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JP6080078B2 - 姿勢および歩行状態推定装置 - Google Patents

姿勢および歩行状態推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、姿勢および歩行状態推定装置に関する。さらに詳しくは、人が身に着けた状態で、歩行状態を推定できる姿勢および歩行状態推定装置に関する。
従来、人の体に取り付けた角速度センサや加速度センサからの信号を処理して、人の歩行状態を推定する技術が開発されている(特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、前後方向の加速度曲線から歩幅、周期をもとめて歩行速度を算出する技術が開示されている。また、左右方向の加速度波形のパワースペクトラムから左右のスタンスを把握して下肢機能不全の解消度合いを把握する技術が開示されている。
また、特許文献2には、水平軸周りの各加速度の周波数の違いで、すり足と健常者の歩行を比較する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、腰部に加速度センサを取り付け、鉛直方向加速度成分のピークと谷ピークの差分と、歩行方向加速度成分の山ピークと谷ピークの差分と、を算出し、予め用意した差分と歩行速度との関係式により歩行能力として歩行速度や歩幅を推定する技術が開示されている。
そして、特許文献4には、腰部に加速度計を取り付けて腰部の加速度を測定するだけで背屈力や下肢筋力等を評価する技術が開示されており、これらに基づいて躓きやすさなどの歩行能力を推定できる旨の記載もある。
特開2004−358229号公報 特開2003−6608号公報 特開2005−114537号公報 特開2007−125368号公報
特許文献1〜4の技術でも、人の体にセンサなどを取り付けることによって、ある程度の歩行状態等を検出することはできる。しかし、特許文献1〜4の技術でも、歩行状態の推定は不十分であり、より簡便かつ精度よく歩行状態を推定できるような装置が求められている。
本発明は上記事情に鑑み、より簡便かつ精度よく歩行状態および/または姿勢を推定することができる姿勢および歩行状態推定装置を提供することを目的とする。
第1発明の姿勢および歩行状態推定装置は、人の体に取り付けられる検出手段と、該検出手段からの信号に基づいて、歩行状態および/または姿勢を解析する解析手段と、を備えており、前記検出手段が、人の体の上下方向の加速度を検出する上下加速度検出部と、人の体の左右方向の加速度を検出する横方向加速度検出部と、人の体の前後方向の加速度を検出する前後方向加速度検出部と、人の体の回転を検出する回転角度検出部と、を有しており、前記解析手段は、歩行判断機能と、姿勢の安定性を判断する姿勢安定判断機能を有しており、該歩行判断機能は、前記上下加速度検出部からの信号に基づいて鉛直床反力を推定し、該推定された鉛直床反力の時間変動に基づいて歩行状態を判断する機能を有しており、前記姿勢安定判断機能は、前記検出手段と人の体の重心位置との相対的な位置、および、前記検出手段からの信号に基づいて、前記重心位置の変化を把握し、該重心位置の時間変動に基づいて姿勢の安定性を判断する機能を有していることを特徴とする。
第2発明の姿勢および歩行状態推定装置は、第1発明において、前記姿勢安定判断機能は、人の体の重心位置に加わる慣性力を推定し、該慣性力が加わった状態における重心位置の時間変動に基づいて、姿勢の安定性を判断する機能を有していることを特徴とする。
第3発明の姿勢および歩行状態推定装置は、第1または第2発明において、前記姿勢安定判断機能は、前記重心位置と圧力中心との相対的位置関係に基づいて、姿勢の安定性を判断する機能を有していることを特徴とする。
第4発明の姿勢および歩行状態推定装置は、第1、第2または第3発明において、前記解析手段は、前記前後方向加速度検出部からの信号と前記上下加速度検出部からの信号に基づいて躓きを判断する機能を備えていることを特徴とする。
第5発明の姿勢および歩行状態推定装置は、第1、第2または第3発明において、前記解析手段は、前記前後方向加速度検出部からの信号と前記回転角度検出部からの信号に基づいて躓きを判断する機能を備えていることを特徴とする。
第1発明によれば、鉛直床反力の時間変動を推定するので、簡便かつある程度精度よく、人の歩行状態を判断することができる。また、人の歩行状態や姿勢の変化や異常を把握することができるので、被験者の歩行や姿勢の異常から被験者の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断することができる可能性がある。
第2発明によれは、人の体の重心位置に加わる慣性力と重心位置の時間変動から姿勢の安定性を判断するので、より正確に姿勢の安定性を判断することができる。
第3発明によれば、重心位置と圧力中心の相対的な位置から姿勢の安定性を判断するので、人の体の揺れなどを把握することができる。
第4発明によれば、前後方向の加速度によって、人が躓いたか否かを判断できるので、人の歩行の異常の原因を解析する際に、躓きなどを人の体調や体の不具合(例えば怪我など)と誤認したりすることを抑制することができる。逆に、躓きの発生した状況から人の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断することも可能となる。
第5発明によれば、人の体の回転角速度の変化率(加速度)によって、人が躓いたか否かを判断できるので、人の歩行の異常の原因を解析する際に、躓きなどを人の体調や体の不具合(例えば怪我など)と誤認したりすることを抑制することができる。逆に、躓きの発生した状況から人の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断することも可能となる。
本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1の概略ブロック図ある。 検出手段10の取付状態を示した概略説明図である。 実験に使用した機器を被験者に取り付けた状態の概略説明図である。 (A)は(1)の実験結果であり、(B)は(2)の実験結果である。 (A)は(3)の実験方法の説明図であり、(B)は(3)の実験結果である。 (A)はセンサ座標系と平均歩行静止座標系を比較した図であり、(B)は圧力中心を算出する方法の説明図である。
本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1は、検出手段10と、解析手段20と、を備えている。検出手段10は、人の体に加わる力や、人の体の変位を検出するものである。解析手段20は、検出手段10からの信号に基づいて、人の歩行状態や姿勢を推定する機能を有するものである。そして、本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1は、検出手段10が検出した加速度や速度などを解析手段20が解析することによって、本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1を身に着けた人の歩行状態や姿勢を推定することができるのである。
なお、本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1は、人の体に取り付けて使用するものであるが、解析手段20は人の体に取り付けて使用してもよいし、人の体に取り付けない状態で使用してもよい。
人の体に取り付けない状態で解析手段20を使用すれば、人の体に取り付ける機器を小型化できるという利点が得られる。この場合には、検出手段10が検出した信号を記憶しておく記憶装置を設けおき、この記憶装置に記憶されているデータを解析手段20に後で供給するようにすればよい。
一方、人の体に取り付けて解析手段20を使用した場合には、人が身に着けている他の機器等(歩行アシスト機器等)に解析手段20の解析結果を供給することで、他の機器等の作動状態を調整することができる。すると、他の機器等の補助を受けて人が歩行する場合には、人の歩行を常時安定させておくことが可能となる。
もちろん、通信機能を検出手段10や解析手段20に設けておけば、解析手段20を人の体に取り付けない状態でも、検出手段10からの信号を解析手段20に供給できる。また、解析手段20の解析結果を他の機器に供給する場合には、他の機器等にも通信機能を設けておけば、解析手段20を人の体に取り付けない状態でも、解析手段20の解析結果を他の機器等に供給することもできる。
(検出手段10)
検出手段10の詳細を説明する。
検出手段10は、人の体幹部に取り付けて使用されるものであり、回転角度検出部11と、上下加速度検出部12と、横方向加速度検出部13と、前後方向加速度検出部14と、を備えている。
なお、検出手段10の取り付け位置は、人の体幹部のベルト位置近傍に取り付けることが好ましく、とくに、ベルト位置の背骨近傍が好ましい。かかる位置に取り付ければ、人の重心の位置の近くに検出手段10を設置できるので、精度よく加速度や回転角度などを測定できるという利点が得られる。
(回転角度)
回転角度検出部11は、人の体の回転、具体的には、体幹まわりの回転を検出するために設けられるものである。例えば、公知の角度センサ等を回転角度検出部11として使用することができる。この回転角度検出部11を人の体に取り付ける位置はとく限定されないが、人が歩行したときに、鉛直軸まわりの回転がオイラー角としての最初の回転となる位置に取り付けることが望ましい。例えば、体幹部であって、歩行以外の他の運動による鉛直軸まわりの回転が少ない位置(例えばベルトの背中のあたり)に取り付ければ、上記条件を満たすことができる。なお、人が歩行したときに、鉛直軸まわりの回転がオイラー角としての最初の回転となるように取り付けるのは、人が歩行したときにおける体の向きの変化を正確に把握するためである。
(上下方向加速度)
上下加速度検出部12は、人の体の上下方向の加速度を検出するために設けられるものである。例えば、公知の加速度センサ等を上下加速度検出部12として使用することができる。この上下加速度検出部12を人の体に取り付ける位置はとく限定されないが、人が歩行したときに、外乱(歩行以外の運動による変動)が少ない状態で人の体の上下動を測定することができる位置に取り付けることが望ましい。例えば、体幹部のベルト位置近傍に取り付ければ、上記条件を満たすことができる。
(横方向加速度)
横方向加速度検出部13は、人の体の左右方向の加速度を検出するために設けられるものである。例えば、公知の加速度センサ等を横方向加速度検出部13として使用することができる。この横方向加速度検出部13を人の体に取り付ける位置はとく限定されないが、人が歩行したときに、外乱(歩行以外の運動による変動)が少ない状態で人の体の左右方向の動きを測定することができる位置に取り付けることが望ましい。例えば、体幹部のベルト位置近傍に取り付ければ、上記条件を満たすことができる。
(前後方向加速度)
前後方向加速度検出部14は、人の体の前後方向の加速度を検出するために設けられるものである。例えば、加速度センサ等を前後方向加速度検出部14として使用することができる。この前後方向加速度検出部14を人の体に取り付ける位置もとく限定されないが、人が歩行したときに、外乱(歩行以外の運動による変動)が少ない状態で人の体の前後方向の動きを測定することができる位置に取り付けることが望ましい。例えば、体幹部のベルト位置近傍に取り付ければ、上記条件を満たすことができる。
なお、単に人が歩行しているか否かを把握するだけであり、人の重心位置のずれや、歩行の際において左右どの足の移動であるか等を解析する必要がないのであれば、横方向加速度検出部13と前後方向加速度検出部は必ずしも設けなくてもよい。
また、後述する解析手段20において躓きを検出対象としないのであれば、前後方向加速度検出部14は必ずしも設けなくてもよい。
(検出手段10の一例)
上記例では、検出手段10が、人の体の回転や上下左右前後の加速度をそれぞれ別々なセンサで測定する場合を説明した。しかし、検出手段10には、公知の姿勢センサを使用することもできる。公知の姿勢センサは、一般的には、3軸加速度計、3軸ジャイロ(角速度測定)、3軸地磁気センサ(角変位測定)等を備えているので、人の体の上下左右前後の加速度や回転角度を一つのセンサで計測することができる。つまり、一つの姿勢センサで、回転角度検出部11、上下加速度検出部12、横方向加速度検出部13および前後方向加速度検出部14の全ての機能を発揮させることができる。この場合、姿勢センサにおいて、体幹まわりの回転を検出する機能が回転角度検出部11に相当し、人の体の上下方向の加速度を検出する機能が上下加速度検出部12に相当し、人の体の左右方向の加速度を検出する機能が横方向加速度検出部13に相当し、人の体の前後方向の加速度を検出する機能が前後方向加速度検出部14に相当することになる。
なお、以下の説明において、回転角度検出部11、上下加速度検出部12、横方向加速度検出部13、前後方向加速度検出部14という場合には、姿勢センサが、各検出部と同等の機能を発揮する場合も含んでいる。
(静止座標系の加速度算出)
各検出部や姿勢センサが検出する加速度などは、各検出部や姿勢センサ等の瞬時静止座標系(センサ座標系)における加速度などを測定する。ここで、上述した姿勢センサ(つまり、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸地磁気センサ(以下単に各センサ部という)を有するセンサ)の場合、通常、各センサ部が測定した加速度や回転角度、角速度と、姿勢センサのオイラー角(姿勢角)が出力として得られる。したがって、このオイラー角を用いて、各センサ部の加速度や角速度を座標変換すれば、人が歩いている状態でも、静止座標系における各軸方向の加速度や、各軸方向周りの角度や角速度が得られる。つまり、上述した姿勢センサを検出手段10のとして使用した場合、センサの瞬時静止座標系(センサ座標系)の3軸の加速度などを静止座標系に座標変換して、静止座標系における各方向の加速度を算出することができる。すると、上下方向の加速度やその他の加速度などを精度よく算出することができる。
例えば、姿勢センサの出力として得られるオイラー角を用いて、センサ座標系の3軸の加速度(3軸加速度計の出力)を静止座標系に座標変換すれば、センサ座標系で得られた上下方向の加速度から静止座標系の上下方向の加速度を得ることができる。
また、上述したようにセンサ座標系の3軸の加速度を静止座標系に座標変換したのち、静止座標系の鉛直軸まわりの角変位について、1周期分(左右2歩分)平均して、その平均値を求める。そして、初期の静止座標系から鉛直軸まわりに得られた平均値分だけ回転した静止座標系を設定する。この設定された静止座標系に固定した状態で、その1周期の間に得られたセンサ座標系の加速度を、設定された静止座標系に座標変換する。すると、歩行方向の加速度と歩行方向と直交する方向(つまり左右方向)の加速度(つまり、水平かつ直交する2方向の加速度)が得られる。
なお、歩行方向をリアルタイムで把握したい場合には、1周期の平均値に代えて、一歩前あるいはそれまでの数歩について、静止座標系の鉛直軸まわりの角変位の平均値を求める。そして、その平均値を用いれば、上記と同様の方法で歩行方向の加速度と歩行方向と直交する方向の加速度を得ることができる。
なお、上述したセンサ座標系の3軸の加速度(3軸加速度計の出力)を座標変換などして静止座標系の加速度を算出する機能は、検出手段10自体が有していてもよいし、解析手段20が有していてもよく、とくに限定されない。なお、検出手段10が座標変換機能を有する場合には、検出手段10は、公知の姿勢センサと座標変換部とを有することになる。
以下の説明では、原則、検出手段10によって座標変換された加速度等を利用して解析手段20が歩行状態を推定する場合を説明する。
(解析手段20)
解析手段20の詳細を説明する。
解析手段20は、検出手段10からの信号に基づいて、検出手段10が取り付けられている人(以下被験者という)の歩行状態を解析するものである。この解析手段20は、歩行判断機能21と、姿勢安定判断機能22と、躓き判断機能23と、を備えている。
(歩行判断機能21)
歩行判断機能21は、被験者が歩行をしているか否か、また、歩行しているとすればどの方向に向かって歩行しているか、を検出する機能を有している。簡単にいえば、この歩行判断機能21は、上下加速度検出部12からの信号に基づいて人が歩行状態であるか否かを判断し、回転角度検出部11からの信号に基づいて人の歩行方向を判断する機能を有している。
(歩行検出)
歩行判断機能21は、上下加速度検出部12が検出する上下方向の加速度の時間変動を処理することによって、歩行状態か否かを検出している。具体的には、上下加速度検出部12からの信号に基づいて鉛直床反力を推定し、推定された床反力の時間変動に基づいて人が歩行状態か否かを判断する機能を有している。
床反力は、通常、床におかれた床反力計を用いて、この床反力計に加わる力を測定することによって得られている。このため、歩行時の床反力を把握することはできなかった。
一方、床反力は、上下左右前後の3方向の床反力がある。各方向の床反力は、重心の3方向の加速度に質量を乗じたものと考えられる。このため、上述した鉛直床反力は、重心の上下方向の加速度に質量を乗じたものと考えられる。そこで、本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1では、歩行判断機能21は、検出手段10が検出した重心の3方向の加速度から、鉛直床反力を含む3方向の床反力の時間変動を推定している。
ここで、上向きの加速度が発生するときに鉛直床反力は大きくなり、下向きの加速度が発生するときに鉛直床反力は小さくなる。人が踵接地をしながら歩行している状態では、一般的に鉛直床反力は、片方の足が踵接地してからつま先離れするまでの期間に2つの上向きのピークを有するように時間変動する。そして、1つ目のピークは踵接地した直後に生じ、2つ目のピークは、踵接地した足と逆の足がつま先離れするタイミングで生じる。
したがって、歩行判断機能21では、上下方向の加速度の変動に基づいて歩行状態を判断しており、踵接地直後に発生する1つ目のピークに着目して、遊脚期(足が地面から離れている期間)の足が接地したか否かを判断している。
なお、人が足踏みしている場合でも、人は左右の足を交互に上下させるため、上下方向の加速度は発生する。しかし、歩行している場合には、歩行方向(前後方向)において加速減速が繰り返されるので、歩行方向の加速度の変動を確認すれば、足踏みと歩行は区別することができる。
(左右の足の判定)
また、歩行判断機能21は、左右のいずれの足が接地したかを検出する機能も有していることが望ましい。健常者の場合、通常、左右の足を交互に踏み出すことによって歩行するので、かかる機能を有していれば、人の歩行をより正確に把握することができる。
例えば、歩行判断機能21は、上記床反力の時間変動と、横方向加速度検出部13が検出する左右方向の加速度の時間変動を処理することによって、いずれの足が接地したかを検出することができる。
まず、人が左右の足を交互に上下させて歩行している場合には、足の動きに合わせて人の体には、上下方向の加速度が発生し、上述したように、踵接地直後のタイミングで上向きの加速度がピークとなる。
一方、歩行の際には、左右方向の加速度も時間変動しており、左足が接地している期間は右向きの加速度が発生し、右足が接地している期間は左向きの加速度が発生する。
したがって、上下方向の加速度が最大となっているときに、左右いずれの方向に加速度が発生しているかによって、左右のいずれの足が接地しているかを検出することができる。
なお、重心の左右方向への変位からいずれの足が接地しているかを判断してもよい。人間の歩行では、左足が接地しているときには重心は左よりになっており、右足が接地しているときには重心は右よりになっている。したがって、上下方向の加速度が最大となっているときに、重心が左右いずれの方向に偏っているかを判断すれば、左右のいずれの足が接地しているかを検出することができる。
重心の変位を把握する方法はとくに限定されない。例えば、左右方向の加速度を2度積分することによって変位を求めることは可能である。ただし、この場合には、求められた変位量がドリフトして実際の変位よりも大きくなってしまう可能性がある。かかるドリフトを防止する方法としては、バッチ処理を行う場合であれば加速度から速度を求めるときに、1周期分計算して平均値がゼロとなるように補正し,それを積分して変位を求めればドリフトの影響をなくすことができる。
(歩行方向検出)
歩行判断機能21は、回転角度検出部11が検出する鉛直方向の軸(Z軸)まわりの回転の時間変動を処理することによって、人がどの方向に向かって進んでいるのかを検出する機能を有している。具体的には、回転角度検出部11からの信号を解析して、歩行の一周期(2歩)または半周期(1歩)内の鉛直軸まわりの回転角度の平均値の分だけ回転した方向を歩行方向とすることができる。この場合、回転角度検出部11を、他の運動による鉛直軸まわりの回転が少ない位置に取り付ければ、鉛直軸まわりの回転の変動を正確に検出できるので、上記方法で歩行方向を把握する場合に、歩行方向を正確に把握することができる。
なお、上述したように、歩行方向は、センサ座標系で得られた加速度等を静止座標系に座標変換して、静止座標系の鉛直軸まわりの角変位に基づいて判断することが望ましい。
また、この方法を採用した場合には、歩行している人の歩行方向のブレ場合を把握することも可能となる。
また、鉛直軸まわりの角速度についても、歩行の一周期(または半周期)の平均値を求めておけば、角速度を利用して歩行方向を推定することも可能となる。例えば、次の2歩あるいは1歩の平均角度の推定値は、周期をtとすれば、その直前の平均角度と平均角速度から、以下の数1によって求めることができる。
平均角度の推定値:
直前の平均角度:
直前の平均角速度:

つまり、直前の歩行状態から、次の移動方向を推定することが可能となるのである。
なお、歩行方向を決定する方法は上記のごとき方法に限られず、種々の方法を採用することができる。
(歩行速度の推定)
また、歩行判断機能21は、歩行速度を推定する機能を有していてもよい。すると、人の歩行状態をより詳細に把握することができる。歩行速度を推定する方法としては、以下のような方法、つまり、歩行方向静止座標(後述する平均歩行静止座標系に相当する)において、歩行方向の加速度を積分して平均歩行速度を求める方法を採用することができる。
まず、静止した状態で歩行をスタートして、ある程度歩行した後、静止して終了する。このとき、歩行する歩数や時間はとくに限定されないが、10歩以内とすることが望ましい。
ついで、測定結果から歩行速度を以下の方法で推定する。
測定開始時から測定終了時までの時間がTの場合、初期速度をゼロとし、加速度をT時間積分して、終了時の速度を計算する。終了時は速度がゼロとなっているはずなので、積分して求めた最終速度をTで除し、加速度αを求め、この加速度αを計測した加速度から差し引く(数2参照)。そして、差し引いて得られる加速度を積分すれば、最終速度は0となる。
最終速度:
計測した加速度:
そして、最終速度が0となるように求められた速度において、速度が安定している期間の平均速度を求めれば、平均歩行速度が得られる。このような方法を用いれば、積分した際のドリフトに起因する、算出された平均速度の精度低下を防ぐことができる。
(姿勢安定判断機能22)
また、解析手段20は、人の姿勢が安定しているか、また、人が安定して歩行しているかを判断する姿勢安定判断機能22を有している。かかる機能を有していれば、人の姿勢や人の歩行状態の変化異常を把握することができるので、人の姿勢や人の歩行状態の異常から被験者の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断することができる可能性がある。
姿勢安定判断機能22は、検出手段10と人の体の重心位置との相対的な位置(事前にインプット)、および、前記検出手段10からの信号に基づいて、前記重心位置の時間変動を把握し、該重心位置の時間変動に基づいて人の歩行状態の安定性を判断するものである。なお、重心位置は、重心位置と検出手段10の取り付け位置の人間座標系における傾斜角および両者間の距離から求めることができる。
ここで、重心位置の時間変動、つまり、重心位置における加速度をそれほど高い精度で必要としない場合であれば、検出手段10が取り付けられている位置と、重心の加速度は同じであるとしてもよい。しかし、人の体の重心位置は、一般的には、検出手段10に対して内側に位置しており、両者の加速度は一致しない。したがって、検出手段10が検出した加速度から重心の加速度を求める場合には、検出手段10が検出した3軸周りの角速度を使って補正して、重心の加速度を求めることが望ましい。
一方、通常の歩行であれば、鉛直軸周り以外の回転速度は小さいと考えられるので、鉛直軸周りの角速度だけを用いて以下の方法で補正すれば、ある程度の精度で重心の加速度を求めることができる。
まず、人が歩行する場合に設定される静止座標系には3種類ある。絶対静止座標系(初期の座標系、上述した静止座標系)、平均歩行静止座標系(平均的歩行方向を用いる静止座標系)、検出手段10の瞬時静止座標系(センサの瞬時の姿勢における静止座標系、センサ座標系)、の3つである。
検出手段10の計測値は、センサ座標系における計測値である。この座標系においては,検出手段10の取り付け位置と重心の位置の関係は、人が歩行しても変化しない。
図6(A)に示すように、センサ座標系における重心の加速度は以下の数3で表すことができる。この加速度を、平均歩行静止座標系に座標変換すれば、歩行方向および横方向における重心の加速度が得られる。
なお、平均歩行静止座標系における各軸周りの重心の角加速度は、近似的に、数3の加速度を平均歩行静止座標系に座標変換して得られる平均歩行静止座標系の各軸周りの角速度を微分して求めればよい。
なお、上記方法は、2軸の角速度を用いて重心の加速度を補正する場合に容易に拡張できる。つまり、2軸(例えば鉛直軸とX軸または鉛直軸とY軸)の角速度を用いる場合は、検出手段10と重心を結ぶ直線を検出手段10の瞬時静止座標系のY軸とする。すると、センサ座標系における重心の加速度は以下の数4で表すことができる。この加速度を、平均歩行静止座標系に座標変換すれば、2軸の角速度を用いても、重心の歩行方向および横方向の加速度を得ることができる。
人の姿勢や人の歩行状態は、圧力中心の位置と重心位置の相対的な位置関係の時間変動に基づいて判断することができる。具体的には、人の体の重心位置に3方向の慣性力(鉛直方向には重力加速度も含む)が加わっているとして、この重心位置からみた圧力中心の座標を求める。そして、この圧力中心の位置と重心位置の相対的な位置関係の時間変動を測定することによって、人の姿勢や人の歩行状態の安定性を判断することができる。
例えば、様々な体型の人や様々な年齢層の人、また、運動機能障害(例えば片麻痺など)のある人等について、歩行したときにおける圧力中心の位置と重心位置の相対的な位置関係の時間変動(以下相対変動という)を測定しておく。そして、各グループにおいて、歩行が安定している状態および/または歩行が不安定な状態における相対変動のパターンをデータとしてまとめておく。すると、被験者が歩行したときに測定される相対変動と、被験者が属するグループの相対変動のパターンを比較することによって、被験者の歩行が安定している状態か否かを判断することができる。
(重心位置に加わる慣性力の算出方法)
上述した重心位置に加わる上下方向の慣性力は、踵接地のタイミングから定める歩行のフェーズに合わせた等価質量と上下方向加速度の積から求めることができる。つまり、人の足に加わる鉛直床反力を慣性力として推定する。
ここで、等価質量は、最も簡便な方法としては、被験者の質量を等価質量として採用することができる。
一方、等価質量を正確に把握する場合には、被験者に床反力計上を歩行してもらい、同時に上下方向加速度を測定する。すると、被験者の歩行に伴う等価質量の変動(つまり歩行フェーズごとの等価質量)を把握できる。このようにして、被験者の歩行フェーズごとの等価質量を予め算出しておけば、被験者の歩行に伴う重心位置に加わる上下方向の慣性力の変動を正確に把握することができる。
また、上記両方法の中間的な方法として、以下のような方法で等価質量を算出することも可能である。
まず、等価質量は、両足が接地している状態では、実質量をm、換算計数をηとすれば、鉛直方向の等価質量は、以下の数5ように表すことができる。
そして、踵接地の瞬間における換算係数ηは、以下のように規定する。
η=ηz0
また、1歩の周期をTとすれば、0≦t≦αT期間は、換算係数ηは、以下のように規定する。
η=ηz0+(1−ηz0)t/α
さらに、αT≦t≦αTでは、換算係数ηは、以下のように規定する。
η=1
なお、η、αは多数の被験者の平均値(正確な床反力の同時計測より求めたもの)を用いてもよいが、被験者の計測値があれば,被験者個人のデータを用いることが望ましい。
また、左右前後方向に加わる慣性力は、以下の方法で求めることができる。
例えば、検出手段取り付け位置の加速度と重心の加速度は同一として、加速度に等価質量を乗じたものを左右前後方向に加わる慣性力とすることができる。この方法を使用すれば、簡単に左右前後方向に加わる慣性力を求めることができる。
なお、重心に加わる各方向の慣性力の大きさは、各方向の床反力の大きさと一致する(慣性力=−床反力)と考えることができる。したがって、段落0032でも述べたように、上述した方法(加速度に等価質量を乗じる)によって、各方向の加速度と等価質量から各方向の床反力(鉛直床反力、前後方向床反力、左右方向床反力)を求めることができる。
一方、段落0050〜0055に記載した方法を用いて重心の加速度を算出し、上記方法と同様に加速度に質量を乗じれば、より精度よく左右前後方向に加わる慣性力を求めることができる。
(圧力中心の算出方法)
上述した圧力中心は、以下の方法によって求めることができる。
図6(B)において、細い矢印は人に加わる加速度を示しており、太い矢印は人に加わる慣性力を示している。なお、図6(B)において、大きい円が人の重心を示しており、小さい円が圧力中心を示している。またGは地面を示している。
まず、検出手段10は、重力加速度は人に加わる力として検出する。つまり、検出手段10では、重力加速度は上向きの加速度として検出される。したがって、人に加わる上下方向の加速度は、人に加わる重力加速度と人の運動加速度が合計されたものとなる。
ここで、図6(B)におけるNまわりのモーメントは0である。したがって、図6(B)では、以下の数6が成立する。
上記数1を変形すると、したがって、歩行方向において、検出手段10取り付け位置あるいは重心から圧力中心までの距離Δxは以下の数7で得られる。
水平方向についても、同様の手順で、検出手段10取り付け位置あるいは重心から圧力中心までの距離圧力中心が得られる。
したがって、検出手段10取り付け位置あるいは重心から圧力中心までの距離が得られる。
重心から圧力中心までの距離が把握できれば、以下のように、人の姿勢の安定性を判断することが可能となる。例えば、歩行せず立たっている状態(静止中)であれば、人がふらついたりすれば、重心から圧力中心までの距離が変化する。したがって、重心から圧力中心までの距離の変化を検出すれば、人の体のブレを検出することができる。つまり、本実施形態の姿勢および歩行状態推定装置1を重心動揺計としても使用することができる。具体的には、静止中の圧力中心のブレは、以下のような方法で求めることができる。
静止中であれば、前後および左右の加速度の平均値はゼロと見なせるので、計測して座標変換した静止座標系での重心の加速度を積分して変動変位xGAを求める。そして、得られた変動変位xGAをΔxに加えれば、いわゆる重心動揺計と同等の出力(Δx+xGA)を得ることが可能となる。すると、検出手段10としてモーションセンサ1個を使用しても、重心動揺計の働きをさせることが可能となる。
したがって、変動変位xGAにより重心の動揺が得ることができ、Δx+xGAにより圧力中心の動揺が得ることができる。そして、Δxにより重心と圧力中心の関係を得ることができる。
そして、歩行している場合にも、フーリエ変換を1周期ごと(左右2歩ずつ歩いた期間)について上記計算を行えば、重心の動揺や圧力中心の動揺、重心と圧力中心の関係を求めることができる。
なお、歩行中における圧力中心は、前述のΔxとしてもよい。また、Δxに前述の変位の変動値Δxを加えたものとしてもよく、この場合には、歩行中の平均速度に対する圧力中心の変化となる。いずれの指標もそれぞれ意味があるので、適宜選択して使用することができる。
なお、重心の加速度を積分して変動変位xGAを求める際の積分誤差については、歩行のように1周期の変動がないので、ある程度長い時間での速度の平均値をゼロとすることによってキャンセルすることができる。
また、平均値をゼロとする手法として、計測した加速度にウインドウをかぶせ、フーリエ変換して直流(DC)成分を除き、周波数成分に1/ωを乗じて逆フーリエ変換して速度を求めてもよい。さらに、周波数成分に1/ωを乗じてフーリエ変換しても変位も求めることができる。
(歩幅の推定)
上述した方法などによって、歩行中における圧力中心を把握することができれば、人の歩幅を推定することも可能となる。
人が歩行しているときに、片足のみが接地している状況では、圧力中心は足裏の中に位置することになる。このため、圧力中心の位置と、重心位置または検出手段10の取り付け位置との相対的な距離の変動幅を把握すれば、おおまかな歩幅を把握することができる。
具体的には、一方の足が片足接地している状態において、重心位置は、人の進行方向において、圧力中心の後方から前方に移動する。そして、両足接地から片足接地になる状態と片足接地から両足接地になる状態において、重心位置から圧力中心までの距離が最も離れた状態となる。すると、進行方向前方を正とすれば、両足接地から片足接地になる状態が負の最大値、片足接地から両足接地になる状態が正の最大値となるように、重心位置から圧力中心までの距離が変化する。
したがって、圧力中心の変動幅を把握すれば、両足接地から片足接地になる状態における圧力中心の位置と片足接地から両足接地になる状態における圧力中心の位置との距離、つまり歩幅をおおまかに把握することができるのである。
(躓き判断機能23)
解析手段20は、人が躓いたか否かを判断する躓き判断機能23を有していることが望ましい。かかる機能を有していれば、人の歩行状態の変化が躓いたことに起因するのか、それとも他の理由によるのかを判断することができる。すると、被験者の歩行の異常から被験者の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断する際に、躓きを他の状態と誤認することを防ぐことができる。逆に、躓きの発生した状況から人の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断することも可能となる。
躓き判断機能23が躓きを判断する方法として、以下のような方法を挙げることができる。
まず、人が安定した状態で歩行している場合には、前後方向加速度検出部14が検出する前後方向の加速度はゼロを中心として変動する定常振動的な波形となる。そして、その定常振動の幅は、所定の範囲内となる。
しかし、前後方向加速度検出部14が検出する前後方向の加速度の振幅が所定の範囲を超えるような変動を示した場合には、人の姿勢が大きく崩れたことを示している。つまり、前後方向の加速度の振幅によって、人の姿勢の変化をある程度把握できる。
ここで、躓きは、接地していない足が何かに引っかかる等により、通常の歩行のタイミングで足を前方に移動させることができずに、その足が早く接地したしまった状態である。したがって、前後方向の加速度の振幅が所定の範囲を超えるとほぼ同時に、上下方向の加速度が上向きに大きくなっておれば、躓きなどの異常が発生したと判定することができる。そして、躓きなどの異常を検出したときにおける横方向の加速度あるいは変位を参照すれば、どちらの足で躓いたかを把握することができる。
そして、正常な歩行をしている状態での接地のタイミングと、躓いた際の設置のタイミングを比較すれば、どの時点で躓いたかを判断することも可能となる。例えば、躓きを検出するまでの歩行における接地のタイミングと比較して、躓いた際における接地タイミング(上下方向の加速度が上向きに大きくなるタイミング)が早ければ、正常な接地の前(つまり躓いた足が浮いている時期(遊脚期))に躓いたと判定することができる。
なお、上記方法では、躓きの発生を判断できる一方、躓き以外の原因で歩行が乱れたことを推定することも可能となる。例えば、前後方向の加速度の振幅が所定の範囲を超えても、上下方向において加速度が上向きに大きくなる現象が現れなければ、躓き以外の原因で歩行が乱れたと推定することもできる。
また、躓き判断機能23が躓きを判断する方法は上記のごとき方法に限定されない。前後方向の加速度の振幅が所定の範囲を超え、かつ、回転角度検出部11が検出する回転角速度の変化率(加速度)が大きくなった場合に、躓きが発生したと判断するようにしてもよい。例えば、センサ座標系での横軸(Y軸)回りの角加速度が大きなっていれば、前方へ倒れつつあることを示している。したがって、前後方向の加速度の振幅が所定の範囲を超え、かつ、センサ座標系での横軸(Y軸)回りの角加速度が大きくなった場合にも、躓きが発生して前方に倒れようとしていると判断することができる。
そして、センサ座標系における軸回りの角加速度を用いれば、躓いた際に倒れる方向も推定することができる。例えば、歩行方向軸(X軸)まわりの角加速度が通常より大きくなっている場合には、倒れる方向が純粋な前方ではなく斜めに倒れつつあると判断することもできる。もちろん、横方向(Y軸方向)の加速度が通常より大きくなっている場合にも、倒れる方向が純粋な前方ではなく斜めに倒れつつあると判断することもできる。
さらに、躓きを判断する際に、前後方向の加速度の振幅を用いずに、回転角速度の変化率(加速度)だけで躓きを判断してもよい。つまり、回転角度検出部11が検出する回転角速度の変化率(加速度)が上記のごとき状態となった場合には、躓きが発生したと判断するようにしてもよい。しかし、前後方向の加速度の振幅を利用するほうが、躓きを検出する精度を高くできる。
本発明の姿勢および歩行状態推定装置によって、歩行状態を推定可能であることを確認した。
実験では、本発明の姿勢および歩行状態推定装置によって、人が歩行している状態において、(1)足が接地しているか否か、(2)左右いずれの足が接地したか、(3)躓きによる転倒の可能性があるか、を検出可能あることを確認した。
実験では、図3に示すように体幹部に取り付けられた、3軸方向の加速度が求められるモーションセンサ(テック技販製 MSD-MS)からの情報によって歩行状態の推定を行った。モーションセンサでは、人が歩行している状態において、サンプリング周期500Hzでデータを測定し、得られたテータを解析して上記(1)〜(3)の状態を推定した。
なお、推定結果の妥当性を確認するために、歩行する人には、携帯型の床反力計(テック技販製 M3D-FP:Tao Liu et al,“A Mobile Force Plate and Three-Dimensional Motion Analysis System for Three-Dimensional Gait Assessment”,IEEE SENSORS JOURNAL, VOL. 12, NO. 5, MAY 2012 参照)を装着して、足の接地と加わる反力を測定した。
(1)足が接地しているか否か
本発明の姿勢および歩行状態推定装置によって足の設置を把握できるか否かを確認した結果を図4(A)に示す。なお、図4(A)において、RHTSRIOとLHTSRIOは,床反力計での左右脚の接地のオンオフを示しており、値が5のときは足が地面に接地しており、0のときは足が浮いていること示している。
図4(A)に示すように、地面に足が接地したと考えらえるとき、体幹センサのZ軸方向の加速度が増加していることが確認できた。つまり、Z軸方向(つまり鉛直方向)の加速度を検出することで、足が接地しているか否かを把握できることが確認された。
(2)左右いずれの足が接地したか
本発明の姿勢および歩行状態推定装置によって左右の足の接地を把握できるか否かを確認した結果を図4(B)に示す。図4(B)には、Z軸方向の動的加速度によって推定される接地のタイミングとY軸方向の動的加速度の値を示している。なお、ON/OFFの値が5のときが、足が地面に接地したタイミングを示している。
図4(B)に示すように、Z軸方向の動的加速度より推定される接地のタイミングにおいて、Y軸方向の動的加速度は右足が接地時には左向きとなり、左足が接地時には右向きとなっていることが確認できた。つまり、Y軸方向の動的加速度の向きと、Z軸方向の加速度を比較することで、左右いずれの足が接地しているかを把握できることが確認された。
なお、ここでいうX軸およびY軸は、平均歩行静止座標系である。本実験では、被験者がまっすぐに歩行しているので、平均歩行静止座標系は絶対静止座標系と一致している。つまり、Z軸は鉛直軸と一致しており、X軸およびY軸は水平な軸となっている。
(3)躓きによる転倒の可能性があるか
本発明の姿勢および歩行状態推定装置によって躓きを把握できるか否かを確認した。
実験では、図5(A)に示すように、歩行中に生じる躓きを足に取り付けた紐を引っ張ることで再現した。
実験では、被験者5名に、通常歩行を3回、左右の躓きを3回、それぞれ実施してもらった。なお,実験は、被験者全員に対して事前に、実験の目的と実験方法を十分に説明し、協力の同意を得、かつ十分に安全性を確保した状況において実施した。
図5(B)には、躓き時に見られるX軸方向の動的加速度の変化と通常歩行時との違いの一例を示している。図5(B)に示すように、躓き時には、通常歩行時に比べて、X軸方向の動的加速度が大きく増減していることが確認できる。
表1には、被験者ごとの最大値最小値の平均から得られる動的加速度の範囲を示している。表1では、どの被験者も、躓き時には、通常の歩行時に比べて、動的加速度の増減幅が大きくなっていることが確認された。
以上の結果より、X軸方向の動的加速度を検出することによって躓きの検知が可能であることが確認された。
本発明の姿勢および歩行状態推定装置は、人の体に取り付けて人の歩行の異常から被験者の体調や体の不具合(例えば怪我など)を判断するための装置や、転倒防止能力の診断する装置、歩行訓練等の成果を定量化する装置等に適用することができる。
1 姿勢および歩行状態推定装置
10 検出手段
11 回転角度センサ
12 上下加速度センサ
13 横方向加速度センサ
14 前後方向加速度センサ
20 解析手段
21 歩行状態判断機能
22 姿勢安定判断機能
23 躓き判断機能

Claims (5)

  1. 人の体に取り付けられる検出手段と、
    該検出手段からの信号に基づいて、歩行状態および/または姿勢を解析する解析手段と、を備えており、
    前記検出手段が、
    人の体の上下方向の加速度を検出する上下加速度検出部と、人の体の左右方向の加速度を検出する横方向加速度検出部と、人の体の前後方向の加速度を検出する前後方向加速度検出部と、人の体の回転を検出する回転角度検出部と、を有しており、
    前記解析手段は、
    歩行判断機能と、姿勢の安定性を判断する姿勢安定判断機能を有しており、
    該歩行判断機能は、
    前記上下加速度検出部からの信号に基づいて鉛直床反力を推定し、該推定された鉛直床反力の時間変動に基づいて歩行状態を判断する機能を有しており、
    前記姿勢安定判断機能は、
    前記検出手段と人の体の重心位置との相対的な位置、および、前記検出手段からの信号に基づいて、前記重心位置の変化を把握し、該重心位置の時間変動に基づいて姿勢の安定性を判断する機能を有している
    ことを特徴とする姿勢および歩行状態推定装置。
  2. 前記姿勢安定判断機能は、
    人の体の重心位置に加わる慣性力を推定し、該慣性力が加わった状態における重心位置の時間変動に基づいて、姿勢の安定性を判断する機能を有している
    ことを特徴とする請求項1記載の姿勢および歩行状態推定装置。
  3. 前記姿勢安定判断機能は、
    前記重心位置と圧力中心との相対的位置関係に基づいて、姿勢の安定性を判断する機能を有している
    ことを特徴とする請求項1または2記載の姿勢および歩行状態推定装置。
  4. 記解析手段は、
    前記前後方向加速度検出部からの信号と前記上下加速度検出部からの信号に基づいて躓きを判断する機能を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の姿勢および歩行状態推定装置。
  5. 前記解析手段は、
    前記前後方向加速度検出部からの信号と前記回転角度検出部からの信号に基づいて躓きを判断する機能を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の姿勢および歩行状態推定装置。
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