以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1を参照し、本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部4が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,Bに区分できる。空間A,Bには、給紙部23から排紙部4に向かう用紙搬送経路と、当該用紙搬送経路の下流側から上流側に向かう用紙再送経路とが形成されている。用紙Pは、図1に示されるように、用紙搬送経路では黒太矢印に沿って搬送され、用紙再送経路では白抜き太矢印に沿って搬送される。空間Aでは、用紙Pへの画像記録、用紙Pの排紙部4への搬送、及び、用紙Pの再送が行われる。空間Bでは、給紙部23から用紙搬送経路への給紙が行われる。
空間Aには、ブラックインクを吐出するヘッド(記録部)2、搬送装置3、及び、制御装置100等が配置されている。また、空間Aには、図示しないカートリッジが装着されている。このカートリッジには、ブラックインクが貯留されている。カーリッジは、チューブ及びポンプ(ともに図示せず)を介してヘッド2と接続され、インクがヘッド2に供給される。
ヘッド2は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のヘッドである。ヘッド2の下面は、多数の吐出口が開口した吐出面2aである。記録に際して、吐出面2aからブラックインクが吐出される。ヘッド2は、ヘッドホルダ2bを介して筐体1aに支持されている。ヘッドホルダ2bは、吐出面2aがプラテン3d(後述する)との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド2を保持している。
搬送装置3は、上流ガイド部3a、下流ガイド部3b、再送ガイド部3c、及び、プラテン3dを有している。プラテン3dは、ヘッド2の吐出面2aと対向する位置に配置されている。プラテン3dは、平坦な上面を有しており、用紙Pを下方から支持するとともに、吐出面2aとの間に記録領域(用紙搬送経路の一部)を構成する。上流ガイド部3a,下流ガイド部3bは、プラテン3dを挟んで配置されている。上流ガイド部3aは、2つのガイド31,32と、2つの搬送ローラ対41,42とを有し、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)と、給紙部23とを繋ぐ。下流ガイド部3bは、2つのガイド33,34と、3つの搬送ローラ対43〜45とを有し、記録領域と排紙部4とを繋ぐ。用紙搬送経路は、4つのガイド31〜34、プラテン3d及びヘッド2によって規定されている。
再送ガイド部(搬送機構)3cは、3つのガイド35〜37と、3つの搬送ローラ対46〜48と、位置決め機構50とを有し、記録領域を迂回して上流ガイド部3aと下流ガイド部3bとを繋ぐ。ガイド35は、ガイド33の途中部位に接続され、再送ガイド部3cと下流ガイド部3bとを繋いでいる。ガイド37は、ガイド31の途中部位に接続され、再送ガイド部3cと上流ガイド部3aとを繋いでいる。用紙再送経路は、3つのガイド35〜37及び位置決め機構50によって規定されている。
なお、搬送ローラ対44は、制御装置100の制御により、用紙Pの搬送方向が切り換えられる。つまり、搬送ローラ対44は、用紙Pを記録領域から排紙部4へと搬送する場合は、用紙Pが上方へ搬送されるように回転する。一方、搬送ローラ対44は、用紙Pを用紙搬送経路から用紙再送経路へと搬送する場合は、用紙Pの後端がガイド33とガイド35との接続箇所と搬送ローラ対44との間にあるときであって用紙センサ27で検知されたときに、用紙Pの後端が先端として下方へ搬送されるように、その回転方向が切り換えられる。用紙搬送経路から用紙再送経路に搬送されてきた用紙Pは、上流ガイド部3aに再送される。このとき、再送される用紙Pは、直前の記録領域を通過したときとはその表裏が反転した状態で当該記録領域に再び搬送される。こうして、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。
3つの搬送ローラ対46〜48は、この順に配置されており、位置決め機構50は、搬送ローラ対47,48間に配置されている。また、位置決め機構50は、鉛直方向に関して、記録領域(プラテン3d)と給紙部23との間に配置されている。位置決め機構50は、上ガイド51と、下ガイド52と、駆動ローラ61と、従動拍車71とを有する。また、位置決め機構50は、両ガイド51,52間に搬送されてきた用紙Pの幅方向(主走査方向であって用紙Pの搬送方向Eと直交する方向)の一端をガイド面(後述する)54aに当接させながら搬送することで、用紙Pの幅方向の位置決めを行う。位置決め機構50の詳細については、後述する。
空間Bには、給紙部23が配置されている。給紙部23は、給紙トレイ24及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ24が、筐体1aに対して着脱可能となっている。給紙トレイ24は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収容可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ24内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
ここで、副走査方向とは、搬送ローラ対42,43によって搬送される用紙搬送方向D、及び、搬送ローラ対47,48によって搬送される用紙搬送方向Eと平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る。制御装置100は、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された記録指令に基づいて、記録動作を制御する。具体的には、制御装置100は、用紙Pの搬送動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。
制御装置100は、例えば、用紙Pの片面に記録を行う記録指令を外部装置から受信した場合、当該記録指令に基づいて、給紙部23、搬送ローラ対41〜45を駆動する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、上流ガイド部3aによりガイドされ、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)に送られる。用紙Pは、ヘッド2のすぐ下方を通過する際に、制御装置100によってヘッド2が制御され、ヘッド2からインク滴が吐出される。これにより、用紙Pの表面に所望の画像が記録される。インクの吐出動作(インクの吐出タイミング)は、用紙センサ26からの検知信号に基づく。なお、用紙センサ26は、ヘッド2よりも搬送方向の上流に配置されて、用紙Pの先端を検知する。そして、画像が記録された用紙Pは、下流ガイド部3bによりガイドされて、筐体1a上部から排紙部4に排出される。
また、制御装置100は、例えば、用紙Pの両面に記録を行う記録指令を外部装置から受信した場合、当該記録指令に基づいて、給紙部23、搬送ローラ対41〜45を駆動する。まず、片面記録時と同様に、用紙Pは、表面に画像が形成され、排紙部4に向けて搬送される。図1に示すように、搬送途中のガイド部3bには、搬送ローラ対44の上流側近傍に、用紙センサ27が配置されている。用紙センサ27が用紙Pの後端を検出すると、制御装置100の制御の下、搬送ローラ対44が逆回転され、用紙Pの搬送の方向が反転される。このとき、搬送ローラ対46〜48、及び、駆動ローラ61も駆動される。これにより、用紙Pは、その経路が切り替えられ、用紙再送経路(白抜き矢印の示す経路)に沿って搬送される。このとき、位置決め機構50によって用紙Pの主走査方向に関する位置決めが行われ、位置決めが行われた用紙Pが記録領域に再送される。用紙再送経路から上流ガイド部3aに再送された用紙Pは、記録領域において裏返しで再供給され、裏面に画像が記録される。なお、裏面への画像記録に先立って、用紙Pの先端が用紙センサ26に検出されると、搬送ローラ対44が正回転に戻される。両面記録された用紙Pは、下流ガイド部3bを介して、排紙部4に排出されることになる。
次に、図2〜図4を参照しつつ位置決め機構50について、詳細に説明する。図2に示すように、位置決め機構50の上ガイド51及び下ガイド52は、ともに板状部材であって鉛直方向に互いに離隔して配置されている。これらガイド51,52間の空間が用紙再送経路の一部(搬送経路)を構成している。下ガイド52には、厚み方向に貫通した孔52aが形成されている。孔52aは、図3に示すように、副走査方向の幅が駆動ローラ61よりも若干小さい。下ガイド52は、搬送されてきた用紙Pの下面を支持する搬送面52bを有している。下ガイド52の主走査方向の一端には、鉛直方向に立設した垂直部54が形成されている。この垂直部54は、副走査方向に沿って延在し、副走査方向を面内方向に含む鉛直面であるガイド面54aを有する。ガイド面54aは、垂直部54の従動拍車71側の側面によって構成されている。なお、上ガイド51は、図2において、その一部だけが示されている。
駆動ローラ61及び駆動ローラ61と対向する従動拍車71は、主走査方向に関して、上ガイド51及び下ガイド52との間の搬送経路の中央(図2中一点鎖線で示す中心線)よりもガイド面54aに近い位置に配置されている。従動拍車71は、駆動ローラ61の回転によって、又は、駆動ローラ61によって搬送される用紙Pに搬送に伴って回転する。
駆動ローラ61は、図2に示すように、円筒状のローラ本体62と、ローラ本体62とともに回転する軸部63とを有する。ローラ本体62は、孔52aと対向する位置に配置され、従動拍車71よりも下方になるように配置されている。ローラ本体62は、その上端が下ガイド52の搬送面52bから上方に僅かに突出するように配置され、搬送面52b上に搬送されてきた用紙Pの下面と接触する。つまり、駆動ローラ61は、用紙Pの画像が記録されていない面と接触可能に配置されている。軸部63は、ローラ本体62に挿通された状態でローラ本体62に固定され、駆動ローラ61の回転軸を構成する。軸部63は、筐体1aに回転可能に支持されている。位置決め機構50は、図示しない駆動機構(駆動モータや駆動モータからの回転力を伝達する歯車など)を有している。この駆動機構は、制御装置100の制御により駆動され、軸部63を介してローラ本体62を回転させる。駆動ローラ61は、図3に示すように、軸部63の軸線Mが主走査方向に平行になるように配置されている。つまり、駆動ローラ61は、軸部63の軸線Mがガイド面54aに対して直交するように、配置されている。
また、位置決め機構50は、図2に示すように、従動拍車71を支持する支持部80を有する。支持部80は、支持部本体81と、支持部本体81を下方に付勢する付勢部(不図示)とを有する。支持部本体81は、付勢部を介して上ガイド51の下面に取り付けられている。支持部本体81の下面には、下方に突出した一対のフランジ82が形成されている。一対のフランジ82には、主走査方向に貫通する孔82aが形成されている。これら孔82aに従動拍車71の軸部74が挿入されることで、従動拍車71が支持部80に回転可能に支持される。付勢部は、上ガイド51に固定されたコイルバネなどの弾性部材から構成されており、支持部本体81とともに従動拍車71を駆動ローラ61に向けて(下方に)付勢する。これにより、従動拍車71と駆動ローラ61との間には、用紙Pを挟持する所定の挟持力が生じる。このため、用紙Pが駆動ローラ61と従動拍車71とに挟まれながら、搬送方向Eに向けて搬送される。また、従動拍車71は、用紙Pの画像が記録された記録面と接触可能に配置される。
従動拍車71は、図3に示すように、4つの拍車72と、円筒状のローラ本体73と、ローラ本体73とともに回転する軸部74とを有し、搬送方向Eに関して、ガイド面54aと重なる位置に配置されている。軸部74は、ローラ本体73に挿通された状態でローラ本体73に固定され、従動拍車71の回転軸を構成する。また、軸部74は、図3に示すように、軸線L1とガイド面54aとの交点を通るガイド面54aに直交する(軸線Mに平行な)仮想直線L2と、軸線L1とがなす角度Yが、1.2degとなるように、配置されている。換言すると、軸部74は、軸線L1とガイド面54aとの交点よりもガイド面54aの搬送方向E下流部分と、軸線L1とがなす角度が、鋭角となるように配置されている。なお、角度Yは、後述する4つの範囲U1K,U2K,U3K,U4Kが重複する範囲U5Kにあればよく、詳細については後述する。また、軸部74は、搬送方向Eから見て、軸線L1がガイド面54aに対して直交するように配置されている。
各拍車72は、図4(a)に示すように、複数の歯72aと、ローラ本体73の外周面73aに固定された環状部72bとを有する金属製の薄板部材である。複数の歯72aは、軸線L1方向から見て、環状部72bから軸線L1と直交する方向(第1方向)に突出し、軸線L1を中心とした周方向R(図4(a)中矢印R方向)に並んで配置されている。ここで、第1方向とは、軸線L1を通り、かつ、軸線L1と直交する方向である。各歯72aは、図4(a)に示すように、軸線L1方向に沿う2つの側面75と、軸線L1方向に直交しかつ第1方向に平行な2つの側面76と、これら4つの側面75,76と繋がった先端面77とを有する。2つの側面75は、歯72aの根元(環状部72bとの接続箇所)から歯先に向かうに連れて(径方向外側に向かうに連れて)、軸線L1と直交する仮想直線L3に近づくように傾斜している。2つの側面76は、互いに平行に配置されている。先端面77は、2つの側面75に沿って延在する2つの仮想平面S1,S2の交線よりも軸線L1に近い位置に形成されている。このため、各歯72aは、歯先がそれほど尖っておらず、従動拍車71は、用紙Pに対して歯72aの先端が突き刺さりにくくなる。この結果、従動拍車71は、用紙Pに対して歯先があまり食い込まない状態で先端面77が当接することで、用紙Pの搬送に伴って回転する。
先端面77は、図4(b)に示すように、ほぼ平坦である。先端面77は、先端面77の面内方向であって軸線L1方向と直交する方向(第2方向)に関する長さXが0.07mmである。ここで、第2方向とは、軸線L1と第1方向とのいずれに対しても直交する方向である。なお、長さXも、角度Yと同様に、後述する範囲U5Kにあればよく、詳細については後述する。
ここで、4つの範囲U1K,U2K,U3K,U4K、及び、これら4つの範囲U1K〜U4Kが重複する範囲U5Kについて、図5〜図9を参照しつつ、以下に説明する。まず、範囲U1Kについて説明する。範囲U1Kは、図5に示すX軸、Y軸、2つの直線K1,K2によって囲まれた範囲(図中ハッチングで示す)であって、図5のグラフにおいて後述の数式1〜数式4によって囲まれる範囲である。図5においては、先端面77の長さX(mm)を横軸とし、角度Y(deg)を縦軸とする。
数式1は、X>0であり、数式2は、Y>0であり、数式3は、Y=47.5X+1.7であり、数式4(請求項1の数式6)は、Y=−14.7X+7.1である。
下記の表1は、従動拍車71の歯72aの先端面77の長さX、及び、角度Yが種々の条件にあるときに、第1の用紙(BP60PA:ブラザー工業社製)に所定パターンの画像を記録し位置決め機構50に再送し、当該用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の有無を示している。なお、歯先が尖った歯を有する直径が6mmの拍車を、歯先から拍車の中心に向かって、0mm、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.35mm、0.4mmと順に歯の先端を除去することで、先端面77の長さXが、0mm、0.04mm、0.07mm、0.15mm、0.22mm、0.25mm、0.29mmと変化する。このような拍車を順に採用することで、従動拍車71の先端面77の長さXを変化させている。また、表1には、拍車72の歯数が30個、拍車72の材質がSUS304−CSP(ばね用ステンレス鋼)、駆動ローラ61のローラ本体62の直径が13.4mm、駆動ローラ61のローラ本体62の材質がEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、駆動ローラ61と従動拍車71間の挟持力が1N、評価環境(温度が21℃、湿度が37%)での条件で実施された結果が示されている。
表1に示すように、先端面の長さXが0mmで角度Yが1degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8degのときは、ジャムが発生せず、ジャムOKとなっている。つまり、ジャムOKとは、用紙Pにジャムが生じなかったことを示している。なお、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3deg以下のとき、先端面の長さXが0.07で角度Yが7deg以下のとき、先端面の長さXが0.15で角度Yが8deg以下のときは、ジャムOKと推察される。ここで、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが6degのときは、汚れ評価の結果のみが記載されているが、汚れ評価は、ジャムOKの場合に可能な評価であるので、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが6degのときは、ジャムOKである。一方、先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが8degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが9degのときは、ジャムが発生し、ジャムNGとなっている。ここで、ジャムNGとは、用紙Pにジャムが生じたことを示している。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが2deg以上のとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4deg以上のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが8deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが9deg以上のときは、ジャムNGと推察される。図5に示す直線K1は、表1においてジャムOKのときの4つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K1の数式3としての近似式が算出されている。このように数式3は、搬送される第1の用紙において、ジャムの発生の有無の境界を示す式である。
また、表1に示すように、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが3degのときは、第1の用紙の汚れがほとんど生じておらず、汚れOKとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが1degのとき、及び、先端面の長さXが0.04で角度Yが3degのときは、汚れOKである。先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのときは、ジャムが生じたため、汚れの判定ができなかった。また、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6deg以下のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5deg以下のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが4deg以下のとき、先端面の長さXが0.25で角度Yが3deg以下のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが3deg以下のとき、汚れOKと推察される。汚れの評価方法としては、排紙された用紙を、照度が534ルクスの明るい部屋で視力1.0の人が当該用紙を70センチだけ離して見たときに、汚れ(歯72aにより用紙Pに転写されたインクの痕)が視認できないときは汚れOKであり、視認できるときは汚れNGであると評価する。つまり、汚れOKとは、用紙Pに汚れが生じなかったことを示しており、汚れNGとは、用紙Pに汚れが生じたことを示している。一方、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが4degのときは、第1の用紙に汚れが生じており、汚れNGとなっている。なお、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが6deg以上のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが5deg以上のとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが4deg以上のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが4deg以上のときは、汚れNGと推察される。図5に示す直線K2は、表1において汚れOKのときの5つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K2の数式4としての近似式が算出されている。このように数式4は、搬送される第1の用紙において、汚れの発生の有無の境界を示す式である。なお、図5に示すグラフにおいて、数式1及び数式2は、先端面77の長さX及び角度Yの下限値を示している。
これら数式1〜数式4によって囲まれた範囲U1Kは、第1の用紙を搬送する際において、ジャムの発生及び汚れの発生が抑制される範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲にあるように設定することで、ジャムの発生及び汚れの発生の両方を抑制することが可能となる。
次に、範囲U2Kについて説明する。範囲U2Kは、図6に示すX軸、Y軸、2つの直線K3,K4によって囲まれた範囲であって、図6のグラフにおいて数式2、及び、下記の数式5〜7によって囲まれる範囲である。図6においては、図5と同様に、先端面77の長さX(mm)を横軸とし、角度Y(deg)を縦軸とする。
数式5は、0.5>X>0であり、数式6は、Y=40.1X+2.6であり、数式7は、Y=−6.0X+7.1である。
下記の表2は、従動拍車71の歯72aの先端面77の長さX、及び、角度Yが種々の条件にあるときに、第2の用紙(Business 4200 Paper,92bright,28lb.bond,8.5×11:米国XEROX社製)に所定パターンの画像を記録し位置決め機構50に再送し、当該用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の有無を示している。なお、表2には、先端面77の長さX、拍車72の歯数、拍車72の材質、駆動ローラ61のローラ本体62の直径、駆動ローラ61のローラ本体62の材質、駆動ローラ61と従動拍車71間の挟持力、評価環境などの条件が表1と同様で実施された結果が示されている。
表2に示すように、先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8degのときは、ジャムが発生せず、ジャムOKとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが2deg以下のとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4deg以下のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7deg以下のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8deg以下のときは、ジャムOKと推察される。一方、先端面の長さXが0mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが8degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが9degのときは、ジャムが発生し、ジャムNGとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが3deg以上のとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが5deg以上のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが8deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが9deg以上のときは、ジャムNGと推察される。図6に示す直線K3は、表2においてジャムOKのときの4つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K3の数式6としての近似式が算出されている。このように数式6は、搬送される第2の用紙において、ジャムの発生の有無の境界を示す式である。
表2に示すように、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが5degのときは、第2の用紙の汚れがほとんど生じておらず、汚れOKとなっている。このときの汚れの評価方法も、上述と同様である。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのときは、汚れOKであった。先端面の長さXが0mmで角度Yが3degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが5degのときは、ジャムが生じたため、汚れの判定ができなかった。また、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが6deg以下のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが6deg以下のとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが6deg以下のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが5deg以下のときは、汚れOKと推察される。一方、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが6degのときは、第2の用紙に汚れが生じており、汚れNGとなっている。なお、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが7deg以上のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが7deg以上のとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが7deg以上のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが6deg以上のときは、汚れNGと推察される。図6に示す直線K4は、表2において汚れOKのときの4つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K4の数式7としての近似式が算出されている。このように数式7は、搬送される第2の用紙において、汚れの発生の有無の境界を示す式である。なお、図6に示すグラフにおいて、数式2及び数式5は、先端面77の長さX及び角度Yの下限値を示している。
これら数式2及び数式5〜数式7によって囲まれた範囲U2Kは、第2の用紙を搬送する際において、ジャムの発生及び汚れの発生が抑制される範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲にあるように設定することで、ジャムの発生及び汚れの発生の両方を抑制することが可能となる。
次に、範囲U3Kについて説明する。範囲U3Kは、図7に示すX軸、Y軸、2つの直線K5,K6によって囲まれた範囲であって、図7のグラフにおいて数式1,2、及び、下記の数式8,9によって囲まれる範囲である。図7においては、図5と同様に、先端面77の長さX(mm)を横軸とし、角度Y(deg)を縦軸とする。
数式8(請求項1の数式3)は、Y=40.1X+1.6であり、数式9は、Y=−12.1X+6.0(請求項1の数式5)である。
下記の表3は、従動拍車71の歯72aの先端面77の長さX、及び、角度Yが種々の条件にあるときに、第3の用紙(Business 4200 Paper,92bright,20lb.bond,8.5×11:米国XEROX社製)に所定パターンの画像を記録し位置決め機構50に再送し、当該用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の有無を示している。なお、表3には、先端面77の長さX、拍車72の歯数、拍車72の材質、駆動ローラ61のローラ本体62の直径、駆動ローラ61のローラ本体62の材質、駆動ローラ61と従動拍車71間の挟持力、評価環境などの条件が表1と同様で実施された結果が示されている。
表3に示すように、先端面の長さXが0mmで角度Yが1degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが7degのときは、ジャムが発生せず、ジャムOKとなっている。なお、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3deg以下のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6deg以下のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが7deg以下のときは、ジャムOKと推察される。一方、先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8degのときは、ジャムが発生し、ジャムNGとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが2deg以上のとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4deg以上のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8deg以上のときは、ジャムNGと推察される。図7に示す直線K5は、表3においてジャムOKのときの4つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K5の数式8としての近似式が算出されている。このように数式8は、搬送される第3の用紙において、ジャムの発生の有無の境界を示す式である。
表3に示すように、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが2degのときは、第3の用紙の汚れがほとんど生じておらず、汚れOKとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが1degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3degのときは、汚れOKであった。先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのときは、ジャムが生じたため、汚れの判定ができなかった。また、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが5deg以下のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが4deg以下のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが4deg以下のとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが3deg以下のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが2deg以下のときは、汚れOKと推察される。このときの汚れの評価方法も、上述と同様である。一方、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが3degのときは、第3の用紙に汚れが生じており、汚れNGとなっている。先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5deg以上のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが5deg以上のとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが4deg以上のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが3deg以上のときは、汚れNGと推察される。図7に示す直線K6は、表3において汚れOKのときの5つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K6の数式9としての近似式が算出されている。このように数式9は、搬送される第3の用紙において、汚れの発生の有無の境界を示す式である。なお、図7に示すグラフにおいて、数式1,2は、先端面77の長さX及び角度Yの下限値を示している。
これら数式1,2、及び、数式8,9によって囲まれた範囲U3Kは、第3の用紙を搬送する際において、ジャムの発生及び汚れの発生が抑制される範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲にあるように設定することで、ジャムの発生及び汚れの発生の両方を抑制することが可能となる。
次に、範囲U4Kについて説明する。範囲U4Kは、図8に示すX軸、Y軸、2つの直線K7,K8によって囲まれた範囲であって、図8のグラフにおいて数式2、数式5、及び、下記の数式10,11によって囲まれる範囲である。図8においては、図5と同様に、先端面77の長さX(mm)を横軸とし、角度Y(deg)を縦軸とする。
数式10は、Y=34.7X+2.2であり、数式11(請求項1の数式4)は、Y=−9.0X+5.6である。
下記の表4は、従動拍車71の歯72aの先端面77の長さX、及び、角度Yが種々の条件にあるときに、第4の用紙(business,Laser,copier and inkjet,A4,80g/m2:米国XEROX社製)に所定パターンの画像を記録し位置決め機構50に再送し、当該用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の有無を示している。なお、表4には、先端面77の長さX、拍車72の歯数、拍車72の材質、駆動ローラ61のローラ本体62の直径、駆動ローラ61のローラ本体62の材質、駆動ローラ61と従動拍車71間の挟持力、評価環境などの条件が表1と同様で実施された結果が示されている。
表4に示すように、先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが7degのときは、ジャムが発生せず、ジャムOKとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが2deg以下のとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3deg以下のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6deg以下のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが7deg以下のときは、ジャムOKと推察される。一方、先端面の長さXが0mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8degのときは、ジャムが発生し、ジャムNGとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが3deg以上のとき、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4deg以上のとき、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが7deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが8deg以上のときは、ジャムNGと推察される。図8に示す直線K7は、表4においてジャムOKのときの4つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K7の数式10としての近似式が算出されている。このように数式10は、搬送される第4の用紙において、ジャムの発生の有無の境界を示す式である。
表4に示すように、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが4degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが4degのときは、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが3degのとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが3degのときは、第4の用紙の汚れがほとんど生じておらず、汚れOKとなっている。なお、先端面の長さXが0mmで角度Yが2degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが3degのときは、汚れOKであった。先端面の長さXが0mmで角度Yが3degのとき、及び、先端面の長さXが0.04mmで角度Yが4degのときは、ジャムが生じたため、汚れの判定ができなかった。また、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが5deg以下のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが4deg以下のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが4deg以下のときは、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが3deg以下のとき、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが3deg以下のときは、汚れOKと推察される。このときの汚れの評価方法も、上述と同様である。一方、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6degのとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが5degのとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが4degのときは、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが4degのときは、第4の用紙に汚れが生じており、汚れNGとなっている。なお、先端面の長さXが0.07mmで角度Yが6deg以上のとき、先端面の長さXが0.15mmで角度Yが5deg以上のとき、先端面の長さXが0.22mmで角度Yが5deg以上のとき、先端面の長さXが0.25mmで角度Yが4deg以上のときは、先端面の長さXが0.29mmで角度Yが4deg以上のときは、汚れNGと推察される。図8に示す直線K8は、表4において汚れOKのときの5つの座標の近似直線であり、これら座標から直線K8の数式11としての近似式が算出されている。このように数式11は、搬送される第4の用紙において、汚れの発生の有無の境界を示す式である。なお、図8に示すグラフにおいて、数式2,5は、先端面77の長さX及び角度Yの下限値を示している。
これら数式2,5、及び、数式10,11によって囲まれた範囲U4Kは、第4の用紙を搬送する際において、ジャムの発生及び汚れの発生が抑制される範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲にあるように設定することで、ジャムの発生及び汚れの発生の両方を抑制することが可能となる。
次に、範囲U5Kについて説明する。範囲(第1範囲)U5Kは、図9(a)に示すX軸、Y軸、4つの直線K2,K5,K6,K8によって囲まれた範囲であって、4つの範囲U1K,U2K,U3K,U4Kが重なる範囲である。図9(a)においても、図5と同様に、先端面77の長さX(mm)を横軸とし、角度Y(deg)を縦軸とする。本実施形態における従動拍車71の歯72aの先端面77の長さXは0.07mmで、角度Yが1.2degである。つまり、先端面の長さXと角度Yが、図9(a)に示すように、範囲U5Kにある。これにより、互いに種類の異なる第1〜第4の用紙のいずれが搬送されても、用紙のジャムの発生及び汚れの発生の両方を抑制することが可能となる。
さらに、この先端面長さXと角度Yは、図9(a)に示すように、範囲U5K内の範囲U6にある。この範囲U6は、先端面の長さXが0.02mm以上0.12mm以下であり、角度Yが0degを超え2.4deg以下である。このため、第1〜第4の用紙のいずれが搬送されても、用紙のジャムの発生、及び、汚れの発生の両方をより一層抑制することが可能となる。なお、従動拍車71の角度Yは、±1.2°の取付誤差が生じる。さらに、従動拍車71の角度Yが0°未満となった場合には、用紙Pをガイド面54aに突き当てることができなくなり、位置決め機能が低下してしまう。よって、角度Yは、0degを超え2.4deg以下が望ましい。
また、図5〜図8、図9(b)には、範囲U1Q,U2Q,U3Q,U4Q,U5Qが示されている。範囲U1Qは、図5に示すX軸、Y軸、2つの直線Q1,Q2によって囲まれた範囲であって、図5のグラフにおいて数式1,2、及び、下記の数式12,13によって囲まれる範囲である。
数式12は、Y=46.7X+1.0であり、数式13(請求項2の数式10)は、Y=−16.7X+7.2である。
直線Q1は、図5に示す直線K1よりも図中右側(ジャムOK側)にある3つの座標のうちの直線K1からより離れる2つの座標を通る直線(図5中破線で示す)である。そして、数式12が、直線Q1より算出されている。直線Q2は、図5に示す直線K2よりも図中左側(汚れOK側)にある2つの座標を通る直線(図5中破線で示す)である。そして、数式13が、直線Q2より算出されている。このように範囲U1Qは、範囲U1Kよりも狭い範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲U1Qにあるように設定することで、第1の用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の両方をより抑制することが可能となる。
範囲U2Qは、図6に示すX軸、Y軸、2つの直線Q3,Q4によって囲まれた範囲であって、図6のグラフにおいて数式2,5、及び、下記の数式14,15によって囲まれる範囲である。
数式14は、Y=40.0X+2.0であり、数式15は、Y=−7.1X+7.1である。
直線Q3は、図6に示す直線K3よりも図中右側(ジャムOK側)にある3つの座標のうちの直線K3からより離れる2つの座標を通る直線(図6中破線で示す)である。そして、数式14が、直線Q3より算出されている。直線Q4は、図6に示す直線K4よりも図中左側(汚れOK側)にある2つの座標を通る直線(図6中破線で示す)である。そして、数式15が、直線Q4より算出されている。このように範囲U2Qは、範囲U2Kよりも狭い範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲U2Qにあるように設定することで、第2の用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の両方をより抑制することが可能となる。
範囲U3Qは、図7に示すX軸、Y軸、2つの直線Q5,Q6によって囲まれた範囲であって、図7のグラフにおいて数式1,2、及び、下記の数式16,17によって囲まれる範囲である。
数式16(請求項2の数式7)は、Y=40.0X+1.0であり、数式17(請求項2の数式9)は、Y=−13.6X+6.0である。
直線Q5は、図7に示す直線K5よりも図中右側(ジャムOK側)にある3つの座標のうちの直線K5からより離れる2つの座標を通る直線(図7中破線で示す)である。そして、数式16が、直線Q5より算出されている。直線Q6は、図7に示す直線K6よりも図中左側(汚れOK側)にある3つの座標のうちの直線K6からより離れる2つの座標を通る直線(図7中破線で示す)である。そして、数式17が、直線Q6より算出されている。このように範囲U3Qは、範囲U3Kよりも狭い範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲U3Qにあるように設定することで、第3の用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の両方をより抑制することが可能となる。
範囲U4Qは、図8に示すX軸、Y軸、2つの直線Q7,Q8によって囲まれた範囲であって、図8のグラフにおいて数式2,5、及び、下記の数式18,19によって囲まれる範囲である。
数式18は、Y=36.4X+1.5であり、数式19(請求項2の数式8)は、Y=−10.0X+5.5である。
直線Q7は、図8に示す直線K7よりも図中右側(ジャムOK側)にある3つの座標のうちの直線K7からより離れる2つの座標を通る直線(図8中破線で示す)である。そして、数式18が、直線Q7より算出されている。直線Q8は、図8に示す直線K8よりも図中左側(汚れOK側)にある2つの座標を通る直線(図8中破線で示す)である。そして、数式19が、直線Q8より算出されている。このように範囲U4Qは、範囲U4Kよりも狭い範囲となる。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと、角度Yをこの範囲U4Qにあるように設定することで、第4の用紙におけるジャムの発生及び汚れの発生の両方をより抑制することが可能となる。
範囲U5Q(第2範囲)は、図9(b)に示すX軸、Y軸、4つの直線Q2,Q5,Q6,Q8によって囲まれた範囲であって、4つの範囲U1Q,U2Q,U3Q,U4Qが重なる範囲である。図9(b)においても、図5と同様に、先端面77の長さX(mm)を横軸とし、角度Y(deg)を縦軸とする。上述したように本実施形態における従動拍車71の歯72aの先端面77の長さXは0.07mmで、角度Yが1.2degである。つまり、先端面の長さXと角度Yが、図9(b)に示すように、範囲U5Qにある。範囲U5Qは、範囲U5Kよりも狭い範囲である。このため、従動拍車71の先端面77の長さXと角度Yとが範囲U5Qにあることで、範囲U5Kときよりも、用紙のジャムの発生及び汚れの発生の両方をより抑制することが可能となる。
次に、位置決め機構50による用紙Pの位置決め動作について、図10を参照しつつ以下に説明する。なお、図10(c)は、軸線Ll方向から見たときの、用紙Pと歯72aとの部分断面図である。図10(d)は、搬送方向Eと反対方向から見たときの、用紙Pと歯72aとの部分断面図である。
まず、用紙Pは、搬送ローラ対47によって位置決め機構50へと搬送される。用紙Pの先端が、図10(a)に示すように、駆動ローラ61及び従動拍車71に達すると、駆動ローラ61によって用紙Pが方向Jに搬送される。つまり、従動拍車71の用紙Pと当接する点での回転方向は、軸線Lと直交する方向であるため、用紙Pはガイド面54aに近づく方向Jに搬送される。そして、用紙Pのガイド面54aに近い側の側端がガイド面54aに当接する。こうして、用紙P全体が、図10(b)に示すように、ガイド面54aに寄せられる。
用紙Pは、ガイド面54aに当接した後もガイド面54aに寄せられるように、方向Jに搬送される。このとき、用紙Pの拍車72の歯72aと当接する部分には、ガイド面54aと当接することで方向T(ガイド面54aから離れる方向)の反力が作用する。この方向Tの反力は、従動拍車71の角度Yが同じ場合において、拍車72の歯72aの用紙Pに対する突き刺さり量が大きくなるほど、大きくなる。本実施形態の拍車72の歯72aは先端面77を有しているため、用紙Pに対して突き刺さりにくくなっており、図10(c)に示すように、歯72aが1回転する間に用紙Pと当接する距離が、距離N1となる。一方、図10(c)に2点鎖線で示す先端が尖った歯においては、歯72aと比較して用紙Pに対する突き刺さり量が大きくなり、当該尖った歯が1回転する間に用紙Pと当接する距離は、距離N2となる。このように歯の突き刺さり量が大きくなると、歯(図中2点鎖線で示す)が1回転する間に用紙Pと当接する距離N2が、歯72aにおける距離N1よりも長くなる。このため、歯が用紙Pに当接する間の主走査方向に関する歯のガイド面54aに近づく距離が大きくなる。この結果、各歯に係る方向Tの反力も大きくなる。しかしながら、本実施形態においては、歯72aが用紙Pに突き刺さりにくくなるため、歯が尖っているものと比べて、各歯72aにおいて歯72aが1回転する間に用紙Pと当接する距離も短くなる。つまり、歯72aは、主走査方向に関して、用紙Pに当接している間にガイド面54aに近づく距離が小さくなり、方向Tの反力も小さくなる。さらに、拍車72の歯72aに先端面77が形成されているものは、歯が尖っているものと比べて、歯72aが用紙Pに当接する間にガイド面54aに近づく距離が小さくなることで、後述するように用紙Pが歯72aに対して方向Tに相対移動してもその相対移動距離自体が小さくなる。この結果、歯72aから用紙Pに擦りつけられるインクが少なくなって、用紙Pの汚れを抑制することが可能となる。
ここで、従動拍車71の角度Yが範囲U5Kにあることで、その上限値が規制される。一方、角度Yが範囲U5Kを超える範囲にあると、歯72aは、主走査方向に関して、用紙Pに当接する間のガイド面54aに近づく距離が大きくなる。すると、歯72aに先端面77があっても、用紙Pが歯72aに対して方向Tに相対移動したときのその相対移動距離が大きくなる。このため、歯72aから用紙Pに擦りつけられるインクが多くなって、用紙Pが汚れる。さらに、用紙Pのガイド面54aに近づく移動量が大きくなりすぎて、用紙Pが従動拍車とガイド面54aとの間で撓んで折れ曲がることある。また、方向Tの反力も大きくなる。このため、従動拍車71の回転負荷が大きくなって、用紙の不送りが生じる。これらの少なくともいずれかによって、用紙Pにジャムが生じる。しかしながら、本実施形態においては、従動拍車71の角度Yが範囲U5K(範囲U6)にあることで、用紙Pが歯72aに対して方向Tに相対移動してもその相対移動距離自体が小さくなり、用紙Pの汚れを抑制することが可能となる。加えて、用紙Pがガイド面54aに近づく移動量も小さくなって、用紙Pが従動拍車とガイド面54aとの間で撓んで折れ曲がりにくくなる。さらに、方向Tの反力も小さくなるため、従動拍車71の回転負荷が小さくなる。これによって、ジャムの発生を抑制することが可能となる。
また、従動拍車71は、用紙Pの搬送に伴って歯72aの先端面77が回転しながら順に、用紙Pに当接する。従動拍車71の用紙Pに対する接触面積は、各歯72aの先端面77となるため、円筒状の外周面を有するコロと比べて用紙Pとの接触面積が非常に小さくなる。このため、先端面77に画像との接触によってインクが付着していても、先端面77自体が小さいため、用紙Pに転写されるインクも少なくなる。つまり、用紙Pとの接触面積が小さいほど、用紙Pに転写されるインクは少なくなりやすい。この結果、従動拍車71から用紙Pにインクが転写されにくくなり、用紙Pの汚れを抑制することが可能となる。
また、歯72aが用紙Pに対して突き刺さりにくくなることで、用紙Pの歯72aに対する方向Tへの相対移動を拘束する力も小さくなる。これにより、用紙Pに方向Tの反力が生じても、用紙Pが歯72aに対して方向Tに相対移動するため、用紙Pに生じる方向Tの反力を逃がすことができる。仮に、方向Tの反力を逃がすことができない場合、当該反力が従動拍車の大きな回転負荷となり、用紙Pの不送りが生じることがある。また、方向Tの反力を逃がすことができない場合、用紙Pが従動拍車の歯に対して方向Tに移動不可能に保持されることとなるので、用紙Pがガイド面54aに送り続けられ、従動拍車とガイド面54aとの間で撓んで折れ曲がることある。これらの少なくともいずれかによって用紙Pにジャムが生じる。しかしながら、本実施形態においては、拍車72の歯72aに先端面77が形成されているため、歯が尖っているものと比べて、方向Tの力を逃がすことができるため、用紙Pのジャムを抑制することができる。
このように駆動ローラ61及び従動拍車71は、用紙Pを搬送する際、用紙Pがガイド面54aに当接していてもガイド面54a側に寄せるように搬送するが、従動拍車71は先端面77の長さX及び角度Yが範囲U5K(範囲U5Qや範囲U6)にあるため、ジャムの発生及び用紙の汚れの発生を抑制しながら、用紙Pを搬送方向Eに搬送することができる。こうして、用紙Pの主走査方向の位置決めが行われる。
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、従動拍車71が、先端面77を有する複数の歯72aを含む拍車72を有し、用紙Pをガイド面54aに寄せるように傾いていても、当該従動拍車71の先端面77の長さXと角度Yが、範囲U5Kにあるように構成される。このため、用紙P(例えば、第1〜第4の用紙のいずれ)が搬送されても、用紙Pのジャムの発生、及び、用紙Pの汚れの発生の両方を抑制することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態において、従動拍車71の歯72aの先端面77の長さX及び角度Yは、範囲U6にあるが、当該範囲U6を除く範囲U5K,U5Qにあればよい。また、上述の実施形態における先端面77がエッチング加工(両面及び片面エッチング(片面ハーフエッチングも含む)加工)や機械加工で形成されていてもよい。先端面77がエッチング加工によって形成される場合、先端面が軸線L1側に凹んだ湾曲面を有していてもよい。また、先端面77は、軸線L1から離れる方向に凸となる凸形状を有していてもよい。
従動拍車71は4つの拍車72を有しているが、1〜3又は5以上の拍車を有していてもよい。また、位置決め機構50は、下流ガイド部3b内に設けられていてもよい。これにより、用紙Pが、位置決めされた状態で排紙部4に排出される。
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。さらに、画像記録する記録装置であれば、例えば、レーザー式やサーマル式など、どのような記録装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。