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JP6049606B2 - 加熱硬化型導電性ペースト - Google Patents

加熱硬化型導電性ペースト Download PDF

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JP6049606B2 JP2013268064A JP2013268064A JP6049606B2 JP 6049606 B2 JP6049606 B2 JP 6049606B2 JP 2013268064 A JP2013268064 A JP 2013268064A JP 2013268064 A JP2013268064 A JP 2013268064A JP 6049606 B2 JP6049606 B2 JP 6049606B2
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Description

本発明は、配線導体を作製するために用いられる導電性ペーストに関する。より詳しくは、加熱することによって導電性被膜を形成する加熱硬化型導電性ペーストに関する。
従来より、電子部品等の電極や配線パターンを形成するために、導電性ペーストが広く用いられている。例えば、高温に曝されると性能が低下してしまうような基板(例えば導電性フィルム)上に電極や配線パターンを形成する場合には、加熱硬化型導電性ペーストが好ましく利用されている。加熱硬化型導電性ペーストは、導電性粉末と熱硬化性樹脂と必要に応じて用いられる他の成分(例えば硬化剤やフィラー等)とを撹拌混合し、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。)に調製したものである。かかるペーストを基板上に所望のパターンで付与した後、比較的低温(典型的には100〜300℃、例えば100〜200℃)で加熱乾燥し、熱硬化性樹脂を硬化させることで、導電性被膜(電極や配線パターン)を形成することができる。例えば特許文献1〜4には、このような用途に使用し得る加熱硬化型導電性ペーストが開示されている。
特開2001−64484号公報 特開2007−179772号公報 特開2006−49148号公報 特開2011−100573号公報
ところで近年、電子機器等では小型化、高密度化および高速化等といった高性能化が進行し、これに伴って電極や配線パターンの更なる電気伝導性の向上(低抵抗化)が望まれている。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気伝導性に一層優れた導電性被膜を形成するための加熱硬化型導電性ペーストを提供することにある。
加熱硬化型の導電性ペーストを用いた場合、熱硬化性樹脂は乾燥後も燃え抜けずに導電性被膜中に残存する。そこで、本発明者らは、導電性粉末に対する熱硬化性樹脂の配置を最適化することを考えた。そして、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。
本発明によって、導電性被膜を形成するために用いられる加熱硬化型導電性ペーストが提供される。かかるペーストは、導電性粉末と熱硬化性のエポキシ樹脂と硬化剤とを含んでいる。上記導電性粉末は、コアとなる金属粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸が付着してなる。また、上記エポキシ樹脂は、2官能以上の多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを含み、上記多官能エポキシ樹脂と上記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、90:10〜20:80である。
コアとなる金属粉末の表面に2価以上の脂肪族カルボン酸(脂肪族多価カルボン酸)を付着させることにより、水酸基(ヒドロキシル基)の量が増加して親水性の導電性粉末を得ることができる。これによって、導電性粉末の表面で疎水性のエポキシ樹脂がはじかれることとなり、導電性粉末の表面にエポキシ樹脂がまとわりつきにくくなる。その結果、導電性粉末の粒子間に存在するエポキシ樹脂の量が少なくなり、該粒子同士が接点を形成し易くなるため、導電性を向上することができる。さらに、1官能エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂とを上記比率で混合して用いることで、接着性や耐熱性を維持しつつも、エポキシ樹脂のガラス転移点Tgを低下させることができ、上記はじき効果を得られやすくなる。
したがって、ここで開示される導電性ペーストによれば、接着性や耐熱性、電気伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記コアとなる金属粉末が、平均アスペクト比(長径/短径比)1〜1.5の球状銀粉末を含んでいる。
一般に、球状銀粉末は、粒子同士の接触面積が小さいことから比抵抗(体積抵抗率)が高くなりがちである。また、粒子同士が「点」で接触するため、接点に樹脂が存在することで導電性が低下しがちである。このため、本発明の適用が特に効果的である。
なお、「平均アスペクト比」は、例えば電子顕微鏡観察によって把握することができる。具体的には、先ず、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて少なくとも30個(例えば30〜100個)の金属粒子(銀粒子)を観察する。次に、各々の粒子画像について外接する最小の長方形を描き、かかる長方形の短辺の長さ(例えば厚み)Bに対する長辺の長さAの比(A/B)をアスペクト比として算出する。そして、所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記球状銀粉末のレーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径が、0.5〜3μmである。かかる平均粒子径の範囲とすることで、ペースト中の凝集を抑制することができる。このため、信頼性に優れる導電性被膜を安定的に形成することができ、本願発明の効果を更に高いレベルで発揮することができる。
なお、「平均粒子径」としては、従来公知のレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、粒子径の小さな微粒子側から累積50%に相当する粒子径D50値(メジアン径ともいう。)を採用することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記多官能エポキシ樹脂と上記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、80:20〜30:70である。1官能エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂とを上記比率で混合して用いることで、例えば乾燥温度を120℃に設定した場合であっても、比抵抗を小さく抑えることができる。したがって、本願発明の効果をより高いレベルで実現することができる。
上記多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等を好ましく用いることができる。
また、上記1官能エポキシ樹脂としては、例えばアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステル等を好ましく用いることができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性粉末を100質量部としたときに、上記エポキシ樹脂の割合が5〜15質量部である。上述の通り、加熱硬化型導電性ペーストに含まれる樹脂成分は、導電性被膜形成後(乾燥後)も該被膜中に残存する。このため、エポキシ樹脂を上記範囲に抑えることで、好適な接着性を維持しつつ、より電子伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。
また、ここで開示される他の好ましい一態様では、上記導電性粉末を100質量部としたときに、上記硬化剤の割合が0.5〜3質量部である。上記含有割合とすることで、より優れた塗工性や硬化性を実現することができる。
加熱硬化型導電性ペースト中の導電性粉末とエポキシ樹脂と配置を表す概念図であり、(A)は本発明に係る概念図を、(B)は従来技術に係る概念図を、それぞれ表している。 導電性被膜中の導電性粉末とエポキシ樹脂と配置を表す概念図であり、(A)は本発明に係る概念図を、(B)は従来技術に係る概念図を、それぞれ表している。 150℃で加熱乾燥した導電性被膜の比抵抗を表すグラフである。 120℃で加熱乾燥した導電性被膜の比抵抗を表すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、加熱硬化型導電性ペーストの組成)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、加熱硬化型導電性ペーストの調製方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪加熱硬化型導電性ペースト≫
本発明に係る加熱硬化型導電性ペーストは、必須構成成分として、導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含んでいる。そして、上記導電性粉末はコアとなる金属粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸が付着してなり、上記エポキシ樹脂は2官能以上の多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂と所定の質量比率で含むことにより特徴づけられる。したがって、その他の構成成分については特に限定されず、種々の基準に照らして任意に決定し得、種々の成分を配合したりその組成を変更したりすることができる。以下、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストの構成成分等について説明する。
<導電性粉末>
図1(A)に模式的に示すように、ここに開示される導電性粉末を構成する導電性金属粒子2は、コアとなる金属粒子の表面の少なくとも一部に脂肪族多価カルボン酸(2価以上の脂肪族カルボン酸)2aが付着した形態をなす。例えば、コアとなる金属粒子の表面の少なくとも一部が脂肪族多価カルボン酸2aによって被覆された形態をなす。
コアとなる金属粉末は、導電性被膜に電気伝導性を付与するための導電性物質であり、用途に応じて所望の導電性およびその他の物性等を備える各種の金属またはその合金等を考慮することができる。一例として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属およびそれらの合金等が例示される。なかでも、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属の単体およびこれらの合金(銀−パラジウム(Ag−Pd)、銀−白金(Ag−Pt)、銀−銅(Ag−Cu)等)が好ましく用いられる。特に、比較的コストが安く、電気伝導性が高いこと等から、銀およびその合金からなる粉末が好ましく用いられる。
コアとなる金属粉末の形状は特に限定されず、球状、フレーク状、鱗片状、針状等、種々のものが用いられる。なかでも、製造コストの観点から、略球状の金属粒子が好ましく用いられる。なお、本明細書において「略球状」とは、球状、ラグビーボール状、多角体状等をも包含する用語であり、例えば、平均アスペクト比(長径/短径比)が、1〜2(典型的には1〜1.5、例えば1〜1.2)のものをいう。
一般に球状の金属粉末(例えば球状銀粉末)を用いる場合、粒子間の接触が「点」接触になり、フレーク状や鱗片状等の導電性粉末を用いる場合に比べて粒子間の接触面積が小さくなりがちである。その結果、相対的に導電性被膜の比抵抗が高くなる傾向にある。
しかしながら、ここに開示される発明によれば、脂肪族多価カルボン酸で金属粉末の表面処理すること、およびエポキシ樹脂の組成比を制御することによって、導電性金属粒子の接点に存在するエポキシ樹脂を少なくすることができる。このため、該粒子同士の接触面積を著しく増大させることができ、抵抗が高くなりがちな球状の導電性粉末(例えば球状銀粉末)を採用する場合であっても、電気伝導性の良好な導電性被膜を形成することが可能となる。
コアとなる金属粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常0.1μm以上(典型的には0.5μm以上、例えば0.8μm以上)であって、5μm以下(典型的には3μm以下、例えば2μm以下)であるとよい。上記平均粒子径の範囲を大きく上回ると、ペーストの流動性が低下して本発明の効果が薄れたり、導電性被膜の緻密性が低下したりする虞がある。また、上記平均粒子径の範囲を大きく下回ると、ペースト中で凝集が生じたり、取扱い性が低下したりする虞がある。上記範囲とすることで、本発明の効果を高いレベルで発揮することができ、信頼性の高い導電性被膜を安定的に実現することができる。
脂肪族多価カルボン酸は、上記金属粒子の表面に高い親水性を付与する成分である。脂肪族多価カルボン酸は1分子中に2つ以上の吸着点(カルボニル基)を有するため、金属粉末表面への吸着性(付着性)が高い。つまり、例えば片方の吸着点が金属粒子の表面から外れても、もう一方の吸着点が吸着していれば金属粒子の表面に留まることができるため金属粒子の表面に吸着し易く、好適である。
かかる脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、トリマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;アスコルビン酸;等、およびこれらのアルキル置換体やアルケニル置換体が例示される。なかでも金属表面への優れた吸着性や導電性粉末の分散安定性等の観点から、アルキルコハク酸および/またはアルケニルコハク酸が好ましく用いられる。特には、比較的長鎖(例えば炭素鎖数が5以上のアルキル基)のアルキル基やアルケニル基を有するコハク酸が好ましい。これにより、ペースト中における凝集をより一層抑制することができる。
なお、図1(B)に模式的に示すように、ペースト中における分散性向上やフィーリング性向上、酸化防止等を目的として、従前より、導電性金属粒子2の表面に脂肪族モノカルボン酸2b(1価の脂肪族カルボン酸、例えば、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸等)を付着させる表面処理が行われている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、脂肪族モノカルボン酸を用いた場合は導電性金属粒子2の表面の親水性が低いために、疎水性のエポキシ樹脂4との相溶性が高くなることがある。その結果、導電性金属粒子2にエポキシ樹脂4がまとわりつきやすく、導電性金属粒子2同士の接点に樹脂が存在(介在)され易くなる。これにより、導電性被膜の比抵抗が相対的に高くなりがちである。
一方、ここに開示される発明では、図1(A)に模式的に示すように、2価以上の脂肪族カルボン酸2aを選択的に使用し、コアとなる金属粉末の表面に付着させる。これにより、金属粉末の表面により多くの水酸基を付与することができる。その結果、導電性金属粒子2と疎水性のエポキシ樹脂4との濡れ性を低下させることができ、エポキシ樹脂4をはじく効果が生まれる。したがって、導電性金属粒子2同士の接点に存在して該粒子間の接触を阻害しているエポキシ樹脂4の量を少なくすることができ、導電性被膜の電子伝導性を向上することが可能となる。
このような形態の導電性粉末は、従来公知の手法(例えば、コアとなる金属粉末と脂肪族多価カルボン酸とを液相で反応させること)によって作製することができる。また、脂肪族多価カルボン酸の付着量は、例えばコアとなる金属粉末100質量部に対して0.01〜3質量部(例えば0.01〜1質量部)程度とすることができる。
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める導電性粉末の割合は、通常50%以上、典型的には60〜99質量%、例えば70〜98質量%、好ましくは80〜95質量%程度とすることができる。上記範囲を満たすことで、ペーストの塗工性が良好となり、より一層電子伝導性に優れた導電性被膜を安定的に実現することができる。
<熱硬化性のエポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、良好な接着性や耐久性を実現するための成分である。ここに開示される発明では、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、分子内に1つのエポキシ基を有する1官能エポキシ樹脂と、を含んでいる。多官能エポキシ樹脂を用いることで、機械的強度や耐久性、耐薬品性に優れた導電性被膜を形成することができる。しかしながら、多官能エポキシ樹脂のみを用いる場合は、図2(B)に模式的に示すように、多官能エポキシ樹脂4bのガラス転移点Tgが加熱乾燥温度よりも高くなりがちであり、加熱乾燥中に多官能エポキシ樹脂4bが流動し難い。このため、導電性金属粒子2同士の接点にエポキシ樹脂4bが多く存在し、導電性金属粒子2の接触が起きづらいために、比抵抗が高くなりがちである。本発明者らの検討によれば、このような傾向は、特に略球状の導電性粉末を用いた場合に顕著である。
そこで、ここに開示される技術では、図2(A)に模式的に示すように、多官能エポキシ樹脂に1官能エポキシ樹脂を混合することでエポキシ樹脂4の架橋点を減らし、該樹脂のガラス転移点Tgを低くする。その結果、例えば200℃以下(典型的には150℃以下)の低温で加熱乾燥を行った場合でも、加熱乾燥中にエポキシ樹脂4を流動しやすくなり、上述の導電性金属粒子2同士の接点に存在するエポキシ樹脂4をはじく(排除する)効果が得られやすくなる。
2官能以上の官能基を有する多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等が例示される。なかでも、接着性や疎水性、入手容易性の観点等から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、良好な接着性と本発明の効果を高いレベルで得る目的から、100〜3000g/eq(例えば150〜1000g/eq)程度であるとよい。なお、エポキシ当量は、JIS K7236(2009)に従って求めることができる。また、同様の理由から、多官能エポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、100〜5000(典型的には150〜4000、例えば200〜1000)程度であるとよい。なお、重量平均分子量Mwは、一般的なゲルクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定することができる。
1官能エポキシ樹脂(単官能エポキシ樹脂)としては、例えば、炭素数が6〜36(典型的には6〜26、例えば6〜18)のアルキルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、アルキニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;炭素数が6〜36(典型的には6〜26、例えば6〜18)のアルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;等が例示される。なかでもアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、またはフェニルグリシジルエステルを好ましく用いることができ、特にはフェニルグリシジルエーテルを用いることが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
1官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば100〜500g/eq程度であるとよい。また、重量平均分子量Mwは、100〜500程度であるとよい。
ここに開示されるエポキシ樹脂は、上記多官能エポキシ樹脂と上記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、90:10〜20:80である。換言すれば、エポキシ樹脂全体に占める多官能エポキシ樹脂の割合が20質量%以上(好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上)であって、90質量%以下(好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、例えば60質量%以下)である。また、エポキシ樹脂全体に占める1官能エポキシ樹脂の割合が10質量%以上(好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、例えば40質量%以上)であって、80質量%以下(好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下)である。
多官能エポキシ樹脂の割合が上記範囲を大きく上回ると、骨格を形成する樹脂のガラス転移点Tgが高くなるため、エポキシ樹脂が流動し難くなる。これにより、導電性粉末の接点にエポキシ樹脂が存在することとなり、導電性が低下する虞がある。
一方、1官能エポキシ樹脂の割合が上記範囲を大きく上回ると、ガラス転移点Tgが低くなりすぎ、エポキシ樹脂が必要以上に流動してしまう。これにより、導電性粉末の凝集やエポキシ樹脂の偏在化(浮き)等が起こり、導電性被膜の電気伝導性や信頼性が低下する虞がある。
上記範囲とすることで、良好な接着性を維持しつつも比抵抗を抑えることができ、実用性の高い導電性被膜を安定的に形成することができる。
好適な一態様では、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂との質量比率が、80:20〜30:70(特には70:30〜40:60)である。エポキシ樹脂をかかる構成とすることで、より一層高い導電性を実現することができる。例えば加熱乾燥条件を120℃・30分としたときの比抵抗を150μΩ・cm以下(特には90μΩ・cm以下)に抑えることができ、本願発明の効果をより高いレベルで実現することができる。
多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂は、典型的には混合比によらず完全相溶性である。そして、ここに開示されるエポキシ樹脂(混合物)のガラス転移点Tgは、概ね50〜200℃であり得る。例えば加熱硬化時の温度を凡そ100〜150℃に設定する場合、エポキシ樹脂のガラス転移点Tgは、流動性を高める観点から50℃以上、典型的には80℃以上、例えば90℃以上であるとよいが、Tgが高すぎると十分に硬化しなかったり、本発明の効果が小さくなったりすることがあるため、上限は150℃以下、典型的には120℃以下、例えば100℃以下であるとよい。なお、ガラス転移点Tgは、一般的な示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry:DSC)によって測定することができる。
導電性粉末を100質量部としたときに、エポキシ樹脂の占める割合は、例えば2質量部以上(好ましくは5質量部以上)であって、20質量部以下(好ましくは15質量部以下)とすることができる。エポキシ樹脂の量が2質量部(好ましくは5質量部)より少ない場合、十分な接着性が得られないことがある。また、エポキシ樹脂の量が20質量部(好ましくは15質量部)より多い場合、抵抗が高くなり易い。
また、加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占めるエポキシ樹脂の割合は、通常1質量%以上(典型的には2質量%以上、好ましくは3質量%以上)であって、典型的には30質量%以下(典型的には20質量%以下、例えば15質量%以下)とすることができる。上記範囲を満たすことで、より一層接着性や耐久性に優れた導電性被膜を安定的に実現することができる。
<硬化剤>
硬化剤としては特に限定されず、加熱硬化型導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。典型的には、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して架橋構造を形成する官能基を有する化合物を用いることができる。一例として、イミダゾール系硬化剤およびその誘導体、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤、アミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、有機ホスフィン類等が例示される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
導電性粉末を100質量部としたときに、硬化剤の占める割合は、通常0.1質量部以上(好ましくは0.5質量部以上、例えば1質量部以上)であって、5質量部以下(好ましくは3質量部以下、例えば2質量部以下)とすることができる。硬化剤の量が0.1質量部(好ましくは0.5重量部)より少ない場合、硬化反応がうまく進まずに硬化不良が生じることがある。また、硬化剤の量が5質量部(好ましくは3重量部)より多い場合、未反応の硬化剤が残り易くなり、導電性が低下したり本発明の効果が得られ難くなったりすることがある。
また、加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める硬化剤の割合は、通常0.1質量%以上(典型的には0.5質量%以上、例えば1質量%以上)であって、典型的には5質量%以下(典型的には3質量%以下、例えば2質量%以下)とすることができる。上記範囲を満たすことで、導電性被膜を精確且つ安定的に実現することができる。
<その他の成分>
加熱硬化型導電性ペーストの典型的な例では、上記成分を分散させる有機系分散媒(典型的には有機溶剤)を含有する。これにより、ペーストの粘度やチキソ性を調整することができ、作業性や塗工性を向上させることができる。
有機系分散媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;1,7,7−トリメチル−2−アセトキシ−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等のエステル系溶剤;ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルプロピオネート、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;その他ミネラルスピリット等の高沸点を有する有機溶剤等が例示される。
また、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストには上記成分(すなわち、導電性粉末、エポキシ樹脂、硬化剤、および有機系分散媒)の他に、必要に応じて種々の添加成分を加えることができる。かかる成分の一例としては、無機フィラー、界面活性剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、顔料等が例示される。これら成分としては、加熱硬化型導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める上記添加成分の割合は、例えば5質量%以下(好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下)とするとよい。
<ペーストの調製>
このようなペーストは、上述した材料を所定の含有率(質量比)となるよう秤量し、均質に撹拌混合することで調製することができる。かかる材料の撹拌混合は、従来公知の種々の攪拌混合装置、例えば三本ロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー、ロールミル等を用いて行うことができる。ペーストの粘度は、導電性被膜の形成方法や厚み等によって異なるため特に限定されないが、例えばブルックフィールド型粘度計により、適当なスピンドル(例えば4番のスピンドル)を用いて25℃の温度下において回転速度:100rpmの条件で測定した粘度が、10〜100Pa・s(例えば20〜50Pa・s)となるよう調製するとよい。これにより作業性や取扱性を向上させることができ、より安定的に導電性被膜を形成することができる。
<導電性被膜の形成>
ここに開示される加熱硬化型導電性ペーストは、導電性被膜を形成するために用いられる。導電性被膜の形成では、先ずここに開示されるペーストと所望の基板とを準備する。次に、基板上に所定厚み(例えば1〜50μm)になるようペーストを付与(塗布)する。塗布の厚みは、塗布回数やペーストの粘度等によって変更することができる。上記ペーストの付与は、例えばスクリーン印刷、バーコーター、スリットコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター等によって行うことができる。ペーストを付与した後に、例えば乾燥機等の適当な乾燥手法を用いて、所定の温度条件下(典型的には200℃以下、例えば100〜150℃、好ましくは100〜120℃)で、所定時間(典型的には1〜60分、例えば10〜30分)加熱乾燥して、上記ペーストを硬化させる。これによって膜状の導電体(導電性被膜)を作製することができる。
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、典型的には200℃以下(好ましくは150℃以下、例えば120℃以下)の加熱によって、接着性や電気伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。したがって、耐熱性の低い材質からなる基板上に電極や配線パターンを形成するために好ましく用いることができる。代表的な使用例としては、ITO膜(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ膜)付きのガラスや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂フィルムを基板とするタッチパネルの導体回路の形成が挙げられる。
以下本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
先ず、加熱硬化型導電性ペーストの構成成分として、以下の材料を準備した。
<導電性粉末>
・導電性粉末A:球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=0.9μm、アスペクト比1.2)をオクタデカニルコハク酸で表面処理したもの。
・導電性粉末B:球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=1.3μm)をオクタデカニルコハク酸で表面処理したもの。
・導電性粉末C:球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=2.0μm)をオクタデカニルコハク酸で表面処理したもの。
・導電性粉末D:球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D50=0.9μm、アスペクト比1.2)。
<多官能エポキシ樹脂>
・多官能エポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、エポキシ当量170g/eq、重量平均分子量Mw340)
・多官能エポキシ樹脂B:ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、エポキシ当量193g/eq、重量平均分子量Mw1100)
・多官能エポキシ樹脂C:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エポキシ当量172g/eq、重量平均分子量Mw550)
・多官能エポキシ樹脂D:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製、エポキシ当量208g/eq、重量平均分子量Mw600)
・多官能エポキシ樹脂E:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エポキシ当量258g/eq、重量平均分子量Mw550)
・多官能エポキシ樹脂F:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、エポキシ当量899g/eq、重量平均分子量Mw1650)
・多官能エポキシ樹脂G:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、エポキシ当量2744g/eq、重量平均分子量Mw3800)
<1官能エポキシ樹脂>
フェニルグリシジルエーテル(株式会社ADEKA製、エポキシ当量206g/eq、重量平均分子量Mw210)
<硬化剤>
イミダゾール系硬化剤(味の素ファインテクノ株式会社製)
次に、上記材料を表1および表2に示す組成比になるよう混合し、有機系分散媒(ここではジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた。)中で撹拌して加熱硬化型導電性ペースト(例1〜例19、例21〜例24)を調製した。該ペーストを日本電気硝子株式会社製のITO膜付きガラス基板の表面にスクリーン印刷の手法によって10μm程度の厚みで2cm×2cmの正方形状のパターンに塗布した後、各例につき120℃・30分間または150℃・30分間の加熱乾燥を行うことによって、加熱乾燥温度の異なる2種類ずつの導電性被膜をそれぞれ基板上に形成した。
<比抵抗の測定>
上記形成した被膜の比抵抗(体積抵抗率)を、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計(型式:ロレスタGP MCP−T610)を用いて4端子4探針法で測定した。結果を表1、表2の「比抵抗」の欄に示す。なお、比抵抗の後に記載された温度は、加熱硬化時の温度を表している。
<付着性の評価>
また、上記調製した加熱硬化型導電性ペースト(例1〜例19、例21〜例24)を用いて、JIS K5400(1990)に従って付着性(クロスカット法)を評価した。結果を表1、表2の「クロスカット法」の欄に示す。なお、当該欄において「○」は剥離がなかったことを、「△」は端が僅かに欠ける程度の剥離が認められたことを、「×」は1マス以上剥離したことを、それぞれ表している。
Figure 0006049606
Figure 0006049606
表2に示すように、多官能エポキシ樹脂のみを用いた(1官能エポキシ樹脂を使用しなかった)例16、例17では、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを混合して用いた例1、例2に比べて相対的に比抵抗が高かった。このことから、導電性粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸を付着させるだけでは導電性を向上させることができず、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを混合して用いることが必要とわかった。
また、これとは逆に導電性粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸を付着させなかった(導電性粉末Dを用いた)例18および例19でも、脂肪族多価カルボン酸を導電性粉末の表面に付着させた例1、例2に比べて相対的に比抵抗が高かった。このことから、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを混合して用いるだけでは導電性を向上させることができず、導電性粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸を付着させることが必要とわかった。
これに対して、表1に示すように、導電性粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸を付着させ、且つ、熱硬化性樹脂として多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを混合して用いた例1および例2では、120℃加熱品、150℃加熱品共に、比抵抗が相対的に低く抑えられていた。かかる結果は、本発明の技術的意義を示している。
表1の例3〜例7に示すように、多官能エポキシ樹脂C〜Gについても上記多官能エポキシ樹脂A、Bと同様の検討を行ったところ、何れの場合にも、導電性粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸を付着させ、且つ、熱硬化性樹脂として多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを混合して用いることによって抵抗を低減することができた。すなわち、多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用し得ることがわかった。なかでも、ノボラック型エポキシ樹脂を用いた場合(例2)に最も比抵抗が抑えられるとわかった。なお、例6、例7で抵抗が相対的に高くなった理由としては、使用した多官能エポキシ樹脂が高分子量であり、エポキシ当量が大きかったことが考えられる。
また、表1に示す例2、および表2に示す例14、例15の比較から、導電性粉末のコアとなる金属粉末としては、平均粒子径が凡そ0.5〜3μmのものを使用し得ることがわかった。なかでも、平均粒子径が小さい場合(例1)に最も比抵抗が抑えられるとわかった。
次に、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂の混合比率について検討する。
、例8〜例13、例17、例21および例22の比抵抗を図3、図4に示す。なお、図3は150℃で加熱乾燥した導電性被膜の比抵抗を表しており、図4は120℃で加熱乾燥した導電性被膜の比抵抗を表している。
図3に示すように、エポキシ樹脂全体に占める多官能エポキシ樹脂の割合を、20〜90質量%とすることで、加熱乾燥条件を150℃・30分としたときの比抵抗を60μΩ・cm以下(典型的には50μΩ・cm以下)に抑えることができた。なかでも多官能エポキシ樹脂の占める割合を55〜80質量%とすることで、比抵抗を40μΩ・cm以下(例えば35μΩ・cm以下)に抑えることができ、特には多官能エポキシ樹脂の占める割合を60〜70質量%とすることで、比抵抗を30μΩ・cm以下に抑えることができるとわかった。
また、図4に示すように、エポキシ樹脂全体に占める多官能エポキシ樹脂の割合を、40〜90質量%とすることで、加熱乾燥条件を120℃・30分としたときの比抵抗を100μΩ・cm以下(典型的には80μΩ・cm以下)に抑えることができた。なかでも多官能エポキシ樹脂の占める割合を55〜70質量%とすることで、比抵抗を600μΩ・cm以下(例えば55μΩ・cm以下)に抑えることができるとわかった。
次に、表1に示す例6、例7および表2に示す例25、例26の比較から、硬化剤の添加量は導電性粉末100質量部に対して0.5質量部以上(例えば1質量部以上)とすると本発明の効果がより高く発揮されることがわかった。これは、硬化剤の量が少なかったために分子量の影響で硬化反応が十分に進まなかったためと考えられる。なお、表2に示す例23、例24は、それぞれ例25、例26に対応しており、これらの結果から、例えば硬化剤の添加量が上記範囲より少ない場合であっても本発明の適用によって大幅に抵抗を低減することができる(例えば200℃焼成品における比抵抗を1/3〜1/5程度に低減することができる)ことが示された。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
2 導電性金属粒子
2a 脂肪族多価カルボン酸
2b 脂肪族モノカルボン酸
4 多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂
4b 多官能エポキシ樹脂

Claims (6)

  1. 導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含み、導電性被膜を形成するために用いられる加熱硬化型導電性ペーストであって、
    前記導電性粉末は、コアとなる金属粉末の表面に脂肪族多価カルボン酸が付着してなり、
    前記コアとなる金属粉末は、平均アスペクト比(長径/短径比)が1〜1.5の球状銀粉末であり、
    前記エポキシ樹脂は、2官能以上の多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを含み、
    前記1官能エポキシ樹脂は、エポキシ当量が100〜500g/eq.であり、
    前記多官能エポキシ樹脂と前記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、90:10〜20:80である、加熱硬化型導電性ペースト。
  2. 前記球状銀粉末のレーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径が、0.5〜3μmである、請求項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  3. 前記多官能エポキシ樹脂と前記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、80:20〜30:70である、請求項1または2に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  4. 前記多官能エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  5. 前記1官能エポキシ樹脂が、アルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステルからなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
  6. 前記導電性粉末を100質量部としたときに、前記エポキシ樹脂の割合が5〜15質量部であり、前記硬化剤の割合が0.5〜3質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
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