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JP6052231B2 - 車両の車体構造 - Google Patents

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JP6052231B2 JP2014104920A JP2014104920A JP6052231B2 JP 6052231 B2 JP6052231 B2 JP 6052231B2 JP 2014104920 A JP2014104920 A JP 2014104920A JP 2014104920 A JP2014104920 A JP 2014104920A JP 6052231 B2 JP6052231 B2 JP 6052231B2
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Description

本発明は、サイドフレームの先端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に突出した荷重伝達部材を備えた車両の車体構造に関する。
従来より、車両の前面衝突時の乗員に対する衝撃荷重を低減する為に、フロントサイドフレームに入力される衝撃荷重によりフロントサイドフレームを所定の変形モードで変形させることで衝撃エネルギーを吸収する変形モード制御が知られている。
この変形モード制御においては、衝突初期にフロントサイドフレームの先端部に設けられたクラッシュカンを潰れ変形させ、衝突中期以降では、フロントサイドフレームを、ダッシュパネルとの結合部を基点として車幅方向外側へ向かうように屈曲変形させることにより、衝突初期に車体減速度を大きくし、その後も大きな車体減速度を維持している。
車両の前面衝突では、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側の車体部分に衝撃荷重が作用することがある。このスモールオーバーラップ衝突(以下、SOL衝突と略す)では、衝突物がフロントサイドフレームと前輪との間に入り込む虞があり、また、衝突物とフロントサイドフレームとがオーバーラップする場合に比べてフロントサイドフレームへの荷重伝達効率が低下し、フロントサイドフレームの変形による衝撃エネルギー吸収量が少なくなり、衝撃荷重が車室側へ伝達され易くなる。
特許文献1の車両の車体構造は、フロントサイドフレームから車幅方向外側に突出する閉断面状の突出部(荷重伝達部材)を設け、この突出部の前端を車体前後方向においてクラッシュカンとフロントサイドフレームとの連結部とセットプレートを介して連結し、突出部の車幅方向外側の側面を平面視において車体後方に向かって車幅方向内側へ傾斜するように形成し、突出部とパワーユニットとを車体前後方向にオーバーラップさせている。
また、車体構成部材であるエプロンレインフォースメント(以下、レインフォースメントをレインと略す)を利用して荷重伝達部材を形成する技術も提案されている。
特許文献2の車両の車体構造は、フロントサイドフレームと、エプロンレインと、セットプレートを介してフロントサイドフレームの先端に取り付けられたクラッシュカンとを備え、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側にエプロンレインの先端とセットプレートとを連結する閉断面状の連結部材(荷重伝達部材)を設けている。
特開2013−212757号公報 特開2005−231435号公報
一般に、先端にバンパレインが装着されたクラッシュカンは、後端が螺合可能な締結部材(例えばボルト)によってフロントサイドフレームの先端部に設けられたセットプレートに締結固定されている。車両の軽衝突時には、締結部材を取り外して破損したクラッシュカンのみを新しいクラッシュカンに交換することにより、リペア性を確保している。
このような構造では、クラッシュカンが、セットプレートに対して車体前方から後方に向けて前後方向に締結固定される、所謂片持ち構造になっているため、車両の走行振動に起因してバンパレインが上下方向に揺動し易いことから、NVH(Noise Vibration Harshness)性能が低下し、乗員の室内の居住性が悪化するという問題があった。
クラッシュカンの上下振動は、セットプレートを廃止して、フロントサイドフレームの先端部にクラッシュカンの基端部分を挿入し、締結部材により車幅方向から締結固定することで、クラッシュカンの連結領域を増加してクラッシュカンの支持剛性を向上させることができ、上下振動を抑制することができる。
しかし、SOL衝突を対策しながら、セットプレートを廃止してクラッシュカンを車幅方向に締結固定する場合、以下のような新たな問題が生じる虞がある。
即ち、前記特許文献の車両の車体構造では、セットプレートを廃止してクラッシュカンを車幅方向一端側から締結固定する場合、閉断面状の荷重伝達部材の車幅方向外側の側壁部にクラッシュカンを締結固定するための締結ツール用アクセス孔を形成する必要があり、これに伴って荷重伝達部材の剛性が低下し、結果的に荷重伝達部材によるフロントサイドフレームへの荷重伝達効率が低下する虞があり、荷重伝達部材の板厚を厚くする等の車体の重量が増加する対策が必要となり、軽量化の観点からは不利となる。
本発明の目的は、クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能と荷重伝達性能とを両立できる車両の車体構造等を提供することである。
請求項1の車両の車体構造は、車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対のクラッシュカンを介して支持する左右1対のサイドフレームと、これら左右1対のサイドフレームの前記先端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に夫々突出した左右1対の荷重伝達部材とを備えた車両の車体構造において、前記クラッシュカンの基端部分が前記サイドフレームの先端部に挿入して固定されると共に、前記荷重伝達部材の先端部分が、車幅方向に沿った鉛直断面において、離隔した1対の横板部及びこれら1対の横板部の車幅方向内側端部を連結する縦板部を夫々備えた複数のコ字状断面部と、隣り合うコ字状断面部の隣接する横板部の車幅方向外側端部を連結する連結板部とを備え、前記縦板部が締結部材によって前記サイドフレームに締結されたことを特徴としている。
この車両の車体構造では、クラッシュカンの基端部分がサイドフレームの先端部に挿入して固定されるため、荷重伝達部材の上下振動を抑制しながら締結部材により車幅方向から締結固定することができる。また、荷重伝達部材の先端部分が、鉛直断面において、離隔した1対の横板部及びこれら1対の横板部の車幅方向内側端部を連結する縦板部を夫々備えた複数のコ字状断面部と、隣り合うコ字状断面部の隣接する横板部の車幅方向外側端部を連結する連結板部とを備え、縦板部が締結部材によってサイドフレームに締結されているため、コ字状断面部の横板部を設定することと、コ字状断面部の開放形状により締結ツール用アクセス孔を各板部に形成する必要が無いことにより荷重伝達部材の剛性を確保しつつ、コ字状断面部の縦板部により荷重伝達部材の連結部分を形成してクラッシュカンのリペア性を確保することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記コ字状断面部の車幅方向外側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する外側板部を設けたことを特徴としている。
これにより、締結ツールのアクセス性を確保するためにコ字状断面部の前部は開放形状とし、後部は閉断面形状とすることにより、荷重伝達部材の剛性を一層向上することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記サイドフレームがフロントサイドフレームであって、前記複数のコ字状断面部のうち最下端のコ字状断面部が前記フロントサイドフレームの下端部に形成されたマウント部材に連結された延長部を有することを特徴としている。
これによれば、コ字状断面部とマウント部材とによっても閉断面部を形成できるので、荷重伝達部材の剛性を一層向上することができる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記荷重伝達部材が、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側部に取り付けられた突出部材、エプロンレインフォースメントの前端部から前方に延びた延設部材、前記突出部材に前記延設部材を重ね合わせた重合部材のうちの何れかで構成されたことを特徴としている。
これによれば、クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能とSOL衝突時の荷重伝達性能とを両立することができる。
実施例1に係る車体前部の斜視図である。 車体前部の左側側面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 突出部材の分解斜視図である。 実施例2に係る図1相当図である。 図6の要部拡大図である。 図4相当図である。 実施例3に係る図3相当図である。 図5相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1〜図5に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、車両Vには、車室SとエンジンルームEとを前後に仕切るダッシュパネル1と、このダッシュパネル1の前側に配設される左右1対のフロントサイドフレーム2と、これら1対のフロントサイドフレーム2の前端部に左右1対の筒状のクラッシュカン3を介して支持されたバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと略す)4と、1対のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側上方に配置された1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)5と、フロントサイドフレーム2とエプロンレイン5との間でダッシュパネル1に近接配置される1対の筒状のサスタワー6等が設けられている。
この車両Vには、エンジンルームEの下側に配設されたサスペンションクロスメンバ7と、サスペンションクロスメンバ7の左右両側に配置された1対のサスペンションアーム8と、前後方向に配設された左右1対のエクステンションメンバ9と、1対のエクステンションメンバ9の前端部に架着されたフロントクロスメンバ10と、1対のフロントサイドフレーム2の先端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に夫々突出した左右1対の突出部材20(荷重伝達部材)等が設けられている。尚、以下、車両Vの前後方向を前後方向とし、左右方向を左右方向として説明する。
ダッシュパネル1は、フロントサイドフレーム2等に比べて板厚が薄く比較的剛性の低い鋼板からなる。このダッシュパネル1は、車室Sの前端部において上下方向に延びる縦壁部1aと、縦壁部1aの下端縁から後方に向かって後方下がり傾斜状に延びる傾斜部1bとを備えている。縦壁部1aの下端部と傾斜部1bの上端部はスポット溶接により接合されている。傾斜部1bの後端部分は、フロアパネル(図示略)の前端部分に接合されている。縦壁部1aの上端部は、車幅方向に延びるカウル部(図示略)に接合され、ダッシュパネル1の車幅方向両端部はフロントヒンジピラー(図示略)に接合されている。
図1,図2に示すように、ダッシュパネル1の縦壁部1aと傾斜部1bの接合部分において、エンジンルームE側の前面には、車幅方向に延びる断面ハット状のダッシュクロスメンバ11が設けられている。ダッシュクロスメンバ11は、ダッシュパネル1と閉断面部を形成し、ダッシュパネル1の剛性を高めている。ダッシュクロスメンバ11の左右両側端部は、後述するフロントサイドフレーム2とダッシュパネル1の結合部Lに接合され、フロントサイドフレーム2の支持剛性を高めている。
次に、左右1対のフロントサイドフレーム2について、説明する。
左右1対のフロントサイドフレーム2は、車室Sの前端を仕切るダッシュパネル1の前側においてエンジンルームEの左部と右部に前後方向に延びるように配設されている。即ち、左右1対のフロントサイドフレーム2は、車両Vの前端側位置から後方へ向かって略水平状に延び且つ後端側途中部がダッシュパネル1の縦壁部1aに接合され、後端側部分が傾斜部1bとフロアパネルの下面に沿って後方下がり傾斜状に延びて接合されている。フロントサイドフレーム2の後端側部分はダッシュパネル1と結合部Lにより接合されている。
このフロントサイドフレーム2は、フレーム自体で断面略矩形状の閉断面部を形成する前側フレームと、傾斜部1b及びフロアパネルと協働して閉断面部を形成する後側フレームとから構成されている。前側フレームの後端とダッシュパネル1の縦壁部1a及び傾斜部1bはスポット溶接により接合され、後側フレームは傾斜部1bとフロアパネルに接合され、前側フレームの後端部と後側フレームの前端部とが接合されている。
尚、以下、特に説明がない場合、水平状の前側フレームをフロントサイドフレーム2として説明している。
図1〜図5に示すように、フロントサイドフレーム2は、車幅方向外側のアウタパネル2aと、車幅方向内側のインナパネル2bとから構成されている。アウタパネル2aは、平板状のハイテン鋼板がプレス成形された部材であり、アウタパネル2aは、上側に位置するアウタ上フランジ部と、下側に位置するアウタ下フランジ部と、両者の中間に位置する鉛直断面略コ字状のアウタパネル本体部とを備えている。同様に、ハイテン鋼板製インナパネル2bは、上側に位置するインナ上フランジ部、下側に位置するインナ下フランジ部、両者の中間に位置する鉛直断面略コ字状のインナパネル本体部を備えている。
アウタ上フランジ部とインナ上フランジ部がスポット溶接され、アウタ下フランジ部とインナ下フランジ部がスポット溶接されることにより、フロントサイドフレーム2の上側結合フランジと、下側結合フランジが夫々構成されている。下側結合フランジはフロントサイドフレーム2の前端から結合部Lの前方近傍位置に亙って形成され、アウタパネル本体部とインナパネル本体部は、下側結合フランジの後端部から傾斜部1bの中段部に亙って更に後方に延設されている。
フロントサイドフレーム2の前端部には、クラッシュカン3を介してバンパレイン4が支持されている。このクラッシュカン3は、フロントサイドフレーム2と同種の金属製筒状体で形成されている。クラッシュカン3の後端部には、水平断面略コ字状のナットプレート12が配設されている。ナットプレート12には、クラッシュカン3の左右両側部分に形成された上下1対のボルト穴3a(図5参照)に対応するように、その左右1対の内側部分に上下1対のナット13が夫々溶接されている。
軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合、フロントサイドフレーム2が破損することなく、クラッシュカン3のみが潰れることによって衝撃を吸収し、クラッシュカン3の変形のみで衝撃を吸収できない場合、フロントサイドフレーム2が屈曲変形することにより衝撃を吸収して、車室Sに伝達される衝撃荷重を低減している。
左右1対のエプロンレイン5は、1対のフロントヒンジピラーの付け根部分から夫々前方へ延設され、1対のサスタワー6を夫々支持している。これらエプロンレイン5の車幅方向外側部分には、フェンダパネルが夫々装着されている。
左右1対のエクステンションメンバ9は、エンジン(図示略)を支持するために、エンジンルームEの側部において前後方向に夫々延び、それらの後端部がサスペンションクロスメンバ7の前端部に連結されている。エクステンションメンバ9の前端部は、フロントサイドフレーム2の前端下端部に直方体状のマウント部材14を介して連結されている。
フロントクロスメンバ10の左右両端部は、エクステンションメンバ9を挟んでマウント部材14に固定されている。
次に、左右1対の突出部材20について、説明する。
図1〜図5に示すように、左側突出部材20は、右側突出部材20と左右対称の構成であるため、以下、主に左側突出部材20について説明する。
図3〜図5に示すように、突出部材20は、鉛直断面において、離隔した1対の横板部21a及びこれら1対の横板部21aの右側端部を連結する縦板部21bを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部21と、隣り合うコ字状断面部21の隣接する横板部21aの左側端部を連結する連結板部22と、上下1対のコ字状断面部21の左側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する外側板部23とを備えている。
突出部材20の前端は、平面視にてフロントサイドフレーム2の前端部と同じ前後方向位置に配設されている。横板部21aは、アウタパネル2aから略水平状に左側へ延びるように構成され、平面視にて略三角形状に形成されている。
最上端のコ字状断面部21は、上側横板部21aの左側端部から略鉛直上方へ張り出したフランジ部を有している。
上下1対の縦板部21bの前端部分には、各々1つのボルト穴21fが形成されている。
最下端のコ字状断面部21は、フロントサイドフレーム2の下端部に形成されたマウント部材14の左側壁部に接合するための延長部24を有している。
延長部24は、下側横板部21aの左側端部から略鉛直下方へ延びた後、マウント部材14に当接するまで斜め右下方に延び、マウント部材14の左側壁部に沿って再び略鉛直下方に延びるように構成され、延長部24とマウント部材14の左側壁部は、協働して前後方向に延びる閉断面部を構成している。
外側板部23は、締結ツールがアクセスできるように上下1対のボルト穴21fの左側を開放すると共に突出部材20の後端近傍位置から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部21の左側を塞ぐように形成されている。
外側板部23は、最上端のコ字状断面部21の上側横板部21aのフランジ部と連結板部22と延長部24の左端部分とに接合されている。コ字状断面部21と外側板部23は、協働して前後方向に延びる閉断面部を構成している。
次に、クラッシュカン3及び突出部材20の組み付け手順について説明する。
まず、図5に示すように、アウタパネル2aに設けられた上下1対のボルト穴2fと上下2つの縦板部21bのボルト穴21fとを位置決めした状態で上下1対のコ字状断面部21をアウタパネル2aの前端側部分に接合する。ここで、延長部24をマウント部材14の左側壁部に溶接している。
そして、ナットプレート12が配設されたクラッシュカン3をフロントサイドフレーム2の前端部に挿入する。このとき、車幅方向外側において、上下1対のナット13とクラッシュカン3の上下1対のボルト穴3aとアウタパネル2aのボルト穴2fと上下1対のボルト穴21fとの位置決めを行い、車幅方向内側において、上下1対のナット13とクラッシュカン3の上下1対のボルト穴3aとインナパネル2bの上下1対のボルト穴2gとの位置決めを行う。
次に、車幅方向外側において、1対のボルト26によって上下1対のコ字状断面部21の縦板部21bとアウタパネル2aとクラッシュカン3とナットプレート12とを共締めし、車幅方向内側において、1対のボルト26によってインナパネル2bとクラッシュカン3とナットプレート12とを共締めする。最後に、外側板部23を最上端のコ字状断面部21の上側横板部21aのフランジ部と連結板部22と最下端のコ字状断面部21の下側横板部21aの車幅方向外側端部に接合する。
これにより、クラッシュカン3のみが潰れた場合、コ字状断面部21の左方から締結ツールを挿入してボルト26を取り外し、新たなクラッシュカン3に交換する。
次に、上記車両Vの車体構造の作用・効果について説明する。
この車両Vの車体構造では、クラッシュカン3の後端部分がサイドフレーム2の前端部に挿入して固定されるため、突出部材20の上下振動を抑制しながらボルト26により車幅方向から締結固定することができる。また、突出部材20の前端部分が、車幅方向に沿った鉛直断面において、離隔した1対の横板部21a及びこれら1対の横板部21aの車幅方向内側端部を連結する縦板部21bを夫々備えた上下1対のコ字状断面部21と、隣り合うコ字状断面部21の隣接する横板部21aの車幅方向外側端部を連結する連結板部22とを備え、縦板部21bがボルト26によってアウタパネル2aに締結されているため、コ字状断面部21の横板部21aを設定することと、コ字状断面部21の開放形状により締結ツール用アクセス孔を各板部に形成する必要が無いことにより突出部材20の剛性を確保しつつ、コ字状断面部21の縦板部21aにより突出部材20の連結部分を形成してクラッシュカン3のリペア性を確保することができる。
コ字状断面部21の車幅方向外側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する外側板部23を設けたため、締結ツールのアクセス性を確保するためにコ字状断面部21の前部は開放形状とし、後部は閉断面形状とすることにより、突出部材20の剛性を一層向上することができる。
サイドフレームがフロントサイドフレーム2であって、上下1対の複数のコ字状断面部21のうち最下端のコ字状断面部21がフロントサイドフレーム2の下端部に形成されたマウント部材14に連結された延長部24を有するため、コ字状断面部21とマウント部材14とによっても閉断面部を形成できるので、突出部材20の剛性を一層向上することができる。
次に、実施例2に係る車両の車体構造について図6〜図8に基づいて説明する。
尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1の荷重伝達部材は、フロントサイドフレーム2の車幅方向外側部に取り付けられた突出部材20で構成したのに対し、実施例2の荷重伝達部材では、エプロンレイン5Aの前端部から前方に延びる延設部材30で構成している。
図6〜図8に示すように、車両VAには、1対のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側上方に配置された左右1対のエプロンレイン5Aが設けられている。これらエプロンレイン5Aの前端部には、鉛直断面略矩形状の閉断面部を構成する延設部材30が着脱可能に夫々取り付けられている。尚、左側延設部材30は、右側延設部材30と左右対称の構成であるため、以下、主に左側延設部材30について説明する。
延設部材30は、フロントサイドフレーム2の車幅方向外側において、前方下り傾斜状に形成され、その前端部がフロントサイドフレーム2の前端部左側位置に隣接するように設けられている。この延設部材30は、鉛直断面において、離隔した1対の横板部31a及びこれら1対の横板部31aの右側端部を連結する縦板部31bを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部31と、隣り合うコ字状断面部31の隣接する横板部31aの左側端部を連結する連結板部32と、上下1対のコ字状断面部31の左側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する鉛直断面略ハット状の外側板部33とを備えている。
図7,図8に示すように、延設部材30の前端は、平面視にてフロントサイドフレーム2の前端部と同じ前後方向位置に配設されている。各横板部31aは、アウタパネル2aから略水平状に左側へ延びるように構成されている。
最上端のコ字状断面部31は、上側横板部31aの左側端部から略鉛直上方へ張り出したフランジ部を有している。上下1対の縦板部31bの前端部分には、各々1つのボルト穴31fが形成されている。
最下端のコ字状断面部31は、下側横板部31aの左側端部から略鉛直下方へ張り出したフランジ部を有している。
外側板部33は、締結ツールがアクセスできるように上下1対のボルト穴31fの左側を開放すると共に延設部材30の後端位置から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部31の左側を塞ぐように形成されている。外側板部33は、最上端のコ字状断面部31の上側横板部31aのフランジ部、最下端のコ字状断面部31の下側横板部31aのフランジ部及び連結板部32に接合されている。
図8に示すように、車幅方向外側において、上下1対のナット13とクラッシュカン3の上下1対のボルト穴3aとアウタパネル2aの上下1対のボルト穴2fと上下1対のボルト穴31fとが位置決めされ、1対のボルト26によってナットプレート12とクラッシュカン3とアウタパネル2aと上下1対の縦板部31b(コ字状断面部31)とが共締めされている。また、車幅方向内側において、上下1対のナット13とクラッシュカン3の上下1対のボルト穴3aとインナパネル2bの上下1対のボルト穴2gとが位置決めされ、1対のボルト26によってナットプレート12とクラッシュカン3とインナパネル2bとが共締めされている。
これにより、クラッシュカン3のリペア性を確保しつつ、NVH性能と衝撃吸収性能を増加することができる。
次に、実施例3に係る車両の車体構造について図9,図10に基づいて説明する。
尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1の荷重伝達部材は、鉛直断面において、複数のコ字状断面部を備えた突出部材で構成したのに対し、実施例3の荷重伝達部材では、突出部材に延設部材を重ね合わせた重合部材40で構成している。
図9,図10に示すように、この車両VBには、1対のフロントサイドフレーム2の前端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に夫々突出した左右1対の重合部材40が設けられている。左側重合部材40は、右側重合部材40と左右対称の構成であるため、以下、主に左側重合部材40について説明する。
重合部材40は、突出部材20Aと、延設部材30Aと、外側板部43とを備えている。
突出部材20Aは、外側板部23を除いて突出部材20と基本的に同じ構成であり、延設部材30Aは、外側板部33を除いて延設部材30と基本的に同じ構成である。
突出部材20Aは、鉛直断面において、離隔した1対の横板部21a及びこれら1対の横板部21aの右側端部を連結する縦板部21bを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部21と、隣り合うコ字状断面部21の隣接する横板部21aの左側端部を連結する連結板部22とを備えている。
上下1対の縦板部21bの前端部分には、各々1つのボルト穴21fが形成されている。
延設部材30Aは、突出部材20Aに重ね合わせ可能に構成され、鉛直断面において、離隔した1対の横板部31a及びこれら1対の横板部31aの右側端部を連結する縦板部31bを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部31と、隣り合うコ字状断面部31の隣接する横板部31aの左側端部を連結する連結板部32とを備えている。
上下1対のコ字状断面部31は、上下1対のコ字状断面部21に左方から嵌合可能に構成されている。上下1対の縦板部31bの前端部分には、ボルト穴21fに対応して各々1つのボルト穴31fが形成されている。
外側板部43は、締結ツールがアクセスできるように上下1対のボルト穴31f(21f)の左側を開放すると共に延設部材30Aの後端位置から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部31の左側を塞ぐように形成されている。
図9,図10に示すように、車幅方向外側において、上下1対のナット13とクラッシュカン3の上下1対のボルト穴3aとアウタパネル2aの上下1対のボルト穴2fと上下1対のボルト穴21fと上下1対のボルト穴31fとが位置決めされ、1対のボルト26によってナットプレート12とクラッシュカン3とアウタパネル2aと上下1対の縦板部21bと上下1対の縦板部31bとが共締めされている。また、車幅方向内側において、上下1対のナット13とクラッシュカン3の上下1対のボルト穴3aとインナパネル2bの上下1対のボルト穴とが位置決めされ、1対のボルト26によってナットプレート12とクラッシュカン3とインナパネル2bとが共締めされている。これにより、クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能とSOL衝突時の荷重伝達性能とを両立することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、フロントサイドフレームの例を説明したが、リヤサイドフレームに適用しても良い。
2〕前記実施形態においては、荷重伝達部材の前端から後端に亙ってコ字状断面部が長尺状に形成された例を説明したが、少なくともボルト穴が形成される縦板部が形成できれば良く、荷重伝達部材の前半部のみに形成しても良い。また、荷重伝達部材の前半部のみに形成すると共に後側程奥行きを小さくすることも可能である。
3〕前記実施形態においては、上下1対のコ字状断面部を備えた荷重伝達部材の例を説明したが、3以上のコ字状断面部を備えても良く、荷重伝達要求に応じて任意に個数を設定することができる。また、荷重伝達部材の前方を開放状に構成した例を説明したが、荷重伝達部材の前方を塞ぐ前板部を設けても良い。
4〕前記実施形態においては、荷重伝達部材の前端部分を除くコ字状断面部の外側を塞ぐ外側板部を設けた例を説明したが、設計条件に応じて外側板部を省略可能である。
また、横板部により荷重伝達性能を確保しているため、荷重伝達部材のコ字状断面部の外側を全て塞いで外側板部にアシスト孔を形成しても良い。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
V,VA,VB 車両
2 フロントサイドフレーム
3 クラッシュカン
4 バンパレイン
5,5A エプロンレイン
14 マウント部材
20,20A 突出部材
21 コ字状断面部
21a 横板部
21b 縦板部
22 連結板部
23 外側板部
24 延長部
26 ボルト
30,30A 延設部材
31 コ字状断面部
31a 横板部
31b 縦板部
32 連結板部
33 外側板部
40 重合部材
43 外側板部

Claims (4)

  1. 車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対のクラッシュカンを介して支持する左右1対のサイドフレームと、これら左右1対のサイドフレームの前記先端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に夫々突出した左右1対の荷重伝達部材とを備えた車両の車体構造において、
    前記クラッシュカンの基端部分が前記サイドフレームの先端部に挿入して固定されると共に、
    前記荷重伝達部材の先端部分が、車幅方向に沿った鉛直断面において、離隔した1対の横板部及びこれら1対の横板部の車幅方向内側端部を連結する縦板部を夫々備えた複数のコ字状断面部と、隣り合うコ字状断面部の隣接する横板部の車幅方向外側端部を連結する連結板部とを備え、
    前記縦板部が締結部材によって前記サイドフレームに締結されたことを特徴とする車両の車体構造。
  2. 前記コ字状断面部の車幅方向外側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する外側板部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両の車体構造。
  3. 前記サイドフレームがフロントサイドフレームであって、
    前記複数のコ字状断面部のうち最下端のコ字状断面部が前記フロントサイドフレームの下端部に形成されたマウント部材に連結された延長部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の車体構造。
  4. 前記荷重伝達部材が、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側部に取り付けられた突出部材、エプロンレインフォースメントの前端部から前方に延びた延設部材、前記突出部材に前記延設部材を重ね合わせた重合部材のうちの何れかで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の車体構造。
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