JP7265354B2 - 立毛人工皮革及びそれを用いたコンポジット材 - Google Patents
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Description
海成分樹脂として水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)、島成分樹脂としてイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ-トを用いて海島型複合繊維を溶融防止した。具体的には、海成分樹脂中に島成分樹脂が25個分布した断面を形成するためのノズル孔が配置された複合紡糸用口金に、海成分樹脂及び島成分樹脂の溶融樹脂をそれぞれ供給し、ノズル孔から海島型複合繊維の溶融繊維を吐出させた。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。
立毛人工皮革の立毛面を触り、以下の基準で判定した。
A:表面タッチがスムースであり、リン系難燃剤粒子に起因するザラザラした触感もなかった。
B:表面タッチがザラザラしており、高級感に劣っていた。
C:風合いが硬く、高級感に劣っていた。
D:保管中にリン系難燃剤粒子がブリードして表面が白化した。
JIS L1913に準じて、立毛人工皮革の厚さ(mm)及び目付(g/cm2)を測定し、目付けを厚さで除して換算することにより、見掛け密度(g/cm3)を算出した。
立毛人工皮革の断面方向を切り出し、断面全体から満遍なく10点を選択し、走査型電子顕微鏡で倍率100倍で裏面からリン系難燃剤粒子が存在する領域の厚さを10点測定した。そして厚さの最大値及び最小値を除外した8点の平均値をリン系難燃剤粒子の偏在する厚さとした。
立毛人工皮革の断面方向を切り出し、断面全体から満遍なく10点を選択し、走査型電子顕微鏡で倍率1000倍で裏面からリン系難燃剤粒子が存在する領域を選択し、10個の粒子の直径を計測した。そして、最大値及び最小値を除外した8個の粒子径の平均値をリン系難燃剤粒子の平均粒子径とした。
立毛人工皮革を、FAR25 Appendix F Part1(a)(1)(ii)の米国航空機内装材の燃焼試験規格により垂直法難燃性を測定した。具体的には、立毛人工皮革を50.8mm×304.8mmに切断して試験片を作成した。そして試験片を燃焼試験装置の試料ホルダーに垂直に固定した。バーナーを試験片の一端の真下に配置し、12秒間接炎させた後、試験片の燃焼距離、自消時間、ドロップ自消時間を計測した。n=10の平均を算出した。
スエード調人工皮革を、FMVSS302の燃焼試験規格により水平法燃焼試験を測定した。具体的には、スエード調人工皮革を102mmmm×356mmに切断して、サンプル片端から38mmに標線を引いた試験片を作成した。そして試験片を燃焼試験装置の試料ホルダーに水平に固定した。バーナーを試験片の標線を引いた側のサンプル端に配置し、15秒間接炎させた後、試験片の燃焼距離、燃焼時間を計測した。n=10の平均を算出した。標線前で自消した場合を標線前自消(SE)、標線を超えて燃焼距離50mm以下及び燃焼時間60秒以下を自消、燃焼速度100mm/min以下を遅燃性、燃焼速度100mm/min以上を易燃性とした。
実施例1において、10質量%の第2のポリウレタンと28質量%のジアルキルホスフィン酸金属塩を含有する第2のポリウレタンエマルジョンに代えて、22質量%の第2のポリウレタンと28質量%のジアルキルホスフィン酸金属塩を含有する第2のポリウレタンエマルジョンを用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、第1のポリウレタンの含有率が12質量%の人工皮革の生機の代わりに、第1のポリウレタンの含有率が24質量%の人工皮革の生機を用いた以外は、同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、リン系難燃剤であるジアルキルホスフィン酸金属塩の粒子を分散させた第2のポリウレタンエマルジョンを110g/m2となるように塗布した代わりに、60g/m2となるように塗布した以外は、同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、0.1dtexの極細繊維を25本含む繊維束が3次元的に交絡した不織布に代えて0.4dtexの極細繊維を6本含む繊維束が3次元的に交絡した不織布を形成した。また、第1のポリウレタンとして、非晶性ポリカーボネート(反応性官能基を除いた平均炭素数5.5)とポリエーテルポリオール(反応性官能基を除いた平均炭素数4)の質量比率60/40であって、反応性官能基を除いた繰り返し平均炭素数が4.9である高分子ポリオールと、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである有機ポリイソシアネートと鎖伸長剤との反応生成物であり、100%モジュラスが3.0MPaである自己乳化型の非晶性ポリカーボネートウレタンを用いた。さらに、リン系難燃剤粒子としてジアルキルホスフィン酸金属塩の代わりに表1に示したモノアルキルホスフィン酸金属塩を用いた。その他は実施例1と同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、リン系難燃剤粒子としてジアルキルホスフィン酸金属塩の代わりに表1に示した芳香族ホスホン酸エステルを用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、リン系難燃剤粒子としてジアルキルホスフィン酸金属塩の代わりに表1に示したリン酸エステルアミドを用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
海成分樹脂としてポリエチレン、島成分樹脂としてイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ-トを用いて海島型複合繊維を溶融防止した。具体的には、海成分樹脂中に島成分樹脂が25個分布した断面を形成するためのノズル孔が配置された複合紡糸用口金に、海成分樹脂及び島成分樹脂の溶融樹脂をそれぞれ供給し、ノズル孔から海島型複合繊維の溶融繊維を吐出させた。このとき、海成分と島成分との質量比が海成分/島成分=25/75となるように圧力調整しながら供給した。
海成分樹脂としてポリエチレン、島成分樹脂として6-ナイロンを用いて海島型複合繊維を溶融防止した。具体的には、ポリエチレンと6-ナイロンを質量比率で50/50に混合して溶融させ、混合紡糸用口金に溶融樹脂を供給し、ノズル孔から吐出させた。島数は平均600個前後であり、延伸して5.5dtexの繊維を得た。この繊維を捲縮処理した後51mmにカットしカード処理することで目付100g/m2の短繊維ウェブを得た。これをクロスラッパー装置を用いて6層の重ね合わせウェブを作製し、油剤をスプレーした後、1500パンチ/cm2の条件でニードルパンチ処理を行った後、熱プレス処理して、見掛け密度0.40g/cm3、厚み1.5mmの繊維絡合体を得た。
そして、繊維絡合体に、第1のポリウレタンのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を含浸付与した後、N,N-ジメチルホルムアミドと水の混合液に浸漬、凝固させた後、トルエンでポリエチレンを抽出し乾燥した。なお、第1のポリウレタンは、ポリカーボネートポリオール(反応性官能基を除いた平均炭素数6)とポリエステルポリオール(反応性官能基を除いた平均炭素数4)の質量比率75/25であって、反応性官能基を除いた繰り返し平均炭素数が4.9である高分子ポリオールと、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである有機ポリイソシアネートと鎖伸長剤との反応生成物であり、100%モジュラスが5.0MPaであるポリウレタンであった。その他は、染料を分散染色から含金染色に変更する以外、実施例1と同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、厚さ1.3mmの人工皮革の生機を用いた以外は、同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、10質量%の第2のポリウレタンと28質量%のジアルキルホスフィン酸金属塩を含有する第2のポリウレタンエマルジョンに代えて、10質量%の第2のポリウレタンと6.8質量%のジアルキルホスフィン酸金属塩を含有する第2のポリウレタンエマルジョンを用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。なお、リン系難燃剤粒子と第2のポリウレタンからなる水分散液の粘度は100mPa・secであった。結果を表2に示す。
実施例1において、10質量%の第2のポリウレタンと28質量%のジアルキルホスフィン酸金属塩を含有する第2のポリウレタンエマルジョンに代えて、28質量%のポリリン酸アンモニウムを含有する水分散液を用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、リン系難燃剤粒子としてジアルキルホスフィン酸金属塩の代わりに表1に示したポリリン酸アンモニウムを用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、リン系難燃剤粒子としてジアルキルホスフィン酸金属塩の代わりに表1に示した芳香族リン酸エステルを用いた以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表2に示す。なお、リン系難燃剤は、難燃剤処理の際は水分散液の形態で処理を行ったが、立毛人工皮革において観察すると樹脂被膜化し粒子状の形態ではなかった。
実施例4において、第1の高分子弾性体を、ポリエーテル系ポリウレタン(反応性官能基を除いた繰り返し平均炭素数5)に変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表2に示す。
実施例4において、口金の島成分の個数を25個から4個に変更し、して平均繊度0.6dtexの極細繊維を用い、第1の高分子弾性体を、ポリカーボネート系ポリウレタン(反応性官能基を除いた繰り返し平均炭素数9)に変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 繊度0.5dtex以下の極細繊維を含む繊維絡合体と、前記繊維絡合体に含浸付与された、ポリウレタン及びリン系難燃剤粒子と、を含み、前記極細繊維を立毛させた立毛面である主面を有する厚さ0.25~1.5mmの立毛人工皮革であって、
前記ポリウレタンは、厚さ断面全体に存在する第1のポリウレタンと、前記主面に対する裏面から厚さ200μm以下の範囲に偏在する第2のポリウレタンと、を含み、
前記リン系難燃剤粒子の90~100質量%が、前記第2のポリウレタンに付着しており、
前記第1のポリウレタンは、高分子ポリオールと有機ポリイソシアネートと鎖伸長剤との反応生成物であり、前記高分子ポリオールは60質量%以上がポリカーボネートポリオールであって反応性官能基を除いた繰り返し平均炭素数が6.5以下であり、前記有機ポリイソシアネートが、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、ポリウレタンを含み、
前記リン系難燃剤粒子は、平均粒子径0.1~30μm、リン原子含有率が14質量%以上、30℃の水に対する溶解度が0.2質量%以下、融点または融点が存在しない場合には分解温度が150℃以上であり、
前記立毛人工皮革中の、前記リン系難燃剤粒子の含有割合が、リン原子換算含有割合で1~6質量%であることを特徴とする立毛人工皮革。 - 前記リン系難燃剤粒子と前記第1のポリウレタンと前記第2のポリウレタンとの総量中の前記リン系難燃剤粒子の含有割合が、リン原子換算で5~20質量%である請求項1に記載の立毛人工皮革。
- 前記リン系難燃剤粒子と前記第2のポリウレタンとの総量中の前記リン系難燃剤粒子の含有割合が、リン原子換算で10~30質量%である請求項1または2に記載の立毛人工皮革。
- 前記リン系難燃剤粒子が、有機ホスフィン酸金属塩,芳香族ホスホン酸エステル,及びリン酸エステルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1~3の何れか1項に記載の立毛人工皮革。
- 請求項1~4の何れか1項に記載の立毛人工皮革の前記裏面に内装下地材を接着剤で接着してなるコンポジット材。
- 前記内装下地材が、コンクリート,れんが,瓦,陶磁器質タイル,繊維強化セメント板,ガラス繊維混入セメント板,ケイ酸カルシウム板,鉄鋼,アルミニウム,金属板,ガラス,モルタル,しっくい,石,石膏ボード,ロックウール,グラスウール板,木毛セメント板,硬質木毛セメント板,木毛セメント板,パルプセメント板,難燃合板からなる群から選ばれる、請求項5に記載のコンポジット材。
- 前記接着剤が、デンプン系,(アルキル)セルロース系,酢酸ビニル系,クロロプレン系,フェノール系,ニトリル系,フッ素系,シリコーン系及びこれらの共重合体や混合体、金属塩や水酸化物を混合した接着剤からなる群から選ばれる、請求項5または請求項6に記載のコンポジット材。
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