(実施形態1)
以下、本実施形態の非常用照明器具10を図1および図2に基づいて説明する。なお、図中において、同じ部材に対しては、同じ番号を付している。
本実施形態の非常用照明器具10は、光源部1と、外部電源(たとえば、商用電源や外部の発電機など)からの電源供給により平常時において充電可能な非常用電源2を備えている。非常用照明器具10は、上記外部電源の停電時などの非常時に非常用電源2からの電力の供給を受けて光源部1を点灯させる点灯回路部3を備えている(図2を参照)。本実施形態の非常用照明器具10は、非常用電源2の状態を報知する報知部4と、非常用電源2の点検を開始させる点検スイッチ部5とを備えている。本実施形態の非常用照明器具10は、少なくとも光源部1と非常用電源2と点灯回路部3とを内蔵し一端に開口部6aを有する器具本体6を備えている。本実施形態の非常用照明器具10は、器具本体6の開口部6aを覆う円環状の枠体部7を備えている。
非常用照明器具10の枠体部7は、平面視において、外形が円形状であり円形状の内側に光源部1からの光を外部に照射する照射窓7aを備えている。照射窓7aは、平面視において、照射窓7aにおける縁の一部7aaが枠体部7の外形に沿って枠体部7の外形に相似する仮想の円形(図示していない)の一部を構成している。また、照射窓7aは、少なくとも照射窓7aの重心部Gを介して上記縁の一部7aaと反対側の照射窓7aにおける上記縁の他部7abが上記仮想の円形よりも上記仮想の円形の中心O側にあって上記仮想の円形の中心Oから離れる向きに突出する曲線状に形成されている。非常用照明器具10では、報知部4と点検スイッチ部5とは、平面視において、枠体部7における照射窓7aの外側に配置されており、上記仮想の円形の中心Oに対し、枠体部7における照射窓7aの一部7aaと反対側に設けられている。
これにより本実施形態の非常用照明器具10は、より小型化が可能となる。
より具体的には、本実施形態の非常用照明器具10は、一端に開口部6aを有する有底円筒状の器具本体6を備えている。非常用照明器具10は、光源部1として、半導体発光素子たるLEDを用いている。非常用照明器具10は、光源部1のLEDを一表面11a側に実装する配線基板11を、器具本体6の内部で器具本体6の開口部6aを塞ぐように設けている。器具本体6は、器具本体6の内部に向かって突出する環状の突出部6bを器具本体6の奥行き方向(図2の紙面の上下方向)に沿って一対設けている。器具本体6は、配線基板11の端部を一対の突出部6b,6bの間に挟持させて、配線基板11を器具本体6に保持している。配線基板11は、たとえば、円形状の平板の場合、器具本体6の一対の突出部6b,6bで保持できるように、配線基板11の外径が器具本体6の開口部6aの内径よりも若干小さな円形状とすればよい。また、配線基板11は、一表面11a側に非常用電源2の点検を開始させる点検スッチ部5を設けている。同様に、配線基板11には、一表面11a側に非常用電源2の状態を報知する報知部4も設けている。配線基板11は、一表面11aと対向する他表面11b側に、制御ユニット15を構成する回路部品が実装されている。制御ユニット15には、光源部1を点灯させるための点灯回路部3を内蔵している。制御ユニット15には、図示していないが非常用電源2の充電を制御する充電制御回路部、外部電電の停電を検出する停電検出回路部も内蔵している。
配線基板11は、配線基板11の他表面11b側に、平常時に上記外部電源から給電を受けるための電源コード(図示していない)と電気的に接続可能な端子台12を備えている。さらに、配線基板11は、配線基板11の他表面11b側に、上記外部電源の非常時において、光源部1に電力を供給可能な非常用電源2を設けている。端子台12と電気的に接続された制御ユニット15は、上記外部電源から電力の供給を受けて、平常時において、非常用電源2へ給電し非常用電源2を構成する二次電池を充電している。配線基板11は、光源部1が実装された一表面11a側の配線パターン(図示していない)と、制御ユニット15を構成する回路部品が実装された他表面11b側の配線パターン(図示していない)とが貫通配線(図示していない)を介して電気的に接続している。本実施形態の非常用照明器具10では、光源部1、報知部4や点検スイッチ部5が一表面11a側に実装された配線基板11と、配線基板11の他表面11b側に実装された制御ユニット15の回路部品と、端子台12とを一体化して構成している。
なお、非常用照明器具10は、制御ユニット部15を構成する回路部品の形状などに合わせて、制御ユニット部15を構成する回路部品の一部を配線基板11とは別の回路基板(図示していない)に実装させてもよい。非常用照明器具10は、上記回路基板を用いる場合、光源部1を実装させた配線基板11と、上記回路基板とを電気的に接続させた構造とすればよい。
非常用照明器具10は、器具本体6の開口部6aを覆うように円環状の枠体部7を、器具本体6に設けている。枠体部7は、平面視において、光源部1からの光を外部に照射する照射窓7aを設けている。枠体部7は、枠体部7の外形よりも小さい円筒状の保持枠7dを備えている。枠体部7は、円筒状の保持枠7dを器具本体6の開口部6aに挿入し、器具本体6の内側面と当接させて器具本体6と着脱可能に一体化している。
枠体部7には、器具本体6に保持された配線基板11上の光源部1を囲み外部に向かって広がる椀状の反射部8を設けている。反射部8は、平面視において、反射部8の外形が照射窓7aにおける上記縁と略同一形状で若干大きな形状としている。反射部8は、反射部8の形状により、光源部1から照射される光の配光の制御に利用することができる。枠体部7には、光源部1からの光を屈折させ所定の配光特性で外部に出射させるレンズ部9を備えている。レンズ部9は、平面視において、レンズ部9の外形が照射窓7aにおける上記縁と略同一形状としている。
すなわち本実施形態の非常用照明器具10は、器具本体6が、光源部1からの光を屈折させるレンズ部9と、光源部1からの光を器具本体6の外部に向かうように反射させる反射部8とを備えている。器具本体6は、枠体部7の平面視における中心部から光源部1からの光を出射させている。なお、本実施形態の非常用照明器具10では、枠体部7の平面視における中心部と、照射窓7aにおける上記縁の一部7aaが構成する上記仮想の円形の中心Oとを一致させている。また、本実施形態の非常用照明器具10は、平面視において、上記仮想の円形の中心Oに光源部1を配置し、光源部1の光軸Xが中心Oを通るようにしている。
本実施形態の非常用照明器具10は、光源部1にLEDを用いている。非常用照明器具10は、LED自体がハロゲン電球などと比較して小型化可能であるため、ハロゲン電球などを光源部1に用いたものと比較して、レンズ部9や反射部8を備えていても、小型化を行うことを比較的容易としている。
ところで、非常用照明器具10は、火災その他不慮の事故で停電などしたとき、居合わせた人々を速やかにかつ安全に避難できるよう室内や通路を照らし出すため、複数個の非常用照明器具10を設置する場合がある。そのため、非常用照明器具10は、複数個の非常用照明器具10の設置場所や設置間隔を適宜に設計して配置される。
図3に示す比較のための非常用照明器具では、枠体部7に設けた照射窓7aは、枠体部7の中央部に枠体部7の外形と相似の円形状としている。そのため、図3に示す非常用照明器具は、非常用照明器具の被照射面側において、光源部1の光軸に対して軸対称な正円形に光を照射することができる。そのため、比較のための非常用照明器具では、非常用照明器具の設置場所や設置間隔を設計し易い。なお、図3に示す非常用照明器具では、上記外部電源から給電を受けるための電源コード14を、非常用電源2内に一体化された制御ユニット15と電気的に接続させる。
しかしながら、図3に示す非常用照明器具では、平面視において、照射窓7aの外形を正円形としており、枠体部7に設けられる検知部4や点検スイッチ部5との配置場所との関係で非常用照明器具10を小さくすることが難しい。
これに対し、本実施形態の非常用照明器具10の枠体部7は、平面視において、外形が円形状であり円形状の内側に光源部1からの光を外部に照射する照射窓7aを備えている。照射窓7aは、平面視において、照射窓7aにおける上記縁の一部7aaが枠体部7の外形に沿って枠体部7の外形に相似する上記仮想の円形の一部を構成している。また、照射窓7aは、照射窓7aの重心部Gを介して上記縁の一部7aaと反対側の照射窓7aにおける上記縁の他部7abが上記仮想の円形よりも上記仮想の円形の中心O側にあって上記仮想の円形の中心Oから離れる向きに突出する曲線状に形成されている。なお、本実施形態の非常用照明器具10において、照射窓7aの重心部Gとは、照射窓7aの形状とした仮想の平板における質量中心の位置をいう。非常用照明器具10では、報知部4と点検スイッチ部5とは、平面視において、枠体部7における照射窓7aの外側に配置されており、上記仮想の円形の中心Oに対し、枠体部7における照射窓7aの一部7aaと反対側に設けられている。
本実施形態の非常用照明器具10は、枠体部7において、検知部4や点検スイッチ部5と比較し大きな面積を占める照射窓7aを、上述した特定の形状とすることで、図3に示す非常用照明器具と比較して、非常用照明器具10全体の大きさを小さくできる。
非常用照明器具10では、照射窓7aの形状に起因して、非常用照明器具10の被照射面において、光源部1の光軸Xに対して軸非対称な歪な形状に光が照射される場合がある。非常用照明器具10は、非常用照明器具10の被照射面において、歪な形状に光が照射される場合、複数個の非常用照明器具10の設置場所や設置間隔で所定の照度を確保する設計を行うことが難しくなる恐れがある。また、非常用照明器具10は、非常用照明器具10の被照射面において、歪な形状に光が照射される場合、複数個の非常用照明器具10の設置場所や設置間隔で所定の照度を確保するため、非常用照明器具10の光軸に対する回転方向を調整して設置する必要がある。そのため、非常用照明器具10の被照射面において歪な形状に光を照射する非常用照明器具10では、非常用照明器具10の設置が煩雑となる恐れがある。
本実施形態の非常用照明器具10では、図2に示すように、光源部1から照射された光を広げ所定の配光特性を得るために、レンズ部9の厚みが光源部1と対向する光入射面9b側で窪み光出射面9a側が平滑面となる平凹面状に形成させている。さらに、レンズ部9は、照射窓7aにおける一部7aa側の光入射凸面9cにおけるレンズの曲率半径を、他部7ab側の光入射凸面9dにおけるレンズの曲率半径よりも大きくしている。同様に、反射部8は、断面視において、照射窓7aにおける一部7aa側よりも他部7ab側に光源部1からの光が広がるように複数段(ここでは、三段)の異なる曲率半径を備えた椀状に形成している。本実施形態の非常用照明器具10の反射部8およびレンズ部9は、光源部1からレンズ部9の中央部に入射する光を側方に屈折や導光などさせて外部に照射させることができる。非常用照明器具10は、非常用照明器具10直下から所定の半径内の床面における水平面照度を、所定の照度(たとえば、1lx)以上としている。
本実施形態の非常用照明器具10は、反射部8やレンズ部9を用いて特定形状の照射窓7aから照射される光源部1からの光を、被照射面側において、たとえば、正円形などに制御することを可能としている。本実施形態の非常用照明器具10では、非常用照明器具10の設置場所や複数個の非常用照明器具10を設置する場合でも設置間隔において、所定の照度を確保できるかを判別することが設計上において容易となる。また、本実施形態の非常用照明器具10は、非常用照明器具10から照射される被照射面の形状を考慮しながら設置する必要もなく設置が比較的容易となる。
本実施形態の非常用照明器具10では、たとえば、照明窓7aを特定の形状に設計することにより、煙などで周囲の視界が低下する場合でも避難者が照明光を照射する照明窓7a自体を視認し照射窓7aの特定の形状を認識できる場合がある。本実施形態の非常用照明器具10では、照射窓7aの形状を利用して、照射窓7aにおける特定の形状の方向に向かって避難者を避難誘導させるようにすることも可能となる。
なお、器具本体6は、器具本体6の開口部6aの開口縁から外方へ延設された外鍔部6cを備えている。また、器具本体6には、非常用照明器具10を造営材たる天井材Cに固定する際に用いられる複数個の板状の取付ばね13を設けている。取付ばね13は、器具本体6の外側面6aaに、外形がL字形状の取付ばね13の一端部13aを螺子(図示していない)などにより器具本体6側に固定させている。本実施形態の非常用照明器具10は、天井材Cに貫設された取付孔C1に挿入され、複数個の取付ばね13と、器具本体6の外鍔部6cとにより、天井材Cを挟持して固定する。取付ばね13は、非常用照明器具10を造営材である天井材Cに貫設された取付孔C1の内側に配置させるため、器具本体6の外側面6aaに好適に設けられるものであって、非常用照明器具10の設置形態によっては、必ずしも必要ではない。
非常用照明器具10は、非常用照明器具10の施工にあたって、まず、端子台12を上記電源コードと電気的に接続させる。次に、非常用照明器具10は、器具本体6の外側面6aaに設けられた各取付ばね13の他端部13bを、器具本体6の外側面6aa側に近づけるように押し倒した状態で、天井材Cの取付孔C1に挿入する。非常用照明器具10は、器具本体6の外鍔部6cが天井材Cにおける取付孔C1の周部に当接するまで取付孔C1に押し込まれると、取付ばね13の他端部13b側が器具本体6の外側面6aaから離れる方向に開く。非常用照明器具10は、取付ばね13の一部が取付孔C1の周部に弾接し、取付ばね13の一部と、器具本体6の外鍔部6cとで天井材Cを挟持することにより、天井材Cに取り付けることができる。
以下、本実施形態の非常用照明器具10の各構成について、より具体的に詳述する。
光源部1は、上記外部電源の停電時や上記外部電源からの電力を給電する電源コードが焼失するなどして外部電力からの電力の供給ができない非常時に非常用電源2からの電力の供給を受けて点灯可能なものである。光源部1は、たとえば、ハロゲン電球、有機EL、LDやLEDなどを使用することができる。光源部1は、ハロゲン電球を光源部1に用いた場合と比較して、有機ELやLEDなどを使用することにより、光源部1自体を小型化させ、非常用照明器具10全体を小型化させることに寄与することも可能となる。
光源部1は、たとえば、青色光や紫外線を発するLEDチップと、該LEDチップから放射された光エネルギーにより励起されて、より長波長の光を放射する粒子状の蛍光体が含有された色変換部材とを備えた構成とすることができる。蛍光体は、たとえば、青色光により励起され発光波長域がブロードな黄色系の光を放射する蛍光体や紫外線により励起され青色、緑色および赤色をそれぞれ発光可能な3種類の蛍光体などを用いることができる。光源部1は、たとえば、青色光を発光するLEDチップと、黄色光を発光する蛍光体が含有された色変換部材とを用いることで、白色光などの混色光を照射させることができる。
光源部1は、より具体的には、発光層に青色光を放射するInGaNなどの窒化ガリウム系化合物半導体を用いたLEDチップを備えて構成することができる。光源部1は、Euで付活された(Sr,Ba)2SiO4、Ceで付活されたY3Al5O12やCeで付活されたTb3Al5O12など蛍光体などが透光性材料中に含有された上記色変換部材を備えて構成することができる。
さらに、光源部1は、上記色変換部材を用いる代わりに蛍光体を含有しない透光性部材で、赤色光を発光する赤色LEDチップ、緑色光を発光する緑色LEDチップおよび青色光を発光する青色LEDチップを備えた構成として、白色光を発光させることもできる。このような、光源部1を構成するLEDは、リフロー半田付けなどにより、配線基板11の一表面11aの上記配線パターンに表面実装するとともに電気的に接続させることができる。この他、光源部1は、ベアチップとなるLEDチップでもよいし、LEDチップを合成樹脂などのパッケージで被覆させ外部に給電のためのリード端子が設けられた表面実装型発光ダイオードなどを用いてもよい。
非常用電源2は、ニッカド電池やニッケル水素電池などの二次電池を利用することができる。また、非常用電源2は、一個の二次電池だけでもよいし、複数個の二次電池を直列、並列や直並列に接続させたものを用いてもよい。このような非常用電源2は、単電池をニッケル板などで接続して各種配列に並べ、熱収縮チューブや樹脂ケースなどでパックし、リード線やコネクタ、タブ端子が結線された組電池として用いることもできる。
点灯回路部3は、上記外部電源の非常時に非常用電源2から供給される電力に基づいて光源部1を点灯可能なものである。非常用照明器具10は、上記外部電源の非常時に非常用電源2からの電力の供給を受けて光源部1を点灯させることができればよい。点灯回路部3は、たとえば、平常時に上記外部電源から供給される交流電力を整流した後、平滑化して直流電流を出力する整流平滑部(図示していない)を備えている。点灯回路部3は、整流平滑部からの直流電流を光源部1のLEDに適した一定の電流として供給する定電流電源部(図示していない)を備えている。点灯回路部3は、定電流電源部の制御を行う適宜の制御プログラムを搭載したマイクロコンピュータを備えた構成とすることができる。なお、点灯回路部3は、報知部4の点灯を制御するように構成することもできる。点灯回路部3は、制御ユニット15に内蔵して構成することができる。制御ユニット15には、点灯回路部3、非常用電源2の充電を制御する充電制御回路部、上記外部電源の停電を検出する停電検出回路部も内蔵している。
非常用照明器具10は、上記停電検出回路部によって上記外部電源の停電が検出されると、点灯回路部3のマイクロコンピュータにより上記充電制御回路部がオフにされ、非常用電源2を充電状態から光源部1への給電に切替える。非常用照明器具10では、非常用電源2からの電力の供給を受けて光源部1が点灯する。
報知部4は、非常用電源2の状態を報知可能なものである。報知部4は、たとえば、LEDや電球などを使用して構成することができる。非常用照明器具10は、たとえば、報知部4に緑色LEDを使用する場合、非常用電源2の状態を緑色LEDの点灯状態により報知させることができる。非常用照明器具10は、非常用電源2が外れるなどして、非常用電源2と点灯回路部3とが電気的に接続されていない場合、緑色LEDを消灯させる。非常用照明器具10は、非常時に光源部1を非常用電源2で点灯させるには非常用電源2の電池容量が十分ではない場合、点灯回路部3が緑色LEDを点滅させる。
非常用照明器具10は、たとえば、上記外部電源から電力が供給されており上記停電検出回路部などが上記外部電源の非常時を検出していない場合、上記充電制御回路部が非常用電源2の両端電圧に基づいて、非常用電源2の充電状態を判断することができる。非常用照明器具10では、非常用電源2の両端電圧が所定の電圧以上であることを上記充電制御回路部により検知すれば、点灯回路部3は、報知部4となる緑色LEDを点灯するように制御する。また、非常用照明器具10では、たとえば、非常用電源2が未接続など上記充電制御回路部により非常用電源2の両端電圧が検出できない場合、点灯回路部3が緑色LEDを消灯させる。非常用照明器具10は、上記充電制御回路部が非常用電源2の両端電圧に基づいて非常用電源2の寿命と判断すると、点灯回路部3が緑色LEDを点滅させる。上記充電制御回路部は、たとえば、非常用電源2を点検する場合、非常用電源2の充電状態から適宜の抵抗などからなる擬似負荷(図示していない)への放電状態へと切り替える。上記充電制御回路部は、たとえば、所定時間が経過したときの非常用電源2における端子間の電圧を測定して、測定した電圧が、非常用電源2が適正値となる予め規定した所定の電圧以上であれば、非常用電源2が適正であると判断すればよい。また、上記充電制御回路部は、非常用電源2が過放電に伴う高インピーダンス化などにより、非常用電源2の端子間の測定電圧が予め規定した所定の電圧未満であれば、非常用電源2が寿命と判断すればよい。
点検スイッチ部5は、非常用電源2の点検を開始できるものであればよい。点検スイッチ部5は、たとえば、非常用電源2の点検を開始する点検開始信号を出力可能な入力手段を備えて構成することができる。点検スイッチ部5は、入力手段として、押しボタン式の点検スイッチ5aや外部のリモートコントローラからの無線や赤外線などの信号を受けて、上記点検開始信号を出力可能な半導体受光素子などを用いることができる。また、点検スイッチ部5の点検スイッチ5aとしては、引き紐と結び付けられた機械的なスイッチを用いてもよい。点灯回路部3は、点検スイッチ部5からの点灯開始信号の入力を受けて、非常用電源2に対して充電状態から光源部1への給電状態に切り替え、所定時間が経過した後の電圧を測定する。点灯回路部3は、非常用電源2の状態に応じて、報知部4に表示させればよい。
器具本体6は、少なくとも光源部1と、非常用電源2と、点灯回路部3とを内蔵可能なものである。器具本体6は、たとえば、金属材料(アルミニウムやステンレスなど)や各種の樹脂材料を用いて有底円筒状に構成することができる。器具本体6は、器具本体6の形状が、有底円筒状だけに限られず、有底矩形筒状や椀形状であってもよい。
枠体部7は、器具本体6の開口部6aを覆い光源部1からの光を出射可能なように器具本体6に着脱可能に固定されている。枠体部7は、アルミニウムなどの金属材料や合成樹脂材料を用いて形成することができる。枠体部7には、光源部1からの光を外部に照射する照射窓7aを備えている。照射窓7aは、枠体部7に貫設された貫通孔であってもよいし、枠体部7に貫設された貫通孔を覆う透光性の窓材であってもよい。枠体部7は、反射部8やレンズ部9を好適に保持することができるように構成することもできる。
反射部8は、光源部1からの光を器具本体6の外部に向かうように反射させるために好適に設けられている。反射部8は、たとえば、反射部8の材料として、ステンレス材など適宜の金属材料を利用して構成することができる。
レンズ部9は、光源部1からの光を屈折させ所定の配光にするために好適に設けられている。レンズ部9は、たとえば、レンズ部9の材料として、ガラスやアクリル樹脂などを用いることができる。レンズ部9は、照射窓7aの窓材としても機能させることができる。
(実施形態2)
図4に示す本実施形態の非常用照明器具10は、図1に示した実施形態1のレンズ部9と反射部8を備える代わりに、反射部8のみを備えた点が主として相違する。なお、図中において実施形態1と同じ部材に対しては、同じ番号を付して説明を省略している。
本実施形態の非常用照明器具10は、図4に示すように、器具本体6に保持された配線基板11上の光源部1を囲み外部に向かって広がる椀状の反射部8を設けている。反射部8は、光源部1の光軸Xに対して、軸非対称な形状としている。本実施形態の非常用照明器具10では、光源部1から照射された光を非常用照明器具10の被照射面に対して正円形に広げるために、反射部8は、光源部1の光軸Xに対し軸非対称な形状としている。
反射部8は、図示していないが平面視において、照射窓7aにおける一部7aa側が照射窓7aの形状に合わせ上記仮想の円形の一部より若干大きい相似形に形成している。反射部8は、平面視において、照射窓7aにおける他部7ab側が上記仮想の円形よりも上記仮想の円形の中心O側にあって上記仮想の円形の中心Oから離れる向きに突出する曲線状に形成している。
また、反射部8は、断面視において、照射窓7aにおける一部7aa側の内側面8eの曲率半径が他部7ab側の内側面8fの曲率半径よりも大きく、一部7aa側よりも他部7ab側に光源部1からの光が広がるような椀状に形成している。
これにより、本実施形態の非常用照明器具10は、反射部8を用いて特定形状の照射窓7aから照射される光源部1からの光を被照射面側において、たとえば、正円形などに制御することを可能としている。
本実施形態の非常用照明器具10では、報知部4と点検スイッチ部5とを、平面視において、枠体部7における照射窓7aの外側に配置させ、上記仮想の円形の中心Oに対し、枠体部7における照射窓7aの一部7aaと反対側に設けていることにより、非常用照明器具10を、より小型化することが可能となる。
また、本実施形態の非常用照明器具10では、被照射面側において、光源部1から照射された光を、たとえば、正円形とし、非常用照明器具10直下から所定の半径内の床面の水平面照度を所定の照度(たとえば、1lx)以上とすることが可能に構成している。
(実施形態3)
図5に示す本実施形態の非常用照明器具10は、図1に示した実施形態1のレンズ部9と反射部8を備える代わりに、レンズ部9のみを備えた点が主として相違する。なお、図中において実施形態1と同じ部材に対しては、同じ番号を付して説明を省略している。
本実施形態の非常用照明器具10は、図5に示すように、器具本体6に保持された配線基板11上の光源部1を空間介して囲むレンズ部9を備えている。レンズ部9は、光源部1の光軸Xに対して、軸非対称な形状としている。本実施形態の非常用照明器具10では、光源部1から照射された光を非常用照明器具10の被照射面に対して正円形に広げるために、レンズ部9は、光源部1の光軸Xに対し軸非対称な形状としている。
レンズ部9は、図示していないが平面視において、照射窓7aにおける一部7aa側が照射窓7aの形状に合わせ上記仮想の円形の一部より若干小さい相似形に形成している。反射部8は、平面視において、照射窓7aにおける他部7ab側が上記仮想の円形よりも上記仮想の円形の中心O側にあって上記仮想の円形の中心Oから離れる向きに突出する曲線状に形成している。
また、レンズ部9は、断面視において、光源部1の光軸X上において、レンズ部9の厚みが中央部側で窪んだ光入射凹面9eおよび光出射凹面9fを備える両凹面状に形成させている。また、レンズ部9は、レンズ部9の厚みが中央部側から外部側にかけて、レンズ部9における一部7aa側の凸レンズ部分9gの表面における曲率半径が他部7ab側の凸レンズ部分9hの曲率半径よりも大きい凹凸面状に形成させている。レンズ部9は、一部7aa側よりも他部7ab側に光源部1からの光が広がるような椀状に形成している。
これにより、本実施形態の非常用照明器具10は、反射部8を用いて特定形状の照射窓7aから照射される光源部1からの光を被照射面側において、たとえば、正円形などに制御することを可能としている。なお、本実施形態の非常用照明器具10では、光源部1からの光を有効に利用するため、枠体部7にレンズ部9を囲む側壁部7eを好適に備えている。
本実施形態の非常用照明器具10では、報知部4と点検スイッチ部5とを、平面視において、枠体部7における照射窓7aの外側に配置させ、上記仮想の円形の中心Oに対し、枠体部7における照射窓7aの一部7aaと反対側に設けていることにより、非常用照明器具10を、より小型化することが可能となる。
また、本実施形態の非常用照明器具10では、被照射面側において、光源部1から照射された光を、たとえば、正円形とし、非常用照明器具10直下から所定の半径内の床面の水平面照度を所定の照度(たとえば、1lx)以上とすることが可能に構成している。