JP5937524B2 - 赤外炉、赤外線加熱方法およびそれを用いて製造された鋼板 - Google Patents
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Description
ワークとこのワークに対向する複数の赤外線ランプの間であって第1および第2の領域間で加熱により不可避的に形成される両領域の中間的な特性を持った徐変部に対応する境界域上に配置されて、少なくとも部分的に赤外線を遮蔽する5〜70mm幅の物体。
ワークと複数の赤外線ランプの間であって、第1および第2の領域間で加熱により不可避的に形成される両領域の中間的な特性を持った徐変部に対応する境界域上に少なくとも部分的に赤外線を遮蔽する5〜70mm幅の物体を配置する;
第1の領域に入射する赤外線の強度を相対的に高くする;
第2の領域に照射する赤外線の強度を相対的に低くする。
上記加熱後に急冷成形されて焼入れされた第1の領域;
上記加熱後に冷却成形されても焼入れされない第2の領域;
これら第1の領域と第2の領域の間に不可避的に形成され両領域の中間的な特性を有する幅20mm以下の徐変部。
(2)物体は、ワークを部分的かつ最小限に遮蔽するから、第2の領域の温度が低下しすぎることを防止する。これによって、境界域付近の温度勾配が小さくなり、第1の領域から第2の領域へ移動する単位時間当たりの熱量が減少し、両領域間に不可避的に形成される両領域の中間的な特性を持った徐変部が可及的に小さく形成される。
(3)物体の幅を狭く形成することができるため、赤外炉内で物体の支持が容易となる。
(4)加熱工程において、ワークに部分焼入れに必要な温度差を持った温度分布が形成されるため、成形工程において、ワークに温度差を付与するための特別の工程が不要となり、又、ワークに温度差を付与するための特別の設備も不要となる。
(5)かくして、一個のワークに要求される温度分布が正確に実現され、さらに、一個のワークに要求される強度分布が正確に実現され得る。
図2(A)は、実施形態1に係る赤外炉の内部構造を模式的に示す正面図であり、図2(B)は、図2(A)の平面図であり、図2(C)は、図2(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図である。なお、図2(B)中、複数の赤外線ランプ1の一部を、物体5を図示する都合上取り除いている。
図3(A)は、実施形態2に係る赤外炉の内部構造を模式的に示す正面図であり、図3(B)は、図3(A)の平面図であり、図3(C)は、図3(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図である。
図4(A)は、実施形態3に係る赤外炉の内部構造を模式的に示す正面図であり、図4(B)は、図4(A)の平面図であり、図4(C)は、図4(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図である。なお、図4(B)中、複数の赤外線ランプ1の一部を、物体5を図示する都合上取り除いている。
図5(A)は、実施形態4に係る赤外炉の内部構造を模式的に示す正面図であり、図5(B)は、図5(A)の複数の赤外線ランプを省略した平面図であり、図5(C)は、図5(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図である。
図6(A)は、実施形態5に係る赤外炉の内部構造を模式的に示す正面図であり、図6(B)は、図6(A)の平面図であり、図6(C)は、図6(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図である。なお、図6(B)中、複数の赤外線ランプ1の一部を、物体5を図示する都合上取り除いている。
図7(A)は、実施形態6に係る赤外炉の内部構造を模式的に示す正面図であり、図7(B)は、図7(A)の平面図であり、図7(C)は、図7(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図であり、図7(D)は、図7(B)に示した物体の部分拡大図であり、図7(E)は、図7(D)に示した部分の変形例を示す図である。
図8(A)は、実施形態7に係る赤外炉の内部構造を部分的に示す正面図であり、図8(B)は、図8(A)の平面図であり、図8(C)は、図8(A)の赤外炉によって加熱されたワークの特性分布を示す平面図である。
次に、図2(A)に示したような物体5の好ましい幅を、実験1の結果に基づいて検討する。図9は、実験1の概要を示す模式図であり、図10(A)および(B)は、実験1の結果を示すグラフである。テストワークには、長さ500mm、幅300mm、厚み1.6mmのボロン鋼板を用いた。このテストワークを図1に示すような赤外炉10によって赤外線加熱した。但し、複数の赤外線ランプの出力は同じにし、テストワークの一部を、下表に示す物体でそれぞれ覆いながら、約40秒間、赤外線加熱を行った。そして、テストワークにおいて、物体に覆われていない“影なし加熱部”と、物体に覆われている“遮光部”の温度をそれぞれ測定した。“影なし加熱部”は、図2(C)に示した第1の領域R1に相当し、“遮光部”は図2(C)に示した徐変部Tに相当する。
1 φ30 筒状パイプ 遮蔽
2 φ60 半透明セラミックス 部分透過
3 20mm幅 遮断バー 遮蔽
4 100mm幅 遮断バー 遮蔽
5 100×100 鋼板 遮蔽
6 100×100 半透明セラミックス 部分透過
ここで、領域の設定温度(例えば、約400〜900℃)に応じた赤外線ランプの出力調整方法の一例を実験結果に基づいて説明する。赤外線加熱されるワークとしては、厚み1.6mm、長さ100mm、幅80mmのボロン鋼板を用い、その中央に熱電対を取り付け、複数の赤外線ランプから出力される赤外線の強度を約50〜100%の間で変えて赤外線加熱をそれぞれ行い、ボロン鋼板の温度変化をそれぞれ測定した。
次に、図2(A)に示したような赤外炉10において、長さ250mmのボロン鋼板の赤外線加熱試験を行った。詳細には、ボロン鋼板の長手方向(図2(A)中左右方向)に沿って50〜250mmの範囲(第1の領域R1としたい領域)に入射する赤外線の強度を、同じく0〜50mmの範囲(第2の領域R2としたい領域)に入射する赤外線の強度よりも、所望の温度差に応じて高く設定した。境界域B上に配置される物体5としては、幅20mmの遮断バーを用い、この遮断バーの幅方向中心線を、ボロン鋼板の50mm上に位置させた。赤外線加熱終了後、ボロン鋼板の長手方向のビッカース硬度分布(Hv)を測定した(図12中、「物体あり」のプロット参照)。
1a 第1の領域に対向する一又は複数の赤外線ランプ
1b 第2の領域に対向する一又は複数の赤外線ランプ
2a 第1の領域に対向する赤外線ランプから放射される赤外光、高強度の赤外光
2b 第2の領域に対向する赤外線ランプから放射される赤外光、低強度の赤外光
2c 反射光
2e 透過光
3 反射面
4 コントローラ
5 赤外線を遮蔽又は部分透過する物体
6 蓄熱材
7 冷却材
10 赤外炉、赤外線加熱装置
W ワーク
R1 第1の領域、高強度部、高硬度部
R2 第2の領域、低強度部、低硬度部
B 第1および第2の領域間に設定される線状の境界域
T 徐変部、遷移部
10 赤外炉
Claims (11)
- ワークの第1の領域と第2の領域を異なる温度域に加熱可能な赤外炉であって、
前記ワークに対向する複数の赤外線ランプと、
前記ワークと前記複数の赤外線ランプの間であって前記第1および第2の領域間で加熱により不可避的に形成される両領域の中間的な特性を持った徐変部に対応する境界域上に配置されて、少なくとも部分的に赤外線を遮蔽する5〜70mm幅の物体と、
を備える、ことを特徴とする赤外炉。 - 前記物体は、前記境界域の少なくとも一部を覆うよう該境界域に沿って延在することを特徴とする請求項1記載の赤外炉。
- 前記複数の赤外線ランプのうち、前記物体よりも前記第1の領域側に位置する一又は複数の前記赤外線ランプの出力を、前記物体よりも前記第2の領域側に位置する一又は複数の前記赤外線ランプの出力よりも高くする一又は複数のコントローラと、
を備える、ことを特徴とする請求項1記載の赤外炉。 - 前記物体よりも前記第1の領域側の位置には、複数の前記赤外線ランプが相対的に密に配置され、前記物体よりも前記第2の領域側の位置には、一又は複数の前記赤外線ランプが相対的に疎に配置される、ことを特徴とする請求項1記載の赤外炉。
- 前記物体よりも前記第1の領域側の位置には、一又は複数の前記赤外線ランプが相対的に前記ワークの近くに配置され、前記物体よりも前記第2の領域側の位置には、一又は複数の前記赤外線ランプが相対的に前記ワークの遠くに配置される、ことを特徴とする請求項1記載の赤外炉。
- 前記ワークの一面側には、前記複数の赤外線ランプが配置され、
前記ワークの他面側には、赤外線を反射する反射面が配置される、
ことを特徴とする請求項1記載の赤外炉。 - 前記ワークの周囲に蓄熱材を配置したことを特徴とする請求項1記載の赤外炉。
- 前記物体は、赤外線部分透過性であることを特徴とする請求項1記載の赤外炉。
- 前記物体は、メッシュ状であることを特徴とする請求項1記載の赤外炉。
- 前記ワークの前記他面を局所的に冷却する冷却材を備えることを特徴とする請求項6記載の赤外炉。
- ワークの第1の領域と第2の領域を異なる温度域に加熱する赤外線加熱方法であって、
前記ワークと複数の赤外線ランプの間であって前記第1および第2の領域間で加熱により不可避的に形成される両領域の中間的な特性を持った徐変部に対応する境界域上に少なくとも部分的に赤外線を遮蔽する5〜70mm幅の物体を配置し、
前記第1の領域に入射する赤外線の強度を相対的に高くし、
前記第2の領域に入射する赤外線の強度を相対的に低くする、
ことを特徴とする赤外線加熱方法。
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