JP6079732B2 - 車両のシートベルトリトラクタ取付構造 - Google Patents
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Description
しかし、車内に3列のシートを備えた車両では、レイアウト上、最後部のシート(3列目シート)の側方にリトラクタを格納可能なピラーを配設できない場合がある。
リトラクタの設置方式として、シート内にリトラクタを内蔵したベルトインシート方式と、荷室等の車体壁部にリトラクタを取り付ける車体取付方式が存在している。
ベルトインシート方式は、シートベルトアンカ位置設定の容易化や荷室スペース確保の点で有利な反面、シートフレームの重量増加やシートのコストアップの面で問題がある。
車体取付方式は、リトラクタをリトラクタ取付用ブラケットを介して車体に取り付けるため、シートの軽量化等の点でベルトインシート方式よりも有利である。
この補強部材の設置により、リヤサスペンションダンパから伝達される荷重を受け止めつつリトラクタの車体への取付強度を向上させている。
しかし、この車両のシートベルトリトラクタ取付構造では、補強部材が荷室の下側領域を占有するため、荷物を搭載する有効荷室スペースの増加を図ることが難しい。
しかし、補強部材を廃止した車体取付方式を採用する際、以下の問題が生じる虞がある。
リヤフロア近傍、例えばリヤサイドフレームやクロスメンバ等にリトラクタ取付用ブラケットを固定する場合、リトラクタが荷室の下側領域を占有するため、荷物を搭載する有効荷室スペースが減少する虞がある。複数の機構やセンサを備えた高機能型リトラクタを装備する場合には、リトラクタ自体が大型化するため、更に荷室スペースが減少する。
一方、リフトゲート開口部近傍、例えばリヤピラーの上端側部分等にリトラクタ取付用ブラケットを固定する場合、リトラクタを荷室の上側領域に配設することができ、荷室下側領域を占有することなく有効な荷室スペースを確保することができる。
リトラクタ取付用ブラケットが車幅方向に対向状に形成された1対の縦壁部とこれら1対の縦壁部の下端部同士を連結した底壁部とにより正面視にて上方に開放した略コ字状に形成されたため、リトラクタ取付用ブラケットの剛性を形状設定により高くすることができる。また、リトラクタ取付用ブラケットの剛性を高くすると共に車幅方向内側の内側縦壁部が開口側壁部に接合され且つ車幅方向外側の外側縦壁部が傾斜壁部に接合されたため、リトラクタ取付用ブラケットの先端部に回転モーメントが作用するような片持ち状態であっても、リトラクタへの入力荷重を高剛性のリトラクタ取付用ブラケットを介して剛性の高い開口部の上端側位置に分散伝達することができる
これによれば、リトラクタへの上方向の入力荷重を圧縮荷重として効率的に支持することができ、リトラクタ取付用ブラケットの取付位置を中心とした回転運動を確実に抑制することができる。
以上の構成によれば、リトラクタ取付用ブラケットの支持剛性を増加でき、リトラクタへの上方向の入力荷重を開口部の周縁部で確実に支持することができる。
これによれば、リトラクタ取付用ブラケットの剛性を高くすることができ、両縦壁部の面振動に起因した異音発生を防止することができる。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。また、図中、矢印F方向を、前方とし、矢印L方向を、左方として説明する。
図1,図2に示すように、車両Vは、車室の床面を構成するフロアパネル1と、車体の側壁を構成する左右1対のサイドパネル2と、車室の天井壁を構成するルーフ部3と、車体の後壁を構成するリフトゲート4と、このリフトゲート4によって開閉可能な開口部5と、リヤシート8に着座した乗員を拘束するための左右1対のリトラクタ6(シートベルトリトラクタ)と、これら1対のリトラクタ6を車体側に取り付けるための左右1対のブラケット7(リトラクタ取付用ブラケット)等を備えている。
フロアパネル1は、左右1対のリヤサイドフレーム(図示略)間に亙って架け渡されると共に前後方向に延びるように設けられ、車両Vの底面を形成している。
このフロアパネル1は、前後方向途中部に形成された後方上がり傾斜状のキックアップ部1aと、このキックアップ部1aよりも後側領域に荷室床面を形成するためのリヤフロア1bとが設けられている。キックアップ部1aの近傍位置には、後部乗員が着座可能な左右1対のリヤシート8が支持されている。
これらのリヤシート8は、キックアップ部1aの近傍位置に固定されたシートクッション8aと、このシートクッション8aの後端部分に回動可能に枢支されたシートバック8bとにより夫々形成されている。
尚、左右1対の各構成部材は、左右対称の構造であるため、以下、右側の構成部材について主に説明する。
図1〜図7に示すように、サイドパネル2は、車体外壁を形成するアウタパネル2aと、車室内壁を形成するインナパネル2bとから構成されている。
インナパネル2bは、所定厚さの鋼板により形成され、車室側表面の略全域がトリム9によって覆われている。インナパネル2bのキックアップ部1aの頂部に対応する部分には、リヤホイールハウス10が形成されている。リヤホイールハウス10は、インナパネル2bの下端側部分から右方へ膨出するホイールハウスアウタ(図示略)と、インナパネル2bの下端側部分から左方へ膨出するホイールハウスインナ10aとによって形成されている。
リヤピラー14は、リヤフロア1bの後端部から鉛直上方へ延びると共に中段部からリヤヘッダ16までの部分が側面視にて前側程上方に移行するように形成されている。
ピラーレインフォースメント15は、略ハット状に形成され、前端側部分と後端側部分に上下方向に延びる前端フランジ部15aと後端フランジ部15bが夫々設けられている。
前端フランジ部15aがインナ部14bの裏面に接合され、後端フランジ部15bがアウタ部14a及びインナ部14bの両後端フランジ部に挟着されることにより、ピラーレインフォースメント15とインナ部14bとが協働して上下方向に延びる閉断面C2が構成されている。
リヤヘッダ16は、開口部5の上端側周縁部分を形成している。このリヤヘッダ16の後端側部分には、リフトゲート4を上下方向に回動自在に枢支する左右1対の枢支機構(図示略)が設けられている。
図1,図2に示すように、開口部5は、側面視にて、リヤフロア1bの後端部から鉛直上方へ延びると共に中段部からリヤヘッダ16までの間において前側程上方に移行するように形成されている。また、この開口部5は、背面視にて、略台形状に形成されている。
即ち、開口部5の周縁部は、閉断面状のリヤヘッダ16及び左右1対の閉断面状のリヤピラー14等によって略環状の閉断面構造に構成されている。
開口部5の下端中央部分には、リフトゲート4の下端部に装着されたストライカ(図示略)に係合可能なラッチ機構(図示略)が設けられている。
開口側壁部5aは、車幅方向に対して略直交状に前後方向に延びるように形成されている。開口側壁部5aには、シートバック8bの上端部近傍に対応した位置にシートベルトアンカ18が装備されている。傾斜壁部5bは、開口側壁部5aの前端部から前側程右方に移行するように傾斜状に延設されている。
このリトラクタ6は、リヤシート8に着座した乗員に装着される長尺帯状のベルト6aと、このベルト6aを巻取可能な筒状のスプール(図示略)と、ベルト6aを巻き取るためのプリテンショナ機構(図示略)と、所定荷重がベルト6aに作用したときにベルト6aの移動を制限するロック機構(図示略)と、複数のセンサ(図示略)等を備えている。
図1,図3,図13に示すように、ブラケット7は、リトラクタ6を開口部5近傍に配設するために、リヤピラー14の中段部よりも上側の傾斜部分において開口側壁部5aの上端側位置から前方へ突出するように取り付けられている。このブラケット7は、正面視にて上方に開放した鉛直断面略コ字状に形成され、平面視にて前側程左右幅が狭くなるように先細りの三角形状に形成されている。
ブラケット7は、車幅方向内側に配置された内側部材21と、車幅方向外側に配置された外側部材22との2部材によって構成されている。
内側部材21は、内側縦壁部21aと、この内側縦壁部21aの下端部から略直交状に右方へ延びる内側底壁部21bと、内側縦壁部21aの前側中段部から略直交状に右方へ折曲した状態で上方に延びる補強フランジ部21cを備えている。
図7に示すように、内側接合部21dは、開口側壁部5aを間に介して補強部材19に溶接にて3重接合されている。
複数、例えば前後1対の係止部21eは、リトラクタ6に設けられた取付穴に挿通可能に形成され、ブラケット7に対するリトラクタ6の位置決め兼回転防止機構を構成している。リトラクタ6の取付穴に1対の係止部21eを係合した後、ボルト等の固定手段によってリトラクタ6をブラケット7に固定している。
荷物用のフック穴21fは、荷室に収容される荷物を固定するための固定具を係止可能に形成されている。
補強フランジ部21cは、内側接合部21dと係止部21eとの間において、内側縦壁部21aの前側部分中段部から略直交状に右方へ折曲されることにより内側接合部21dに対して略直交するように上方に向けて延設されている。この補強フランジ部21cには、上端部から斜め前方へ延びる前側接合部21gが形成されている。
図3,図8〜図11,図13に示すように、前側接合部21gは、傾斜壁部5bを間に介して補強部材19に溶接にて3重接合されている。
外側部材22は、外側縦壁部22aと、この外側縦壁部22aの下端部から略直交状に左方へ延びる外側底壁部22bと、外側縦壁部22aの前側途中部から略直交状に左方へ延びる連結壁部22cを備えている。
外側縦壁部22aは、上端部から右方へ延びる外側接合部22dを有している。
図7,図14に示すように、外側接合部22dは、傾斜壁部5bを間に介してピラーレインフォースメント15の前端フランジ部15aに溶接にて3重接合されている。
外側底壁部22bは、後端部から斜め下方へ延びる後側接合部22eを有している。
後側接合部22eは、傾斜壁部5bに溶接にて接合され、後側接合部22eの左端側部分は、傾斜壁部5bを間に介して補強部材19に溶接にて3重接合されている。
連結接合部22fは、内側底壁部21bの前端側部分に接合され、連結接合部22gは、内側縦壁部21aの前端側部分に接合されている。
ブラケット7の取付位置(内側接合部21d,前側接合部21g,外側接合部22d,後側接合部22e)を剛性の高い開口側壁部5aと傾斜壁部5bとの境界部分及び境界近傍部分に設定することによって、ブラケット7の支持剛性を確保している。
しかも、ブラケット7を平面視にて前側程左右幅が狭くなるように先細りの三角形状に形成したため、前端部に入力した入力荷重を車体に対して均一に分散することができる。
それ故、リトラクタ6への上方向の入力荷重をブラケット7を介して確実に車体側へ伝達している。
この車両Vのシートベルトリトラクタ取付構造によれば、ブラケット7が開口側壁部5aの上端側位置から車体前方へ突出するように配設されるため、リトラクタ6が荷物搭載に有効な荷室下側領域を占有することなく荷室スペースを確保することができる。
ブラケット7が車幅方向に対向状に形成された1対の縦壁部21a,22aとこれら1対の縦壁部21a,22aの下端部同士を連結した底壁部21b,22bとにより正面視にて上方に開放した略コ字状に形成されたため、ブラケット7の剛性を形状設定により高くすることができる。また、ブラケット7の剛性を高くすると共に内側縦壁部21aが開口側壁部5aに接合され且つ外側縦壁部22aが傾斜壁部5bに接合されたため、ブラケット7の前端部に回転モーメントが作用するような片持ち状態であっても、リトラクタ6への入力荷重を高剛性のブラケット7を介して剛性の高い開口部5の上端側位置に分散伝達することができる。
1〕前記実施形態においては、ブラケットを内側部材と外側部材の2部材で構成した例を説明したが、単一の鋼板をプレス加工して成形しても良い。この場合、連結壁部を省略することで単一鋼板による成形性を確保することができる。
また、素材の歩留まりの観点から、連結壁部を別部材にして3部材で構成することも可能である。
また、補強部材をブラケット取付位置に対応するように車幅方向に延長して内側接合部,前側接合部,外側接合部及び後側接合部に接合可能に構成しても良い。
4 リフトゲート
5 開口部
5a 開口側壁部
5b 傾斜壁部
6 リトラクタ
6a ベルト
7 ブラケット
14 リヤピラー
21 内側部材
21a 内側縦壁部
21b 内側底壁部
21c 補強フランジ部
22 外側部材
22a 外側縦壁部
22b 外側底壁部
22c 連結壁部
C1 閉断面
Claims (4)
- 側面視にて前側程上方に移行するように形成され且つリフトゲートによって開閉可能な開口部と、この開口部近傍に配設されたシートベルトリトラクタとを備えた車両のシートベルトリトラクタ取付構造において、
前記開口部が少なくとも車幅方向に対して略直交状に車体前後方向へ延びる開口側壁部と、この開口側壁部の前端部から傾斜状に延びる傾斜壁部とを備え、
車幅方向に対向状に形成された1対の縦壁部とこれら1対の縦壁部の下端部同士を連結した底壁部とにより正面視にて上方に開放した略コ字状に形成されたリトラクタ取付用ブラケットを有し、
前記リトラクタ取付用ブラケットは、前記開口側壁部の上端側位置から車体前方へ突出するように配設されると共に前記1対の縦壁部のうち車幅方向内側の内側縦壁部が前記開口側壁部に接合され且つ前記1対の縦壁部のうち車幅方向外側の外側縦壁部が前記傾斜壁部に接合されたことを特徴とする車両のシートベルトリトラクタ取付構造。 - 前記内側縦壁部の中段部から折曲した状態で上方に延びる補強フランジ部を備え、前記補強フランジ部が前記傾斜壁部に接合されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルトリトラクタ取付構造。
- 前記開口部の周縁部の一部が前記開口側壁部と前記傾斜壁部とを含む閉断面部材で構成され、
前記閉断面部材内に前記開口側壁部と前記傾斜壁部との境界近傍部分を補強する補強部材を設け、
前記補強フランジ部を前記傾斜壁部を介して前記補強部材に接合したことを特徴とする請求項2に記載の車両のシートベルトリトラクタ取付構造。 - 前記リトラクタ取付用ブラケットが前記内側縦壁部と外側縦壁部とを略直交状に連結する連結壁部を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のシートベルトリトラクタ取付構造。
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