JP5901468B2 - 伸縮性難燃人工皮革 - Google Patents
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Description
[極細繊維]
伸縮性難燃人工皮革において繊維絡合体を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は、好ましくは0.9デシテックス以下、さらに好ましくは0.0001〜0.9デシテックス、より好ましくは0.0001〜0.5デシテックス、特に好ましくは0.005〜0.3デシテックスである。平均単繊維繊度が0.0001デシテックス未満であると、伸縮性難燃人工皮革の強度が低下することがある。また平均単繊維繊度が0.9デシテックスを越えると、伸縮性難燃人工皮革の風合いが堅くなり、また、繊維の絡合が不十分になって、伸縮性難燃人工皮革の表面品位が低下したり、耐摩耗性が低下したりする等の問題が生じることがある。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、単繊維繊度が0.0001デシテックス未満の繊維又は単繊維繊度が0.9デシテックスを越える繊維が限られた量含まれていてもよい。単繊維繊度が0.0001デシテックス未満の繊維および単繊維繊度が0.9デシテックスを越える繊維の含有量は、伸縮性難燃人工皮革を構成する全繊維の30%以下(数基準)が好ましく、10%以下(数基準)がより好ましく、全く含まれないことがさらに好ましい。
本発明における繊維絡合体は、例えば、短繊維もしくは長繊維の極細繊維もしくは極細化可能繊維をウェブ化し、得られたウェブを絡合して絡合不織布とし、その後、極細化可能繊維の場合には極細化処理を行うなどの方法により形成される。
ウェブにはその製造から絡合処理までのいずれかの段階で、針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与してもよい。必要に応じて、70〜100℃の温水に浸漬するなどの収縮処理によって、絡合不織布の絡合状態をより緻密にしてもよい。また、熱プレス処理を行うことで極細繊維もしくは極細化可能繊維同士をさらに緻密に集合させ、絡合不織布の形態を安定にしてもよい。絡合不織布の目付は100〜2000g/m2であるのが好ましい。
海成分ポリマーは、海島型繊維の紡糸安定性の点から島成分ポリマーとの親和性が小さく、かつ、紡糸条件において溶融粘度及び/又は表面張力が島成分ポリマーより小さいことが好ましい。このような条件を満たす限り海成分ポリマーは特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂などが好ましく用いられる。
島成分ポリマーがポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂である場合、海成分ポリマーがポリエチレンであればトルエン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機溶剤が、海成分ポリマーが水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)もしくは水溶性熱可塑性変性ポリビニルアルコール(変性PVA)であれば温水が、また、海成分ポリマーが易アルカリ分解性の変性ポリエステルであれば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性分解剤が使用される。海成分ポリマーの除去は人工皮革分野において従来採用されている方法、条件により行えばよく、特に制限されない。環境負荷が少ない方法が望まれる場合には、海成分ポリマーとして水溶性熱可塑性PVA、もしくは、エチレン変性PVA等の変性PVAを使用し、これを、有機溶媒を使用することなく85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理し、除去率が95質量%以上(100%を含む)になるまで抽出除去し、極細化可能繊維を島成分ポリマーからなる極細繊維の繊維束に変換するのが好ましい。
本発明の伸縮性難燃人工皮革において、繊維絡合体は難燃性微粒子のバインダーとして高分子弾性体を含有しており、ミクロなうねり構造は、極細繊維と繊維絡合体に含有される高分子弾性体によって構成される。
難燃性微粒子を繊維絡合体に付与する際には、高分子弾性体の水性分散液又は有機溶媒溶液中に難燃性微粒子を分散した分散液を繊維絡合体に含浸し、固化させる。
かかる化学結合を導入する方法としては、ポリカーボネートジオールとそれ以外のポリマージオールをそれぞれ単独で重合し、これらを、ポリウレタン製造時に適当な比率で混合して用いる方法を採用することができる。
これらの中では、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが、機械的特性に優れることから好ましい。
これらの中では、ヒドラジン、ピペラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンおよびその誘導体、ジエチレントリアミンなどのトリアミンの中から2種以上組み合わせて用いることが、力学性能の点から好ましい。また、鎖伸長反応時に、鎖伸長剤とともに、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのモノアミン類;4−アミノブタン酸、6−アミノヘキサン酸などのカルボキシル基含有モノアミン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのモノオール類を併用してもよい。
高分子弾性体の水溶液、水分散体(例えば、水系エマルジョン)、又は有機溶媒溶液の濃度は5〜50重量%であるのが好ましい。
本発明は、繊維絡合体中に高分子弾性体と難燃性微粒子を含有する伸縮性難燃人工皮革であり、前記難燃性微粒子の平均粒子径が10μm以下であることが、風合いと難燃性に優れる点で好ましい。そして、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなる難燃剤が難燃剤の表面への移行が抑制される点で好ましい。ジアルキルホスフィン酸の金属塩としては、一般的に難燃剤として提案されているものが使用できる。
難燃剤として提案されているジアルキルホスフィン酸の金属塩は、以下の(1)〜(3)等の性状を有するものである。
(1)リン含有率が20質量%以上である。
(2)水や溶剤に難溶性の白色の微細な粉状である。
(3)融点や熱分解温度が高い(通常、熱分解温度は300℃程度である。)。
かかるジアルキルホスフィン酸の金属塩は、リン含有率が20質量%以上と高いことから、優れた難燃性を有している。
また、微細な粉末状であるため、高分子弾性体を形成する高分子弾性体の水溶液、水分散体、又は有機溶媒溶液に配合した際に凝集等の問題が生じにくく、高分子弾性体に容易に内填できる。
そして、水や溶剤に難溶性であることから、耐水性および耐溶剤性に優れており、立毛調人工皮革に仕上げたときの立毛表面や、銀付調人工皮革に仕上げたときの接着剤層や表面層等の銀付表面からブリードアウトしにくい。また、融点や熱分解温度が高いことから耐熱性も良好である。そのため、水洗たく、ドライクリーニング等の洗たく処理や、ジャングル試験、熱老化試験等の促進試験に対する耐久性が高く、また、外観・触感を悪化させにくいと考えられる。
さらに、白色であることから、さらに銀付層を構成する接着剤層や表皮層を顔料等により着色する場合に色に制限がなく、任意の色に着色できる。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、ゲルマニウム、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、セリウム、ビスマス、ストロンチウム、マンガン、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。本発明においては、特に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩が、アルミニウム、カルシウム、チタン、亜鉛などの多価金属の塩であることが好ましく、特にアルミニウム塩が好ましい。このような多価金属塩は、水や溶剤に対する溶解性が非常に低い難溶性の塩であり、本発明の効果に優れる。
カーシート用途の場合においては、比較的少量の難燃剤で、その難燃性能試験基準である水平法に合格させることができる。
本発明における伸縮性難燃人工皮革の好ましい構成としては、繊維絡合体がポリエステル繊維、高分子弾性体がポリウレタン樹脂であり、該ウレタン樹脂に難燃性微粒子が配合されている。
このような複合材料の場合、ポリエステル繊維は溶融ドリップして難燃性を示すが、ウレタン樹脂は溶融しにくく、両者の燃焼挙動は全く異なる。そのため、たとえばカーシートの用途で難燃性能試験基準に合格するためには、ウレタン樹脂に配合する難燃性微粒子の量を、当該ウレタン樹脂量と同じか又はそれ以上として、単位面積あたりの難燃剤の量を多くするなどしてウレタン樹脂を高度に難燃化し、ポリエステル繊維とウレタン樹脂の溶融挙動を同等レベルにする必要がある。特に、ウレタン樹脂層が、架橋剤で3次元架橋された構造を有している場合には、ウレタン樹脂層が非常に溶融しにくいため、極めて高度に難燃化する必要があると考えられる。
そこで、本発明においては、ウレタン樹脂中のジアルキルホスフィン酸の金属塩の量をウレタン樹脂重量に対して100質量%以上とし、ウレタン樹脂を高度に難燃化することにより、カーシート等の難燃物品用途の難燃性能試験基準に合格する難燃性が充分に達成できる。
また、本発明においては、ポリウレタン樹脂中に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩以外の難燃性微粒子、たとえばジアルキルホスフィン酸の金属塩以外の従来提案されている水酸化アルミ等で代表される難燃性微粒子を含有してもよい。
本発明の伸縮性難燃人工皮革は、少なくとも一方の表面に銀面を備えるか、又は、立毛処理により少なくとも一方の表面を立毛表面にして、銀付調人工皮革、半銀付調人工皮革、立毛調人工皮革、又はヌバック調人工皮革とすることが好ましい。銀面層を設ける方法及び立毛処理する方法は、従来人工皮革の製造に用いられている方法を採用すれば良く、本発明では特に限定されない。例えば、離型紙上に形成した表面層となる層を人工皮革用基体の少なくとも一方の面に接着層を介して接着する乾式造面法、人工皮革用基体の少なくとも一方の面に高分子弾性体の分散液又は溶液を塗布し、乾燥凝固させる方法などにより銀面層を形成することが出来る。また、人工皮革用基体の少なくとも一方の表面を針布、サンドペーパーなどで起毛し、次いで、整毛処理する方法などにより立毛表面を形成することができる。
上記したように、本発明の人工皮革用基体、すなわち熱収縮処理前の人工皮革は、好ましくは、短繊維又は長繊維の極細繊維もしくは極細化可能繊維をウェブ化し、得られたウェブを絡合して絡合不織布とし、その後、必要に応じて高分子弾性体付与処理、極細化処理、銀面・立毛加工を行うことにより得られたものである。
本発明の伸縮性難燃人工皮革におけるミクロなうねり構造は、人工皮革用基体をタテ方向(製造ラインのMD)に機械的に収縮させ、この収縮状態をヒートセットすることにより、極細繊維により構成される繊維絡合体、あるいは、繊維絡合体と該繊維絡合体に含有される高分子弾性体をタテ方向に沿って挫屈させて成形したものである。伸縮性難燃人工皮革は、このうねり構造(挫屈構造)により、その見かけ密度が高くても、柔軟な風合いと緻密な折り曲げ皺を有している。うねり構造は連続している必要はなく、タテ方向に不連続であっても良い。
また、上記平均高さは、80〜300μmであることがより好ましい。平均高さを80〜300μmとすることにより、タテ方向の伸びや伸び止まり感をより良好にすることができると同時に表面の凹凸が抑制され、平滑性や外観に優れた人工皮革用基体を得ることが可能となる。
伸び止まり感とは、全く伸びないことを意味するのではなく、伸度が一定値を超えたときに伸びに対する抵抗が著しく大きくなり、更に伸長することが容易ではなくなることを意味し、伸長する際の荷重変化に影響される。本発明では伸び止まり感をタテ方向の荷重伸び曲線(図3参照)における30%伸長時の荷重と5%伸長時の荷重の比(30%伸長時/5%伸長時)で表す。5%伸長時の荷重は縫製性、加工性、着用感に大きく影響する。人工皮革を30%を超えて伸長した場合、通常人工皮革を構成する不織布の構造は大きく変化してしまい、このような人工皮革は本発明が意図する着崩れ、型崩れ防止効果を示すことができない。この理由で30%伸長時の荷重を採用した。本発明の伸縮性難燃人工皮革の上記荷重比は5以上であることが好ましく、5〜40であることがより好ましく、特に8〜40であることが好ましい。上記範囲内であるとタテ方向の伸長に対する伸び止まり感があり、着用による型崩れが少なく、着用感や種々の用途への加工性がよい。
本発明の伸縮性難燃人工皮革の見掛け密度は、0.40g/cm3以上であることを特徴とする。見掛け密度を0.40g/cm3以上とすることにより、人工皮革内部の空隙が少なくなり、機械的収縮処理によって容易にうねり構造が形成される。また、引裂強力、剥離強力等を良好にでき、特に伸び止まり感を良好にすることができるので、うねり構造によってタテ方向伸縮性を確保しつつ、高強度の人工皮革を得ることができる。見掛け密度は、より好ましくは0.45g/cm3以上、さらに好ましくは0.50g/cm3以上である。また、好ましくは0.80g/cm3以下であり、より好ましくは0.70g/cm3以下、さらに好ましくは0.65g/cm3以下である。見掛け密度を0.80g/cm3以下とすることにより、種々の用途への加工性を良好にすることができる。
タテ方向に沿うミクロなうねり構造は、人工皮革用基体をタテ方向に機械的に収縮して、その収縮状態でヒートセットすることにより得られるものである。
図1は、この方法により人工皮革用基体を収縮処理する装置の一例を表す概略図である。厚い弾性体シートからなるベルト3はプレッシャーローラ4(表面の材質:金属製)の表面に接しながら進行する。この間に、ベルト3の外表面はベルトの内外周差によりタテ方向に伸長される。ターンローラ5a、5bより送られてきた人工皮革用基体1をベルト3の伸長した外表面に密着させる。ベルト3とこれに密着した人工皮革用基体1はプレッシャーローラ4とドラム2(表面の材質:金属製)の間隙を通過し、ドラム2の表面に接しながら走行する。この間隙を通過後、ベルト3の人工皮革用基体1側の表面はタテ方向の伸長状態から伸長前の状態に弾性回復することによって進行方向(タテ方向)に追い込まれるように収縮する。
ベルト3の伸長状態から弾性回復状態への変化に対応して人工皮革用基体1は進行方向(タテ方向)に追い込まれるように収縮され、その後、収縮した人工皮革用基体6として引き取られていく。内外周差を利用して弾性シートの外表面を後述する範囲の伸長率で伸長させるためにはプレッシャーローラ4の外径は10〜50cmであることが好ましい。また、弾性シートの外表面の伸長状態を緩和し、伸長前の状態に弾性回復させることで、弾性シートをタテ方向(進行方向)に収縮させるのと同時に人工皮革用基体を後述する範囲の収縮率でタテ方向(進行方向)に収縮させるためには、ドラム2の外径はプレッシャーローラ4の外径よりも大きく、20〜80cmであることが好ましい。ドラム2の径はヒートセット時間を長くし、ヒートセットを効率よく行うためには大きいほど好ましいが、弾性体ベルトの内外収差を利用した収縮率を後述する範囲に設定するためには小さい方がよいので、ドラム2とローラ4の外径はこれらを考慮して決められる。通常は、ヒートセット時間を優先して決めるのが好ましい。プレッシャーローラ4は直接加熱せず、収縮加工前の原反(人工皮革用基体)を予熱する方法が一般的であるが、定常運転状態になったときのローラ4の表面温度は40〜90℃程度であるのが好ましく、ドラム2の表面温度は70〜150℃に加熱されていることが好ましい。
ベルト3はゴムまたはフェルトなどの厚いベルトが好ましく、厚さは通常20mm以上である。また、図1のターンローラ5a、5bによる人工皮革用基体1の搬送速度をベルト3の搬送速度より高くすると、人工皮革用基体1がベルト3の表面上でタテ方向に折り畳まれ、この折り畳まれた人工皮革用基体1が厚いベルト3の表面の伸長状態から弾性回復状態への変化により収縮されるので、人工皮革用基体1の収縮効果を増大することができる。
図2はこの方法により人工皮革用基体を収縮処理する装置の一例を表す概略図である。金属ローラ11と肉厚ゴム部12を有するゴムローラ13の表面に沿って弾性体シート製のベルト3が循環走行している。ベルト3の外表面はゴムローラ13の表面を走行する際に内外周差によりタテ方向に伸長する。ベルト3の伸長した外表面に人工皮革用基体1を供給する。ベルト3と人工皮革用基体1は金属ローラ11とゴムローラ13のニップ部へ導かれる。ニップの圧力で肉厚ゴム部12はゴムローラ13の中心方向に変形される。この変形によりベルト3は伸長状態から元の状態に弾性回復し、これに伴って人工皮革用基体1は圧縮下でタテ方向(進行方向)に収縮する。収縮した人工皮革用基体14は加熱されている金属ローラ11の表面に沿って走行し、この間に熱処理されて引き取られる。金属ローラ11の表面温度は70〜150℃であることが好ましい。ゴムローラ13は直接加熱せず、収縮加工前の原反(人工皮革用基体)を予熱する方法が一般的であるが、定常運転状態になったときのゴムローラ13の表面温度は40〜90℃であることが好ましい。
収縮率=[(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)]/収縮前の長さ×100
合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、塩素化ポリエチレンゴムなどを用いることができる。
予熱処理する方法としては、スチーム又は水を吹き付けて加湿しながら加熱する方法、熱風を人工皮革用基体に吹き付けて加熱する方法、赤外線ヒーターを用いて加熱する方法など公知の加熱方法を用いることができる。使用する人工皮革用基体により予熱処理の最適条件が異なるが、予熱温度は40〜100℃が好ましい。収縮処理時に人工皮革用基体が過度に昇温することを防止するためには、スチーム又は水をスプレーして加湿処理することにより人工皮革用基体に水分を付与しておくことが好ましい。水分付与量は人工皮革用基体の極細繊維の量に対して1〜5重量%が好ましい。これにより、人工皮革用基体の温度を100℃以下に容易にコントロールすることが出来る。また、100℃以上に人工皮革用基体を昇温して収縮処理を効果的に行いたい場合には、熱風もしくは赤外線ヒーターを用いることが好ましい。予熱処理と加湿処理は組み合わせてもよい。
本発明の伸縮性難燃人工皮革には、本発明の効果を逸脱しない範囲において、上述した添加剤以外に、他の染料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐侯剤等の機能性薬剤が含まれていても良い。
目付はJIS L 1096
8.4.2(1999)に記載された方法で測定した。また、厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、目付の値を厚みの値で割って見掛け密度を求めた。
JIS L 1096(1999)8.14.1
A法記載された方法で測定した。幅2.5cmの試験片をつかみ間隔20cmのチャックに固定し、一定速度で試験片を引っ張り、伸びと荷重を求めた。その結果から、横軸が伸長率(%)、縦軸が試験片2.5cm幅あたりの荷重(Kg/2.5cm)である荷重伸び曲線を作成した。この曲線から、30%伸長時の荷重と、5%伸長時の荷重を求め、その比(30%伸長時/5%伸長時)を求めた。3回測定し、その平均値を小数点以下1けたに丸めた。伸び止まり感が良好である場合(前記比が8以上)を“A”とし、伸び止まり感がやや良い場合(前記比が5以上8未満)を“B”とし、それ以外を“C”として評価した。
前記荷重伸び曲線から荷重40N/cmのときのタテ方向伸長率を求めた。
光学顕微鏡にてランダムに選んだ100個の繊維の断面積を測定し、その数平均を求めた。繊維断面積の平均値と繊維の比重から、繊度を計算により求めた。なお、繊維の比重はJIS
L 1015
8.14.2(1999)に基づいて測定した。
図8に示すように、300mmφの円形試験片1片にタテ方向に延びる直線上中央部に200mm間の標点をタテ方向に記し、インストロン型引張試験機でつかみ間隔200mm、引張速度200mm/分で5%伸長時のモジュラスを測定するものである。
伸縮性難燃人工皮革の厚み方向とタテ方向に共に平行な断面を走査型電子顕微鏡で撮影し、厚さ方向の任意の位置におけるタテ方向に沿う5.0mmにおいて、うねり構造のピッチ(すなわち、谷から次の山、および山から次の谷)を数えていき、その平均を求めて1mm中に存在するピッチ数とした。また、上記5.0mm中に見られたうねり構造において、隣接する山と谷の高さ差それぞれの平均を求めてうねり構造の平均高さとするとともに、ピッチのタテ方向に沿う平均長さを平均ピッチとした。なお、隣接する山と谷の高さ差は、厚さ方向に沿う山と谷の高さ差を求めた。
試料として、伸縮性難燃人工皮革用基体から無作為に切り取った100mm×356mmのものを用いて、FMVSS302法を用いて燃焼速度を測定した。なお、難燃性の基準は自動車メーカーによってまちまちであるが、自消性(燃焼速度が0)であれば問題なく合格である。燃焼する場合には、一般的には、例えば燃焼速度が10mm/min以下であれば合格と取り決められている。
水溶性熱可塑性のエチレン変性ポリビニルアルコール(変性PVA、海成分、変性度10モル%)と、変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト(変性PET、島成分)を、海成分/島成分が25/75(質量比)となるように260℃で溶融複合紡糸用口金(島数:25島/繊維)より吐出した。紡糸速度が3700m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度が2.1デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集した。ついで、表面温度42℃の金属ロールでネット上の海島型長繊維からなるシートを軽く押さえ、表面の毛羽立ちを抑えてネットから剥離し、表面温度75℃の金属ロール(格子柄)とバックロール間で熱プレスして表面繊維が格子状に仮融着した目付34g/m2の長繊維ウェブを得た。
水溶性熱可塑性のエチレン変性ポリビニルアルコール(変性PVA、海成分、変性度10モル%)と、変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト(変性PET、島成分)を、海成分/島成分が25/75(質量比)となるように260℃で溶融複合紡糸用口金(島数:25島/繊維)より吐出した。紡糸速度が3700m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度が2.1デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集した。ついで、表面温度42℃の金属ロールでネット上の海島型長繊維からなるシートを軽く押さえ、表面の毛羽立ちを抑えてネットから剥離し、表面温度75℃の金属ロール(格子柄)とバックロール間で熱プレスして表面繊維が格子状に仮融着した目付34g/m2の長繊維ウェブを得た。
島成分が変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト、海成分がポリエチレンの海島型複合繊維ステープル(島成分:海成分=60:40(質量比);繊度4.0デシテックス;繊維長51mm;捲縮数12クリンプ/inch)をカード、クロスラッピングしてウェブを作成した。
該ウェブを1200パンチ/cm2のニードルパンチを行って絡合処理し、次いで、90℃の熱水中で収縮させることにより、目付750g/m2の絡合不織布を得た。
実施例1〜3で得られた伸縮性難燃人工皮革用基体は、タテ方向に沿うミクロなうねり構造を有しており、難燃性微粒子を含有しながらも、タテ方向の伸縮性、伸び止まり感に優れたものとなった。そして、柔軟な風合いを併せ持ち、高密度で機械的物性に優れていながら、風合いは充実感がある上に柔軟であり、かつ屈曲すると細かな皺が均一に生じ、カーシート用の人工皮革用基体として極めて優れた素材であった。
収縮加工を施さない以外は実施例1〜3と同様にして人工皮革用基体を得た。評価結果を第1表に示した。比較例1の収縮加工を施さない人工皮革用基体のタテ方向の荷重伸び曲線、及び、厚さ方向及びタテ方向に平行な断面の走査型電子顕微鏡写真は図6,7を参照。
2 ドラム
3 ベルト
4 プレッシャーローラ
5a、5b ターンローラ
6 収縮した人工皮革
11 金属ローラ
12 肉厚ゴム部
13 ゴムローラ
14 収縮した人工皮革
Claims (7)
- 平均単繊維繊度0.9デシテックス以下の極細繊維からなる繊維絡合体中に、高分子弾性体と難燃性微粒子を含有した伸縮性難燃人工皮革であって、見掛け密度を0.40g/cm3以上とするとともに、その厚み方向とタテ方向に共に平行な断面において、前記極細繊維より構成されるミクロなうねり構造をタテ方向に有し、タテ方向1mm中に存在する前記うねり構造のピッチ数が2.2個以上であるとともに、前記うねり構造の平均高さが50〜350μmである伸縮性難燃人工皮革。
- 前記難燃性微粒子の平均粒子径が10μm以下である請求項1に記載の伸縮性難燃人工皮革。
- 前記難燃性微粒子が、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなる難燃剤である請求項1または2に記載の伸縮性難燃人工皮革。
- 前記高分子弾性体が、ポリウレタン水系エマルジョンの固化物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮性難燃人工皮革。
- 前記極細繊維が非弾性繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮性難燃人工皮革。
- 前記非弾性繊維がポリエステル繊維である請求項5に記載の伸縮性難燃人工皮革。
- 前記ミクロなうねり構造が、タテ方向に収縮させヒートセットすることにより形成されたものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮性難燃人工皮革。
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