JP6052231B2 - 車両の車体構造 - Google Patents
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Description
この変形モード制御においては、衝突初期にフロントサイドフレームの先端部に設けられたクラッシュカンを潰れ変形させ、衝突中期以降では、フロントサイドフレームを、ダッシュパネルとの結合部を基点として車幅方向外側へ向かうように屈曲変形させることにより、衝突初期に車体減速度を大きくし、その後も大きな車体減速度を維持している。
特許文献2の車両の車体構造は、フロントサイドフレームと、エプロンレインと、セットプレートを介してフロントサイドフレームの先端に取り付けられたクラッシュカンとを備え、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側にエプロンレインの先端とセットプレートとを連結する閉断面状の連結部材(荷重伝達部材)を設けている。
このような構造では、クラッシュカンが、セットプレートに対して車体前方から後方に向けて前後方向に締結固定される、所謂片持ち構造になっているため、車両の走行振動に起因してバンパレインが上下方向に揺動し易いことから、NVH(Noise Vibration Harshness)性能が低下し、乗員の室内の居住性が悪化するという問題があった。
しかし、SOL衝突を対策しながら、セットプレートを廃止してクラッシュカンを車幅方向に締結固定する場合、以下のような新たな問題が生じる虞がある。
これにより、締結ツールのアクセス性を確保するためにコ字状断面部の前部は開放形状とし、後部は閉断面形状とすることにより、荷重伝達部材の剛性を一層向上することができる。
これによれば、コ字状断面部とマウント部材とによっても閉断面部を形成できるので、荷重伝達部材の剛性を一層向上することができる。
これによれば、クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能とSOL衝突時の荷重伝達性能とを両立することができる。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1,図2に示すように、車両Vには、車室SとエンジンルームEとを前後に仕切るダッシュパネル1と、このダッシュパネル1の前側に配設される左右1対のフロントサイドフレーム2と、これら1対のフロントサイドフレーム2の前端部に左右1対の筒状のクラッシュカン3を介して支持されたバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと略す)4と、1対のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側上方に配置された1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)5と、フロントサイドフレーム2とエプロンレイン5との間でダッシュパネル1に近接配置される1対の筒状のサスタワー6等が設けられている。
左右1対のフロントサイドフレーム2は、車室Sの前端を仕切るダッシュパネル1の前側においてエンジンルームEの左部と右部に前後方向に延びるように配設されている。即ち、左右1対のフロントサイドフレーム2は、車両Vの前端側位置から後方へ向かって略水平状に延び且つ後端側途中部がダッシュパネル1の縦壁部1aに接合され、後端側部分が傾斜部1bとフロアパネルの下面に沿って後方下がり傾斜状に延びて接合されている。フロントサイドフレーム2の後端側部分はダッシュパネル1と結合部Lにより接合されている。
尚、以下、特に説明がない場合、水平状の前側フレームをフロントサイドフレーム2として説明している。
軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合、フロントサイドフレーム2が破損することなく、クラッシュカン3のみが潰れることによって衝撃を吸収し、クラッシュカン3の変形のみで衝撃を吸収できない場合、フロントサイドフレーム2が屈曲変形することにより衝撃を吸収して、車室Sに伝達される衝撃荷重を低減している。
左右1対のエクステンションメンバ9は、エンジン(図示略)を支持するために、エンジンルームEの側部において前後方向に夫々延び、それらの後端部がサスペンションクロスメンバ7の前端部に連結されている。エクステンションメンバ9の前端部は、フロントサイドフレーム2の前端下端部に直方体状のマウント部材14を介して連結されている。
フロントクロスメンバ10の左右両端部は、エクステンションメンバ9を挟んでマウント部材14に固定されている。
図1〜図5に示すように、左側突出部材20は、右側突出部材20と左右対称の構成であるため、以下、主に左側突出部材20について説明する。
図3〜図5に示すように、突出部材20は、鉛直断面において、離隔した1対の横板部21a及びこれら1対の横板部21aの右側端部を連結する縦板部21bを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部21と、隣り合うコ字状断面部21の隣接する横板部21aの左側端部を連結する連結板部22と、上下1対のコ字状断面部21の左側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する外側板部23とを備えている。
最上端のコ字状断面部21は、上側横板部21aの左側端部から略鉛直上方へ張り出したフランジ部を有している。
上下1対の縦板部21bの前端部分には、各々1つのボルト穴21fが形成されている。
延長部24は、下側横板部21aの左側端部から略鉛直下方へ延びた後、マウント部材14に当接するまで斜め右下方に延び、マウント部材14の左側壁部に沿って再び略鉛直下方に延びるように構成され、延長部24とマウント部材14の左側壁部は、協働して前後方向に延びる閉断面部を構成している。
外側板部23は、締結ツールがアクセスできるように上下1対のボルト穴21fの左側を開放すると共に突出部材20の後端近傍位置から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部21の左側を塞ぐように形成されている。
外側板部23は、最上端のコ字状断面部21の上側横板部21aのフランジ部と連結板部22と延長部24の左端部分とに接合されている。コ字状断面部21と外側板部23は、協働して前後方向に延びる閉断面部を構成している。
まず、図5に示すように、アウタパネル2aに設けられた上下1対のボルト穴2fと上下2つの縦板部21bのボルト穴21fとを位置決めした状態で上下1対のコ字状断面部21をアウタパネル2aの前端側部分に接合する。ここで、延長部24をマウント部材14の左側壁部に溶接している。
これにより、クラッシュカン3のみが潰れた場合、コ字状断面部21の左方から締結ツールを挿入してボルト26を取り外し、新たなクラッシュカン3に交換する。
この車両Vの車体構造では、クラッシュカン3の後端部分がサイドフレーム2の前端部に挿入して固定されるため、突出部材20の上下振動を抑制しながらボルト26により車幅方向から締結固定することができる。また、突出部材20の前端部分が、車幅方向に沿った鉛直断面において、離隔した1対の横板部21a及びこれら1対の横板部21aの車幅方向内側端部を連結する縦板部21bを夫々備えた上下1対のコ字状断面部21と、隣り合うコ字状断面部21の隣接する横板部21aの車幅方向外側端部を連結する連結板部22とを備え、縦板部21bがボルト26によってアウタパネル2aに締結されているため、コ字状断面部21の横板部21aを設定することと、コ字状断面部21の開放形状により締結ツール用アクセス孔を各板部に形成する必要が無いことにより突出部材20の剛性を確保しつつ、コ字状断面部21の縦板部21aにより突出部材20の連結部分を形成してクラッシュカン3のリペア性を確保することができる。
サイドフレームがフロントサイドフレーム2であって、上下1対の複数のコ字状断面部21のうち最下端のコ字状断面部21がフロントサイドフレーム2の下端部に形成されたマウント部材14に連結された延長部24を有するため、コ字状断面部21とマウント部材14とによっても閉断面部を形成できるので、突出部材20の剛性を一層向上することができる。
尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1の荷重伝達部材は、フロントサイドフレーム2の車幅方向外側部に取り付けられた突出部材20で構成したのに対し、実施例2の荷重伝達部材では、エプロンレイン5Aの前端部から前方に延びる延設部材30で構成している。
最上端のコ字状断面部31は、上側横板部31aの左側端部から略鉛直上方へ張り出したフランジ部を有している。上下1対の縦板部31bの前端部分には、各々1つのボルト穴31fが形成されている。
外側板部33は、締結ツールがアクセスできるように上下1対のボルト穴31fの左側を開放すると共に延設部材30の後端位置から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部31の左側を塞ぐように形成されている。外側板部33は、最上端のコ字状断面部31の上側横板部31aのフランジ部、最下端のコ字状断面部31の下側横板部31aのフランジ部及び連結板部32に接合されている。
これにより、クラッシュカン3のリペア性を確保しつつ、NVH性能と衝撃吸収性能を増加することができる。
尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1の荷重伝達部材は、鉛直断面において、複数のコ字状断面部を備えた突出部材で構成したのに対し、実施例3の荷重伝達部材では、突出部材に延設部材を重ね合わせた重合部材40で構成している。
突出部材20Aは、外側板部23を除いて突出部材20と基本的に同じ構成であり、延設部材30Aは、外側板部33を除いて延設部材30と基本的に同じ構成である。
突出部材20Aは、鉛直断面において、離隔した1対の横板部21a及びこれら1対の横板部21aの右側端部を連結する縦板部21bを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部21と、隣り合うコ字状断面部21の隣接する横板部21aの左側端部を連結する連結板部22とを備えている。
上下1対の縦板部21bの前端部分には、各々1つのボルト穴21fが形成されている。
上下1対のコ字状断面部31は、上下1対のコ字状断面部21に左方から嵌合可能に構成されている。上下1対の縦板部31bの前端部分には、ボルト穴21fに対応して各々1つのボルト穴31fが形成されている。
外側板部43は、締結ツールがアクセスできるように上下1対のボルト穴31f(21f)の左側を開放すると共に延設部材30Aの後端位置から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部31の左側を塞ぐように形成されている。
1〕前記実施形態においては、フロントサイドフレームの例を説明したが、リヤサイドフレームに適用しても良い。
また、横板部により荷重伝達性能を確保しているため、荷重伝達部材のコ字状断面部の外側を全て塞いで外側板部にアシスト孔を形成しても良い。
2 フロントサイドフレーム
3 クラッシュカン
4 バンパレイン
5,5A エプロンレイン
14 マウント部材
20,20A 突出部材
21 コ字状断面部
21a 横板部
21b 縦板部
22 連結板部
23 外側板部
24 延長部
26 ボルト
30,30A 延設部材
31 コ字状断面部
31a 横板部
31b 縦板部
32 連結板部
33 外側板部
40 重合部材
43 外側板部
Claims (4)
- 車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対のクラッシュカンを介して支持する左右1対のサイドフレームと、これら左右1対のサイドフレームの前記先端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に夫々突出した左右1対の荷重伝達部材とを備えた車両の車体構造において、
前記クラッシュカンの基端部分が前記サイドフレームの先端部に挿入して固定されると共に、
前記荷重伝達部材の先端部分が、車幅方向に沿った鉛直断面において、離隔した1対の横板部及びこれら1対の横板部の車幅方向内側端部を連結する縦板部を夫々備えた複数のコ字状断面部と、隣り合うコ字状断面部の隣接する横板部の車幅方向外側端部を連結する連結板部とを備え、
前記縦板部が締結部材によって前記サイドフレームに締結されたことを特徴とする車両の車体構造。 - 前記コ字状断面部の車幅方向外側を塞いで車体前後方向に延びる閉断面部を形成する外側板部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両の車体構造。
- 前記サイドフレームがフロントサイドフレームであって、
前記複数のコ字状断面部のうち最下端のコ字状断面部が前記フロントサイドフレームの下端部に形成されたマウント部材に連結された延長部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の車体構造。 - 前記荷重伝達部材が、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側部に取り付けられた突出部材、エプロンレインフォースメントの前端部から前方に延びた延設部材、前記突出部材に前記延設部材を重ね合わせた重合部材のうちの何れかで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の車体構造。
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