した状態を維持し、術者は超音波画像を確認しながら処置を行う。
続いて、中心軸L方向におけるシース3の先端開口部32からの針管4の突出量を設定する(ステップS5)。術者が、針ストッパネジ652を緩めると、針スライダストッパ65がスライド可能になる。針管4の穿刺部42を組織に穿刺したい長さ(針管4のシース3からの突出量)に応じて、術者は針スライダストッパ65を先端側にスライドさせた後、針ストッパネジ652を締めて、針スライダストッパ65を固定する。この操作により、針管4の穿刺部42の穿刺長を設定する。この時点では針スライダ64はスライドボタンユニット68により移動が規制されて直線的に動かせない。
次に、図22に示すように、針管4の穿刺部42を対象組織に穿刺する(ステップS6)。術者がスライドボタンユニット68のボタン本体682を中心軸L側に押し込むと、針スライダ64の進退移動の規制が解除されて、針スライダ64は主操作部本体62に対して中心軸L方向に進退可能な状態になる。この後、術者は、針スライダ64を針スライダストッパ65に当接するまで直線方向に前進させる。針スライダ64と針管4とは、針ガイド67を介して、中心軸L方向における相対位置が不変となるように接続されているので、針スライダ64の前進に伴って針管4が前進する。これにより針管4の穿刺部42がシース3の先端から突き出され、対象組織である十二指腸の組織D及び総胆管の組織CBDに穿刺される。なお、術者がスライドボタンユニット68から指を離すと、スライドボタンユニット68は、バネ部材683の付勢力によりボタン本体682が針スライダ64の径方向外側に離間する方向に移動し、係止ピン684cが主操作部本体62の外表面に押し付けられる。
次に、総胆管側において組織締付具2を留置する(ステップS7)。図23に示すように、組織締付具2を針管4から突出させる。術者は、第一回転ノブ66を左回転させる。
第一回転ノブ66の左回転操作を始めた段階では、主操作部本体62の螺旋溝622に板684の係止ピン684cが係合するまで、針スライダ64も第一回転ノブ66とともに左回転する。まもなく係止ピン684cが螺旋溝622に係合すると、針スライダ64は螺旋溝622に従い回転しながら先端側に進もうとするが、針スライダ64が針スライダストッパ65に当接しているため回転も進むこともできない。そのため、螺旋溝622に係止ピン684cが係合した後は、第一回転ノブ66だけが回転する。第一回転ノブ66が針スライダ64に対して回転すると、ルアージョイント57及び第一カム管61が先端側に直線的に送り出される。このときルアージョイント57の先端側の端面と第一係合ピン55のうち最も基端側の1本とが当接しているので、スタイレット5が先端側に直線的に送り出される。以上により、針管4の先端から総胆管内に組織締付具2のコイルの先端側領域が直線的に送り出される。
やがてルアージョイント57の直線溝573の基端側端面が針スライダエンド部材643の係合凸部643bの基端側端面に当たると、ルアージョイント57はこれ以上先端側に移動できなくなり、第一回転ノブ66は回転しなくなる。ルアージョイント57の直線溝573の基端側端面と、針スライダエンド部材643の係合凸部643bの基端側端面との中心軸L方向の長さは、組織締付具2が総胆管側で送り出される所定長さに対応して設定されている。そのため、第一回転ノブ66が回転しなくなることにより、総胆管側に組織締付具2のコイルの所定長さを留置する工程が完了したことを術者が察知できる。
次に、図24に示すように、針管4を総胆管の組織CBD及び十二指腸の組織Dから抜去する(ステップS8)。針管4が抜去される際、総胆管の組織CBDから針管4の先端が抜けると、組織締付具2のコイル部2aが倒れてコイルの周方向が総胆管の組織CBDに密着する。このとき、所定のコイルの向きと異なる向きにコイル部2aが倒れる場合があるので、コイル部2aの向きを所定の向きに矯正する操作を必ず行う。
術者は、針スライダ64を右回転させる。主操作部本体62の螺旋溝622に板684の係止ピン684cが係合しているので、針スライダ64を右回転させると、針スライダ64は螺旋溝622に沿って回転しながら基端側に移動する。ルアージョイント57と第一カム管61も針スライダ64と一体となって右回転しながら基端側に移動する。第一カム管61の第一案内路612は右ネジ方向に形成されているため、第一カム管61が右回転することにより、第一案内路612の内面はスタイレット5の第一係合ピン55に基端側方向へのベクトル力を与える。
このとき、第一係合ピン55の最も基端側の1本はルアージョイント57の先端側の端面に当たっているので、スタイレット5は基本的には針スライダ64と一体となって右回転しながら基端側に移動する。このとき、針ガイド67も針スライダ64と一体となって右回転しながら基端側に移動する。針管4は針ガイド67に回転自在に支持されているので、針管4は針スライダ64と一体に基端側へ移動するが、針管4の回転方向の動きは針スライダ64とは関係しない。実際の手技では、内視鏡挿入部101は複雑に曲がった形状になるため、処置具チャンネル102に挿入されている針管4も複雑な形状に曲げられる。針管4の材質は上述のように金属管であり、複雑な形状に曲がった状態で針管4を回転させる操作は非常に強い力が必要であるため困難である。そのため、針スライダ64が回転しながら基端側に移動しても、針管4は回転せずに基端側への移動のみ追従する構成としている。
図6Aに示すように、シース3はシース固定部625を介してシースガイド623に固定されている。シースガイド623は、回転自在に主操作部本体62に支持されている。図6Dに示すように、シースガイド623の第一スリット623bは、針ガイド67のガイドスリット673の周囲の径方向外側に形成されたリブ673aと回転方向のみ追従するように嵌合している。このような構成により、針スライダ64を右回転させながら基端側に移動させると、シース3は回転のみ追従する。
上記動作により、針管4が引き戻される間に、シース3及びスタイレット5は回転している。針管4の穿刺部42がシース3のルーメン31内に収容されたところで、組織締付具2のワイヤがシース3の切欠き部33に入る。組織締付具2のワイヤが切欠き部33に係止された状態でシース3が所定の方向に回転すると、総胆管側に留置されたコイル部2aが回転し、コイル部2aの向きが所望の状態に矯正される。
上述の通り、ステップS8において、スタイレット5は回転しながら基端側に移動し、同時に針管4は回転せずに基端側に移動する。この操作により、スタイレット5が接続されているスタイレット基端部材54は、第一カム管61から基端側方向へのベクトルを受けるのでスタイレット5は針管4とともに基端側に引き戻される。このとき、シース3の先端開口部32は対象組織に当接した状態で、総胆管側に留置されている組織締付具2のコイル部2aがアンカーとして作用して、組織締付具2は、先端方向に引っ張られる力を同時に受ける。スタイレット5が基端側に牽引される力が大きくなると、対象組織が組織締付具2とシース3に挟まれる力が強くなり組織を過剰な負荷で圧迫するおそれがある。
本実施形態に係る留置装置1では、対象組織への過剰な負荷を防止するため、対象組織が組織締付具2とシース3とに挟まれる力が強くなると、スタイレット5は針スライダ64の右回転しながら基端方向に移動する動きとの同期が解除され、対象組織が組織締付具2とシース3とに挟まれる力を緩和する。前述の通り、第一案内路612はスタイレット5の第一係合ピン55に基端側方向へのベクトル力を与えている。しかし、組織締付具2から先端方向への力がこのベクトル力よりも強くなると、スタイレット5と針スライダ64との同期が解除され、針管4のみが基端側に移動し、第一係合ピン55は第一案内路612に沿って先端方向に移動する。このとき、スタイレット5は針スライダ64に対し相対的に先端側に移動するので、負荷を弱めることができる。その結果、組織締付具2から先端方向への力が前述の基端方向へのベクトル力を下回れば、スタイレット5は再び針スライダ64の移動に追従する状態になる。これにより、処置対象部位の組織の損傷を防止することができる。この自動的に負荷を調整する動きは、第一案内路612のリード角を適切に設定することで実現できる。具体的には、リード角を20度から75度の範囲に設定することで実現可能である。
第一案内路612のリード角が20度よりも小さい場合、第一係合ピン55に与えられる基端側方向へのベクトル力が強くなるので、組織締付具2からの先端方向への力が非常に強くなった時に初めて力がつり合うため挟んだ組織が損傷する可能性がある。第一案内路612のリード角が75度よりも大きい場合、第一係合ピン55に与えられる基端側方向へのベクトル力が弱くなるので、組織締付具2からの先端方向への力が非常に弱い状態で力がつり合うため、スタイレット5を基端側に十分に牽引できない可能性がある。また、リード角は40度以上の範囲とすることがより好ましい。これは、リード角が大きいほど、第一カム管61を細径にできるためである。第一カム管61を細径化することで、主操作部6を細径化、軽量化することが可能となる。
ステップS8において、係止ピン684cが螺旋溝622の基端まで移動すると、針スライダ64が回転しなくなるので、針管4が組織から抜去されたことを術者が察知できる。
次に、図25に示すようにシース3、針管4及びスタイレット5を所定の長さ前進させる(ステップS9)。術者は、シース3の先端部が十二指腸の組織Dに当接した状態で、固定ノブ634を緩め、固定ノブ634が第二スリット633の先端に当接するまで前進させる。これにより、主操作部本体62がシーススライダ63の先端に当接する。この操作により、シース3が取付部69の先端側に移動する。
取付部69は内視鏡100に固定されているので、シース3が内視鏡挿入部101の先端から押し出され、内視鏡挿入部101が相対的に後退し先端が十二指腸の組織Dから離間する。以後の処置においては、内視鏡挿入部101の先端に設けられている不図示の光学撮像装置で術野が撮像される。術者は、内視鏡画像を確認しながら処置を行う。
ステップS9において、主操作部本体62には基端側に後退する方向の力が生じる。しかし、シーススライダ63の樹脂バネ635により、固定ノブ634のネジ部634aが押さえられるため、主操作部本体62の後退を防ぐことができる。
固定ノブ634が第二スリット633の先端に当接すると、主操作部本体62はこれ以上前進できなくなるので、術者は、主操作部本体62が所定位置まで押し込まれたことを察知できる。また、固定ノブ634を締めなくても、樹脂バネ635の機能により主操作部本体62が不用意に基端側に移動することがないので、主操作部本体62の位置が所定位置からずれることがない。
次のステップS10は補助者と術者が協力して実施する。ステップS11以降の操作は補助者が補助操作部7を操作して行う。すなわち、十二指腸側における組織締付具2のコイルを送出す操作は補助操作部7で行う。
補助操作部7を主操作部6に接続する(ステップS10)。補助者は、補助操作部7を持ち、操作連結部71の第六挿通路711の先端開口に、主操作部6のルアージョイント57の基端を挿入する。術者または補助者が操作連結部71を回転させると第六挿通路711のネジ溝712とルアージョイント57の基端部に形成されたフランジ574とが螺合して、主操作部6と補助操作部7とが接続される。回転ハンドル74を右回転すると、第二カム管73に形成されている第二案内路731に従って、回転ハンドル74が回転しながら前進する。回転ハンドル74には伝達部材8が固定部材744を介して固定されているので、伝達部材8が右回転しながら前進する。伝達部材8のスタイレット係合部82は、回転しながら前進するので、まもなくスタイレット5の基端係合部56に当接する。基端部56aは、図8に示すように、基端側に向かって中心軸L上で凸形状を有している。そのため、伝達部材8のスタイレット係合部82と、スタイレット5の基端係合部56の基端とが当接した状態で、伝達部材8が回転しながら前進することで、やがて主操作部6の基端係合部56がスタイレット係合部82の2本の腕部82bの間に嵌って係合する。以降は、伝達部材8の回転及び前進駆動がスタイレット5に伝達可能となる。
なお、図19に示す通り、主操作部6と補助操作部7とは、ケーブルチューブ81と伝達部材8とで構成される可撓性のある部分で連結されているため、主操作部6と補助操作部7との位置関係に自由度を持たせることができる。これにより、補助者は術者の邪魔にならず、なおかつ補助操作部7を操作しやすい場所に立って操作可能である。また、仮に補助者が補助操作部7を中心軸Lの先端方向に強く押しても、間に可撓性のある部分があるので主操作部6が強く押されることはない。従って、例えば補助者の不用意な動きによって針管4が術者の意図に反して先端側に押し出されてしまうような事故を防げる。
次に、十二指腸の組織Dよりも手元側に組織締付具2を留置する(ステップS11)。補助者が回転ハンドル74を右回転させると、伝達部材8が右回転しながら前進する。
具体的には、図14Aに示すように、回転ハンドル74が回転操作されると、第二係合ピン743が第二案内路731内に沿って移動し、回転ハンドル74が第二カム管73に対して先端側に相対移動して補助操作部本体72に近付く。さらに、回転ハンドル74が回転操作されると、回転ハンドル74の先端部分が第七挿通路721の第一領域721a内の、第二カム管73と補助操作部本体72との隙間Sに進入する。
上記のように回転ハンドル74が回転操作されると、伝達部材8は、補助操作部7に対して回転しながら前進し、操作連結部71から突出するように構成されている。この結果、伝達部材8の螺旋方向の移動(螺旋入力)がスタイレット5に伝達される。
第一カム管61の第一案内路612の螺旋ピッチP1は第二カム管73の第二案内路731螺旋ピッチP2と等しい。また、第一案内路612と第二案内路731とは、回転方向も右方向で同じである。留置装置1は、主操作部6と補助操作部7とを別体で設け、補助操作部7における操作は伝達部材8を介して主操作部6に伝達される。また、主操作部6と補助操作部7とを異なる人が操作する際の操作性を考慮し、伝達部材8は、可撓性を有し、長さが長くなる場合がある。この場合、駆動力の伝達経路において、伝達部材8の湾曲や長さの影響を受けて、回転ハンドル74の動きと、スタイレット係合部82の動きにずれが生じ、スタイレット5へ正確な動きが伝達されない可能性がある。
しかし、本実施形態に係る留置装置1では、第一案内路612と第二案内路731とが等しい螺旋ピッチかつ同じ回転方向で形成されているので、伝達部材8から伝達された回転動作を、第一案内路612で、回転ハンドル74の動きと同じ回転移動量に調整できる。そのため、補助操作部7の回転操作で発生した螺旋方向の入力は、正確にスタイレット5から螺旋動作として出力される。
以上から、回転ハンドル74を回転操作すると、前述の通りスタイレット5の第一係合ピン55が針ガイド67を回転させ、針ガイド67がシースガイド623を回転させるので、シース3がスタイレット5の回転と同期して回転する。ステップS11において、図26に示すように、組織締付具2はシース3の切欠き部33に入っているので、組織締付具2は、シース3及びスタイレット5によって針管4から回転させられながら送り出される。なおこの時、針管4は前述の通り回転しない。スタイレット5の第一係合ピン55のうち最も先端側の1本が、第一カム管61の第一案内路612の先端に当たると、スタイレット5の前進が完了する。このとき、スタイレット5の先端は針管4の外に露出する。
これにより、組織締付具2のインプラント連結部22とスタイレット5の先端係合部51との係合が解除され(ステップS12)、組織締付具2の留置が完了する。このように、留置装置1では、スタイレット5が針管4に対して前進することによって針管4の先端から組織締付具2が放出される動作(第一動作)を、主操作部6と補助操作部7との両方で行ったときに、針管4の先端からスタイレット5の先端が露出するように構成されている。
本実施形態によれば、針管4が組織から抜去され、且つシース3内に収容された後、十二指腸側におけるコイル留置を補助操作部7で行うように構成されている。すなわち、組織締付具2を処置対象組織に留置するために行う複数の操作を主操作部6と補助操作部7とに分けて行うことが可能であるので、主操作部6は、従来のインプラント留置装置に比べて小型化を図ることができる。したがって、術者の操作性を向上させることができる。
さらに、針管4の進退に関係する操作は主操作部6でのみ可能であり、かつ、補助操作部7による操作は針管4の穿刺部42がシース3内に収納された状態で行われる。このため、術者のみが針管4の動きを制御でき、補助者の操作により穿刺部42が組織を傷つけることがない。したがって、安全性が高い処置を行える。
本実施形態によれば、主操作部に第一螺旋機構を備え、補助操作部に第二螺旋機構を備える。そのため、補助操作部に入力される操作を第二螺旋機構で所定の螺旋方向の動作として、操作伝達部材に出力できる。加えて、操作伝達部材から主操作部へ入力された動作は、第一螺旋機構を通過することで一旦整えられ、スタイレットから所定の螺旋方向の動作として出力される。このため、主操作部と補助操作部との間の駆動伝達経路が長いことに起因する補助操作部への入力動作と補助操作部からの出力動作に誤差が生じても、第一螺旋機構で再度整えることができる。したがって、補助操作部に入力された螺旋動作が主操作部を介して精度良く組織締付具に伝達される。
本実施形態によれば、第一案内路のリード角を20度以上75度以下の範囲に設定したので、対象組織が組織締付具とシースとに挟まれる力が強くなると、針管の後退とスタイレットの後退との同期が解除される。したがって、針管を抜去する際に対象組織に過剰な負荷が掛ることを防ぐことができる。さらに好ましくは、リード角を40度以上の範囲とする。これにより、第一カム管を細径にできるので、主操作部を細径化、軽量化することが可能となる。
本実施形態によれば、組織締付具を針管の先端から突出させて梱包した状態を初期状態としているので、組織締付具が長期間針管内で引き延ばされた状態が維持されることがなく、組織締付具の締付力を好適な状態に保つことができる。
さらに、梱包状態における組織締付具は、治具を用いて容易に装填できる。本実施形態に係る留置装置では、治具を用いて組織締付具を装填するので、組織締付具を針管内に引き込む機構を主操作部に設ける必要が無く、主操作部の小型化を図ることができる。
本実施形態では、内視鏡用処置具としてインプラント留置装置1を例示したが、内視鏡用処置具は、これに限定されない。例えば、吸引生検針等、主操作部と補助操作部とが連結された状態で補助操作部からの操作入力により処置具における特定の動作が実行可能な構成であればよい。内視鏡用処置具が吸引生検針である場合、生検針は主操作部でのみ操作され、スタイレットは主操作部及び補助操作部により操作される例が挙げられる。
本実施形態では、主操作部6と補助操作部7とは分離可能な構成を例示したが、例えば、スタイレット5と伝達部材8とを一体に構成する等により主操作部と補助操作部とを分離不能に構成してもよい。
本実施形態では、先端係合部51に突起部51bを設け、インプラント連結部22に凹部24を設けて、突起部51bと凹部24とを係合することによりスタイレット5と組織締付具2とを接続する例を示したが、先端係合部に凹部を設け、インプラント係合部に突起部を設ける構成であってもよい。
本実施形態では、スタイレット基端部材54に三本の第一係合ピン55を設ける例を示したが、第一係合ピンの数は三本に限定されるものではなく、少なくとも一本の第一係合ピンを備えればよい。
本実施形態では、第一案内路612は第一カム管61の内外に連通した孔であり、第二案内路731は、第二カム管73の外周面に形成された有底の溝である例を示したが、例えば、第二案内路は孔であってもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
本内視鏡用処置具によれば、組織の損傷を防ぎながら簡単な操作で組織にインプラントを留置することができる。
1 インプラント留置装置(内視鏡用処置具)
2 組織締付具(インプラント、処置部)
3 シース
4 針管(長軸部材、処置部)
5 スタイレット(処置部)
6 主操作部(操作部)
7 補助操作部
8 操作伝達部材
9 治具
22 インプラント連結部(連結部)
31 ルーメン
41 針管挿通路(挿通路)
42 先端(穿刺部)
55 第一係合ピン(カムフォロアー、第一凸部、凸部)
61 第一カム管(カム管)
62 主操作部本体(操作部本体)
64 針スライダ(スライダ部、長軸部材操作部)
66 第一回転ノブ(長軸部材操作部)
73 第二カム管
80 第一螺旋機構(螺旋機構)
90 第二螺旋機構
91 治具ハンドル(ハンドル)
92 挿入シャフト(シャフト)
93 治具側連結部
612 第一案内路(カム、案内路)
731 第二案内路
743 係合ネジ(第二凸部)

Claims (6)

  1. 先端から基端に延びるルーメンが形成されたシースと、
    前記ルーメン内に挿通され、前記シースの前記先端から突没可能であり、内部に挿通路を有する長軸部材と、
    前記長軸部材に対して相対移動可能に前記挿通路に配されたスタイレットと、
    前記挿通路内で前記スタイレットの先端に接続され、前記長軸部材の先端から突没可能なインプラントと、
    前記シースの基端側に設けられ、内視鏡に装着される操作部本体と、
    前記操作部本体に対し軸方向に進退可能に設けられ、前記長軸部材の基端部に軸方向に対して固定されたスライダと、
    前記スライダの操作に応じて回動しながら後退するように構成され、前記スタイレットの基端部を支持し、前記操作部本体の中心軸周りに螺旋状に案内路が形成されたカム管と
    を備え、
    前記スタイレットの前記基端部には、前記カム管が回動しながら後退することによって前記スタイレットに後退させる力が付与されるように前記案内路に係合する凸部を有し、
    前記凸部は、前記スタイレットを後退させる力に抗して前記スタイレットが前記長軸部材に対して相対的に前進できるように、前記案内路に摺動自在に構成されている
    視鏡用処置具。
  2. 前記スライダ部を前記操作部本体に対し螺旋状に基端側に移動させて前記スタイレットを後退させる力よりも大きい先端方向への力が付加された場合に、前記長軸部材のみが基端側に移動する
    請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  3. 前記スタイレットは、前記スライダを前記操作部本体に対し基端側に移動させると、前記案内路の内面により前記凸部を基端側に移動させる力が発生し、前記長軸部材に追従して基端側に移動する
    請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  4. 前記案内路のリード角は20度から75度の範囲である
    請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  5. 前記案内路のリード角は40度以上である
    請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  6. 前記スライダを前記操作部本体に対し基端側に移動させて前記スタイレットを後退させる力よりも大きい先端方向への力が付加された場合に、前記長軸部材のみが基端側に移動する
    請求項1に記載の内視鏡用処置具。
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