JP6068214B2 - ホットメルトシール組成物 - Google Patents
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Description
本発明に使用されるポリイソブチレンは,重量平均分子量が15〜25万のイソブチレンの重合体と,重量平均分子量が30〜40万のイソブチレンの重合体と,重量平均分子量が6〜9万のイソブチレンの重合体である。これらのポリイソブチレンは各ポリイソブチレンの重量平均分子量から求める数平均の分子量が12万〜30万となるように混合されるが,混合されたポリイソブチレンは優れた水蒸気バリア効果を有し,比較的低分子量であるため,高温で溶融させて使用する際に良好な流れ性がある。各ポリイソブチレンの重量平均分子量から求める数平均の分子量が12万未満では,高温溶融時の流れ性が過剰となり,30万超では高温溶融時の流れ性が不足する。市販の重量平均分子量が20万のポリイソブチレンにはoppanolB30SF(商品名,BASF社製)が,同重量平均分子量が34万のポリイソブチレンにはoppanolB50SF(商品名,BASF社製),同重量平均分子量が7万5千のポリイソブチレンにはoppanolB15SFN(商品名,BASF社製)がある。なお本願で言う重量平均分子量とは,GPC法により測定したものをいう。
本発明でいう接着付与剤は,少なくともテルペンフェノール樹脂または脂環族飽和炭化水素樹脂からなる。テルペンフェノール樹脂は,テルペンモノマーとフェノールの共重合体であり,PETフィルムに対する接着性を付与するほか、水蒸気バリアー性を保持することを目的として配合される。軟化点はホットメルトシール組成物として使用する際の溶融温度以下であることが望ましく,また,水酸基価は30以上100以下であることが望ましい。軟化点がホットメルトシール組成物として使用する際の溶融温度を超えている場合や,水酸基価が30未満及び100超である場合はPETフィルムに対する接着性が不足する。市販のテルペンフェノール樹脂としては,SylvaresTP2019(商品名,軟化点:125℃,分子量:575,アリゾナケミカル社製),YSポリスターU130(商品名,軟化点130℃,ヤスハラケミカル株式会社製)等がある。
本発明に使用される吸湿剤は,少なくとも生石灰またはゼオライトから成り,重ねられた2枚のシートの周囲端部を本発明であるホットメルトシール組成物でシールした際に,該周囲端部から内部に進入する水分を吸着保持するために配合され,水分を吸着した際の重量増加率は,10〜30%のものが適していて,より好ましくは20〜25%である。10%未満では十分な吸着性能を保持できず,30%超では、吸湿性能が高いため保存安定性が不足する。特に配合される生石灰に関しては,ポリイソブチレンに対する分散性が良好な,粒子の表面を脂肪酸等で処理したものが適している。市販の生石灰としては,CML#31(商品名,表面脂肪酸処理生石灰,水分吸着時の重量増加率:20%,近江化学工業製)が、市販のゼオライトとしては、ミズカシーブス5AP(商品名,水分吸着時の重量増加率:24%,水澤化学製)がある。
本発明に使用されるシラン変性アモロファスポリオレフィンは,シリル化したアモルファスポリ−α-オレフィン重合体である。シリル化前のアモルファス−α−オレフィン重合体としては,アタクチックポリプレピレン,アタクチックポリブテンー1などのホモポリマー,コポリマー;エチレン,プロピレン,ブチレンなどのコポリマーまたはターポリマーを挙げることができる。シラン変性アモロファスポリオレフィンの市販品としてはvestoplast206(粘度;5±1Pa・s/190℃,エポニックデグサ社製)がある。
本発明に使用する充填剤には,少なくともタルクまたはカーボンブラックのいずれかより成る。これらの充填剤は補強性を向上させる効果、および透湿性を向上させる効果があり,粒子表面がカップリング剤(ビニルシランまたは、アミノシラン)で処理されているもののほか未処理のものも使用できる。充填剤の平均粒子径は1nm〜1000μmであり,より好ましくは10nm〜100μmである。
表1に示す配合(配合部数は重量部)にて,重量平均分子量20万のポリイソブチレンとしてoppanolB30SFを,同重量平均分子量が34万のポリイソブチレンにはoppanolB50SFを,同重量平均分子量が7万5千のポリイソブチレンにはoppanolB15SFNを,吸湿剤としてCML#31またはミズカシーブス5APを,充填剤としてタルクMS,カーボンブラックMA100を,シラン変性アモロファスポリオレフィンとしてvestoplast206を,テルペンフェノール樹脂としてSylvaresTP2019(商品名,軟化点:125℃,分子量:575,アリゾナケミカル社製)を,脂環族飽和炭化水素樹脂としてアルコンM135及びアルコンP−90を使用し,試験用ニーダー(1L)で160℃に加熱しながら混練し,実施例1乃至実施例7を得た。
表1に示す配合(配合部数は重量部)にて,上記ポリイソブチレンの他に重量平均分子量410万のポリイソブチレンとしてoppanolB200(商品名,BASF社製)を,吸湿剤としてCML#31を,テルペンフェノール樹脂として前記SylvaresTP2019を,充填剤としてタルクMS,カーボンブラックMA100を,シラン変性アモロファスポリオレフィンとしてvestoplast206を使用して,実施例1乃至実施例6と同様の方法で混練し,比較例1乃至比較例5を得た。
実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を0.7mm厚みに調整した試験片について,JISK7129:2008プラスチックフィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)の赤外線センサ法(付属書B)に準拠し,透過セルの温度85℃湿度100%の条件で,透湿度を測定した。15g/mm2・day以下を○と評価し,これを越えるものを×とした。
実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を10mm×100mm×0.7mm厚みに調整した試験片を,40℃90%RHに14日間放置した際の重量変化率を測定した。重量変化率が2%以上を○と評価し,2%未満を×とした。
20mm×50mm×75μm厚のPETフィルム(商品名:ルミラーS10 ,東レ社製)に実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を140〜160℃に加熱して厚さ0.7mm厚で塗付し,直ちに同形状のPETフィルムを巾10mmでオーバーラップさせるように載置する。140℃5分間真空脱気後,55kPa圧力で15分間プレスする。その後さらに23℃2日間養生後,引張速度20mm/分で2枚のPETフィルムを引張り,破壊強度を測定し,単位面積あたりの破壊強度をせん断密着強度(N/mm2)とした。0.4N/mm2以上を○と評価し0.4N/mm2未満を×とした。 また,破壊時の破壊面を目視で評価し,ホットメルトシール組成物の100%凝集破壊を○と評価し,これ以外を×とした。
180mm×30mm×75μm厚の前記PETフィルムに実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を140〜160℃に加熱して厚さ0.7mmで塗付し,直ちに25mm×400mm×1mmの綿布を張り付ける。140℃5分間真空脱気後,55kPa圧力で15分間プレスする。その後さらに23℃2日間養生した後,引張速度100 mm/分で綿布をPETフィルムに対して180度方向に引っ張り,綿布がはく離する際の強度を測定し,単位長あたりの強度を180度はく離密着強度(N/mm)とした。1.5N/mm以上を○と評価し,1.5N/mm未満を×とした。また,はく離時のはく離面を目視で評価し,ホットメルトシール組成物の50%以上の凝集破壊を○と評価し,これ以外を×とした。
180mm×180mm×75μm厚の前記PETフィルムの周辺端部に実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を140〜160℃に加熱して、幅10mm×厚さ0.7mmで縁取る様に塗付する。ただちに、同形状のもう一枚のPETフィルムと,該ホットメルトシール組成物を挟んだ状態にして重層する。その後、140℃で5分間脱気後,55kPa圧力で15分間プレスし、ホットメルトシール組成物の状態を目視で観察した。ホットメルトシール組成物に気泡の混入がないものを○と評価し,気泡があるものを×とした。
180mm×30mm×300μm厚の太陽電池用バックシート トーヤルソーラーM−Polyesterフィルム(商品名,EPRコーティングアルミシート,東洋アルミ社製)のEPRコーティング面に,実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を140〜160℃に加熱して厚さ0.7mmで塗付し,直ちに同形状の上記太陽電池用バックシートのEPRコーティング面側をホットメルトシール組成物と接するように貼り付け55kPa圧力で15分間プレスする。その後,23℃2日間養生後,一枚の太陽電池用バックシートの端部を指でしっかりと把持し,該太陽電池用バックシートが剥離するように強い力を加えて強制的に剥離させる。その際の剥離状態を目視で観察し,ホットメルトシール組成物の材料破壊であるものを○,太陽電池用バックシートとホットメルトシール組成物との界面剥離が生じているものを×と評価した。
ガラス板上に1.4mm×1.4mm×2.0mm厚に成形した実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6のホットメルトシール組成物を載置し,150℃条件下1kgの荷重を1時間加えた後のフローを測定した。40mm以上60mm以下を○と評価し,40mm未満を△,60mm超を×とした。
JISK6911の5.13抵抗率に準拠し,実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例6の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。1011Ω・cm以上を○とし,1011Ω・cm未満を×とした。
評価結果を表2に示す。実施例1乃至実施例7はすべての評価項目が○であった。
Claims (6)
- 重量平均分子量が15〜25万のポリイソブチレン,又は重量平均分子量が15〜25万のポリイソブチレンと,重量平均分子量が30〜40万のポリイソブチレン若しくは重量平均分子量が6〜9万のポリイソブチレンとの混合物から成るポリイソブチレン,又は重量平均分子量が15〜25万のポリイソブチレンと重量平均分子量が30〜40万のポリイソブチレンと重量平均分子量が6〜9万のポリイソブチレンとから成るポリイソブチレンと,少なくともテルペンフェノール樹脂または脂環族飽和炭化水素樹脂からなる接着付与剤と,少なくとも生石灰またはゼオライトから成る吸湿剤と,シラン変性アモロファスポリオレフィンと,充填剤と,から成り,各ポリイソブチレンの重量平均分子量から求める数平均の分子量が12〜30万であることを特徴とする太陽電池モジュール用ホットメルトシール組成物。
- 接着付与剤はポリイソブチレン100重量部に対して15〜45重量部含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用ホットメルトシール組成物。
- 吸湿剤はポリイソブチレン100重量部に対して20〜60重量部含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール用ホットメルトシール組成物。
- シラン変性アモロファスポリオレフィンはポリイソブチレン100重量部に対して15〜45重量部含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用ホットメルトシール組成物。
- 充填剤は,ポリイソブチレン100重量部に対して50〜200重量部含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用ホットメルトシール組成物。
- 充填剤は,少なくともタルクまたはカーボンブラックのいずれかより成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の太陽電池モジュール用ホットメルトシール組成物。
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